JP5379285B1 - 制震pc柱を用いる建物 - Google Patents

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Abstract

【課題】建造物における柱や壁等の鉛直構造部材について、大地震や強風によって衝撃的な引張力や曲げモーメントを受けても、PC鋼材や鉄筋が線形復元力の範囲内に維持されるようにしてひび割れや損壊を防止する構造を提供する。
【解決手段】基礎から最上層まで各階層に複数の柱が配置されて構築された建物であって、中央部に配置されたPC柱12のPC鋼材に付与される緊張導入し、外周部に配置されたPC柱12のPC鋼材に付与される緊張導入力は、中央部より低くし、それぞれの緊張力が構造体の剛性要素となって高度の制震効果を発揮でき、それによって、柱部材の安全余裕度を大幅に向上させることができる構成とした。
【選択図】図4

Description

本発明は、制震PC柱を用いて構築される低層から高層ビルに至る制震構造の建物に関するものである。
一般にこの種の建物においては、その基礎部分に制震や免震装置を配置して構築されているものが従来例として複数公知になっている。例えば、第1の従来例としては、高層構造物の基礎部の引き抜き防止用の、増し打ちコンクリートを免震装置で支持し、該増し打ちコンクリートに生ずる振動エネルギを、ポテンシャルエネルギに変換する手段と、該ポテンシャルエネルギを蓄積する手段を有し、該ポテンシャルエネルギの蓄積手段を介して地上階に設けた制震装置を駆動してなるエネルギ変換型高層制震構造物である(特許文献1)。
そして、従来、錘としてしか使われていなかったカウンターウエイトを、エネルギ発生装置として利用して地震時にアクティブ制御ができ、構造物の揺れが低減できる。さらに一般構造では、引き抜き力が大きくアースアンカーを用いなければならない場合でも、この発明の装置を搭載することで構造物の揺れを低減し引き抜き力を減少し、アースアンカーを用いることなく、引き抜き力を処置することができるのでコスト低減に繋がるというものである。
また、第2の従来例としては、地中に構築された基礎杭の上端部に、緩衝材を介装してなる杭頭ジョイント具を装着すると共に、定着鋼材の下部を前記基礎杭に定着固定し、該定着鋼材の上部を前記杭頭ジョイント具に形成した貫通孔から上方に突出させ、前記緩衝材を押圧した状態を維持して、前記定着鋼材の中間部を前記杭頭ジョイント具に固定し、前記定着鋼材を上部構造物内に定着させた基礎杭と上部構造物との連結構造である(特許文献2)。
そして、上記構成にしたことで、通常時の上部構造物の鉛直荷重は、定着鋼材及び杭頭ジョイント具の緩衝材を介して、基礎杭に伝達される。この際、緩衝材の押圧力に応じて、緩衝材が負担すべき鉛直荷重の分量が決まり、定着鋼材が負担すべき鉛直荷重の分量を軽減できる。また、上記の上部構造物と基礎杭との結合構造では、剛結合される定着鋼材と緩衝材とを併用して曲げモーメントの負荷を分散し、定着鋼材の負担を低減したので、高い支持力を有する基礎杭においても鉛直、水平両荷重に対してバランスのとれた高耐力を有する構造を容易に提供できるというものである。
さらに、第3の従来例としては、鉛直構造部材を使用して構築された建造物であって、該建造物の基礎から最上層まで各階層に構築される鉛直構造部材の断面において、断面の核内および核外に制震PC鋼材を挿通させて配置し、少なくとも断面の核内に配設された制震PC鋼材を前記基礎から最上層まで全長にわたって連通した状態で配置し、前記制震PC鋼材において、断面の核内と断面の核外に配置されたPC鋼材にそれぞれ異なる緊張導入力を与えて緊張定着し、鉛直構造部材の全長にわたって制震プレストレスを付与した鉛直制震PC構造部材が形成される建造物である(特許文献3)。
そして、基礎と最上層との間に構築された鉛直構造部材の断面核内に挿通した制震PC鋼材を緊張定着し全長にわたって制震プレストレスを付与した構成としたことによって、鉛直構造部材の断面耐力を増大させて地震時の部材安全余裕度を大幅に増すと共に、制震水平力Prの効果による制震ダンパー性能を発揮させ、全ての主筋やPC鋼材を降伏させずに線形復元力範囲に留めるので、大地震や強風を受けても建造物のひび割れや損傷が回避できるというものである。
