JP6427853B2 - 接合工法、及び、免震構造体 - Google Patents

接合工法、及び、免震構造体 Download PDF

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Description

本発明は、接合工法、及び、免震構造体に関する。
商業ビルやマンションといった構造体を建設する際の工法としてプレキャスト工法が知られている。プレキャスト工法では、コンクリート製品(プレキャストコンクリート)をあらかじめ製造しておき、構造体の建設現場において組立てや設置を行なうことによって、建設現場でのコンクリート打設工程を省略することが可能である。例えば、特許文献1には、プレキャスト部材を梁や柱と接合するための接合筋及び切り欠き部を設けておくことで、建設現場においてプレキャスト部材を梁や柱と簡単に接合する工法に関する発明が開示されている。
特開2009−68237号公報
近年、地震に対する意識の高まりから、地震による揺れの影響を構造体に伝達させにくくするための免震機構を有する免震構造体が注目され、実際に建設されている。このような免震構造体を建設する際にもプレキャスト工法は有効である。例えば、プレキャスト工法によって連層耐震壁を構築し、建設現場において当該耐震壁と周辺のフレーム(柱、梁等)とを接合する免震マンションが建設されている。
しかし、このようなプレキャスト耐震壁を柱や梁と接合する際の接合方法は従来の構造体(非免震構造体)の手法と同様である。すなわち、特許文献1に記載されているような接合筋や、コッター等を用いて接合する方法が踏襲されている。そのため、建設現場における施工の手間は従来の非免震構造体の場合と同様である。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は免震機構を有する構造体において、建設現場での施工の手間をより軽減することにある。
上記目的を達成するための主たる発明は、
柱、梁、前記柱と前記梁に囲まれる空間に設けられたプレキャスト耐震壁、を有する構造体を免震機構の上部に設けた免震構造体を建設する際の接合工法であって、
前記梁と前記プレキャスト耐震壁とを接合するための接合筋を設けず、
前記プレキャスト耐震壁を、前記柱と前記梁に囲まれる空間に設置して、前記梁と前記プレキャスト耐震壁を接合する接合工程を有し、
前記接合工程においては、前記プレキャスト耐震壁を左右の前記柱の間に設置し、次に、前記プレキャスト耐震壁の上側から上側の前記梁を設置し、次に、前記上側の梁の両端部と左右の前記柱を接合する、ことを特徴とする接合工法である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本発明によれば、免震機構を有する構造体において、建設現場での施工の手間をより軽減することが可能である。
耐震構造体について説明する概念図である。 図2A〜図2Cは、プレキャスト耐震壁の接合工法の一例について説明する図である。 免震機構を有する構造体について説明する図である。 従来の免震構造体におけるプレキャスト耐震壁の接合工法について説明する図である。 図5Aは、図4と比較してプレキャスト耐震壁20に設けられた縦筋212及びコッター25の量が少ない場合について表す図である。図5Bは、プレキャスト耐震壁20に縦筋212及びコッター25が設けられていない場合について表す図である。 免震機構を有さない構造体において、地震等が発生した場合にプレキャスト耐震壁に作用する力について説明する図である。 免震機構を有する構造体において、地震等が発生した場合にプレキャスト耐震壁に作用する力について説明する図である。 図8Aは、図4と比較してプレキャスト耐震壁20に設けられた横筋211及びコッター25の量が少ない場合について表す図である。図8Bは、プレキャスト耐震壁20に横筋211及びコッター25が設けられていない場合について表す図である。 図9A〜図9Cは、第1実施形態の免震構造体におけるプレキャスト耐震壁接合工法の一例について説明する図である。 第2実施形態において免震構造体に設けられる面外方向の外力対抗手段について説明する図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
