JP7239459B2 - 免震建物の引抜き・転倒防止構造 - Google Patents

免震建物の引抜き・転倒防止構造 Download PDF

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Description

本発明は、建物に複数の免制振装置(免震装置、制振装置)が設置された免震建物の引抜き・転倒防止構造に関する。
地震発生時における建物の揺れを抑えるため、地盤に設けられた基礎構造と建物との間に、免震装置を備えた免震建物が提供されている。
このような免震建物において、特に、塔状比(建物幅に対する建物高さの比:アスペクト比)が、例えば4以上と大きいものでは、地震荷重が加わると、建物頭部における変形が大きくなり、建物基部に作用する引抜き力や転倒モーメントが大きくなる。このため、引抜き力や転倒モーメントに対して抵抗することができる免震建物の転倒防止構造が種々提案されている。
例えば特許文献1には、免震装置(積層ゴム体)により地盤上に支持された建物において、建物の上床版に対して下向きに設置した転倒防止用の免震装置(積層ゴム体)を備える構成が開示されている。
特許文献1に開示されたような構成では、引抜き力や転倒モーメントに対する抵抗効果をさらに高めようとすると、転倒防止用の免震装置を支持する反力フレームをさらに強固に設ける必要がある。すると、反力フレームや、反力フレームを固定するためのアースアンカーが大掛かりとなってしまう。このため、地震発生時に建物に作用する引抜き力や転倒モーメントに対する抵抗効果を高めるには限りがある。
また、特許文献2には、上部構造体と下部構造体の間に設けられた免震装置と、上部構造体の一部を横方向外側に延出させるように形成した外側抑え部と、下部構造体に設けられ、上下方向に所定の隙間をあけて外側抑え部の上に延設された外側転倒防止構造本体部と、外側抑え部と外側転倒防止構造本体部との間に設けられた制振装置と、を備える構成が開示されている。
特許文献2に開示されたような構成では、引抜き力や転倒モーメントに対する抵抗効果をさらに高めようとすると、外側転倒防止構造本体部をさらに強固に設ける必要がある。すると、外側転倒防止構造本体部の大型化を招いてしまう。このため、地震発生時に建物に作用する引抜き力や転倒モーメントに対する抵抗効果を高めるには限りがある。
また、特許文献3には、上部構造体と下部構造体の間に設けられた免震装置と、下部構造体の一部を横方向外側に延出させるように形成した外側張出部と、上部構造体に設けられ、上下方向に所定の隙間をあけて外側張出部の下に延設された外側転倒防止構造本体部と、外側張出部と外側転倒防止構造本体部との間に設けられた制震装置と、を備える構成が開示されている。
特許文献3に開示されたような構成では、引抜き力や転倒モーメントに対する抵抗効果をさらに高めようとすると、外側転倒防止構造本体部をさらに強固に設ける必要がある。すると、外側転倒防止構造本体部の大型化を招いてしまう。このため、地震発生時に建物に作用する引抜き力や転倒モーメントに対する抵抗効果を高めるには限りがある。
特開平1-203541号公報 特開2013-40501号公報 特開2013-40502号公報
本発明の目的は、地震発生時に建物に作用する引抜き力や転倒モーメントに対し、効果的に抵抗することができる、免震建物の引抜き・転倒防止構造を提供することである。
