JP3925868B2 - 制震補強架構及びそれを用いた制震構造物 - Google Patents

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この発明は既存構造物、または新設構造物に地震時のエネルギ吸収能力を持たせながら構造物の耐震性を確保する制震補強架構、及びそれを用いた制震構造物に関するものである。
例えば既存建物の耐力と剛性を高め、耐震性を確保するように建物を耐震補強する場合、柱と梁からなる既存フレームの地震力に対する負担を軽減することが目的になるため、フレームの構面内や構面外にブレース、またはブレースを含む補強架構を新たに架設することが基本的な方法となる(特許文献1〜特許文献3参照)。
この際、地震時のエネルギ吸収能力を持たせながら建物の耐震性を確保するように制震補強するためにブレースや補強架構と既存フレームとの間に、両者間の相対移動を利用したダンパー等の制震装置を設置することもある(特許文献4参照)。
いずれの方法も既存フレームが負担すべき地震力の一部を、付加されたブレースや補強架構に負担させることにより既存フレームの負担を軽減し、既存フレームを健全に保つことが狙いであるから、ブレースや補強架構は既存フレームと一体的に挙動するように構築されるため、既存フレームの構面方向には高い剛性と耐力が要求される。
しかしながら、既存フレームとブレースや補強架構との間に制震装置を介在させる場合にブレースや補強架構の剛性を高めれば、既存フレームとブレースや補強架構との剛性の差を利用して両者間の相対移動量を稼ぐことが難しくなるため、振動エネルギの吸収効果と既存フレームの揺れを抑制する効果を得にくくなる。
制震装置を介在させる場合に振動抑制効果が低下する問題に対し、増設柱と増設梁からなる補強体を既存フレームに一体化させながら、増設柱を不連続にし、その不連続部分に免震支承を設置すると共に、免震支承より下の部分と上の部分との間にダンパーを架設し、免震支承より下の部分を変形させることなく上の部分を既存フレームの変形に追従させ、免震支承を挟んだ上下の部分に積極的に相対変形を生じさせることで、ダンパーによりエネルギ吸収を図り、既存フレームの揺れを低減する方法がある(特許文献5参照)。
特許第3367011号公報 特許第3369387号公報 特許第3407728号公報 特開平11-247461号公報 特開平11-229631号公報
特許文献5の方法では上下の増設梁に挟まれた、増設柱の免震支承より下の部分は片持ち梁の状態になるため、ダンパーは免震支承に内蔵される場合と外付けされる場合のいずれも増設柱の免震支承より下の部分の頭部と上の部分、もしくは増設梁との間に跨る形になる。
この結果、既存フレームが変形し、ダンパーが減衰力を発揮するときにはダンパーから受ける軸方向力の水平成分が増設柱の頭部に作用するため、増設柱にそれを転倒させようとする不必要な曲げモーメントとせん断力を負担させ、下の増設梁に接合された脚部に過大な応力を生じさせる可能性がある。
特にダンパーが免震支承とは別にその両側に外付けされる場合には増設柱の頭部が、その両側に位置するダンパーの内の一方から引張力を、他方から圧縮力を受け、その軸方向力の水平成分の向きが同一であるため、両ダンパーからの軸方向力の水平成分が相殺されることはなく、常に増設柱を転倒させようとする力となって作用する。
また増設梁と増設柱の免震支承より上の部分が既存フレームと一体となって挙動し、既存フレームと補強体との間に相対変位が生じないよう、補強体を既存フレームに近接した位置に配置していることから、補強体は既存フレームの構面内方向の変形時にしか機能せず、構面外方向の変形時には機能し得ない。このため、実際には既存建物に対し、2方向に補強体を構築しなければならないが、建物の外部に2方向に配置することは開口の確保と外観の保全を犠牲にすることになる。
更に特許文献5のように補強架構の柱が上下に分離する場合には既存フレームの大変形時に、増設柱の免震支承を挟んだ上の部分が下の部分に対して浮き上がりが生ずることが想定されるが、浮き上がりに対する対策が施されていなければ、免震支承に軸方向引張力を作用させるため、積層ゴムを使用した場合にそれを破断させる危険性がある。
この発明は上記背景より、補強架構の柱部分に不必要な曲げモーメントとせん断力を負担させず、また構造物の水平2方向の振動時にも振動エネルギの吸収と揺れの抑制を図ることができ、更に浮き上がり時に積層ゴムに引張力を作用させない形式の制震補強架構及びそれを配置した制震構造物を提案するものである。
請求項1では少なくとも柱と複数のスラブを持つ構造物において下層側のスラブと上層側のスラブとの間に、鉛直方向に複数本の支柱材に分離した支柱を立設し、支柱と下層側のスラブ、もしくは上層側のスラブとの間に、ブレース本体にダンパーを組み込んだダンパー一体型ブレースを架設して構造物の内部や外部に制震補強架構を構築することにより、支柱材に不必要な曲げモーメントとせん断力を負担させず、その端部に過大な応力を生じさせる事態を解消する。
請求項1の制震補強架構は相対的に下層側のスラブ、または地盤と上層側のスラブとの間に立設され、鉛直方向に複数本の支柱材に分離した支柱と、上下に分離した支柱材間に介在し、両支柱材間の相対水平移動を許容する絶縁装置と、支柱と下層側のスラブ、または地盤、もしくは上層側のスラブとの間に架設されるダンパー一体型ブレースから構成される。
支柱の最下部に位置する支柱材はその下端部に一体化した定着プレートにおいて前記下層側のスラブ、または地盤に定着されたベースプレートに接合され、最上部に位置する支柱材はその上端部に一体化した定着プレートにおいて前記上層側のスラブに定着されたベースプレートに接合されてその上層側のスラブと共に挙動する。ダンパー一体型ブレースの一端は支柱の最下部、または最上部の支柱材に一体化したガセットプレートに連結され、他端は上層側のスラブ、もしくは下層側のスラブ、または地盤に突設、または定着されたガセットプレートに連結される
