JP4084592B2 - スクータ型車両におけるエアバッグ装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体の後部に設けられるシート上に座乗したライダーの足を載せるための左右一対の足載せ部を備えるスクータ型車両に関し、特に、スクータ型車両に設けられるエアバッグ装置の改良に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、たとえば特開２００１−２１９８８４号公報で開示される自動二輪車では、折り畳み状態のエアバッグが、操向ハンドルの前方に配置されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、スクータ型車両の車体は、ライダーが座乗するシートと、操向ハンドルとの間で大きく下方に窪んだ形状となっており、折り畳み状態のエアバッグが上述のように操向ハンドルの前方に配置される構成では、膨張展開したエアバッグによるライダーの拘束が不充分となる可能性がある。
【０００４】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、膨張展開したエアバッグでシート上のライダーを有効に拘束し得るようにしたスクータ型車両におけるエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項１記載の発明は、車体の後部に設けられるシートと、該シート上に座乗したライダーの足を載せるための左右一対の足載せ部を備えるスクータ型車両において、前記シート上のライダーを前方から拘束するためのエアバッグが、前記シート内から膨張展開し得るようにして前記シートの前端部内に折り畳み状態で収納されることを特徴とする。
【０００６】
このような構成によれば、ライダーが座乗したシートの前端部内からエアバッグが膨張展開するので、シート上のライダーを膨張展開したエアバッグで有効に拘束することができる。
【０００７】
また請求項２記載の発明は、上記請求項１記載の発明の構成に加えて、折り畳み状態の前記エアバッグを収納するエアバッグハウジングの開口部を覆う蓋部が、前記エアバッグの膨張展開に応じて開放することを可能として、前記シートの底板に形成されることを特徴とし、かかる構成によれば、シートを構成する底板の一部で蓋部を形成するようにして部品点数の低減を図ることができる。
【０００８】
請求項３記載の発明は、上記請求項１記載の発明の構成に加えて、前記エアバッグを前方から支持する補助エアバッグが、車体の前部に配置されるインストルメントパネル内に、折り畳み状態で収納されることを特徴とし、かかる構成によれば、膨張展開状態にあるエアバッグを、膨張展開した補助エアバッグで前方から支持することにより、シート上のライダーをシートの前端部から膨張展開したエアバッグでより効率良く拘束することができる。
【０００９】
請求項４記載の発明は、上記請求項１記載の発明の構成に加えて、折り畳み状態の前記エアバッグを収納するエアバッグハウジングが、前記エアバッグの膨張展開に応じて開放することを可能として前記エアバッグハウジングの開口部を覆う蓋部を、前記シートの着座面よりも高い位置に配置して、前記シートの前端部内に収納されることを特徴とし、かかる構成によれば、エアバッグによるライダーの腰部の拘束性を向上することができる。
【００１０】
さらに請求項５記載の発明は、上記請求項４記載の発明の構成に加えて、前記シートの前端部上面が、前記着座面よりも上方に隆起した隆起部として形成されることを特徴とし、かかる構成によれば、隆起部でライダーの腰部を抑えるようにして拘束効果をより高めることができる。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【００１２】
図１〜図４は本発明の第１実施例を示すものであり、図１はスクータ型自動二輪車の側面図、図２はシートの前端部の拡大縦断面図、図３はエアバッグが膨張展開した状態での図２に対応した断面図、図４はエアバッグおよび補助エアバッグが膨張展開した状態でのスクータ型自動二輪車の側面図である。
【００１３】
先ず図１において、このスクータ型自動二輪車の車体フレームＦは、前輪ＷＦを軸支するフロントフォーク５ならびに該フロントフォーク５に連結される操向ハンドル６を操向可能に支承するヘッドパイプ７を前端に備え、エンジンＥおよび変速機Ｍから成るパワーユニットＰが車体フレームＦの中間部に上下揺動可能に取付けられ、前記変速機Ｍの出力が伝達される後輪ＷＲがパワーユニットＰの後部に支持される。
【００１４】