免震機構を有する構造体において、前記構造体を構成する梁とプレキャスト耐震壁とを接合する際に用いられる接合手段の量を、前記構造体が前記免震機構を有さない場合に耐震構造上必要とされる前記接合手段の量よりも少なくする、ことを特徴とする接合工法。
このような接合工法によれば、免震機構を有する構造体において、建設現場での施工の手間を軽減することが可能である。
また、免震機構を有する構造体において、前記構造体を構成する柱とプレキャスト耐震壁とを接合する際に用いられる接合手段の量を、前記構造体が前記免震機構を有さない場合に耐震構造上必要とされる前記接合手段の量よりも少なくする、ことを特徴とする接合工法が明らかとなる。
このような接合工法によれば、免震機構を有する構造体において、建設現場での施工の手間を軽減することが可能である。
かかる接合工法であって、前記プレキャスト耐震壁と前記梁とを接合する際に用いられる接合手段の量は、前記構造体が前記免震機構を有さない場合に耐震構造上必要とされる前記接合手段の量よりも少なく、前記プレキャスト耐震壁と前記柱とを接合する際には、前記構造体が前記免震機構を有さない場合に耐震構造上必要とされる接合手段が用いられない、ことが望ましい。
このような接合工法によれば、免震機構を有する構造体において、建設現場での施工の手間をさらに軽減することが可能である。
かかる接合工法であって、前記プレキャスト耐震壁と前記柱とを接合する際に用いられる接合手段の量は、前記構造体が前記免震機構を有さない場合に耐震構造上必要とされる前記接合手段の量よりも少なく、前記プレキャスト耐震壁と前記梁とを接合する際には、前記構造体が前記免震機構を有さない場合に耐震構造上必要とされる接合手段が用いられない、ことが望ましい。
このような接合工法によれば、免震機構を有する構造体において、建設現場での施工の手間をさらに軽減することが可能である。
かかる接合工法であって、前記プレキャスト耐震壁の壁面と交差する方向に作用する外力に対抗する外力対抗手段が前記梁もしくは前記柱に設けられる、ことが望ましい。
このような接合工法によれば、プレキャスト耐震壁に対して面外方向に外力が作用した場合であっても、当該外力に対抗することができる。
かかる接合工法であって、前記柱または前記梁と接合される面である接合面が目粗し処理された前記プレキャスト耐震壁を用いて、前記柱または前記梁と前記プレキャスト耐震壁とが接合される、ことが望ましい。
このような接合工法によれば、プレキャスト耐震壁の設置後に当該プレキャスト耐震壁の位置ずれが生じることを抑制しやすくなる。
かかる接合工法であって、前記柱または前記梁と接合される面である接合面が目粗し処理された前記プレキャスト耐震壁を用いて、前記柱または前記梁と前記プレキャスト耐震壁とが接合される、ことが望ましい。
このような接合工法によれば、プレキャスト耐震壁20の位置をより強固に固定することができ、位置ずれが生じにくくなる。
また、かかる接合工法によって前記プレキャスト耐震壁と前記柱または前記梁とが接合されている、ことを特徴とする免震構造体が明らかとなる。
===構造体について===
<耐震構造体>
はじめに、一般的な耐震構造体について簡単に説明する。耐震構造体は、地震発生時などにおいて、構造体(例えば、マンション等の建築物)が倒壊したり損傷したりすることがないように設計された構造体のことである。具体的には、想定される規模の地震が発生した場合に、構造体に対して地震荷重等の短期荷重が作用した場合でも安全が確保されるような強度計算に基づいて、当該構造体を構成する部材等が決定される。
図1は、耐震構造体について説明する概念図である。図1に示されるように、耐震構造体は縦方向(垂直方向)に設けられる部材である「柱」と、横方向(水平方向)に設けられる部材である「梁」とが長方形状に組み合わされて剛接合されることによって構成された、所謂ラーメン構造である。柱の下部は、地面に設けられた基礎に固定されている。このような構造体では、地震発生時において、構造体に対して水平方向に力(地震荷重等)が作用した場合、ある部材(例えば梁)に作用する曲げやせん断力を他の部材(例えば柱)に伝達することにより、部材全体で強度を保つことができる。
<耐震壁>
