JP6895740B2 - 水平力拘束構造 - Google Patents

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Description

本発明は、既存構造物の免震改修工事中における地震対策工として使用する水平力拘束構造に関する。
既存建物の免震化は、上部構造と下部構造との間に免震装置を介設する。免震化された既存建物では、上部構造に入力される地震時の水平力が低減されるとともに、上部構造の固有周期が長周期化することで共振現象を回避することが可能となる。このような免震装置には、例えば、積層ゴムやすべり支承が採用される。
既存建物の免震改修工事は、上部構造を支承した状態で、上部構造と下部構造と縁切りした状態で免震装置を設ける作業を行うため、地震が起きた場合に備えて水平力支持構造を設けておくのが望ましい。水平力支持構造としては、例えば、特許文献1や特許文献2に示すように、既存建物とその周囲の山留壁等との間に山留壁の一部を構成する支持部材を介設するものがある。
特開2015−101819号公報 特開2015−143440号公報
特許文献1および特許文献2に記載の支持部材は、既存建物の側面に植設されたアンカーを介して既存建物に連結する。そのため、既存建物にアンカーを設置するために既存建物を穿孔する必要があることや、免震装置の設置後にアンカーを切断あるいは撤去する必要があるため、これらの作業に手間がかかる。また、支持部材の設置および撤去は、山留壁と既存建物との間の限られた空間内で行う必要があるため手間がかかる。また、免震装置の設置後に、支持部材を撤去して、山留壁と既存建物との間のクリアランスを改めて設ける必要がある。さらに、支持部材の撤去に伴う廃棄物が生じてしまう。
このような観点から、本発明は、簡易に水平力支持構造を構成することができ、かつ、工期短縮化を図ることが可能な水平力拘束構造を提案することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明の水平力拘束構造は、免震改修工事中の既存構造物の変位を拘束するものであって、前記既存構造物の周囲に設けられた擁壁と、前記既存構造物から前記擁壁の上方に向けて延設された本設構造物である床版と、前記擁壁の上面に撤去可能に固定されたダウエルピンと、を備えるものである。前記床版は、前記ダウエルピンの位置に対応して貫通孔が形成された鉄筋コンクリート部材であり、前記擁壁の頭部前記床版は、前記ダウエルピン(ダボ材)を介して連結されており、前記擁壁の頭部は、その幅とせいが縦壁の壁厚よりも大きい矩形断面のコンクリート部材で構成されるとともに、該コンクリート部材内に、下部にせん断力伝達ボルトの一部が螺合された長ナットが埋め込まれ、前記ダウエルピンが前記長ナットに螺合されている
かかる水平力拘束構造は、既存構造物の側面に仮設の支持部材を設ける必要がないため、既設構造物の負担を最小限に抑えることができる。また、免震装置の設置後に、既存構造物と擁壁との間にクリアランスを改めて設ける手間を省略することができる。また、擁壁と既存建物との間に形成された狭小な空間内で行う作業を最小限に抑えることができるので、施工性に優れている。また、免震改修工事後に発生する廃棄物の処分量を最小限に抑えることができる。
前記床版には前記擁壁の位置に対応して貫通孔が形成されていて、前記擁壁の上面には前記床版の貫通孔に一部が挿入されたダウエルピンが植設されているため、ダウエルピンを介して(ダボ作用により)水平力を伝達することが可能となる。ここで、本明細書において「植設」とは、植え込んだ状態に設けることであり、擁壁の上端に固定されている(埋め込まれている)状態の他、擁壁に形成された穴等に固定されることなく差し込まれた状態も含むものとする。また、前記擁壁の頭部に上面に開口する雌ネジが形成されている場合には、前記ダウエルピンの下端部を前記雌ネジに螺合すればよい。
本発明の水平力拘束構造によれば、簡易に水平力支持構造を構成することができ、かつ、工期短縮化を図ることができる。
