JP5567094B2 - 長周期化建築物 - Google Patents

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Description

本発明は、躯体の一部に水平剛性の低い制振目地を用いることによって躯体の剛性を下げ、躯体本来の固有周期を長周期化すると共に、地震時の層間変形を所定の範囲内に抑制した建築物に関するものである。
建物を構成する柱、梁、壁等の構造部材の断面積を増大させて剛性と強度を向上させることによって耐震性を確保する一般的な耐震設計に対して、建物の基礎部分または中間層に免震層を設けることにより建物の固有周期を長周期化し、免震層の大変形と引き換えに地震時の建物に作用する加速度を低減する、いわゆる免震設計がある。
建築物の免震設計を開示した文献として、例えば特開平5−10386号公報(特許文献1)がある。当該公報によれば、上部構造の鉛直荷重を支持する免震支承と、振動エネルギーを吸収する減衰部材と、過大変位を抑制する衝撃緩衝部材とを一体化した免震装置によって建築物を支持する。このような免震装置を用いた建築物に地震力が作用した場合、免震装置が水平方向に大変形し、同時に建築物自体に作用する加速度つまり地震荷重は大幅に低減される。したがって、建築物の躯体構造の設計荷重は大幅に低減され、軽量な上部構造を実現することができる。さらに、地震時に建築物に作用する加速度が低減されるので、家具類の転倒などの危険性は大幅に軽減される。
上記の公報に記載された技術は、建物下部に免震装置を設けることによって建物全体を免震するものであるのに対して、特開2003−27765号公報(特許文献2)は、柱の中間部に免震装置を設け、当該部分より上のみを免震することを提案したものである。特許文献2は、建物の全重量の70%以上を支持する複数の中間層に免震装置を設けてその上部を免震することによって、免震装置の水平変形を20〜30cm程度以下に抑えて免震支承である積層ゴムの設計を容易にすることを提案している。
特開平5−10386号公報 特開2003−27765号公報
前記一般的な耐震設計思想によった場合は、通常の地震動に対しては建物の躯体構造が損傷を受けることはないが、建物の応答加速度が大きくなるために、家具の転倒、二次部材の損傷などが生じがちである。さらに、大地震の場合には躯体構造を構成する大梁にも損傷を生じる可能性がある。さらに、鉄筋コンクリート構造物は、層剛性が高く許容層間変形が小さいために、粘性系の制振ダンパーは効果が殆ど期待できなかった。特に60m以下の中低層構造物では固有周期が1秒程度以下と短いために、応答加速度あるいは地震時の動的荷重が大きいにもかかわらず、免震構造以外で地震応答加速度を低減する有効な手段は無かった。
一方、免震構造を採用した場合、免震装置に支持された上部構造は地震時の応答加速度が低減されるので、建物の躯体構造の健全性が維持されるだけでなく、家具の転倒、二次部材の損傷は大幅に軽減される。しかし、免震装置に大変形が集中するために、免震装置を設けた階の建物外装、設備配管、階段、エレベータなどについてはこの変形を許容するための特別な収まりを設けたり、フレキシブル配管などを用いることなどが必要になる。建物の基礎部分で免震する場合は免震装置を設置するためのピットが必要になり、さらに建物周辺には建物の変位を許容するためのスペースが必要になる。これらはいずれも免震設計を採用した場合のコスト上昇要因となる。
本発明は、一般的な耐震設計および免震設計が有する上記の課題を解決して、地震時に建物に作用する加速度を軽減すると共に、建物外装、設備配管等について大変形を許容するような特別な収まり等を考慮する必要のない建築物を提供することを目的としたものである。
上記の目的を達成するために、本発明は、鉄筋コンクリートまたは鉄骨鉄筋コンクリートからなる柱および/または壁の一部に、コンクリートよりも剛性が低く許容せん断変形量が大きい材料からなる制振目地が介在されて柱および/または壁の水平剛性が低減されることで、固有周期が長周期化された建築物を提案する。
ここで、コンクリートよりも水平方向の剛性が低く許容せん断変形量が大きい材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴム系材料、エラストマー等の高分子材料、繊維補強ゴムのような複合材料を用いることができる。さらに、これらを鋼板と組み合わせたり、すべり支承、金属ばねのような構造体であっても良い。
