JP6736769B2 - 鞍乗り型車両のエアバッグ装置 - Google Patents
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Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、前後方向にコンパクトに設けることが可能な鞍乗り型車両のエアバッグ装置を提供することを目的とする。
本発明は、乗員用のシート(13)の前方に設けられるリテーナ(41)と、インフレータ(43)と、前記リテーナ(41)に収納され、前記インフレータ(43)が放出するガスによって膨張して乗員の前方で展開するエアバッグ(42)とを備える鞍乗り型車両のエアバッグ装置において、筒状に形成される前記インフレータ(43)は、その軸線(43c)が車両前後方向に指向する向きで配置され、前記インフレータ(43)から放出される前記ガスは、前記リテーナ(41)によって左右方向から上下方向に向きを変えるようにガイドされ、車幅中央から前記エアバッグ(42)を上方に展開させることを特徴とする。
また、本発明は、乗員用のシート(13)の前方に設けられるリテーナ(41)と、インフレータ(43)と、前記リテーナ(41)に収納され、前記インフレータ(43)が放出するガスによって膨張して乗員の前方で展開するエアバッグ(42)とを備える鞍乗り型車両のエアバッグ装置において、筒状に形成される前記インフレータ(43)は、その軸線(43c)が車両前後方向に指向する向きで操舵用のハンドル(23)よりも下方に配置され、前記リテーナ(41)は、前記ガスによって膨張する前記エアバッグ(42)を上方にガイドして上方に展開させる上方延在部(47)を備え、前記鞍乗り型車両の車体カバー(26)は、ステアリングシャフト(20)を後方から覆うとともに前記シート(13)に前方から面するインナーカバー(28)を備え、前記リテーナ(41)は、前記インナーカバー(28)の後面に設けられることを特徴とする。
また、上記発明において、前記鞍乗り型車両の車体カバー(26)は、ステアリングシャフト(20)を後方から覆うとともに前記シート(13)に前方から面するインナーカバー(28)を備え、前記リテーナ(41)は、前記インナーカバー(28)の後面に設けられる構成としても良い。
また、上記発明において、前記インフレータ(43)は、車幅中央に対して左右方向にオフセットして配置されても良い。
また、上記発明において、インフレータ及びエアバッグは、インフレータを周囲から囲う環状部材を介してリテーナに固定され、環状部材は、インフレータとエアバッグとの間に位置しても良い。この構成によれば、インフレータ及びエアバッグを環状部材によって簡単な構造で固定できる。また、インフレータとエアバッグとの間に位置する環状部材によって、ガスの放出方向を制御できるとともに、インフレータから放出されるガスがエアバッグに直接当たることを防止できる。
さらに、上記発明において、リテーナは、箱状に形成されるとともに、シート側に面するリテーナ後面と、リテーナ後面に対向するリテーナ前面とを備え、インフレータは、リテーナ前面に固定されていても良い。この構成によれば、インフレータがリテーナ前面に固定されて乗員側から視認され難いため、外観性が良い。また、インフレータがリテーナ後面側に出っ張ることを防止でき、乗員とエアバッグ装置との間に大きなスペースを確保できる。
また、上記発明において、インフレータから放出されるガスは、リテーナによって左右方向から上下方向に向きを変えるようにガイドされ、車幅中央からエアバッグを上方に展開させても良い。この構成によれば、インフレータを左右方向にオフセットして配置した構成であっても、リテーナがガスをガイドすることで、車幅中央からエアバッグを上方に展開させることができる。
自動二輪車1は、車体フレーム10と、前輪2を操舵可能に支持する操舵系11と、車体フレーム10の後部に支持されるパワーユニット12と、後輪3と、乗員が跨るようにして着座するシート13とを備えるスクータ型の鞍乗り型車両である。
車両側面視において、ヘッドパイプ14は、自動二輪車1に設定される所定のキャスター角の分だけ鉛直方向に対し後傾している。ステアリングシャフト20は、ヘッドパイプ14に挿通されて軸支され、車両側面視で後傾して配置される。ステアリングシャフト20は車幅の中央に位置する。