第一の実施形態の水平力拘束構造の設置状況を示す断面図である。 図1の水平力拘束構造を示す図であって、(a)は拡大断面図、(b)は拡大平面図である。 第一の実施形態の免震化工法の作業状況を示す断面図であって、(a)は掘削工程、(b)は擁壁工程である。 免震化工法の連結工程の各作業状況を示す断面図であって、(a)は頂部形成作業、(b)は床版敷設作業である。 (a)は図4(b)に続く床版敷設作業を示す断面図、(b)は免震化工程を示す断面図である。 (a)は連結工程の作業状況を示す拡大断面図、(b)および(c)は分離工程の作業状況を示す拡大断面図である。 第二の実施形態の水平力拘束構造の設置状況を示す断面図である。 図7の水平力拘束構造を示す図であって、(a)は拡大断面図、(b)は拡大平面図である。 第二の実施形態の免震化工法の作業状況を示す断面図であって、(a)は擁壁工程、(b)は連結工程である。 他の形態に係る水平力拘束構造を示す断面図である。
<第一の実施形態>
第一の実施形態では、既存建物1の免震化を目的として既存建物(既存構造物)1の地下部分に免震装置2を設置する免震化方法おいて、図1に示すように、免震改修工事中の既存建物1の変位を拘束する水平力拘束構造3を形成する場合について説明する。
水平力拘束構造3は、既存建物1の周囲に形成された擁壁4と既存建物1との間に形成されており、免震改修工事中の既存建物1に作用する地震力等の水平力(擁壁4の内外方向の水平力および擁壁4に沿う方向の水平力)を既存建物1の周囲の擁壁4を介して地盤に伝達する。水平力拘束構造3は、擁壁頂部5と、ダウエルピン6と、床版7とを備えている。
擁壁頂部5は、既存建物1の周囲に設けられた擁壁4の上端に形成されたコンクリート部材であって、擁壁4の一部(頭部)を構成している。擁壁頂部5には、図2(a)に示すように、上面に開口する雌ネジ51が形成されている。本実施形態の雌ネジ51は、ナット52とせん断力伝達ボルト53により形成されている。ナット52の上端は擁壁頂部5の上面に面している。ナット52は、その下部にせん断力伝達ボルト53の一部が螺合された状態で、擁壁頂部5に埋め込まれている。すなわち、ナット52は、擁壁頂部5の上面において開口する雌ネジ51を構成している。なお、雌ネジ51の構成は限定されるものではなく、例えば、せん断力伝達ボルト53を有している必要はない。また、雌ネジ51に変えてスリーブを配設してもよい。なお、擁壁4がダウエルピン6を配設するために必要な壁厚を有している場合には、擁壁頂部5を形成する必要はない。
擁壁4は、図1に示すように、底版41と縦壁42とを有するいわゆるL型擁壁であって、既存建物1の周囲に形成されている。底版41の先端は、既存建物1の地下外壁11に固定されている。縦壁42は、底版41の他端側において、外壁11と略平行になるように立設されている。既存建物1の周囲には、外壁11、底版41および縦壁42によって囲まれた作業空間Sが形成されている。なお、擁壁4の構成は限定されるものではない。
ダウエルピン6は、図2(a)に示すように、擁壁頂部5の上面に植設されている。本実施形態では、ダウエルピン6の軸部61の下部分を雌ネジ51に螺合することにより、ダウエルピン6が擁壁頂部5の上面に植設(固定)されている。なお、ダウエルピン6の擁壁頂部5への固定方法は限定されるものではなく、例えば、ダウエルピン6の下部を擁壁頂部5に直接埋め込んでもよい。本実施形態のダウエルピン6の上端には、軸部61よりも大きな外径を有した頭部62が形成されている。なお、頭部62は、必要に応じて形成すればよい。
床版7は、図1に示すように、既存建物1から擁壁頂部5の上方に向けて延設された本設構造物である。床版7の一端は擁壁頂部5の上方に配設されており、床版7の他端は既存建物1に固定されている。本実施形態の床版7は、既存建物1の外面に沿って形成された取付部12を介して既存建物1(既存の梁)に接合されている。なお、床版7と既存建物1との固定方法は限定されるものではなく、例えば、床版7を既存建物1の躯体に接合してもよい。また、取付部12は、既設部材であってもよいし、新設部材であってもよい。図2(a)および(b)に示すように、床版7には、ダウエルピン6の位置に対応して、床版7を上下方向(版厚方向)に貫通する貫通孔71が形成されている。床版7は、貫通孔71にダウエルピン6の頭部62を挿入した状態で、擁壁頂部5の上方に隙間をあけて配設されている。本実施形態の貫通孔71は、床版7にスリーブ72を配設することにより形成されている。スリーブ72の下端は、床版7の下面から突出しており、床版7を擁壁頂部5の上方に配設した際に、スリーブ72の下端が擁壁頂部5の上面に当接する。なお、スリーブ72は、必要に応じて配設すればよく、省略してもよい。貫通孔71(スリーブ72)の内面とダウエルピン6との隙間には、モルタル(充填材)73が充填されている。なお、充填材73を構成する材料はモルタルに限定されるものではなく、例えば、グラウトや発泡樹脂等であってもよい。また、充填材73は省略してもよい。
