JP2008031682A - 建築物仮受け時の耐震支持構造及び建築物仮受け時の耐震支持方法 - Google Patents

建築物仮受け時の耐震支持構造及び建築物仮受け時の耐震支持方法 Download PDF

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啓二 中西
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Abstract

【課題】施工性の低下を招くことなく、仮受けした建築物の耐震性を確実に向上させて所定の耐震性を付与することが可能な建築物仮受け時の耐震支持構造及び建築物仮受け時の耐震支持方法を提供する。
【解決手段】下方及び側方の地盤Gとの間に隙間Hをあけて仮受け支持した建築物1の水平方向の移動を抑制してこの建築物1の耐震性を向上させるための建築物仮受け時の耐震支持構造Aであって、側方の地盤Gを支持する土留壁10と、建築物1と土留壁10の隙間Hに設けられて両者を連結する仮設スラブ12とを備えており、仮設スラブ12は、建築物1の外周に沿う方向に間隔をあけて複数設けられるとともに、建築物1の互いに隣り合い交差して繋がる側面のそれぞれと各側面に略対向する土留壁10とを連結するように設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば免震レトロフィットなどの工事などにおいて、仮受けした建築物の耐震性を向上させるための建築物仮受け時の耐震支持構造及び建築物仮受け時の耐震支持方法に関する。
近年、既設建築物(建築物)を使用しながら基礎部分に免震装置を挿入して、建築物の免震性能の向上を図る、いわゆる免震レトロフィットと称される工事が増加している。この免震レトロフィットの施工では、建築物の基礎を掘り出し建築物の下方に支持杭を打ち込んだ後に、支持杭で建築物を仮受け支持させつつ建築物の下方や側方の地盤を掘削して、建築物と下方の地盤との間に免震装置を設置する空間(隙間)を形成する。
一方、このように仮受け支持した状態の建築物においても、上部建物の機能を継続して保持しているため、建築基準法レベルの耐震性を確保することが要求される。このため、例えば支持杭の間にブレースを張り渡して支持杭間の水平方向の剛性を強化したり、複数の水平ブレースなどの拘束部材を建築物と側方の地盤の隙間に建築物の全周にわたって張り渡すように設置する(例えば、特許文献1参照)などして水平方向の移動を抑制し、仮受け状態の建築物の耐震性を向上させて、所定の耐震性を確保するようにしている。
特開2003−278391号公報
しかしながら、上記の支持杭間にブレースを張り渡す対策では、支持杭自体の水平方向の剛性が小さいために多数のブレースを設置する必要があり、ブレースの設置に多大な労力を要する。また、建築物の下方の空間にブレースを多数張り渡すことで、免震装置を設置する作業空間が狭くなって施工性を著しく低下させるという問題があった。
一方、建築物と側方の地盤との隙間に複数の水平ブレース(拘束部材)を張り渡す対策においても、確実に建築物の水平方向の移動を抑制するために建築物の全周にわたって多数の拘束部材を設置する必要があり、建築物の下方の空間に免震装置を設置するための資機材を搬入したり、逆に外部に搬出する際に、設置した拘束部材が支障となって施工性を低下させるという問題があった。