前記車体フレームＦと、該車体フレームＦを覆う合成樹脂製の車体カバーＣとで車体Ｂが構成されるものであり、車体カバーＣは、ヘッドパイプ７および前輪ＷＦの上部を覆うフロントカバー８と、該フロントカバー８の左右両側に接合されてライダーの脚部前方を覆う左右一対のレッグシールド９…と、ライダーの足元を支持すべくレッグシールド９…に連なる左右一対の足載せ部１０…と、それらの足載せ部１０…間で上方に隆起したフロアトンネル部１１と、前記両足載せ部１０…の外縁から下方にそれぞれ垂下されるスカート部１２…と、車体フレームＦの後部の左右両側を覆って足載せ部１０…およびフロアトンネル部１１に接合されるリヤカバー１３とを備える。
【００１５】
リヤカバー１３上すなわち車体Ｂの後部上には、同乗者も乗せることができるピリオン型のシート１４が設けられ、該シート１４の前端部内には、エアバッグモジュール１５が設けられる。
【００１６】
図２において、エアバッグモジュール１５は、前端を開放可能としたエアバッグハウジング１６と、折り畳んだ状態でエアバッグハウジング１６に収納されるエアバッグ１７と、該エアバッグ１７を膨張展開させるためのガスを発生するインフレータ１８とを備える。
【００１７】
エアバッグハウジング１６は、前端を開放した箱形に形成される合成樹脂製のハウジング主体１９と、該ハウジング主体１９の前端開口部を覆う合成樹脂製の蓋部２０とで構成されるものであり、前記ハウジング主体１９はシート１４が備える合成樹脂製の底板１４ａに固定されてシート１４の前端部内に配設され、前記蓋部２０は、前記底板１４ａの一部により形成される。
【００１８】
エアバッグハウジング１６におけるハウジング主体の１９の後部閉塞端には、エアバッグハウジング１６に収納される支持部材２１が固定されており、該支持部材２１が備える皿状部２１ａに前記インフレータ１８が取付けられる。また折り畳んだ状態でエアバッグハウジング１６に収納されるエアバッグ１７の開口部１７ａは、前記インフレータ１８を囲むようにして前記支持部材２１の皿状部２１ａに気密に取付けられる。
【００１９】
しかもエアバッグ１６における蓋部２０の上部および両側部には脆弱部２０ａが形成され、蓋部２０の下部には蝶番部２０ｂが形成される。脆弱部２０ａは、図３で示すように、エアバッグ１７の膨張展開によって蓋部２０に作用する力によって容易に破裂し得るように形成されており、その脆弱部２０ａの破裂に応じて蓋部２０は蝶番部２０ｂを支点として開放することになる。
【００２０】
再び図１において、車体Ｂの前部すなわち車体カバーＣの前部に設けられるインストルメントパネル２４には、エアバッグモジュール２２が収納される。このエアバッグモジュール２２は、膨張展開時には図４で示すように膨張展開したエアバッグ１７を前方から支持する補助エアバッグ２３を備えるものであり、この補助エアバッグ２３は、エアバッグ１７の前方でインストルメントパネル２４内に折り畳み状態で収納される。
【００２１】
次にこの第１実施例の作用について説明すると、シート１４上のライダーを前方から拘束するように膨張展開し得るエアバッグ１７が、シート１４の前端部内に折り畳み状態で収納されるので、スクータ型自動二輪車であってもシート１４上のライダーを膨張展開したエアバッグ１７で有効に拘束することができる。
【００２２】
しかも前記エアバッグ１７を前方から支持する補助エアバッグ２３が、車体Ｂの前部に配置されるインストルメントパネル２４内に折り畳み状態で収納されているので、膨張展開状態にあるエアバッグ１７を、膨張展開した補助エアバッグ２３で前方から支持することにより、シート１４上のライダーをシート１４の前端部から膨張展開したエアバッグ１７でより有効に拘束することができる。
【００２３】
また折り畳み状態のエアバッグ１７を収納するようにしてシート１４の前端部内に設けられエアバッグハウジング１６の開口部を覆う蓋部２０が、エアバッグ１７の膨張展開に応じて開放することを可能としてシート１４の底板１４ａに形成されているので、シート１４を構成する底板１４ａの一部で蓋部２０を形成するようにして部品点数の低減を図ることができる。
【００２４】
図５は本発明の第２実施例を示すものであり、シート１４の前端部内には、前端開口部が蓋部２０′で塞がれるエアバッグハウジング１６′と、折り畳んだ状態でエアバッグハウジング１６に収納されるエアバッグ１７と、該エアバッグ１７を膨張展開させるためのガスを発生するインフレータ１８とを備えるエアバッグモジュール１５′が収納される。
【００２５】
エアバッグハウジング１６′は、シート１４とは別体に形成されて該シート１４の前端部に収納されるものであり、蓋部２０′は、エアバッグ１７の膨張展開に応じて開放することを可能としてエアバッグハウジング１６′の開口部を覆うものである。
【００２６】