各支柱は最下部の支柱材とその上に位置する最上部の支柱材の、計2本の支柱材からなる場合と、最下部の支柱材とその上に位置する2本以上の上部の支柱材の、計3本以上の支柱材からなる場合があるが、3本以上の支柱材からなる場合にも中間の支柱材にダンパー一体型ブレースからの軸方向力を作用させないために、ダンパー一体型ブレースの一端は最下部の支柱材と最上部の支柱材のいずれかに接続される。
例えば支柱が2本の支柱材からなる場合には最下部の支柱材が下層側のスラブや地盤に接合され、最上部の支柱材が上層側のスラブに接合されるため、ダンパー一体型ブレースは最下部の支柱材と上層側のスラブとの間、または最上部の支柱材と下層側のスラブや地盤との間に架設され、ダンパー一体型ブレースの支柱側の端部は最下部の支柱材、または最上部の支柱材に接続され、スラブ側の端部は上層側のスラブ、または下層側のスラブや地盤に接続される。
請求項2では少なくとも柱と複数のスラブを持つ構造物において下層側のスラブと上層側のスラブとの間に、鉛直方向に複数本の支柱材に分離した支柱を水平方向に互いに間隔を隔てて立設し、隣接する支柱間に、ブレース本体にダンパーを組み込んだダンパー一体型ブレース(以下本項目中、単にブレースと言う)を架設して構造物の内部や外部に制震補強架構を構築することにより、支柱材に不必要な曲げモーメントとせん断力を負担させず、その端部に過大な応力を生じさせる事態を解消する。
請求項2の制震補強架構は相対的に下層側のスラブ、または地盤と上層側のスラブとの間に水平方向に間隔を隔てて立設され、複数本の支柱材に分離した支柱と、上下に分離した支柱材間に介在し、両支柱材間の相対水平移動を許容する絶縁装置と、隣接する支柱間に架設されるブレースから構成される。
支柱の最下部に位置する支柱材はその下端部に一体化した定着プレートにおいて前記下層側のスラブ、または地盤に定着されたベースプレートに接合され、最上部に位置する支柱材はその上端部に一体化した定着プレートにおいて前記上層側のスラブに定着されたベースプレートに接合されてその上層側のスラブと共に挙動する。ダンパー一体型ブレースの一端は隣接する支柱の内のいずれか一方の支柱の最下部、または最上部の支柱材に一体化したガセットプレートに連結され、他端は他方の支柱の最上部、または最下部の支柱材に一体化したガセットプレートに連結される
請求項2においても各支柱は最下部の支柱材とその上に位置する最上部の支柱材の、計2本の支柱材からなる場合と、最下部の支柱材とその上に位置する2本以上の上部の支柱材の、計3本以上の支柱材からなる場合があるが、3本以上の支柱材からなる場合に中間の支柱材にブレースからの軸方向力を作用させないために、ブレースの両端は最下部の支柱材と最上部の支柱材のいずれかに接続される。
例えば支柱が2本の支柱材からなる場合には最下部の支柱材が下層側のスラブに接合され、最上部の支柱材が上層側のスラブに接合されるため、隣接する支柱間に架設されたブレースの下端部は最下部の支柱材に接続され、上端部は最上部の支柱材に接続される。
請求項1の場合にはブレースの一端がスラブや地盤に接続されるため、スラブや地盤にブレースの端部を接続するためのガセットプレート等を突設することが必要になる場合もあるが、請求項2の場合にはブレースの両端が共に支柱材に接続されることで、スラブや地盤に対してはガセットプレートを突設する必要がない。
請求項1、請求項2において最下部の支柱材が地盤に接合される場合やブレースが地盤に接続される場合の地盤には地中の基礎が含まれる。また下層側のスラブと上層側のスラブは必ずしも上下に隣接するとは限らず、請求項4に記載のように下層側のスラブ、または地盤と上層側のスラブとの間に中間のスラブが存在する場合もある。
請求項1と請求項2のいずれの場合も、上層側のスラブが地震力により下層側のスラブや地盤に対して層間変形しようとするときには、図2に二点鎖線で示すように上層側のスラブに一体化している最上部の支柱材が上層側のスラブと共に挙動するが、支柱が複数本の支柱材に分離し、上下に分離した支柱材間に絶縁装置が介在していることで、最下部の支柱材より上に位置する支柱材がそれぞれ直下の支柱材に対して相対水平移動する。
ブレースは上層側のスラブと下層側のスラブや地盤との間に跨るように架設されていることで、上下の支柱材の相対水平移動に伴って伸長、または収縮し、ダンパーがその伸長量や収縮量、あるいは伸縮時の速度に応じて発生する減衰力を上層側のスラブに一体化している支柱材から上層側のスラブに作用させ、上層側のスラブの、下層側のスラブや地盤に対する揺れを抑制する。
図2に示すように上層側のスラブの層間変形に伴い、分離した上下の支柱材が相対水平移動したとき、ブレースが接続された最下部の支柱材と最上部の支柱材にはダンパーからの軸方向力が作用するが、最下部の支柱材に作用する軸方向力に対する反力は下層側のスラブや地盤で負担され、最上部の支柱材に作用する軸方向力に対する反力は上層側のスラブで負担されるため、ダンパーからの軸方向力によって支柱材に過大な曲げモーメントとせん断力が作用する事態は回避され、分離している各支柱材が転倒する可能性と、支柱材の脚部や頂部に過大な応力を生じさせる可能性は解消される。支柱材の脚部や頂部に過大な応力を生じさせる可能性が解消されることで、支柱材自身は必ずしもダンパーからの軸方向力に抵抗し得る強度を有する必要はない。
上層側のスラブに入力する地震力の一部は上層側のスラブに接合され、ブレースが接続されている支柱材からブレースに伝達され、そのブレースが負担しながら減衰力を発生し、その減衰力が上層側のスラブに作用する。支柱材からブレースに伝達された地震力の一部は更にブレースの下端が接続され、下層側のスラブや地盤に接合されている最下部の支柱材から下層側のスラブや地盤に減衰されながら伝達され、最終的には地盤で負担される。地震力の一部が減衰されながらブレースで負担され、最終的に地盤で負担されることで、スラブと柱が負担すべき地震力が軽減されるため、構造物の地震力に対する安全性が向上する。
ブレースが地震力の一部を負担するとき、制震補強架構を構成する支柱は上層側のスラブに入力する地震力をそのスラブと共に分担するのではなく、最下部の支柱材より上の支柱材が上層側のスラブと共に挙動して直下の支柱材との間で相対移動を生ずることで、ダンパーが発生する減衰力を、ブレースを通じて上層側のスラブに作用させる働きをするため、支柱は地震力に抵抗するブレースのダンパーから受ける軸方向力に対する反力をスラブや地盤から受けることができればよく、支柱が地震力に抵抗する必要はない。