シート13は、リアフレーム17の上方に設けられる。シート13は、運転者が着座する前側シート13aと、同乗者が着座する後側シート13bとを一体に備える。
運転者が左右の足を置くステップフロア25,25は、車幅の中央に位置するロアフレーム16の左右の位置に一対で設けられる。
車体カバー26は、ヘッドパイプ14及び操舵系11の上部を前方及び左右側方から覆うフロントカバー27と、フロントカバー27の後縁に連続し、ヘッドパイプ14及び操舵系11の上部を後方から覆うインナーカバー28とを備える。
また、車体カバー26は、前側シート13aの前下方に位置するセンターカバー29と、ステップフロア25,25の下方で車体を下方から覆うアンダーカバー30と、シート13の下方でリアフレーム17,17を側方から覆うリアサイドカバー31とを備える。
自動二輪車1は、フロントフェンダー32及びリアフェンダー33を備える。
車両側面視では、インナーカバー28の後面、センターカバー29の上縁29a及び前側シート13aの前面によって、下方に窪む跨ぎ空間34が区画される。乗員は、自動二輪車1に乗降する際に、跨ぎ空間34を介して自動二輪車1を跨ぐことができる。
図1及び図2に示すように、自動二輪車1は、乗員を衝撃から保護するエアバッグ装置40を備える。エアバッグ装置40は、インナーカバー28の後面に設けられ、前側シート13aに着座する運転者の前方に位置する。また、エアバッグ装置40は、ステアリングシャフト20の後方でハンドル23の下方に設けられ、跨ぎ空間34の前部に位置する。
また、インナーカバー28の後面の上部は、図1及び図2に示すように、ステアリングシャフト20の後方に位置する車幅方向の中央部28aが最も後方に位置し、中央部28aの左右に位置する側部28b,28bは、車幅方向外側に行くほど前側に位置するように傾斜している。
エアバッグ装置40は、シート13に着座する乗員の前方に設けられる箱状のリテーナ41と、リテーナ41に収納されるエアバッグ42と、エアバッグ42内にガスを放出するインフレータ43とリテーナ41の上部に取り付けられる蓋部材44とを備える。
図2〜図6を参照し、リテーナ41は、乗員側(後方側)から見た場合、逆L字状に形成された箱状部材である。なお、以下の説明でL字とは、リテーナ41を前方または後方から見た場合にL字状であることを意味する。リテーナ41は、後方から見た場合に逆L字であるが、L字状に形成されていると言える。
リテーナ41は、前側シート13aの前方に位置し、前側シート13aの前面に対向する。
リテーナ41は、左右方向(車幅方向)に延びる左右延在部46と、左右延在部46から上方向に延びる上方延在部47とを備える。
上方延在部47は、ステアリングシャフト20に沿って上下方向に延びる箱状部であり、車両側面視では後傾している。上方延在部47は、車幅中央に位置し、インナーカバー28の中央部28aを後方から覆う。
上方延在部47の中心を通って上下に延びる上方延在部47の中心線47cは、ステアリングシャフト20の後方でステアリングシャフト20と略平行に設けられて後傾している。中心線47cは車幅の中央に位置する。
上方延在部47の上面には、エアバッグ収納空間48を上方に露出させる上面開口部49が形成されている。エアバッグ42は、上面開口部49から上方へ展開される。上面開口部49の開口面は、上方延在部47の中心線47cに略直交する。上面開口部49は、蓋部材44によって塞がれている。
図7は、ケース50を後方から見た図である。
ケース50は、L字状に形成されるリテーナ前面52と、後述するケース上面開口55aの部分以外のリテーナ前面52の周縁の全周から後方に立設される周壁部53とを備える。後面開口50aは、周壁部53の後縁部によって区画される。
ケース50は、左右延在部46の前部を構成する左右延在ケース部54と、上方延在部47の前部を構成する上下延在ケース部55とを一体に備える。
上下延在ケース部55の上端には、周壁部53を設けずに開口とされたケース上面開口55aが形成されている。ケース上面開口55aは上面開口部49の大部分を構成する。
リテーナ前面52における左右延在ケース部54の部分は、インナーカバー28の側部28b(図2)に沿って延びる前側平坦部52bになっている。
