JP2011072306A - トマト加工品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フルーティーさを備えた濃縮トマト等のトマト加工品に関し、香気成分的アプローチもしくは製法的アプローチの観点から消費者の求めるトマト加工品を得られるようにする。
【解決手段】トマト加工品は、揮発性成分を固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法により測定した際に、成分(A)6−メチル−5−ヘプテン−2−オン、成分(B)2−イソブチルチアゾール、及び成分(C)フルフラール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド及びジメチルトリスルフィドの少なくとも一種が、測定結果を出力したチャートの積分面積比で成分(A)100に対し、成分(B)を3〜50、成分(C)を20〜200となる割合で含有する。このトマト加工品は、生ホールトマト又は粗切り生トマトを70℃〜120℃に湿熱加熱処理した後、粉砕し、ブリックスが9〜21%の範囲になるまで、35〜85℃で減圧濃縮処理することにより製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、湿熱加熱処理済みのホールトマト又は粗切りトマトを濃縮して得た濃縮トマト等のトマト加工品及びその製造方法に関する。
濃縮トマトは、還元トマトジュースのベースとして、トマトケチャップ、チリソース等の種々のトマトソースのベースとして、あるいは様々のトマトを主体とする料理のベースとして広く使用されており、一般に、生トマトを破砕して搾汁し又は裏ごしし、皮や種を取り除いた後に減圧濃縮処理、逆浸透膜処理、凍結濃縮処理などを施すことにより得られている。
ところで、近年、消費者のトマトに対する嗜好の高まりに連れ、トマト関連市場の拡大が著しい。このため、従来の濃縮トマトでは、このようなトマト関連市場での様々の要求に応えられない場合が生じるようになってきた。具体的には、青臭さが伴う通常の完熟生トマトを普通に調理しただけでは得られないようなフルーティーさが際だったトマト料理が求められているが、前述したような処理ではフルーティーな濃縮トマトは得られず、また、青臭さが伴う通常の完熟生トマトを熟達したシェフが加熱調理したとしても、トマトの旨味を凝縮させることができる反面、青臭さだけでなくフルーティーさも失われてしまうという問題がある。
そこで、そのようなフルーティーさを備えた濃縮トマトを取得することに関し、消費者に求められているものを選別するという意味で香気成分的アプローチと、そのようなものを製造するという製法的アプローチとが考えられている。
香気成分的アプローチの一例としては、トマトペースト揮発物をキャピラリGC−MS分析し、香気成分の同定と個々の香気成分の香調の特定とを行うことが報告されている。この場合、分析チャートにおいて、好ましいトマトペーストの香気成分パターンを標準香気パターンとして記録しておき、複数のトマトペーストサンプルのうちのどれが標準香気パターンと酷似する香気パターンを有するかという観点で好ましいトマトペーストを選別可能と考えられる。
また、製法的アプローチの一例としては、生トマトのフレッシュな香気が引き立ったトマトピューレーを製造する方法として、トマト果実を洗浄し、破砕したものを、30〜50℃/分の加熱速度で60〜70℃まで予備加熱した後、減圧濃縮する方法が提案されている(非特許文献1)。
特開2003−179
J. Agric. Food Chem. 1990, 38, 336-340.
しかしながら、非特許文献1の場合、現実問題として全く同じ香気パターンを有するものはないため、トマトペーストそのものとしては官能的に好ましいと評価できるものであっても、標準香気パターンと大きく相違する香気パターンを有する場合があり、香気成分的アプローチそのものの有効性が疑問視されていた。また、特許文献1に開示の製造方法の場合、ある程度のフルーティーさを保持することができたが、青臭さが強く残り、求めるフルーティーさを呈する濃縮トマトが依然として得られないという問題があった。
本発明の目的は、以上の従来の問題点を解決しようとするものであり、フルーティーさを備えた濃縮トマト等のトマト加工品に関し、香気成分的アプローチもしくは製法的アプローチの観点から消費者の求めるトマト加工品を得られるようにすることである。
本発明者らは、トマト加工品の総合的な香りが、フルーティーさを示す香気成分の存在の有無・存在量の程度だけに依存するのではなく、様々な香調の香気成分が複合的に嗅覚に作用することにより生ずることを前提として、トマト加工品の香りの評価指標を種々探索した。その結果、トマト加工品の香りを、フルーティーさを示す全ての香気成分ではなく、特定のフルーティー香気成分の一種と、フルーティー香をマスキングする特定の青臭さ香気成分と特定の加熱香気成分という限られた香気成分の量的バランスとして把握できることを見出した。