通常の構造体(例えば、家やビル等の建築物)では左右の柱と上下の梁とによって囲まれる空間には「壁」が設けられる。耐震構造体においては、この壁が「耐震壁」とされる場合がある。耐震壁は、大きな剛性を有する壁部材であり、構造体に対して上述のような短期荷重(例えば、地震荷重等)が作用した場合に、当該荷重に抵抗することで構造体全体の耐震性を高めることができる。例えば、マンションのような構造体の場合、部屋と部屋とを仕切る戸境壁を耐震壁として連層耐震壁を構成することで、マンション全体の耐震性能を高めることができる。
耐震構造体では、耐震壁としてプレキャスト耐震壁が用いられる場合が多い。プレキャスト耐震壁は工場等であらかじめ製造された鉄筋コンクリート製の耐震壁である。プレキャスト耐震壁を用いることにより、構造体の建設現場におけるコンクリート打設の工程(建設現場で耐震壁を製造する工程)を簡略化したり、建設現場における施工スペースを小さくしたりすることができるため、作業の効率を高くすることができる。また、プレキャスト耐震壁を工場等であらかじめ製造することで、建設現場で耐震壁を製造する場合と比較して、コンクリートの品質を一定に保ちやすくなる。
<耐震壁の接合について>
図2A〜図2Cは、プレキャスト耐震壁の接合工法の一例について説明する図である。耐震構造体では、プレキャスト耐震壁に荷重を伝達して負担させるために、構造体を構成する柱11または梁12とプレキャスト耐震壁20とが、所定の手段を用いて接合される。
一般的な耐震構造体で、プレキャスト耐震壁を接合する際には、接合手段として横筋211及び縦筋212、からなる接合筋21と、コッター25とが用いられる(図2C参照)。接合筋21はプレキャスト耐震壁20の側面から突出した複数の棒状部材であり、主に金属製である。横筋211は柱11と接合するために設けられ、縦筋212は梁12と接合するために設けられている。コッター25は、プレキャスト耐震壁20の外周部に形成される凹凸状部分である。プレキャスト耐震壁20を柱11及び梁12と接合する際には、プレキャスト耐震壁20の側面と、柱11もしくは梁12との間にできる凹凸のすきま部分に接着剤27を充填することにより、プレキャスト耐震壁20と柱11もしくは梁12とを強固に接合することができる。
プレキャスト耐震壁に設けられる接合手段の種類や量は、耐震構造上必要とされる耐震強さに基づいて決定される。例えば、ある構造体について必要とされる耐震強さが小さければ、接合筋21やコッター25等の量を少なくすることができるし、必要とされる耐震強さが大きければ、接合筋21やコッター25等の量を多くする必要がある。
建設現場にて、プレキャスト耐震壁20と柱11及び梁12とを接合する際には、まず、柱11と下側の梁12を図2Aのような状態に組んでおく。
続いて、図2Bのように、柱11及び下側の梁12の間にプレキャスト耐震壁20を設置する。このとき、柱11及び下側の梁12の、内側(図2Bにおいてプレキャスト耐震壁20と対向する側)には図の斜線部で示されるような溝部が形成されており、当該溝部に接合筋21の突出部を嵌め入れることでプレキャスト耐震壁20が設置される。図2Bの場合、例えば、クレーン等でプレキャスト耐震壁20を吊り上げ、左右の柱11に形成されている溝部に沿って上方から下方へ垂直に降ろしていくようにしてプレキャスト耐震壁20を設置する。その後、溝部と接合筋21との間に充填材を充填することで、両側の柱11及び下側の梁12とプレキャスト耐震壁20とが接合される。
次に、図2Cに示されるように、プレキャスト耐震壁20の上側から上側の梁12が設置される。上側の梁12にも上述のような溝部が形成されており、当該溝部にプレキャスト耐震壁20の縦筋212の突出部を嵌め入れる。そして、溝部と縦筋212との間に充填材を充填する。また、コッター25と柱11及び梁12との間に接着剤27を充填することにより、プレキャスト耐震壁20と柱11及び梁12とが接合される。そして、図2Cの状態で上側の梁12の両端部と左右の柱11とが接合されることにより、ラーメン構造体が形成される。
なお、図2A〜図2Cは、プレキャスト耐震壁の接合工法の一例を表したものであり、接合の手順や方法はこの限りでない。
<免震構造体>
次に、免震構造体について説明する。免震構造体は、免震機構を有する構造体である。免震機構とは、地震発生時に構造体に作用する力を抑制することで、構造体が倒壊したり損傷したりしないようにするための機構である。
