JP7089585B2 - 鞍乗り型車両のエアバッグ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、鞍乗り型車両のエアバッグ装置に関する。
従来、鞍乗り型車両のエアバッグ装置において、折り畳んだエアバッグを収納するエアバッグリテーナーと、エアバッグを膨張させるガスを発生させるインフレーターとを分離して配置したエアバッグ装置が知られている。
そして、車体フレームの一部を構成するパイプ部材の内部途中に、仕切り板を設け、インフレーターが発生させたガスをエアバッグユニットに導くガス通路を直接形成したエアバッグ装置が開示されている(例えば、特許文献1)。
また、インフレーターと、エアバッグを格納するリテーナーを分離すると共に、リテーナーにおけるエアバッグの開口部と対向する部位に、インフレーターよりのガス供給経路を接続するエアバッグ装置が開示されている(例えば、特許文献2)。
特開2003-104262号公報
特開平08-301031号公報
特許文献1に記載のものは、メインフレーム内に加工を必要とするものであり、フレームの加工が複雑になる。
ところで、鞍乗り型車両のエアバッグ装置では、エアバック装置をコンパクトに配置し、且つ、乗員の適切な保護のためにエアバッグをできるだけ鉛直上方に展開することが望まれる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、鞍乗型車両のエアバッグ装置において、エアバッグ装置を容易に構成するとともに、コンパクトに配置し、且つ、エアバッグを鉛直上方に展開できるようにすることを目的とする。
本発明は、インフレーター(53)と、前記インフレーター(53)が放出するガスによって膨張するエアバッグ(52)と、前記エアバッグ(52)を収納するリテーナー(52a)とを備える鞍乗り型車両のエアバッグ装置において、ヘッドパイプ(14)に回動可能に取り付けられるハンドルステム(20a)を有し、前記インフレーター(53)と前記リテーナー(52a)とが別体に配置され、車両側面視で前記リテーナー(52a)は、前記ハンドルステム(20a)の回動軸(L)上に設けられ、車両側面視で前記インフレーター(53)は、前記ヘッドパイプ(14)の周囲に取り付けられ、前記リテーナー(52a)と前記インフレーター(53)は、前記インフレーター(53)と前記リテーナー(52a)との相対回動を許容する弛みが設けられたチューブから成るガス通路(51)でつながれており、前記リテーナー(52a)は、前記ハンドルステム(20a)に設けられるハンドルホルダー(23b)に取り付けられていることを特徴とする。
また、上記発明において、前記リテーナー(52a)は、車両平面視で、ハンドル(23)のグリップ部(23g)間に設けても良い。
また、上記発明において、前記ガス通路(51)は、前記ヘッドパイプ(14)の近傍から上部を跨ぐように設けても良い。
また、上記発明において、前記ガス通路(51)は、前記ヘッドパイプ(14)の側部から上部を跨ぐように設けても良い。
また、上記発明において、前記ガス通路(54c)は、前記ヘッドパイプ(14)の前部から上部を跨ぐように設けても良い。
また、上記発明において、前記ガス通路(54c)は、前記ヘッドパイプ(14)の後部から上部を跨ぐように設けても良い。
本発明に係る鞍乗り型車両のエアバッグ装置によれば、インフレーターと、インフレーターが放出するガスによって膨張するエアバッグと、エアバッグを収納するリテーナーとを備え、インフレーターとリテーナーとが別体に配置され、車両側面視でリテーナーは、ハンドルステムの回動軸上に設けられ、車両上面視でインフレーターは、ヘッドパイプの周囲に設けられ、リテーナーとインフレーターは、ガス通路でつながれている。
この構成によれば、リテーナーとインフレーターを別体にすることで、車両の構成部材間のスペースを利用して、エアバッグ装置を配置することができ、エアバッグ装置の省スペース化を実現し、エアバッグ装置をコンパクトに配置できる。そして、エアバッグの上方展開を行う際に、垂直方向に展開させることができる。また、エアバッグ装置を容易に構成できる。