制振目地は、前記したゴム等の材料からなり、柱または壁の中間部(上端と下端の間のいずれかの位置)、あるいは上部または下部に設けられた層状の構造体または支承体で、鉛直荷重を支持することができる。制振目地は柱のどの部分に設けてもよく、例えば柱頭部、中間部などに設けることができる。同一層では同じ高さに設けることが好ましいが、外周部、内部などのグルーピング別に設ける位置(高さ)を違えても良い。制振目地は、建物階高にもよるが、鉛直方向の厚さが一般に100mm程度以下、好ましくは50mm以下のシート状の構造体である。本明細書では、柱および壁は、鉄筋コンクリートまたは鉄骨鉄筋コンクリートの部分と前記制振目地とを含む。
同一階に制振目地を設けた柱と制振目地を設けない柱を混在させ、制振目地を設けない柱は2層分の長柱にするなどとしてもよい。このような構造上のバリエーションを用いれば、建物の固有周期調整のために設計の自由度を広げることができる。地震時に引張り力が働く柱には芯鉄筋を配置してもよい等、従来の免震構造に比較して適用範囲は広い。各層の変形を目地に集中させるため、付近に小型のダンパーを配置することも可能になる。例えば、柱頭に制振目地を設けて天井裏にダンパーを設ける構造などである。また、建築計画上、鉄筋コンクリート壁が必要な場合にも、壁に制振目地を設けることが可能であり、適用範囲が広い。さらに、従来の免震構造では、免震層の相対変形が非常に大きいので、粘弾性ダンパー等を適用することはサイズやコストの面で困難であったが、目地部分の相対変形が小さいので、粘弾性ダンパー等を適用することも可能である。
建物の固有周期を長周期化するとは、制振目地を設けない場合に比較して建物の固有周期がより長周期になることをいう。制振目地を設けた階の地震時の層間水平変位を階高の1/50未満、できれば1/100未満に抑制することが好ましい。ただし、層間水平変位1/50あるいは1/100は安全性やその後の使用を考慮した凡その目安である。地震時とは、地震を想定した設計用地震動または設計用地震力に対してという意味である。鉄筋コンクリートまたは鉄骨鉄筋コンクリート建築物の地震時層間変位は、一般には階高の数百分の1となるので、地震時の層間水平変位を階高の1/100好ましくは1/50まで許容する本発明においては、制振目地の材料としてコンクリートよりも剛性が低く許容せん断変形量が大きい材料である前記ゴム系の材料等を用いて、層間水平変位の多くを制振目地に集中するのが好ましい。
制振目地に用いる材料の剛性が高いほど、あるいは制振目地の層厚が小さいほど、さらには制振目地の断面積が大きいほど柱の剛性が高くなり、地震時の当該階の層間水平変位は抑制される傾向にあるので(その逆によって層間水平変位は増大する傾向にある)、制振目地に用いる材料の剛性と制振目地の寸法を適切に設定することによって、地震時の当該階の層間水平変位を階高の1/50未満あるいは1/100未満に抑制することが可能になる。
本発明に基づく建築物には、さらに、ダンパーを設けて振動時の運動エネルギーを吸収させることもできる。本発明に基づく場合は、制振目地の低剛性と大変形能力に起因して地震時の層間変位が大きくなるので、ダンパーは有効にエネルギーを吸収することができる。ダンパーとしては、オイルダンパーのような装置を外的に付加することでもよいが、制振目地の材料として粘弾性材料を選択するなどして、材料自体にダンパー機能を持たせても良い。
また、複数階の柱および/または壁に制振目地を設けた場合は、一層効果的に建物の長周期化および応答加速度の低減を図ることができる。
特定階において、鉛直荷重を支持する全ての柱および/または壁に制振目地を設けることもできる。この場合の特定階は、最下層階であっても良いし、中間階あるいは最上階であっても良い。
あるいは、特定階の一部の柱および/または壁にのみ制振目地を設けた構造であっても良い。この場合、制振目地を設けた柱および/または壁によって支持される梁および床と、制振目地を設けていない柱および/または壁によって支持される梁および床との間には地震時に相対変位を生じるので、両者の間にダンパーを設けることによって振動エネルギーを有効に吸収することができる。耐震壁と柱梁架構からなる建物や、コアと柱梁架構からなる建物の場合には、耐震壁やコアには制振目地を設けず、柱梁架構のみ制振目地を設けて、耐震壁やコアと周囲の柱梁架構間に相対変形が生じるようにして、その間に制振ダンパーを設置して高減衰化することも可能である。
