JP2011043031A - 免震構造、及び免震構造物 - Google Patents

免震構造、及び免震構造物 Download PDF

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Abstract

【課題】構造物の高さの増加を抑制しつつ、下梁の梁下の有効高さ、及び、上梁の梁上の有効高さ、の少なくとも一方を確保する。
【解決手段】下梁150に折曲部152を形成することで、鉄道駅全体の高さの増加を抑えつつ、且つ、基礎柱20の柱断面が増大し梁下(基礎梁横)の下部空間の有効面積が減少することなく、下梁150の梁下の有効高さが確保される。
【選択図】図2

Description

本発明は、免震構造及び、該免震構造が適用された免震構造物に関する。
特許文献1には、構造床の上に設けられた床免震装置上に免震床を配置する免震床構造において、構造床(スラブ)に凹部を形成し、この凹部内に床免震装置を配置することで、必要階高を低く抑える免震床構造が提案されている(特許文献1を参照)。
また、特許文献2には、線路上空の建築物の免震防振構造システムにおいて、基礎杭に連結された基礎柱と建築物の基礎部の柱との間に、厚肉型積層ゴムを備える免震装置を設けることよって、耐震性能を向上させると共に、鉛直方向の剛性を柔らかくすることで線路を走る鉄道車両の振動に対する防振効果を高めた免震防振構造システムが提案されている(特許文献2を参照)。
特開平10−176380号公報 特開2006−249795号公報
特許文献2のように、上部支持部(基礎部の柱)と下部支持部(基礎柱)との間に免震装置を設ける免震構造(免震層の上下に梁を設ける免震構造)においては、下部支持部に接合された下梁の位置(レベル)で下梁の梁下の有効高さが決定される。また、同様に、上部支持部に接合された上梁の位置(レベル)で上梁の梁上の有効高さが決定される。
よって、免震装置(免震層)を設けない構造と同様の下梁の梁下の有効高さ及び上梁の梁上の有効高さを確保しようとすると、免震装置の高さ分(免震層の層厚分)、構造物の高さ(建物高さ)が増加する。或いは、構造物の高さを変えない場合には、免震装置の高さ分(免震層の層厚分)、下梁の梁下の有効高さ及び上梁の梁上の有効高さが小さくなる。
本発明は、上記を考慮し、構造物の高さの増加を抑制しつつ、下梁の梁下の有効高さ、及び、上梁の梁上の有効高さ、の少なくとも一方を確保することが目的である。



図2

請求項1の発明は、上部支持部と下部支持部との間に設けられた免震装置と、前記上部支持部に接合された上梁と、前記下部支持部に接合され、平面視において前記上梁と隙間をあけて並列に配置された下梁と、前記上梁及び前記下梁の少なくとも一方の梁に形成され、側面視において他方の梁に近づく方向に折り曲がる折曲部と、を備えている。
請求項1に記載の発明では、上梁と下梁との少なくとも一方に折曲部を形成することによって、上梁と下梁のいずれにも折曲部を形成しない構造と比較し、平面視において、免震装置から遠ざかる方向を外側とした場合の、側面視における折曲部から外側の下梁と上梁との上下方向の間隔が狭くなる。
すなわち、下部支持部と上部支持部との間に免震装置が設けられた構造物の高さの増加を抑制しつつ、下梁の梁下の有効高さ、及び、上梁の梁上の有効高さ、の少なくとも一方が確保される。
請求項2の発明は、平面視において前記免震装置から遠ざかる方向を外側とし、側面視において、前記折曲部よりも外側の少なくとも一部は、前記上梁と前記下梁とが重なっている。
請求項2の発明では、側面視において、折曲部よりも外側の少なくとも一部は、上梁と下梁とが重なっているので、下梁の梁下の有効高さ、及び上梁の梁上の有効高さが、上梁と下梁とが重なっていない場合と比較し、大きく確保される。
請求項3の発明は、前記下部支持部と前記上部支持部とが、前記下梁と前記上梁との隙間が狭くなる方向に、予め定められた相対移動量よりも大きく移動すると、前記上梁と前記下梁とが接触、又は衝撃吸収材を介して接触するように、前記上梁と前記下梁との隙間が設定されている。
請求項3の発明では、上部支持部と下部支持部とが、下梁と上梁との隙間が狭くなる方向に、予め定められた相対移動量よりも大きく移動すると、上梁と下梁とが接触する。これにより、上部支持部と下部支持部とが予め定められた相対移動量よりも大きく移動することが防止される。
なお、予め定められた相対移動量は、免震装置の限界変形量(免震装置の過大変形の防止)や上部支持部と下部支持部とが相対移動可能な設計仕様等によって決定される。
また、上梁と下梁とが、衝撃吸収材を介して接触する構成とすることで、上梁と下梁とが接触した際の衝撃が抑制される。
請求項4の発明は、前記下部支持部と前記上部支持部とが予め定められた相対移動量よりも大きく移動すると、前記下部支持部、前記上部支持部、及び前記免震装置のいずれかと前記折曲部とが接触、又は衝撃吸収材を介して接触するように、前記下部支持部、前記上部支持部、及び前記免震装置のいずれかと前記折曲部との隙間が設定されている。
請求項4の発明では、上部支持部と下部支持部とが、前記折曲部が形成された梁の長手方向に、予め定められた相対移動量よりも大きく移動すると、上部支持部、下部支持部、及び免震装置のいずれかと折曲部とが接触する。これにより、上部支持部と下部支持部とが予め定められた相対移動量よりも大きく移動することが防止される。
なお、予め定められた相対移動量は、免震装置の限界変形量(免震装置の過大変形の防止)や上部支持部と下部支持部とが相対移動可能な設計仕様等によって決定される。
また、上部支持部、下部支持部、免震装置のいずれかと折曲部とが、衝撃吸収材を介して接触する構成とすることで、折曲部と接触した際の衝撃が抑制される。
請求項5の発明は、前記折曲部は少なくとも前記下梁に形成されると共に、前記下部支持部から両側に延出する前記下梁の前記折曲部の上面又は上方に上側凹の湾曲面が設けられ、前記免震装置は、前記折曲部の上面又は上方に設けられた前記湾曲面と、前記上部支持部の下端部に設けられ、前記湾曲面に支持されると共に前記湾曲面に沿って移動可能な支承部と、を有している。
請求項5の発明では、通常は下梁の折曲部の上面又は上方に設けられた湾曲面の底部(原点)に、上部支持部の下端部に設けられた支承部が支持されている。そして、地震時には、湾曲面に沿って支承部が移動することで、免震機能を有する。
また、地震後には、支承部が湾曲面の底部(原点)に戻る。言い換えると、支承部が原点復帰する原点復帰機能を有する。
このように、下梁の折曲部を利用することで、原点復帰機能を有する免震装置が省スペースで実現される。
請求項6の発明は、前記湾曲面が、略半球状に構成されている請求項5に記載の免震構造。
請求項6の発明では、湾曲面は略半球状に構成されているので、水平方向の全方向に対して支承部が移動する。したがって、免震装置は、特定の方向だけでなく、全方向の地震の揺れに対して免震機能及び原点復帰機能を有する。
請求項7の発明は、前記上部支持部と前記下部支持部の相対移動を減衰させる減衰部材が、前記上梁と前記下梁とに連結されている。
請求項7の発明では、平面視において、隙間をあけて並列に配置された上梁と下梁とに減衰部材が連結されている。よって、減衰部材が下梁の梁下の有効高さ及び上梁の梁上の有効高さに影響を与えない、或いは与える影響が少ない。
請求項8の発明は、前記上梁及び前記下梁のいずれか一方は、平面視において並列に配置された二つの梁で構成され、前記上梁及び前記下梁のいずれか他方は、平面視において並列に配置された前記二つの梁の間に配置されている。
請求項8の発明では、並列に配置された二つの上梁(又は下梁)の間に、下梁(又は上梁)が配置されている。よって、例えば、平面視において、一つの上梁と一つの下梁とがずれて配置されている構成と比較し、構造物に作用する常時荷重や地震時荷重がバランスよく支持される。
請求項9の発明は、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の免震構造を備えている。
請求項9の発明では、構造物の高さの増加を抑制しつつ、下部支持部に接続された下梁の梁下の有効高さ、及び、上部支持部に接続された上梁の梁上の有効高さ、少なくとも一方が確保される。
また、平面視において上梁と下梁がずれて配置されているので(平面視において上梁と下梁が重なっていないので)、平面視において上梁と下梁とが重なっている場合と比較し、免震層上下階等から免震装置のメンテナンスを容易に行なうことができる。