本発明者らは、塔状比が高い扁平形状の建物を対象に、地下階において、基礎構造と地下躯体との間、及びその上方側の地下躯体同士の間に、複数の免制振装置を設けることで、基礎構造上に設置する免制振装置で建物に入力される地震力を低減するとともに、地下躯体の上方側に設置する免制振装置によってさらに地震力を低減しつつ、当該免制振装置上に地下階の躯体重量をカウンターウエイトとして作用させることで、地震時に建物に生じる引抜き性状や、回転・転倒性状を抑制させる建物の引抜き・転倒防止構造を実現できる点に着目して、本発明に至った。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の免震建物の引抜き・転倒防止構造は、地盤側に固定された地盤側地下躯体と、地上躯体に一体に構築された地下躯体と、を備えており、当該地下躯体の一部は、水平方向に突出した底部側張り出し部を備え、前記地盤側地下躯体の少なくとも一部は、前記底部側張り出し部の上方に張り出した上部側張り出し部を備えており、前記地下躯体と基礎スラブ間には基礎側免震装置が設置されており、前記底部側張り出し部と前記上部側張り出し部との間に免震装置と制振装置のいずれか一方または双方を有する免制振装置が設けられ、前記上部側張り出し部は地下階であることを特徴とする。
このような構成によれば、基礎スラブと地下躯体との間に基礎側免震装置が設けられ、かつ地下躯体を構成する底部側張り出し部と、地盤側地下躯体を構成する上部側張り出し部との間に、免制振装置が設けられている。これにより、地震発生時に、地上躯体の変形により地下躯体に引抜き力や転倒モーメントが作用した場合、免制振装置には、これを上方に押し上げる力が作用し、上下方向の圧縮力が作用する。地下躯体と地盤側地下躯体との間に設けられた免制振装置が上下方向の圧縮力に抗することで、地下躯体に作用する引抜き力や転倒モーメントに抵抗する。免制振装置の上方に位置する上部側張り出し部は、例えば地下階床スラブ、地下階壁、および地下階天井を備えている地下階であるため、強固で、自重も大きい。これにより、地下躯体に作用する引抜き力や転倒モーメントによって上方に押し上げられる免制振装置を、地下階である上部側張り出し部の躯体の自重によって上方から強固に抑えることができる。したがって、地震発生時に建物に作用する引抜き力や転倒モーメントに対し、効果的に抵抗することが可能となる。
また、免制振装置の上方に、地盤側地下躯体を構成する、地下階である上部側張り出し部が設けられているために、上部側張り出し部の重量が免制振装置に作用することで、免制振装置によって水平方向のせん断変形を制御しつつ、建物に作用する引抜き力を下方側に押し下げるように抵抗させることができる。
本発明の一態様においては、前記基礎側免震装置が、前記地下躯体の底面下の四隅に其々設置されていることを特徴とする。
このような構成によれば、地下躯体の底面下の四隅に基礎側免震装置が設置されていることで、地震発生時に建物に様々な方向から地震力が加わっても、基礎側免震装置によって建物に入力される地震荷重を低減できる。
本発明の一態様においては、前記免制振装置が、前記底部側張り出し部を構成する天井躯体の上面に2か所以上設置されていることを特徴とする。
このような構成によれば、免制振装置が地下躯体を構成する天井躯体の上面と地盤側地下躯体との間に2か所以上設置されることで、少なくとも地下躯体を構成する1辺、または四方に複数の免震装置や制振装置を設定でき、地下躯体の底面下に設置する免震装置と併せて、更に地震荷重を低減できる。
本発明によれば、地震発生時に建物に作用する引抜き力や転倒モーメントに対し、効果的に抵抗することが可能な、免震建物の引抜き・転倒防止構造を提供できる。
本発明の第1の実施形態に係る免震建物の引抜き・転倒防止構造を適用した免震建物の概略構成を示す断面図である。 図1の免震建物の引抜き・転倒防止構造を示す部分断面図である。 図2のI-I矢視断面図である。 図2のII-II矢視断面図である。 本発明の第1の実施形態の変形例に係る免震建物の引抜き・転倒防止構造を適用した免震建物を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る免震建物の引抜き・転倒防止構造を適用した免震建物を示す平断面図である。 本発明の変形例に係る免震建物の引抜き・転倒防止構造を適用した免震建物を示す、(a)は部分的な平断面図であり、(b)は(a)のIII-III矢視断面図である。
