JP5317793B2 - 二輪車用エアバック装置 - Google Patents

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本発明は、自動二輪車に搭載される二輪車用エアバッグ装置に関し、特に、対象物に接触した場合に車両の前方に展開するエアバックを有する二輪車用エアバッグ装置に関する。
自動二輪車に搭載される二輪車用エアバッグ装置については、様々な構造が提案されている。例えば、特許文献1の図1に示されるように、二輪車両が対象物に接触した場合に、二輪車の外側に向けた複数個所でエアバックを膨出展開させ、乗員及び車両が対象物より受ける力を和らげることを可能とする二輪車用エアバッグ装置が提案されている。
特開2008−183913号公報
しかしながら、上述した構成によれば、二輪車が走行中に四輪車等の他の対象物に接触し、二輪車の前方に向かってエアバックが展開する場合に、特許文献1のものでは、対象物からエアバックが受ける力を受け止める部材がないため、対象物と車両の間に展開したエアバックが左右などに動いてしまい、対象物からの外力をエアバックにて吸収することができないことが考えられる。
本発明は上記事情に鑑みて提案されたもので、対象物との接触時において車両の前方に展開するエアバックが対象物からの外力を有効に吸収することが可能となる二輪車用エアバック装置をすることを目的とする。
上記目的を達成するため請求項1の二輪車用エアバック装置は、前方側より、前輪(WF)、ステアリング(7)を回動自在に支持するヘッドパイプ(2a)、乗員が乗車するシート(9)、後輪(WR)が配設される二輪車両に対して、車両に印加される加速度を検知する加速度センサ(50)と、エアバックを膨張させるインフレータと、前記加速度センサ(50)からの検知信号が所定値を超えた場合に前記インフレータを作動させる制御部(55)を備えたエアバック装置において、次の構成を含むことを特徴としている。
前記ヘッドパイプ(2a)の前方かつ下方、さらに前記前輪(WF)の上方で囲まれる空間内で、前記車両側に固定された支えプレート(20)に対して展開可能な第1のエアバック(30)を備える。
請求項2は、請求項1の二輪車用エアバック装置において、前記車両側に固定されると共に車両の前方に向かって延出する支えプレート(20)を備え、前記第1のエアバック(30)は、前記支えプレート(20)の下方と前記前輪(WF)との間に設けられている。
請求項3は、請求項2の二輪車用エアバック装置において、前記支えプレート(20)は、前記ステアリング(7)よりも前方に配置されたことを特徴としている。
請求項4は、請求項2又は請求項3の二輪車用エアバック装置において、前記支えプレート(20)よりも乗員側に第2のエアバック(40)を設けたことを特徴としている。
請求項5は、請求項4の二輪車用エアバック装置において、前記制御部(55)は、前記加速度センサ(50)からの出力値が所定値を超えた場合に、前記第1のエアバック(30)を先に膨張させた後、前記第2のエアバック(40)を膨張させることを特徴としている。
請求項6は、請求項2の二輪車用エアバック装置において、前記支えプレート(20)は、ヘッドパイプ(2a)に取り付けられたことを特徴としている。
請求項7は、請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載の二輪車用エアバック装置において、前記支えプレート(20)は、車両の前方に装着されるカバー部材(10)により覆われていることを特徴としている。
請求項8は、請求項6又は請求項7の二輪車用エアバック装置において、前記支えプレート(20)は、前記ヘッドパイプ(2a)の近傍では他の部分より幅狭に形成されたことを特徴としている。
請求項1の構成によれば、二輪車が対象物に接触した時に、第1のエアバック(30)がヘッドパイプ(2a)の前方かつ下方、さらに前記前輪(WF)の上方で囲まれる空間内で膨張して展開する。
請求項2の構成によれば、支えプレート(20)の下方と前輪(WF)との間で第1のエアバッグ(30)が膨張して展開する。したがって、第1のエアバック(30)を介して接触した対象物(60)の外力を支えプレート(20)にて有効に受け止めることが可能となるので、車両前方に展開するエアバック(30)を有効に機能させることが可能となる。
請求項3の構成によれば、支えプレート(20)をステアリング(7)よりも前方に配置することで、二輪車が接触した対象物(60)に対して適した位置に第1のエアバック(30)を展開させることができ、第1のエアバック(30)を介して接触した対象物(60)の外力を支えプレート(20)にて受け止めることが可能となる。
請求項4の構成によれば、二輪車が対象物に接触した時に、支えプレート(20)の下方と前輪(WF)との間で第1のエアバッグ(30)が膨張して展開し、支えプレート(20)と乗員(70)との間で第2のエアバック(40)が膨張して展開する。