また、トマト加工品の青臭さは、生トマトを細断又は破砕したときから、酵素を失活させる温度にまで加熱するまでの間に自己分解酵素により生ずることから、濃縮トマトなどのトマト加工品の製造において従来行われていなかった生ホールトマトの湿熱加熱処理を行うことにより青臭さの発生を防止した上で、このホールトマトを粉砕して、特定温度での減圧濃縮処理をすることにより、特定のフルーティー香気成分の一種と、フルーティー香をマスキングする特定の青臭さ香気成分と、特定の加熱香気成分との間のフレーバーバランスを改善することにより、青臭さ香の発生を防止でき、フルーティー香を際立せることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の成分(A)〜(C):
(A)6−メチル−5−ヘプテン−2−オン;
(B)2−イソブチルチアゾール; 及び
(C)フルフラール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド及びジメチルトリスルフィドの少なくとも一種
を含有するトマト加工品であって、揮発性成分を固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法(SPME−GC−MS法)により測定した際に、成分(A)〜(C)が、測定結果を出力したチャートの積分面積比で成分(A)100に対し、成分(B)を3〜50、成分(C)を20〜200となる割合で含有することを特徴とするトマト加工品を提供する。
また、本発明は、上述のトマト加工品の製造方法であって、生ホールトマト又は粗切り生トマトを70℃〜120℃に湿熱加熱処理した後、粉砕し、ブリックスが9〜21%の範囲になるまで、35〜85℃で減圧濃縮処理することを特徴とするトマト加工品の製造方法を提供する。
本発明のトマト加工品は、フルーティー香を示す成分(A)として6−メチル−5−ヘプテン−2−オンを、青臭さ香を示す成分(B)として2−イソブチルチアゾールを、そして加熱香を示す成分(C)としてフルフラール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド及びジメチルトリスルフィドの少なくとも一種を含有する。しかも、成分(A)、(B)及び(C)を所定の割合で含有する。従って、フルーティーさが際立ち、適度に青臭さ香と加熱香とを感じさせるものである。よって、トマト加工品として総合的に好ましいフルーティーさを備えたものとなる。
また、本発明のトマト加工品の製造方法においては、生ホールトマト又は粗切り生トマトに対し、それらを細断し又は破砕する前に、ブランチング処理や蒸し加熱処理などの湿熱加熱処理が施される。従って、本発明のトマト加工品の製造方法によれば、過度の青臭さや加熱香臭さが発現することはなく、フルーティーさが際立ち、しかも適度に青臭さ香と加熱香とを感じさせ、総合的に好ましいフルーティーさを呈するトマト加工品を製造することができる。
以下、本発明のトマト加工品について詳細に説明する。
本発明のトマト加工品は、以下の成分(A)〜(C)を含有し、揮発性成分を固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法(SPME−GC−MS法)により測定した際に、測定結果を出力したチャートの積分面積比で成分(A)100に対し、成分(B)を3〜50、成分(C)を20〜200となる割合で含有するものである。
(A)6−メチル−5−ヘプテン−2−オン;
(B)2−イソブチルチアゾール; 及び
(C)フルフラール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド及びジメチルトリスルフィドの少なくとも一種。
本発明において、これらの成分(A)、(B)及び(C)に着目した理由は、これらのフレーバーバランスを考慮することにより、トマト加工品としての総合的なフルーティーさの評価が可能となるからである。
なお、成分(A)、(B)及び(C)並びに多くの成分が共存する中で、それぞれの成分を固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法(SPME−GC−MS法)で同定・測定するにあたり、定量イオン種の選定は、質量スペクトルチャートにおいてそれぞれの化合物の特有の複数のフラグメントイオンの中から、信頼性のある積分面積比の算出が困難になるほど成分(A)、(B)及び(C)のピークと他の成分のピークが接近しておらずあるいは重複しておらず、しかもできるだけ高強度かつ高質量のイオン種を優先的に選定することにより行う。本発明においては、以下の質量(m/z値)の定量イオン種を選択することが好ましい。
成分(A)6−メチル−5−ヘプテン−2−オン 定量イオン質量 m/z43