本発明は、上記事情を鑑み、施工性の低下を招くことなく、仮受けした建築物の耐震性を確実に向上させて所定の耐震性を付与することが可能な建築物仮受け時の耐震支持構造及び建築物仮受け時の耐震支持方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の建築物仮受け時の耐震支持構造は、下方及び側方の地盤との間に隙間をあけて仮受け支持した建築物の水平方向の移動を抑制して該建築物の耐震性を向上させるための建築物仮受け時の耐震支持構造であって、前記側方の地盤を支持する土留壁と、前記建築物と前記土留壁の隙間に設けられて両者を連結する仮設スラブとを備えており、前記仮設スラブは、前記建築物の外周に沿う方向に間隔をあけて複数設けられるとともに、前記建築物の互いに隣り合い交差して繋がる側面のそれぞれと各側面に略対向する前記土留壁とを連結するように設けられていることを特徴とする。
また、本発明の建築物仮受け時の耐震支持構造においては、前記仮設スラブが、断面視略矩形状を呈する前記建築物の4隅に設けられていることが望ましい。
さらに、本発明の建築物仮受け時の耐震支持構造においては、前記建築物及び/又は前記仮設スラブに一端が繋がり、前記土留壁に向かうに従い漸次下方に延びる他端が前記土留壁に繋がる斜設部材を備えていることがより望ましい。
また、本発明の建築物仮受け時の耐震支持構造においては、少なくとも前記仮設スラブが連結する部分の前記土留壁が、水平方向に間隔をあけて並設した複数の親杭と、隣り合う前記親杭の間に前記親杭と一体に設けられた複数の鉄筋コンクリート部とを備えた鉄筋コンクリート壁で構成されており、前記親杭を挟んで隣り合う前記鉄筋コンクリート部の内部には、前記仮設スラブ及び/又は斜設部材を通じて一方の前記鉄筋コンクリート部に作用したせん断力を他方の前記鉄筋コンクリート部に伝達するためのせん断力伝達用ダボ筋が具備されていることがさらに望ましい。
本発明の建築物仮受け時の耐震支持方法は、下方及び側方の地盤との間に隙間をあけて仮受け支持した建築物の水平方向の移動を抑制して該建築物の耐震性を向上させる建築物仮受け時の耐震支持方法であって、前記側方の地盤を支持する土留壁と前記建築物の隙間に、前記建築物の外周に沿う方向に間隔をあけ、且つ前記建築物の互いに隣り合い交差して繋がる側面のそれぞれと各側面に略対向する前記土留壁とを連結するように複数の仮設スラブを設け、前記建築物に作用する地震力のうち、前記土留壁に平行する方向の成分を前記側方の地盤のせん断抵抗力で受け止め、前記土留壁に直交する方向の成分を前記側方の地盤の圧縮抵抗力で受け止めるように、前記建築物に作用する地震力を前記複数の仮設スラブ及び前記土留壁を通じて前記側方の地盤に伝達することを特徴とする。
本発明の建築物仮受け時の耐震支持構造及び耐震支持方法によれば、土留壁と建築物を連結する仮設スラブが設けられ、この仮設スラブが、建築物の外周に沿う方向に間隔をあけ、建築物の交差する側面に略対向する土留壁と連結していることによって、建築物に地震力が作用した際に、仮設スラブを通じて土留壁に直交する方向の地震力の成分を土留壁の面外曲げ抵抗で側方の地盤に圧縮力として伝達し、地盤の受働土圧で抵抗して(圧縮抵抗力で)この地震力を受けることができる。また、土留壁に平行する方向の地震力の成分を土留壁の面内せん断抵抗で側方の地盤にせん断力として伝達し、地盤のせん断抵抗力で地震力を受けることができる。これにより、土留壁を面外と面内で用いて建築物に作用した地震力を受け合理的に建築物を支持することができ、確実に建築物の水平方向の移動を抑制して建築物の耐震性を向上させることができる。よって、仮受け状態の建築物に対し、所定の耐震性を付与することが可能になる。
また、地震力を土留壁に平行する方向の地震力の成分と土留壁に直交する方向の地震力の成分に分けて受け止めることができるため、建築物の外周に沿う方向に隣り合う仮設スラブの間隔を大きく確保して複数の仮設スラブを設置することが可能になり、この隣り合う仮設スラブの隙間を通じて、建築物の下方の空間に免震装置を設置するための資機材の搬入や搬出を容易に行なうことができる。これにより、耐震支持構造が支障になって施工性が低下することを解消できる。また、施工後には、土留壁をそのまま埋め、仮設スラブだけを解体すればよく、免震装置の設置に掛かる工費を削減することも可能になる。