したがって、乗員(70)が第2のエアバック(40)を押す荷重は第1のエアバック(30)を介して接触した対象物(60)に伝達されるので、対象物(60)が受け面となることで、乗員(70)が持っているエネルギーを第2のエアバック(40)で吸収することが可能となり、荷重が二輪車(1)に伝達されることで生じるピッチング(車体がノーズダイブとなり後輪が浮き上がる現象)を抑制することが可能となる。
請求項5の構成によれば、第1のエアバック(30)を先に膨張させた後、第2のエアバック(40)を膨張させることで、二輪車(1)に対して大きな外力が印加された時に前もってピッチングを抑え込むことを可能とし、乗員(70)が持っているエネルギーを第2のエアバック(40)で効率良く吸収することが可能である。
請求項6の構成によれば、支えプレート(20)をヘッドパイプ(2a)に取り付けたことで、二輪車が接触した対象物(60)に対して適した位置に第1のエアバック(30)を展開させることができ、第1のエアバック(30)を介して接触した対象物(60)の外力を支えプレート(20)にて受け止めることが可能となる。
請求項7の構成によれば、支えプレート(20)をカバー部材(10)で覆うことにより、外観性向上を図りつつ車両のピッチングを抑えることが可能となる。
請求項8の構成によれば、支えプレート(20)をヘッドパイプ(2a)の近傍で幅狭とすることで、ヘッドパイプ(2a)に対して回動するステアリング(7)のステアリング角を確保することが可能となる。

本発明の一実施形態に係る二輪車用エアバック装置を備えた二輪車の外観を示す側面説明図である。 (a)及び(b)は本発明の二輪車用エアバック装置の構成部材である支えプレートを支持する構造を説明するための図であり、(a)は自動二輪車の一部分を示す平面構造説明図、(b)は自動二輪車の一部分を示す一部断面説明図である。 (a)〜(c)は本発明の二輪車用エアバック装置を構成する第1のエアバック及び第2のエアバックの展開動作を説明するための模式図である。
以下、本発明の二輪車用エアバック装置の実施形態の一例について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る二輪車用エアバッグ装置を備えた自動二輪車1の左側面図であり、前方側より、前輪、ステアリング、乗員が乗車するシート、後輪が配設されている。図2(a)は、二輪車用エアバック装置が搭載された自動二輪車のステアリング位置周辺の平面構造説明図、図2(b)はステアリング位置周辺の一部分を拡大した一部断面説明図である。
自動二輪車(二輪車)1は、車体の左右に振り分けて配置される一対の部材同士を先端部で接合して形成されるメインフレーム2を有し、メインフレーム2の先端側に設けたヘッドパイプ2aにステアリングステム3が回動自在に装着されている。ステアリングステム3の上端及び下端には、トップブリッジ4及びアンダーブリッジ5の中央がそれぞれ支持されている。トップブリッジ4の両側位置には、左右一対のフロントフォーク6の上端がそれぞれ固定されるとともに、左右一対のフロントフォーク6はアンダーブリッジ5の両側位置を貫通するように装着されている。
各フロントフォーク6の上部には、それぞれ外側に延設してステアリングを構成するハンドルバー7が取り付けられている。フロントフォーク6の下部には、前輪WFが軸支され、ヘッドパイプ2aに対するステアリング(ステアリングステム3及びハンドルバー7等)の回動により前輪WFが操舵される。
メインフレーム2の中央付近には、湾曲して上方に延びる後端を有するシートレール8が接合されている。メインフレーム2の上には、燃料タンク18が配置され、前記シートレール8の上には、乗員シート9が配置されている。ステアリングステム3の前部および側部およびメインフレーム2の前部はフロントカウル(カバー部材)10で覆われ、前記シートレール8の上部および側部はリヤカウル11で覆われている。
ステアリングステム3及びトップブリッジ4の前方でフロントカウル10の内側位置には、車両メータ17が装着されている。
メインフレーム2の下方には、エンジン12が懸架されており、エンジン12の後部には、上下方向に揺動自在にスイングアーム13が枢支されている。スイングアーム13の後端には後輪WRが支持され、この後輪WRは従動スプロケット14を有しており、エンジン12の動力が変速機15を介して後輪RWに伝達される駆動チェーン16が従動スプロケット14に掛け渡されている。
ヘッドパイプ2a及びステアリングステム3の前方側には、支えプレート20が車両の前方に向かってヘッドパイプ2aに対して略直角方向に前方側に延出するように上下方向をビス21,21で固定することで車両側に固定されている。支えプレート20は、図2(a)に示すように、ヘッドパイプ2aに固定される側を細部20aとし、車両の前方に向かって面積が広い幅広形状となる支え部20bを有した略扇型形状の平板で構成されている。支えプレート20をヘッドパイプ2aの近傍で幅狭とすることで、ハンドルバー7によるステアリングの操舵を行った際に、ヘッドパイプ2aに対して回動するステアリングステム3のステアリング角を確保することが可能となる。
