JP2017192312A - トマトシドaを含む血糖上昇を抑制するための飲食品 - Google Patents

トマトシドaを含む血糖上昇を抑制するための飲食品 Download PDF

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Abstract

【課題】血糖上昇を十分に抑制する飲食品、及びかかる飲食品に用いることができる組成物を提供すること。【解決手段】トマトシドA又はその生理学的に許容される塩を含む、血糖上昇を抑制する飲食品又は組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、トマト種子由来サポニンであるトマトシドA又はその生理学的に許容される塩を含有する、血糖上昇を抑制する飲食品又は組成物に関する。
2013年の国際糖尿病連合の調査によると、日本における糖尿病の患者数はおよそ720万人であり、その予備群である「糖尿病の可能性を否定できない」人の人数は1,300万人と推定されている。つまり、約1/6の日本国民が、少なくとも糖尿病の可能性を否定できない状態にある。
糖尿病は、失明や慢性腎不全、足の壊疽による切断といった合併症につながるばかりでなく、動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳梗塞など生命に関わる病気に至らしめることも少なくない。
近年の健康志向の高まりの下、糖尿病を予防するために、食事療法や運動療法が推奨されている。しかしながら食事や運動に関わる生活習慣は改善しにくいため、より習慣化しやすい手軽な方策として、血糖値の低下に予防的に用いることのできる飲食品が求められている。
特許文献1には高血糖症及び2型糖尿病を含む障害の治療、軽減又は予防に使用するための少なくとも1種のフラボノイドのグリコシド抱合体が加えられている組成物として、前記グリコシド抱合体が天然の食品又はその抽出物の形態で組成物に加えられているものについて記載されている。特許文献2には、ある特定の化合物とブドウ種子抽出物に含まれるプロアントシアニジンとを組み合わせた血糖値上昇抑制剤や同剤を含む飲食品について開示されている。プロアントシアニジンについては、血中ヘモグロビン糖化率を低値に制御し、糖尿病性白内障を含む種々な合併症の進行の予防と治療に有効であることが見出されている(特許文献3)。
さらに、特許文献4には、血糖値上昇を抑制する天然物由来の化合物として、紅茶水溶性画分から単離した、6単糖3分子と5単糖1分子からなる糖鎖を有する特定のナリンゲニン配糖体に、筋肉細胞へのグルコース取込み作用や血糖上昇抑制作用があることについて報告されている。特許文献5には、スピロ型サポニンを有効成分として含む医薬組成物として、糖吸収抑制剤について報告されている。
特表2015−505821号公報 国際公開第2012/147619号パンフレット 特開2000−044472号公報 特開2008−013525号公報 特開2008−1673号公報 国際公開第2012/115026号パンフレット
Journal of Agricultural and Food Chemistry(2009)57、3786−3791 Journal of Agricultural and Food Chemistry(2008)56、11432−11440 日本未病システム学会雑誌(2006)12、1−8
しかしながら、近年の健康志向の高まりに充分に応えられるほど、血糖上昇を十分に抑制する飲食品はない。したがって、本発明は、血糖上昇を十分に抑制する飲食品、及びかかる飲食品に用いることができる組成物を提供することを目的とした。
上記の課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を重ねたところ、トマト果実のある特定の部分に含まれる成分が血糖上昇を抑制し得ることを見出し、さらに研究を重ねた結果本発明を完成するに至った。
本発明は、少なくとも以下の各発明に関する:
[1]トマトシドA又はその生理学的に許容される塩を含む、血糖上昇を抑制する飲食品。
[2]トマトシドA又はその生理学的に許容される塩としてトマトの果実から得られたものを含む、上記[1]に記載の飲食品。
[3]トマトシドA又はその生理学的に許容される塩が、飲食品全体に対して0.001〜1重量%の割合で含まれる、上記[1]又は[2]に記載の飲食品。
[4]トマトシドA又はその生理学的に許容される塩が、細胞内へのグルコース透過を抑制すること及び/又はSGLT1の発現を抑制することにより血糖上昇を抑制する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の飲食品。
[5]サプリメント、特定保健用食品、栄養機能食品、健康食品、機能性食品又は健康補助食品である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の飲食品。
[6]ジュース、清涼飲料、豆乳、ドリンク剤、茶、ビスケット、タブレット、顆粒粉末、粉末、カプセル、ペースト、ゼリー、スープ、調味料、ドレッシングの形状である、上記[5]に記載の飲食品。
[7]トマトシドA又はその生理学的に許容される塩を含む、血糖上昇を抑制するための組成物。
[8]トマトシドA又はその生理学的に許容される塩としてトマトの果実から得られたものを含む、上記[7]に記載の組成物。
[9]トマトシドA又はその生理学的に許容される塩が、組成物全体に対して0.001〜80重量%の割合で含まれる、上記[7]又は[8]に記載の組成物。
[10]トマトシドA又はその生理学的に許容される塩が、細胞内へのグルコース透過を抑制すること及び/又はSGLT1の発現を抑制することにより血糖上昇を抑制する、上記[7]〜[9]のいずれかに記載の組成物。
[11]血糖上昇抑制用の剤である、上記[7]〜[10]のいずれかに記載の組成物。
[12]サプリメント又は食品添加剤である、上記[11]に記載の組成物。
[13]上記[7]〜[12]のいずれかに記載の組成物を配合した飲食品。