支柱は上下のスラブ間に立設されることで、ある程度の鉛直荷重支持能力を有するものの、水平力に対しては絶縁装置によって上下に隣接する支柱材が相対水平移動するため、地震時の水平力を負担する能力は必要とされない。ブレースが接続される支柱材にはダンパーからの軸方向力が作用する結果、軸方向力の鉛直成分が絶縁装置を通じてその上下に隣接する支柱材に伝達されるが、その上下に隣接する支柱材とは絶縁装置によって切り離されているため、絶縁装置の水平変形可能な範囲で軸方向力の水平成分は上下に隣接する支柱材には伝達されない。
また上記のように支柱材自身は必ずしもダンパーからの軸方向力に抵抗し得る強度を有する必要がないことから、支柱はスラブの耐力と剛性を補う程の耐力と剛性を有する必要がなく、地震力をスラブと共に分担する場合より断面を減ずることが可能になる。
制震補強架構を構成する支柱がスラブと共に地震力を分担するとすれば、大地震時に地震力に抵抗することで損傷を受ける可能性があるが、本発明の支柱は地震力に抵抗する必要がなく、またその断面の低減により地震力をスラブと共に分担する場合より制震補強架構自体の剛性を低下させることができることで、制震補強架構は大地震に対しても柔軟に変形することができるため、損傷を受けることは回避される。
加えて制震補強架構は地震時に、支柱を構成する支柱材間で相対移動を生じてダンパーが発生する減衰力を、ブレースを通じて上層側のスラブに作用させる働きをすることから、支柱が地震力としての水平せん断力を負担することがなく、支柱とブレースが上層側のスラブの層間変形を阻止することはないため、支柱とブレースが構造物自身のせん断剛性に影響することがない。
従って本発明(請求項1及び請求項2)の制震補強架構は既存構造物に付加された場合にも、例えば既存構造物に対してブレースを付加することにより既存構造物の耐震性を高める場合のようにブレースのせん断剛性が構造物自身のせん断剛性に加算される結果として地震時の加速度等の応答値が上昇するようなことはなく、既存構造物の固有振動数を変動させることがない。ブレースを付加した結果として既存構造物のせん断剛性が上昇すれば、応答値を低減させるための減衰も大きくする必要があるが、本発明では制震補強架構の付加によっても既存構造物のせん断剛性を上昇させることがないため、減衰の付与によって応答値を効果的に低減することが可能となる。
請求項1及び請求項2の制震補強架構は複数本の支柱材に分離した支柱と、上下に分離した支柱材間に介在する絶縁装置と、支柱とスラブ間、または隣接する支柱間に架設されるブレースから構成され、上層側のスラブと下層側のスラブ間単位で設置されることで、少なくとも柱と複数のスラブを持つ構造物であれば柱・梁のフレーム形式の他、フラットスラブ形式、連層耐震壁を有するコア形式等、構造物の形態(形式)を問わずに設置されるが、制震補強架構は主として地震力に抵抗することの機能よりも、構造物に減衰を付与することの機能を有することで、構造物が既存であるか新設であるかを問わずに、制震補強架構を構造物の内部に配置する場合には上層側のスラブと下層側のスラブの間に任意の位置、もしくは領域に、自由な方向に向けて配置できる利点がある。
梁型のないフラットスラブ構造の場合には梁の位置に関係なく上層側のスラブの下端と下層側のスラブの上端との間の距離を最大限に利用して支柱を設置し、ブレースを架設することができるため、梁型を有する構造物において上下の梁間に架設する場合よりブレースに組み込まれたダンパーの減衰力を増大させることができる。
また制震補強架構を構造物の内部に配置する場合に上下のスラブ間の任意の位置や領域に自由な向きに配置できることで、図12に示すように水平2方向に向けて配置することにより、構造物の外周部における開口を確保し、構造物の外観を維持したまま構造物の水平2方向の振動に対してダンパーによる制震効果を発揮させることができる。
制震補強架構が構造物の内部に配置される場合は、請求項3に記載のように上下に隣接する下層側のスラブ、または地盤と上層側のスラブとの間に支柱が立設される場合と、請求項4に記載のように中間のスラブを貫通してその下層側のスラブ、または地盤と上層側のスラブとの間に支柱が立設される場合があり、外部に配置される場合は例えば請求項5に記載のようにスラブの縁に沿って支柱が立設される。
制震補強架構を構造物の外部に配置する場合には構造物の外周に沿って配置することになるため、主としてその配置方向の振動時にダンパーによる制震効果が発揮されるが、上下に隣接する支柱材は任意の水平方向に相対移動自在であることから、最上部の支柱材と最下部の支柱材を共に、制震補強架構の配置方向に直交する方向の振動に対して追従可能に制震補強架構をスラブに接続しておくことで、その方向の振動時にもダンパーによる制震効果を発揮させることは可能である。
構造物の内部に配置する場合と外部に配置する場合のいずれも、構造物が地震力により変形しようとするときには変形の方向に関係なく、最下部の支柱材より上の支柱材が直下の支柱材に対して相対水平移動し、ブレースがその相対水平移動に応じた減衰力をスラブに作用させるため、スラブの揺れが抑制される。
例えば既存構造物に対し、地震力に抵抗するためのブレースを付加する場合に、梁型を有する場合は柱・梁のフレームの負担を低減するためにフレームの構面内に配置し、梁型のないフラットスラブ構造の場合には柱の負担を低減するために柱間に配置することになるが、本発明の制震補強架構はフレームや柱に減衰を付与して構造物の耐震性を確保することから、フレーム内や柱間に制限されることなく配置されることになる。結果として将来的な間取り割りの変更に対応しながら、その変更に伴う耐震要素の配置換えに追従することも可能になる。
集合住宅や事務所建築のように鉄筋コンクリート造のラーメン架構、またはフラットスラブ構造の構造物において、図12に示すように柱が水平二方向に一定間隔をおいて配置されている場合、間取りは例えば予め定まっている柱割りに対し、間仕切り壁を配置することにより区画されるが、架構の耐震性能は通常、間仕切り壁内に耐震要素としてのブレースを含む制震補強架構を配置することにより確保される。