また、上記構成において、リテーナーは、車両平面視で、ハンドルのグリップ部間に設けても良い。
この構成によれば、ハンドルのグリップ間の空間を利用して、エアバッグを展開でき、エアバッグのデザイン上の自由度を向上できる。
また、上記構成において、ガス通路は、ヘッドパイプの近傍から上部を跨ぐように設けても良い。
この構成によれば、ガス通路をヘッドパイプの周囲に配置して、ガス通路の長さを短くできる。これにより、エアバッグを展開するのに必要となるガスの量および、展開までにかかる時間を低減できる。
また、上記構成において、ガス通路は、ヘッドパイプの側部から上部を跨ぐように設けても良い。
この構成によれば、ガス通路をヘッドパイプの側方に配置して、ガス通路の長さを短くできる。これにより、エアバッグを展開するのに必要となるガスの量および、展開までにかかる時間を低減できる。
また、上記構成において、ガス通路は、ヘッドパイプの前部から上部を跨ぐように設けても良い。
この構成によれば、ガス通路をヘッドパイプの前方に配置して、ガス通路の長さを短くできる。これにより、エアバッグを展開するのに必要となるガスの量および、展開までにかかる時間を低減できる。
また、上記構成において、ガス通路は、ヘッドパイプの後部から上部を跨ぐように設けても良い。
この構成によれば、ガス通路をヘッドパイプの後方に配置して、ガス通路の長さを短くできる。これにより、エアバッグを展開するのに必要となるガスの量および、展開までにかかる時間を低減できる。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るエアバッグ装置を備える自動二輪車の左側面図である。 図2は、ハンドルの周辺部を上方側から見た斜視図である。 図3は、ハンドルの周辺部の左側面図である。 図4は、ハンドル回動時のインフレーターとリテーナーの状態を示す図である。 図5は、本発明の第2の実施の形態において、インフレーターをヘッドパイプの前方に配置する構成を示す左側面図である。 図6は、本発明の第2の実施の形態において、インフレーターをヘッドパイプの後方に配置する構成を示す左側面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示している。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るエアバッグ装置を備える自動二輪車1の左側面図である。図1では、後述のエアバッグ52が膨張して展開した状態が示されている。なお、図1では、左右一対で設けられるものは、符号を含め左側のものだけが図示されている。
自動二輪車1は、車体フレーム10と、前輪2を操舵可能に支持する操舵系11と、車体フレーム10の後部に支持されるパワーユニット12と、後輪3と、乗員が跨るようにして着座するシート13とを備えるスクーター型の鞍乗り型車両である。
車体フレーム10は、車体フレーム10の前端に設けられるヘッドパイプ14と、ヘッドパイプ14から後下方に延びるメインフレーム15と、メインフレーム15の下端部から後方に延びる左右一対のロアフレーム16,16を備える。さらに、車体フレーム10は、ロアフレーム16,16から後上がりに後方へ延びる左右一対のリアフレーム17,17を備える。ヘッドパイプ14は、前輪2と同様に車幅の中央に配置される。
操舵系11は、ヘッドパイプ14に軸支されるステアリングシャフト20と、前輪2の左右の両側に配置されて前輪2を支持する左右一対のフロントフォーク21,21を備える。そして、操舵系11はさらに、ステアリングシャフト20の下端に固定され左右のフロントフォーク21,21の上部を連結するブリッジ部材22と、ステアリングシャフト20の上端に固定されるハンドル23とを備える。操舵用のハンドル23は、ステアリングシャフト20の上端に固定されるハンドルポスト23aを介してステアリングシャフト20に接続される。