本発明は、地下階を有する建物を対象とする、基礎スラブと地下躯体の間に免震装置を設置し、地下躯体の水平方向に突出する底部側張り出し部と、その上方に設けられた、地盤側地下躯体を構成する上部側張り出し部との間に、免震装置や制振装置を有する免制振機装置が設置された免震建物の引抜き・転倒防止構造である。
本発明の特徴は、地下躯体の複数の高さ位置に免震装置や制振装置を設定し、かつ上方側に設定する免震装置等の上方には地下階壁と地下階床スラブ、及び地下階天井等で構成される地下階である、上部側張り出し部が設けられる点である。したがって、地震時に上向きの鉛直力が免制振装置(免震装置や制振装置)に作用する際には、上部側張り出し部による地下階の躯体の自重が圧縮力として作用するために、建物の引き抜き力や転倒モーメントに抵抗できる。免震建物の引抜き・転倒防止構造として有効となる。
以下、添付図面を参照して、本発明による免震建物の引抜き・転倒防止構造を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る免震建物の引抜き・転倒防止構造を適用した免震建物の概略構成を示す断面図を図1に示す。図2は、図1の免震建物の引抜き・転倒防止構造を示す断面図である。
図1、図2に示されるように、免震建物1Aは、基礎構造2と、地盤側地下躯体3Aと、地下躯体4Aと、基礎側免震装置5と、免制振装置6Aと、を備えている。
基礎構造2は、地盤G中に構築された基礎杭(図示無し)と、基礎スラブ21と、を備えている。基礎スラブ21は、基礎杭上に接続されている。基礎スラブ21は、地盤Gの地表面Gfから下方に窪むように形成された掘削穴22の底面に沿って設けられている。
地盤側地下躯体3Aは、免震建物1Aのなかで、地盤側に固定されており、掘削穴22内に設けられている。地盤側地下躯体3Aは、基礎スラブ21の外周部から上方に向かって立ち上がるように立設された地下外壁31を含む。地下外壁31は、掘削穴22の内周側面に沿って設けられている。
地下躯体4Aは、地盤側地下躯体3Aの内部(内側)に設けられている。地下躯体4Aは、上下方向に1階以上の階層を有する地下階を備えており、床スラブ41と、床スラブ41上に立設された地下内壁42と、地下内壁42上に支持された天井躯体43と、を備えている。地下躯体4Aは、地盤側地下躯体3Aの地下外壁31との間に、水平方向に間隔をあけて設けられている。また、地下躯体4Aには、地上躯体8を支持する柱44等が設けられている。
図1に示されるように、地下躯体4A上には地上躯体8が連結されて、一体に構築されている。地上躯体8は、地下躯体4Aから上方に延びている。地上躯体8の下端部8aは、その水平断面積が、地下躯体4Aの水平断面積よりも小さい。ここで、本実施形態において、地上躯体8は、地下躯体4Aに対して水平方向一方の側(図1、図2において左側)に偏った位置に配置されている。これにより、地下躯体4Aは、地上躯体8の下端部8aに対し、水平方向に突出した底部側張り出し部48Aを有している。図2に示した断面において、底部側張り出し部48Aは、地下躯体4Aの一方の側方にのみ形成されている。このように、地下躯体4Aを構成する地下階の一部が、地上躯体8よりも水平方向に突出することにより、底部側張り出し部48Aが形成されている。
これら地下躯体4Aと地上躯体8とにより、免震建物1Aの建物本体11が構成されている。この建物本体11は、塔状比が、例えば4以上とされている。ここで、地下躯体4A、および地上躯体8は、それぞれ、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、プレキャストコンクリート造等、いかなる構造であってもよい。