成分(B)2−イソブチルチアゾール 定量イオン質量 m/z99
成分(C)フルフラール 定量イオン質量 m/z96
ジメチルスルフィド 定量イオン質量 m/z62
ジメチルジスルフィド 定量イオン質量 m/z94、及び
ジメチルトリスルフィド 定量イオン質量 m/z126
以下、各成分毎に詳細に説明する。
成分(A)は、フルーティー様、あるいはグリーン様の香りを示す成分であり、本発明においてはフルーティー香を示す数多くの香気成分の中から6−メチル−5−ヘプテン2−オンに着目する。これは、種々のトマト加工品に必ずその閾値(50ppb)以上の量で含有されており、最終的に得られるトマト加工品としての好ましいフルーティーさに直結する香りだからである。
成分(B)は、強い青葉様の香りを示す成分であり、本発明においては青臭さ香を示す数多くの成分から2−イソブチルチアゾールに着目する。これは、種々のトマト加工品に必ずその閾値(2〜3.5ppb(文献により異なる))以上の量で含有されており、青臭さ香の指標として官能的な評価と一致するからである。
成分(C)は、糖とアミノ酸の反応により生じる食品の加熱香を示す成分であり、本発明においては加熱香を示す数多くの成分からフルフラール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド及びジメチルトリスルフィドに着目する。これらの少なくとも一種は、種々のトマト加工品に必ずその閾値(0.33〜3000ppb(成分によって異なる))以上の量で含有されており、加熱香の指標として官能的な評価と一致するからである。
本発明のトマト加工品においては、上述の成分(A)〜(C)について、その揮発性成分を固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法(SPME−GC−MS法)により測定した際に、測定結果を出力したチャートの積分面積比で成分(A)100に対し、成分(B)を3〜50、好ましくは5〜30、成分(C)を20〜200、好ましくは30〜150となる割合で含有する。
成分(A)100に対し、成分(B)が前記範囲より低い割合であるとフレッシュ感がなくなり、前記範囲より高い割合であるとフルーティー香に比べて青臭さ香を強く感じ、総合的に好ましいフルーティーさを備えたトマト加工品が得られないので好ましくない。また、成分(C)が前記範囲より低い割合であると香りの複雑な奥行きがないものとなり、前記範囲より高い割合であるとフルーティー香に比べて加熱香を強く感じ、総合的に好ましいフルーティーさを備えたトマト加工品が得られなくなり、好ましくない。
なお、本願発明のトマト加工品は、成分(C)として、フルフラール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド及びジメチルトリスルフィドの少なくとも一種を含有すればよいが、成分(C)の積分面積比を求めるに際しては、フルフラール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド及びジメチルトリスルフィドのうちの任意の化合物についてのみ積分面積比を求めるのではなく、これらの4つの化合物のうち測定された化合物全てについて積分面積比を求め合算することが必要である。
本発明において、成分(A)〜(C)の揮発性成分の測定は、精度と再現性が良好な分析法として知られている固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法(SPME−GC−MS法)で行う。また、揮発性成分の配合割合は、測定結果を出力したチャートの積分面積比で行う。
なお、本発明のトマト加工品においては、以上の成分(A)〜(C)以外の他の香気成分を含有してもよい。
本発明のトマト加工品の具体的な形態としては、日本農林規格で規定されているトマトジュース、トマトミックスジュース、トマトピューレー、トマトペースト又はトマトソース等を挙げることができるが、それらに限定されるものではなく、トマトを主原料とする飲食品であって、前述の成分(A)〜(C)を所定の割合で含有するものが挙げられる。
本発明のトマト加工品は、以下に説明するように製造することができる(工程(a)〜(c))。
工程(a)
まず、生ホールトマト又は粗切り生トマトを湿熱加熱処理する。湿熱加熱処理することにより、トマト中の酵素を失活させ、過度に青臭さ香が生ずることを防止することができる。また、ホールもしくは粗切りの状態のトマトを湿熱処理しても、損傷を受けた組織量が少ないので加熱香の発現も抑制することができる。
湿熱加熱処理としては、水を熱の媒体とした加熱方法をいい、ボイル加熱、スチーム加熱等が挙げられる。処理の趣旨は、生トマトに含有されている酵素を失活させるためである。ボイル加熱の具体的方法としては、例えば、80〜100℃の温水等に生ホールトマト又は粗切り生トマトを浸漬すること、あるいは、温水に浸漬した状態で容器詰めし、レトルト殺菌等の加熱処理装置で雰囲気温度80〜120℃で加熱処理すること等が挙げられる。また、スチーム加熱の具体的方法としては、生ホールトマト又は粗切り生トマトを雰囲気温度80〜120℃のスチーマー等で加熱すること等が挙げられる。