また、本発明の建築物仮受け時の耐震支持構造においては、仮設スラブを建築物の4隅に設置することによって、確実に、土留壁に直交する方向の成分を側方の地盤の圧縮抵抗力で受け止め、地震力の土留壁に平行する方向の成分を側方の地盤のせん断抵抗力で受け止めることができ、効果的に仮受けした建築物の耐震性を向上させることができる。
さらに、本発明の建築物仮受け時の耐震支持構造においては、斜設部材が設けられていることによって、仮設スラブと斜設部材で建築物に作用する地震力を広範の土留壁に伝達することができ、より確実に建築物の耐震性を向上させることができる。また、このように斜設部材を設けた場合には、仮設スラブの設置数を減らすことも可能になり、隣り合う仮設スラブの間隔をさらに大きくして施工性の向上を図ることが可能になる。
また、本発明の建築物仮受け時の耐震支持構造においては、少なくとも仮設スラブが連結する部分の土留壁が親杭と鉄筋コンクリート部からなる鉄筋コンクリート壁であり、親杭を挟んで隣り合う鉄筋コンクリート部の内部にせん断力伝達用ダボ筋が設けられていることによって、仮設スラブ及び/又は斜設部材を通じて作用するせん断力を隣り合う鉄筋コンクリート部に伝達し鉄筋コンクリート壁(土留壁)の広範に伝達することができ、より確実に土留壁に平行する方向の地震力の成分を側方の地盤のせん断抵抗力で受け止め、建築物を支持することが可能になる。
以下、図1から図4を参照し、本発明の一実施形態に係る建築物仮受け時の耐震支持構造及び建築物仮受け時の耐震支持方法について説明する。本実施形態は、例えば使用中の既設建築物(建築物)に免震装置を設置する免震レトロフィットの施工時に、支持杭で仮受け支持した建築物の耐震性を向上させるための耐震支持構造及び耐震支持方法に関するものである。
本実施形態の建築物1は、図1から図4に示すように、例えばマンションやオフィスビルなど居住空間やオフィス空間などの居室機能を有するものとされ、正面視及び断面視で略矩形状に形成されている。そして、この建築物1を供用しながら例えばアイソレーターや免震ダンパーなどの免震装置2を設置する際には、建築物1の基礎1aを掘り出し建築物1の下方に支持杭3を打ち込んだ後に、支持杭3で建築物1を仮受け支持しつつ建築物1の下方や側方の地盤Gを掘削して、建築物1と下方の地盤Gとの間に免震装置2を設置する空間(隙間)5を形成した免震ピット4を形成する。また、建築物1に免震性能を付与するための免震装置2は、上端を建築物1の下面に、下端を建築物1の下方の地盤Gに例えば基礎スラブ6を介して連結して、建築物1の下方の空間5に設置される。なお、図1は、免震レトロフィットの施工を完了した状態を示し、図2から図4は、免震レトロフィットの施工中の建築物1を仮受け支持した状態を示している。
そして、本実施形態の耐震支持構造Aは、免震装置2を設置するために仮受け支持した建築物1の水平方向の移動を抑制して施工中における耐震性を確保するためのものであり、図2から図4に示すように、側方の地盤Gを支持する土留壁10と、建築物1と土留壁10の隙間Hに設けられて建築物1と土留壁10を連結する複数の仮設スラブ12と、建築物1の基礎1aに一端が繋がり、土留壁10に向かうに従い漸次下方に延びた他端側が土留壁10に繋がる斜設部材13とから構成されている。