特開平10−61256号公報 特開2004−44303号公報 特開2011−169070号公報
前記第1および第2の従来例においては、地震対策として積層ゴム等の免震装置を使用し、該免震装置に基礎部の引き抜き防止用の増し打ちコンクリートを支持させたり(第1の従来例)、該免震装置を基礎部の杭頭ジョイント具に組み込んだり(第2の従来例)して、地震による震動または揺れが免震装置で緩和され上部構造物に直接伝搬されないようにしている。
また、前記第1および第2の従来技術においては、基礎構造と上部建造物との間に免震装置を配設しているものであるが、上部構造物は、免震装置の上部に取り付けられた増し打ちコンクリートやジョイント具等の部材(フーチング)に対して柱や梁を連結または一体的に結合させて取り付けられている。
ところで、従来技術において、上部構造物が鉄筋コンクリート造(RC造)であってもプレキャストコンクリート造(PC造)であっても、例えば、直下型短周期地震で震度7クラスの巨大地震時に発生する衝撃的引張力や強い揺れを繰り返し受けると、構造物を構成する鉛直部材は、免震装置の設置だけでは振動または揺れを吸収しきれず、ひび割れが生じたり破損したりする。
従来の耐震構造や制震及び免震構造のPC構造部材(柱、梁等)では、部材断面に配置されたPC鋼材の緊張導入力は一様とし、定着完了時ではPC鋼材の降伏荷重(Py)の80%としている。構造部材の断面耐力は大地震時において、PC鋼材の降伏荷重(Py)をもとに得られるものとしている。しかしながら、PC鋼材には明瞭な降伏点がないため、降伏荷重は0.2%永久伸びに対する荷重としている。降伏点強度はその降伏荷重を用いてPC鋼材の断面積を除した値とする。図6に示すように、降伏荷重の85%程度まで直線で示し、以後は緩やかな曲線で示す非線形復元力状態に入る。この段階に入るとコンクリート断面にはひび割れが発生し、主筋やPC鋼材の弾性付着損傷防止が期待できなくなる。また、地震後には残留変形が残っているため、発生したひび割れを閉じることができずにひび割れが大きく進行し、構造躯体に悪影響を与えて使用寿命が大幅に減少するという問題点を有する。
また、過去の直下型短周期地震の大地震の被害例は、特に、鉄筋コンクリート造柱(RC柱)や壁体構造に主筋の付着破壊が先行し、それによってせん断破壊が多く発生した。その理由は、柱や壁等の鉛直構造部材の断面内に配設された鉄筋が降伏点強度を超えて、コンクリートとの付着力が鋼材引張伸びに追従できず、コンクリートとの付着界面で付着破壊、剥離を起こすことが主たる原因であると推定される。そして、特に問題となっているのは、短周期の瞬間的な引張伸びはコンクリート柱の断面全体を塊状に破砕する損壊であり、現実に、原子炉構造物の厚い壁にも水平クラックの被害を発生させている。
従って、従来技術においては、大地震によるRC造柱の損壊は、建物全体に繋がる致命的なダメージを与えてしまうこと、およびPC構造の鉛直部材はPC鋼材や鉄筋の降伏点強度をもとに求められている断面耐力を持って使用されているため、大地震によりPC鋼材や鉄筋は降伏点強度に達する可能性があって、RC構造物の損壊例と同様な被害が予想されるという問題点を有している。
一般にPC構造とは、コンクリート造構造部材(柱、梁、壁等)の断面に配置されたPC鋼材を緊張することによって、コンクリート断面にプレストレスを与えるものである。そのプレストレスは予め想定される荷重又は負荷(力)に対して十分抵抗できるように部材に与えられている。力の種類でいえば、外力と内力とがあり、物体に外から加えられる力を外力と呼び、外力に対して物体内部に発生する力を内力と呼ぶ。言い換えれば、外力は物体を変形させる原因であり、物体はこれに対抗して元の形を保とうとする結果、内力が発生する。