本発明により、糖尿病の原因となる血糖上昇を抑制するための飲食品及び組成物が提供される。本発明の該組成物を飲食品(特にトマト加工飲食品)に配合した配合物に調製することにより、風味が損なわれず摂取しやすく、しかもトマトシドA又はその生理学的に許容される塩を単独で摂取するより効能がすぐれた飲食品が提供される。
トマトは、野菜の中で最も多く栽培されており、世界中で広く食され、人々の健康増進に高く貢献している野菜である。トマトには、例えば、リコピン、食物繊維(セルロース、ペクチン等)等、多くの種類の機能的な成分が含まれ、長年にわたってその研究が進められてきた。
サポニンの一種であるトマトシドAは、トマト種子(種子を含むゼリー部)に非常に多く存在する成分であり(非特許文献1)、界面活性作用を有することが知られている(非特許文献2)。また、サポニンの中には血糖上昇抑制作用を有するものがあることも報告されている(非特許文献3)。しかしながら、これまでにトマトシドA又はその生理学的に許容される塩による血糖上昇の抑制に関する報告はない。例えば、特許文献6にはトマトシドAを含むコレステロール上昇抑制剤、トリグリセリド上昇抑制剤や肝中コレステロール蓄積抑制剤について開示されているが、同文献には血糖上昇の抑制やトマトシドAが血糖上昇抑制作用を有することについて全く示唆さえなされていない。
本発明は、トマトシドAが公知の物質にはない作用機構により血糖上昇を抑制することを見出したことに基礎を置く、当業者といえどもその構成に想到し得ないばかりでなく、奏される効果を予測することも不可能な発明なのである。
トマトシドAがグルコース透過に及ぼす影響の検討のうち、処理時間の影響を調べた試験例1−1において、トマトシドAを分析するための3−methyl−1−phenyl−2−pyrazoline−5−one誘導体化法を示す図である。 試験例1−1におけるLC−TOF/MS分析条件を示す図である。 試験例1−1において、3時間以上のトマトシドA処理において有意なグルコース透過抑制作用が認められたことを示す図である。 グルコース透過抑制作用に関するトマトシドAの処理濃度を検討した試験例1−2において、10μM以上のトマトシドAにおいて有意なグルコース透過抑制作用が認められたことを示す図である。 トマトシドAのCaco−2細胞毒性を調べた試験例1−3において、トマトシドA添加群はControl群と比べて細胞の増殖に差はなかったことを示す図である。 トマトシドAのグルコーストランスポーターに及ぼす影響について調べた試験例2−1において、トマトシドA処理により、Caco−2細胞のSGLT1(ナトリウム依存型グルコース共役輸送体)の発現量が有意に抑制されたことを示す図である。 試験例2−1において、トマトシドAはGLUT2の発現量に影響しなかったことを示す図である。 トマトシドAの腸管上皮における動態を評価した試験例2−2において、Caco−2細胞単層膜を用いた透過試験の結果を示すLC/TOF−MS分析のチャートを示す図である。 トマトシドAの頂膜側から側基底膜側への透過は認められなかったことにより(上から2番目のチャート)、トマトシドAの腸管吸収性が極めて低いという従来の知見が確認されるとともに、60分間のインキュベートによりトマトシドAの側基底膜側から頂膜側への透過が認められたことから(上から3番目のチャート)、トマトシドAが腸管上皮細胞に一度取り込まれた後、細胞外に排出されている可能性が示される。 試験例2−2において、腸管上皮の頂膜側及び側基底膜側の両方において、トマトシドAのトマトシドBへの代謝は認められなかったことを示す図である。 トマトシドAのCaco−2細胞における細胞外排出経路への関与を評価した試験例2−3において、腸管における主要な排出トランスポーターであるP−gp及日MRP2からの排出を遮断状態においてトマトシドAのグルコース抑制作用が有意に消失したことを示す図である。 トマトシドAのCaco−2細胞における細胞内流入経路について検討した試験例2−4において、ASBT(胆汁酸トランスポーター)からの細胞内流入を遮断した状態においてトマトシドAのグルコース透過抑制作用が有意に消失したことを示す図である。 ASBT―ノックダウン細胞株を用いてトマトシドAの細胞内流入経路としてのASBTの関与を評価した試験例2−5において、ASBT−si RNA濃度25nM 48時間インキュベートにおいて有意にASBTのタンパク質発現量の抑制が認められたことを示すウエスタンブロットの写真図及び試験例2−5において、ASBT−si RNA濃度25nM、48時間インキュベートにおいて有意にASBTのタンパク質発現量の抑制が認められたことを示す図である。 試験例2−5において、ASBT-KD細胞株におけるトマトシドAのグルコース透過抑制作用はみられなかったことを示す図である。
本発明をより具体的に説明する。
本発明において「血糖上昇を抑制する」、「血糖上昇の抑制」、「血糖上昇抑制」とは、個人において、本発明の飲食品又は組成物を摂取する前に生じていた、血糖値が増大する傾向が緩和されることを意味する。
(トマトシドAについて)
本発明の飲食品及び組成物の有効成分であるトマトシドA(「トマトサイドA」又は「tomatoside A」と称されたり記載されたりすることがある)は、以下の構造を有する化合物である。
トマトシドAは、サポニンの一種であり、トマト種子に多く含まれることが知られる水に難溶性の化合物である。本発明の組成物における有効成分であるトマトシドAの生理学的に許容される塩としては上記の構造を有する化合物のナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられるが、所望の作用を有し、生理学的に許容される塩であれば限定されない。以下においては、トマトシドA及び/又はその生理学的に許容される塩を「トマトシドA」ということがある。
本発明の飲食品又は組成物におけるトマトシドAとしては、化学的に合成したものでも天然物由来のものでもよく、また、市販のものを用いてもよい。トマト種子を含むトマト果実由来物を、抽出溶媒として10体積%以上90体積%未満の有機溶媒を用いて抽出する工程を含む公知の方法により、トマトシドAを含む組成物を簡便に得ることもできる(特許文献5)。