これらの方法では、生ホールトマト又は粗切り生トマトの中心が70℃以上に加熱されるようにすることが好ましい。加熱香の発生を防止しつつ、十分に酵素を失活させるためである。なお、加熱温度の上限は、あまり高すぎると香り成分が分解したり加熱香が強くなることが懸念されるので、中心品温が好ましくは120℃以下である。加熱処理時間もあまり長いとフルーティー様の香りが消失し、加熱香が強くなる場合があるので好ましくは60分以内である。
なお、ボイル加熱の際に使用する加熱水媒体(浸漬液)として、通常、水道水、清水などを使用するが、トマトジュースを用いてもよい。しかしながら、一般のトマトジュースは、生トマトをホール又は粗切りの状態で湿熱加熱処理した後に製造されたものではないので、本発明品の製造工程中に青臭い香りや加熱香等を持ち込む可能性がある。従って、少量の使用に留めることが好ましい。
生ホールトマト又は粗切り生トマトとしては、完熟したトマト、特に完熟生ホールトマトを使用することが好ましい。これらは、皮を湯むきしたものでもよい。トマトの品種としては、特に制限はないが、日本農林規格で規定されているトマト、つまり、完熟した赤色の、又は赤みを帯びたトマト(Lycopersicum esculentum P. Mill)の果実を用いることが、トマト加工品に適度な旨みと酸味を付与できるので好ましい。トマトの形状にも特に制限はなく、丸いタイプでも細長いタイプでもよい。
なお、本発明においては、損傷を受けた組織が少ない生ホールトマト又は粗切り生トマトを湿熱加熱するので、成分(C)に由来する加熱香の発現が抑制される。一方、粗切り生トマトを湿熱加熱処理する場合、多少なりとも組織が破壊されているため、酵素反応が進行して成分(B)に由来する青臭さを生成することになるが、酵素反応が進行する空気露出面が過度に広がらないように、粗切りの好ましい内容として、ハーフカット処理や好ましくは1/8〜1/2の大きさにダイサー等の鋭利な刃でカットすることが挙げられる。また、酵素反応を極力抑制するために、カット処理後、できるだけ短い時間内、例えば数秒以内に湿熱加熱処理することが好ましい。好ましくは、ホール又はハーフカットしたものを用いることが好ましい。
なお、湿熱加熱処理したホールトマト又は粗切りトマトは、容器詰めした状態で冷凍品や缶詰として保存してもよい。この場合、湿熱加熱処理したホールトマト又は粗切りトマトと共に容器に充填する充填液としては、水や少量のトマトジュースを製品の風味を損なわない範囲で使用してもよい。
工程(b)
次に、湿熱加熱処理して得たホールトマト又は粗切りトマトを粉砕する。この場合、上述したように製造されたトマト缶詰のホールトマトを原料として使用してもよい。粉砕したトマトは、生トマトをそのまま粉砕したのでは無く、湿熱加熱処理されたものを粉砕しているので、粉砕処理によっても青臭さが過度に生じない。また、粉砕の方法としては、特に制限はなく、搾汁装置、ミキサー、チョッパー、マスコロイダー、コミットロール等の従来の粉砕装置を使用して行うことができる。
粉砕条件としては、粉砕物の粘度が好ましくは1〜10Pa・s程度、より好ましくは2〜8Pa・s程度となるような条件であり、このような条件は、常法の粉砕処理条件を適宜調整して決定することができる。粉砕条件を粘度で管理する理由は、粘度が低すぎるとトマト組織が過度に空気とふれるためか、トマト加工品全体としてフルーティー香を感じ難くなる傾向があり、高すぎると減圧濃縮が行い難くなるからである。
工程(c)
次に、粉砕したトマトを、ブリックスが9〜21%の範囲になるまで、35〜85℃で減圧濃縮処理することにより、本発明のトマト加工品、即ち、揮発性成分を固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法(SPME−GC−MS法)により測定した際に、測定結果を出力したチャートの積分面積比で成分(A)100に対し、成分(B)を3〜50、成分(C)を20〜200となる割合で含有するトマト加工品を得る。
この製造方法において、減圧濃縮処理する理由は、常圧濃縮では濃縮温度が高くなりすぎ、加熱香が強くなりすぎるからであり、逆浸透膜法による濃縮では、青臭さが強く残ってしまい、フルーティー香をマスキングしてしまうからである。減圧濃縮処理は公知の減圧濃縮装置を使用して行うことができる。
また、減圧濃縮処理の管理を、特定温度でブリックスが特定量となるように行う理由は、温度とブリックスを所定の範囲にコントロールすることにより、予想外にも成分(A)〜(C)のフレーバーバランスを改善することができるからである。換言すれば、フルーティー香と、青臭さ香及び加熱香とを絶妙のバランスに保ち、際立ったフルーティーさをトマト加工品に付与できるからである。