車両側面視において、ヘッドパイプ14は、自動二輪車1に設定される所定のキャスター角の分だけ鉛直方向に対し後傾している。ステアリングシャフト20は、ヘッドパイプ14に挿通されて軸支され、車両側面視で後傾して配置される。
パワーユニット12は、後輪3の駆動源としてのエンジンと後輪3を支持するスイングアームとの機能を備えたユニットスイングエンジンである。パワーユニット12は、パワーユニット12の前端部に設けられるリンク部材24を介して揺動自在に車体フレーム10に軸支される。
シート13は、リアフレーム17の上方に設けられる。シート13は、運転者が着座する前側シート13aと、同乗者が着座する後側シート13bとを一体に備える。
運転者が左右の足を置くステップフロア25,25は、前側シート13aの前下方に左右一対で設けられる。
自動二輪車1は、車体フレーム10等の車体を覆う車体カバー26を備える。
車体カバー26は、ヘッドパイプ14及び操舵系11の上部を前方及び左右側方から覆うフロントカバー27と、フロントカバー27の後縁に連続し、ヘッドパイプ14及び操舵系11の上部を後方から覆うインナーカバー28とを備える。
また、車体カバー26は、前側シート13aの前下方に位置するセンターカバー29と、ステップフロア25,25の下方で車体を下方から覆うアンダーカバー30を備える。そして、車体カバー26はさらに、シート13の下方でリアフレーム17,17を側方から覆うリアサイドカバー31を備える。
車両側面視で後上がりに傾斜するウインドスクリーン32は、フロントカバー27の上部に取り付けられる。ヘッドライト33は、フロントカバー27の前面に設けられる。
自動二輪車1は、フロントフェンダー34及びリアフェンダー35を備える。
車速等の自動二輪車1に関する情報を表示するメーター36は、ハンドル23の前方に配置される。バックミラー37は、ハンドル23に取り付けられる。
センターカバー29の前部は、インナーカバー28の下部に連続する。センターカバー29は、前側シート13aからステップフロア25,25に伸ばされる運転者の左右の脚の内側に位置する。
車両側面視では、インナーカバー28、センターカバー29及び前側シート13aの前面によって、下方に窪む跨ぎ空間38が区画される。乗員は、自動二輪車1に乗降する際に、跨ぎ空間38を介して自動二輪車1を跨ぐことができる。
自動二輪車1は、乗員を衝撃から保護するエアバッグ装置50を備える。エアバッグ装置50のインフレーター53は、車両側面視で、ヘッドパイプ14とフロントカバー27との間に配置される。そして、エアバッグ装置50のリテーナー52aは、車両側面視で、ハンドルステム20aの回動軸となるヘッドパイプ14の軸心L上に位置する。
次に、図2から図3を用いて、エアバッグ装置50について説明する。
エアバッグ装置50は、エアバッグ52と、リテーナー52aと、インフレーター53と、接続チューブ51により構成される。
なお、インフレーター53は、自動二輪車1のコントロールユニット(不図示)に接続されるものであり、コントロールユニットには、加速度センサー(不図示)が接続している。
エアバッグ52は、リテーナー52a内に折り畳まれた状態で収納されている。インフレーター53はエアバッグ52を膨らませるためのガスを発生させるものである。リテーナー52aとインフレーター53は、接続チューブ51により接続されている。そして、インフレーター53において発生したガスを、接続チューブ51を介して、リテーナー52a内のエアバッグ52に供給して、エアバッグ52を膨張させるものである。
なお、接続チューブ51は、フレキシブルな耐圧チューブにより構成される。また、急激に接続チューブ51内の圧力が上昇した場合に変形するものが用いられる。接続チューブ51をエアバッグ基布により構成しても良い。
リテーナー52aは、ハンドルステム20aの上方に配置されている。ハンドルステム20aは、ヘッドパイプ14に挿入されたステアリングシャフト20の上端を挿入した状態で、ステアリングシャフト20に相対回動不能に固定されている。これにより、ハンドル23の回動操作により、ハンドルステム20aとともに、ステアリングシャフト20がヘッドパイプ14の軸心Lを回動中心として回動する。