請求項10の発明は、線路の上空に設けられる構造物に適用され、前記折曲部は少なくとも前記下梁に形成されると共に、前記折曲部が形成された前記下梁は前記線路と交差する方向に沿って配置されている請求項9に記載の免震構造物。
請求項10の発明では、折曲部が形成された下梁は線路と交差する方向に沿って配置されているので、線路上空の空間、すなわち鉄道車両上空の空間が、構造物の高さの増加を抑制しつつ、確保される。
請求項1の発明によれば、下部支持部と上部支持部との間に免震装置が設けられた構造物の高さの増加を抑制しつつ、下梁の梁下の有効高さ、及び、上梁の梁上の有効高さ、の少なくとも一方を確保することができる。
請求項2の発明によれば、下梁の梁下の有効高さ、及び上梁の梁上の有効高さが、上梁と下梁とが重なっていない場合と比較し、大きく確保することができる。
請求項3の発明によれば、上部支持部と下部支持部とが予め定められた相対移動量よりも大きく移動することを防止することができる。
請求項4の発明によれば、上部支持部と下部支持部とが予め定められた相対移動量よりも大きく移動することを防止することができる。
請求項5の発明によれば、下梁の折曲部を利用することで、原点復帰機能を有する免震装置を省スペースで実現することができる。
請求項6の発明によれば、特定の方向だけでなく、全方向の地震の揺れに対して免震機能及び原点復帰機能を有する免震装置を省スペースで実現することができる。
請求項7の発明によれば、減衰部材が下梁の梁下の有効高さ及び上梁の梁上の有効高さに影響を与えない、或いは与えたとしてもその影響を少なくすることができる。
請求項8の発明によれば、平面視において、例えば、一つの上梁と一つの下梁とがずれて配置されている構成と比較し、構造物に作用する常時荷重や地震時荷重をバランスよく支持することができる。
請求項9の発明によれば、構造物の高さの増加を抑制しつつ、下部支持部に接続された下梁の梁下の有効高さ、及び、上部支持部に接続された上梁の梁上の有効高さ、の少なくとも一方が確保される。
請求項10の発明によれば、線路上空の空間、すなわち鉄道車両上空の空間を、構造物の高さの増加を抑制しつつ、確保することができる。
本発明の第一実施形態の免震構造が適用された鉄道駅の骨格構造を模式的に示す模式図である。 本発明の第一実施形態に係る免震構造を示す斜視図である。 図1に示す本発明の第一実施形態に係る免震構造の分解斜視図である。 図1に示す本発明の第一実施形態に係る免震構造をY方向に見た側面図である。 図1に示す本発明の第一実施形態に係る免震構造の平面図である。 図5を部分的に拡大した拡大平面図である。 図6の状態からY方向に上部柱(上部構造部)が移動した状態を示す拡大平面図である。 下梁と上梁とが平行(又は略平行)に配置されていない例を模式的に示す説明図であり、(A)は上梁を構成する梁が途中で屈曲して幅狭となった例を示す図であり、(B)は上梁に対して上梁を構成する一対の梁が外側に向かうに互いに従って近づくように斜めに配置された例を示す図であり、(C)は下梁に対して上梁を構成する一対の梁が外側に向かうに互いに従って離れるように斜めに配置された例を示す図である。 本発明の第一実施形態の第一変形例の免震構造を示す図2に対応する斜視図である。 本発明の第一実施形態の第二変形例の免震構造を示す図2に対応する斜視図である。 本発明の第一実施形態の第三変形例の免震構造を示す図2に対応する斜視図である。 折曲部を形成する下梁のバリエーションを説明する平面図であり、(A)は全方向の梁に折曲部を形成した例を示す図であり、(B)は三方向の梁に折曲部を形成した例を示す図であり、(C)は二方向の梁に折曲部を形成した例を示す図であり、(D)は一方向の梁に折曲部を形成した例を示す図である。 上梁と下梁とが約45°ずれて配置されている例を説明する平面図である。 本発明の第二実施形態に係る免震構造をY方向に見た側面図である。 図14の状態から上部柱(上部構造部)がX方向に移動した状態を示す側面図である。 本発明の第二実施形態の免震構造において、折曲部の側面に衝撃緩衝部材を設けた例を示す図15に対応する側面図である。 本発明の第三実施形態に係る免震構造を示す分解斜視図である。 図17に示す本発明の第三実施形態の免震構造をY方向に見た側面図である。 本発明の第四実施形態に係る免震構造を示す分解斜視図である。 本発明の第四実施形態に係る免震構造を示す平面図である。 本発明の免震構造が適用され免震改修された第一適用例のビルを模式的に示す模式図である。 本発明の免震構造が適用され免震改修された第二適用例のビルを模式的に示す模式図である。 本発明が適用されてない比較例としての免震構造が適用された(A)は第一比較例の構造物を模式的に示す模式図であり、(B)は第二比較例の構造物を模式的に示す模式図である。
<第一実施形態>
図1〜図6を用いて、本発明の第一実施形態に係る免震構造が適用された鉄道駅10について説明する。
図1は、本発明に係る免震構造100が適用されて免震改修された免震構造物としての鉄道駅10における柱や梁などの骨格構造を模式的に示す正面図である。
図1に示すように、地中には複数の基礎杭12が設けられ、各基礎杭12に基礎柱20が連結されている。各基礎柱20は地中から立ち上げられ、各基礎柱20の間の地上に、鉄道車両14が走行するための線路16が複数敷設されている。よって、各基礎柱20の間が、鉄道車両14が通過する空間22とされている。また、図1では、図に直交する方向に鉄道車両14が走行する構成となっている。
なお、各図において、図1の左右方向(鉄道車両14の走行方向と直交する水平方向)を矢印Xで示し、図1に直交する方向(鉄道車両14が走行する方向)を矢印Yで示し、鉛直方向を矢印Zで示す。
線路16横には、乗客が鉄道車両14に乗降するためのプラットホーム18が複数設けられている。また、基礎柱20の上に多層構造の上部構造部(線路上空構造物)50が構築されている。上部構造物部(線路上空構造物)50の各層(各階)には、コンコースや商業施設などが設けられている。なお、基礎柱20を有する構造部分を下部構造部52とする。
本実施形態においては、鉄道駅10は、上部構造部50の構造部材を構成する上部柱30と基礎柱20との間に免震装置40を配置することによって、免震改修されている(中間免震構造が適用されている)。
別の言い方をすると、鉄道車両14の通路として供するために地中梁を設けない基礎杭12に連結して配置される基礎柱20と、基礎柱20上に構築される上部構造部50の基礎部の上部柱30と、の間に免震装置40を配置することによって、免震改修されている。
このように免震改修よって、上部構造部50と下部構造部52との間に免震装置40が配置された免震層102が設けられている。言い換えると、上部構造部50の基部に免震装置40を配置した免震層102が設けられている。また、免震層102の上下に上梁180、280と下梁150、250とが配置されている(上梁180、280と下梁150、250の詳細は後述する)。
図2〜図5に示すように、上部柱30の下部には平面視正方形状のダイヤフラム170が設けられ、同様に基礎柱20の上部には平面視正方形状のダイヤフラム160が設けられている。そして、前述した免震装置40はダイヤフラム160とダイヤフラム170との間に配置されている。
なお、ダイヤフラムとは、鉄骨造における柱と梁との剛接合部の応力伝達を補い、仕口の剛性を高めるために設ける鋼板とされている。
図3と図4とに示すように、免震装置40は金属板とゴムとを鉛直方向(Z方向)に交互に積層し、全体として、鉛直方向を軸方向とする円柱状に形成された積層ゴム本体42を有している。また、積層ゴム本体42の積層方向両端面には、積層ゴム本体42よりも径方向外側に張り出すフランジ板44が一体的に取り付けられている。
そして、これらフランジ板44がダイヤフラム160、170に、例えば、ボルトとナットとで接合されている。
なお、本実施形態においては、免震装置40の積層ゴム本体42は、肉厚のゴムで構成された肉厚型積層ゴム体とされている。この肉厚型積層ゴム体は、通常の積層ゴムに比べて一層あたりのゴム厚を大きくすることで、鉛直方向の剛性が小さく設定されている(鉛直方向の剛性が柔らかくなるように設定されている)。