本発明におけるトマトシドAの原料にできるトマト果実由来物は、トマト種子を含むものであれば限定されず、トマトの品種や成熟度によって、種子の形状、数量が異なることを考慮することが好ましい。トマト果実の搾汁液を得る過程において得られる搾汁粕は、一般的に廃棄されるか、家畜飼料となるが、この搾汁粕を用いれば、廃棄原料を有効利用でき、しかも高濃度のトマトシドAを含む本発明の飲食品や組成物を一層容易かつ効率よく得ることができるため好ましい。トマトジュース、トマトピューレ、トマトペーストなどに用いるトマト果実の搾汁液は、常法により、トマト果実を洗浄し、破砕したのち予備加熱を行い、次いで、これを搾汁して得られる。この搾汁の過程において、果実の約1〜5%が搾汁粕として発生する。搾汁粕は主として果皮と種子から構成されており、この中には水溶性食物繊維であるペクチンや不溶性食物繊維であるセルロース、ヘミセルロースなどの繊維質が豊富に含まれるだけでなく、ポリフェノール類やサポニン類も残存している。
トマトシドAをトマトから抽出物として得て、該抽出物として得られたトマトシドAを含む組成物は、トマトシドAのほかに、原料としたトマト果実由来物に含まれるポリフェノール類やトマトシドA以外のサポニン類も含有し得る。抽出物として得られたトマトシドAを含む該組成物は必要に応じて、例えば、クロマトグラフィー等によりさらに精製を行ってもよい。得られた組成物にトマトシドAが含まれているかは、例えば、標準品を用いたHPLC等、常法により確認することができる。得られた組成物は、そのまま本発明の飲食品に配合してよいし、本発明の組成物としてもよい。
トマトシドAの血糖上昇抑制活性については、理論に束縛されるものではないが、グルコースの細胞内への透過の抑制が関与していると考えられる。また、トマトシドAはナトリウム依存型グルコース共役輸送体であるSGLT1の発現を抑制する活性も有する。
したがって、本発明の飲食品及び組成物のうち、グルコースの細胞内への透過の抑制及び/又はSGLT1の発現の抑制により血糖上昇を抑制するものは、より効率的に血糖上昇を抑制することができるため好ましい。
なお、本発明において「組成物」とは、飲食品又は化合物単体以外のあらゆる物質を包含し、その用途は、特定の用途について示す記載がない限り限定されない。
(本発明の飲食品)
本発明の飲食品は、有効成分であるトマトシドAを、摂取者における血糖上昇を抑制し得る量で含む飲食品であれば限定されない。本発明の飲食品に、動物又は植物(それらの器官・組織等の部分を含む)自体は包含されない。
本発明の飲食品におけるトマトシドAの量は、摂取者における血糖上昇を抑制し得る量であれば限定されない。当該量として、典型的には乾燥重量で好ましくは0.001〜80重量%、より好ましくは0.005〜60重量%、特に好ましくは0.005〜0.6重量%含有する。また、トマトシドAを配合して本発明の飲食品とする場合、上記の量を勘案し、さらにトマトシドAの含有量の増加に伴い発生する可能性がある苦味を考慮してトマトシドAを配合することは好ましい。
本発明の飲食品としては、サプリメント、特定保健用食品、栄養機能食品、健康食品、機能性食品、健康補助食品、通常の飲食品等が挙げられる。形状としては、ジュース、清涼飲料、ドリンク剤、茶等の液状、ビスケット、タブレット、顆粒粉末、粉末、カプセル等の固形、ペースト、ゼリー、スープ、調味料、ドレッシング等の半流動状が例示される。これらの飲食品は、いずれも当業者に公知の手法を用いて、トマトシドAを添加して製造することができる。本発明の飲食品に包含される食品としては、クッキー、ナッツ入りチョコレートケーキ、クラッカー、ブレクファストバー、エナジーバー、コーンフレーク等の穀物食及びケーキのようなベークされた食品であってよく、飲料品としては果汁飲料、野菜飲料、炭酸飲料、スポーツ飲料、コーヒー及び茶飲料等であってよい。
上記の飲食品は、当該飲食品が血糖上昇を抑制する作用を有する旨の表示を付した飲食品であってもよい。
上記の飲食品の摂取量は、用途に応じて適宜調整することができるが、例えば、トマトシドAを乾燥物換算で0.1〜200mg/日、好ましくは10〜150mg/日、より好ましくは20〜100mg/日程度摂取することができる。摂取量が多いほど所望の効果を得やすい。摂取回数は制限されず、例えば、1日1〜3回であり、必要に応じて摂取回数を増減してよい。
本発明の飲食品の製造方法は限定されず、トマトシドAを含有するトマトのような天然物を用いた通常の飲食品の製造方法を採用することができる。本発明の飲食品におけるトマトシドAは、同飲食品を製造する過程において適宜外部から加えて量を調整してよい。この場合の外部から加えられるトマトシドAは化合物自体であってよいし、液体の希釈剤又は担体に溶解もしくは懸濁させるか、あるいは固体の希釈剤又は担体に保持させるなどして、他の成分とともに、あるいは他の成分とは別個に単独で、配合してよい。
上記液体の希釈剤又は担体として、水、アルコール類、グリコール類、グリセリン及び界面活性剤等が挙げられ、固体の希釈剤又は担体としてデキストリン、トータルミルクプロテイン、アラビアガム及びシュークロース等が挙げられ、これらの希釈剤又は担体の1種又は2種以上の混合物を用いてよい。これら希釈剤又は担体のうち液体の希釈剤又は担体が好ましく、液体の希釈剤又は担体としてアルコール類が好ましく、エタノールが特に好ましい。
また、本発明の飲食品にトマトシドA以外の成分を添加する工程がある場合には、当該トマトシドA以外の成分を溶解又は懸濁した液体にトマトシドAを溶解もしくは懸濁して、前記トマトシドA以外の成分とともに添加してよい。あるいは、トマトシドAを溶解もしくは懸濁した液体に、飲食品の他の成分又は原料を加えて、これらの他の成分又は原料とともに添加してもよい。
(本発明の組成物)
本発明の組成物はトマトシドAを含むものであればその形態やトマトシドAの含有量は限定されない。
本発明の組成物の形態には血糖上昇抑制用の剤も包含され、当該剤としてサプリメント及び食品添加剤が例示される。本発明におけるサプリメントは、トマトシドAをトマトシドA以外の成分と配合するなどして得られるものである点において組成物に属する一方、単独で経口的に摂取し得ることから飲食品にも属する。