ハンドルステム20aの上端には、ハンドルポスト23aが取り付けられており、ハンドルポスト23aの上面には2つのハンドルホルダー23bが、車両左右方向に並べて設けられている。そして、ハンドルホルダー23bにリテーナー52aが取り付けられるものである。
ハンドルホルダー23bは、ハンドル23を保持するものであり、ハンドル23の中央部23cが2つのハンドルホルダー23bに保持される。ハンドル23は、中央部23cと、中央部23cの左右両側に上方且つ外側に向けて延出されるライズ部23rと、ライズ部23rの上部よりそれぞれ車両外側方向に延出されるグリップ部23gにより構成される。
リテーナー52aは、ハンドルホルダー23bの上部に取付けられるとともに、ハンドル23のライズ部23r間に配置される。また、リテーナー52aの下面には、接続チューブ51の上端が接続しており、接続チューブ51は、ハンドルホルダー23b間を通る構成となっている。
接続チューブ51は、リテーナー52aの下面より下方且つ後方に延出され、ハンドルポスト23aより下方において、下方且つ車両左側方向に延出されている。ヘッドパイプ14の左側方には、インフレーター53が配置されており、接続チューブ51は、インフレーター53の接続パイプ53aに接続している。接続チューブ51は下端に、接続パイプ53aを挿入することにより、インフレーター53に接続している。
このため、接続チューブ51は、ヘッドパイプ14の近傍から(本実施例においては側部から)ヘッドパイプ(14)の上部に跨って、ヘッドパイプ14およびハンドルステム20aに沿って配置される。
接続パイプ53aは、インフレーター53において、車両前後方向の後面に設けられており、接続パイプ53aの後端は、ヘッドパイプ14の上部に向けられている。すなわち、接続パイプ53aは、インフレーター53より後方に延出された後に車両内側方向且つ上方に向けて延出されている。
インフレーター53は、ステー55を介して、ヘッドパイプ14に取付けられるものであり、ステー55はヘッドパイプ14より、車両平面視において、斜め前方に延出されている。そして、ステー55の前端部にインフレーター53が取り付けられている。
インフレーター53は、ヘッドパイプ14の近傍に配設されるものであり、フロントカバー27の外側面よりも、車両内側に配置されている。そして、インフレーター53は、車両左右方向において、ヘッドパイプ14の左側方に位置している。なお、ヘッドパイプ14の右側には、キーシリンダーおよびハンドルロック機構(不図示)が設けられるものである。
また、インフレーター53は、図3に示すように、車両側面視において、ヘッドパイプ14の前方において、ヘッドパイプ14の上端を通り、ハンドルステム20aの回動軸と直交する平面Rよりも下方に位置している。そして、接続パイプ53aは、車両側面視において、ヘッドパイプ14と重なる位置に設けられている。
接続パイプ53aとリテーナー52aとを接続する接続チューブ51は、ハンドル23を直進位置に保持した状態において、一定の弛みを持つように構成されている。
次に、上記構成を備えた本発明の第1の実施形態の作用について説明する。
まず、図1から図4に示す、エアバッグ装置50の作用について説明する。
自動二輪車1の加速度センサー(不図示)が所定値以上の加速度を検出した場合、コントロールユニット(不図示)が、インフレーター53が作動させる。これにより、インフレーター53がガスを発生させる。
インフレーター53により発生したガスは、接続パイプ53aおよび接続チューブ51を介して、リテーナー52a内のエアバッグ52に供給される。
そして、流入したガスによりエアバッグ52が膨張し、エアバッグ52がリテーナー52aの一部を開裂させて、リテーナー52aより上方に展開する。また、エアバッグ52の展開時に発生する衝撃は、リテーナー52aは、ハンドルホルダー23b、ハンドルポスト23a、ハンドルステム20aを介しいて、ヘッドパイプ14により受け止められる。
図4は、ハンドル回動時のインフレーターとリテーナーの状態を示す図である。