リテーナ41のカバー51は、乗員及びシート13に前方側から面するリテーナ後面57と、上端以外のリテーナ後面57の周縁の全周から前方に立設されるリブ58とを備える。
リテーナ後面57は、リテーナ前面52と同様にL字状に形成されており、リテーナ前面52に後方から対向する。
カバー51は、リブ58がケース50の周壁部53に外側から重なるように係合することでケース50に結合される。カバー51は、例えば、リブ58に沿う溶接ビードによってケース50に結合される。
上下延在カバー部61は、ケース50の前側曲面部52a(図7、図8)に後方から対向する後側曲面部57a(曲面部)になっている。後側曲面部57aは、上方から見た場合に、後方に向けて凸となるように湾曲する曲面状に形成されている。後側曲面部57aは、リテーナ後面57の上下の略全長に亘り設けられる。
左右延在カバー部60は、ケース50の前側平坦部52b(図7)に後方から対向する後側平坦部57bになっている。
リテーナ41の上方延在部47には、後方の乗員側に向けて開口する乗員側開口部62が設けられている。乗員側開口部62は、上部周壁部47aの後面部の上端が下方に切り欠かれたものであり、エアバッグ収納空間48の上端部を後方に連通させる。乗員側開口部62は、上面開口部49の後方に位置し、上面開口部49に連通している。
なお、上端61aは、リテーナ41の上部周壁部47aの後面部の上端でもある。
蓋部材44は、蓋周壁部44bの内周面が上部周壁部47aの外周面に嵌合することでリテーナ41に取り付けられている。上面開口部49及び乗員側開口部62は、蓋部材44によって塞がれる。
また、蓋上面部44aの前部には、ハンドルポスト23a(図1)を避けるように下方に窪む凹部44c(図5)が形成されている。
インフレータ43は、左右延在ケース部54のリテーナ前面52の前側平坦部52b(図7)に取り付けられる。
インフレータ43は、円筒状(筒状)に形成されたハウジング43aを備える。ハウジング43aの内部には、ガス発生剤、及び、このガス発生剤にガスを発生する反応を開始させるイニシエータが設けられる。イニシエータは点火装置を備える。なお、ハウジング43aの軸方向の端面が閉じているものも筒状に含まれる。ハウジング43aは、外周面にガス放出口43bを備える。ガス放出口43bは、ハウジング43aの周方向に並べて複数設けられる。
インフレータ43のハウジング43aは、リテーナ前面52に形成されたインフレータ支持孔52cに、左右延在ケース部54の内側から挿入される。ハウジング43aは、フランジ部65aがリテーナ前面52の内面に当接することで、インフレータ43の軸方向に位置決めされる。
インフレータ43は、フランジ部65a及びリテーナ前面52に挿通されるボルト66と、ボルト66に螺合するナット66aとによってリテーナ前面52に締結される。ボルト66及びナット66aは、フランジ部65aの周方向に複数設けられる。
環状部材65の周壁部65bは、軸線43cの軸方向視で矩形の枠状に形成されており、インフレータ43の外周面を外側から囲う。詳細には、周壁部65bは、複数のガス放出口43bを外側から囲う。
インフレータ43は、複数のガス放出口43bから径方向外側に向かって放射状にガスGを放出し、このガスGは、周壁部65bの内周面に当たることで向きを変え、インフレータ43の軸線43cの方向に放出される。すなわち、エアバッグ42内へのインフレータ43のガスGの放出方向は、軸線43cの延在方向である。環状部材65は、ガスGの放出方向を制御するガイド部材として機能する。
インフレータ43は、軸線43cが車両の前後方向を指向する向きで配置される。このように、軸線43cを前後に指向させることで、インフレータ43が大径であっても、インフレータ43が車両の前後方向に占めるスペースを小さくでき、インフレータ43を前後にコンパクトに設けることができる。
環状部材65の周壁部65bは、インフレータ43の径方向において、ガス放出口43bとエアバッグ42の上流端42aとの間に位置する。これにより、ガス放出口43bから放出されるガスGがエアバッグ42の上流端42aに直接当たることが防止され、エアバッグ42がガスGに対し保護される。
エアバッグ42は、上流端42aが左右延在部46内でインフレータ43に接続されている。エアバッグ42は、インフレータ43側から左右延在部46内を左右方向に延び、その下流端が上方延在部47内に位置する。