図2〜図5に示すように、上部柱30のダイヤフラム170には線路階床21(図1、図4参照)の受梁(線路階床受梁)としての上梁180、280が接合され、基礎柱20のダイヤフラム160には線路階大梁としての下梁150、250が接合されている。つまり、上述したように、免震層102の上下に上梁180、280と下梁150、250が設けられた構成とされている。
また、上梁180はX方向に沿って配置され、上梁280はY方向に沿って配置されている。同様に、下梁150はX方向に沿って配置され、下梁250はY方向に沿って配置されている(図5参照)。
なお、以降、平面視において、免震装置40から遠ざかる水平方向(X方向、Y方向)を「外側」とし、免震装置40に近づく方向を「内側」とする。
X方向に沿って配置された上梁180は、Y方向に間隔をあけて並んで配置されている一対の梁182と梁184とで構成されている。同様にY方向に沿って配置された上梁280はX方向に間隔をあけて並んで配置されている一対の梁282と梁284とで構成されている。なお、梁182、梁184、梁282、梁284は、同じ高さに配置されている。
X方向に沿って配置された下梁150は、平面視において、上梁180を構成する梁182と梁184との間に配置されている。言い換えると、平面視において下梁150と梁182、184とが、予め定められた隙間をあけて並列に配置されている(図5参照)。
同様に、Y方向に沿って配置された下梁250は、平面視において、上梁280を構成する梁282と梁284との間に配置されている。言い換えると、平面視において下梁250と梁282、284とが、予め定められた隙間をあけて並列に配置されている(図5参照)。
なお、予め定められた隙間とは、地震時おける上部柱30と基礎柱20との水平方向の相対移動量に基づいて決定される隙間とされている。具体的には、免震装置40の限界変形量(免震装置40の過大変形の防止)や上部柱30と基礎柱20とが相対移動可能な設計仕様等によって決定される。また、隙間は、基本的には、上梁と下梁との最も間隔が狭いところが基準とされる。
そして、本実施形態においては、免震装置40の限界変形量(免震装置40の過大変形の防止)によって、隙間が設定されている。なお、限界変形量についての詳細は後述する。
また、本実施形態においては、上梁180(梁182、184)、及び上梁280(梁282、284)は、断面がH状のH鋼とされている。また、下梁150、下梁250は、断面が矩形状の閉断面構造の鋼材とされている。なお、本実施形態の上梁180、280及び下梁150、250の構造などは、一例であって、これに限定されない。
線路16(図1参照)と直交するX方向に配置された下梁150には、Y方向に見た側面視において上梁180に近づく方向に折り曲がる折曲部152が形成されている。言い換えると、下梁150には外側に向かって上り勾配に傾斜した折曲部152が形成されている。なお、下梁150における折曲部152よりも外側の部位154は水平配置されている。よって、免震層102における折曲部152よりも外側は層厚が狭くなっている(図1と図4を参照)。
また、本実施形態においては、折曲部152の内側端部がダイヤフラム160に接合されている。しかし、図示は省略するが、ダイヤフラム160と折曲部152との間に水平部分が形成されていてもよい。なお、水平部分が形成されている場合も、折曲部152は免震装置40の近傍に形成されていることが望ましい(後述する下梁150の梁下の空間をできるだけ広く確保するため)。
また、Y方向に見た側面視において、下梁150の折曲部152よりも外側の部位154は、上梁180と重なっている。つまり、下梁150における折曲部152よりも外側の部位154は、上梁180を構成する一対の梁182と梁184との間に配置されている。
なお、本実施形態においては、線路16と平行、すなわちY方向に沿って配置された下梁250には折曲部は形成されていない。
図6に示すように、本実施形態においては、免震装置40の、図におけるX方向左側に配置された下梁150と上梁180を構成する梁182との間の隙間(距離)S1と、下梁150と上梁180を構成する梁184との間の隙間(距離)S2と、は同じに設定されている。更に、図における免震装置40の右側に配置された下梁150と上梁180を構成する梁182との間の隙間(距離)S3と、下梁150と上梁180を構成する梁184との間の隙間(距離)S4と、はS1(=S2)と同じに設定されている。つまり、本実施形態においては、S1=S2=S3=S4となるように設定されている。
なお、前述したようにS1=S2は、免震装置40の限界変形量(免震装置40の過大変形の防止)や上部柱30と基礎柱20とが相対移動可能な設計仕様等によって決定され、本実施形態においては、免震装置40の限界変形量(免震装置40の過大変形の防止)によって設定されている(詳細については後述する)。
また、本実施形態においては、免震装置40の、図におけるY方向下側に配置された下梁250と上梁280を構成する梁282との間の隙間(距離)S5、下梁250と上梁280を構成する梁284との間の隙間(距離)S4、更に、免震装置40の、図におけるY方向上側に配置された下梁250と上梁280を構成する梁282との間の隙間(距離)S7、下梁250と上梁280を構成する梁284との間の隙間(距離)S8、はS1と同じに設定されている。つまり、本実施形態においては、S1=S2=S3=S4=S5=S6=S7=S8となるように設定されている。よって、以降、特これらを区別する必要がない場合は、隙間S1と記して説明する。
なお、本実施形態においては、S1=S2=S3=S4=S5=S6=S7=S8となるように設定されているが、これに限定されるものではない。
図2〜図5に示すように、上部柱30のダイヤフラム170の角部と基礎柱20のダイヤフラム160の角部との間には、金属ダンパー(金属履歴系ダンパー)46が接合されている。金属ダンパー46は、帯状の金属板が略U字状に湾曲した構成とされている。
なお、金属ダンパー46は、積層ゴム本体42の積層方向両端面に一体的に取り付けられたフランジ板44に接合されていてもよい(積層ゴム一体型免震U字ダンパー)。
また、免震装置40のX方向両外側には、X方向に沿ってオイルダンパー60が配置されている。オイルダンパー60の一端62は、免震装置40のX方向両外側に配置された各下梁150の折曲部152よりも外側の部位154に水平方向に回転可能に連結されている。
図4及び図5においてX方向左側に配置されたオイルダンパー60は外側(免震装置40から遠ざかる方向)に向かって延び、他端64が上梁180を構成する梁182と梁184とに掛け渡されて接合された連結部66に水平方向に回転可能に連結されている。
図4及び図5においてX方向右側に配置されたオイルダンパー60は内側(免震装置40に近づく方向)に向かって延び、他端64が上梁180を構成する梁182と梁184とに掛け渡されて接合された連結部66に水平方向に回転可能に連結されている。
つぎに本実施形態の作用について説明する。
図1や図4に示すように、X方向に沿って配置された下梁150に折曲部152を形成することによって、Y方向に見た側面視における折曲部152から外側、本実施形態においてはY方向に見た側面視における下梁150のX方向左右端部に形成された折曲部152と折曲部152との間を構成する外側の部位154と上梁180との上下方向の間隔が、狭くなる(図1参照)。
言い換えると、免震層102における折曲部152と折曲部152との間の層厚が狭くなる。
また、本実施形態においては、下梁150における折曲部152よりも外側の部位154(折曲部152と折曲部152との間)は、下梁150と上梁180とが重なっている。よって、免震層102の層厚が梁一段分(下梁150又は上梁180の上下方向高さ分)になる。
ここで、図23(A)と図23(B)とには、本発明が適用されてない比較例としての免震構造が適用された構造物が模式的に示されている。
図23(A)の第一比較例に示すように、上部柱30と基礎柱20との間に免震装置40を設ける免震構造(免震層101の上下に上梁180と下梁151とを設ける免震構造)においては、基礎柱20に接合された下梁151の位置(レベル)で下梁151の梁下の有効高さK1が決定される。また、同様に、上部柱30に接合された上梁180の位置(レベル)で上梁180の梁上の有効高K2さが決定される。なお、下梁151には、折曲部152(図2など参照)は形成されていない。
