JP6425584B2 - 水平移動拘束方法 - Google Patents
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Description
この免震レトロフィット工事は、既存建物の地下1階に支保工を架設して、この支保工により、1階床から上側の部分(以下、建物本体と呼ぶ)を仮支持する。その後、積層ゴムなどの免震装置を地下1階の柱頭部に取り付けて、その後、支保工を取り外す。これにより、免震装置で建物本体を支持して、既存建物を免震化する。
また、梁部材と床部材とを一体化して鋼製床ユニットとしたので、移動や運搬が容易となり、繰り返し転用可能である。
また、鋼製床ユニットとアンカーボルトとをルーズ穴で接合したので、施工クリアランスを確保して、アンカーボルトの施工誤差を吸収できる。
〔第1実施形態〕
図1に示す既存建物1は、鉄筋コンクリート造のラーメン構造であり、地下階を有する。具体的には、この既存建物1は、地下1階床10、地下1階柱11、1階梁12、および1階床13などを備える。また、この既存建物1の側面を外壁面3とする。
また、既存建物1の外側の地盤5を掘削して擁壁30を構築し、この擁壁30と建物本体4との間の空間を免震ピット6とする。
ステップS1では、図4に示すように、既存建物1の外側に擁壁30を構築して、擁壁30と既存建物1の外壁面3との間に、隙間空間7を形成する。
このとき、擁壁30の床スラブ33の上面を略水平にしておく。
既存躯体側ブラケット50は、図6〜図8に示すように、円形状のボルト穴51が形成されて略鉛直に延びる板状の接合プレート52と、この接合プレート52の上端から略水平に延びる板状の支持プレート53と、これら接合プレート52と支持プレート53との間に設けられたスチフナ54と、を備える。
既存躯体側ブラケット50は、接合プレート52のボルト穴51にアンカーボルト15が挿通されて固定される。また、既存躯体側ブラケット50と既存建物1の外壁面3との間には、グラウト材55が充填される。
鋼製床ユニット40は、図6〜図8に示すように、鋼製床ユニット40の長さ方向に延びて互いに略平行に配置された3本の梁部材41と、これら梁部材41の上に設けられた床部材42と、梁部材41の端部に設けられた擁壁側取付部材43と、を備える。
擁壁側取付部材43は、梁部材41の端面に略鉛直に設けられた端部プレート44と、この端部プレート44の下端から略水平に延びる接合プレート45と、を備える。
接合プレート45には、鋼製床ユニット40の長さ方向に延びるルーズ穴46が形成されている。
図9に示すように、既存建物1の地下1階柱11の近傍に、仮受支柱60を設置する。この仮受支柱60は、油圧ジャッキ61を備えており、これを駆動することで、仮受支柱60は、地下1階床10に反力をとって1階梁12を下から仮支持する。
図9に示すように、切断線62A、62Bで地下1階柱11を切断して撤去する。また、地下1階柱11の周囲に補強躯体63を構築する。
図10に示すように、地下1階柱11の下側の部分の上に、下部免震基礎21を構築し、この下部免震基礎21の上に免震装置20を設置する。続いて、免震装置20の上に上部免震基礎22を構築する。
仮受支柱60による建物本体4の支持を解除し、その後、鋼製床ユニット40を撤去する。また、擁壁30の立上がり部34を構築する。これにより、図2に示すように、擁壁30と建物本体4との間の空間が免震ピット6となる。
(1)本発明の鋼製床ユニット40は、アンカーボルト14を緩めてボルト56を取り外すだけで容易に撤去できる。従来のように水平拘束材にコンクリートを使用しないため、撤去時の騒音の発生を抑えることができるうえに、解体ガラも発生しない。したがって、水平拘束材の取付けや撤去が容易となる。
また、梁部材41と床部材42とを一体化して鋼製床ユニット40としたので、移動や運搬が容易となり、繰り返し転用可能である。
また、鋼製床ユニット40とアンカーボルト14とをルーズ穴46で接合したので、施工クリアランスを確保して、アンカーボルト14の施工誤差を吸収できる。
図11は、本発明の第2実施形態に係る水平移動拘束方法の説明図である。
本実施形態では、擁壁30Aの構造が第1実施形態と異なり、既存建物1の1階床レベルが地盤面よりも低いため、床スラブ33が縦壁32の中間高さの水平面に設けられている。
この場合、縦壁32に箱抜きをしてコンクリートを打設することで、床スラブ33の上面と縦壁32との接合部分に切欠き部35を設ける。そして、この切欠き部35にアンカーボルト14を設けて、鋼製床ユニット40を取り付けておく。免震装置20の設置が完了して鋼製床ユニット40を撤去した後、この切欠き部35にコンクリートを打設する。
5…地盤、6…免震ピット、7…隙間空間
10…地下1階階床、11…地下1階柱、12…1階梁、13…1階床
14、15…アンカーボルト
20…免震装置、21…下部免震基礎、22…上部免震基礎
30、30A…擁壁、31…底版、32…縦壁、33…床スラブ
34…立上がり部、35…切欠き部
40…鋼製床ユニット、41…梁部材、42…床部材
43…擁壁側取付部材、44…端部プレート、45…接合プレート、46…ルーズ穴
50…既存躯体側ブラケット、51…ボルト穴、52…接合プレート
53…支持プレート、54…スチフナ、55…グラウト材、56…ボルト
60…仮受支柱、61…油圧ジャッキ、62A、62B…切断線、63…補強躯体
Claims (2)
- 既存建物を免震化する際に、当該既存建物の水平移動を拘束する水平移動拘束方法であって、
当該既存建物の外側に擁壁を構築して、当該擁壁と前記既存建物との間に空間を形成する工程と、
前記擁壁と前記既存建物との間に、鋼製の梁部材および鋼製の床部材を備える鋼製床ユニットを、上下方向の移動に追従可能な水平拘束材として複数架設する工程と、を備えることを特徴とする水平移動拘束方法。 - 前記擁壁の上面または中間高さの水平面にアンカーボルトを設けておき、
前記鋼製床ユニットの一端側を前記既存建物の外壁面に固定し、
当該鋼製床ユニットの他端側に、水平方向に延びるルーズ穴を設けて、当該ルーズ穴に前記アンカーボルトを挿通することを特徴とする請求項1に記載の水平移動拘束方法。
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