JP6964187B2 - 鞍乗り型車両のエアバッグ装置 - Google Patents
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Description
本発明は、鞍乗り型車両のエアバッグ装置において、エアバッグ装置をコンパクトに配置しつつ、エアバッグを上方へ鉛直に展開できるようにすることを目的とする。
また、上記発明において、前記リテーナー(51)は、前記インフレーター(53)が収納される車体左右方向に延びる左右延出部(51B)と、前記ヘッドパイプ(14)の前方又は後方に配置されて前記左右延出部(51B)の端部から上方に延びるとともに前記上部延出部(51D)に接続される上方延出部(51C)とを備え、前記上部延出部(51D)は、前記ハンドル(23)の前方と後方とに跨るように配置され、前記左右延出部(51B)と前記上方延出部(51C)とは、背面視L字状に形成され、前記上方延出部(51C)と前記上部延出部(51D)とは、側面視L字状に形成されていても良い。
また、上記発明において、前記上方延出部(51C)は、前記ヘッドパイプ(14)に支持されていても良い。
また、上記発明において、リテーナーは、インフレーターが収納される車体左右方向に延びる左右延出部と、ヘッドパイプの前方又は後方に配置されて左右延出部の端部から上方に延びるとともに上部延出部に接続される上方延出部とを備え、上部延出部は、ハンドルの前方と後方とに跨るように配置され、左右延出部と上方延出部とは、背面視L字状に形成され、上方延出部と上部延出部とは、側面視L字状に形成されているので、エアバッグ装置をヘッドパイプ周りにコンパクトに配置して省スペース化を図ることができる。
また、上記発明において、上方延出部は、ヘッドパイプに支持されているので、リテーナーをヘッドパイプで強固に支持することができる。
図1は、本発明の実施形態のエアバッグ装置50を備える自動二輪車1を示す左側面図である。
図1は、後で詳述するエアバッグ52が膨張して展開した状態を示している。
自動二輪車1は、骨格となる車体フレーム10と、車体フレーム10の前端部にフロントフォーク11を介して支持された前輪2と、車体フレーム10の後部にパワーユニット12を介して支持された後輪3とを備える。自動二輪車1は、乗員が跨るようにして着座するシート13を備えたスクーター型の鞍乗り型車両である。
ヘッドパイプ14は、車体フレーム10の前端に設けられ、前輪2と同様に車幅の中央に配置される。メインフレーム15は、ヘッドパイプ14から後下方に延びる。左右一対のロアフレーム16は、メインフレーム15の下端部からそれぞれ後方に延びる。左右のリアフレーム17は、左右のロアフレーム16からそれぞれ後上がりに後方へ延びる。
ステアリングシャフト20は、ヘッドパイプ14に回動可能に支持され、ステアリングシャフト20の上端側にハンドル23が配置される。左右のフォークパイプ21は、前輪2の左右の両側に配置されて前輪2を支持する。ブリッジ部材22は、ステアリングシャフト20の下端に固定されて左右のフォークパイプ21の上部を連結する。
車両側面視において、ヘッドパイプ14は、自動二輪車1に設定される所定のキャスター角の分だけ鉛直方向に対し後傾している。ステアリングシャフト20は、ヘッドパイプ14に挿通されて支持され、車両側面視で後傾して配置される。
シート13は、リアフレーム17の上方に設けられる。シート13は、運転者が着座する前側シート13aと、同乗者が着座する後側シート13bとを一体に備える。
運転者が左右の足を置く左右一対のステップフロア25は、前側シート13aの前下方に左右一対で設けられる。
車体カバー26は、フロントカバー27、インナーカバー28、センターカバー29、アンダーカバー30、左右一対のリアサイドカバー31を備える。
フロントカバー27は、ヘッドパイプ14及びフロントフォーク11の上部を前方及び左右側方から覆う。インナーカバー28は、フロントカバー27の後縁に連続し、ヘッドパイプ14及びフロントフォーク11の上部を後方から覆う。センターカバー29は、前側シート13aの前下方に位置する。アンダーカバー30は、左右のステップフロア25の下方で車体を下方から覆う。左右のリアサイドカバー31は、シート13の下方で左右のリアフレーム17を側方から覆う。
前輪2は、上方からフロントフェンダー34で覆われ、後輪3は、上方からリアフェンダー35で覆われる。