このとき、本発明では前記の通り、制震補強架構の配置がフレーム内や柱間に制限されないため、フレーム内や柱間以外の位置にも間仕切り壁と制震補強架構を配置することができる。また間取り割りの変更は間仕切り壁の配置を変更することにより行われるが、間仕切り壁の配置の変更に追従して制震補強架構を移設することにより間取り割りの変更に伴う耐震性能の低下は回避される。制震補強架構が上層側のスラブと下層側のスラブに対して着脱自在に接合されれば、上下のスラブ間への制震補強架構の設置と分離が自由に行えるため、将来的な間取り割りの変更が生じたときの耐震要素の配置換えに対応することが可能になる。
請求項2の制震補強架構は少なくとも隣接する一組の支柱と両支柱間に架設されるブレースからなり、上層側のスラブと下層側のスラブには支柱の上端と下端において接合されればよく、ブレースの両端は支柱に接続されればよいため、上下のスラブ間の任意の位置に制震補強架構を着脱自在に配置する上では、前記のようにブレースを直接スラブに接合する場合のようにガセットプレートを予めスラブに埋設しておくことは必ずしも必要でない。
絶縁装置には地震時の上層側のスラブの層間変形に追従しながら、絶縁装置より上の支柱材を安定して支持すると共に、地震力をブレースに伝達するために、水平方向の剛性が小さく、鉛直方向の剛性と荷重支持能力が高い積層ゴム支承の他、支柱材からの離脱防止のための変形制限機構を付加した弾性滑り支承、滑り支承等が用いられる。
絶縁装置として積層ゴム支承を用いた場合の、その上端と下端が支柱材に接合されることによる浮き上がり時の破断の問題は、請求項6に記載のように絶縁装置の上端と下端のいずれか一方を上下に分離した支柱材の内のいずれか一方の支柱材に接合し、他方を他方の支柱材に鉛直方向に相対移動自在に接続させることにより解消される。
この場合、絶縁装置の上端と下端のいずれか一方が支柱材に接合され、他方が鉛直方向に相対移動自在であることで、上下に分離した支柱材の相対水平移動を許容しながらも、上側の支柱材の浮き上がりに追従することができるため、絶縁装置が軸方向引張力を受けることがなくなり、積層ゴム支承を用いた場合の引張による破断が回避される。
請求項1、またはそれを引用する請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の制震補強架構は請求項7に記載のように最下部に位置する支柱材を下層側のスラブ、または地盤に直接、もしくは間接的に接合し、最上部に位置する支柱材を上層側のスラブに直接、もしくは間接的に接合し、ブレースの一端を支柱の最下部、または最上部の支柱材に直接、もしくは間接的に接続し、他端を上層側のスラブ、もしくは下層側のスラブ、または地盤に直接、もしくは間接的に接続することにより構築され、同時に構造物が制震構造物化される。
請求項2、またはそれを引用する請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の制震補強架構は請求項8に記載のように最下部に位置する支柱材を下層側のスラブ、または地盤に直接、もしくは間接的に接合し、最上部に位置する支柱材を上層側のスラブに直接、もしくは間接的に接合し、ブレースの一端を隣接する支柱の内のいずれか一方の支柱の最下部、または最上部の支柱材に直接、もしくは間接的に接続し、他端を他方の支柱の最下部、または最上部の支柱材に直接、もしくは間接的に接続することにより構築され、同時に構造物が制震構造物化される。
制震構造物化された構造物の揺れは変形開始と同時にブレースのダンパーによって抑制され、上層側のスラブに入力する地震力の一部は支柱材からブレースに伝達され、ブレースを通じて最終的には最下部の支柱材から地盤に伝達され、負担される。地震力の一部がブレースで負担され、最終的に地盤で負担されることで、スラブと柱が負担すべき地震力が軽減されるため、制震構造物としての地震力に対する安全性が向上する。請求項7、請求項8により制震構造物化される構造物は既存構造物であるか新設構造物であるかを問わない。
制震補強架構が既存構造物に対して付加される場合、既存構造物の構造種別や用途、形状等は一切問われないが、制震補強架構が支柱とダンパーを組み込んだブレースからなることで、耐震壁を付加する場合と異なり、既存構造物に付加された後に既存の柱・梁からなるフレームの柱間の開口を塞ぐ形にならないため、例えばピロティ形式の既存構造物に適用された場合にもピロティ(柱)のある空間の既存の用途や機能を害することなく既存構造物を制震補強することが可能である。
ピロティ形式の既存構造物を耐震補強する場合、一般的には剛性と耐力が極端に小さい1層部分に、構造物全体で剛性と耐力のバランスが保たれるように上層の耐震壁に連続する形で耐震壁を配置することが行われるが、請求項1〜請求項6の制震補強架構を、支柱を既存のフレームの柱と梁に沿って配置するように付加することで、ピロティ間の開口を塞ぐことが最小限に抑えられるため、ピロティ部分の空間が有していた店舗や駐車場等の用途や機能を維持することが可能である。
また既存構造物が屏風型の集合住宅のように桁行方向に一定の間隔を隔てて梁間方向に連層耐震壁が配置され、地震時に梁間方向への曲げ変形が卓越する建物においては、既存構造物の両面に位置するフレームの各構面外に請求項5を引用する請求項6に記載の制震補強架構を配置すれば、梁間方向の曲げ変形を効果的に抑制することが可能になる。
請求項6に記載の制震補強架構は絶縁装置の上端と下端のいずれか一方がその側の支柱材に対して鉛直方向に相対移動自在であることで、絶縁装置の上に接合、もしくは接続された支柱材がその直下の支柱材に対して浮き上がることができ、その支柱材の浮き上がりに伴い、ブレースのダンパーが伸長して減衰力を発生し、振動を抑制する能力を有するため、請求項5を引用する請求項6に記載の制震補強架構が既存構造物の片面のみに配置されてもブレースのダンパーが伸長するときに連層耐震壁の曲げ変形を抑制することはできる。
