JP2001311314A - 既存建物の免震構造化方法 - Google Patents
既存建物の免震構造化方法Info
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Abstract
化する場合に、上部構造を支持する仮受け部材数を削減
すると共に、免震装置の設置に要する空間を免震装置の
設置層で済ませ、既存建物を使用状態に置いたまま工事
を遂行することを可能にする。 【解決手段】 免震装置6を挟んで上下に区分される上
部構造と下部構造の内、上部構造側の梁3のレベルの柱
1aの周辺に補強部8を付加して上部構造側に一体化さ
せ、免震装置6の設置完了までの間の上部構造の荷重を
補強部8において下部構造に支持させる。
Description
り支承等の免震装置の設置によって既存建物を免震構造
化する既存建物の免震構造化方法に関するものである。
物の免震構造化は免震装置の設置層で区分される上部構
造の荷重をジャッキ等の仮受け部材により下部構造に支
持させた状態で、免震装置を設置すべき基礎や柱を上下
に分離させ、分離した上下の基礎間や柱間に免震装置を
挿入し、上部構造を免震装置に支持させることにより行
われる。
は図5−(a) 〜(e) に示すように最下層の床スラブを解
体・撤去し、基礎梁の周辺地盤を根切りする一方、基礎
梁を補強した後、上部構造を支持し、その荷重を地盤に
伝達するための仮受け部材としての杭を地中に挿入し、
免震装置を支持する底盤コンクリートを構築してそれと
基礎梁との間に免震装置を設置することが行われる。こ
の場合は免震装置の設置後に杭が撤去され、解体した部
分の床スラブが改めて構築される。
先端の杭を支持層に到達させる必要があることから、多
数の仮受け部材を要する上、杭を継ぎ足しながら施工し
なければならないため、地盤上に杭の挿入のための複数
層に亘る空間が必要となり、そのために床スラブを解体
・撤去することが必要になっている。
する空間が複数層に亘る場合には、上部構造である建物
を使用状態に置いたまま工事を遂行することができない
ため、工事の開始から終了まで一時的に建物内の居住者
を退去させることが不可欠になる。
造の耐力や剛性の低下を補うために既存建物の柱・梁等
を補強することが必要になるが、上記例では全基礎梁の
断面を全長に亘って増大させることが必要となっている
ため、補強工事が大規模化している。
最小に抑え、建物を使用状態に置いたまま工事を遂行す
ることが可能な方法を提案するものである。
んで上下に区分される上部構造と下部構造の内、上部構
造側の梁のレベルの柱周辺に補強部を付加して上部構造
側に一体化させ、免震装置の設置完了までの間の上部構
造の荷重を補強部において下部構造に支持させることに
より、仮受け部材数を削減すると共に、上部構造に対す
る補強工事を簡素化し、免震装置の設置に要する空間を
免震装置の設置層で済ませ、既存建物を使用状態に置い
たまま工事を遂行することを可能にする。
補強部の付加と共に、免震装置の規模に応じ、免震装置
を安定させて下部構造側の柱に支持させる上で、請求項
2に記載のように必要により下部構造側の柱の断面を増
大させることが行われる。
ート、もしくは請求項4に記載のように鋼材で形成さ
れ、コンクリートの場合は現場で構築されることによ
り、またはプレキャスト化されたコンクリート部材を上
部構造の梁や柱に接合することにより柱の周辺に付加さ
れる。
鋼材で補強部を形成する場合は請求項5に記載のように
上部構造の梁を挟んだ補強部間に両者を貫通するPC鋼
材やボルト等の引張材を挿通させ、緊結してその端部を
補強部に定着させることで、補強部と上部構造との一体
性を強化することが行われる。コンクリートにより現場
で構築される場合も必要により引張材による補強部と上
部構造との一体性の確保が補われる。
底面と上部構造の梁の底面に跨って補強プレートを配置
して補強部と上部構造の梁に接合し、補強プレートによ
って補強部と上部構造との一体性を強化し、補強部が付
いた上部構造の耐力や剛性を高めることも行われる。
装置の設置完了までの上部構造の鉛直荷重は補強部か
ら、もしくは補強部と上部構造の梁からジャッキ等の仮
受け部材を通じて下部構造に伝達されるが、補強プレー
トは上下に分離した柱間への免震装置の設置が完了する
まで、補強部において上部構造を下部構造に支持させる
間、上部構造の柱からの鉛直荷重による補強部と上部構
造の梁の底面における曲げモーメントに抵抗し、補強部