減圧濃縮温度としては、低すぎると濃縮が進まず、青臭さ香や加熱香を除去し難くなり、高すぎると前記ブリックスまで濃縮したときに、加熱香が強くなりすぎるので、トマト加工品全体として際立ったフルーティーな香りを実現するために、本発明では35〜85℃、好ましくは45〜75℃に設定する。
本発明のトマト加工品は、トマト加工品の一般的な評価指標となっている“ブリック”で付加的に特定することができる。ここでブリックス(Brix)とは、食品業界において溶液中の固形分濃度を示すものであり、例えば、食品用デジタル屈性計(アタゴ手持屈折系、(株)アタゴ製)で測定することができる。
本発明が対象とするトマト加工品のブリックスは、低すぎると香りのバランスの改善が不十分で青臭さ香の強いものとなり、高すぎたとしてもそれに応じた香りのバランスの改善効果が高まる訳ではなく、製造コストが上昇するため、好ましくは9〜21%、より好ましくは9〜16%である。なお、生トマトのブリックスは約6%であるから、ブリックスが9%となるためには、通常、生トマト100gから水分を約33g除去することが必要であり、ブリックスが21%となるためには約71g除去することが必要となる。
なお、ブリックスの数値範囲については、本発明のトマト加工品について説明したとおりである。
減圧濃縮の圧力条件に関し、基本的には、減圧濃縮温度で沸騰する条件に減圧すればよい。ここで、減圧処理装置の蒸気の排出スピード等を変えることにより、減圧処理時間を変えることができる。減圧処理時間が長すぎても、トマト加工品全体としてフルーティーな香りを感じ難くなる傾向があるので、減圧処理時間を好ましくは10分〜3時間、より好ましくは10分〜2時間に設定する。
以上のように得られた本発明のトマト加工品は、水で希釈することによりトマトジュースに還元することができる。また、本発明のトマト加工品は、マヨネーズ、タルタルソース、ドレッシング等の酸性調味料(pH3〜4.5)、各種パスタソース、魚用ソース、肉用ソース、スープ等のソース類、リゾット等の米飯類、フルーツミックスジュース、カクテル等の飲料等、これら酸性調味料、ソース類、米飯類、飲料等の冷凍品やレトルト品、アイスクリーム、ソフトクリーム等の冷菓等の食品に使用することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、以下の実施例又は比較例において、成分(A)〜(C)の揮発性成分の測定は、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法(SPME−GC−MS法)により行った。即ち、以下に示す固相マイクロ抽出条件で揮発性成分を抽出し、抽出した成分をガスクロマトグラフ条件で各成分を分離し、分離した各成分を質量分析条件で成分を同定し、チャートを出力した。また、揮発性成分(A)〜(C)の割合は、各成分の積分面積比で行った。なお、各成分の定量イオン質量は以下の通りである。
成分(A)6−メチル−5−ヘプテン−2−オン 定量イオン質量 m/z43
成分(B)2−イソブチルチアゾール 定量イオン質量 m/z99
成分(C)フルフラール 定量イオン質量 m/z96
ジメチルスルフィド 定量イオン質量 m/z62
ジメチルジスルフィド 定量イオン質量 m/z94、及び
ジメチルトリスルフィド 定量イオン質量 m/z126
<固相マイクロ抽出(SPME)条件>
SPMEファイバー: Stable Flex 50/30μm, DVB/Carboxen/PDMS (Sigma-Aldrich Corp.)
オートサンプラー:Comb PAL (CTC Analitics)
予備加温: 40℃, 5min
撹拌速度: 300rpm (アジテータ on 20s; off 2s)
揮発性成分抽出: 40℃, 20min
脱着時間: 10 min
<ガスクロマトグラフ条件>
GCオーブン; Aglent 6890N (Agilent Technologies, Inc.)
カラム; SOLGEL-WAX; 30m, 0.25mm i.d., 0.25μm (SGE Analytical Science Pty. Ltd.)
GC温度条件: 35℃ (5min)→5℃/min→120℃→15℃/min→220℃ (6 min)
キャリアー: He, 1.0mL/min, コンスタントフロー(流量一定)モード
インジェクション: パルスド・スプリットレス
スプリットレス 1.5min→パージ50mL/min; パルス100kPa (1.6 mm)→47kPa(スタート時)
インレット温度: 250℃
ワークステション: MSD ChemStation Build 75 (Agilent Technologies, Inc.)
<質量分析条件>
質量分析計: Agilent 5973N (Agilent Technologies, Inc.)