図4において、状態Aは、ハンドル23を左に回動した状態であり、状態Bは、ハンドル23を右に回動した状態である。なお、状態Aおよび状態Bにおいて、ハンドル23は限界まで回動されている状態であり、ブリッジ部材22とメインフレーム15との間に設けられるハンドルストッパー(不図示)により、ハンドル23の最大回動範囲が制限されている。
また、状態Aおよび状態Bにおいて、ハンドル23を回動していない状態での、ハンドル23、リテーナー52aおよび接続チューブ51を二点鎖線で示している。
状態Aにおいて、ハンドル23が左に回動された場合、車両左側に設けられたハンドルホルダー23bにより、接続チューブ51の上端が右側に引っ張られる。そして、接続チューブ51は、リテーナー52aの下面より、ハンドルポスト23aの下方、ハンドルステム20a、およびヘッドパイプ14の側面近傍を通って、接続パイプ53aに接続している。
接続チューブ51には、弛みが設けられており、ハンドル23を限界まで回動した場合でも、ハンドル23の動きを規制することは無い。
これにより、インフレーター53をヘッドパイプ14の左側に配置していても、接続チューブ51の弛みにより、ハンドル23の左回動が阻害されない。
状態Bにおいて、ハンドル23が右に回動されると、ハンドルホルダー23b間の接続チューブ51が、インフレーター53を配置している左側に移動する。この場合には、接続チューブ51の弛み量が増えるのみで、接続チューブ51がハンドル23の回動を規制することが無い。また、接続チューブ51の下端に挿入された接続パイプ53aが、ヘッドパイプ14の上部に向けて延出されているので、接続チューブ51が弛んでも、弛み部分がヘッドパイプ14側に向かう。
このように、状態A,および状態Bにおいて、接続チューブ51がハンドル23の操作に影響を与えることが無い。そして、接続チューブ51により、インフレーター53とリテーナー52aとが接続されるので、ハンドルを回動した状態でもエアバッグ装置50が作動可能となる。
また、ハンドル23を回動した場合にも、ヘッドパイプ14周りに、接続チューブ51が沿うので、接続チューブ51が動くための空間を小さくできる。
そして、リテーナー52aが、ハンドルステム20aの上方であって、ハンドルステム20aの回動軸となるヘッドパイプ14の軸心L上に配置されるので、ハンドル23を回動しても、リテーナー52aが、軸心L上に存在する。
すなわち、状態Aおよび状態Bにおいて、リテーナー52aは、回転しても、位置が変わることはない。このため、ハンドル23の回動に関係なく、ハンドルステム20a上にエアバッグ52を展開可能となる。
さらに、インフレーター53とリテーナー52aを別体としているので、ハンドルホルダー23b上には、エアバッグ52を収納するリテーナー52aが配置される。これにより、インフレーター53とリテーナー52aを一体にするものを配置するよりも、リテーナー52aの上面が低い位置に配置される。
このように、ハンドルステム20aの上方において、ハンドルホルダー23b上であって、ハンドル23のグリップ部23gの間にエアバッグ52を配置するので、自動二輪車1の乗員の上半身に近い場所から、エアバッグ52を展開できる。これにより、エアバッグ52をコンパクトに構成でき、エアバッグ52内の容積を少なくできる。そして、展開に必要なガスの量を少なくし、リテーナー52aをコンパクトに構成できる。また、展開にかかる時間を短縮できる。
以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、自動二輪車1のエアバッグ装置は、インフレーター53と、インフレーター53が放出するガスによって膨張するエアバッグ52と、エアバッグ52を収納するリテーナー52aとを備える。そして、インフレーター53とリテーナーとが別体に配置し、自動二輪車1の側面視でリテーナー52aは、ハンドルステム20aの回動軸である軸心L上に設けられる。そして、自動二輪車1の上面視でインフレーター53は、ヘッドパイプ14の周囲に設けられ、リテーナー52aとインフレーター53は、接続チューブ51(ガス通路)でつながれる。
