JP2011220095A - 地震時引抜き力低減杭基礎架構 - Google Patents

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Abstract

【課題】基礎杭に生じる地震時の引抜き力を小さくすることで、基礎杭の浮き上がりを防止することができるうえ、コストの低減を図ることができる。
【解決手段】杭基礎建物の内部に耐震壁13を設けた構造物10を支持する基礎梁2と、この基礎梁2の下方の地盤Gに埋設され基礎梁2の外周部に配置された複数本の側部柱下基礎杭3と、平面視で耐震壁13の幅方向中央に配置されるとともに、半剛接合により基礎梁2に接合する複数本の中央耐震壁下基礎杭4とを備え、基礎梁2が所定の側部柱下基礎杭3に作用する地震時の引抜き力を、他の側部柱下基礎杭3に伝達し得る剛性・強度を有する構成とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、地震時引抜き力低減杭基礎架構に関する。
従来、高層の建物においては、地震や風に対して大きな転倒モーメントが作用するため、転倒防止構造として長尺の杭の摩擦力で建物の転倒モーメントに抵抗させている。そして、従来の杭基礎架構では、杭が柱下に設置されるのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
ところで、耐震壁がフレームの中央位置に設置されている場合には、耐震壁が負担する水平力により生じる転倒モーメントに対する踏ん張り力は耐震壁脚部の杭間距離に依存し、地震時に大きな引抜き力が生じるため、その引抜き力が長期軸力より大きい場合には浮き上がりが生じないような対応が行われている。
このような引抜き力に対する処理方法として、所定の基礎杭によって処理することができない引抜き力を基礎梁を介して隣接する建物の柱に伝達し、その引抜き力の一部を負担させる方法がある。また、所定位置での杭の本数を増加したり、杭径を大きくしたり、杭長を長くする等して杭の許容引張力を大きくすることが行われている。
特開平4−319120号公報
しかしながら、従来の杭基礎架構における引抜き処理では、以下のような問題があった。
すなわち、上述したように引抜き力を基礎梁を介して隣接する柱に伝達する場合には、剛強な基礎梁が必要になっていた。また、杭の本数や杭径、杭長を大きくして杭の許容引張力を大きくする場合には、鉛直支持力に必要な杭性能に対して過剰設計となる欠点があった。
このように、従来の引抜き処理では、いずれもコストがかかるため、より好適な杭基礎架構が求められており、その点で改良の余地があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、基礎杭に生じる地震時の引抜き力を小さくすることで、基礎杭の浮き上がりを防止することができるうえ、コストの低減を図ることができる地震時引抜き力低減杭基礎架構を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る地震時引抜き力低減杭基礎架構では、杭基礎建物の内部に耐震壁を設けた構造物を支持する基礎梁と、基礎梁の下方の地盤に埋設された基礎杭とを備えた地震時引抜き力低減杭基礎架構であって、基礎杭は、基礎梁の外周部に配置された第1基礎杭と、平面視で耐震壁の幅方向中央に配置されるとともに、ピン接合又は半剛接合により基礎梁に接合する第2基礎杭とからなり、基礎梁は、所定の第1基礎杭に作用する地震時の引抜き力を、他の第1基礎杭に伝達し得る剛性・強度を有することを特徴としている。
本発明では、耐震壁の幅方向中央直下に配置される第2基礎杭が基礎梁に対してピン接合又は半剛接合となっているので、第2基礎杭には耐震壁のせん断力に対する抵抗モーメントが作用することが少ない。そのため、地震時に基礎梁が第2基礎杭との接合部を支点にして転倒することになり、構造物内部に設けられる耐震壁が負担する水平力(地震力)を基礎梁を介して構造物の外周部に配置される第1基礎杭に伝達させることができる。
つまり、前記水平力によって生じる基礎梁の転倒モーメントにより所定の第1基礎杭に引抜き力が作用するとともに、その他の第1基礎杭では引抜き力と反対方向の押込み力が作用し、これら第1基礎杭で負担する荷重が基礎梁を介して伝達し合うことになる。
したがって、基礎梁において、前記転倒モーメントに対する踏ん張り力を大きくすることが可能となるので、所定の第1基礎杭に生じる地震時の引抜き力を小さくすることができる。