請求項5を引用する請求項6に記載の制震補強架構が既存構造物の両面、すなわち連層耐震壁の幅方向両側に配置されれば、連層耐震壁の曲げ変形時にその両側の制震補強架構のダンパーが交互に減衰力を発生し、連層耐震壁のいずれの向きの曲げ変形時にも揺れが減衰させられるため、連層耐震壁の曲げ変形が一層効果的に抑制されることになる。
請求項1では下層側のスラブや地盤と上層側のスラブとの間に、鉛直方向に複数本の支柱材に分離した支柱を立設し、支柱と下層側のスラブや地盤、もしくは上層側のスラブとの間に、ブレース本体にダンパーを組み込んだダンパー一体型ブレースを架設し、上層側のスラブが下層側のスラブや地盤に対して層間変形しようとするときに、上層側のスラブに一体化している最上部の支柱材を上層側のスラブと共に挙動させ、最下部の支柱材より上の支柱材を直下の支柱材に対して相対水平移動させることで、ダンパーから最下部の支柱材に作用する軸方向力に対する反力を下層側のスラブや地盤に負担させ、最上部の支柱材に作用する軸方向力に対する反力を上層側のスラブに負担させるため、ダンパーからの軸方向力によって支柱材に過大な曲げモーメントとせん断力が作用する事態を回避でき、分離している各支柱材が転倒する可能性と、支柱材の脚部や頂部に過大な応力を生じさせる可能性を解消することができる。
請求項2では下層側のスラブや地盤と上層側のスラブとの間に、鉛直方向に複数本の支柱材に分離した支柱を水平方向に互いに間隔を隔てて立設し、隣接する支柱間にダンパー一体型ブレースを架設し、上層側のスラブが下層側のスラブや地盤に対して層間変形しようとするときに、上層側のスラブに一体化している最上部の支柱材を上層側のスラブと共に挙動させ、最下部の支柱材より上の支柱材を直下の支柱材に対して相対水平移動させることで、ダンパーから最下部の支柱材に作用する軸方向力に対する反力を下層側のスラブや地盤に負担させ、最上部の支柱材に作用する軸方向力に対する反力を上層側のスラブに負担させるため、ダンパーからの軸方向力によって支柱材に過大な曲げモーメントとせん断力が作用する事態を回避でき、分離している各支柱材が転倒する可能性と、支柱材の脚部や頂部に過大な応力を生じさせる可能性を解消することができる。
請求項1、請求項2共、上層側のスラブが下層側のスラブや地盤に対して層間変形しようとするときには、ブレースが上下の支柱材の相対水平移動に伴って伸長、または収縮することでその伸長量や収縮量、あるいは伸縮時の速度に応じてダンパーが発生する減衰力を上層側のスラブに一体化している支柱材から上層側のスラブに作用させるため、上層側のスラブの、下層側のスラブや地盤に対する揺れを抑制することができる。
また上層側のスラブに入力する地震力の一部はブレースが減衰力を発生しつつ、ブレースが負担し、地盤に減衰されながら伝達されるため、スラブと柱が負担すべき地震力が軽減され、構造物の地震力に対する安全性が向上する。
請求項1、請求項2の制震補強架構は地震時に、支柱を構成する支柱材間で相対移動を生ずることでダンパーが発生する減衰力を上層側のスラブに作用させる働きをし、支柱が地震力としての水平せん断力を負担することがなく、支柱とブレースが上層側のスラブの層間変形を阻止することはないため、支柱とブレースが構造物自身のせん断剛性に影響することがない。
この結果、制震補強架構が既存構造物に付加された場合にも、ブレースのせん断剛性が構造物自身のせん断剛性に加算される結果として地震時の応答値が上昇するようなことはなく、既存構造物の固有振動数を変動させることがないため、減衰の付与によって応答値を効果的に低減することが可能である。
更に制震補強架構は複数本の支柱材に分離した支柱と、上下に分離した支柱材間に介在する絶縁装置と、支柱とスラブ間、または隣接する支柱間に架設されるブレースから構成され、上層側のスラブと下層側のスラブ間単位で設置されることにより構造物に減衰を付与することの機能を有するため、構造物が既存であるか新設であるかを問わずに制震補強架構を配置することができ、構造物の内部に配置する場合には上層側のスラブと下層側のスラブの間に任意の位置、もしくは領域に自由な向きに配置することができる。
また制震補強架構を構造物の内部に配置する場合に上下のスラブ間の任意の位置や領域に自由な向きに配置できるため、水平2方向に向けて配置することにより構造物の外周部における開口を確保し、構造物の外観を維持したまま構造物の水平2方向の振動に対してダンパーによる制震効果を発揮させることができる。
制震補強架構がフレーム内や柱間に制限されることなく配置されることで、将来的な間取り割りの変更に対応しながら、その変更に伴う耐震要素の配置換えに追従することも可能であり、上層側のスラブと下層側のスラブに対して制震補強架構が着脱自在に接合されるようにすることで、上下のスラブ間への制震補強架構の設置と分離が自由に行えるため、将来的な間取り割りの変更が生じたときの耐震要素の配置換えに対応することが可能である。
請求項6では絶縁装置の上端と下端のいずれか一方を上下に分離した支柱材の内のいずれか一方の支柱材に接合し、他方を他方の支柱材に鉛直方向に相対移動自在に接続させることで、上下に分離した支柱材の相対水平移動を許容しながらも、上側の支柱材の浮き上がりに追従することができるため、絶縁装置が軸方向引張力を受けることがなくなり、絶縁装置に積層ゴム支承を用いた場合の引張による破断を回避することができる。
請求項1に記載の発明は図1−(a)の中央部に示すように少なくとも柱1と複数のスラブ2、3を持つ構造物において相対的に下層側のスラブ2、または地盤と上層側のスラブ3との間に立設され、鉛直方向に複数本の支柱材41、42に分離した支柱4と、上下に分離した支柱材41、42間に介在し、両支柱材41、42間の相対水平移動を許容する絶縁装置5と、支柱4と下層側のスラブ2、もしくは上層側のスラブ3との間に架設される、ブレース本体にダンパーを組み込んだダンパー一体型ブレース(以下ブレース)6から構成される制震補強架構7である。
請求項2に記載の発明は図6の中央部に示すように少なくとも柱1と複数のスラブ2、3を持つ構造物において相対的に下層側のスラブ2、または地盤と上層側のスラブ3との間に水平方向に互いに間隔を隔てて立設され、鉛直方向に複数本の支柱材41、42に分離した支柱4と、上下に分離した支柱材41、42間に介在し、両支柱材41、42間の相対水平移動を許容する絶縁装置5と、隣接する支柱4、4間に架設されるブレース6から構成される制震補強架構7である。図7は図6の平面を示す。