また、支えプレート20は、ヘッドパイプ2aに対して固定されているので、乗員によるステアリングバー7の操作があったとしても左右方向に回動することはない。
フロントカウル10内における支えプレート20の下面側には、第1のエアバック30及び第1のエアバック30を膨張させるインフレータ31が配設されている。第1のエアバック30は、インフレータ31により支えプレート20の下方と前輪WFとの間で膨張し展開するように構成されている。すなわち、前輪WFの上方に配設されるフロントフェンダの上方と、支えプレート20の下方とによって囲まれる空間において、第1のエアバック30が膨張するようになっている。
フロントカウル10内における支えプレート20の上面側には、第2のエアバック40及び第2のエアバック40を膨張させるインフレータ41が配設されている。第2のエアバック40は、インフレータ41により支えプレート20の上方と乗員シート9に乗車した乗員との間で膨張し展開するように構成されている。各インフレータ31,41は、点火装置(図示せず)を備えると共に、この点火装置の点火により高圧ガスを発生するガス発生剤を収納している。
また、支えプレート20、第1のエアバック30及び第2のエアバック40は、全てフロントカウル10内に装着されているので、良好な外観性の維持を図ることができる。
車両が対象物に接触することで車両に印加される加速度を検知する加速度センサ(Gセンサ)50は、例えば、フロントフォーク6の下端側にステー等の取付部材を介して取り付けられている。
乗車シート9の下側位置には、加速度センサ50からの検知信号が所定値を超えた場合に各インフレータ31,41を作動させる制御部55が設けられている。
第1のエアバッグ30及び第2のエアバック40の各インフレータ31,41は、加速度センサ50が所定値以上の加速度を伴う力の印加を検知したときに制御部55からの信号により、各インフレータ31,41の点火装置のガス発生剤に点火し、高圧ガスを発生するように構成されている。この高圧ガスがエアバッグに流入されることでエアバッグが膨張する。第1のエアバッグ30及び第2のエアバック40を格納したフロントカウル10内のリテーナ(筐体)は、脆弱部を含むカバーを有していて、エアバッグの膨張によってこの脆弱部からカバーが破断開放可能なように構成されている。
また、支えプレート20と乗員の間で膨張展開する第2のエアバック40は、膨張展開時において車両メータ17等の自動二輪車1に装着された部材が乗員側に飛び出さないように、エアバックの膨張展開方向が設定されている。
支えプレート20は、平板状に形成されることで、膨張展開する第1のエアバック30及び第2のエアバック40を支えるように作用する。
すなわち、第1のエアバック30が膨張展開する場合には、エアバックの一方面側が支えプレート20の下面に当接し、前輪WF側に膨張展開させることが可能である。その結果、自動二輪車1が対象物に接触した場合、支えプレート20と対象物の間で第1のエアバック30を膨張展開させることで膨張展開されたエアバックを対象物に接触させることが可能となり、対象物を第1のエアバック30の受け面として利用することが可能となる。
また、第2のエアバック40が膨張展開する場合には、エアバックの一方面側が支えプレート20の上面に当接し、乗員側に膨張展開させることが可能である。
上述の例では、支えプレート20を平板状に形成したが、膨張展開するエアバックを支えることが可能な構造であれば、格子状や開口部を有するフレーム形状のものであってもよい。
また、支えプレート20の形状は、フロントカウル10内に収納可能な大きさであり、ハンドルバー7の操作に伴うステアリングステム3の回動に支障を与えない形状であればよい。
次に、上述した構成の二輪車用エアバック装置の動作について、図3を参照しながら説明する。
自動二輪車が、例えば、四輪車の後部であるトランク部分(対象物60)に接触した場合、第1のエアバック30及び第2のエアバック40は、加速度センサ50で検知した前方からの力の印加に応答して展開する(図3(a))。すなわち、加速度センサ50の検出信号の大きさを制御部55に含まれるマイクロコンピュータで予め設定されている所定値と比較し、検出信号がこの所定値より大きい場合に、各インフレータ31,41の点火装置により点火される。その結果、第1のエアバッグ30が支えプレート20の下方と前輪WFとの間で膨張展開Aし、第2のエアバック40が支えプレート20の上方と乗員シートに乗車した乗員70との間で膨張展開Bする。