図3は、免震機構を有する構造体について説明する図である。図3では、構造体の基礎と地面との間に免震機構が設けられている。一般に、免震機構はアイソレーター及びダンパー(共に不図示)、若しくはそれらの組み合わせによって構成される。また、免震機構の設置個数や設置位置は構造体(建築物)の大きさや用途に応じて適宜調整される。アイソレーターは、構造体を支持しつつ、当該構造体に作用する震動(揺れ)の周期を長くする。すなわち、短周期の激しい揺れを長周期のゆっくりとした揺れにする。アイソレーターとしては、例えば、積層ゴム支承や転がり支承等が用いられる。ダンパーは、構造体に作用する震動(揺れ)を減衰させる。すなわち、震動のエネルギーを吸収して揺れを低減させる。ダンパーとしては、例えば、曲げた金属鋼材の延性を利用した鋼材ダンパーや、オイルダンパー、鉛ダンパー等が用いられる。
免震機構を有さない構造体では、地面の上に基礎を介して構造体が直接設置される。したがって、地震が発生した際には、地面の震動が構造体に伝達し、構造体全体が大きく揺れる。これに対して、免震機構を有する構造体(免震構造体)では、地震が発生した場合でも、免震機構によって震動が吸収・低減されるため、構造体には大きな震動が伝わりにくく、地震による被害を小さくすることができる(免震化)。
近年、地震に対する意識の高まりから、免震機構を有する耐震構造体が多く建設されている。例えば、免震マンションを建設する際に、プレキャスト耐震壁を用いたプレキャスト工法が採用される場合などがある。
===第1実施形態===
<免震構造体のプレキャスト耐震壁接合工法>
本実施形態では、免震機構を有する構造体(免震構造体)において、容易にプレキャスト耐震壁を接合することができる接合工法について説明する。
まず、比較例として、従来の免震構造体におけるプレキャスト耐震壁の接合工法について説明する。図4は、従来の免震構造体におけるプレキャスト耐震壁の接合工法について説明する図である。
免震構造体においてプレキャスト耐震壁を接合する際には、基本的に、当該構造体が免震機構を有さない場合における接合工法が踏襲される。すなわち、図2A〜図2Cで説明したような接合手段を用いて、プレキャスト耐震壁の接合が行なわれる。図4では、柱11及び梁12によって囲まれる領域に、接合筋21及びコッター25を用いてプレキャスト耐震壁20が接合されている。具体的には、横筋211及びコッター25を用いてプレキャスト耐震壁20の両側面が左右の柱11に接合され、縦筋212及びコッター25を用いてプレキャスト耐震壁20の上下面が上下の梁12に接合されている。
これに対して、本実施形態では、プレキャスト耐震壁20の接合手段の量を、構造体が免震機構を有さない場合に耐震構造上必要とされる量よりも少なくしている。図5Aは、図4と比較してプレキャスト耐震壁20に設けられた縦筋212及びコッター25の量が少ない場合について表す図である。図5Bは、プレキャスト耐震壁20に縦筋212及びコッター25が設けられていない場合について表す図である。これらの図に表されるように、本実施形態の構造体では、プレキャスト耐震壁20と梁12との接合手段(縦筋212やコッター25)の量を少なくしたり、もしくは、接合手段を設けなくても、耐震構造上必要な強度を保つことができる。以下、その理由について説明する。
図6は、免震機構を有さない構造体において、地震等が発生した場合にプレキャスト耐震壁に作用する力について説明する図である。図7は、免震機構を有する構造体において、地震等が発生した場合にプレキャスト耐震壁に作用する力について説明する図である。
免震機構を有さない構造体において地震が発生した際に、図6の太矢印で示されるような力(短期荷重)が作用するものとする。すなわち、左側の柱11に対して縦方向下向きに力が働き、右側の柱11に対して縦方向上向きに力が働くものとする。また、上側の梁12に対して水平方向右向きに力が働き、下側の梁12に対して水平方向左向きに力が働くものとする。このとき、図6のA部では、柱11によって下側の梁12が縦方向(上下方向)下側に引っ張られるような力が働く。これに対して、図4で説明したように複数の縦筋212やコッター25を用いた接合手段によってプレキャスト耐震壁20と下側の梁12とが接合されていれば、当該接合手段を介してプレキャスト耐震壁20に引っ張り力を伝達し、構造体全体として引っ張り力に対抗することができる。また、図6のA部では、下側の梁12に対して水平方向左向きの力が働くため、プレキャスト耐震壁20の下面にせん断力が作用する。これに対して、図4で説明したように複数の縦筋212やコッター25を用いた接合手段によってプレキャスト耐震壁20と下側の梁12とが接合されていれば、当該接合手段を介してプレキャスト耐震壁20にせん断力を伝達し、構造体全体としてせん断力に対抗することができる。