例えば、図6(1)〜(4)に示したように、高層建物30の重量WとプレストレスPとの違いについて説明する。(1)図と(2)図に示したように、地震などによる水平力Qと建物30の重量Wは外力である。Pは鉛直部材の断面内に配置したPC鋼材に付与する緊張力でありプレストレス力という内力である。水平力Qの合力をaとして表す。
そこで、(3)図に示すように、水平合力aによる曲げモーメントMaが発生し建物30に対して水平変形させようとする。建物30の重量Wが増えると水平力も増えてしまう。結果的に建物30に作用する水平荷重が増えてしまう。また、建物の重量Wは外力であり、常に鉛直方向に向かって建物30に作用しているから、水平合力aによる建物30の水平変形が生じた後、重量Wも建物30に対して付加曲げモーメントMwが生じるから、建物に作用する曲げモーメントは水平合力aと重量(Ma+Mw)によるものである。水平変形が大きくなればなるほど重量Wによる曲げモーメントMwが大きくなり建物30を大きく変形させることとなる。
それに対して、(4)図に示すように、プレストレス力Pは、予め部材内部に存在している内力であり、常に断面に対する垂直方向に作用しているから、PC鋼材が弾性範囲内であればバネのように働き、地震などによって建物30が変形しようとしたときに抵抗する力になり、振り子のように変形した建物30を元に戻そうとしている。これをプレストレスによる復元力といい、変形時に元の状態に戻そうとする力になる。この効果をプレストレスによる制震効果と称する。この制震効果は、鉛直方向に軸力のみ有するRC構造や鉄筋構造などでは得られないものである。
従来のPC構造部材において、部材断面に配置されたPC構材の緊張導入力は、定着完了時ではPC鋼材の降伏荷重(Py)の80%としている。構造部材の断面耐力はPC鋼材の降伏点強度をもとに算出され、最大荷重時ではPC鋼材の降伏を許容している。結果として、地震時にはPC鋼材が降伏して塑性変形してしまうと、上述のプレストレスによる復元力が失われ、部材の変形を戻す力がなくなって地震後には残留変形が残っているため、発生したひび割れを閉じることができずにひび割れが大きく進行し、構造躯体に悪影響を与えて使用寿命が大幅に減少する。
また、図7に示したように、PC鋼材には明瞭な降伏点がないため、降伏荷重は0.2%永久伸びに対する荷重としている。降伏点強度はその降伏荷重の85%程度まで直線で示し、以後は緩やかな曲線で示す非線形復元力状態に入る。この段階に入るとコンクリート断面にはひび割れが発生するおそれがあり、主筋やPC鋼材の弾性付着損傷防止が期待できなくなる。
従って、従来技術においては、PC構造の柱や壁等の鉛直部材はPC鋼材や鉄筋の降伏点強度をもとに求められている断面耐力を持って使用されているため、大地震によりPC鋼材や鉄筋は降伏点強度に達する可能性があって、RC構造物の損傷と同様は被害が予想されるという問題点を有している。
従来技術に係る高層の建造物における柱や壁等の鉛直構造部材について、大地震や強風によって衝撃的な引張力や曲げモーメントを受けても、PC鋼材や鉄筋が線形復元力の範囲内に維持されるようにしてひび割れや損壊を防止することに解決すべき課題がある。
上記課題に対して、第3の従来技術において、その解決方法として制震プレストレスを柱に付与する方法が示されている。しかし、第3の従来技術は、あくまでも部材レベルとしたものであり、建物平面において、柱が平面全体に渡って配置する位置によって、地震等で受ける水平力による引張力が大きく異なってくる。また、建物の高さと平面大きさとの関係(塔状比)によって変化する。従って、建物平面全体において、バランスよく配置してPC柱の制震効果を発揮させることに課題を有する。