車速等の自動二輪車1に関する情報を表示するメーター36は、ハンドル23の前方に配置される。バックミラー37は、ハンドル23に取付けられる。
車両側面視では、インナーカバー28、センターカバー29及び前側シート13aの前面によって、下方に窪む跨ぎ空間38が形成される。乗員(運転者)は、自動二輪車1に乗降する際に、跨ぎ空間38を介して自動二輪車1を跨ぐことができる。
自動二輪車1は、外部からの衝撃から乗員を保護するエアバッグ装置50を備える。エアバッグ装置50は、フロントフォーク11、ハンドル23及びヘッドパイプ14の周囲に配置されている。
エアバッグ装置50は、箱状のリテーナー51を備え、リテーナー51の内部に、エアバッグ52(図3参照)及びインフレーター53(図3参照)が配置されている。
エアバッグ52は、車体に衝撃が加わったときに、インフレーター53から放出されたガスにより、図1に示したように乗員(運転者)の前方に膨出する。
図2において、リテーナー51は、インナーカバー28の後面28aに設けられた背面視L字状に形成されたL字部51Aと、L字部51Aの上端から前方に延びてハンドルホルダー41の上方に位置する前方延出部51Dとから一体とされた中空状の部材である。リテーナー51は、例えば、金属製である。
左右延出部51Bは、車幅方向中央に配置された上方延出部51Cから他側(左側)に突出している。
上方延出部51C及び前方延出部51Dの車幅方向中央を通る中心線51e,51fは、自動二輪車1の車幅方向中央を通る車体中心線45と一致又は略一致する。ステアリングシャフト20の中心線は、車体中心線45と一致する。
ハンドル23は、中央部に下方に凹むようにハンドル凹部23aが形成されている。ハンドル凹部23aは、ハンドルホルダー41に支持されている。
インナーカバー28の後面28aには、リテーナー51の上方延出部51Cの一側(右側)に、メインスイッチ47と、燃料タンク給油部のリッド及びシートを開けるリッド・シートオープナースイッチ48とが設けられている。このように、リテーナー51の上方延出部51Cに対して、左右延出部51Bと、メインスイッチ47及びリッド・シートオープナースイッチ48とを車体の左右方向に分けて配置することで、車体前部のスペースを効果的に利用できる。
ハンドルホルダー41は、ステアリングシャフト20の上端に取付けられたベース部材61と、ベース部材61に支持されたホルダー本体62とから構成される。
ホルダー本体62は、ベース部材61に設けられた左右一対のロアホルダー63と、左右のロアホルダー63の上部にそれぞれ一対のボルト64で締結された左右一対のアッパーホルダー65とからなる。ハンドル23は、左右のロアホルダー63と左右のアッパーホルダー65との間に挟持されて固定される。
詳しくは、左右延出部51Bは、ヘッドパイプ14及びステアリングシャフト20よりも後方からヘッドパイプ14及びステアリングシャフト20の側方(左側方)まで延びている。左右延出部51B内には、インフレーター53が設けられ、インフレーター53は、車両側面視でヘッドパイプ14と重なるように配置されている。
上方延出部51Cは、ヘッドパイプ14、ステアリングシャフト20及びハンドルホルダー41の後方に配置される。
このように、前方延出部51Dをハンドルホルダー41よりも上方に配置することで、前方延出部51Dをより高く配置できる。これにより、前方延出部51Dの周囲に、エアバッグ52の展開を邪魔するものが無く、エアバッグ52を上方へ且つ鉛直に展開しやすくすることができる。また、前方延出部51Dの前後方向の配置自由度を増すことができ、開口51hの位置設定に融通が効くため、エアバッグ52の車体前後方向の展開位置の自由度を増すことができる。
左右延出部51B、上方延出部51C及び前方延出部51Dには、インフレーター53に取付けられたエアバッグ52が折り畳まれた状態で収納されている。このように、エアバッグ52を左右延出部51B、上方延出部51C及び前方延出部51Dに亘って収納することで、左右延出部51B、上方延出部51C及び前方延出部51Dのそれぞれの厚さを薄くできる。
前方延出部51Dの上壁51gの前部には、開口51hが形成され、上壁51gに開口51hを塞ぐ蓋部材54が取付けられている。蓋部材54は、エアバッグ装置50の一部を構成し、リテーナー51とは別体にされている。蓋部材54は、例えば、樹脂製又は金属製である。エアバッグ52は、開口51hから上方へ且つ鉛直に展開される。