土留壁10は、図2から図6に示すように、建築物1の外周から水平方向外側に隙間Hをあけて設けられ、建築物1の外周に沿い且つ垂直方向に延びる側方の地盤Gの掘削面に沿って形成されている。また、本実施形態において、土留壁10は、図4から図6に示すように、垂直方向に延び、側方の地盤Gの掘削面に沿って水平方向に所定の間隔をあけて並設した複数の例えばH形鋼である親杭14を備えるとともに、仮設スラブ12が連結する部分及びその近傍に設けられて、水平方向に隣り合う親杭14の間にこれら親杭14に一体形成された複数の鉄筋コンクリート部15aを備える鉄筋コンクリート壁15と、この鉄筋コンクリート壁15以外の部分に、隣り合う親杭14に支持された矢板11aを備える矢板部11とにより構成されている。さらに、鉄筋コンクリート壁15には、鉄筋コンクリート部15aの内部に、図5及び図6に示すように、主筋16、配力筋17などに加えて、親杭14を挟み水平方向に隣り合う鉄筋コンクリート部15a同士を繋ぐように設けられた複数のせん断力伝達用ダボ筋18が具備されている。これら複数のせん断力伝達用ダボ筋18は、親杭14を貫通して両端のそれぞれを隣り合う各鉄筋コンクリート部15aの内部に配した状態で水平方向に延設され、垂直方向に所定の間隔をもって並設されている。
仮設スラブ12は、図2から図6に示すように、平板状の鉄筋コンクリート部材であり、建築物1と土留壁10の隙間Hの一部を閉塞するように、一端を建築物1の基礎1aの側面1bに繋げ、他端を土留壁10の鉄筋コンクリート壁15に繋げて設けられている。また、本実施形態では、8つの仮設スラブ12が建築物1の外周に沿う方向に間隔をあけて設けられており、このうち4つの仮設スラブ12(12a、12b)は、平面視略L字状に形成され、建築物1の4隅(4つの隅角部)にそれぞれ設けられている。このとき、これら4つの仮設スラブ12(12a、12b)は、それぞれ、建築物1の基礎1aの互いに隣り合い交差して繋がる側面1bのそれぞれと、各側面1bに略対向する土留壁10(鉄筋コンクリート壁15)を連結するように設けられている。さらに、残りの4つの仮設スラブ12(12c、12d、12e)は、それぞれ平面視略矩形状に形成されており、隣り合う隅角部にそれぞれ設置した隣り合う仮設スラブ12(12a、12b)の間に設けられて、建築物1と土留壁10(鉄筋コンクリート壁15)を連結している。
斜設部材13は、例えばH形鋼であり、図3に示すように、各仮設スラブ12の直下にそれぞれ設けられている。また、斜設部材13は、一端が仮設スラブ12の一端が繋がる部分よりも下方に位置する基礎1aの側面1bに取付部材19を介して連結され、この一端から土留壁10に向かうに従い漸次下方に向けて延びて、一端よりも下方に位置する他端が取付部材20を介して土留壁10(鉄筋コンクリート壁15)に連結されている。
ついで、上記のように構成した建築物仮受け時の耐震支持構造A及びこの耐震支持構造Aを用いた耐震支持方法の作用及び効果について説明する。
例えば図4に示すように、互いに平行配置された2組の一対の土留壁10(10a、10b)のうち、一方の土留壁10aに対して直交し、他方の土留壁10bに対して平行する方向(矢印T方向、地震力作用方向)に地震力が作用して、この方向Tに建築物1が移動しようとした場合には、図4及び図5に示すように、建築物1から地震力の作用方向T前方側に位置する仮設スラブ12a、12cに地震力(土留壁10aの鉄筋コンクリート壁15(15b)に直交する方向の地震力の成分)が伝達するとともに、これら仮設スラブ12a、12cと連結する鉄筋コンクリート壁15(矢印T方向前方側の鉄筋コンクリート壁15b)に地震力が伝達して、この鉄筋コンクリート壁15bが矢印T方向前方側の地盤Gを押圧する。このとき、鉄筋コンクリート壁15bの面外曲げ抵抗で地震力が地盤Gに圧縮力として伝達するため、地盤Gの受働土圧で抵抗しこの圧縮抵抗力T1で地震力が受け止められる。これにより、建築物1が矢印T方向に移動しないように支持される。