次に、本実施形態の水平力拘束構造3を利用した免震化方法について説明する。
免震化方法は、掘削工程と、擁壁工程と、連結工程と、免震化工程と、分離工程とを備えている。
掘削工程では、既存建物1の周囲を掘削する。まず、図3(a)に示すように、既存建物1の外側の地盤に山留壁8を形成する。山留壁8は、既存建物1から所定の間隔をあけた位置に、地上から鋼矢板を打設(圧入)することにより形成する。次に、山留壁8と既存建物1との間を掘削する。掘削深度は、免震装置2の設置個所21が露出する深さとする。掘削工程では、掘削の進行に伴い、必要に応じて山留壁8と既存建物1との間に切梁を設置する。なお、山留壁8は必要に応じて形成すればよい。
擁壁工程では、図3(b)に示すように、既存建物1の周囲に擁壁4を形成する。本実施形態では、まず、擁壁4の鉄筋を組み立てるとともに、型枠を組み立てる。このとき、地下外壁11に一端が固定されたアンカー43を植設する。アンカー43の他端は、型枠内に配設する。次に、型枠内にコンクリートを打設して、アンカー43の他端を巻き込んだ状態で擁壁4を構築する。擁壁4は、アンカー43を介して既存建物1に一体に接合される。なお、擁壁4は、プレキャスト部材により形成してもよい。
連結工程では、既存建物1と擁壁4の縦壁42とを連結する。本実施形態の連結工程は、頂部形成作業と、床版敷設作業と、連結作業とを備えている。
頂部形成作業では、図4(a)に示すように、擁壁4の上端に、ダウエルピン6が植設された擁壁頂部5を形成する。擁壁頂部5は、擁壁4の上端において、型枠(図示せず)を設置するとともに型枠内に必要な鉄筋を配筋しておき、そして、この型枠内にコンクリートを打設することにより形成する。このとき、型枠内には、ナット52とナット52の下部に螺合されたせん断力伝達ボルト53とを配設しておく。コンクリートに所定の強度が発現したら、ナット52(雌ネジ51)にダウエルピン6を螺着する。なお、ナット52は、ダウエルピン6が螺着されている状態で擁壁頂部5に埋め込んでもよい。
床版敷設作業では、図5(a)に示すように、既存建物1に固定された床版7を敷設する。まず、既存建物1の外壁11の外面に取付部12を形成する(図4(b)参照)。次に、床版7の型枠(図示せず)を設置するとともに、必要な鉄筋を配筋する。このとき、床版7の擁壁4の上方に対応する部分では、ダウエルピン6の頭部62が挿入されるようにスリーブ72を配設しておく。型枠は、仮設の支持部材等によって支持する。次に、型枠内にコンクリートを打設する。打設コンクリートに所定の強度が発現したら、型枠を撤去する。なお、床版7は、床版7の下面と擁壁4の上面との間に隙間が形成されるように施工する。床版7は、プレキャスト部材を敷設することにより形成してもよい。
連結作業では、床版7にダウエルピン6の頭部62を固定する。床版7へのダウエルピン6の固定は、図6(a)に示すように、ダウエルピン6の頭部62が挿入された床版7の貫通孔71(スリーブ72)に充填材73を充填することにより行う。なお、床版7と擁壁頂部5との接合方法は限定されるものではなく、例えば治具等を利用して固定してもよい。
免震化工程では、既存建物1の所定の位置に免震装置3を設置する(図1参照)。本実施形態では、既存建物1の躯体(柱)13の一部を上下に分断し、この分断して形成した上部躯体14と下部躯体15との間に免震装置2を介設する。本実施形態の免震装置2は、積層ゴム支承からなる。なお、免震装置2の構成は限定されるものではなく、例えば、オイルダンパーやすべり支承であってもよい。また、免震装置2を設置個所は限定されるものではなく、例えば、基礎スラブと柱との間に配設してもよい。
分離工程では、図5(b)に示すように、擁壁4と既存建物1とを分離する。本実施形態では、ダウエルピン6を雌ネジ部51から取り外す(撤去する)ことにより、擁壁4と既存建物1とを分離する。図6(b)に示すように、まず、貫通孔71内の充填材73を撤去する。本実施形態では、ウォータージェットにより充填材73を除去する。このとき、充填材73とともに、スリーブ72も撤去する。なお、充填材73の撤去方法は限定されるものではなく、例えば、電動ハンマー等を利用してはつり取ってもよい。充填材73を撤去したら、ダウエルピン6を回転させて、雌ネジ部51から抜き取る。擁壁頂部5と床版7との間には隙間が形成されているため、ダウエルピン6を取り外すことで、擁壁4と既存建物1との接合状態が解除される。次に、図6(c)に示すように、貫通孔71に穴底フィルタ76を固定するとともに、雌ネジ51内および貫通孔71内に充填材73を充填する。なお、貫通孔71内への充填材73の充填は、必要に応じて行えばよい。また、貫通孔71は、上面に蓋材を設置してもよい。