この構成によれば、リテーナー52aとインフレーター53を別体にするので、配置のために、ひとまとまりの空間を必要としない。そして、他の構成部材の間を利用して配置することができ、エアバッグ装置50の省スペース化が実現できる。
また、エアバッグ52を展開する際に、鉛直方向に展開させることができる。自動二輪車1において、ハンドルステム20aの回動軸上の開放された空間を利用するので、エアバッグ52を鉛直方向に展開できる。運転者の上半身の前方において、エアバッグ52を鉛直方向に展開させることにより、衝突時に運転者がエアバッグ52と接触するまでの時間を長くし、エアバッグ52の展開完了までに必要となる時間を長くできる。これにより、展開可能となるエアバッグの設計上の自由度を向上できる。
ハンドルステム20aの回動軸上の空間は、メーター36を見るための空間として用いられており、ハンドルステム20aの回動軸上にリテーナー52aを配置するので、インフレーター53と共に配置する場合に比べて、運転者の視界を遮る領域を小さくできる。これにより、運転に必要となる視界を確保しながら、運転者の上半身近くにエアバッグ52を配置することができる。
また、エアバッグ52の展開時の衝撃をメインフレーム15に接続するヘッドパイプ14により受けるので、リテーナー52aの向きがズレ難く、エアバッグ52を上方に展開できる。
また、リテーナー52aは、車両平面視で、ハンドル23のグリップ部23g間に設けられる。
この構成によれば、ハンドル23のグリップ部23g間の空間を利用して、エアバッグ52を展開でき、エアバッグ52のデザイン上の自由度を向上できる。
また、前輪2にブレーキを加えた場合には、ハンドル23が直進位置に戻るので、運転者の前方において、エアバッグ52を展開することができる。
また、接続チューブ51は、ヘッドパイプ14の近傍から上部を跨ぐように設けられる。
この構成によれば、接続チューブ51をヘッドパイプ14の周囲に配置して、接続チューブ51の長さを短くできる。これにより、エアバッグ52を展開するのに必要となるガスの量および、展開までにかかる時間を低減できる。また、接続チューブ51を短くできるので、エアバッグ装置50の重量を低減できる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図5は、本発明の第2の実施の形態において、インフレーターをヘッドパイプの前方に配置する構成を示す左側面図であり、図6は、本発明の第2の実施の形態において、インフレーターをヘッドパイプの後方に配置する構成を示す左側面図である。
図5に示す構成において、インフレーター53とリテーナー52aは、別体として設けられ、ガス通路部54を介して接続されている。
ガス通路部54は、インフレーター53において発生したガスをリテーナー52aに供給するものであり、リテーナー52a内においてガスがエアバッグ52内に流入する。そして、エアバッグ52が膨張することとなる。
ガス通路部54は、ハンドルポスト23aに取付けられている。ガス通路部54は、側面視において逆L字状に構成されており、下方に延出された下部54aとハンドルポスト23a上に取付けられる上部54bにより構成されている。
そして、ガス通路部54の内部には、ガス通路54cが設けられており、このガス通路54cを介して、インフレーター53からリテーナー52aにガスが供給される。
ガス通路部54の下部54aは、ハンドルポスト23aの前より、ハンドルステム20aと平行となるように前方斜め下方に延出されている。そして、下部54aの前面には、インフレーター53が取り付けられている。そして、インフレーター53の下端は、下部54aの下端に合わせて配置されており、ハンドル23を回動していない状態において、メーター36の下の空間に配置される。これにより、インフレーター53がヘッドパイプ14の周囲であって、ヘッドパイプ14の前方に配置される。
そして、ガス通路部54の上部54bは、ハンドルステム20aの回動軸と直交する平面に沿って延出されており、上部54bの上面にはリテーナー52aが取り付けられている。