図2に示されるように、地盤側地下躯体3Aは上部側張り出し部7Aを備えている。上部側張り出し部7Aは、地下躯体4Aの底部側張り出し部48Aの上方に設けられている。上部側張り出し部7Aは、地下外壁31に一体に接続されて設けられている。上部側張り出し部7Aは、地盤側地下躯体3Aの少なくとも一部が地下外壁31から地盤側地下躯体3Aの内方に向けて突出して張り出し、底部側張り出し部48Aの上方にオーバーハングするように設けられている。上部側張り出し部7Aは、上下方向に1層以上の階層を有し、地下階床スラブ71、地下階壁72、及び地下階天井73を備えた地下階である。上部側張り出し部7Aは、地下躯体4Aの底部側張り出し部48Aの上面との間に、上下方向に間隔をあけて設けられている。また、上部側張り出し部7Aは、地下躯体4Aにおいて底部側張り出し部48Aよりも上方の部分49に対し、水平方向に間隔をあけて設けられている。
図3は、図2のI-I矢視断面図である。
基礎側免震装置5は、基礎構造2と地下躯体4Aの間に設けられている。基礎側免震装置5は、免震ゴム装置等からなり、基礎構造2に接続された基礎スラブ21の上面に複数配置されている。図3に示されるように、本実施形態では、基礎側免震装置5は、少なくとも、地下躯体4Aの底面下の四隅に配置されている。地下躯体4Aは、これら複数の基礎側免震装置5上に設けられている。基礎構造2と地下躯体4Aの間には、基礎側免震装置5以外に、免震ダンパー装置等、他の免震装置や制振装置を備えるようにしてもよい。
図4は、図2のII-II矢視断面図である。
図2に示されるように、免制振装置6Aは、地下躯体4Aと地盤側地下躯体3Aの間に設置されている。免制振装置6Aは、地下躯体4Aの底部側張り出し部48Aと、地盤側地下躯体3Aの上部側張り出し部7Aとの間に設けられている。免制振装置6Aは、免震装置61を有している。本実施形態では、免震装置61は、少なくとも、底部側張り出し部48Aを構成する天井躯体43の上面と、上部側張り出し部7Aの下面との間に、例えば2つが設けられている。
図2、図4に示されるように、免震装置61は、上部側張り出し部7Aを構成する地下階壁72の下方に配置するのが好ましい。換言すると、地下階壁72は、上部側張り出し部7Aの最下部の地下階床スラブ71の下方に設けられた免震装置61の鉛直上方に設けられている。これにより、免震装置61は、上部側張り出し部7Aにおいて、地下階壁72が設けられて上下方向の力(軸力)に対して高い剛性を有した部分に配置される。
また、免震装置61の上方には、上部側張り出し部7Aを構成する梁(図示無し)を配置するようにしてもよい。これにより、免震装置61は、上部側張り出し部7Aにおいて梁が設けられることで上下方向の力(軸力)に対して高い剛性を有した部分に配置されている。
上記実施形態での作用効果を下記に述べる。
上述したような免震建物1Aの引抜き・転倒防止構造は、地盤G側に固定された地盤側地下躯体3Aと、地上躯体8に一体に構築された地下躯体4Aと、を備えており、当該地下躯体4Aの一部は、水平方向に突出した底部側張り出し部48Aを備え、地盤側地下躯体3Aの少なくとも一部は、底部側張り出し部48Aの上方に張り出した上部側張り出し部7Aを備えており、地下躯体4Aと基礎スラブ21間には基礎側免震装置5が設置されており、底部側張り出し部48Aと上部側張り出し部7Aとの間に免震装置61と制振装置のいずれか一方または双方を有する免制振装置6Aが設けられ、上部側張り出し部7Aは地下階である。