そこで、本発明は、制振目地を有しない耐震壁またはコア部分と、制振目地を設けた柱梁架構の該制振目地の上部の位置とを、前記制振目地を設けた階またはその直上階において制振ダンパーによって連結し、前記制振目地と前記制振ダンパーとを組として有する階が複数設けられていることを特徴とする建築物を提供する。
この場合、制振目地を設けた階において前記制振目地の下部と前記制振目地の上部とを他の制振ダンパーにより連結することが好ましい。
また、前記制振ダンパーは、前記制振目地を有しない耐震壁、またはエレベータシャフト若しくは階段等の剛性が高く許容変形が小さい部分であるコア部分と、柱頭に前記制振目地を設けた柱梁架構の梁との間に設けてもよい。
また、前記制振目地を挟んで、前記柱の上側と下側を貫通するように芯鉄筋または芯鉄骨を設けてもよい。
本発明によった場合、制振目地によって柱および/または壁の水平剛性を低減するので建物の固有周期は、制振目地が無い構造に比較して長周期化される。本発明によれば地震時に建築物に加わる動的荷重が低減される一方、層間変位は階高の1/50未満あるいは1/100未満に抑制されているので家具の転倒、二次部材の損傷や、大地震時の躯体構造の損傷を抑制することができ、建物外装、設備配管、階段、エレベータなどについてはこの変形を許容するための特別な収まりを設けたり、フレキシブル配管などを用いることなども不要になる。
さらに、鉄筋コンクリートまたは鉄骨鉄筋コンクリート構造物に比較して層間変形が大きいので、60m以下の中低層構造物においても粘性系の制振ダンパーが有効に機能する。1層あたりの変形は、制振目地部分が大半を負担するので、柱部分の変形が小さくなり、柱の損傷を防止できる。また、従来制震効果が期待できなかった、固有周期の短い中低層鉄筋コンクリート構造物も制振目地により長周期化が可能で、必要に応じてダンパーを併設することで、高い制振効果が期待できる。
以下に、実施例に基づいて本発明の具体的な態様を説明するが、本発明は以下に記載する実施例に限定されるものではなく、実施例は発明の理解を助けるために記載するに過ぎないことはいうまでも無い。
図1は、本発明の1つの実施例に基づく建築物の骨組みを構成する鉄筋コンクリート製柱梁架構の概念を図示したものである。途中階のそれぞれの柱210の柱頭部には、制振目地100が設けられている。制振目地100は、ウレタンゴムからなり、厚さは50mm程度、平面形状は柱210の水平断面形状と実質的に同じである。制振目地100の材料は、鉛直荷重の支持能力と、水平荷重に対する必要な剛性、変形能力、強度を有すれば、ウレタンゴム以外のゴム、他の高分子材料、複合材料を用いることができることは既に記載したとおりである。さらに、同条件を満たす限り、すべり支承、金属ばねのような構造体であっても良い。
一層上の階の柱200には、柱の柱頭と柱脚のほぼ中央の位置に制振目地100が設けられている。制振目地100を設けるべき位置は、図示されている位置に限定されず、柱頭と柱脚の間のどの位置であっても良い。ここでは、複数階の柱に制振目地100を設けた例を示したが、制振目地は1層のみに設けても良い。
図示した架構の階高が4mであるとすると、制振目地100を設けた各階の、地震時の水平変形が40mm未満に抑制されるよう、制振目地を含む架構全体の剛性が決定される。層間水平変位が階高の1/100程度であれば、二次部材の損傷や、大地震時の躯体構造の損傷を抑制することができる。ただし、二次部材の損傷や躯体の損傷の観点から許容される場合には、階高の1/100よりも大きな、例えば階高の1.5/100や1/50の層間水平変位を許容するものであっても良い。地震時の水平変形を算出するための荷重は、静的荷重、動的荷重の何れであっても良い。例えば、0.2Gの水平加速度が建物に作用すると考えて、静的荷重−変形解析によって当該階の水平変形を算出することによって各部材の剛性をまたは断面を決定することができる。
図2は、本発明の他の実施例であって、耐震壁400を有する建物に制振目地100を用いた場合の概念を示す立面図である。建物の第1層を構成する耐震壁400の頂部には制振目地100が、耐震壁の全水平断面にわたって搭載されている。また、第2層を構成する耐震壁400の頂部には、部分的に制振目地100が搭載され、他の部分は空隙500である。耐震壁の全水平断面にわたって制振目地を搭載するか否かは、制振目地の部分に必要な剛性と耐震目地材料の剛性等によって適宜設定することができる。制振目地を設置する位置は、柱について記載したのと同様に、耐震壁の頂部から基部の間のどの位置であっても良い。
