JP6000414B2 - 杭基礎の改築方法および杭基礎構造 - Google Patents
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そのため、このような既存の構造物の耐震性を向上させることを目的とした杭基礎の改築方法が多数開発されている。
また、掘削に伴い、建物の外周囲に山留壁を構築する必要があるので、狭隘な敷地では、構築が困難であった。
つまり、主杭の周囲に配設された補助杭に上部構造の自重を受け替えるため、主杭の杭頭部の周囲のみを掘削すればよく、大規模な掘削工を要しない。
そのため、工期の短縮化と排土量の削減による環境影響の低減化が可能となり、かつ、作業の手間や土砂搬出に伴う工事費の削減も可能となる。
また、補助杭は、基礎スラブの下面と地盤面との間の前記隙間に、鋼棒により構成されたダンパーを備えていることを特徴とする。
さらに、前記主杭の杭頭部は、前記主杭の周囲に配設された補助杭と一体に接合されていてもよい。
本実施形態に係る杭基礎構造1は、地震時の地盤の揺れが上部構造に直接的に伝わることのないように構成された免震構造と、せん断力伝達能力を確保しつつ、杭頭部に加わる曲げモーメントを低減する半剛接合構造とを備えてなるものである。
なお、本明細書では、基礎スラブで頂部が一体化された群杭をまとめて1本の主杭とみなす。
なお、「基礎スラブ」とは、基礎の一部(底盤)であって、マットスラブや耐圧版、フーチング等を除外するものではない。
図2に示すように、本実施形態の既設部分11aは、平面視矩形状に形成されているが、既設部分11aの形状は限定されるものではない。
本実施形態の新設部分11bは、平面視八角形に形成されているが、新設部分11bの形状は限定されるものではない。
図1に示すように、基礎梁12の上面には床版13が形成されている。
既設杭20は、コンクリート製であって、円柱状の本体部21と、上に向うに従って縮径する新設杭頭部22とを有している。なお、既設杭20の材質や断面形状は限定されるものではない。また、既設杭20は、地盤Gに打ち込まれた既製杭であってもよいし、現場施工により形成された現場打ち杭であってもよい。
新設杭頭部22は、地盤面G1から突出しており、新設杭頭部22の周囲には隙間Eが形成されている。隙間Eは、基礎スラブ11の下面と地盤面G1との間に形成された空間である。
本実施形態の免震装置30は、いわゆるすべり支承であって、基礎スラブ11の下面に固定されたすべり板31と、新設杭頭部22の上端に固定されたすべり材32とにより構成されている。
ダンパー40は、鋼棒42により構成されている。ダンパー40の頭部は基礎スラブ11に固定されており、ダンパー40の下部は地盤Gに埋め込まれていて、ダンパー40の中間部は隙間Eに露出している。なお、ダンパー40の構成は限定されるものではない。
杭基礎構造の改築方法は、杭打ち工程と、掘削工程と、杭切断工程と、免震化工程と、鋼棒挿入工程と、鋼棒接合工程と、埋め戻し工程とを備えている。
仮設杭44は、鋼管41により構成されたいわゆる鋼管杭である。なお、仮設杭44を構成する材料は鋼管41に限定されるものではない。
本実施形態では、図2に示すように、8本の仮設杭44,44,…を配置するが、仮設杭44の本数は限定されるものではない。また、仮設杭44の断面寸法も限定されるものではなく、上部構造の自重等に応じて適宜設定すればよい。
なお、本実施形態では、一つの既設杭20につき一つの作業ピットPを形成しているが、複数の既設杭20につき一つの作業ピットPを形成してもよい。
そして、ジャッキ46を伸張させることにより仮設杭44に軸力を導入することで、上部構造の自重を仮設杭44,44,…に受け替える。
なお、既設杭頭部23を切断したら、基礎スラブ11の下面をはつりだしておく。
すべり板31の固定方法は、基礎スラブ11の下面に接着することにより行ってもよいし、ボルトやアンカー等の固定部材を介して固定してもよい。
すべり材32は、新設杭頭部22の上端面に接着してもよいし、ボルトやアンカー等の固定部材を介して新設杭頭部22の上端面に固定してもよい。
鋼棒42は、隙間Eの上下において、十分な定着長を確保できる長さを有している。なお、鋼棒42に代えて、異形鉄筋やネジ鉄筋等を挿入してもよい。
新設部分11bの施工は、既設部分11aの周囲に必要な鉄筋を配筋するとともに型枠を配設した後、コンクリートを打設することにより行う。
なお、鋼管41の切断は、基礎スラブ11の新設部分11bの前に行ってもよい。
埋め戻し工程において作業ピットP内に投入される材料は、掘削工程において掘削した発生土でもよいし、外部から搬入した材料でもよい。
つまり、図1に示すように、新設杭頭部22を形成するとともに、新設杭頭部22の周囲に空隙Eが存在しているので、地震時等においては、杭頭部の回転が許容される。そのため、地震等に起因して水平力(せん断力)が杭10に作用しても、その杭頭部に大きな曲げモーメントが発生することがない。
独立した既設杭20により免震支持することで、基礎構造1の省スペース化が可能であるとともに、安価に構築することができる。
また、ダンパーに変えてスプリングを採用してもよい。
前記実施形態では、新設杭頭部22の上に向うに従って縮径するように形成したが、新設杭頭部22の形状は限定されるものではない。また、新設杭頭部22は、通常の半剛接合で用いる錐台形状であってもよい。
10 上部基礎
11 基礎スラブ
20 既設杭(主杭)
21 杭本体
22 新設杭頭部
30 免震装置
40 ダンパー
44 仮設杭(補助杭)
E 隙間
Claims (3)
- 柱の直下に配設された主杭の上端と基礎スラブとの間に免震装置が介設された杭基礎構造であって、
前記基礎スラブと地盤面との間に隙間が形成され、かつ当該隙間に前記免震装置が設置されているとともに、
前記主杭の周囲には、上部に柱が接続されていない複数の補助杭が配置されており、 前記補助杭の杭頭部は前記基礎スラブに接合され、かつ前記補助杭は隙間を介して杭先端部が地盤に埋設されていて、
前記主杭の周囲には、上部に柱が接続されていない複数の補助杭が前記基礎スラブを貫通し地盤に埋設されていて、
前記主杭は、隣接する前記補助杭と前記基礎スラブを介して接合されて群杭をなすこと特徴とする、杭基礎構造。
- 前記補助杭は、前記基礎スラブの下面と地盤面との間の前記隙間に、鋼棒により構成されたダンパーを備えていることを特徴とする、請求項1記載の杭基礎構造。
- 柱の直下に主杭が配設された杭基礎構造を、前記主杭の周囲に補助杭を配置するとともに、免震装置を支持する杭基礎構造に改修する杭基礎構造の改築方法であって、
複数の補助杭を基礎スラブの上面から前記主杭の周囲に配置する杭打ち工程と、
前記主杭の杭頭部周辺を掘削して作業ピットを形成する掘削工程と、
上部構造の自重は、上部構造を構成する柱の周囲に仮設桁を固定した後、当該仮設桁と前記補助杭との間に設置されたジャッキを伸張させて、前記補助杭に受け替えるとともに、前記主杭の杭頭部を切断する杭切断工程と、
基礎スラブと主杭との間に免震装置を挿入するとともに、上端に向って縮径する新設杭頭部を前記免震装置の直下に形成する免震化工程と、
前記主杭と前記補助杭とを前記基礎スラブを介して接合する工程と、を備えることを特徴とする、杭基礎の改築方法。
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