と梁の耐力を高める役目を持つ。
クリート部材で形成し、引張材であるPC鋼棒で補強部
を梁に接合すると共に、それらの底面を補強プレートで
補強した場合に、上部構造の鉛直荷重を上部構造の柱か
ら作用させ、補強部と下部構造間に設置した仮受け部材
を通じて下部構造に伝達させたときの、鉛直荷重と補強
部の鉛直変位の関係を図4に示す。
っていないが、図4から、補強部は3000kNを超える荷重
まで耐力の低下を生ずることがなく、設計荷重(1127kN)
の3倍以上の耐力を有していることと、設計荷重内での
補強部の挙動が弾性であることが確認される。
け部材により上部構造を下部構造に支持させた状態で、
免震装置の設置部分の柱を切断して除去し、分離した上
下の柱間に免震装置を設置する、という要領で行われる
が、図4により、引張材で補強部と上部構造との一体性
を確保し、補強プレートで両者の底面を補強した場合の
補強部は特に柱の切断から免震装置の設置が完了するま
での間の十分な安全性を保有していることが分かる。
補強プレートを配置した場合に、設計荷重を遙かに超え
る耐力を有することから、柱の切断から免震装置の設置
までの間に要求される安全性を確保する上では補強プレ
ートを配置することは必ずしも必要ではない。
の間に上部構造を下部構造に支持させる仮受け部材の設
置が各柱に付き、補強部、もしくは補強部と上部構造の
梁のみでよいことが裏付けられ、仮受け部材は分離した
下部構造と上部構造間に跨って設置されればよいため、
仮受け部材の設置に当たり、複数層に亘る空間を確保す
る必要がない。
する必要がなくなり、仮受け部材の設置に要する空間が
免震装置の設置層で済むため、建物内の居住者を退去さ
せることなく、建物を使用状態に置いたまま工事を遂行
することが可能になる。
補うための補強が柱周辺の補強部のみでよく、場合によ
り下部構造の柱の断面を増す補強を伴うのみでよいた
め、免震装置の直上階の全梁の断面を全長に亘って増大
させる必要がなく、補強工事が簡素化され、施工性が向
上する。
柱1の一部に積層ゴム支承や滑り支承等の免震装置6を
設置して既存建物を免震構造化する方法である。図面で
は免震装置6が積層ゴム支承の場合を示している。
している場合の例を示す図1−(a)〜(h) により施工手
順を説明する。図1は地上1階の柱1に免震装置6を設
置する場合を示しているが、免震装置6の設置階が地下
階であるか地上階であるかは問われない。また免震装置
6を設置すべき柱1には壁2が接続していない場合もあ
る。
柱1の切断作業を行う上での障害になる部分、または免
震装置6の設置上の障害になる部分は(a) に示すように
予め切断され、除去される。
造と下部構造に分離することから、壁2も上部構造に接
続する側と下部構造に接続する側に上下に分離させら
れ、少なくとも免震装置6の設置が完了するまでは水平
力に対する抵抗力を確保するために、分離した上部構造
側の壁2aと下部構造側の壁2bは耐震プレート7で互いに
連結される。
で一時的に使用される場合と、免震装置6の設置後も引
き続き、上部構造の揺れを抑制するダンパとして免震装
置6と併用される場合がある。耐震プレート7は少なく
とも免震装置6の設置が完了するまで両壁2a,2bに接合
されており、ダンパとしての機能を併せ持つ場合以外、
免震装置6の設置完了後に撤去されるが、(c) 〜(h) で
は耐震プレート7と壁2a,2bを省略している。
部構造側の梁3のレベルの柱1の周辺に補強部8を付加
して上部構造の梁3と柱1aに一体化させる。このとき、
分離して下部構造となる柱1bの断面が免震装置6を設置
する上で不足している場合は、コンクリート9やモルタ
ルを打ち増しする、またはそれと共に鋼板を巻く等によ
り下部構造の柱1bの断面を増大させることが行われる。
ラブ4の底面に密着して形成されているが、補強部8の
形成位置は免震装置6の柱1への設置位置で決まるた
め、上部構造側のスラブ4に密着しないこともある。
される他、図示するようにプレキャスト化されたコンク
リート部材、または鋼製のブロックをボルトやPC鋼棒
その他の引張材10により梁3に圧着接合することにより
上部構造の梁3と柱1aに一体化される。
部材の場合は柱1の切断から免震装置6の設置完了まで
の間の補強部8の底面における曲げモーメントに対する
抵抗力を高めるために、図3に示すように補強部8の底
面と上部構造の梁3の底面に跨って補強プレート11が配
置される。補強プレート11は(b) の時点で上部構造の梁