よって、免震装置40(免震層101)を設けない構造と同様の下梁151の梁下の有効高K1さ及び上梁180の梁上の有効高さK2(階高)を確保しようとすると、免震装置40の高さ分(免震層101の層厚分)、構造物11の高さ(建物高さ)が増加する。或いは、構造物11の高さを変えない場合には、免震装置40の高さ分(免震層101の層厚分)、下梁151の梁下の有効高さK1及び上梁180の梁上の有効高さK2が小さくなる。
また、図23(B)の第二比較例に示すように、下梁151を設けない構造とすると、構造物11の高さを変えることなく、梁下の有効高さK1(この場合は、上梁180の梁下)及び上梁180の梁上の有効高さK2を確保することが可能である。しかし、下梁を設けないと、その分、基礎柱21の応力負担が大きくなる。よって、基礎柱21の柱断面を増大する必要が生じる。つまり、図23(A)では基礎柱20の直径がAであるが、図23(B)に示すように、直径Bの基礎柱21とする必要が生じる。その結果、梁下(基礎柱21横)の下部空間の有効面積が減少する。つまり、図23(B)では、「(直径B−直径A)×2」分、X方向の幅が狭くなる。
これに対して、図1等に示す本実施形態の免震構造100の場合は、下梁150に折曲部152を形成することで、鉄道駅10全体の高さの増加を抑えつつ(或いは、高さが増加することなく)、且つ、基礎柱20の柱断面が増大し梁下(基礎柱20横)の下部空間の有効面積が減少することなく、下梁150の梁下の有効高さK1(正確には、下梁150の外側の部位154の梁下の有効高さK1)が確保される。また上梁180の梁上の有効高さ(階高)K2も確保される。
なお、下梁150の梁下の空間をできるだけ広く確保するため、折曲部152は免震装置40の近傍に形成されていることが望ましい。
また、本実施形態においては、折曲部152が形成された下梁150は線路16と直交するX方向に沿って配置されているので、線路16上空の空間、すなわち鉄道車両14上空の空間が確保される。
また、プラットホーム18の端(鉄道車両14)と基礎柱20との間隔K3は、人が通行するため等の幅を確保する必要がある。よって、本実施形態のように、基礎柱20の柱断面を増加させることなく、下梁150の有効高さK2が確保されることは、好適とされる。言いかえると、鉄道駅10は、建物高さ、鉄道車両上の空間(有効高さK1)、プラットホーム18における通行幅等の各種設計規格や設計制限があるが、本構造を適用することで、鉄道駅10全体の耐震性能を向上しつつ、容易にこれらを満足することができる。
また、オイルダンパー60が、X方向に沿って配置された上梁180と下梁150とに連結されている。よって、図5の二点破線(想像線)で示すように、Y方向に沿って配置された下梁250と上梁280(梁282)との間を掛け渡すようにX方向に沿ってオイルダンパーを設置する構成と比較し、オイルダンパー60の下側の有効高さK1に影響を与えない、或いは与える影響か少ない
また、下梁150及び下梁250は、平面視において並列(本実施形態では平行)に配置された上梁180、280を構成する一対の梁182、184及び一対の梁282、284の間に配置されている。よって、例えば、平面視において、一つの上梁と一つの下梁とがずれて配置されている構成と比較し、下部構造部52に作用する常時荷重や地震時荷重がバランスよく支持される。
また、平面視において上梁150、250と下梁180、280とがずれて配置されているので、上梁と下梁とが重なっている場合と比較し、免震層上下階から免震装置40のメンテナンスを容易に行なうことができる。
つぎに、地震時の挙動等について説明する。
本実施形態の免震構造100が適用されて免震改修された鉄道駅10は、地震時おいて、免震装置40によって水平方向の揺れが吸収され、免震装置40から上の上部構造部50への揺れが低減する。また、オイルダンパー60と金属ダンパー46とによって、上部構造部50の揺れ(免震層102の変形)が抑制されると共に、揺れが減衰する。なお、このような免震装置40、オイルダンパー60、及び金属ダンパー46による免震機能は、従来の中間免震構造が適用された構造物と同様であるので、詳しい説明を省略する。
地震時以外において、線路16を走る鉄道車両14からの振動は、基礎柱20を介して鉄道駅10の上部構造部50へと伝達される。しかし、本実施形態においては、免震装置40を構成する積層ゴム本体42は、肉厚型積層ゴム体で構成されている。そして、肉厚型積層ゴム体は鉛直方向の剛性が柔らかく設定されているので、上部構造部50への鉄道車両14からの振動の伝達を抑制する防振効果が高められる。
一方、免震装置40(免震層102)から下側の下部構造部52は、高剛性架構と免震構造100とよる入力低減効果によって揺れを低減させ、変形制限が確保されるように設計されている。
ここで、地震時における免震装置40の変形量(上部柱30と基礎柱20との水平方向の相対移動量)には変形限界値Mが規定されており、L2地震時であっても変形限界値Mを超えないように設計されている。言い換えると、L2地震時であっても、免震装置40の変形量(上部柱30と基礎柱20との水平方向の相対移動量)は、変形限界値Mよりも小さくなるように設計されている。
そして、本実施形態においては、下梁150と上梁180を構成する梁182、184の間の隙間(距離)S1(図6参照)は、免震装置40の変形限界値Mと同じか、変形限界値Mよりも若干大きく設定されている。よって、L2地震時においても、下梁150の折曲部152から外側の部位154(梁182、184と側面視で重なっている部位、図2及び図4参照)と、梁182、184と、が接触することはない。つまり、L2地震時においても、免震装置40が有する免震性能が最大限発揮される。
なお、L2地震(レベル2地震)とは、極めてまれに発生する規模(500年に1回程度)の地震とされている。
しかしながら、L2地震を超える大きな揺れが発生した場合は、免震装置40は変形限界値M以上の過大変形が発生する。
このような場合は、図7に示すように、免震装置40が下梁150と上梁180との隙間が狭くなる方向(本実施形態においてはY方向)にS1(変形限界値M以上)変形すると(上部柱30と基礎柱20が相対移動すると)、下梁150と梁182、184とが当り、これ以上の移動が防止される(図7は、下梁150と梁182が接触した状態の図である)。
よって、免震装置40はS1以上の過大変形が防止される。つまり、下梁150と梁182、184の間の隙間(距離)S1が、Y方向の最大変形量となる。そして、隙間S1は、免震装置40が過大変形しても安全性が確保される最大変形量に設定されている。
このように下梁150(の外側の部位154)と上梁180(梁182、184)とは、免震装置40の過大変形を防止する(安全性を確保する)ストッパー機能を有している。なお、正確にはS1は、上梁180と側面視で重なった下梁150の外側の部位154と、梁182、184との最も狭い部位の隙間である。
また、図6に示すように、下梁150(の外側の部位154)と梁182、184とが当接する部位に、接触時の衝撃を緩衝する衝撃緩衝部材(エネルギー吸収材)186を設けてもよい。つまり、下梁150と梁182、184とが衝撃緩衝部材186を介して接触するようにしてもよい。
なお、衝撃緩衝部材186としては、ゴム等の弾性部材や発泡ウレタン等の発泡樹脂を用いることができる。また、図6では、梁182、184の側面に衝撃緩衝部材186が接合された構成であるが、これに限定されない。下梁150の側面に衝撃緩衝部材186が接合されていてもよい。更に、梁182、184と下梁150の側面の両方に衝撃緩衝部材186が接合されていてもよい。
また、図7に示すように、オイルダンパー60は、取付部位である一端62と他端64とが水平方向に回転自在に連結され、しかも軸方向に伸縮するので、下梁150と梁182、184とがY方向に相対移動しても、例えば、オイルダンパー60の取付部位が破損する等の問題が生じることはない
本実施形態では、下梁150と上梁180(梁182、184)とは平行(又は略平行)に配置されている。よって、下梁150と梁182、184との間の隙間(距離)S1は、一定(又は略一定)である。しかし、下梁150と梁182、184とは平行に配置されていなくてもよい。
例えば、図8(A)に示すように、梁182、184が途中で屈曲して、外側が幅狭となっていてもよい。