図1−(a)、図6の中央部は上下に隣接する下層側のスラブ2と上層側のスラブ3との間に支柱4を立設して制震補強架構7を配置した場合(請求項3)を示している。
図面では構造物がフラットスラブ構造の場合を示しているが、梁型を有する構造の場合もある。構造物は既存構造物であるか新設構造物であるかを問わない。構造物は鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、外壁等にALC版を張り付けた鉄骨造、あるいは鋼管コンクリート造の別を問わず、制震補強架構7を構成する支柱4も鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨造、鋼管コンクリート造の場合がある。コンクリート造の場合は現場打ちコンクリート造とプレキャストコンクリート製の場合がある。
図1−(a)、図6等では支柱4が最下部に位置する支柱材41と最上部に位置する支柱材42の2本の支柱材41、42からなる場合を示しているが、支柱材41、42の本数に関係なく、請求項1、請求項2共、最下部に位置する支柱材41は下層側のスラブ2、または地盤に直接、もしくは間接的に接合され、最上部に位置する支柱材42は上層側のスラブ3に直接、もしくは間接的に接合されてその上層側のスラブ3と共に挙動する。
図面ではまた、下側の支柱材41を上側の支柱材42より相対的に長くしているが、ブレース6はダンパー62の減衰力を効果的に発生させる上ではいずれかの支柱材41、42のスラブ2、3寄りの端部に接続されるため、両支柱材41、42の長さが相違する必要はなく、等しい場合もある。
支柱材41、42のスラブ2、3や地盤への接合方法はスラブ2、3等に着脱自在に接合されるか、スラブ2、3等の構築と共に一体的に構築されるかによって決まるが、少なくとも支柱材41、42間に相対水平移動が生じたときに転倒しない程度に接合されていればよく、支柱材41、42のスラブ2、3等への接合方法は問われない。
着脱自在に接合する場合は、例えば下層側のスラブ2の上端面と上層側のスラブ3の下端面にベースプレート14等をアンカーボルト11その他のアンカーによって定着させておき、そのベースプレート14等に対して支柱材41の下端部と支柱材42の上端部に一体化した定着プレート10等を接合することが行われる。最下部に位置する支柱材41を地盤に接合する場合は、例えば地中に構築したフーチング等の基礎に、あるいは構造物の基礎に接合することにより支柱材41の地盤への接合が行われる。
ブレース6は互いに軸方向に相対移動自在なブレース本体61、61と、一方のブレース本体61に内蔵され、他方のブレース本体61に接続されるダンパー62からなり、ブレース本体61、61がその両端間に作用する圧縮力と引張力によって相対移動するときにその変位や速度に応じた減衰力をダンパー62が発生することによりフレーム6の揺れを抑制する。ダンパー62にはオイルダンパー等の粘性流体を用いたダンパーが使用される。
請求項1の場合、支柱材41、42の構成本数に関係なく、ブレース6は図1−(a)に示すように最上部の支柱材42と下層側のスラブ2や地盤との間、または最下部の支柱材41と上層側のスラブ3との間に架設され、ブレース6の支柱材41、42側の端部は例えば図3に示すようにブレース本体61の端部に一体化したブラケット63において支柱4のいずれかの支柱材41、42に接合されたベースプレート8に一体化したガセットプレート9に連結される。スラブ2、3や地盤側の端部はブラケット63においてスラブ2、3や地盤に突設、または定着されたガセットプレート13に連結される。
請求項2の場合、支柱材41、42の構成本数に関係なく、ブレース6は図6に示すように隣接する支柱4、4間に架設され、一方の支柱4側の端部は図3と同様に例えばブレース本体61の端部に一体化したブラケット63において最下部の支柱材41、または最上部の支柱材42に接合されたベースプレート8に一体化したガセットプレート9に連結される。同様に他方の支柱4側の端部も最上部の支柱材42、または最下部の支柱材41に接合されたベースプレート8に一体化したガセットプレート9にブラケット63において連結される。
ベースプレート8を鉄筋コンクリート造の支柱材41,42に接合する場合にはブレース6からの圧縮力と引張力が支柱4に直接伝達されるよう、例えば4枚のプレートを箱形のバンドプレート状に組み立てた形で、支柱4を包囲する形のベースプレート8が使用される。ガセットプレート9は箱形のベースプレート8の、ブレース6が接続される側に溶接等により突設される。
図1−(a)の中央部に位置する制震補強架構7は水平方向に互いに間隔を隔てて立設された2本の支柱4、4と、その中間位置でスラブ2に定着されたガセットプレート13と各支柱4の支柱材42との間に架設された2本のブレース6、6からなる場合を示しているが、請求項1の制震補強架構7は絶縁装置5を含む少なくとも1本の支柱4と1本のブレース6から構成されるため、図1−(a)に示す制震補強架構7は最小単位の請求項1の制震補強架構7を水平方向に連続させて配置した形に相当する。
図6の中央部に位置する制震補強架構7は水平方向に互いに間隔を隔てて立設された3本の支柱4、4、4の内、隣接する各2本の支柱4、4間にブレース6を架設した場合を示しているが、請求項2の制震補強架構7は絶縁装置5を含む少なくとも2本の支柱4、4と1本のブレース6から構成されるため、図6に示す制震補強架構7は最小単位の請求項2の制震補強架構7を水平方向に連続させて配置した形に相当する。図6の場合、3本の支柱4、4、4の内、中間の支柱4の、ブレース6が接続される最下部の支柱材41、または最上部の支柱材42にはベースプレート8が接合される。