本発明の組成物に、動物又は植物(それらの器官・組織等の部分を含む)自体は包含されない。
本発明の組成物は、有効成分であるトマトシドAを、乾燥重量で好ましくは0.001〜80重量%、より好ましくは0.005〜60重量%、特に好ましくは0.005〜0.6重量%含有する。また、本発明の組成物を特に飲食品に配合する場合、トマトシドA含有量の増加に伴い苦味が増す場合もあることも考慮してトマトシドAを配合する量を調整することは好ましい。
本発明の組成物は、各種飲食品に配合することができる。かかる飲食品として上記において例示した飲食品を挙げることができる。
本発明の組成物は、トマトシドAを液体の希釈剤又は担体に溶解もしくは懸濁させるか、あるいは固体の希釈剤又は担体に保持させるなどして、他の成分とともに、あるいは他の成分とは別個のものとしてよい。
上記液体の希釈剤又は担体として、水、アルコール類、グリコール類、グリセリン及び界面活性剤等が挙げられ、固体の希釈剤又は担体としてデキストリン、トータルミルクプロテイン、アラビアガム及びシュークロース等が挙げられ、これらの希釈剤又は担体の1種又は2種以上の混合物を用いてよい。これら希釈剤又は担体のうち液体の希釈剤又は担体が好ましく、液体の希釈剤又は担体としてアルコール類が好ましく、エタノールが特に好ましい。
本発明の組成物は、トマト加工飲食品に好ましく配合して飲食品とすることができる。すなわち、本発明は、本発明の組成物の配合物である飲食品にも関する。
本発明の組成物は、トマト加工飲食品に配合されると、トマトシドAを添加しても、トマト感やコク味が損なわれず、トマトシドAを添加しないトマト加工飲食品と比較して風味の損なわれないトマト加工飲食品となるからである。また、トマトシドAを配合したトマト加工飲食品は、トマトシドAのみを摂取した場合と比較して、より高い血糖上昇抑制作用を有し得る。
かかるトマト加工飲食品の例としては、トマトジュース、トマトミックスジュース、トマトケチャップ、トマトソース、チリソース、トマト果汁飲料、固形トマト、トマトピューレ、トマトペースト、トマトスープ等が挙げられる。これらのトマト加工飲食品は、通常のトマト加工飲食品の製造法(レシピなど)に従い、トマトシドAを含む本発明の組成物を添加してそれぞれ通常の製法に従って調製される。なお、一般的にトマト加工飲食品は、製造過程で種子が除去され、トマトシドAはほとんど検出されない。例えば、後述の実施例1−1に記載のHPLC法でトマトジュース中のトマトシドA含有量を測定した場合、検出限界以下であったことを本発明者らは確認している。また、さらに高感度の分析法(LC/MS)による測定も行ったところ、トマトジュース中のトマトシドA含有量は0.0005重量%以下であると考えられた。
本発明の組成物をトマト加工飲食品に配合した場合、トマト感やコク味が損なわれず、本発明の組成物を添加しないトマト加工飲食品と比較して風味が損なわれないトマト加工飲食品となる。また、本発明の組成物を配合したトマト加工飲食品においては、トマトシドAのみを摂取した場合と比較して、トマトに由来する他の成分との相乗効果により、より高い血糖上昇抑制作用が奏される可能性がある
以下に例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの記載によりいかなる意味においても制限されるものではない。
[実施例1]
(本発明の組成物の製造:トマト搾汁粕からのトマトシドAの抽出)
1−1.抽出溶媒の検討
完熟した加工用トマト果実をブラシ洗浄し、チョッパーで破砕した後、間接式のチューブ型加熱器にて予備加熱を行い、これをパルパーフィニッシャーにて搾汁して搾汁液を得た。搾汁過程で発生した搾汁粕を凍結乾燥し、さらに粉砕してトマト種子を含むトマト搾汁粕の乾燥物を得た。得られた乾燥物20gに、表1に示す各抽出溶媒1,000mLを加え、25℃の温度条件下にて2時間撹拌抽出した後、濾過した。得られた抽出液を減圧下にて濃縮し、トマトシドA抽出物を得た。抽出溶媒としては、10体積%エタノール(水とエタノールの体積比9:1の混合物)、30体積%エタノール(水とエタノールの体積比7:3の混合物)、50体積%エタノール(水とエタノールの体積比5:5の混合物)、70体積%エタノール(水とエタノールの体積比3:7の混合物)、90体積%エタノール(水とエタノールの体積比1:9の混合物)、0.1%酢酸添加した70体積%エタノール(水、エタノール、酢酸の体積比3:7:0.01の混合物)、1%酢酸添加した70体積%エタノール(水、エタノール、酢酸の体積比3:7:0.1の混合物)を用いたときの各抽出物のトマトシドAの相対濃度を表1中に併記した。相対濃度は以下に記載の方法で算出した。
相対濃度の算出方法:得られた各抽出液を、常法により、減圧下で濃縮し、逆相系固層抽出カラム(Sep−Pak C18、Waters製)に吸着させた後、水洗浄し、次いでメタノールで溶出させた。得られたメタノール溶出液を再度減圧下で濃縮した試料溶液をフィルター(0.45μm)で濾過し、逆相系カラム(Capcell Pak C18、4.6mm×150mm、資生堂製)を装着した高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP、島津製作所製)を用いて、カラム温度35℃でグラディエント法により分析した。移動相A液は蒸留水、B液はアセトニトリル溶液とし、試料注入量は10μL、検出は蒸発光散乱検出器(型式ELSD−LTII、島津製作所製)により行った。測定後、最も高い抽出効率を示した70体積%エタノールによる抽出濃縮物のトマトシドA含量を100として、各抽出条件のトマトシドAの相対濃度を算出した。