或いは、図8(B)に示すように、下梁150(X方向)に対して、梁182、184が外側に向かうに互いに従って近づくように斜めに配置されていてもよい。
或いは、図8(C)に示すように、下梁150(X方向)に対して、梁182、184が外側に向かうに互いに従って離れるように斜めに配置されていてもよい。
このような場合は、下梁150(の外側の部位154)と梁182、184の最小幅の部位の隙間S1、S2を免震装置40の変形限界値Mと同じか、変形限界値Mよりも若干大きく設定すると共に、最大変形量に設定する。
なお、図8(A)は、途中で屈曲して外側が幅広となっていてもよい。或いは、いずれか一方の梁のみが屈曲してもよい。また、図8(B)、(C)は、梁182、184のいずれか一方のみが下梁150に対して斜めに配置されていてもよい。
或いは、下梁が屈曲した構成であってもよいし、X方向に対して斜めに配置された構成であってもよい。
どのような構成にせよ、下梁150(の外側の部位154)と梁182、184の最小幅の部位の隙間S1、S2を免震装置40の変形限界値Mと同じか、変形限界値Mよりも若干大きく設定すると共に、最大変形量に設定する。
一般的な中間免震構造においては、安全性を確保するため、免震装置40が変形限界を超えて変形する過大変形を抑止するストッパー機構を別途設ける必要があるとされている。しかし、上述したように、上梁と下梁とがストッパー機構を兼ねることで、別途、ストッパー機構を設ける必要がない。したがって、別途ストッパー機構を設ける場合と比較し、低コスト化及び省スペース化が実現される。
なお、本実施形態では、免震装置40の変形限界値Mを越える過大変形を防止するためにストッパー機構を適用したが、これに限定されない。例えば、設計仕様上、必要とされるクリアランスを確保するためにストッパー機構を適用してもよい。
言い換えると、本実施形態においては、予め定められた隙間、すなわち上部柱30と基礎柱20との水平方向の相対移動量は、免震装置40の限界変形量(免震装置40の過大変形の防止)によって設定されているが、これに限定されない。例えば、上部柱30と基礎柱20とが相対移動可能な設計仕様等によって決定されていてもよい。
ここで、本実施形態のような鉄道駅10においては、線路(軌道)16を跨ぐために基礎同士を繋ぐ剛強な地中梁を設けることは施工上難しく、一般的な建築物のように基礎に免震層を設けることは難しいとされている(基礎免震構造とすることは困難とされている)。
また、建築限界などの設計制限のため、プラットホーム18の可動(免震化)は基本的に不可とされている。更に、最大級の地震時における可動範囲を含めた人の動線と建築限界に対して支障を与えないようにする必要がある。
したがって、これらを満足させるために、本実施形態においては、上部構造部50(鉄道駅10)の構造部材を構成する上部柱30と基礎柱20との間に免震装置40を配置することによって、免震改修されている(中間免震構造が適用されている)。
また、鉄道駅10には、隣接してペデストリアンデッキ等の構造物が併設されている場合が多い。このように隣接して構造物が併設されている場合、仮に基礎免震構造とした場合には、隣接した構造物との境界部において、地震時の相対変形を考慮した大規模な伸縮継ぎ目が必要となることが多い。
これに対して、本実施形態のような中間層免震構造と採用した場合、免震層102よりも下部の変位、つまり下部構造部52の変位は、隣接した構造物の変位と同程度のため、基礎免震構造とした場合よりも、小規模な伸縮継ぎ目で対応可能である。
<第一実施形態の変形例>
つぎに、本実施形態の変形例について説明する。なお、上記実施形態と同一の部材には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
<第一変形例>
まず、第一変形例について図9と図12(A)を用いて説明する。
図9に示すように、第一変形例の免震構造104は、下梁256にも折曲部252が形成されている。また、X方向に見た側面視において、下梁256における折曲部252よりも外側の部位254は、上梁280と重なっている。つまり、下梁256における折曲部252よりも外側の部位254は、上梁280を構成する一対の梁282と梁284との間に配置されている(図12(A)参照)。
また、免震装置40のY方向両外側には、Y方向に沿ってオイルダンパー60が配置されている。各下梁250の折曲部252よりも外側の部位254に、オイルダンパー60の一端62が水平方向に回転可能に連結されている。また、オイルダンパー60の他端64が上梁280を構成する梁282と梁284とに掛け渡されて接合された連結部66に水平方向に回転可能に連結されている。
なお、これ以外の構成は、上記実施形態と同様であるので、詳しい説明を省略する。また、図12(A)ではオイルダンパーの図示を省略している。また、図9では、免震装置40が図示されていないが、実際にはダイヤフラム160とダイヤフラム170との間に配置されている。
つぎに、本変形例の作用について説明する。
図9に示すように、Y方向に沿って配置された下梁256に折曲部252を形成することによって、X方向に見た側面視における折曲部252から外側(本実施形態においては図示は省略されているが側面視における下梁250のY方向左右端部に形成された折曲部252と折曲部252との間)の部位254と上梁280との上下方向の間隔が狭くなる。
言い換えると、免震層102における折曲部252と折曲部252との間の層厚が狭くなる。
また、免震装置40が下梁256と上梁280との隙間が狭くなる方向(本実施形態ではX方向)に、変形限界値M以上に移動すると(上部柱30と基礎柱20とが相対移動すると)、下梁256と梁282、284とが当り、過大変形が防止される。このように下梁256及び上梁280は、過大変形を防止するストッパー機能を有している。つまり、上梁280と下梁256の間の隙間(距離)S1(=S5〜S8)が、X方向の最大変形量となる。そして、隙間S1は、免震装置40が過大変形しても安全性が確保される最大変形量に設定されている。
なお、本実施形態においては、予め定められた各隙間は、S1=S2=S3=S4=S5=S6=S7=S8となるように設定されているが、これに限定されるものではない。各方向において、最大変形量を変える場合などは、S1〜S8を適宜設定すればよい。
<第二変形例>
つぎに、第二変形例について図10を用いて説明する。第一変形例と同様に、図10ででは、免震装置40が図示されていないが、実際にはダイヤフラム160とダイヤフラム170との間に配置されている。
図10に示すように、第二変形例の免震構造105は、X方向に沿って配置された下梁165は、並列に配置された一対の梁161と梁171とで構成されている。梁161は、170には、それぞれ外側に向かうに従って上り勾配に傾斜した折曲部162、172が形成されている。
平面視において、X方向に沿って配置された上梁190は、下梁165を構成する梁161と梁171との間に配置されている。言い換えると、平面視において上梁190と梁161、171とが、予め定められた所定の隙間をあけて並列に配置されている。
また、Y方向に見た側面視において、梁161、171における折曲部162、172よりも外側の部位164、174は、上梁190と重なっている。つまり、上梁190は、下梁165を構成する一対の梁161の外側の部位164と梁171の外側の部位174との間に配置されている。
なお、これ以外の構成は、上記実施形態と同様であるので、詳しい説明を省略する。また、作用効果も上記実施形態と同様であるので、説明を省略する。
<第三変形例>
つぎに、第二変形例について図11を用いて説明する。第一変形例と同様に、図11ででは、免震装置40が図示されていないが、実際にはダイヤフラム160とダイヤフラム170との間に配置されている。
図11に示すように、第二変形例の免震構造107では、X方向に沿って配置された上梁465は並列に配置された一対の梁460と梁470とで構成されている。梁460は、470には、それぞれ外側に向かうに従って下り勾配に傾斜した折曲部462、472が形成されている。
平面視において、X方向に沿って配置された下梁159は、上梁465を構成する梁460と梁470との間に配置されている。言い換えると、平面視において下梁159と梁460、470とが、予め定められた所定の隙間をあけて並列に配置されている。