建物が、柱梁架構と耐震壁を有する場合は、制振目地は、柱と耐震壁の同一のレベル(例えば柱頭と耐震壁頂部)に設けるのが好ましい。
図3は、本発明を、耐震壁またはエレベータシャフト等のコア部分と柱梁架構を有する建物に適用した実施例の概念図である。制振目地を有しない耐震壁400(またはエレベータシャフト、階段等の剛性が高く許容変形が小さい部分)と柱頭に制振目地100を設けた柱梁架構の梁300とを制振ダンパー600によって連結した構造である。耐震壁400の部分は剛性が高く地震時の変形が小さいのに対して、柱梁架構の部分は制振目地の変形能力に起因して地震時の変形が比較的大きいので、ダンパー600は振動エネルギーを有効に吸収して、柱梁架構の振動を抑制する。制振目地100に粘弾性材料を用いれば、柱梁架構の制振効果を期待することもできる。
また、制振目地100の下部の位置(例えば、柱の、柱頭に設けた制振目地100の下の位置)と、制振目地100の上部(例えば、制振目地100に支持された梁)を制振目地100を設けた階において他の制振ダンパー620で連結することも有効である。当該ダンパ−620は、制振ダンパー600と併用してもよい。
層間水平変形への追従能力が小さいエレベータシャフト、大径配管、階段等を制振目地を設けないコア部分に集中配置し、その他の部分を制振目地を設けた柱梁架構構造とすることによって、柱梁架構部分については1/100よりも大きな層間変位を許容することができる。その場合の大地震時の許容層間変位は、例えば階高の1/50あるいは他の条件から許容される場合はそれ以上の値であってもよい。
図4は、ダンパーを用いた他の実施例を示す概念図である。柱頭に制振目地100を設けた架構の場合、制振目地によって支持される柱および当該柱と連結された梁からなる部分(具体的には梁の部分)と、制振目地100の直下の柱頭部とをダンパー600で連結することにしても良い。制振目地の変形に起因してこの部分の相対変位が大きくなるので、ダンパーは有効に振動エネルギーを吸収する。制振目地100に粘弾性材料あるいはすべり支承を用いることは、ダンパー600の使用と等価である。これらとダンパー600を併用することもできる。
図5は、地震時に柱に引張力が作用することを想定した場合の制振目地100部分の構造を示すものである。制振目地100を挟んで柱200の上側と下側を貫通するように芯鉄筋700または芯鉄骨が設けられており、該芯鉄筋700が柱に作用する引張力に抵抗する。制振目地100の中央部には、地震時に芯鉄筋700が制振目地100と干渉しないように、貫通孔が設けられている。つまり、芯鉄筋700の周囲には、制振目地100との間にドーナツ状の空隙が設けられている。ただし、この空隙は必須ではない。
図6は、本発明の基づく建築物の一つの実施例を示す第1層の平面図(左)と立面図(右)である。平面図に示されているように、第1層は、すべての柱230に制振目地100が設けられている。制振目地が設けられている位置は、立面図に示されているように、第1層については柱の中間部、第2層については柱頭部である、第3層およびそれより上の層には制振目地100が設けられていない。建物を地震動から絶縁する場合には最下層階で絶縁するのが有効であるが、制振目地によって当該階において一定の層間変形を許容しつつ建物全体の長周期化を図ることで地震荷重の低減を図るためには、制振目地を中間階や最上階に設けてもよい。通常は、1つの層については同じエレベーションの位置に制振目地を設けるが、必ずしもそうでなくてもよい。
図7は、本発明の基づく建築物の他の実施例を示す第1層の平面図(左)と立面図(右)である。第1層の平面図に示されているように、制振目地100は内部の柱230にのみ設けられており、外周の柱240には制振目地が設けられていない。制振目地が設けられた部分の梁と、制振目地が設けられていない部分の柱との接合部350は、相対変位を許容するよう隙間を空けるか、弾性的なジョイントによって水平方向の拘束を弱めるのが好ましい。制振目地が設けられた2つの部分については、両者をピン接合することによってモーメントの伝達を行わない(変位のみ相互に拘束する)ようにしても良い。