一方、本実施形態のように免震機構を有する構造体では、地震が発生した場合でも免震機構によって揺れの影響が軽減されるため、構造体に働く力は図6の場合と比較して非常に小さくなる。例えば、図7のA部では下側の梁12に対して縦方向の引っ張り力が作用しないか、作用したとしても非常に小さいため、当該引っ張り力に対抗するために多数の縦筋212を設ける必要はない。また、図7のA部に作用する水平方向のせん断力も非常に小さいため、縦筋212やコッター25を設けなくてもせん断力に対抗することができる。したがって、図5Aや図5Bで示されるように、縦方向の接合手段の量を少なくしても耐震構造上必要な強度を保つことができる。なお、図5A及び図5Bにおいて横方向の接合手段(横筋211やプレキャスト耐震壁20の左右両端部に設けられるコッター25)の量を減らしてもよい。
図8Aは、図4と比較してプレキャスト耐震壁20に設けられた横筋211及びコッター25の量が少ない場合について表す図である。図8Bは、プレキャスト耐震壁20に横筋211及びコッター25が設けられていない場合について表す図である。本実施形態では、このような場合でも耐震構造上必要な強度を保つことができる。すなわち、プレキャスト耐震壁20と柱11との接合手段(横筋211やコッター25)の量を、構造体が免震機構を有さない場合に耐震構造上必要とされる量よりも少なくすることができる。
図6のB部では、上側の梁12によって右側の柱11が水平方向右側に押されるため、プレキャスト耐震壁20と柱11とが離れる方向に引っ張り力が働く。これに対して、図4で説明したように複数の横筋211やコッター25を用いた接合手段によってプレキャスト耐震壁20と柱11とが接合されていれば、プレキャスト耐震壁20は当該引っ張り力に対抗することができる。また、図6のB部では、柱11を縦方向上側に押すような力が働き、プレキャスト耐震壁20の右側側面にせん断力が作用する。これに対して、図4で説明したように複数の横筋211やコッター25を用いた接合手段によってプレキャスト耐震壁20と柱11とが接合されていれば、プレキャスト耐震壁20は当該せん断力に対抗することができる。
一方、上述のように、免震機構を有する構造体では、地震が発生した場合でも免震機構によって揺れの影響が軽減され、構造体に働く力は非常に小さい。例えば、図7のB部では、右側の柱11に対して水平方向の引っ張り力が作用しないか、作用したとしても非常に小さいため、当該引っ張り力に対抗するために多数の横筋211を設ける必要はない。また、図7のB部で縦方向に作用するせん断力も非常に小さいため、横筋211やコッター25を設けなくてもせん断力に対抗することができる。したがって、図8Aや図8Bで示されるように、横方向の接合手段の量を少なくしても耐震構造上必要な強度を保つことができる。なお、図8A及び図8Bにおいて縦方向の接合手段(縦筋212やプレキャスト耐震壁20の上下両端部に設けられるコッター25)の量を減らしてもよい。
このように、免震機構を有さない構造体と比較して免震機構を有する構造体では、プレキャスト耐震壁を接合する際の接合手段の量を少なくすることができる。
<本実施形態における耐震壁の接合について>
図9A〜図9Cは、本実施形態の免震構造体におけるプレキャスト耐震壁接合工法の一例について説明する図である。