表1に示した結果から、トマト種子サポニントマトシドAは、30〜70体積%エタノールを抽出溶媒としたときに十分な抽出効果が得られることが明らかになった。なお、抽出溶媒として用いた水とエタノールの混合液自体のpH測定は困難であったが、抽出溶媒を減圧濃縮してエタノールを除去した後の「濃縮液」のpHは:抽出物試料1〜4で用いた抽出溶媒についてpH4.3;抽出物試料5で用いた抽出溶媒についてpH4.2;抽出物試料6で用いた抽出溶媒についてpH3.4;抽出物試料7で用いた抽出溶媒についてpH2.8であった。濃縮液のpHよりも抽出溶媒のpHが高くなることを考慮すれば、抽出溶媒のpHは強酸性ではないことが望ましく、pH4以上が好ましく、pH5以上がより好ましいと考えられた。また、上記「相対濃度の算出方法」におけるHPLCにおいて、予め作製した既知濃度のトマトシドA標準溶液と比較することにより、トマトシドA濃度を算出したところ、70体積%エタノールを抽出溶媒としたときに得られる抽出物(未乾燥処理)のトマトシドA濃度は、1.3重量%であった。同様の手法を用いて市販のトマトジュース中のトマトシドA含有量を測定したところ検出限界以下であったため、LC/MS法を用いて測定を行った結果、市販のトマトジュース中のトマトシドA含有量は0.0005重量%以下であると考えられた。
1−2.本発明の組成物の製造
上記1−1で得られたトマト種子を含むトマト搾汁粕の乾燥物20gに、抽出溶媒として70体積%エタノール1,000mLを加え、室温下にて2時間撹拌抽出した後、濾過した。濾過後の残渣について、さらに同様の抽出処理を1回行い、得られた全2回の抽出液を合わせて減圧下にて濃縮し、トマトシドA粗抽出物を得た。得られた粗抽出物を逆相系カラムクロマトグラフィー(YMC−ODS−A、YMC製)に吸着させ、水、40体積%メタノール、70体積%メタノール、100体積%メタノールで順次溶出して得た溶出画分を凍結乾燥して、トマトシドAを60重量%含有するトマトシドA含有調製物として本発明の組成物を得た。
(本発明の飲食品の製造)
[実施例2]トマトジュース
シーズンパックトマトジュースの製造方法には、トマト洗浄、選別、破砕、加熱、搾汁、調合、脱気、殺菌、充填、冷却及び箱詰め工程があり、この調合工程で、搾汁したトマトジュースにトマトシドAを添加して調合し、有塩の場合のみ食塩が加えられ、窒素ガスを混合して減圧脱気して、溶存酸素濃度を3ppm以下とした後、121℃、約1分の加熱殺菌をして、90℃まで冷却され、缶に充填される。また、濃縮還元品の製造法は、開けだし工程で、トマト濃縮物を開けだし、規定の無塩可溶性固形分(4.5以上)に水希釈する。その後、トマトシドAを添加して調合し、脱気、殺菌、充填、冷却及び箱詰め工程を経て製造される。
[実施例3]野菜ミックスジュース
搾汁したトマトジュース、あるいは、トマト濃縮物を規定の無塩可溶性固形分(4.5以上)に水希釈して得たトマトジュースに、各種野菜汁及びトマトシドAを添加して調合し、脱気、殺菌、充填、冷却及び箱詰め工程を経て製造される。
[実施例4]トマトソース
以下の表に示す全原材料を混合して、窒素ガスを混合して減圧脱気して溶存酸素濃度を3ppm以下とした後、2号缶に充填し、110℃、30分のレトルト殺菌をする。
[試験例A]
(トマトシドA含有トマトジュースの官能評価)
実施例1で得られたトマトシドAを60重量%含有する調製物を、表5に示す量(トマトシドA添加量に換算して0mg〜20mg/100g)添加したトマトジュース(食塩無添加)を作製し、トマト感、コク味及び苦味に関してパネリスト8名による官能評価を行った。トマトシドAを添加しないトマトジュース(対照)のトマト感、コク及び苦味の強さを7段階中4としたときの、各トマトジュースのトマト感、コク及び苦味の強さを7段階で評価し、パネリスト8名の評価の平均を算出した。結果を表5に示す。トマトシドAを添加しても、トマトジュースのトマト感やコク味は損なわれず、トマトシドAを添加しないトマトジュースと比較して遜色ないトマト加工飲食品となった。
[試験例B]
(トマトシドAの血糖上昇抑制作用(in vitro試験))
血中コレステロール抑制作用が報告されているトマトシドAの腸管のグルコース吸収に及ぼす影響を、ヒト結腸由来細胞株(以下「Caco−2細胞」と記載する)を用いてin vitroにて評価し、血糖上昇抑制におけるトマトシドAの有用性を検討した。
本試験は、トマトシドAがグルコース透過に及ぼす影響を調べること(試験例1)、及びトマトシドAのグルコース透過抑制作用に至るメカニズムを解明すること(試験例2)を目的とし、試験例1のシリーズとして試験例1−1〜試験例1−3を、試験例2のシリーズとして試験例2−1〜試験例2−5を、それぞれ行った。
(試験例1)
[目的]
トマトシドAがグルコース透過に及ぼす影響を調べる(in vitro試験)。
[試験例1−1] トマトシドAがグルコース透過に及ぼす影響の検討(処理時間依存)
[方法]
コラーゲンコートしたCell culture insertにCaco-2細胞を4.0×10 cells/mLの濃度で播種し、腸上皮分化促進培地で3日間培養することでCaco-2細胞単層膜を形成させた後、10μMのトマトシドA溶液で1、3、6及び24時間の処理を行った。
トマトシドA溶液除去後、Cell culture insertの頂膜側にpH6.0のグルコースを溶解させていないHank’s balanced salt solution液(以下、「HBSS液」という)を0.5mL添加し、Cell culture insertの側基底膜側にpH7.4のHBSS液を1.5mL添加し、37℃のCOインキュベーター中で15分間プレインキュベーションを行った。
その後、Cell culture insertの頂膜側及び側基底膜側のHBSS液を除去し、頂膜側には13-グルコース(1mM)を含むHBSS液を0.5mL添加し、側基底膜側にはHBSS液を1.5mL添加した。
37℃のCOインキュベーター中で30分間インキュベーションを行った後、側基底膜側のHBSS液を300μL回収し、下記のプロトコールFig.1(図1)に従って、トマトシドAの3-methyl-1-phenyl-2-pyrazoline-5-one(PMP)誘導体化を行った。
その後、下記の条件Fig.2(図2)にてLC-TOF/MS分析に供した。
LC-TOF/MS分析は、Agilent 1200 series LC system 及びMicrO-TOF IIを用い、ポジティブモードにより測定した。

[結果・考察]