自動二輪車1は、外部からの衝撃を検知する加速度センサ(不図示)を備える。この加速度センサは、制御部(不図示)に電気的に接続されている。制御部は、インフレーター53に電気的に接続され、検知された加速度に基づいてエアバッグ装置50の作動及び非作動を制御する。
図4及び図5に示すように、リテーナー51の左右延出部51Bは、車幅方向中央に位置する上方延出部51Cの側部(左の側部)から斜め前方に湾曲する湾曲部51jと、湾曲部51jの端部から側方斜め前方に延びる斜め延出部51kとからなる。
このように左右延出部51Bに湾曲部51jを設けることで、左右延出部51Bと上方延出部51Cとをスムーズに接続することができる。これにより、エアバッグ52をリテーナー51内でスムーズに移動させることができ、ひいては、エアバッグ52をスムーズに展開させることができる。
上方延出部51Cの後壁51nは、左右延出部51Bの後壁51pと連続している。
前方延出部51Dは、上方延出部51Cと車幅方向の幅が同一とされて、上方延出部51Cの上端部から前方に延びる上部接続部51qと、上部接続部51qの前端から車幅方向に一旦広がるように前方に延びる上部拡幅部51rとを備える。
蓋部材54は、車幅方向中央を車両前後方向に延びる脆弱部54aを備える。脆弱部54aは、例えば、蓋部材54の内面に設けられる溝部である。蓋部材54は、展開するエアバッグ52から作用する押圧力によって脆弱部54aに亀裂が生じて開く。
左右延出部51Bの上壁51tと、上方延出部51Cの左右延出部51B側の側壁51yとの隅部には、曲面状の屈曲部51vが形成されている。
また、上方延出部51Cの前壁51mと前方延出部51Dの下壁51zとの隅部には、曲面状の屈曲部51wが形成されている。
ハウジング53aは、後部に、左右延出部51B内に配置されてインフレーター53で発生するガスを放出する有底筒状のガス放出部53cを備える。ガス放出部53cは、周縁部にガスが放出される複数のガス放出口53dを備える。ガス放出部53cの軸線53eは、前側よりも後側が、車幅方向外側に配置されるとともに下方に配置されるように車両前後方向に対して傾いている。
エアバッグ52は、リテーナー51の左右延出部51B、上方延出部51C及び前方延出部51Dにより形成されたエアバッグ収納空間70に収納されている。
図1において、自動二輪車1に外部(例えば、車両前方)から衝撃が作用すると、その衝撃により車体に発生する加速度が加速度センサによって検知される。
図4及び図5において、検知された加速度が、所定値以上である場合には、制御部は、インフレーター53を作動させてエアバッグ52内にガスを放出させる。
ガスは、複数のガス放出口53dから径方向外側に向かって放射状に放出される。
このとき、インフレーター53から左右方向の一方(右方)に放出されたガスは、矢印G1に示すように、左右延出部51Bから直接に上方延出部51Cに向かい、左右方向の他方(左方)に放出されたガスは、矢印G2に示すように、左右延出部51Bの側壁51xに向かった後に側壁51xによってUターンして上方延出部51Cに向かう。
そして、ガスは、矢印G5に示すように、上方延出部51Cを上方へ向かい、前方延出部51Dに至る。(この後、ガスは、前方延出部51Dから矢印G5に示すように、開口51hを通じてエアバッグ52を鉛直上方に押し出す。)
リテーナー51は、展開するエアバッグ52の移動が、左右方向から上方向に変わる部分の隅部に曲面状の屈曲部51v、上方向から前方向に変わる部分の隅部に曲面状の屈曲部51wを備える。このため、エアバッグ52が屈曲部51v,51wに沿ってスムーズに向きを変えられるため、エアバッグ52をスムーズに展開させることができる。
また、図3に示したように、蓋部材54は、ハンドル23を支持するためにヘッドパイプ14に回動可能に支持されたステアリングシャフト20の軸線20aの延長線20b上に配置される。
この構成によれば、エアバッグ52を乗員(運転者)に近い位置で上方に且つ鉛直に展開させることができる。
この構成によれば、エアバッグ装置50をコンパクトに配置して省スペース化を図ることができる。
この構成によれば、左右延出部51Bから上方延出部51C、上方延出部51Cから前方延出部51Dへ向かうエアバッグ52をそれぞれ曲面状の屈曲部51v,51wで受けることで、エアバッグ52をスムーズに上方へ移動させることができる。これにより、エアバッグ52を効率良く上方へ展開できる。