本発明に係る第1の発明は、前述の従来例の課題を解決する具体的手段として、基礎から最上層まで各階層に複数の柱が配置されて構築された建物であって、該建物の平面において、建物の長さをLとし幅をBとした場合に、1/3Lと1/3Bとで囲まれた範囲を中央部とし、その他を外周部とし、前記配置された柱はPC鋼材が配置されて緊張導入力を与えてプレストレスが付与されるPC柱とし、且つ、中央部に配置されたPC柱のPC鋼材に付与される緊張導入力は、外周部に配置されたPC柱のPC鋼材に付与される緊張導入力よりも強い緊張力を導入して緊張定着するものであって、中央部に配置されたPC柱のPC鋼材に付与される緊張導入力は、当該PC鋼材の降伏荷重の60〜80%までとし、外周部に配置されたPC柱のPC鋼材に付与される緊張導入力は、当該PC鋼材の降伏荷重の40〜70%までとすることを特徴とする建物を提供するものである。
本発明に係る第2の発明は、基礎から最上層まで各階層に複数の柱が配置されて構築された建物であって、該建物の平面において、建物の長さをLとし幅をBとした場合に、2/3Lと2/3Bとで囲まれた範囲を中央部とし、その他を外周部とし、前記中央部に配置された柱は、PC鋼材が配置されて緊張導入力を与えてプレストレスが付与されるPC柱とし、該PC柱のPC鋼材に付与される緊張導入力は、当該PC鋼材の降伏荷重の60〜80%までとし、外周部に配置された柱は、鉄骨造柱とすることを特徴とする建物提供するものである。
これらの第1と第2の発明においては、前記基礎は、上部基礎構造と下部基礎構造と、それらの間に介在させた免震装置とからなること、を付加的な要件として含むものである。
なお、本発明において上記の緊張導入力とは、定着部における定着完了時にPC鋼材に与えた引張力を意味するものである。
本発明の第1の発明に係る建物は、基礎から最上層まで各階層に複数の柱が配置され、中央部に配置されたPC柱のPC鋼材に付与される緊張導入力は、当該PC鋼材の降伏荷重の80%までとし、外周部に配置されたPC柱のPC鋼材に付与される緊張導入力は、当該PC鋼材の降伏荷重の40〜70%までとする構成としたことによって、付与されたプレストレス力が柱の内部に応力として常に蓄積した状態になっており、この内部応力は、地震などによる建物の変形に抵抗する力になり、さらに変形した建物を元の状態に戻そうとする力になる。この力が構造体の剛性要素となって高度の制震効果を発揮できる。
また、内蔵されたPC鋼材に付与されるプレストレス力を制御することで制震効果を調整して、設計者が建物の荷重と変形との関係において、弾性範囲内にコントロールすることができる。
さらに、プレストレス力による制震効果を発揮させるため、大地震においても、内蔵されたPC鋼材を降伏させずに弾性範囲を保つようにし、建物平面において、強風や地震時の最大荷重時、柱が配置された位置によって受ける引張荷重が異なるが、配置の位置に合わせて予め異なる緊張導入力を与えて調整し、最大荷重時には、中央部と外周部に配置された柱のPC鋼材に掛かる最大引張応力がほぼ同じになるようにし、かつ、降伏しないように弾性範囲内に保持することにより、プレストレスによる復元力が弾性バネのように働き、地震などによる建物が水平変形した時に抵抗して元に戻そうとする力になり、それによって、柱部材の安全余裕度を大幅に向上させることができ、柱の断面内に配置された鉄筋及びPC鋼材が降伏せずに線形復元力の範囲内に留められることが保証され、建物が損壊しないばかりでなく、地震後はPC鋼材の弾性復元力によって元の状態に戻るので、地震による繰り返しの揺れを受けても変形は残留しないという優れた効果を奏する。
また、本発明の第2の発明に係る建物は、PC柱と鉄骨造柱とを組み合わせ、中央部にPC柱を配置し外周部に鉄骨造柱を配置する構成としたことによって、中央部のPC柱は心柱のように働いて制震役割を果たし、外周部の鉄骨造柱は高い強度及び耐変形能力という特性を生かして、建物全体は強い耐震性を持つ耐震・制震構造となるのである。
さらに、免震装置の上部にPC柱と鉄骨造柱とを組み合わせて構築された構造躯体は、水平方向の地震力による地震エネルギーを吸収すると共に、直下型地震の上下動による鉛直部材(柱・壁)の損傷も抑えることができるのである。