10μMのトマトシドAで1、3、6及び24時間処理したCaco-2細胞単層膜を用いてグルコースの透過試験を行ったところ、Fig.3(図3)に示すように、3時間以上のトマトシドA処理において、有意なグルコース透過抑制作用が認められた(%of Control: 1時間, 101.0±1.3;3時間, 63.0±6.8;6時間, 59.2±4.1;24時間,72.7±7.3)。
以上の結果より、トマトシドAはグルコース透過抑制作用を有し、その作用発現はトマトシドA処理後3時間以上で起こることが示された。
[試験例1−2] トマトシドAがグルコース透過に及ぼす影響の検討(濃度依存)
[方法]
・透過試験(処理濃度)
コラーゲンコートしたCell culture insertにCaco-2細胞を播種し、腸上皮分化促進培地で3日間培養することでCaco-2細胞単層膜を形成させた後、トマトシドA溶液(5、10及び20μM)で3時間処理を行った。
トマトシドA溶液除去後、Cell culture insertの頂膜側にグルコースを溶解させていないpH6.0のHBSS液を0.5mL添加し、また、Cell culture insertの側基底膜側にpH7.4のHBSS液を1.5mL添加し、37℃のCOインキュベーター中で15分間プレインキュベーションを行った。
その後、Cell culture insertの頂膜側及び側基底膜側のHBSS液を除去し、頂膜側には13-グルコース(1mM)を含むHBSS液を0.5mL添加し、側基底膜側にはHBSS液を1.5mL添加した。
37℃のCOインキュベーターを用いて30分間インキュベーションを行った後、側基底膜側のHBSS液を300μLずつ回収し、試験例1−1のプロトコールに従って、PMP誘導体化を行った後、LC-TOF/MS分析に供し、透過したグルコース量を測定した。
・誘導体化プロトコール:試験例1−1と同様とした。
・LC/TOF-MS分析条件:試験例1−1と同様とした。
[結果・考察]
処理濃度5、10及び20μMのトマトシドA溶液で3時間処理したCaco-2細胞単層膜を用いて、グルコースの透過試験を行ったところ、Fig.4(図4)に示すように、10μM以上において有意なグルコース透過抑制作用を示した(% of Control:5μM, 81.7±0.4;10μM, 63.0±6.8;20μM, 76.0±2.3)。
以上の結果から、本試験において十分なグルコース透過抑制作用が認められたトマトシドA濃度10μMで3時間処理したCaco-2細胞単層膜を用いて以後の検討を行うことにした。
[試験例1−3] トマトシドAのCaco-2細胞毒性測定
[方法]
コラーゲンコートした96wellプレートにCaco-2細胞を播種した(1.0×10cells/100μL)。その後、1日間インキュベートし、トマトシドA溶液(10μM、100μM)で3時間処理を行った。処理後、PBSで2回洗浄し、Cell Counting Kit−8を添加しプレートリーダーで測定を行った(450nm)。
[結果・考察]
トマトシドAの細胞毒性試験の結果をFig.5(図5)に示す。
トマトシドA添加群は、Control群と比べて細胞の増殖に差はなかったことから、トマトシドAはCaco−2細胞に対して、細胞毒性を有していないことが明らかとなった。
(試験例2)
[目的]
トマトシドAのグルコース透過抑制作用に至るメカニズムを解明する(in vitro試験)。
[試験例2−1] トマトシドAのグルコーストランスポーターに及ぼす影響
試験例1−1〜試験例1−3により、トマトシドAがCaco−2細胞においてグルコース透過抑制作用を有することが明らかとなった。
腸管上皮細胞には、グルコースの吸収を担うグルコーストランスポーターが存在する。本知見は、トマトシドAが、頂膜側からグルコースを細胞内へと流入させるナトリウム依存型グルコース共役輸送体SGLT1、及び細胞内から側基底膜側への輸送を担うGLUT2の発現に対して影響を及ぼしている可能性を示唆した。
そこで、ウエスタンブロット法を用いてトマトシドAのグルコーストランスポータータンパク質発現量への影響を評価した。
[方法]
下記スキームにより行った。

[結果・考察]
膜上で分化させたCaco−2細胞を、10μMのトマトシドA溶液で3時間処理を行い、処理後、Caco−2細胞からタンパク質を回収し、ウエスタンブロットに供した。その結果をFig.6(図6)及びFig.7(図7)に示した。
トマトシドA処理により、Caco−2細胞のSGLT1の発現量が有意に抑制された(図6)。一方で、GLUT2の発現量に顕著な差はみられなかった(図7)。
よって、トマトシドAのグルコース透過抑制作用は、SGLT1発現量の抑制が関与していることが示唆された。
[試験例2−2] トマトシドAの腸管上皮における動態の評価
[方法]
コラーゲンコートしたCell culture insertにCaco−2細胞を播種し、腸上皮分化促進培地で3日間培養することでCaco−2細胞単層膜を形成させた後、Cell culture insertの頂膜側にpH6.0のHBSS溶液を0.5 mL添加し、Cell culture insertの側基底膜側にpH7.4のHBSS液を1.5mL添加し、37℃のCOインキュベーター中で15分間プレインキュベーションを行った。
その後、Cell culture insertの頂膜側及び側基底膜側の(−)HBSS液を除去し、頂膜側には1mMのトマトシドAを含むHBSS液を0.5mL添加し、側基底膜側にはHBSS液を1.5mL添加し、37℃のCOインキュベーター中で30分間インキュベーションを行った。
側基底膜側のHBSS液を300μLずつ回収し、LC−TOF/MS分析に供した。当操作の頂膜側と側基底膜側を逆にした試験についても同様に行った。
[結果及び考察]
トマトシドAの腸管吸収性は極めて低いことが知られているが、Caco−2細胞単層膜を用いた透過試験の結果(Fig.8)(図8)からもトマトシドAの頂膜側から側基底膜側への透過は認められなかった。
一方で、1mMトマトシドAを側基底膜側に添加し同様に透過試験を行ったところ、60分間インキュベートにより側基底膜側から頂膜側への透過が認められた。本知見は、トマトシドAが腸管上皮細胞に一度取り込まれた後、細胞外に排出されている可能性を示すものである。