また、Y方向に見た側面視において、梁460、470における折曲部462、472よりも外側の部位464、474は、下梁159と重なっている。つまり、下梁159は、上梁465を構成する一対の梁460の外側の部位464と梁470の外側の部位474との間に配置されている。なお、これ以外の構成は、上記実施形態と同様であるので、詳しい説明を省略する。
また、作用効果も上記実施形態と同様であるので、説明を省略する。しかし、第三変形例では、主に上梁465の梁上の空間を確保することができる。よって、図1の下梁の梁下の有効高さK1よりも、上梁の梁上の有効高さK2を確保が優先する場合などに適用する。
<第一実施形態の他の変形例(バリエーション)>
なお、第一実施形態の変形例(バリエーション)は、上記に限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない
例えば、上梁と下梁の両方共に、互いに近づく方向に折り曲げられた折曲部を形成してもよい。
また、上梁及び下梁がいずれも一つの梁で構成されていてもよい。或いは、上梁及び下梁がそれぞれ三つ以上の梁で構成されていてもよい。
また、例えば、図12(B)〜図12(D)に示すように、本発明が適用されていない、すなわち、折曲部が形成されていない上梁140と下梁142とが平面視で重なって構成されていても(上梁140と下梁142とが上下に重なっていても)もよい。なお、図12(B)は、免震装置40を中心にX方向右外側に延びる梁に上梁140及び下梁142を適用した例である。図12(C)は、免震装置40を中心にX方向に延びる梁に上梁140及び下梁142を適用した例である。図12(D)は、(C)に加え免震装置40を中心にY方向下側に延びる梁に上梁140及び下梁142を適用した例である。
言い替えると、図12(A)は、免震装置40に中心として全方向の梁に折曲部を成した例(第一変形)である。図12(B)は、免震装置40を中心として三方向の梁に折曲部を形成した例である。図12(C)は、免震装置40を中心としてY方向の二方向の梁に折曲部を形成した例であり、図12(D)は、免震装置40を中心として図におけるY方向上側の一方向の梁にのみ折曲部を形成した例である。
また、例えば、図13に示すように、上梁132、134、136、138が下梁150及び下梁256と約45°ずれて配置されていてもよい。なお、このような構成とすると、地震時おいて、上梁132、134、136、138と下梁150、256とが接触する可能性は殆どなくなる。
なお、本実施形態では、金属板とゴムとを鉛直方向(Z方向)交互に積層し、全体として、鉛直方向を軸方向とする円柱状に形成された積層ゴム本体42を有する免震装置40を用いたがこれに限定されない。他の免震装置を用いてもよい。例えば、ボールスライドレールなどで滑らかな移動を可能とする免震装置等を用いてもよい。要は、鉛直方向に上部構造部50を支持しつつ水平方向に柔軟に変位可能とされた機構を有していればよい。
また、本実施形態では、減衰部材として、オイルダンパー60及びU字型の金属ダンパー(金属系履歴ダンパー)46を用いたがこれに限定されない。他のダンパーを用いてもよい。例えは、U字型以外の金属ダンパー、オイルダンパー以外の粘性ダンパー、更に摩擦ダンパー、粘弾性ダンパーなども用いることができる。必要に応じ適当な減衰部材を使用すればよい。また、減衰部材は必須の部材でない。適宜省略してもよい。
<第二実施形態>
つぎに本発明の第二実施形態について、図14と図15を用いて説明する。なお、第一実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
第一実施形態では、下梁150、256の折曲部152、252は、外側に向かって上り勾配に傾斜していた(図2、図9参照)。これに対して本実施形態においては、図14に示すように、下梁350の折曲部352は、側面視で略鉛直方向(Z方向)に折り曲げられた縦柱形状とされている。言い換えると、下梁350は、側面視において階段状に形成されている。なお、下梁350における折曲部352よりも外側の部位354は水平配置されている。
また、Y方向に見た側面視において、下梁350の折曲部352よりも外側の部位354は、上梁180と重なっている。つまり、下梁350における折曲部352よりも外側の部位354は、上梁180を構成する一対の梁182と梁184との間に配置されている。よって、免震層103における折曲部352よりも外側は、本実施形態においては折曲部352と折曲部352との間は層厚が狭くなっている。
なお、平面視において、下梁350と上梁180を構成する一対の梁182と梁184との隙間は、第一実施形態と同じとされている。
そして、折曲部352のX方向内側(免震装置40側)の側面351と、ダイヤフラム170のX方向外側の側面175(の折曲部352に向かう水平方向に最も突出した部位)と、の隙間N1,N2は、免震装置40の変形限界値Mと同じか、変形限界値Mよりも若干大きく設定されている。なお、本実施形態においては、N1=N2に設定されている。よって、以降、特これらを区別する必要がない場合は、隙間N1と記して説明する。
つぎに本実施形態の作用について説明する。
前述したように、下梁350の折曲部352の側面351と、ダイヤフラム170の側面175と、の隙間N1は、免震装置40の変形限界値Mと同じか、変形限界値Mよりも若干大きく設定されている。よって、L2地震時においても、下梁350の折曲部352の側面351と、ダイヤフラム170の側面175と、が接触することはない。つまり、L2地震時においても、免震装置40が有する免震性能が最大限発揮される。
しかしながら、L2地震を超える大きな揺れが発生した場合は、免震装置40は変形限界値M以上の過大変形が発生する。
このような場合は、図15に示すように、免震装置40が、折曲部352が形成された下梁350の長手方向(本実施形態の場合はX方向)に、N1(変形限界値M以上)に変形すると(基礎柱20と上部柱30とが相対移動すると)、ダイヤフラム170の側面175が、下梁350の折曲部352の側面351に当り、これ以上の移動が防止される。つまり、免震装置40はN1以上の過大変形が防止される。つまり、下梁350の折曲部352の側面351とダイヤフラム170の側面175との間の隙間(距離)N1が、X方向の最大変形量となる。そして、隙間N1は、免震装置40が過大変形しても安全性が確保される最大変形量に設定されている。
このように、ダイヤフラム170と下梁350の折曲部352とは、免震装置40の過大変形を防止する(安全性を確保する)ストッパー機能を有している。
なお、図16に示すように、下梁350の折曲部352の側面351に、接触時の衝撃を緩衝する衝撃緩衝部材(エネルギー吸収材)186を設けてもよい。つまり、ダイヤフラム170の側面175と下梁350の折曲部352の側面351とが衝撃緩衝部材186を介して接触するようにしてもよい。
また、図16では、折曲部352の側面351に衝撃緩衝部材186が接合された構成であるが、これに限定されない。ダイヤフラム170の側面175に衝撃緩衝部材186が接合されていてもよい。更に、折曲部352の側面351とダイヤフラム170の側面175の両方に衝撃緩衝部材186が接合されていてもよい。
なお、本実施形態においては、ダイヤフラム170の側面175が、下梁350の折曲部352の側面351に当っていたがこれに限定されない。免震装置40における折曲部352に向かう水平方向に最も突出した部位が、折曲部352に当る構成としてもよい。例えば、免震装置40のフランジ板44が、ダイヤフラム170の側面175よりも折曲部352に向けて突出した構成の場合は、フランジ板44が、下梁350の折曲部352の側面351に当る構成としてもよい。
また、上梁に折曲部が形成されている構成の場合は、下側のダイヤフラム160の側面が、折曲部の側面に当る構成となる。
また、Y方向に沿った下梁に側面視で略鉛直方向(Z方向)に折り曲げられた縦柱形状の折曲部を形成し、Y方向に沿った方向に対してもストパー機能を有する構成としてもよい。
なお、本実施形態では、第一実施形態と同様に、免震装置40の変形限界値Mを越える過大変形を防止するためにストッパー機構を適用したが、これに限定されない。例えば、設計仕様上、必要とされるクリアランスを確保するためにストッパー機構を適用してもよい。