以上、本実施形態の水平力拘束構造2および免震化方法によれば、簡易に水平力拘束構造2を形成することが可能なため、免震改修工事の工期への影響を最小限に抑えることができる。また、免震化改修工事中に地震が生じた場合であっても、既存建物1に作用する水平力を周囲の地盤(擁壁4)に伝達することができるので、施工中の安全性を確保できる。
なお、水平力拘束構造2は、既存建物1の規模や用地等に応じて部分的に免震化改修工事を行う場合でも採用可能である。
水平力拘束構造2は、既存建物1の側面に仮設の支持部材を設ける必要がないため、既設建物1の負担を最小限に抑えることができる。また、免震装置3の設置後に、既存建物と擁壁4との間にクリアランスを設ける手間を省略することができる。また、擁壁4と既存建物1との間に形成された狭小な空間内で行う作業を最小限に抑えることができるので、施工性に優れている。また、免震改修工事後に発生する廃棄物の処分量を最小限に抑えることができる。
ダウエルピン6の撤去作業は、地上部において行うことができるため、既存建物1と擁壁4との間に形成された挟小な空間で作業を行う場合比べて、施工性に優れている。
<第二の実施形態>
第二の実施形態では、既存建物1の免震化を目的として、図7に示すように、既存建物(既存構造物)1と新設の基礎構造(マットスラブ10)との間に免震装置2を設置する免震化方法おいて、免震改修工事中の既存建物1の変位を拘束する水平力拘束構造3を形成する場合について説明する。
水平力拘束構造3は、既存建物1の周囲に形成された擁壁4と既存建物1との間に形成されており、免震改修工事中の既存建物1に作用する地震力等の水平力(擁壁4の内外方向の水平力および擁壁4に沿う方向の水平力)を既存建物1の周囲の擁壁4を介して地盤に伝達する。水平力拘束構造3は、ダウエルピン6と、床版7とを備えている。
ダウエルピン6は、図8(a)に示すように、擁壁4の上面に植設されている。本実施形態のダウエルピン6は、擁壁4の上端部に埋め込まれたスリーブ44に下部分が挿入されていることで擁壁4の上面に植設されている。ダウエルピン6の上部分は、擁壁4の上面から上向きに突出し、床版7を貫通している。本実施形態のダウエルピン6は、異形鉄筋からなるが、ダウエルピン6を構成する材料は、地震時の水平力を伝達することが可能な耐力を有していれば限定されるものではなく、例えば、鋼棒やネジ鉄筋等であってもよい。また、ダウエルピン6の鉄筋径は、想定される作用応力に応じて適宜決定する。
擁壁4は、図7に示すように、既存建物1の下方に形成されたマットスラブ10の端部に立設されている。擁壁4は、既存建物1の周囲を囲うように、既存建物1の外面と略平行になるように立設されている。既存建物1の周囲には、マットスラブ10、既存建物1および擁壁4によって囲まれた作業空間Sが形成されている。なお、擁壁4の構成は限定されるものではなく、例えば、マットスラブ10上に形成されたL型擁壁であってもよい。
床版7は、図7に示すように、既存建物1から擁壁4の上方に向けて延設された本設構造物である。床版7の一端は擁壁4の上方に配設されており、床版7の他端は既存建物1に固定されている。図8(a)および(b)に示すように、床版7には、ダウエルピン6(擁壁4のスリーブ44)の位置に対応して、床版7を上下方向(版厚方向)に貫通する貫通孔71が形成されている。床版7は、貫通孔71にダウエルピン6の貫通した状態で、擁壁4の上方に隙間をあけて配設されている。本実施形態の貫通孔71は、床版7にスリーブ72を配設することにより形成されている。なお、スリーブ72は、必要に応じて配設すればよく、省略してもよい。
次に、本実施形態の水平力拘束構造3を利用した免震化方法について説明する。
免震化方法は、掘削工程と、擁壁工程と、連結工程と、免震化工程と、分離工程とを備えている。
掘削工程では、既存建物1の周囲および下方を掘削する。既存建物1の周囲および下方の掘削は、既存建物1の外側の地盤に山留壁8を形成した状態で行えばよい。
擁壁工程では、図9(a)に示すように、既存建物1の下方にマットスラブ10を形成するとともに既存建物1の周囲に擁壁4を形成する。マットスラブ10および擁壁4は、現場打ちコンクリートにより形成する。擁壁4の頭部には、所定の位置にスリーブ44を配設しておく。スリーブ44は、円筒状の管材(例えば、塩化ビニル管)により構成されている。なお、スリーブ44の形状は限定されるものではない。