また、腸管上皮においてトマトシドAがトマトシドBへの代謝を受けている可能性も示唆されていることから、実験終了後の頂膜側、及び側基底膜側の溶液をLC−TOF/MSに供したところ、頂膜側、側基底膜側両方においてトマトシドAからトマトシドBへの代謝は、認められなかった(Fig.9)(図9)。
トマトシドBは下図に示すとおり、トマトシドAが部分的に環化されて生成する代謝産物である:
[試験例2−3] トマトシドAのCaco−2細胞における細胞外排出経路への関与評価
[目的]
試験例2−2において、Caco−2細胞においてトマトシドAが一度細胞に取り込まれ、細胞外へと排出されている可能性が示唆された。
腸管において物質の排出に関わるトランスポーターとして、ATP binding cassette(ABCトランスポーター)が挙げられる。ABCトランスポーターは、腸管上皮の頂膜側に局在し、ATPの加水分解時に生じるエネルギーを利用して細胞内の化合物を排出するトランスポーターである。
そこで、腸管における主要なトランスポーターであるP−glycoprotein(P−gp)及びMultidrug resistance−associated Protein2(MRP2)の阻害剤であるCyclosporin A(5μM)を用いてグルコース透過試験を行った。
[方法]
コラーゲンコートした Cell culture insertにCaco−2細胞を播種し、腸上皮分化促進培地で3日間培養することでCaco−2細胞単層膜を形成させた後、10μMのトマトシドA溶液で3時間処理を行った。
この際、P−gp及びMRP2の阻害剤であるCyclosporinA(5μM)を添加した。
トマトシドA溶液除去後、Cell culture insertの頂膜側にグルコースを溶解させていないpH6.0のHBSS液を0.5mL添加し、Cell culture insertの側基底膜側にpH7.4のHBSS液を1.5mL添加し、37℃のCOインキュベーター中で15分間プレインキュベーションを行った。
その後、Cell culture insertの頂膜側及び側基底膜側のHBSS液を除去し、頂膜側には13-グルコース(1mM)を含むHBSS液を0.5mL添加し、側基底膜側にはHBSS液を1.5mL添加した。
37℃のCOインキュベーターを用いて30分間インキュベーションを行った後、側基底膜側のHBSS液を300μLずつ回収し、試験例1−1の項に記載したプロトコールに従ってグルコース-PMP誘導体化を行った後、LC−TOF/MS分析に供し、透過したグルコースの透過量を測定した。
・誘導体化プロトコール:試験例1−1と同様とした。
・LC/TOF−MS分析条件:試験例1−1と同様とした。
[結果・考察]
腸管における主要な排出トランスポーターのP−gp及びMRP2の阻害剤であるCyclosporin Aを用いて、グルコース透過試験を行った。
その結果、Fig.10(図10)に示すようにCyclosporin Aを用いてP−gp及びMRP2からの排出を遮断した状態において、トマトシドAのグルコース透過抑制作用は有意に消失した。
したがって、トマトシドAのグルコース透過抑制作用は、トマトシドA自身の細胞外排出が関与する可能性が示された。
[試験例2−4] トマトシドAのCaco−2細胞における細胞内流入経路の検討
[目的]
試験例2−2により、トマトシドAが一度細胞内に取り込まれた後に細胞外へと排出される可能性が示唆された。細胞内流入経路として小腸上皮膜において多くのトランスポーターが存在しているが、本試験では、その中でも胆汁酸トランスポーター(ASBT)に着目した。ASBTは、腸管上皮の頂膜側に局在し、主に胆汁の再吸収にかかわるトランスポーターである。ASBTの阻害剤であるFluvastatin(100μM)を用いてグルコース透過試験を行った。
[方法]
コラーゲンコートした Cell culture insertにCaco−2細胞を播種し、腸上皮分化促進培地で3日間培養することでCaco−2細胞単層膜を形成させた後、10μMのトマトシドA溶液で3時間処理を行った。この際、ASBTの阻害剤であるFluvastatin(100μM)を添加した。
トマトシドA溶液除去後、Cell culture insertの頂膜側にpH6.0のグルコースを溶解させていないHBSS液を0.5mL添加し、Cell culture insertの側基底膜側にpH7.4のHBSS液を1.5mL添加し、37℃のCOインキュベーターを用いて15分間プレインキュベーションを行った。
その後、Cell culture insertの頂膜側及び側基底膜側のHBSS液を除去し、頂膜側には13-グルコース(1mM)を含むHBSS液を0.5mL添加し、側基底膜側にはHBSS液を1.5mL添加した。37℃のCOインキュベーター中で30分間インキュベーションを行った後、側基底膜側のHBSS液を300 μLずつ回収し、試験例1−1又は試験例2−3の項に示したプロトコールに従ってグルコース−PMP誘導体化を行った後、LC−TOF/MS分析に供し、透過したグルコースの透過量を測定した。
・誘導体化プロトコール:試験例1−1又は試験例2−3と同様とした。
・LC/TOF−MS分析条件:試験例1−1又は試験例2−3と同様とした。
[結果・考察]
小腸膜上皮及びCaco−2細胞に存在する胆汁酸トランスポーター(ASBT)の阻害剤であるFluvastatinを用いてグルコースの透過試験を行った。
その結果、Fig.11(図11)に示すようにASBTからの細胞内流入を遮断した状態においてトマトシドAのグルコース透過抑制作用は有意に消失した。したがって、トマトシドAのグルコース 透過抑制作用は、ASBTの細胞内流入が関与する可能性が示された。
[試験例2−5] ASBT−ノックダウン細胞株を用いたトマトシドAの細胞内流入経路としてのASBTの関与評価
[目的]
試験例2−4において、トマトシドAの細胞内流入経路が胆汁酸トランスポーター(ASBT)である可能性が示された。そこで、si―RNAを用いて、Caco−2細胞におけるASBT−ノックダウン株(ASBT−KD株)を新たに構築し、細胞内流入経路としてASBTの関与評価を行った。
●ASBT−KD細胞株の構築
[方法]