特に、高層の建物全体に与える鉛直方向の制震プレストレスの付与は、衝撃はによる応力度を緩和させる効果があること、柱や梁間がPC圧着工法またはPC圧着関節工法の導入で弾性的付着特性を有することにより、コンクリートの付着破壊を起こさせない効果があること、これらの効果が総和して大地震によっても、制震PC構造の建物が進行性崩壊及び損傷被害を最小限に食い止めることができるという優れた効果を奏する。
本発明の実施の形態に係る鉛直制震PC構造部材を用いる免震構造型の高層建造物を略示的に示した側面図である。 同実施の形態に係る高層建造物の基礎部分の一部を略示的に示した拡大側面図である。 同実施の形態に係る高層建造物において使用される鉛直制震PC構造部材(柱)を示す略示的断面図である。 同実施の形態に係る高層建造物において、第1の実施の形態に係る建造物の柱の配置図を平面パターン図として示した略図である。 同実施の形態に係る高層建造物において、第2の実施の形態に係る建造物の柱の配置図を平面パターン図として示した略図である。 制震PC鋼材に一定のプレストレス力を付与した高層建造物が大地震で受ける力の関係を想定して示すもので、(1)図は、建造物と水平力の関係を示す説明図、(2)図は、震度4以下の中小地震時の復元力を示す説明図、(3)図は、大地震時の揺れの状況を示す説明図、(4)図は、制震プレストレスによる復元力を示す説明図である。 一般的に使用されるPC構造の柱における制震PC鋼材の復元力特性曲線を示すグラフである。
本発明を図示の実施の形態に基づいて詳しく説明する。図1において、基礎部1に免震装置2を取り付けた免震型構造の高層の建造物3を構築したものである。基礎部1は、例えば、支持地盤4に達する複数本の鋼管杭5と、該鋼管杭5の上方周辺部を基礎スラブ6で固められて構成されたものであり、これらは下部基礎構造といえる。そして、各鋼管杭5の上部に免震装置2がそれぞれ取り付けられ、該免震装置2を介して上部構造の建造物3が構築されたものである。
基礎部1の鋼管杭5は、建造物3における設計上の各柱に相当する位置に設けられ、各鋼管杭5に対する免震装置2の取付構造については、図2に示したように、鋼管杭5の上方に打設したコンクリート7に固定されたアンカー筋8の上部ナット9に対して、ベースプレート10を介在させて固定ボルト11により下面フランジプレート2aを定着固定するものである。この場合の免震装置2は、一般的に使用されている任意の構造のものが適用できるし、また、ベースプレート10は、水平レベルを調整した状態で配設される。
高層の建造物3は、例えば、プレキャストコンクリート造(PC構造)の柱12と、梁13および壁14等を用いて構築されるものであり、梁13は柱12に対してPC鋼材によりPC圧着工法またはPC圧着関節工法をもって連結され、最下部の梁13は連結ブロックまたはフーチング部材15に対して同様にPC鋼材16によりPC圧着工法またはPC圧着関節工法をもって連結されるか、または、現場打ちの鉄筋コンクリート造(RC造)で連結ブロックまたはフーチング部材15と鉄筋を介して一体に形成しても良い。このように形成された最下部の梁13は、要するに、連結ブロックまたはフーチング部材15と共に建造物3における上部基礎構造ということができ、その上部基礎構造のフーチング部材15に上部プレート17を介して免震装置2の上面フランジプレート2bを固定ボルト18により定着固定する。
特に、建造物3の鉛直部材であるPC構造の柱12については、図3に示した構造の柱が使用される。このPC構造の柱12は、その内部に主筋19とフープ筋20からなる鉄筋が配設されると共に、複数のシース管21が配設され、該シース管に挿通した制震PC鋼材22によって各階毎に緊張定着させること、または複数階の柱毎、例えば、1階と2階の2本(複数)の柱12に連通させて緊張定着させることもできる。また、最下階の柱12については、図2に示したように、連結ブロックまたはフーチング部材15に埋設してある各PC鋼棒23に制震PC鋼材22をそれぞれ連結して取り付けるのである。また耐震壁14にも同様の複数のシース管21が配設されると共に、制震PC鋼材22を挿通して各階毎または複数階に渡って緊張して定着固定し、最下階の耐震壁14も、同様にフーチング部材15に埋設してあるPC鋼棒23に制震PC鋼材22を連結して取り付ける。なお、PC柱については、現場打ちコンクリート造またはプレキャストコンクリート造から適宜選択して使用することができる。