このような構成によれば、基礎スラブ21と地下躯体4Aとの間に基礎側免震装置5が設けられ、かつ地下躯体4Aを構成する底部側張り出し部48Aと、地盤側地下躯体3Aを構成する上部側張り出し部7Aとの間に、免制振装置6Aが設けられている。これにより、地震発生時に、地下躯体4Aに連結された地上躯体8の変形により、地下躯体4Aに引抜き力や転倒モーメントが作用した場合、免制振装置6Aには、これを上方に押し上げる力が作用し、上下方向の圧縮力が作用する。地下躯体4Aと地盤側地下躯体3Aとの間に設けられた免制振装置6Aが上下方向の圧縮力に抗することで、地下躯体4Aに作用する引抜き力や転倒モーメントに抵抗する。
免制振装置6Aの上方に位置する上部側張り出し部7Aは、地下階床スラブ71、地下階壁72、および地下階天井73を備えている地下階であるため、強固で、自重も大きい。これにより、地下躯体4Aに作用する引抜き力や転倒モーメントによって上方に押し上げられる免制振装置6Aを、地下階である上部側張り出し部7Aの躯体の自重によって上方から強固に抑えることができる。ここで、上部側張り出し部7Aが地下外壁31に一体接続されているので、引抜き力や転倒モーメントによって上方に押し上げられる免制振装置6Aには、上部側張り出し部7Aの自重だけなく、上部側張り出し部7Aが接続された地下外壁31、地下外壁31が接続された基礎スラブ21、および基礎構造2の自重や、基礎構造2の地盤Gへの定着力が作用することになる。したがって、地震発生時に建物に作用する引抜き力や転倒モーメントに対し、効果的に抵抗することが可能となる。
また、免制振装置6Aの上方に、地盤側地下躯体3Aを構成する、地下階である上部側張り出し部7Aが設けられているために、上部側張り出し部7Aの重量が免制振装置6Aに作用することで、免制振装置6Aによって水平方向のせん断変形を制御しつつ、建物に作用する引抜き力を下方側に押し下げるように抵抗させることができる。
また、基礎側免震装置5が、地下躯体4Aの底面下の四隅に其々設置されている。
このような構成によれば、地震発生時に建物に様々な方向から地震力が加わっても、基礎側免震装置5によって建物に入力される地震荷重を低減できる。
また、免制振装置6Aが、底部側張り出し部48Aを構成する天井躯体43の上面に2か所設置されている。
このような構成によれば、少なくとも地下躯体4Aを構成する1辺に複数の免制振装置6Aを設定でき、地下躯体4Aの底面下に設置する免震装置と併せて、更に地震荷重を低減できる。
特に、塔状比(計算しようとする方向における架構の建物幅に対する建物高さの比)が4以上の建物にあっては、地震荷重が加わると建物頭部の変形が大きくなると共に、大きな転倒モーメントが生じるために、地下階の躯体重量をカウンターウエイトとして、より効果的に利用可能となる。
また、地盤側地下躯体3Aが、地下外壁31と、地下階床スラブ71、地下階壁72、及び地下階天井73を含む地下階すなわち上部側張り出し部7Aとが連結されることにより構成されており、地下外壁31が地下階床スラブ71や地下階天井73と接続されて、土圧を支持できるために、地下外壁31の壁厚さを薄くできる。したがって、地下空間を広くすることが可能である。
特に本実施形態においては、免制振装置6Aの上方に、上部側張り出し部7Aを構成する地下階壁72が設けられている。
このような構成によれば、免制振装置6Aの上方位置における上部側張り出し部7Aの鉛直剛性が高まる。これにより、地下躯体4Aに作用する引抜き力や転倒モーメントによって上方に押し上げられる免制振装置6Aを、上部側張り出し部7Aによって、上方からより強固に抑えることができる。したがって、地震発生時に建物に作用する引抜き力や転倒モーメントに対し、より効果的に抵抗することが可能となる。
また、免震建物は、図1、図2に示すように地盤側地下躯体3Aの内部に、地上躯体8と連結される地下躯体4Aを備え、基礎側免震装置5が地下躯体4Aの最下端直下に設置され、免制振装置6Aが地下躯体4Aを構成する天井躯体43上に設置される。よって、地震発生時における免震装置5、及び免制振装置6Aのための免震クリアランスは、地下外壁31の外側ではなく、地盤側地下躯体3Aを構成する地下外壁31と地下躯体4Aを構成する地下内壁42との間に確保されるために、利用可能な地下空間を広く確保できる。