スキャン質量: m/z 29.0−290.0
イオン化方式: EI (70eV)
<粘度測定条件>
B型粘度計:株式会社東京計器製 BH型
品温:60℃
ローター:No.3
回転数:10rpm
実施例1
長径約8cm、短径約4cmの細長い形状の完熟生ホールトマト(Lycopersicum esculentum P. Mill)を90℃の熱湯中に20分間浸漬することによりブランチングを行った。加熱によりトマトの中心品温は85℃まで達温した。得られたホールトマトを直径5mmの孔を有したチョッパー装置で粉砕した。粉砕物の粘度は2.5Pa.sである。得られた粉砕物を35℃で沸騰する減圧度で、ブリックスが9%となるまで1.2時間減圧濃縮することによりトマトピューレーを得た。得られたトマトピューレーについて、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法により成分(A)6−メチル−5−ヘプテン−2−オン(フルーティー香)、成分(B)2−イソブチルチアゾール(青臭さ香)、成分(C)フルフラール(加熱香)、ジメチルスルフィド(加熱香)、ジメチルジスルフィド(加熱香)及びジメチルトリスルフィド(加熱香)の含有割合を測定した。得られた結果を表1に示す。
実施例2
減圧度を45℃で沸騰するレベルに変更する以外は、実施例1を繰り返してブリックス9%となるまで1.1時間減圧濃縮することによりトマトピューレーを得た。得られたトマトピューレーについて、実施例1と同様に、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法により成分(A)、(B)及び(C)の含有割合を測定し、得られた結果を表1に示す。
実施例3
減圧度を75℃で沸騰するレベルに変更する以外は、実施例1を繰り返してブリックス9%となるまで1時間減圧濃縮することによりトマトピューレーを得た。得られたトマトピューレーについて、実施例1と同様に、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法により成分(A)、(B)及び(C)の含有割合を測定し、得られた結果を表1に示す。
実施例4
減圧度を85℃で沸騰するレベルに変更する以外は、実施例1を繰り返してブリックス9%となるまで1時間減圧濃縮することによりトマトピューレーを得た。得られたトマトピューレーについて、実施例1と同様に、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法により成分(A)、(B)及び(C)の含有割合を測定し、得られた結果を表1に示す。
実施例5
減圧度を45℃で沸騰するレベルに変更し且つブリックスが16%となるまで1.8時間減圧濃縮した以外は、実施例1を繰り返してブリックス16%のトマトピューレーを得た。得られたトマトピューレーについて、実施例1と同様に、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法により成分(A)、(B)及び(C)の含有割合を測定し、得られた結果を表1に示す。
実施例6
減圧度を45℃で沸騰するレベルに変更し且つブリックスが21%となるまで2時間減圧濃縮した以外は、実施例1を繰り返してブリックス21%のトマトピューレーを得た。得られたトマトピューレーについて、実施例1と同様に、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法により成分(A)、(B)及び(C)の含有割合を測定し、得られた結果を表1に示す。
実施例7
実施例2において、トマトの粉砕処理をミキサーで行い、粘度1.5Pa・sのトマト粉砕物を調製し、この粉砕物を用いた以外は実施例2と同様にしてトマトピューレーを得た。
実施例8
実施例2において、45℃での沸騰状態を維持する一方で、蒸発スピードが遅くなるように減圧の程度を緩和することにより減圧処理時間を3時間とした以外は、実施例2と同様にしてトマトピューレーを得た。
比較例1
実施例1において、減圧濃縮する前のトマト粉砕物を、実施例1と同様に、固相マイクロ抽出法により成分(A)、(B)及び(C)の含有割合を測定し、得られた結果を表1に示す。
比較例2
減圧濃縮に代えて、90℃で沸騰する条件下、鍋で加熱濃縮した以外は、実施例1を繰り返してブリックス9%のトマトピューレーを得た。
比較例3
トマトピューレー缶詰め(常法により、生トマトを粉砕処理した後、逆浸透膜濃縮法により得られたブリックス9%の濃縮)から内容物を取り出し、実施例1と同様に、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法により成分(A)、(B)及び(C)の含有割合を測定し、得られた結果を表1に示す。
比較例4
トマトピューレー缶詰め(常法により、生トマトを粉砕処理した後、90℃を超える温度で減圧加熱濃縮したブリックス21%の濃縮品)から内容物を取り出し、実施例1と同様に、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法により成分(A)、(B)及び(C)の含有割合を測定し、得られた結果を表1に示す。
<官能評価>
実施例及び比較例のトマト加工品について、専門パネラーによりフルーティー香、青臭さ香、加熱香の3つの要素について、5段階評価を行った。香りが最も強い場合を5とし、最も弱い場合を1とした。そして、トマト加工品として好ましいフルーティー香を有しているか否かを他の香りの影響や香りの強さも考慮して総合的に判断し、非常に好ましい場合を「AA」、好ましい場合を「A」、普通の場合を「B」、好ましくない場合を「C」、非常に好ましくない場合を「D」と評価した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2011072306