まず、免震機構を有さない場合(図2A参照)と同様に、柱11と下側の梁12を図9Aのような状態に組んで接合する。続いて、図9Bのように、柱11及び下側の梁12の間にプレキャスト耐震壁20を設置する。上述したように、本実施形態では構造体を構成する柱11や梁12等とプレキャスト耐震壁とを接合する際に、構造体が免震機構を有さない場合と比較して接合筋やコッター等の接合手段の量を少なくすることができる。具体的には、プレキャスト耐震壁20側に接合筋が設けられない(若しくは接合筋の量が少ない)ため、当該接合筋を嵌めいれる為の溝部(図2Bの斜線表示部参照)を柱11及び梁12に設ける必要が無い(若しくは少量の溝部が形成されていれば良い)。また、プレキャスト耐震壁20と柱11及び梁12との間の嵌め合い等に関して高い施工精度が要求されることも少ないので、建設現場におけるプレキャスト耐震壁20の設置作業が容易である。例えば、柱11及び下側の梁12の間の空間に、プレキャスト耐震壁20を置くようにして、位置を微調整するだけで良い。次に、図9Cに示されるように、耐震壁20の上側から上側の梁12が設置される。上側の梁12も少ない接合手段でプレキャスト耐震壁20と接合することができるので、建設現場での設置作業が容易である。そして、左右両側の柱11と上側の梁12の両端部とが接合されることにより、ラーメン構造体が形成される。
なお、プレキャスト耐震壁20設置後の位置ずれを抑制するために、プレキャスト耐震壁20の柱11または梁12と接合される面である接合面(すなわちプレキャスト耐震壁20の外周部)を切削する等により、接合面の表面に対して目粗し処理をしておくとよい。目粗し処理を行なうことによりプレキャスト耐震壁20と柱11または梁12との間の摩擦係数が高くなるため、プレキャスト耐震壁20を設置した後の位置ずれが生じにくくなる。
また、プレキャスト耐震壁20の接合面と柱11または梁12との間にグラウト等の充填材を充填してもよい。これにより、プレキャスト耐震壁20の位置がより強固に固定される。構造体が免震機構を有している場合、プレキャスト耐震壁20には大きな短期荷重(例えば地震荷重)が作用しにくい。すなわち、短期荷重によってプレキャスト耐震壁20の位置がずれる可能性は低い。したがって、プレキャスト耐震壁20と柱11または梁12との接合部は、このような充填材で位置を固定しておくだけでも十分に強度を保つことができる。さらに、上述のように接合面の目粗し処理をしておくことにより当該接合面において充填材が密着し易くなるため、プレキャスト耐震壁20設置後の位置ずれをより抑制しやすくなる。
このような接合工法によってプレキャスト耐震壁を接合することにより、免震機構を有する構造体において、建設現場での施工の手間をより軽減することができる。
===第2実施形態===
第2実施形態では、プレキャスト耐震壁に対して面外方向の力が作用する場合を考慮した接合工法について説明する。
図7で説明したように、免震機構を有する構造体において、地震等が発生した場合にプレキャスト耐震壁に対して作用する面内方向の力(プレキャスト耐震壁の壁面と平行な方向に作用する力)は非常に小さい。そのため、プレキャスト耐震壁において当該面内方向の力に対抗するための接合手段の量は、免震機構を有さない場合よりも少なくすることができる。一方、プレキャスト耐震壁に対して面外方向の力が作用した場合、(プレキャスト耐震壁の壁面と交差する方向に力が作用した場合)には、当該面外方向の力に十分対抗することができない場合がある。そこで、プレキャスト耐震壁に対して面外方向に作用する外力に対抗するための外力対抗手段を設けることにより、構造体の安全を確保する。なお、第2実施形態において、免震構造体を構成する柱や梁とプレキャスト耐震壁との接合方法自体は第1実施形態と同様である。
図10は、第2実施形態において免震構造体に設けられる面外方向の外力対抗手段について説明する図である。図10では、面外方向の外力対抗手段として柱11に触れ止め151が設けられ、梁12に触れ止め152が設けられている。触れ止め151及び触れ止め152としては、例えばL字状の形鋼(いわゆるアングルや山形鋼)を用いることができる。
触れ止め151のL字状の一方の平面(151aとする)は柱11に接合され、他方の平面(151bとする)はプレキャスト耐震壁20と接触しない程度の間隔を空けて設けられる。そして、プレキャスト耐震壁20の厚さ方向を挟んで、対称となるように触れ止め151が設けられる。つまり、プレキャスト耐震壁20は、1組の触れ止め151によって幅方向に挟み込まれるような状態となる。同様に、触れ止め152のL字状の一方の平面(152aとする)は梁12に接合され、他方の平面(152bとする)はプレキャスト耐震壁20と接触しない程度の間隔を空けて設けられる。そして、プレキャスト耐震壁20の厚さ方向を挟んで、対称となるように触れ止め152が設けられる。つまり、プレキャスト耐震壁20は、2つの触れ止め152によって幅方向に挟み込まれるような状態となる。