また、これと同時に、地震力の作用方向Tに平行する土留壁10bの鉄筋コンクリート壁15(15c)には、図4及び図6に示すように、この鉄筋コンクリート壁15cに連結する仮設スラブ12a、12b、12dを通じてせん断力T2として地震力(土留壁10bの鉄筋コンクリート壁15(15c)に平行する方向の地震力の成分)が伝達し、この鉄筋コンクリート壁15cとの間に生じる摩擦力(極限摩擦力)によって地盤Gに地震力が伝達する。このとき、この鉄筋コンクリート壁(親杭14及び鉄筋コンクリート部15a)15cの面内せん断抵抗で地盤Gに地震力がせん断力として伝達するため、地盤Gのせん断抵抗力T3で地震力が受け止められ、建築物1が矢印T方向に移動しないように支持される。
一方、本実施形態では、鉄筋コンクリート壁15(土留壁10)には、親杭14を挟んで隣り合う鉄筋コンクリート部15aの内部にせん断力伝達用ダボ筋18が設けられている。このため、仮設スラブ12a、12b、12dを通じて伝達した地震力によって発生したせん断力T2が、このせん断力伝達用ダボ筋18を通じて隣り合う鉄筋コンクリート部15aに伝達してゆく。これにより、広範の鉄筋コンクリート壁15ひいては土留壁10にせん断力T2が伝達され、この土留壁10が支持する部分の広範な地盤Gのせん断抵抗力T3で地震力が受け止められる。
ここで、平面視略L字状に形成されて建築物1の4隅にそれぞれ設けた4つの仮設スラブ12a、12bは、それぞれ、建築物1の基礎1aの互いに隣り合い交差する側面1bと、各側面1bに略対向する鉄筋コンクリート壁15b、15c(土留壁10a、10b)とに連結している。このため、これらの仮設スラブ12a、12bにおいては、地震力を圧縮力及びせん断力として地盤Gに伝達することができ、地盤Gの圧縮抵抗力T1とせん断抵抗力T3の両抵抗力で地震力を受け止めさせることができる。
また、各仮設スラブ12の直下に建築物1と土留壁10を繋ぐ斜設部材13が設けられ、この斜設部材13が仮設スラブ12の他端が繋がる部分よりも下方の鉄筋コンクリート壁15に接続しているため、斜設部材13を通じて鉄筋コンクリート壁15の下方にも確実に地震力が伝達する。これにより、鉄筋コンクリート壁15の上下に地震力が分配して伝達することになり、確実に広範な土留壁10に地震力が伝達し、広範の地盤Gで地震力が受け止められる。
したがって、本実施形態の建築物仮受け時の耐震支持構造A及び耐震支持方法によれば、仮設スラブ12を通じて土留壁10に地震力を伝達することができ、土留壁10(鉄筋コンクリート壁15)の面外曲げ抵抗と面内せん断抵抗で地震力を地盤Gに伝達して、地盤Gの圧縮抵抗力T1とせん断抵抗力T3で地震力を受け止めることができる。これにより、土留壁10を面外と面内で用いて建築物1に作用した地震力を受け止めて合理的に建築物1を支持することができ、確実に建築物1の水平方向の移動を抑制してその耐震性を向上させることが可能になる。よって、仮受け状態の建築物1に所定の耐震性を付与することができる。
そして、建築物1の外周に沿う方向に間隔をあけて設置した複数の仮設スラブ12を備えて、上記のように地震力を受け止め建築物1を支持できることにより、隣り合う仮設スラブ12の隙間を通じて、仮受けした建築物1の下方の空間5に免震装置2を設置するための資機材の搬入や搬出を容易に行なうことができる。よって、耐震支持構造Aが支障になって施工性が低下することを解消できる。また、免震装置2の設置を終えた後に、建築物1と土留壁10の側方の隙間Hを埋め戻す際には、土留壁10をそのままの状態で埋め、仮設スラブ12だけを解体すればよく、免震装置2の設置に掛かる工費を削減することが可能になる。
また、仮設スラブ12を建築物1の4隅に設置することで、確実に、地震力の土留壁10に直交する方向の成分を地盤Gの圧縮抵抗力で受け止め、土留壁10に平行する方向の成分を地盤Gのせん断抵抗力で受け止めることができ、効果的に仮受けした建築物1の耐震性を向上させることができる。