言い換えると、予め定められた隙間、すなわち上部柱30と基礎柱20との水平方向の相対移動量は、免震装置40の限界変形量(免震装置40の過大変形の防止)によって設定されているが、これに限定されない。上部柱30と基礎柱20とが相対移動可能な設計仕様等によって決定されていてもよい。
<第三実施形態>
つぎに本発明の第三実施形態について、図17と図18を用いて説明する。なお、第一実施形態及び第二実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する
図17と図18とに示すように、X方向に沿って配置された下梁500の折曲部552は、Y方向に見た側面視で下側凸に配置された半円状(U字状)に湾曲された形状とされている。言い換えると基礎柱20から両側に延出する下梁550の折曲部552の上面に上側凹の湾曲面558が形成されている。また、下梁550の上面の側部には、リブ556が形成されている。
また、Y方向に見た側面視において、下梁500の折曲部552よりも外側の部位554は、上梁180と重なっている。つまり、下梁500における折曲部552よりも外側の部位554は、上梁180を構成する一対の梁182と梁184との間に配置されている。
また、下梁550の折曲部552の上面を構成する湾曲面558は、フッ素樹脂やステンレスなどで構成された滑り抵抗の小さな滑面とされている。
なお、下梁500の折曲部552の下端部(半円の頂点部)が、基礎柱20の上部に固定部材26によって固定されている。
上部柱30の直下のダイヤフラム160の下面には、下方に向けて突出する支承部520が設けられている。支承部520の先端部(下端部)には、半球状の球座522が形成されている。
また、上部柱30の軸心、球座522(支承部520)の軸心、及び基礎柱20の軸心は、湾曲面558の底部(原点)を通る同軸G上に配置されている。
そして、支承部520の球座522が折曲部552の湾曲面558の上をX方向(下梁550の長手方向)に沿って移動可能とされている。
つまり、本実施形態の免震装置48は、支承部520と折曲部522に設けられた湾曲面558が主要な構成とされている。
なお、図17と図18では省略されているが、本実施形態においても、Y方向に沿って配置された下梁が設けられている。
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
図18に示すように、通常は、下梁500の折曲部552の上面の湾曲面558の底部(原点)に、支承部520の球座522が支持されている(上部柱30の軸心、球座522(支承部520)の軸心、及び基礎柱20の軸心は、同軸G上に配置された状態となっている)。
しかし、地震時には、湾曲面558に沿って、X方向に球座522が滑り支承部520が移動することで、免震機能を発揮する(図18の矢印Wを参照)。
また、地震後には、支承部520の球座522が湾曲面558の底部(原点)に戻る。言い換えると、支承部520が原点復帰する原点復帰機能を有する。
このように、下梁500の折曲部552を利用することで、原点復帰機能を有する免震装置が省スペースで実現される。
なお、支承部520の先端部は、球座522以外の形状であってもよい。断面U字状であってもよい。更に、湾曲面558を転がるように設けられたボール部材であってもよい。なお、ボール部材の場合は、湾曲面558の上に滑面を形成しなくてもよい。また、支承部520側に、フッ素樹脂やステンレスなどで構成された滑り抵抗の小さな滑面を形成してもよい。
<第四実施形態>
つぎに本発明の第四実施形態について、図19と図20を用いて説明する。なお、第一実施形態〜第三実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図19及び図20に示すように、Y方向に沿って配置された下梁600にも、X方向に見た側面視において半円状(U字状)に湾曲された形状の折曲部652が設けられている。また、X方向に見た側面視において、下梁600の折曲部652よりも外側の部位654は、上梁280と重なっている。つまり、下梁600における折曲部652よりも外側の部位654は、上梁280を構成する一対の梁282と梁284との間に配置されている。
そして、下梁500の折曲部552と下梁600の折曲部652の上面には、中央部分が半球状に凹んだ凹部656が形成された受部650が接合されている。
受部650の凹部656の上面を構成する湾曲面658は、フッ素樹脂やステンレスなどで構成された滑り抵抗の小さな滑面とされている。
また、受部650は、ダイヤフラムとしての機能を有する。
上部柱30の直下のダイヤフラム160の下面には、下方に向けて突出する半球状の球座522が形成された支承部520が設けられている。上部柱30の軸心、球座522(支承部520)の軸心、及び基礎柱20の軸心は、湾曲面558の底部(原点)を通る同軸G上に配置されている。
そして、支承部520の球座522が受部650の湾曲面658の上を移動可能とされている。
つまり、本実施形態の免震装置49は、支承部520、受部650の湾曲面658が主要な構成とされている。
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
図20に示すように、通常は、受部650の湾曲面558の底部(原点)に、支承部520の球座522が支持されている(上部柱30の軸心、球座522(支承部520)の軸心、及び基礎柱20の軸心は、同軸G上に配置された状態となっている)。
しかし、地震時には、湾曲面658に沿って球座522が滑り、支承部520が移動することで、免震機能を発揮する。
また、地震後には、支承部520の球座522が湾曲面658の底部(原点)に戻る。言い換えると、支承部520が原点復帰する原点復帰機能を有する。
このように、下梁500、600の折曲部552、652を利用することで、原点復帰機能を有する免震装置が省スペースで実現される。
なお、本実施形態においては、平面視における水平方向(XY平面方向)の全方向に対して、免震機能を有する免震装置49とされている。
また、支承部520は、先端部は球座522以外の形状であってもよい。例えば、湾曲面658を転がるように設けられたボール部材であってもよい。なお、ボール部材の場合は、湾曲面658の上に滑面を形成しなくてもよい。また、支承部520側にフッ素樹脂やステンレスなどで構成された滑り抵抗の小さな滑面を形成してもよい。
<他の構造物への適用例>
ここまでは、本発明の実施形態の係る免震構造を鉄道駅10に適用した例について説明した。しかし、本発明の実施形態の係る免震構造は、鉄道駅10以外の構造物に適用することもできる。よって、つぎに、本発明の実施形態に係る免震構造を、ビルに適用した例について説明する。
なお、以降の例では、第一実施形態に係る免震構造100を適用した例について説明するが、他の実施形態や変形例も適用可能である。また、上記実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する記載は省略する。なお、同一の部材とは、必ずしも全く同じ部材を指すだけでなく、実質的に同一である部材も同一の部材とする。
<ビルへの第一適用例>
図21には、本発明の免震構造が適用され免震改修された中間免震構造のビル800が示されている。図21に示すように、ビル800は、地盤中に設けられた杭基礎802に支持されている。ビル800には、上部構造部(上層階)810と下部構造部(下層階)820との間に免震層102が設けられている。
なお、免震層102を上下に通過する配管、階段、及びエレベータなどは、図11に示すように、地震時の上部構造部810と下部構造部820とが相対的に水平変位しても追従するような機構を備えている。なお、このような追従機構は既存の中間免震層を有する構造物で適用されている機構を適用することができるので、詳しい説明は省略する。
下部構造部820の構造部材を構成する下部柱822の下部にダイヤフラム160が設けれ、上部構造部810の構造部材を構成する上部柱812の下部にダイヤフラム170が設けられている。
なお、図21では、地震時に上部構造部810と下部構造部820とが相対的に水平変位した状態を図示しているので、下部柱822と上部柱812とが同軸上に図示されていないが、通常は、下部柱822と上部柱812とは同軸上に設けられている。