また、本発明に係る地震時引抜き力低減杭基礎架構では、第1基礎杭は、構造物の外周部の側柱直下に配置されていることが好ましい。
本発明では、第1基礎杭が側柱より構造物の鉛直荷重を受けるので、地震時に第1基礎杭に作用する引抜き力をより小さくできる。
また、本発明に係る地震時引抜き力低減杭基礎架構では、第1基礎杭は、第2基礎杭を挟んで反対位置に配置されていることが好ましい。
本発明では、第2基礎杭を挟んで反対位置に配置される一対の第1基礎杭どうしで、基礎梁を介して効率よく負担荷重を伝達し合うことが可能となる。これにより、一方の第1基礎杭に作用する引抜き力を、基礎梁を介して他方の第1基礎杭の押込み力の大きさに応じて低減させることができる。
また、本発明に係る地震時引抜き力低減杭基礎架構では、杭基礎建物の内部に耐震壁を設けた構造物を支持する基礎梁と、基礎梁の下方の地盤に埋設された基礎杭とを備えた地震時引抜き力低減杭基礎架構であって、基礎杭は、構造物の柱直下に配置された第1基礎杭と、平面視で耐震壁の幅方向中央に配置されるとともに、ピン接合又は半剛接合により基礎梁に接合する第2基礎杭とからなり、基礎梁は、所定の第1基礎杭に作用する地震時の引抜き力を、他の第1基礎杭に伝達し得る剛性・強度を有することを特徴としている。
本発明では、第2基礎杭が基礎梁に対してピン接合又は半剛接合となっているので、第2基礎杭には耐震壁のせん断力に対する抵抗モーメントが作用することが少なく、地震時に基礎梁が第2基礎杭との接合部を支点にして転倒することになり、耐震壁が負担する水平力(地震力)を基礎梁を介して柱直下に配置される第1基礎杭に伝達させることができる。つまり、水平力によって生じる基礎梁の転倒モーメントにより所定の第1基礎杭に引抜き力が作用するとともに、その他の第1基礎杭では引抜き力と反対方向の押込み力が作用し、第1基礎杭で負担する荷重が基礎梁を介して伝達し合うことになる。したがって、基礎梁において、転倒モーメントに対する踏ん張り力を大きくすることが可能となり、所定の第1基礎杭に生じる地震時の引抜き力を小さくすることができる。
さらに、第2基礎杭が耐震壁の幅方向中央に配置されているので、耐震壁両側の柱直下に基礎杭が設けられる一般的な架構に比べて、その第2基礎杭が受ける付加軸力を低減することができる。
そして、この場合、柱直下に基礎杭を配置する一般的な架構への適用が可能であり、また構造物における耐震壁の位置に関わらず適用することができるので、汎用性のある架構となる利点がある。
また、本発明に係る地震時引抜き力低減杭基礎架構では、第1基礎杭は、基礎梁に一体的に埋設される引抜き抵抗部材を備えていることがより好ましい。
本発明では、引抜き抵抗部材によって基礎梁と第1基礎杭とがより一体的に接合されることから、引抜き抵抗部材が上述した転倒モーメントに基づく引抜き力の抵抗となり、その引抜き力をより一層小さくすることができる。
本発明の地震時引抜き力低減杭基礎架構によれば、構造物内部に設けられる耐震壁が負担する水平力(地震力)を、第2基礎杭との接合部を支点にして転倒する基礎梁を介して構造物の外周部に配置される第1基礎杭に伝達させることができ、これにより前記水平力により生じる基礎梁の転倒モーメントに対する踏ん張り力を大きくすることが可能になるため、第1基礎杭に生じる地震時の引抜き力を小さくすることができ、引抜き力が長期軸力を超えることによる基礎杭の浮き上がりを防止することができる。したがって、従来のように基礎杭の本数、杭径、杭長を増大させる場合に比べてコストの低減を図ることができる。
本発明の第1の実施の形態による杭基礎架構を示す立面図である。 図1に示すA−A線断面図である。 側部柱下基礎杭の構成を示す側断面図である。 杭基礎架構の作用を説明するための模式図であって、(a)は通常時を示す図、(b)は地震時を示す図である。 第2の実施の形態による構造物の平明図であって、図2に対応する図である。 第3の実施の形態による杭基礎架を示す立面図であって、図1に対応する図である。 変形例による側部柱下基礎杭を示す側断面図である。
以下、本発明の第1の実施の形態による地震時引抜き力低減杭基礎架構について、図面に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、本第1の実施の形態による地震時引抜き力低減杭基礎架構(以下、単に「杭基礎架構1」という)は、杭基礎建物である構造物10の基礎梁2と、この基礎梁2の下方の地盤Gに埋設された基礎杭3、4とを備えている。基礎杭は、基礎梁2の外周部に配置された複数本の側部柱下基礎杭3(第1基礎杭)と、平面視で耐震壁13の幅方向中央に配置されるとともに、半剛接合により基礎梁2に接合する複数本(ここでは4本)の中央耐震壁下基礎杭4(第2基礎杭)とからなる。