さらに、鉛直部材である柱12の断面核12a内(断面略中央部)に挿通させる複数(4本)の制震PC鋼材22は、基礎から最上階の柱12まで連続させて配設することができる。また、全ての制震PC鋼材22は、降伏荷重の40〜80%の緊張導入力で緊張定着して制震プレストレスを付与することで、PC構造の柱12の断面耐力を増大させて地震時の部材安全余裕度を大幅に増大させるのであるが、中央部の複数(4本)の制震PC鋼材22は、周囲の複数(12本)の制震PC鋼材22よりも強い緊張力(80%)を導入して緊張定着してもよいのである。
建造物3において配設したPC構造の柱12について、図4に第1の具体的な実施例に係る複数の柱12が配置された平面パターンを示してある。図示したように、建造物3の長さをLとし幅をBとした場合に、設計上で中間部のL/3とB/3とで囲まれた領域24の範囲を建造物3の中央部としその他を外周部と設定し、好ましくは、その中央部の領域24に配置された柱12の制震PC鋼材22に付与されるプレストレスは、その制震PC鋼材22の降伏荷重の80%の緊張導入力で緊張定着し、外周部に設置された柱12の制震PC鋼材22に付与されるプレストレスは、その制震PC鋼材22の降伏荷重の40〜70%の緊張導入力で緊張定着するものである。
一般的に高層の建造物としては、エレベータや避難階段及び設備配管用シャフト等が配設され、それらの周囲に耐震壁が設けられ、耐震壁の端部や隅角に柱が配置されることが多い。またラーメン構造でも、所定スパン間に耐震壁を設けることも多い。本発明はこのように建造物3に適用されるものであって、使用される柱は全てPC構造の柱12とし、設計上の中央部の領域24に配置されるPC柱12の制震PC鋼材22に降伏荷重の80%のプレストレスを付与して緊張定着すると共に、耐震壁柱と外周部の柱12において、建造物3に作用する地震時の水平力の多くは耐震壁柱と外周部の柱12とが負担するため、それらの柱12に降伏荷重の40〜70%のプレストレスを付与して緊張定着するのが好ましいのである。
この場合に、中央部の領域内であっても、建造物としての設計上で、地震時水平力の多くを負担しなければならない鉛直部材(柱・壁)には、降伏荷重の40〜70%の緊張導入力で緊張定着することによって、地震後にPC鋼材22の弾性復元力によって建造物を元の状態に戻し、建造物の変形を最小限に留めて、耐震壁14や柱12の強度及び靭性を著しく改善できるのである。また、センターコアの壁構造と柱梁外周フレームからなるチューブ構造においても、センターコアの隅角に制震PC鋼材22を有するPC柱12を配置することによって、センターコアの壁構造の強度と靭性の向上を図ることができる。なお、PC弾性制震柱12は、基礎から壁コア構造の最上部まで連続して配置することが好ましい。
また、図5に第2の具体的な実施例に係る複数の柱12が配置された平面パターンを示してある。この第2の実施例では、建造物3の長さをLとし幅をBとした場合に、設計上で中間部のL2/3とB2/3とで囲まれた領域25の範囲を建造物3の中央部とし、その他の1/6の範囲を外周部と設定し、その中央部の領域25に配置された柱は前記実施例と同様の制震PC鋼材22を有するPC柱12であって、該PC柱12の制震PC鋼材22に付与されるプレストレスは、その制震PC鋼材22の降伏荷重の60〜80%の緊張導入力で緊張定着する。そして、外周部に設置される柱は、例えば、鉄骨造柱26である。なお、鉄骨造柱の他に、例えば、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)柱やコンクリート充填鋼管造(CFT)柱としてもよい。