(総括)
表1からわかるように、実施例1〜8で製造したトマト加工品は、生トマトをホールの状態でブランチングした後に細断又は破砕し、減圧濃縮しているので、フルーティーさが損なわれず、適度な青臭さ香や加熱香を有するので、トマト加工品として総合的に好ましいフルーティーな香りを示したことがわかる。
(考察)
成分(A)、(B)及び(C)は、トマト加工品において、フルーティー香、青臭さ香、加熱香として、識別が可能であり、官能評価におけるこれらの量的バランスと分析値におけるこれらの量的バランスがほぼ一致していることがわかる。また、成分(A)、(B)及び(C)の量的バランスに関し、成分(A)100に対し、成分(B)を3〜50、成分(C)を20〜200となる割合である場合、トマト加工品として総合的に好ましいフルーティーな香りを示すことが分かる。中でも、減圧濃縮温度が45〜75℃である場合、減圧濃縮時間が2時間以内である場合、トマト粉砕物の粘度が2〜10Pa・sである場合は、より好ましい結果であったことが分かる。
一方、ブランチング処理しただけで、その後の減圧濃縮を行わなかった比較例1の場合、青臭さ香が強く好ましいものではなかった。ブランチング処理を行った後、常圧下での加熱濃縮を行った比較例2の場合、加熱香が強く好ましいものではなかった。また、生トマトを粉砕処理した後、逆浸透膜処理により濃縮し、生トマト粉砕前の湿熱加熱処理を全く行わなかった比較例3の場合、青臭い香りが強く、フルーティー香がマスキングされ、トマト加工品として総合的に好ましいフルーティーさは感じられなかった。また、生トマトを粉砕処理した後、減圧加熱濃縮した比較例4の場合、加熱香が多くなり好ましくなかった。
実施例9
長径約8cm、短径約4cmの細長い形状の完熟生ホールトマトを4つ割り(大きさ約6cm)し、直ちにブランチングを行った以外は、実施例2を繰り返してブリックス9%のトマトピューレーを得た。得られたトマトピューレーに加水した後、皮や種を除去することによりブリックス6%のトマトジュースを得た。得られたトマトジュースついて、実施例1と同様に、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法により成分(A)、(B)及び(C)の含有割合を測定したところ、成分(A)100に対し、成分(B)は3〜50の範囲、成分(C)は20〜200の範囲にそれぞれ入っており、トマトピューレーとして総合的に好ましいフルーティーさを呈していた。
実施例10
長径約8cm、短径約4cmの細長い形状の型の完熟生ホールトマト10個を100℃の熱湯中に10秒間浸漬することにより湯剥きを行った。得られたホールトマトのうち2個を搾汁機で絞った後、皮や種を除去することによりトマトジュースを得た。缶詰用缶に得られたトマトジュースと残りの湯剥きしたホールトマトとを入れ、密封し、110℃で50分間殺菌した。この際、ホールトマトの中心品温は110℃であった。得られたホールトマト缶詰を室温で1ヶ月保管した後、缶詰を開けてホールトマトを取り出し、5mm間隔のチョッパー刃を備えたチョッパー装置で粉砕した。得られた粘度6.6Pa・sの粉砕物を、45℃で沸騰する減圧度で、ブリックスが9%となるまで減圧濃縮することによりトマトピューレーを得た。得られたトマトピューレーについて、実施例1と同様に、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法により成分(A)、(B)及び(C)の含有割合を測定したところ、成分(A)100に対し、成分(B)は3〜50の範囲、成分(C)は20〜200の範囲にそれぞれ入っており、トマトピューレーとして総合的に好ましいフルーティーさを呈していた。
実施例11
表2の配合のトマトソース10kgを次に説明するように製造した。即ち、撹拌タンクにオリーブオイル、トマトピューレー及び食塩を投入し加熱撹拌した。これによりフルーティーなトマトの香りを有するトマトソースが得られた。得られたトマトソースについて、実施例1と同様に、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法により成分(A)、(B)及び(C)の含有割合を測定したところ、成分(A)100に対し、成分(B)は3〜50の範囲、成分(C)は20〜200の範囲にそれぞれ入っており、トマトソースとして総合的に好ましいフルーティーさを呈していた。
また、得られたトマトソースを、100gずつ耐熱性パウチに充填・密封し、続いて105℃で30分間、レトルト処理を施した。得られたトマトソースを温浴にて加熱した後、レトルトパウチを開封し、皿に開けたところ、フルーティーなトマトの香りを呈していた。
Figure 2011072306
実施例12
実施例1で得られたトマトソースを、100gづつパウチに充填し、室温まで冷却した後、−35℃で40分間冷凍処理した。これにより冷凍トマトソースを得た。得られた冷凍トマトソースを温浴にて加熱した後、パウチを開封し、皿に開けたところ、フルーティーなトマトの香りを呈していた。
実施例13