ガス通路部54の上部54bの下面は、ハンドルポスト23aの上面に取付けられており、ハンドルポスト23aに、上部54bを挟んで左右のハンドル23がそれぞれ取付けられる。左右のハンドル23の下端23dはハンドルポスト23aに固設されており、ハンドルポスト23aと一体的に回動する構成となっている。
そして、ガス通路部54の上部54bが、左右のハンドル23の下端23d間に配置され、左右のハンドル23の間にリテーナー52aが配置される。
この様に、ガス通路部54は、ヘッドパイプ14の近傍から(図5に示す構成においては、前部から)、ヘッドパイプ14の上部を跨ぐように設けられている。
図6に示す構成において、インフレーター53とリテーナー52aは、別体として設けられ、ガス通路部54を介して接続されている。
そして、図5に示す構成と同様に、ガス通路部54により、インフレーター53とリテーナー52aとが接続されている。
ガス通路部54は、ハンドルポスト23aに取付けられ、ガス通路部54は、側面視において逆L字状に構成されている。そして、下方に延出された下部54aとハンドルポスト23a上に取付けられる上部54bにより構成されている。
ガス通路部54の下部54aは、ハンドルポスト23aの後ろより、ハンドルステム20aと平行となるように前方斜め下方に延出されている。そして、下部54aの後面には、インフレーター53が取り付けられている。これにより、インフレーター53がヘッドパイプ14の周囲であって、ヘッドパイプ14の後方に配置される。
ガス通路部54の上部54bは、ハンドルステム20aの回動軸と直交する平面に沿って延出されており、上部54bの上面にはリテーナー52aが取り付けられている。
また、図6に示す構成において、ガス通路部54の上部54bは、図5に示す構成と同様に、左右のハンドル23の間に配置される。そして、ガス通路部54の上部54bの上面に、リテーナー52aが配置される。これにより、左右のハンドル23の間にリテーナー52aが配置されることとなる。
また、ガス通路部54は、ヘッドパイプ14の近傍から(図6に示す構成においては後部から)、ヘッドパイプ14の上部を跨ぐように設けられている。
次に、第2の実施形態であるエアバッグ装置の、図5および図6に示す構成の作用について説明する。
まず、図5に示すエアバッグ装置50aの作用について説明する。
ハンドル23を回動した場合に、インフレーター53およびリテーナー52aがハンドル23とともに回動する。このため、インフレーター53およびリテーナー52aが、ハンドル23の動きを阻害せず、ハンドル23が回動されても、リテーナー52aは、ハンドルステム20aの回動軸上に位置する。
エアバッグ装置50aの荷重は、ハンドルポスト23a、ハンドルステム20aを介して、ヘッドパイプ14に支持され、ハンドル23の操作に与える影響が少なくなる。
また、インフレーター53をヘッドパイプ14の周囲に配置し、リテーナー52aをハンドル23の間に配置するので、インフレーター53とリテーナー52a間の距離を短くなる。さらに、ガス通路部54の下部54aの後面とハンドルステム20aの間に隙間が設けられているため、ハンドル23に取付けるスイッチ類の配線を通す空間が構成される。
さらに、インフレーター53をハンドルステム20aの前方に配置するので、インフレーター53とリテーナー52aを一体にするものを配置するよりも、リテーナー52aの上面が低い位置に配置される。
そして、インフレーター53が作動した場合には、インフレーター53により発生したガスは、ガス通路部54内に設けられたガス通路54cを通り、リテーナー52a内のエアバッグ52に供給される。リテーナー52a内のエアバッグ52は、流入したガスにより膨張する。これにより、エアバッグ52がリテーナー52aの一部を開裂し、リテーナー52aより後上方に展開する。
また、図6に示すエアバッグ装置50bにおいても、インフレーター53およびリテーナー52aが、ハンドル23の動きを阻害せず、ハンドル23が回動されても、リテーナー52aは、ハンドルステム20aの回動軸上に位置する。