下部柱822の下部にダイヤフラム160と上部柱812のダイヤフラム170との間に免震装置40が設けられている。そして、上記実施形態と同様に、下梁150に折曲部152が形成されている。なお、免震構造100の構成は、実質的に第一実施形態(図2等参照)と同様の構成であるので詳しい説明を省略する。
つぎに、本適用例の作用について説明する。
第一実施形態と同様に、ビル800全体の高さの増加を抑えつつ(或いは、高さが増加することなく)、且つ、下部柱822の柱断面が増大し下梁150の梁下の下部空間の有効面積が減少することなく、下梁150の梁下の有効高さ(正確には、下梁150の外側の部位154の梁下の有効高さ)が確保される。また上梁180の梁上の有効高さ(階高)も確保される。つまり、階高及び柱断面積(床面積)が確保される。
また、上述したように梁や折曲部がストッパー機構を兼ねることで、別途、ストッパー機構を設ける必要がないので、別途ストッパー機構を設ける場合と比較し、低コスト化及び省スペース化が実現される。
また、ストッパー機構は、設計仕様上、必要とされるクリアランス、例えば、上述した免震層102を上下に通過する配管・階段・エレベータなどの追従機構における追従限界値の仕様等で決定されてもよい。
<ビルへの第二適用例>
図22には、本発明の免震構造が適用された基礎免震構造のビル850が示されている。
図22に示すように、地盤Eを掘削して形成された地盤凹部860に、免震ピット862が設けられている。免震ピット862は、地盤凹部860の底部には鉄筋コンクリート造の基礎底盤(図示略)が形成されている。そして、基礎底盤(図示略)がビル850を支持している。また、この基礎底盤864は杭基礎803で支持されている。なお、基礎底盤(図示略)から伝達される建物荷重を地盤が支持することができれば、杭基礎803はなくてもよい。
基礎底盤の上には、免震装置40が設けられている。なお、免震装置40は、杭基礎803の直上に設けられた免震架台856の上に設置されている。
免震装置40の上には、免震架台858が設けられ、この免震架台858の上にビル850が設けられている。なお、免震架台858の直上にビル850の構造部材としての柱870が設けられている。
なお、図22は、模式的に図示する共に、地震時にビル850が水平変位した状態を図示している。よって、柱870と杭基礎803とは同軸上に図示されていないが、通常は柱870、杭基礎803、及び免震装置40は同軸上に設けられている。
下側の免震架台856に下梁(基礎梁)150が接合され、上側の免震架台858に上梁180(梁182、184、図2参照)が接合されている。下梁150には折曲部152が形成されている。なお、免震構造100の構成は、実質的に第一実施形態(図2等参照)と同様の構成であるので、詳しい説明を省略する。
本適用例においては、下梁(基礎梁)150における折曲部152と折曲部152との間の地盤凸部866を掘削しなくてよい。よって、地盤Eを掘削する際、地盤凸部866部分の掘削量が削減される。
また、平面視において上梁150、250と下梁180、280とがずれて配置されているので、上梁と下梁とが重なっている場合と比較し、免震装置40のメンテナンスを容易に行なうことができる。
また、平面視において上梁150、250と下梁180、280がずれて配置されているので、上梁と下梁とが重なっている場合と比較し、上梁150、250(ビル850)のジャッキアップが容易である(上梁180、下梁280は、図2等を参照)。
<その他>
尚、本発明は上記実施形態、変形例、適用例に限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない
例えば、既存の構造物の免震改修に限らず、構造物を新設する際にも本発明を適用することができる。
また、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、CFT造等の構造種別および部材の断面形状を問わずに適用することができる。
10 免震構造物(鉄道駅)
16 線路
40 免震装置
48 免震装置
49 免震装置
60 オイルダンパー(減衰部材)
100 免震構造
104 免震構造
105 免震構造
107 免震構造
132 上梁
150 下梁
152 折曲部
159 下梁
160 ダイヤフラム(下部支持部)
161 梁(下梁)
162 折曲部
165 下梁
170 ダイヤフラム(上部支持部)
171 下梁
180 上梁
182 梁(上梁)
184 梁(上梁)
186 衝撃緩衝部材
190 上梁
250 下梁
252 折曲部
256 下梁
280 上梁
282 梁(上梁)
284 梁(上梁)
350 下梁
352 折曲部
460 梁(上梁)
462 折曲部
465 上梁
470 梁(上梁)
472 折曲部
500 下梁
520 支承部
522 折曲部
550 下梁
552 折曲部
558 湾曲面
600 下梁
652 折曲部
658 湾曲面
800 ビル(免震構造物)
850 ビル(免震構造物)
856 免震架台(下部支持部)
858 免震架台(上部支持部)

Claims (10)

  1. 上部支持部と下部支持部との間に設けられた免震装置と、
    前記上部支持部に接合された上梁と、
    前記下部支持部に接合され、平面視において前記上梁と隙間をあけて並列に配置された下梁と、
    前記上梁及び前記下梁の少なくとも一方の梁に形成され、側面視において他方の梁に近づく方向に折り曲がる折曲部と、
    を備える免震構造。
  2. 平面視において前記免震装置から遠ざかる方向を外側とし、
    側面視において、前記折曲部よりも外側の少なくとも一部は、前記上梁と前記下梁とが重なっている請求項1に記載の免震構造。
  3. 前記下部支持部と前記上部支持部とが、前記下梁と前記上梁との隙間が狭くなる方向に、予め定められた相対移動量よりも大きく移動すると、
    前記上梁と前記下梁とが接触、又は衝撃吸収材を介して接触するように、前記上梁と前記下梁との隙間が設定された請求項2に記載の免震構造。
  4. 前記下部支持部と前記上部支持部とが、前記折曲部が形成された梁の長手方向に、予め定められた相対移動量よりも大きく移動すると、
    前記下部支持部、前記上部支持部、及び免震装置のいずれかと前記折曲部とが接触、又は衝撃吸収材を介して接触するように、前記下部支持部、前記上部支持部、及び免震装置のいずれかと前記折曲部との隙間が設定された請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の免震構造。
  5. 前記折曲部は少なくとも前記下梁に形成されると共に、前記下部支持部から両側に延出する前記下梁の前記折曲部の上面又は上方に上側凹の湾曲面が設けられ、
    前記免震装置は、
    前記折曲部の上面又は上方に設けられた前記湾曲面と、
    前記上部支持部の下端部に設けられ、前記湾曲面に支持されると共に前記湾曲面に沿って移動可能な支承部と、
    を有する、
    請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の免震構造。
  6. 前記湾曲面が、略半球状に構成されている請求項5に記載の免震構造。
  7. 前記上部支持部と前記下部支持部の相対移動を減衰させる減衰部材が、
    前記上梁と前記下梁とに連結されている請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の免震構造。
  8. 前記上梁及び前記下梁のいずれか一方は、平面視において並列に配置された二つの梁で構成され、
    前記上梁及び前記下梁のいずれか他方は、平面視において並列に配置された前記二つの梁の間に配置されている、
    請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の免震構造。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の免震構造を備える免震構造物。
  10. 線路の上空に設けられる構造物に適用され、
    前記折曲部は少なくとも前記下梁に形成されると共に、前記折曲部が形成された前記下梁は前記線路と交差する方向に沿って配置されている請求項9に記載の免震構造物。
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