(第1の実施形態の変形例)
上記実施形態では、上部側張り出し部7Aや地下躯体4Aについて例示したが、その構成は適宜変更可能である。
例えば、図5に示すように、上部側張り出し部7A’は、上下方向の中間部に地下階床スラブ71を備えない構造とすることもできる。また、上部側張り出し部7A’の地下階壁72’は、その下端部72bの水平断面積を増大させ、剛性を高めるようにしてもよい。
また、免制振装置6Aにおいて、免震装置61の設置位置や設置数は適宜変更可能である。
[第2の実施形態]
次に、本発明の免震建物の引抜き・転倒防止構造の第2の実施形態について説明する。ここで、以下に示す第2の実施形態では、上記第1の実施形態で示した構成に対し、免震建物の一部の構成が異なるのみである。そこで、以下の説明では、上記第1の実施形態と共通する構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
本発明の第2の実施形態に係る免震建物の引抜き・転倒防止構造を適用した免震建物を示す平断面図を図6に示す。
図6に示されるように、免震建物1Bは、基礎構造2(図1参照)と、地盤側地下躯体3Bと、地下躯体4Bと、基礎側免震装置5(図1参照)と、免制振装置6Bと、を備えている。
図1に示されるように、地下躯体4Bは、地盤側地下躯体3Bの内部(内側)に設けられている。地下躯体4B上には地上躯体8が連結されている。地上躯体8は、地下躯体4Bから上方に延びている。地上躯体8の下端部8aは、その水平断面積が、地下躯体4Bの上部の水平断面積よりも小さい。これにより、図6に示すように、地下躯体4Bは、地上躯体8の下端部8aに対し、水平方向の三方(図6において紙面上方、右方、および下方)に突出した底部側張り出し部48Bを有している。
地盤側地下躯体3Bは上部側張り出し部7Bを備えている。上部側張り出し部7Bは、地下躯体4Bの底部側張り出し部48Bの上方に設けられている。上部側張り出し部7Bは、地下外壁31に一体に接続されて設けられている。本実施形態において、上部側張り出し部7Bは、地下躯体4Bの底部側張り出し部48Bよりも上方の部分49を取り囲むように、四方の地下外壁31から地盤側地下躯体3Bの内方に向けて突出して設けられている。上部側張り出し部7Bは、上下方向に1層以上の階層を有し、地下階床スラブ71、地下階壁72、及び地下階天井73(図2参照)を備えた地下階である。
免制振装置6Bは、地下躯体4Bと地盤側地下躯体3Bとの間に設置されている。免制振装置6Bは、免震装置61を有している。本実施形態では、免震装置61は、地下躯体4Bの平面視断面において、地下躯体4Bの底部側張り出し部48Bの上面の3か所以上、特に本実施形態においては四隅に其々設置されている。
上述したような免震建物1Bの引抜き・転倒防止構造は、地下躯体4Bの四隅に免制振装置6Bが設置されていることで、地震発生時に免震建物1Bに様々な方向から地震力が加わっても、基礎側免震装置5と免制振装置6Bによって免震建物1Bの転倒を有効に阻止することができる。
また、上記第1の実施形態と同様、地震発生時に地下躯体4Bに引抜き力や転倒モーメントが作用した場合、地下躯体4Bと地盤側地下躯体3Bとの間に設けられた免制振装置6Bが上下方向の圧縮力に抗することで、地下躯体4Bに作用する引抜き力や転倒モーメントに抵抗する。免制振装置6Bの上方には、上部側張り出し部7Bが設けられているので、引抜き力や転倒モーメントによって上方に押し上げられる免制振装置6Bを、上部側張り出し部7Bによって上方から強固に抑えることができる。したがって、地震発生時に建物に作用する引抜き力や転倒モーメントに対し、効果的に抵抗することが可能となる。