なお、図2は、見易くするために基礎杭3、4についても実線で示している。
ここで、構造物10は、建物外周部に配置される側柱11と建物内部に配置される中柱12とを有し、中柱12、12どうしに挟まれた架構面内に耐震壁13が設けられている。耐震壁13は、平面視で構造物の略中央部において正方形の各辺に配置されている。
基礎梁2は、構造物10を下方より支持し、側部柱下基礎杭3に対して剛接合で連結され、中央耐震壁下基礎杭4に対して半剛接合で連結されている。そして、基礎梁2は、上部構造体(構造物10)の荷重を支持できる所定厚さを有する鉄筋コンクリート製をなし、所定の側部柱下基礎杭3に作用する地震時の引抜き力U(図4(b)参照)を、他の側部柱下基礎杭3に伝達し得る剛性・強度を有する構造となっている。
具体的に基礎梁2は、図1に示すように、中央耐震壁下基礎杭4の中心軸線から側部柱下基礎杭3の中心軸線までの間隔L1と側部柱下基礎杭3に作用する引抜き力Uとから求められる転倒モーメント(すなわち、構造物内部に設けられる耐震壁13が負担する水平力(地震力)によって生じる転倒モーメント(U×L1))に抵抗できる耐力、或いは耐震壁13を支持する中柱12の中心軸線から側部柱下基礎杭3の中心軸線までの間隔L2と前記引抜き力Uとから求められる転倒モーメント(U×L2)に抵抗できる耐力を有している。
側部柱下基礎杭3は、図2の平面視で、側柱11の直下の位置で同軸上に配置されるとともに、中央耐震壁下基礎杭4を挟んで反対位置に配置されている。図3に示すように、側部柱下基礎杭3は、鉄筋コンクリート杭であり、軸方向に延びる杭鉄筋31(引抜き抵抗部材)の上端31aが基礎梁2内に突出した状態で埋設されており、杭鉄筋31により杭の引張力を負担し抵抗する構造となっている。側部柱下基礎杭3にあっては、引抜き力Uに対する耐力が高められている。
中央耐震壁下基礎杭4は、側部柱下基礎杭3よりも大径の場所打ち杭であって、図2の平面視で耐震壁13が配置される四辺のそれぞれ幅方向中央に位置し、計4本が設けられている。そして、図1に示す中央耐震壁下基礎杭4の杭頭4aは、基礎梁2との接合部Tを支点にして基礎梁2を転倒可能に支持している。
次に、上述した杭基礎架構1の作用について、図4などを用いて説明する。
図4(a)に示すように、通常時は、構造物10の鉛直荷重をほぼ中央耐震壁下基礎杭4で支持している。このとき、壁自重は、構造物10の側壁の鉛直荷重を中央耐震壁下基礎杭4と側部柱下基礎杭3のそれぞれによって支持している。
図1に示すように、耐震壁13の幅方向中央直下に配置される中央耐震壁下基礎杭4が基礎梁2に対して半剛接合となっているので、中央耐震壁下基礎杭4には耐震壁13のせん断力に対する抵抗モーメントが少ない。そのため、図4(b)に示すように、地震時に基礎梁2が中央耐震壁下基礎杭4との接合部Tを支点にして転倒(図4(b)では矢印E方向)することになり、構造物10内部に設けられる耐震壁13が負担する水平力(地震力)を基礎梁2を介して構造物10の外周部に配置される側部柱下基礎杭3に伝達させることができる。
つまり、前記水平力によって生じる基礎梁2の転倒モーメントにより所定の側部柱下基礎杭3(図4(b)で左側の符号3A)に引抜き力Uが作用するとともに、その他の側部柱下基礎杭3(図4(b)で右側の符号3B)では引抜き力Uと反対方向(鉛直方向下向き)の押込み力Pが作用し、これら側部柱下基礎杭3A、3Bで負担する荷重が基礎梁2を介して伝達し合うことになる。
したがって、基礎梁2において、転倒モーメントに対する踏ん張り力を大きくすることが可能となるので、所定の側部柱下基礎杭3Aに生じる地震時の引抜き力Uを小さくすることができる。
そして、本杭基礎架構1では、耐震壁13が地震力の大部分を負担する架構において好適である。
また、側部柱下基礎杭3は、構造物10の外周部の側柱11直下に配置されており、側部柱下基礎杭3が側柱11より構造物10の鉛直荷重を受けるので、地震時に側部柱下基礎杭3に作用する引抜き力Uをより小さくできるとともに、押込み力Pをより大きくすることができる。
また、側部柱下基礎杭3が中央耐震壁下基礎杭4を挟んで反対位置に配置されているので、それら一対の側部柱下基礎杭3、3どうしで、基礎梁2を介して効率よく負担荷重を伝達し合うことが可能となり、図4(b)において一方の側部柱下基礎杭3Aに作用する引抜き力Uを、基礎梁2を介して低減させることができる。