表3の配合のシャーベット1kgを次に説明するように製造した。即ち、ミキサーにトマトピューレー、清水を投入し、撹拌混合し、20メッシュのステンレス製篩を通過させた。ステンレス製篩を通過させて得た混合物にグラニュー糖とレモン汁とを投入し、混合撹拌し、フルーティーなトマトの香りを呈する混合物を得た。得られた混合物をステンレス製バットに流し入れ、−20℃の冷凍庫で冷やし固め、シャーベットを得た。得られたシャーベットを食したところ、フルーティーなトマトの香りを呈していた。
Figure 2011072306
実施例14
表4の配合のガスパチョ1kgを次に説明するように製造した。即ち、キュウリ、パプリカ及びタマネギを1cm角程度にカットし、ニンニクについてはナイフの背で潰した。次に、表4のすべての成分をミキサーに投入し、撹拌混合した。これにより、フルーティーなトマトの香りを呈するガスパチョを得た。得られたガスパチョ160gづつ、パウチに充填し、5℃の冷蔵庫に保管した。一週間保管した後に、パウチを開封し、皿に開けたところ、フルーティーなトマトの香りを呈していた。
Figure 2011072306
実施例15
表5の材料を使用して白身魚のトマト煮込み料理を次に説明するように調製した。即ち、加熱したフライパンにオリーブオイルをひき、そこへ白身魚のフィレを投入し、続いて白ワインを投入し、アルコールを揮散させた。続いてトマトピューレー、オリーブ、イタリアンパセリを投入し、軽く全体を加熱した。これにより白身魚のトマト煮込み料理を調製した。得られた料理は、フルーティーなトマトの香りを呈するものであった。
Figure 2011072306
実施例16
表6の材料を使用してトマトドレッシングを調製し、更にそれを使用したサラダを次に説明するように調製した。即ち、トマトピューレー、オリーブオイル、レモン汁及び塩をミキサーに投入し、撹拌混合することにより、フルーティーなトマトの香りを呈するトマトドレッシング(pH4)を調製した。それとは別に、アスパラガスを塩茹でした後、冷水に晒した。次に、このアスパラガスと別途用意した新鮮なホタテ生貝柱とを一口大にカットし、塩、胡椒、オリーブオイルで下味を付けた。このように下味をつけたアスパラガスとホタテ生貝柱とを皿に盛り、先に調製したトマトドレッシングを全体に掛け、サラダを調製した。得られたサラダは、フルーティーなトマトの香りを呈するものであった。
Figure 2011072306
実施例17
表7の材料を使用してトマトケチャップ1kgを次に説明するように製造した。即ち、鍋にトマトピューレー、たまねぎ(すりおろし)、にんにく(すりおろし)を投入し、弱火で1/2になるまで煮詰めた。続いて、砂糖、酢、塩を投入し、さらに1/3になるまで煮詰めてトマトケチャップを得た。得られたトマトケチャップを食したところ、フルーティーなトマトの香りを呈していた。
Figure 2011072306
本発明の製造方法により得られる本発明のトマト加工品は、フルーティー香を示す成分(A)[6−メチル−5−ヘプテン−2−オン]、青臭さ香を示す成分(B)[2−イソブチルチアゾール]、及び加熱香を示す成分(C)[フルフラール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド及びジメチルトリスルフィドの少なくとも一種]を、それぞれ所定の割合で含有しているので、フルーティーさが損なわれず且つ適度に青臭さと加熱香とを感じさせるものである。従って、トマトジュース、各種パスタソース、ドレッシング、スープ、魚用ソース、肉用ソースのベースとして有用である。

Claims (5)

  1. 以下の成分(A)〜(C):
    (A)6−メチル−5−ヘプテン−2−オン;
    (B)2−イソブチルチアゾール; 及び
    (C)フルフラール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド及びジメチルトリスルフィドの少なくとも一種
    を含有するトマト加工品であって、揮発性成分を固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法により測定した際に、成分(A)〜(C)が、測定結果を出力したチャートの積分面積比で成分(A)100に対し、成分(B)を3〜50、成分(C)を20〜200となる割合で含有することを特徴とするトマト加工品。
  2. トマト加工品が、トマトジュース、トマトミックスジュース、トマトピューレー、トマトペースト又はトマトソースである請求項1記載のトマト加工品。
  3. 固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法における成分(A)6−メチル−5−ヘプテン−2−オンの定量イオン質量がm/z43、成分(B)2−イソブチルチアゾールの定量イオン質量がm/z99、成分(C)フルフラールの定量イオン質量がm/z96、ジメチルスルフィドの定量イオン質量がm/z62、ジメチルジスルフィドの定量イオン質量がm/z94、及びジメチルトリスルフィドの定量イオン質量がm/z126である請求項1又は2記載のトマト加工品。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のトマト加工品を含有することを特徴とする飲食品。
  5. 請求項1記載のトマト加工品の製造方法であって、生ホールトマト又は粗切り生トマトを70℃〜120℃に湿熱加熱処理した後、粉砕し、ブリックスが9〜21%の範囲になるまで、35〜85℃で減圧濃縮処理することを特徴とするトマト加工品の製造方法。
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