図3は図1−(a)における上下に隣接するスラブ2、3間に配置された請求項3の制震補強架構7の詳細を示す。ここではブレース6の一端が接続される最上部の支柱材42の周囲にバンドプレート形のベースプレート8を接合すると共に、ベースプレート8に、スラブ3に接触する定着プレート10を一体化させ、定着プレート10を支柱材42の周囲において複数本のアンカーボルト11を用いてスラブ3に定着させている。図4−(b)、(c)はそれぞれ図3における最上部の支柱材42の回りに接合されたベースプレート8の底面と側面を示す。図4−(d)は図3におけるガセットプレート13の平面を示す。
スラブ2、3に対して支柱4(支柱材41、42)を後付けする場合において、定着プレート10に作用するブレース6からの引張力が過大になる可能性がある場合には、引張力に対する抵抗力を増大させるために図4−(a)に示すようにスラブ2、3に定着プレート10側から奥側の断面が拡大する形状の削孔が穿設され、その削孔にアンカーボルト11としてアンカープレート等の定着材を有するアンカー体が挿入され、モルタルや接着剤等の充填材12が充填される。
ブレース6の端部が接続されるスラブ2、3には図1−(b)に示すようにガセットプレート13が埋設されるか、定着される等により接合される。ガセットプレート13はスラブ2、3に直接接合されるか、スラブ2、3にアンカーボルト11と充填材12等により定着されるベースプレート14に突設される。制震補強架構7の配置替えに対応する場合、ガセットプレート13は支柱4と共にスラブ2、3に着脱自在に接合される。図1−(b)はベースプレート14上に格子状に組み立てたプレートの上にガセットプレート13を接合した場合を示している。
絶縁装置5には積層ゴム支承、または支柱材41、42からの離脱防止のための変形制限機構付きの弾性滑り支承や滑り支承等が使用されるが、絶縁装置5として積層ゴム支承を使用した場合、絶縁装置5は上端と下端のいずれか一方において上下に分離した支柱材41、42の内のいずれか一方の支柱材41(42)に接合され、他方において他方の支柱材42(41)に鉛直方向に相対移動自在に接続される。
絶縁装置5は図3に示すように積層ゴムの上下に一体化しているフランジ51、52の内の例えば下部のフランジ52を下側の支柱材41の上面に定着させ、上部のフランジ51を上側の支柱材42の下面に定着させることなく、フランジ51の上面に接合されたシアキー53を上側の支柱材42の下面から形成された空洞4aに嵌合させ、水平方向に係合させることにより支柱材42に鉛直方向に相対移動自在に接続される。シアキー53を下部のフランジ52の下面に接合し、これを下側の支柱材41の上面から形成された空洞4aに嵌合させると共に、上部のフランジ51を上側の支柱材42の下面に定着させることもある。
絶縁装置5が積層ゴムと上下のフランジ51、52、及びシアキー53からなる場合、絶縁装置5より上側の支柱材42からの鉛直荷重はフランジ51、52と積層ゴムを通じて、またはフランジ51、52と積層ゴム、及びシアキー53を通じて下側の支柱材41に伝達される。
図1−(a)、図6の左端はスラブ2、3の縁に沿って支柱4を立設した場合(請求項5)の制震補強架構7を示す。図1−(a)の左端における制震補強架構7の立面を図5に示す。
図1−(a)、図6の左端においてスラブ2、3の縁に沿って立設される支柱4の高さは上下のスラブ2、3間の距離に制限されないため、1層分乃数層分の高さを有する。図1−(a)、図5、図6に示すように1本の支柱4に2層分の高さを与えた場合、支柱4は上下のスラブ2、3の中間のスラブ2Aには接続しない。このように支柱材4が数層分の高さを有する場合は1本のブレース6が数層に亘って架設されることで、1層の場合より層間変位によるブレース6の変形量が大きくなるため、ダンパー62によるエネルギ吸収効率が高まる利点がある。
図8は梁型を有する構造物においてスラブ2、3の縁に沿って支柱4を立設した場合の具体例としてバルコニーのスラブの腰壁の外側に支柱4を接するように立設し、支柱材41、42をバルコニーの腰壁やスラブに接合した様子を示す。
スラブ2、3の縁に沿って支柱4を後付けする場合には、例えば支柱材41、42に突設したアンカーや鉄筋等をスラブ2、3の縁に定着させることにより、スラブ2、3に入力する地震力が支柱材41、42に伝達されるように支柱材41、42とスラブ2、3との一体性が確保される。このとき、バルコニーのスラブの剛性が不足する場合にはスラブの下面側にコンクリートを増打ちする等によりバルコニー部分の水平剛性が補われる。
図9は請求項2において中間のスラブ2Aを貫通してその下層側のスラブ2と上層側のスラブ3との間に支柱4を立設し、ブレース6を架設した場合(請求項4)の制震補強架構7を示す。
この場合、図示しないが、支柱4の回りと中間のスラブ2Aとの間、及びブレース6の回りと中間のスラブ2Aとの間には上層側のスラブ3が層間変形を生じたときの衝突を回避するための空隙が確保される。図9は図6と同様に上下のスラブ2、3間に3本の支柱4、4、4を立設し、隣接する各2本の支柱4、4間にブレース6を架設した場合(請求項2)を示している。空隙は変形可能な金属やプラスチック等によって埋められる。
図10は梁型を有する構造物において中間のスラブ2Aを貫通して下層側のスラブ2と上層側のスラブ3との間に支柱4を立設し、ブレース6を架設した状況を示す。
図11は請求項1の制震補強架構7と請求項2の制震補強架構7を組み合わせて構造物内に配置した場合を示す。ここでは上層階において構造物の柱1を外した領域に請求項1の制震補強架構7を1方向に連続させて配置し、下層階において柱1を外した領域に請求項2の制震補強架構7を配置している。
図12は請求項1の制震補強架構7と請求項2の制震補強架構7の各平面上の配置例を示す。ここでは請求項1の制震補強架構7を構造物の内部に配置し、請求項2の制震補強架構7を構造物の内部と外周に配置している。図12中、一点鎖線は構造物の外壁のラインを示す。
図11、図12に示すように請求項1の制震補強架構7と請求項2の制震補強架構7は上層側のスラブ3と下層側のスラブ2の間の柱1を外した任意の位置、もしくは領域に自由な向きで配置される。