ガス通路部54がハンドルポスト23aの後部に接しながら、ハンドルステム20aと平行に前下方に延出されている。このため、ハンドルステム20aとヘッドパイプ14の前方において、フロントカバー27内に大きな空間を設けられる。
エアバッグ装置50bの作動は、上述したエアバッグ装置50aと同様であり、インフレーター53により発生したガスが、ガス通路54cを通り、リテーナー52a内のエアバッグ52に供給される。エアバッグ52がリテーナー52aを割り、リテーナー52aより後上方に展開する。
インフレーター53がヘッドパイプ14の周囲で、ヘッドパイプ14の後方に設けられるため、フロンドカバー27内の配線の構成などに影響を与えることなく、エアバッグ装置50bを配置できる。
また、上記実施の形態では鞍乗り型車両として自動二輪車1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、前輪または後輪を2つ備えた3輪の鞍乗り型車両、及び4輪以上を備えた鞍乗り型車両に適用可能である。
1 自動二輪車
14 ヘッドパイプ
15 メインフレーム
20 ステアリングシャフト
20a ハンドルステム
22 ブリッジ部材
23 ハンドル
23a ハンドルポスト
23b ハンドルホルダー
23c 中央部
23d 下端
23g グリップ部
23r ライズ部
27 フロントカバー
32 ウインドスクリーン
50 エアバッグ装置
50a エアバッグ装置
50b エアバッグ装置
51 接続チューブ
52 エアバッグ
52a リテーナー
53 インフレーター
53a 接続パイプ
54 ガス通路部
54a 下部
54b 上部
54c ガス通路
55 ステー

Claims (6)

  1. インフレーター(53)と、前記インフレーター(53)が放出するガスによって膨張するエアバッグ(52)と、前記エアバッグ(52)を収納するリテーナー(52a)とを備える鞍乗り型車両のエアバッグ装置において、
    ヘッドパイプ(14)に回動可能に取り付けられるハンドルステム(20a)を有し、
    前記インフレーター(53)と前記リテーナー(52a)とが別体に配置され、
    車両側面視で前記リテーナー(52a)は、前記ハンドルステム(20a)の回動軸(L)上に設けられ、
    車両側面視で前記インフレーター(53)は、前記ヘッドパイプ(14)の周囲に取り付けられ
    前記リテーナー(52a)と前記インフレーター(53)は、前記インフレーター(53)と前記リテーナー(52a)との相対回動を許容する弛みが設けられたチューブから成るガス通路(51)でつながれており、
    前記リテーナー(52a)は、前記ハンドルステム(20a)に設けられるハンドルホルダー(23b)に取り付けられていることを特徴とする鞍乗り型車両のエアバッグ装置。
  2. 前記リテーナー(52a)は、車両平面視で、ハンドル(23)のグリップ部(23g)間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両のエアバッグ装置。
  3. 前記ガス通路(51)は、前記ヘッドパイプ(14)の近傍から上部を跨ぐように設けられていることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の鞍乗り型車両のエアバッグ装置。
  4. 前記ガス通路(51)は、前記ヘッドパイプ(14)の側部から上部を跨ぐように設けられていることを特徴とする請求項3に記載の鞍乗り型車両のエアバッグ装置。
  5. 前記ガス通路(54c)は、前記ヘッドパイプ(14)の前部から上部を跨ぐように設けられていることを特徴とする請求項3に記載の鞍乗り型車両のエアバッグ装置。
  6. 前記ガス通路(54c)は、前記ヘッドパイプ(14)の後部から上部を跨ぐように設けられていることを特徴とする請求項3に記載の鞍乗り型車両のエアバッグ装置。
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