図11に示すように、時間が経過するに従って、エアバッグ42は、下部、中間部、及び上部の順で膨らむことで、上方に伸びるように展開される。
図3に示すように、インフレータ43は、軸線43cに沿って車両後方に向かってエアバッグ42内にガスGを放出する。すなわち、インフレータ43のガスGの放出方向は、軸線43cの延在方向である。また、インフレータ43は、軸線43cに沿って運転者側にガスGを放出するとも言える。
詳細には、インフレータ43は、インナーカバー28側部28bの傾斜に合わせて傾斜して配置されており、傾斜した軸線43cの方向にガスGを放出する。インフレータ43の軸線43cは、軸線43cが後方側に行くほど車幅方向外側且つ下方に位置するように傾斜している。
インフレータ43から後方に放出されるガスGは、エアバッグ42の内面を介して左右延在カバー部60の内面に当たり、左右延在部46内を左右方向(右方向)に流れ、上方延在部47の下部に達する。
ガスGは、上方延在部47の下部に流れる際、エアバッグ42の内面を介して上下延在カバー部61の後側曲面部57aの内面に当たり、後側曲面部57aに沿ってスムーズに向きを変える。また、上方延在部47では、前側曲面部52aも曲面状であるため、ガスGをスムーズにガイドできる。
図7に示すように、リテーナ41は、ガスGが左右方向の流れから上方向に変わる部分の隅部に曲面状の屈曲部53aを備える。このため、ガスGが屈曲部53aに沿ってスムーズに向きを変えるため、ガスGを効率良く流すことができる。
リテーナ41は、車体フレーム10に設けられるステー10aによって車体フレーム10に支持されている。
エアバッグ42は、上方延在部47の底面に沿うように設けられる第1の折り畳み部71と、第1の折り畳み部71の下流に設けられる第2の折り畳み部72(上流側折り畳み部)と、第2の折り畳み部72の下流に設けられる第3の折り畳み部73と、第3の折り畳み部73の下流に設けられる第4の折り畳み部74(下流側折り畳み部)とを備える。
第2の折り畳み部72は、第1の折り畳み部71の下流端71aからリテーナ後面57の内面に沿って乗員側開口部62の近傍まで上方に延びる。
第4の折り畳み部74は、第3の折り畳み部73の下流端73cから上方に延びる。第4の折り畳み部74は、側面視で蛇腹状(ジグザグ状)に折られた折り部が複数積み重なることで上方に延びている。第4の折り畳み部74は、上方延在部47の中心線47cに沿って上方に延びるとともに、第2の折り畳み部72とリテーナ前面52の内面との間に収納されている。
図12を参照し、時間T2では、インフレータ43からエアバッグ42内にガスGが放出され、第1の折り畳み部71が膨らんでいる。この状態では、第1の折り畳み部71が上方に膨らむことで、第2の折り畳み部72、第3の折り畳み部73及び第4の折り畳み部74も上方に移動し、蓋部材44が開裂する。また、第4の折り畳み部74は、上面開口部49よりも上方に移動している。
本実施の形態では、乗員側開口部62が設けられているため、第2の折り畳み部72の上部の膨張がリテーナ後面57の上端部によって妨げられ難い。このため、第2の折り畳み部72の上部をスムーズに膨張させて、第2の折り畳み部72によって第4の折り畳み部74を前方側に押すことができる。
その後、ガスGが第4の折り畳み部74に到達することで、第4の折り畳み部74が上方へ鉛直に展開し、エアバッグ42の展開が完了する。
このように、第2の折り畳み部72の膨張によって第4の折り畳み部74の姿勢を鉛直に修正することで、エアバッグ42を鉛直に展開できる。
また、インフレータ43の上方には、収納ボックス81が設けられている。収納ボックス81は、リテーナ41の上方延在部47を挟んでメインスイッチ80の反対側に設けられている。
収納ボックス81は、インナーカバー28の側部28bを前方に窪ませるようにして設けられる収納部(不図示)と、この収納部を開閉可能に覆うリッド81aとを備える。
収納ボックス81は、左右延在部46の上方且つ上方延在部47の外側方に位置するため、エアバッグ装置40をインナーカバー28に取り付けた状態であっても容易に開閉可能である。