図10のような構造体において、プレキャスト耐震壁20の壁面と交差する方向(面外方向)に短期荷重が作用した場合、触れ止め151の平面151b、及び、触れ止め152の平面152bによって、プレキャスト耐震壁20は面外方向に移動するのを抑制される。このような外力対抗手段を設けることにより、プレキャスト耐震壁20に対して面外方向に外力が作用した場合であっても、当該外力に対抗することができる。
なお、外力対抗手段としての触れ止め151及び触れ止め152の設置位置や設置個数は図10に示される場合には限られず、想定される短期荷重条件等に応じて適宜変更することが可能である。また、外力対抗手段として触れ止め151や触れ止め152以外の他の手段が用いられてもよい。
===その他の実施形態===
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
11 柱、
12 梁、
20 プレキャスト耐震壁、
21 接合筋、211 横筋、212 縦筋、
25 コッター、
27 接着剤、
151 触れ止め、152 触れ止め、

Claims (8)

  1. 柱、梁、前記柱と前記梁に囲まれる空間に設けられたプレキャスト耐震壁、を有する構造体を免震機構の上部に設けた免震構造体を建設する際の接合工法であって、
    前記梁と前記プレキャスト耐震壁とを接合するための接合筋を設けず、
    前記プレキャスト耐震壁を、前記柱と前記梁に囲まれる空間に設置して、前記梁と前記プレキャスト耐震壁を接合する接合工程を有し、
    前記接合工程においては、前記プレキャスト耐震壁を左右の前記柱の間に設置し、次に、前記プレキャスト耐震壁の上側から上側の前記梁を設置し、次に、前記上側の梁の両端部と左右の前記柱を接合する、ことを特徴とする接合工法。
  2. 請求項1に記載の接合工法であって、
    前記プレキャスト耐震壁の、前記梁と接合される面である接合面を目粗し処理し、
    前記目粗し処理された前記プレキャスト耐震壁を、前記柱と前記梁に囲まれる空間に設置して、前記梁と前記プレキャスト耐震壁を接合する、ことを特徴とする接合工法。
  3. 請求項1又は2に記載の接合工法であって、
    前記プレキャスト耐震壁の壁面と交差する方向に作用する外力に対抗する外力対抗手段が前記梁に設けられる、ことを特徴とする接合工法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の接合工法であって、
    前記梁と前記プレキャスト耐震壁の接合面との間に、充填材が充填される、ことを特徴とする接合工法。
  5. 柱、梁、前記柱と前記梁に囲まれる空間に設けられたプレキャスト耐震壁、を有する構造体を免震機構の上部に設けた免震構造体を建設する際の接合工法であって、
    前記梁と前記プレキャスト耐震壁とを接合するための接合筋を設けず、
    前記柱と前記プレキャスト耐震壁とを接合するための接合筋を設けず、
    前記プレキャスト耐震壁を、前記柱と前記梁に囲まれる空間に設置して、前記梁及び前記柱と前記プレキャスト耐震壁を接合する、ことを特徴とする接合工法。
  6. 請求項5に記載の接合工法であって、
    前記プレキャスト耐震壁の、前記梁と接合される面である接合面を目粗し処理し、
    前記プレキャスト耐震壁の、前記柱と接合される面である接合面を目粗し処理し、
    前記目粗し処理された前記プレキャスト耐震壁を、前記柱と前記梁に囲まれる空間に設置して、前記梁及び前記柱と前記プレキャスト耐震壁を接合する、ことを特徴とする接合工法。
  7. 請求項5又は6に記載の接合工法であって、
    前記プレキャスト耐震壁の壁面と交差する方向に作用する外力に対抗する外力対抗手段が前記梁及び前記柱に設けられる、ことを特徴とする接合工法。
  8. 請求項5〜7のいずれかに記載の接合工法であって、
    前記梁と前記プレキャスト耐震壁の接合面との間に、充填材が充填され、
    前記柱と前記プレキャスト耐震壁の接合面との間に、充填材が充填される、ことを特徴とする接合工法。
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