しかもエアバッグハウジング１６′は、蓋部２０′を、シート１４の着座面１４ａよりも高い位置、すなわち着座面１４ａを通る水平線Ｌよりも高い位置に配置してシート１４の前端部内に収納される。
【００２７】
またシート１４の前端部上面は、着座面１４ａよりも上方に隆起した隆起部１４ｂとして形成されており、シート１４の前端部において、前記エアバッグモジュール１５′の蓋部２０′に対向する部分の一部は、エアバッグ１７の膨張展開に応じて蓋部２０′が開放するときは、膨張展開するエアバッグ１７から作用する力によって容易に破裂し得るように形成されており、それにより、図５の鎖線で示すように、着座面１４ａ上のライダーの前方へのエアバッグ１７の展開が可能となる。
【００２８】
この第２実施例によれば、膨張展開したエアバッグ１７によってライダーの腰部の拘束性を向上することができ、しかも隆起部１７ｂでライダーの腰部を抑えるようにして拘束効果をより高めることができる。
【００２９】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【００３０】
たとえば上記第１実施例のスクータ型自動二輪車では左右一対の足載せ部１０…間にフロアトンネル部１１が配置されていたが、フロアトンネル部が設けられていないスクータ型自動二輪車にも本発明を適用することが可能であり、また本発明をスクータ型自動三輪車に適用することも可能である。
【００３１】
【発明の効果】
以上のように請求項１記載の発明によれば、シート上のライダーを膨張展開したエアバッグで有効に拘束することができる。
【００３２】
また請求項２記載の発明によれば、シートを構成する底板の一部で蓋部を形成するようにして部品点数の低減を図ることができる。
【００３３】
請求項３記載の発明によれば、シート上のライダーをシートの前端部から膨張展開したエアバッグでより効率良く拘束することができる。
【００３４】
請求項４記載の発明によれば、エアバッグによるライダーの腰部の拘束性を向上することができる。
【００３５】
さらに請求項５記載の発明によれば、隆起部でライダーの腰部を抑えるようにして拘束効果をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】第１実施例のスクータ型自動二輪車の側面図である。
【図２】シートの前端部の拡大縦断面図である。
【図３】エアバッグが膨張展開した状態での図２に対応した断面図である。
【図４】エアバッグおよび補助エアバッグが膨張展開した状態でのスクータ型自動二輪車の側面図である。
【図５】第２実施例のシート付近の側面図である。
【符号の説明】
１０・・・足載せ部
１４・・・シート
１４ａ・・・底板
１４ｂ・・・着座面
１４ｃ・・・隆起部
１６，１６′・・・エアバッグハウジング
１７・・・エアバッグ
２０，２０′・・・蓋部
２３・・・補助エアバッグ
２４・・・インストルメントパネル
Ｂ・・・車体

Claims (5)

1. 車体（Ｂ）の後部に設けられるシート（１４）と、該シート（１４）上に座乗したライダーの足を載せるための左右一対の足載せ部（１０）を備えるスクータ型車両において、前記シート（１４）上のライダーを前方から拘束するためのエアバッグ（１７）が、前記シート（１４）内から膨張展開し得るようにして前記シート（１４）の前端部内に折り畳み状態で収納されることを特徴とするスクータ型車両におけるエアバッグ装置。
2. 折り畳み状態の前記エアバッグ（１７）を収納するエアバッグハウジング（１６）の開口部を覆う蓋部（２０）が、前記エアバッグ（１７）の膨張展開に応じて開放することを可能として、前記シート（１４）の底板（１４ａ）に形成されることを特徴とする請求項１記載のスクータ型車両におけるエアバッグ装置。
3. 前記エアバッグ（１７）を前方から支持する補助エアバッグ（２３）が、車体（Ｂ）の前部に配置されるインストルメントパネル（２４）内に、折り畳み状態で収納されることを特徴とする請求項１記載のスクータ型車両におけるエアバッグ装置。
4. 折り畳み状態の前記エアバッグ（１７）を収納するエアバッグハウジング（１６′）が、前記エアバッグ（１７）の膨張展開に応じて開放することを可能として前記エアバッグハウジング（１６′）の開口部を覆う蓋部（２０′）を、前記シート（１４）の着座面（１４ｂ）よりも高い位置に配置して、前記シート（１４）の前端部内に収納されることを特徴とする請求項１記載のスクータ型車両におけるエアバッグ装置。
5. 前記シート（１４）の前端部上面が、前記着座面（１４ｂ）よりも上方に隆起した隆起部（１４ｃ）として形成されることを特徴とする請求項４記載のスクータ型車両におけるエアバッグ装置。

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