3に、または梁3と補強部8にアンカー12等によって接
合される。
に補強部8と下部構造のスラブ5間にサポート13とジャ
ッキ14を設置し、切断前の柱1が負担している鉛直荷重
をサポート13とジャッキ14に支持させる。この状態で
(d) に示すように柱1の、免震装置6の成に相当する区
間を切断して除去する。
柱1bに定着させるための、図示しないアンカープレート
とアンカーボルト等を下部構造側の柱1b上に設置し、
(e) に示すように柱1b上に無収縮モルタル15やコンクリ
ートを打設する。
うにその上に免震装置6を設置し、下部フランジ6bをア
ンカープレートに接合する等により無収縮モルタル15等
に定着させる。
構造の柱1a間にアンカープレートとアンカーボルト等を
設置すると共に、(g) に示すように免震装置6の上部フ
ランジ6a上と上部構造の柱1a間に無収縮モルタル15等を
打設し、その硬化を待って上部フランジ6aをアンカープ
レートに接合する等により無収縮モルタル15等に定着さ
せることにより免震装置6の設置が完了する。
にサポート13とジャッキ14、及び不要な場合の耐震プレ
ート7を撤去して工事が終了する。
構造側の梁のレベルの柱周辺に補強部を付加して上部構
造側に一体化させ、補強部において上部構造の荷重を下
部構造に支持させるため、既存建物を免震構造化する上
での必要な仮受け部材数を削減できる。
部のみでよく、分離した下部構造と上部構造間に跨って
設置されればよいため、仮受け部材の設置に当たり、複
数層に亘る空間を確保する必要がない。
去する必要がなくなり、仮受け部材の設置に要する空間
が免震装置の設置層で済むため、建物内の居住者を退去
させることなく、建物を使用状態に置いたまま工事を遂
行することが可能になる。
補うための補強が柱周辺の補強部のみでよく、場合によ
り下部構造の柱の断面を増す補強を伴うのみでよいた
め、免震装置の直上階の全梁の断面を増大させる必要が
なく、補強工事が簡素化され、施工性が向上する。
間に両者を貫通する引張材を挿通させ、緊結して補強部
を上部構造に一体化させるため、補強部の上部構造への
一体性が強まり、補強部を有する上部構造の耐力と剛性
が向上する。
の底面に跨って補強プレートを配置して双方に接合し、
補強プレートによって補強部を上部構造に一体化させる
ため、免震装置の設置が完了するまで、補強部において
上部構造を下部構造に支持させる間に上部構造の柱から
の鉛直荷重による補強部と上部構造の梁の底面における
曲げモーメントに対する抵抗力が高まり、補強部と梁の
耐力が向上する。
立面図である。
斜視図である。
と補強部の鉛直変位の関係を示したグラフである。
を示した立面図である。
2……壁、2a……上部構造の壁、2b……下部構造の壁、
3……梁、4……上部構造のスラブ、5……下部構造の
スラブ、6……免震装置、6a……上部フランジ、6b……
下部フランジ、7……耐震プレート、8……補強部、9
……コンクリート、10……引張材、11……補強プレー
ト、12……アンカー、13……サポート、14……ジャッ
キ、15……無収縮モルタル。
Claims (6)
- 【請求項1】 既存建物の柱の一部に積層ゴム支承の免
震装置を設置する方法であり、免震装置を挟んで上下に
区分される上部構造と下部構造の内、上部構造側の梁の
レベルの柱周辺に補強部を付加して上部構造に一体化さ
せ、補強部において上部構造を下部構造に支持させた状
態で、免震装置の設置部分の柱を切断して除去した後、
分離した上下の柱間に免震装置を設置する既存建物の免
震構造化方法。 - 【請求項2】 上部構造側の柱への補強部の付加と共
に、下部構造側の柱の断面を増大させる請求項1記載の
既存建物の免震構造化方法。 - 【請求項3】 補強部はコンクリートで形成されている
請求項1、もしくは請求項2記載の既存建物の免震構造
化方法。 - 【請求項4】 補強部は鋼材で形成されている請求項
1、もしくは請求項2記載の既存建物の免震構造化方
法。 - 【請求項5】 上部構造の梁を挟んだ補強部間に引張材
を挿通し、緊結して補強部を上部構造に一体化させる請
求項3、もしくは請求項4記載の既存建物の免震構造化
方法。 - 【請求項6】 補強部の底面と上部構造の梁の底面に跨
って補強プレートを配置し、補強プレートを補強部と上
部構造の梁に接合する請求項3乃至請求項5のいずれか
に記載の既存建物の免震構造化方法。
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