自動二輪車1が対象物60からの力の印加を受けた場合、慣性によって乗員70はおおむね対象物60の方向に移動させられる。力の印加を検知した方向において、支えプレート20と乗員70との間で膨出展開Bする第2のエアバッグ40により乗員を保護することになるが、支えプレート20の下方と前輪WFとの間で第1のエアバッグ30が膨張展開Aすることで、対象物60を第1のエアバック30の支えに利用することができ、乗員70が第2のエアバック40を押す荷重は第1のエアバック30を介して接触した対象物60に伝達される(図3(b))。そのため、荷重が自動二輪車1に伝達されることで生じるピッチングを抑制することで、車体前転挙動による乗員70のエネルギー吸収が働きにくい状況を防止し、乗員70が持っているエネルギーを第2のエアバック40の膨張展開Bで吸収することが可能となる。
また、自動二輪車1が、図3(c)に示すように、四輪車の側面部(対象物60)に接触した場合においても、図3(b)と同様に、支えプレート20の下方と前輪WFとの間で第1のエアバッグ30が膨張展開Aすることで、対象物60を第1のエアバック30の支えに利用することができ、乗員70が第2のエアバック40を押す荷重は第1のエアバック30を介して接触した対象物60に伝達される。
上述の例では、第1のエアバック30及び第2のエアバック40が加速度センサ50からの検出信号により、同時に膨張展開する構成としたが、制御部55において、加速度センサ50からの出力値が所定値を超えた場合に、第1のエアバック30を先に膨張展開させた後、所定の時間差を設けて第2のエアバック40を膨張展開させるよう各インフレータ31,41の点火時期を制御してもよい。
この制御により、第1のエアバック30を先に膨張展開させた後、第2のエアバック40を膨張展開させることで、自動二輪車1に対して大きな外力が印加された時に、先に膨張展開Aさせた第1のエアバック30により、前もってピッチングを抑え込むことを可能とし、乗員70が持っているエネルギーを第2のエアバック40の膨張展開Bで効率良く吸収することが可能である。
自動二輪車1が対象物60に接触した場合に、車両が接触した方向に向けて支えプレート20より下方の位置で第1のエアバック30を膨出展開し、支えプレート20に対して乗員側で第2のエアバック40を膨出展開することで、接触時に乗員70が持っているエネルギーに対して、膨張展開Bされた第2のエアバッグ40及び膨張展開Aされた第1のエアバック30を介して接触対象物60が受け面となり、接触時に受ける力を効果的に和らげることが可能である。
1…自動二輪車(二輪車)、 2a…ヘッドパイプ、 3…ステアリングステム、 7…ハンドルバー(ステアリング)、 9…乗員シート(シート)、 10…フロントカウル(カバー部材)、 20…支えプレート、 30…第1のエアバック、 31…インフレータ、 40…第2のエアバック、 41…インフレータ、 50…加速度センサ、 55…制御部、 60…対象物、 70…乗員、 WF…前輪、 WR…後輪。

Claims (8)

  1. 前方側より、前輪(WF)、ステアリング(7)を回動自在に支持するヘッドパイプ(2a)、乗員が乗車するシート(9)、後輪(WR)が配設される二輪車両に対して、車両に印加される加速度を検知する加速度センサ(50)と、エアバックを膨張させるインフレータと、前記加速度センサ(50)からの検知信号が所定値を超えた場合に前記インフレータを作動させる制御部(55)を備えたエアバック装置において、
    前記ヘッドパイプ(2a)の前方かつ下方、さらに前記前輪(WE)の上方で囲まれる空間内で、前記車両側に固定された支えプレート(20)に対して展開可能な第1のエアバック(30)を備えたことを特徴とする二輪車用エアバック装置。
  2. 前記車両側に固定されると共に車両の前方に向かって延出する支えプレート(20)を備え、前記第1のエアバック(30)は、前記支えプレート(20)の下方と前記前輪(WF)との間に設けられた請求項1に記載の二輪車用エアバック装置。
  3. 前記支えプレート(20)は、前記ステアリング(7)よりも前方に配置された請求項2に記載の二輪車用エアバック装置。
  4. 前記支えプレート(20)よりも乗員側に第2のエアバック(40)を設けた請求項2又は請求項3に記載の二輪車用エアバック装置。
  5. 前記制御部(55)は、前記加速度センサ(50)からの出力値が所定値を超えた場合に、前記第1のエアバック(30)を先に膨張させた後、前記第2のエアバック(40)を膨張させる請求項4に記載の二輪車用エアバック装置。
  6. 前記支えプレート(20)は、前記ヘッドパイプ(2a)に取り付けられた請求項2に記載の二輪車用エアバック装置。
  7. 前記支えプレート(20)は、車両の前方に装着されるカバー部材(10)により覆われている請求項2ないし請求項6のいずれか1項に記載の二輪車用エアバック装置。
  8. 前記支えプレート(20)は、前記ヘッドパイプ(2a)の近傍では他の部分より幅狭に形成された請求項6又は請求項7に記載の二輪車用エアバック装置。
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