図8は、本発明の基づく建築物の他の実施例(一部に耐震壁を有する場合)を示す第1層の平面図(左)と立面図(右)である。各層の平面視中央部付近には耐震壁450が設けられている。建物の第1層および第2層は、すべての柱230と耐震壁450に制振目地100、110が設けられている。このように、耐震壁にも制振目地110を設けることによって、耐震壁を有する建物についても全体の長周期化を図ることができる。
図9は、1階および2階の全ての柱230の柱頭部に制振目地100を設け、柱頭と上階の梁300をダンパー600によって連結した実施例である。ダンパーは図示したように外部に設けるものであっても良いが、制振目地100の材料自体が粘弾性を有することによってダンパー機能を内在させるものであっても良い。あるいは、制振目地と滑り支承を直列的に用いたものであっても良い。
図10は、地震時に、建物の外周柱220に引張力が作用することを想定して、外周柱220には芯鉄筋を有する制振目地を設けた実施例の概念図である。引張力の作用しない内部の柱230には、芯鉄筋の無い制振目地を設けている。地震力によって、外周柱220が引張力を受ける際は、芯鉄筋が抵抗する。制振目地を柱の柱頭と柱脚の間のどの位置に設けても良い点については、前出の実施例と同様である。
図11は、建物中央に剛性の高いコア部分を有し、コア部分を柱梁架構が取り囲む構造の建物に本発明を適用した実施例を示すものである。コア壁450で囲まれたコア部分は、制振目地を設けておらず、柱梁架構部分を構成する柱の柱頭に制振目地100を設けた。また、コア部分と柱梁架構とは弾性ジョイント350によってある程度の相対変形を許容すると同時に、ダンパー600を設けて振動エネルギーを吸収する。前出の例のように、コア壁と柱梁架構の全てに制振目地を設けることも可能であるし、本実施例のように、コア壁以外の部分にのみ制振目地を設けても良い。本実施例では、制振目地100とダンパ−600とを組みとして有する階が2つ設けられている。
以上、種々の実施例について記載したが、これらを適宜組み合わせて用いることも、既存の技術と組み合わせて用いることも可能なことは自明である。
本発明に基づく建築物の骨組みを構成する鉄筋コンクリート製柱梁構造の概念図 本発明を、耐震壁を有する建物に用いた実施例の立面図 本発明を、耐震壁等のコア部分と柱梁架構を有する建物に適用した実施例の概念図 ダンパーを用いた他の実施例の概念図 制振目地部分を芯鉄筋が貫通する実施例の概念図 本発明に基づく実施例の平面図(左)と立面図(右) 本発明に基づく実施例の平面図(左)と立面図(右) 本発明に基づく実施例の平面図(左)と立面図(右) 本発明に基づく実施例の平面図(左)と立面図(右) 本発明に基づく実施例の平面図(左)と立面図(右) 本発明に基づく実施例の平面図(左)と立面図(右)
100 制振目地
200、210、230、240 柱
300 梁
310 床スラブ
400 耐震壁
450 コア壁
500 空隙
600、620 ダンパー
700 芯鉄筋
350、360 弾性ジョイント

Claims (4)

  1. 鉄筋コンクリートまたは鉄骨鉄筋コンクリートからなる柱および/または壁の一部に、コンクリートよりも剛性が低く、許容せん断変形量が大きい材料からなる制振目地が介在されて、柱および/または壁の水平剛性が低減されることで、固有周期が長周期化された建築物であって、
    前記制振目地を有しない耐震壁またはコア部分と、前記制振目地を設けた柱梁架構の該制振目地の上部の位置とを、前記制振目地を設けた階またはその直上階において制振ダンパーによって連結し、
    前記制振目地と前記制振ダンパーとを組みとして有する階が複数設けられていることを特徴とする建築物。
  2. 制振目地を設けた階において前記制振目地の下部と前記制振目地の上部とを他の制振ダンパーにより連結したことを特徴とする請求項1記載の建築物。
  3. 前記制振ダンパーを、前記制振目地を有しない耐震壁、またはエレベータシャフト若しくは階段等の剛性が高く許容変形が小さい部分であるコア部分と、柱頭に前記制振目地を設けた柱梁架構の梁との間に設けたことを特徴とする請求項1または2記載の建築物。
  4. 前記制振目地を挟んで、前記柱の上側と下側を貫通するように芯鉄筋または芯鉄骨が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の建築物。
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