(a)は請求項1の制震補強架構を構築した様子を示した立面図、(b)は(a)のガセットプレート部分の詳細図である。 上層側のスラブが層間変形したときの支柱材の追従の様子を示した立面図である。 図1−(a)の中央部における制震補強架構の詳細を示した立面図である。 (a)は図3における定着プレートの定着の様子を示した立面図、(b)は定着プレートが一体化したベースプレートとアンカーボルトを示した底面図、(c)は(b)の立面図、(d)はスラブに定着されるガセットプレートを示した平面図である。 図1−(a)における左端の制震補強架構を示した立面図である。 請求項2の制震補強架構を構築した様子を示した立面図である。 図6の平面図である。 スラブの縁に沿って支柱を立設した場合の具体例を示した縦断面図である。 中間のスラブを貫通して支柱を立設し、ブレースを架設した場合を示した立面図である。 図9の具体例を示した縦断面図である。 請求項1の制震補強架構と請求項2の制震補強架構を組み合わせて構造物内に配置した様子を示した立面図である。 請求項1の制震補強架構と請求項2の制震補強架構を組み合わせて構造物内に配置した様子を示した平面図である。
符号の説明
1……柱、2……下層側のスラブ、2A……中間のスラブ、3……上層側のスラブ、
4……支柱、41……支柱材、42……支柱材、
5……絶縁装置、51……上部のフランジ、52……下部のフランジ、53……シアキー、
6……ダンパー一体型ブレース、61……ブレース材、62……ダンパー、63……ブラケット、
7……制震補強架構、
8……ベースプレート、9……ガセットプレート、10……定着プレート、11……アンカーボルト、12……充填材、
13……ガセットプレート、14……ベースプレート。

Claims (8)

  1. 少なくとも柱と複数のスラブを持つ構造物の内部、もしくは外部に設置され、構造物を制震補強する制震補強架構であり、
    相対的に下層側のスラブ、または地盤と上層側のスラブとの間に立設され、鉛直方向に複数本の支柱材に分離した支柱と、上下に分離した支柱材間に介在し、両支柱材間の相対水平移動を許容する絶縁装置と、支柱と前記下層側のスラブ、または地盤、もしくは上層側のスラブとの間に架設される、ブレース本体にダンパーを組み込んだダンパー一体型ブレースから構成され、
    最下部に位置する支柱材はその下端部に一体化した定着プレートにおいて前記下層側のスラブ、または地盤に定着されたベースプレートに接合され、最上部に位置する支柱材はその上端部に一体化した定着プレートにおいて前記上層側のスラブに定着されたベースプレートに接合されてその上層側のスラブと共に挙動し、
    前記ダンパー一体型ブレースの一端は前記支柱の最下部、または最上部の支柱材に一体化したガセットプレートに連結され、他端は上層側のスラブ、もしくは下層側のスラブ、または地盤に突設、または定着されたガセットプレートに連結されていることを特徴とする制震補強架構。
  2. 少なくとも柱と複数のスラブを持つ構造物の内部、もしくは外部に設置され、構造物を制震補強する制震補強架構であり、
    相対的に下層側のスラブ、または地盤と上層側のスラブとの間に水平方向に互いに間隔を隔てて立設され、鉛直方向に複数本の支柱材に分離した支柱と、上下に分離した支柱材間に介在し、両支柱材間の相対水平移動を許容する絶縁装置と、前記隣接する支柱間に架設される、ブレース本体にダンパーを組み込んだダンパー一体型ブレースから構成され、
    最下部に位置する支柱材はその下端部に一体化した定着プレートにおいて前記下層側のスラブ、または地盤に定着されたベースプレートに接合され、最上部に位置する支柱材はその上端部に一体化した定着プレートにおいて前記上層側のスラブに定着されたベースプレートに接合されてその上層側のスラブと共に挙動し、
    前記ダンパー一体型ブレースの一端は前記隣接する支柱の内のいずれか一方の支柱の最下部、または最上部の支柱材に一体化したガセットプレートに連結され、他端は他方の支柱の最上部、または最下部の支柱材に一体化したガセットプレートに連結されていることを特徴とする制震補強架構。
  3. 支柱は上下に隣接する下層側のスラブ、または地盤と上層側のスラブとの間に立設されている請求項1、もしくは請求項2記載の制震補強架構。
  4. 支柱は中間のスラブを貫通してその下層側のスラブ、または地盤と上層側のスラブとの間に立設されている請求項1、もしくは請求項2記載の制震補強架構。
  5. 支柱はスラブの縁に沿って立設されている請求項1、もしくは請求項2記載の制震補強架構。
  6. 絶縁装置はその上端と下端のいずれか一方において上下に分離した支柱材の内のいずれか一方の支柱材に接合され、他方において他方の支柱材に鉛直方向に相対移動自在に接続されている請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の制震補強架構。
  7. 少なくとも柱と複数のスラブを持つ構造物の内部、もしくは外部に請求項1、または請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の制震補強架構を配置した制震構造物であり、最下部に位置する支柱材を下層側のスラブ、または地盤に直接、もしくは間接的に接合し、最上部に位置する支柱材を上層側のスラブに直接、もしくは間接的に接合し、ダンパー一体型ブレースの一端を支柱の最下部、または最上部の支柱材に直接、もしくは間接的に接続し、他端を上層側のスラブ、もしくは下層側のスラブ、または地盤に直接、もしくは間接的に接続してある制震補強架構を用いた制震構造物。
  8. 少なくとも柱と複数のスラブを持つ構造物の内部、もしくは外部に請求項2乃至請求項6のいずれかに記載の制震補強架構を配置した制震構造物であり、最下部に位置する支柱材を下層側のスラブ、または地盤に直接、もしくは間接的に接合し、最上部に位置する支柱材を上層側のスラブに直接、もしくは間接的に接合し、ダンパー一体型ブレースの一端を隣接する支柱の内のいずれか一方の支柱の最下部、または最上部の支柱材に直接、もしくは間接的に接続し、他端を他方の支柱の最上部、または最下部の支柱材に直接、もしくは間接的に接続してある制震補強架構を用いた制震構造物。

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