なお、上記第1、第2の実施形態において、免制振装置6A、6Bは、免震装置61に代えて、制振装置62を設けるようにしてもよい。さらに、免制振装置6A、6Bは、免震装置61および制振装置62の双方を備えるようにしてもよい。
免制振装置は、地下躯体の底部側張り出し部と、地盤側地下躯体の上部側張り出し部との間に、上記各実施形態及び変形例として示した構造以外の、どのような構造で設けられても構わない。図7(a)は、他の変形例における免震建物の引抜き・転倒防止構造を適用した免震建物1Cを示す、部分的な平断面図であり、図7(b)は図7(a)のIII-III矢視断面図である。免震建物1Cの地盤側地下躯体3Cにおいては、2つの地下外壁31によって形成される角部に、これら2つの地下外壁31を跨るように、斜め方向に火打ち梁32が設けられ、この火打ち梁32の上方に、火打ち梁32と一体に、上部側張り出し部7Cが形成されている。免制振装置6Cは、免震建物1Cの地下躯体4Cの、底部側張り出し部48Cと、火打ち梁32との間に設けられている。火打ち梁32の梁成を十分な高さとすることにより、免制振装置6Cの上方の構造における鉛直剛性が確保される。このような形態によれば、上記各実施形態において説明したような、上方に位置する地下階である上部側張り出し部7Cの重量や剛性に加え、火打ち梁32の剛性により、地震発生時に建物に作用する引抜き力や転倒モーメントに対し、更に効果的に抵抗することが可能となる。
また、上記実施形態では、免震建物は基礎杭を備えていたが、基礎杭を設けることなく直接基礎構造であっても、引抜き・転倒防止構造は有効である。
さらに、上記実施形態では、免制振装置6Aは、図2に示すように平面視上、地下躯体の中央部側に設置したが、建物計画上、地下外壁の近傍に設置可能であれば、地下外壁の近傍に設置する方が好ましい。免制振装置6A~6Cを地下外壁の近傍に設置することで、地震時に建物に作用する転倒モーメントに対して曲げ戻し抵抗させる場合、建物の重心位置と免制振装置との間のスパン長が大きくなるので免制振装置に作用する軸力を小さくできる。よって、免制振装置の設計自由度が高められることで、利用可能な地下空間を大きく確保できる。
1A~1C 免震建物 31 地下外壁
2 基礎構造 43 天井躯体
3A~3C 地盤側地下躯体 48A~48C 底部側張り出し部
4A~4C 地下躯体 61 免震装置
5 基礎側免震装置 62 制振装置
6A~6C 免制振装置 71 地下階床スラブ
7A、7A’、7B、7C 上部側張り出し部 72、72’ 地下階壁
8 地上躯体 73 地下階天井
21 基礎スラブ G 地盤

Claims (3)

  1. 地盤側に固定された地盤側地下躯体と、
    地上躯体に一体に構築された地下躯体と、を備えており、
    当該地下躯体の一部は、水平方向に突出した底部側張り出し部を備え、
    前記地盤側地下躯体の少なくとも一部は、前記底部側張り出し部の上方に張り出した上部側張り出し部を備えており、
    前記地下躯体と基礎スラブ間には基礎側免震装置が設置されており、
    前記底部側張り出し部と前記上部側張り出し部との間に免震装置と制振装置のいずれか一方または双方を有する免制振装置が設けられ、
    前記上部側張り出し部は地下階であることを特徴とする免震建物の引抜き・転倒防止構造。
  2. 前記基礎側免震装置が、前記地下躯体の底面下の四隅に其々設置されていることを特徴とする請求項1に記載の免震建物の引抜き・転倒防止構造。
  3. 前記免制振装置が、前記底部側張り出し部を構成する天井躯体の上面に2か所以上設置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の免震建物の引抜き・転倒防止構造。
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