また、リテーナ41は、その上面に上面開口部49を備える箱状に形成されるとともに、シート13側に面するリテーナ後面57と、リテーナ後面57に対向するリテーナ前面52とを備え、エアバッグ42は、折り畳まれてリテーナ41内に収納される。エアバッグ42は、第2の折り畳み部72と、第2の折り畳み部72よりもガスGの流れにおいて下流側にある第4の折り畳み部74とを備え、第2の折り畳み部72は、リテーナ後面57に沿って上下に延在し、第4の折り畳み部74は、第2の折り畳み部72とリテーナ前面52との間に収納されている。これにより、ガスGによってエアバッグ42が展開される際は、リテーナ後面57に沿って上下に延在する第2の折り畳み部72が、第4の折り畳み部74よりも先に展開される。第4の折り畳み部74は、先に展開する第2の折り畳み部72によって前方側に倒される。このため、リテーナ41がステアリングシャフト20に沿って傾斜して配置される構成であっても、エアバッグ42を鉛直に上方へ展開できる。
また、乗員側開口部62は、上面開口部49を区画するリテーナ41の上部周壁部47aの後面部の上端61aが切り欠かれたものである。これにより、リテーナ41の上部周壁部47aの上端61aが切り欠かれる簡単な構造で、乗員側開口部62を設けることができる。
また、上面開口部49及び乗員側開口部62は、リテーナ41の上端部に取り付けられる蓋部材44によって塞がれる。これにより、上面開口部49及び乗員側開口部62を蓋部材44で隠すことができ、外観性を向上できるとともに、リテーナ41内にゴミ等の異物が入ることを防止できる。
また、上方延在部47は、ステアリングシャフト20の後方に配置され、上方延在部47を挟んでインフレータ43と自動二輪車1のメインスイッチ80とが左右に分けて配置される。これにより、ステアリングシャフト20側からエアバッグ42を上方に展開できるとともに、インフレータ43及びメインスイッチ80を上方延在部47の左右に効率良く配置できる。
また、上方延在部47は、左右延在部46から上方延在部47に流入するガスGを受ける後側曲面部57aを備える。これにより、左右延在部46から上方延在部47に流入するガスGを後側曲面部57aで受けることで、ガスGをスムーズに上方へ流すことができ、エアバッグ42を効率良く上方へ展開できる。
また、偏向部70は、左右延在部46及び上方延在部47によってL字状に形成され、L字の屈曲部53aは曲面状に形成されている。このため、L字状の偏向部70で上方に向きを変えるガスGを曲面状の屈曲部53aで効率良くガイドでき、ガスGをスムーズに上方へ流すことができる。
また、自動二輪車1の車体カバー26は、ステアリングシャフト20を後方から覆うとともにシート13に前方から面するインナーカバー28を備え、リテーナ41は、インナーカバー28の後面に設けられる。このように、シート13の前方でステアリングシャフト20を覆うインナーカバー28にリテーナ41を設けることで、乗員の前方の適切な位置にエアバッグ装置40を設けることができる。
また、インフレータ43は、車幅中央に対して左右方向にオフセットして配置される。これにより、車幅中央におけるリテーナ41の前後方向のサイズを小さくでき、車幅中央における乗員とエアバッグ装置40との間のスペースを大きく確保できる。ここで、インフレータ43は、車幅方向外側に行くほど前側に位置するように傾斜するインナーカバー28の側部28bに沿うように設けられるため、インフレータ43を前後にコンパクトに配置できる。このため、エアバッグ装置40と乗員との間にスペースを確保できる。
上記実施の形態では、インフレータ43は、軸線43cに沿って車両後方に向かってエアバッグ42内にガスGを放出するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、インフレータ43をカバー51側に設け、軸線43cに沿って車両前方にガスを放出する構成としても良い。
また、リテーナを中心線47cを基準に図2とは反対向きのL字状に設け、リテーナ内を右側から車幅中央に流れるガスを上方に偏向させる構成としても良い。
また、上記実施の形態では、インフレータ43は、ハウジング43a(図10)がリテーナ前面52のインフレータ支持孔52cに、左右延在ケース部54の内側から挿入されるものとして説明したが、これに限らず、ハウジング43aを、インフレータ支持孔52cに左右延在ケース部54の外側から挿入する構成としても良い。この場合、例えば、インフレータ43は、ハウジング43aの外周に設けられたフランジ部がリテーナ前面52の外面に当接することで、インフレータ43の軸方向に位置決めされ、左右延在ケース部54の外側から挿通されるボルトでリテーナ前面52に固定される。この構成によれば、リテーナ41の外側からインフレータ43を着脱でき、組み立て性が良い。