また、斜設部材13が設けられていることによって、地震力を土留壁10の広範囲に伝達することができ、より確実に建築物1の耐震性を向上させることができる。また、斜設部材13を設けることで、仮設スラブ12の設置数を減らすこともでき、これに伴い隣り合う仮設スラブ12の間隔を大きくできる。
さらに、土留壁10の鉄筋コンクリート壁15の内部にせん断力伝達用ダボ筋18が設けられていることによって、せん断力T2を土留壁10の広範に伝達することができ、確実に地盤Gのせん断抵抗力で地震力を受け止めることができる。
以上、本発明に係る建築物仮受け時の耐震支持構造及び耐震支持方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、一方の土留壁10aに対して直交し、他方の土留壁10bに対して平行する方向Tに地震力が作用した場合について説明を行ったが、本発明の耐震支持構造においては、例えば全ての土留壁10(10a、10b)に交差する方向に地震力が作用した場合においても、各土留壁10a、10bの鉄筋コンクリート壁15が面外曲げ抵抗及び面内せん断抵抗を発揮してこの地震力を地盤Gに伝達し、各鉄筋コンクリート壁15が支持する地盤Gの圧縮抵抗力T1及びせん断抵抗力T3で地震力を受け止めることができる。よって、本発明の建築物仮受け時の耐震支持構造は、どの方向から地震力が作用した場合においても、好適に建築物1の水平方向の移動を抑制することが可能である。
また、本実施形態では、建築物1が断面視矩形状に形成され、且つ土留壁10が建築物1の外周に沿って形成されているものとしたが、特に矩形状に形成されていない建築物1に本発明の耐震支持構造を適用してもよく、この場合には、例えば建築物1の側面に連結して仮設スラブ12を設けることで、建築物1の水平方向の移動を抑制して耐震性を向上させることが可能である。
さらに、本実施形態では、仮設スラブ12とともに斜設部材13を設けることで土留壁10の広範に地震力を伝達できるものとしたが、仮設スラブ12のみで地震力を土留壁10に伝達するように構成してもよい。この場合には、本実施形態よりも厚さを大きくして仮設スラブ12を形成したり、土留壁10と仮設スラブ12の接続剛性を高めたり、仮設スラブ12を鉄筋コンクリートよりも剛性に優れる例えば鋼材などで形成することで、より確実に地震力を土留壁10の広範に伝達することが可能になる。また、仮設スラブ12が平板状に形成されているものとしたが、特にその形状を限定する必要はない。
さらに、本実施形態では、建築物1の4隅に平面視略L字状の4つの仮設スラブ12a、12bをそれぞれ設置するとともに、平面視略矩形状4つの仮設スラブ12c、12d、12eを隣り合うL字状の仮設スラブ12a、12bのそれぞれの間に設置するものとしたが、仮設スラブ12の設置数、形状は特に限定を必要とするものではなく、例えば、建築物1の4隅にのみ仮設スラブ12を設置したり、逆に4隅に仮設スラブ12を設置しない構成としても、仮受け支持した建築物1の耐震性を向上させることが可能である。
また、本実施形態では、土留壁10が、H形鋼の親杭14を備え、せん断力伝達用ダボ筋18を備えた鉄筋コンクリート壁15と矢板11aを備えた矢板部11とから構成されているものとしたが、せん断力を広範の土留壁10(鉄筋コンクリート壁15)に伝達することができれば、必ずしも鉄筋コンクリート壁15にせん断力伝達用ダボ筋18を具備する必要はない。また、仮設スラブ12と繋がる部分及びその近傍にのみ鉄筋コンクリート壁15が設けられて土留壁10が構成されているものとしたが、矢板部11を設けずに土留壁10の全てを鉄筋コンクリート壁15で構成してもよい。