・siRNA Transfection(Caco−2細胞へのsiRNA導入)
2,300μLのDMEM/5%FBS培地を用いてCaco−2細胞を6−well plate に播種した(2x10cells/well)。Transfectionまで、通常の培養生育条件下(37℃、5% CO)でインキュベートした。マイクロエッペンにsiRNAの終濃度が25nMになるように800ngのsiRNAを100μLのDMEM培地で希釈した。24μLのHiPerFect Transfection Reagentを添加し、ヴォルテックスでよく撹拌した。室温(15―25℃)でインキュベートし、transfection complexを形成させた。
このtransfection complexを6−well plateのwellに各容量を1滴ずつ滴るよう添加した。プレートを静かに回してtransfection complexの分布を一様にした。通常の培養生育条件下(37℃、5% CO)で48時間インキュベートした(同調培養)。48時間後、培地交換を行った。同様にnegative si−RNA(終濃度25nM)を用いてネガティブコントロール株を作製した。

・siRNA Transfectionプロトコール
下記のプロトコールに従ってsiRNA Transfectionを行った。


・ASBT-KD細胞株を用いたグルコース透過試験
[方法]
コラーゲンコートしたCell culture insertにCaco-2細胞を播種した。腸上皮分化促進培地で3日間培養することでCaco-2細胞単層膜を形成させる際に、2日目から腸上皮分化促進培地に、ASBT-siRNA+Transfection regent(終濃度25nM)を添加し、48時間のTransfection処理を行った。
その後、1日間DMEM+10%FBSで培養を行い、透過試験に用いた。透過試験では、細胞膜をトマトシドA溶液(10μM)で、3時間処理を行った。
サンプル除去後、腸膜側のCell culture insertにpH6.0のHBSS液を0.5ml添加し、側基底膜側のCell culture insertにpH7.4のHBSS液を1.5ml添加した。15分間プレインキュベーション後、HBSS液を除去し、頂膜側に13-グルコース(1mM)を含むHBSS液、側基底膜側にHBSS液をインキュベーションと同様量添加した。30分後に300μL回収した。得られた透過液をPMP誘導体化し、LC−TOF/MS分析に供した。
[結果・考察]
ASBT-siRNAを用いてCaco-2細胞におけるASBT-KD細胞株を構築した。
その結果、Fig.12(図12)に示すように、ASBT-siRNA濃度25nM、48時間インキュベートにおいて有意にASBTのタンパク質発現量の抑制が認められた(%of Control: ASBT, 80.0 ± 3.3 ; Negative, 91.6 ± 1.8 )。
続いて、この新たに作製したASBT-KD細胞株を利用し、トマトシドAのグルコース透過抑制作用を評価したところ、Fig.13(図13)に示すように、ASBT-KD細胞株において、トマトシドAのグルコース透過抑制作用は見られなかった(%of Control: ASBT-KD+トマトシドA, 87.4±4.7)。なお、negative−si−RNAによる影響は見られなかった。
以上より、トマトシドAの細胞内流入経路としてASBTが関与していることが示された。
これらの試験の結果から、トマトシドAがグルコース透過を抑制することが明らかになった。
また、これらの試験の結果から、トマトシドAのグルコース透過抑制作用にはSGLT1発現量の抑制が関与していることが示されるとともに、ASBTの細胞内流入が関与している可能性があることが示された。
トマトシドAを含む本発明の飲食品及び組成物が、血糖上昇を抑制する活性を有することが示された。
本発明によれば、血糖上昇を十分に抑制する飲食品及びかかる飲食品に用いることができる組成物が提供される。したがって、本発明は、飲食品産業及び健康産業ならびにこれらの産業に関連する産業の発展に貢献するところ大である。

Claims (13)

  1. トマトシドA又はその生理学的に許容される塩を含む、血糖上昇を抑制する飲食品。
  2. トマトシドA又はその生理学的に許容される塩としてトマトの果実から得られたものを含む、請求項1に記載の飲食品。
  3. トマトシドA又はその生理学的に許容される塩が、飲食品全体に対して0.001〜1重量%の割合で含まれる、請求項1又は2に記載の飲食品。
  4. トマトシドA又はその生理学的に許容される塩が、細胞内へのグルコース透過を抑制すること及び/又はSGLT1の発現を抑制することにより血糖上昇を抑制する、請求項1〜3のいずれかに記載の飲食品。
  5. サプリメント、特定保健用食品、栄養機能食品、健康食品、機能性食品又は健康補助食品である、請求項1〜4のいずれかに記載の飲食品。
  6. ジュース、清涼飲料、豆乳、ドリンク剤、茶、ビスケット、タブレット、顆粒粉末、粉末、カプセル、ペースト、ゼリー、スープ、調味料、ドレッシングの形状である、請求項5に記載の飲食品。
  7. トマトシドA又はその生理学的に許容される塩を含む、血糖上昇を抑制するための組成物。
  8. トマトシドA又はその生理学的に許容される塩としてトマトの果実から得られたものを含む、請求項7に記載の組成物。
  9. トマトシドA又はその生理学的に許容される塩が、組成物全体に対して0.001〜80重量%の割合で含まれる、請求項7又は8に記載の組成物。
  10. トマトシドA又はその生理学的に許容される塩が、細胞内へのグルコース透過を抑制すること及び/又はSGLT1の発現を抑制することにより血糖上昇を抑制する、請求項7〜9のいずれかに記載の組成物。
  11. 血糖上昇抑制用の剤である、請求項7〜10のいずれかに記載の組成物。
  12. サプリメント又は食品添加剤である、請求項11に記載の組成物。
  13. 請求項7〜12のいずれかに記載の組成物を配合した飲食品。

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