さらに、側部柱下基礎杭3が基礎梁2に一体的に埋設される補強鋼材31を備えているので、基礎梁2と側部柱下基礎杭3とがより一体的に接合されることから、補強鋼材31が転倒モーメントに基づく引抜き力Uの抵抗となり、その引抜き力Uをより一層小さくすることができる。
上述のように本第1の実施の形態による地震時引抜き力低減杭基礎架構では、構造物10内部に設けられる耐震壁13が負担する水平力(地震力)を、中央耐震壁下基礎杭4との接合部Tを支点にして転倒する基礎梁2を介して構造物10の外周部に配置される側部柱下基礎杭3に伝達させることができ、これにより前記水平力により生じる基礎梁2の転倒モーメントに対する踏ん張り力を大きくすることが可能になるため、側部柱下基礎杭3(3A)に生じる地震時の引抜き力Uを小さくすることができ、引抜き力Uが長期軸力を超えることによる基礎杭の浮き上がりを防止することができる。したがって、従来のように基礎杭の本数、杭径、杭長を増大させる場合に比べてコストの低減を図ることができる。
次に、本発明の地震時引抜き力低減杭基礎架構による他の実施の形態について、図面に基づいて説明するが、上述の第1の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1の実施の形態と異なる構成について説明する。
図5に示すように、第2の実施の形態の構造物10Aは、側柱11、中柱12、耐震壁3、側部柱下基礎杭3、中央耐震壁下基礎杭4の位置が上述した第1の実施の形態とは異なっている。
構造物10Aは、平面視で横方向X(図5で左右方向)に設けられる3区画のうち中央部に奥行き方向Y(図5で上下方向)全体にわたって耐震壁13が配置されている。そして、耐震壁13を架構面内に設ける位置に中柱12が配置され、中柱12を除いた建物外周部には側柱11が配置されている。
中央耐震壁下基礎杭4は、平面視で横方向Xに沿って配置される耐震壁13の幅方向中央のみに配置されており、半剛接合により基礎梁2(図1参照)に接合している。
側部柱下基礎杭3は、平面視で側柱11の直下の位置で同軸上に配置されるとともに、横方向Xで中央耐震壁下基礎杭4を挟んで反対位置に配置されている。
本第2の実施の形態による杭基礎架構は、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を有し、構造物10Aに設けられる耐震壁13が負担する水平力(地震力)を、中央耐震壁下基礎杭4との接合部を支点にして転倒する基礎梁2(図4参照)を介して構造物10Aの外周部に配置される側部柱下基礎杭3に伝達させることができる。
次に、第3の実施の形態の杭基礎架構1A(地震時引抜き力低減杭基礎架構)について、図6に基づいて説明する。
第3の実施の形態による構造物10Bは、建物側方に寄った位置の架構面内に耐震壁13が設けられている。杭基礎架構1Aにおける基礎杭は、構造物10Bの柱14の直下に配置された柱下基礎杭5(第1基礎杭)と、平面視で耐震壁13の幅方向中央に配置されるとともに、半剛接合により基礎梁2に接合する耐震壁下基礎杭6(第2基礎杭)とからなる。そして、基礎梁2は、柱下基礎杭5(図6で符号5A)に作用する地震時の引抜き力を、他の柱下基礎杭5(図6で符号5B)に伝達し得る剛性・強度を有する構造となっている。
この場合、耐震壁下基礎杭6が基礎梁2に対して半剛接合となっているので、耐震壁下基礎杭6には耐震壁13のせん断力に対する抵抗モーメントが作用することが少なく、地震時に基礎梁2が耐震壁下基礎杭6との接合部を支点にして転倒することになり、耐震壁13が負担する水平力(地震力)を基礎梁2を介して柱14の直下に配置される柱下基礎杭5に伝達させることができる。
つまり、前記水平力によって生じる基礎梁2の転倒モーメントにより所定の柱下基礎杭5Aに引抜き力が作用するとともに、その他の柱下基礎杭5Bでは引抜き力と反対方向の押込み力が作用し、柱下基礎杭5で負担する荷重が基礎梁2を介して伝達し合うことになる。したがって、基礎梁2において、前記転倒モーメントに対する踏ん張り力を大きくすることが可能となるので、所定の柱下基礎杭5に生じる地震時の引抜き力Uを小さくすることができる。
さらに、耐震壁下基礎杭6が耐震壁13の幅方向中央に配置されているので、耐震壁13両側の柱直下に基礎杭が設けられる一般的な架構に比べて、その耐震壁下基礎杭6が受ける付加軸力を低減することができる。