また、上記実施の形態では、インフレータ43は、円筒状に形成されたハウジング43aの軸線43cを中心とする筒状に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。インフレータ43を四角形等の多角形の筒状に形成し、その軸線を車両前後方向に指向させて配置しても良い。
さらに、上記実施の形態では鞍乗り型車両として自動二輪車1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、前輪または後輪を2つ備えた3輪の鞍乗り型車両や4輪以上を備えた鞍乗り型車両などに適用可能である。
13 シート
20 ステアリングシャフト
26 車体カバー
28 インナーカバー
40 エアバッグ装置
41 リテーナ
42 エアバッグ
43 インフレータ
43c 軸線
52 リテーナ前面
57 リテーナ後面
65 環状部材
Claims (6)
- 乗員用のシート(13)の前方に設けられるリテーナ(41)と、インフレータ(43)と、前記リテーナ(41)に収納され、前記インフレータ(43)が放出するガスによって膨張して乗員の前方で展開するエアバッグ(42)とを備える鞍乗り型車両のエアバッグ装置において、
筒状に形成される前記インフレータ(43)は、その軸線(43c)が車両前後方向に指向する向きで配置され、
前記インフレータ(43)から放出される前記ガスは、前記リテーナ(41)によって左右方向から上下方向に向きを変えるようにガイドされ、車幅中央から前記エアバッグ(42)を上方に展開させることを特徴とする鞍乗り型車両のエアバッグ装置。 - 乗員用のシート(13)の前方に設けられるリテーナ(41)と、インフレータ(43)と、前記リテーナ(41)に収納され、前記インフレータ(43)が放出するガスによって膨張して乗員の前方で展開するエアバッグ(42)とを備える鞍乗り型車両のエアバッグ装置において、
筒状に形成される前記インフレータ(43)は、その軸線(43c)が車両前後方向に指向する向きで操舵用のハンドル(23)よりも下方に配置され、
前記リテーナ(41)は、前記ガスによって膨張する前記エアバッグ(42)を上方にガイドして上方に展開させる上方延在部(47)を備え、
前記鞍乗り型車両の車体カバー(26)は、ステアリングシャフト(20)を後方から覆うとともに前記シート(13)に前方から面するインナーカバー(28)を備え、前記リテーナ(41)は、前記インナーカバー(28)の後面に設けられることを特徴とする鞍乗り型車両のエアバッグ装置。 - 前記インフレータ(43)及び前記エアバッグ(42)は、前記インフレータ(43)を周囲から囲う環状部材(65)を介して前記リテーナ(41)に固定され、前記環状部材(65)は、前記インフレータ(43)と前記エアバッグ(42)との間に位置することを特徴とする請求項1または2記載の鞍乗り型車両のエアバッグ装置。
- 前記鞍乗り型車両の車体カバー(26)は、ステアリングシャフト(20)を後方から覆うとともに前記シート(13)に前方から面するインナーカバー(28)を備え、前記リテーナ(41)は、前記インナーカバー(28)の後面に設けられることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両のエアバッグ装置。
- 前記リテーナ(41)は、箱状に形成されるとともに、前記シート(13)側に面するリテーナ後面(57)と、前記リテーナ後面(57)に対向するリテーナ前面(52)とを備え、
前記インフレータ(43)は、前記リテーナ前面(52)に固定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の鞍乗り型車両のエアバッグ装置。 - 前記インフレータ(43)は、車幅中央に対して左右方向にオフセットして配置されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の鞍乗り型車両のエアバッグ装置。
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