連結工程では、既存建物1と擁壁4とを連結する。本実施形態の連結工程は、床版敷設作業と、連結作業とを備えている。
床版敷設作業では、図9(b)に示すように、既存建物1に固定された床版7を敷設する。床版7は、型枠を設置するとともに、必要な鉄筋を配筋する。このとき、床版7の擁壁4の上方に対応する部分には、所定の位置にスリーブ72を配設しておく。次に、型枠内にコンクリートを打設する。打設コンクリートに所定の強度が発現したら、型枠を撤去する。なお、床版7は、床版7の下面と擁壁4の上面との間に隙間が形成されるように施工する。床版7は、プレキャスト部材を敷設することにより形成してもよい。
連結作業では、床版7の貫通孔71(スリーブ72)にダウエルピン6を落とし込む(差し込む)。ダウエルピン6は、貫通孔71を挿通して、擁壁4のスリーブ44に挿入される。本実施形態のダウエルピン6は、擁壁のスリーブの長さと床版の貫通孔71の長さとの合計よりも長い鉄筋(棒状の部材)からなり、ダウエルピン6の頭部は床版7の上面から突出する。本実施形態のダウエルピン6は、スリーブ44および貫通孔71に挿入するのみとし、グラウト等により固定していない。なお、スリーブ44および貫通孔71には、必要に応じてグラウト等の固化材を注入してもよい。
免震化工程では、既存建物1とマットスラブ10との間に免震装置3を設置する(図7参照)。本実施形態の免震装置2は、積層ゴム支承からなる。なお、免震装置3の構成は限定されるものではなく、例えば、オイルダンパーやすべり支承であってもよい。
分離工程では、擁壁4と既存建物1とを分離する。本実施形態では、ダウエルピン6をスリーブおよび貫通孔71から抜き出す(撤去する)ことにより、擁壁4と既存建物1とを分離する。擁壁4と床版7との間には隙間が形成されているため、ダウエルピン6を取り外すことで、擁壁4と既存建物1との接合状態が解除される。
以上、第二の実施形態の水平力拘束構造によれば、ダウエルピン6のダボ作用によって擁壁4と床版7とを接合するため、第一の実施形態の水平力拘束構造と同様の作用効果を得ることができる。
また、既存建物1と擁壁4との連結は、ダウエルピン6をスリーブ44,72に挿入するのみで完了ため、作業性に優れている。また、既存建物1と擁壁4との接合状態の解除は、ダウエルピン6を抜き出すのみで完了するため作業性に優れている。
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
山留壁8は、既存建物1の免震化後に撤去してもよいし、残置させてもよい。また、擁壁4は、山留壁8と一体に形成してもよい。
前記各実施形態では、ダウエルピン6により擁壁4と床版7とを連結する場合について説明したが、擁壁4と床版7との連結方法はこれに限定されるものではない。例えば、図10に示すように、擁壁4の頭部と床版7の下面との角部に配設されたブラケット63を利用してもよい。ブラケット63は、アンカーやダウエルピンを介して擁壁4と床版7に固定する。擁壁4と床版7とを分離する際には、ブラケット63を撤去すればよい。
1 既存建物(既存構造物)
2 免震装置
3 水平力拘束構造
4 擁壁
5 擁壁頂部
51 雌ネジ
6 ダウエルピン
7 床版
71 貫通孔
8 山留壁

Claims (2)

  1. 免震改修工事中の既存構造物の変位を拘束する水平力拘束構造であって、
    前記既存構造物の周囲に設けられた擁壁と、
    前記既存構造物から前記擁壁の上方に向けて延設された本設構造物である床版と、
    前記擁壁の上面に撤去可能に固定されたダウエルピンと、を備えており、
    前記床版は、前記ダウエルピンの位置に対応して貫通孔が形成された鉄筋コンクリート部材であり、
    前記擁壁の頭部前記床版は、前記ダウエルピンを介して連結されており、
    前記擁壁の頭部は、その幅とせいが縦壁の壁厚よりも大きい矩形断面のコンクリート部材で構成されるとともに、
    該コンクリート部材内に、下部にせん断力伝達ボルトの一部が螺合された長ナットが埋め込まれ、前記ダウエルピンが前記長ナットに螺合されていることを特徴とする、水平力拘束構造。
  2. 前記貫通孔と前記ダウエルピンとの隙間に充填材が充填されていないことを特徴とする、請求項1に記載の水平力拘束構造。
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