免震装置を設置して建築物に免震性能を付与した状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係る建築物仮受け時の耐震支持構造を設置した状態を示す図である。 図2に示した建築物仮受け時の耐震支持構造を拡大した図である。 図2のX1−X1線矢視図である。 図2のX2−X2線矢視図である。 図4のX3−X3線矢視図であり、土留壁にせん断力が作用した状態を示す図である。
符号の説明
1 建築物(既設建築物)
1a 基礎
1b 基礎の側面(建築物の側面)
2 免震装置
3 支持杭
4 免震ピット
5 建築物の下方の空間
10 土留壁
11 矢板部
11a 矢板
12 仮設スラブ
13 斜設部材
14 親杭
15 鉄筋コンクリート壁
15a 鉄筋コンクリート部
18 せん断力伝達用ダボ筋
A 建築物仮受け時の耐震支持構造
G 地盤
H 隙間
T 地震力の作用方向(地震力)
T1 圧縮抵抗力
T2 せん断力
T3 せん断抵抗力

Claims (5)

  1. 下方及び側方の地盤との間に隙間をあけて仮受け支持した建築物の水平方向の移動を抑制して該建築物の耐震性を向上させるための建築物仮受け時の耐震支持構造であって、
    前記側方の地盤を支持する土留壁と、前記建築物と前記土留壁の隙間に設けられて両者を連結する仮設スラブとを備えており、前記仮設スラブは、前記建築物の外周に沿う方向に間隔をあけて複数設けられるとともに、前記建築物の互いに隣り合い交差して繋がる側面のそれぞれと各側面に略対向する前記土留壁とを連結するように設けられていることを特徴とする建築物仮受け時の耐震支持構造。
  2. 請求項1記載の建築物仮受け時の耐震支持構造において、
    前記仮設スラブが、断面視略矩形状を呈する前記建築物の4隅に設けられていることを特徴とする建築物仮受け時の耐震支持構造。
  3. 請求項1または請求項2に記載の建築物仮受け時の耐震支持構造において、
    前記建築物及び/又は前記仮設スラブに一端が繋がり、前記土留壁に向かうに従い漸次下方に延びる他端が前記土留壁に繋がる斜設部材を備えていることを特徴とする建築物仮受け時の耐震支持構造。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の建築物仮受け時の耐震支持構造において、
    少なくとも前記仮設スラブが連結する部分の前記土留壁が、水平方向に間隔をあけて並設した複数の親杭と、隣り合う前記親杭の間に前記親杭と一体に設けられた複数の鉄筋コンクリート部とを備えた鉄筋コンクリート壁で構成されており、前記親杭を挟んで隣り合う前記鉄筋コンクリート部の内部には、前記仮設スラブ及び/又は斜設部材を通じて一方の前記鉄筋コンクリート部に作用したせん断力を他方の前記鉄筋コンクリート部に伝達するためのせん断力伝達用ダボ筋が具備されていることを特徴とする建築物仮受け時の耐震支持構造。
  5. 下方及び側方の地盤との間に隙間をあけて仮受け支持した建築物の水平方向の移動を抑制して該建築物の耐震性を向上させる建築物仮受け時の耐震支持方法であって、
    前記側方の地盤を支持する土留壁と前記建築物の隙間に、前記建築物の外周に沿う方向に間隔をあけ、且つ前記建築物の互いに隣り合い交差して繋がる側面のそれぞれと各側面に略対向する前記土留壁とを連結するように複数の仮設スラブを設け、前記建築物に作用する地震力のうち、前記土留壁に平行する方向の成分を前記側方の地盤のせん断抵抗力で受け止め、前記土留壁に直交する方向の成分を前記側方の地盤の圧縮抵抗力で受け止めるように、前記建築物に作用する地震力を前記複数の仮設スラブ及び前記土留壁を通じて前記側方の地盤に伝達することを特徴とする建築物仮受け時の耐震支持方法。

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