また、図3に示したように、上方延出部51Cは、ステー66を介してヘッドパイプ14に支持されているので、リテーナー51をヘッドパイプ14で強固に支持することができる。
上記実施形態において、図3に示したように、前方延出部51Dを、ハンドル23の上方に離れて配置したが、これに限らず、前方延出部51Dをハンドル23(詳しくは、ハンドル23の中央部)の上に載せても良く、要は、ハンドル23よりも上方に前方延出部51Dが配置されていれば良い。
また、上方延出部51Cを、ヘッドパイプ14の後方に配置したが、これに限らず、上方延出部51Cを、ヘッドパイプ14の前方に配置しても良い。
この場合、前方延出部51Dを、上方延出部51Cの上端から前方又は後方にL字形になるように延ばしても良い。前方延出部51Dを、上方延出部51Cの上端から後方にL字形になるように延ばす場合は、前方延出部51Dは、ハンドル23の前方と後方とに跨るように配置され、ハンドル23から上方に離れるか、又はハンドル23の上に載っていても良い。
また、インフレーター53をヘッドパイプ14の側方に配置したが、これに限らない。例えば、インフレーター53をヘッドパイプ14より車両前方に配置しても良い。また、インフレーター53をヘッドパイプ14よりも上方のステアリングシャフト20の側方に配置しても良い。
本発明は、自動二輪車1に適用する場合に限らず、自動二輪車1以外も含む鞍乗り型車両にも適用可能である。なお、鞍乗り型車両とは、車体に跨って乗車する車両全般を含み、自動二輪車(原動機付き自転車も含む)のみならず、ATV(不整地走行車両)に分類される三輪車両や四輪車両を含む車両である。
14 ヘッドパイプ
20 ステアリングシャフト
20a 軸線
23 ハンドル
50 エアバッグ装置
51 リテーナー
51B 左右延出部
51C 上方延出部
51D 前方延出部(上部延出部)
51h 開口
51v,51w 屈曲部
52 エアバッグ
53 インフレーター
54 蓋部材
Claims (5)
- インフレーター(53)と、前記インフレーター(53)から放出されるガスによって膨張するエアバッグ(52)と、前記エアバッグ(52)を収納するリテーナー(51)とを備え、前記リテーナー(51)の開口(51h)から前記エアバッグ(52)を上方に展開する鞍乗り型車両のエアバッグ装置において、
前記インフレーター(53)は、ヘッドパイプ(14)の側方に配置され、
前記リテーナー(51)は、前記ヘッドパイプ(14)の上方に位置するハンドル(23)よりも上方に配置される上部延出部(51D)を備え、
前記リテーナー(51)は、前記インフレーター(53)が収納される車体左右方向に延びる左右延出部(51B)と、前記ヘッドパイプ(14)の前方又は後方に配置されて前記左右延出部(51B)の端部から上方に延びるとともに前記上部延出部(51D)に接続される上方延出部(51C)とを備え、前記上部延出部(51D)は、前記ハンドル(23)の前方と後方とに跨るように配置され、前記左右延出部(51B)と前記上方延出部(51C)とは、背面視L字状に形成され、前記上方延出部(51C)と前記上部延出部(51D)とは、側面視L字状に形成されていることを特徴とする鞍乗り型車両のエアバッグ装置。 - 前記上部延出部(51D)は、前記開口(51h)を備え、前記開口(51h)が蓋部材(54)で塞がれていることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両のエアバッグ装置。
- 前記蓋部材(54)は、前記ハンドル(23)を支持するために前記ヘッドパイプ(14)に回動可能に支持されたステアリングシャフト(20)の軸線(20a)の延長線上に配置されることを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両のエアバッグ装置。
- 前記左右延出部(51B)と前記上方延出部(51C)との隅部に曲面状の屈曲部(51v)が形成され、前記上方延出部(51C)と前記上部延出部(51D)との隅部に曲面状の屈曲部(51w)を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のエアバッグ装置。
- 前記上方延出部(51C)は、前記ヘッドパイプ(14)に支持されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のエアバッグ装置。
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