そして、この場合、柱直下に基礎杭を配置する一般的な架構への適用が可能であり、また構造物における耐震壁13の位置に関わらず適用することができるので、汎用性のある架構となる利点がある。
以上、本発明による地震時引抜き力低減杭基礎架構の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では基礎梁2と中央耐震壁下基礎杭4(および耐震壁下基礎杭6)の杭頭4aとの接合を半剛接合としているが、ピン接合であってもかまわない。
また、側部柱下基礎杭3の基礎梁2に対する位置は、側柱11の直下であることに限定されることはない。そして、本実施の形態では側部柱下基礎杭3が中央耐震壁下基礎杭4を挟んで反対位置に配置されているが、このような配置に制限されることもない。
さらに、本実施の形態では側部柱下基礎杭3として鉄筋コンクリート杭を採用しているが、このような形態に限定されることはなく、例えば図6に示すような鋼管ソイルセメント杭を採用することも可能である。図7に示す鋼管ソイルセメント杭による側部柱下基礎杭3は、鋼管33内に長尺の補強鋼材32(引抜き抵抗部材)が杭の軸線方向に延びて配置され、鋼管33内に充填されるソイルセメント34と一体的に設けられている。補強鋼材32は、基礎梁2内へ突出して埋設されるとともに、下端に略水平方向に延びる翼部材32aが固定されており、これにより側部柱下基礎杭3の引抜き力Uに対する耐力が高められた構造となっている。なお、補強鋼材32の形状、長さ等の構成についても限定されることはない。
また、さらに他の側部柱下基礎杭3として、杭の下端を拡径して、引抜き力に対応する形状であってもかまわない。
さらにまた、側部柱下基礎杭3、中央耐震壁下基礎杭4、柱下基礎杭5、耐震壁下基礎杭6の位置、本数、杭長、杭径等の構成は、建物の構造、つまり側柱11、中柱12、耐震壁13、柱14の位置、数量等の構造条件に応じて適宜設定することができる。
1、1A 杭基礎架構(地震時引抜き力低減杭基礎架構)
2 基礎梁
3、3A、3B 側部柱下基礎杭(第1基礎杭)
4 中央耐震壁下基礎杭(第2基礎杭)
5 柱下基礎杭(第1基礎杭)
6 耐震壁下基礎杭(第2基礎杭)
10、10A、10B 構造物
11 側柱
12 中柱
13 耐震壁
14 柱
31 杭鉄筋(引抜き抵抗部材)
32 補強鋼材(引抜き抵抗部材)
P 押込み力
T 接合部
U 引抜き力

Claims (5)

  1. 杭基礎建物の内部に耐震壁を設けた構造物を支持する基礎梁と、該基礎梁の下方の地盤に埋設された基礎杭とを備えた地震時引抜き力低減杭基礎架構であって、
    前記基礎杭は、前記基礎梁の外周部に配置された第1基礎杭と、平面視で前記耐震壁の幅方向中央に配置されるとともに、ピン接合又は半剛接合により前記基礎梁に接合する第2基礎杭とからなり、
    前記基礎梁は、所定の前記第1基礎杭に作用する地震時の引抜き力を、他の前記第1基礎杭に伝達し得る剛性・強度を有することを特徴とする地震時引抜き力低減杭基礎架構。
  2. 前記第1基礎杭は、前記構造物の外周部の側柱直下に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の地震時引抜き力低減杭基礎架構。
  3. 前記第1基礎杭は、前記第2基礎杭を挟んで反対位置に配置されていることを特徴とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の地震時引抜き力低減杭基礎架構。
  4. 杭基礎建物の内部に耐震壁を設けた構造物を支持する基礎梁と、該基礎梁の下方の地盤に埋設された基礎杭とを備えた地震時引抜き力低減杭基礎架構であって、
    前記基礎杭は、前記構造物の柱直下に配置された第1基礎杭と、平面視で前記耐震壁の幅方向中央に配置されるとともに、ピン接合又は半剛接合により前記基礎梁に接合する第2基礎杭とからなり、
    前記基礎梁は、所定の前記第1基礎杭に作用する地震時の引抜き力を、他の前記第1基礎杭に伝達し得る剛性・強度を有することを特徴とする地震時引抜き力低減杭基礎架構。
  5. 前記第1基礎杭は、前記基礎梁に一体的に埋設される引抜き抵抗部材を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の地震時引抜き力低減杭基礎架構。
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