このように中央部の領域25にはPC柱12を設置して比較的高いプレストレスを付与して緊張定着し、外周部の柱として鉄骨造柱や鉄骨鉄筋コンクリート造柱等を使用する構造の一部耐震構造にしたものであり、直下型地震に強い構造にしたのである。さらに、横揺れの地震に対しては、下部基礎構造と上部基礎構造とが分離した状態で構築され、両者間に免震装置2が配置されているため、大地震時の振動・揺れが免震装置2によって大半吸収され、上部の建造物3には微少の振動・揺れしか伝達されないので、建造物3が耐震構造であっても、大地震による崩壊が回避され、かつ中央部のプレストレスを付与したPC弾性制震柱12によって、建造物3の全体が変形しないように常に緊張した状態に維持されているのである。
前記したいずれの実施例も、複数の柱が配置された建物の平面配置例を示したものであるが、これら実施例は、最も簡単な純ラーメン構造かつ規則的な配置プランとして示したが、実際の建物平面配置は様々である。その場合は、発明の主旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変更が自在であり、実施例の構成に限定されるものではない。例えば、ラーメン構造の平面において部分耐震壁を配置された場合、または、平面プランが矩形でなく不規則な形状となった場合は、各耐震要素の水平剛心を中央部の中心とする。
本発明に係る免震構造の高層の建物については、大地震及び強風に対して耐えられるPC構造の建造物について説明したが、これに限定されることなく、例えば、高層または低層の鉄筋コンクリート造(RC造)やプレストレスト鉄筋コンクリート造(PRC構造)にも適用できるので、高層マンションやオフイスビル等の高層または低層ビル建設に広く利用できる。
1 基礎部
2 免震装置
2a 下面フランジプレート
2b 上面フランジプレート
3 建造物
4 支持地盤
5 鋼管杭
6 基礎スラブ
7 コンクリート
8 アンカー筋
9 上部ナット
10 ベースプレート
11 固定ボルト
12 PC柱(鉛直部材)
12a 断面核
13 梁
14 壁
15 連結ブロックまたはフーチング部材
16 PC鋼材
17 上部プレート
18 固定ボルト
19 主筋
20 フープ筋
21 シース管
22 制震PC鋼材
23 PC鋼棒
24、25 領域
26 鉄骨造柱
30 建物
W 重量
P プレストレス
Q 水平力
Ma 曲げモーメント
Mw 付加曲げモーメント
a 水平合力

Claims (3)

  1. 基礎から最上層まで各階層に複数の柱が配置されて構築された建物であって、
    該建物の平面において、建物の長さをLとし幅をBとした場合に、1/3Lと1/3Bとで囲まれた範囲を中央部とし、その他を外周部とし、
    前記配置された柱はPC鋼材が配置されて緊張導入力を与えてプレストレスが付与されるPC柱とし、且つ、中央部に配置されたPC柱のPC鋼材に付与される緊張導入力は、外周部に配置されたPC柱のPC鋼材に付与される緊張導入力よりも強い緊張力を導入して緊張定着するものであって、
    中央部に配置されたPC柱のPC鋼材に付与される緊張導入力は、当該PC鋼材の降伏荷重の60〜80%までとし、
    外周部に配置されたPC柱のPC鋼材に付与される緊張導入力は、当該PC鋼材の降伏荷重の40〜70%までとすること
    を特徴とする建物。
  2. 基礎から最上層まで各階層に複数の柱が配置されて構築された建物であって、
    該建物の平面において、建物の長さをLとし幅をBとした場合に、2/3Lと2/3Bとで囲まれた範囲を中央部とし、その他を外周部とし、
    前記中央部に配置された柱は、PC鋼材が配置されて緊張導入力を与えてプレストレスが付与されるPC柱とし、
    該PC柱のPC鋼材に付与される緊張導入力は、当該PC鋼材の降伏荷重の60〜80%までとし、
    外周部に配置された柱は、鉄骨造柱とすること
    を特徴とする建物。
  3. 前記基礎は、上部基礎構造と下部基礎構造と、それらの間に介在させた免震装置とからなること
    を特徴とする請求項1または2に記載の建物。
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