JP6317122B2 - 山留め支保工 - Google Patents

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Description

本発明は、土木・建築工事において、RC(鉄筋コンクリート)の地下外壁や擁壁等の壁体にかける山留め支保工に関するものである。
一般に、山留め支保工においては、掘削現場の周囲に矢板(シートパイル)を打ち込み、または、RCの山留め壁および地下外壁や擁壁等の壁体を施工し、各矢板または山留め壁および地下外壁や擁壁等の壁体に沿ってほぼ水平に腹起し(H型鋼等の鋼材)を添設し、更に、切梁、火打ち等を用いて腹起しを支持することにより、矢板や山留め壁および地下外壁や擁壁等の壁体の倒壊を防止している。
下記特許文献にもあるが、図7に示すように、通常、腹起し1と切梁2とは直交し、火打ち3と腹起し1とは60°または45°の角度をもって結合される。図中6は山留め壁および地下外壁や擁壁等の壁体を示す。
実公平7−513号公報
腹起し1と火打ち3との間には火打受けピース4と称する冶具を介置して荷重を支持するようにしている。
このようにRCの山留め壁および地下外壁や擁壁等の壁体6の場合はこれらにかける支保工のうち、壁面に対して斜めに架ける「火打ち」には、土圧外力に抵抗するため横方向のズレ止めが必要となり、図8、図9に示すように一般に、ズレ止めは腹起し1のH型鋼と、せん断力を負担するアンカーボルト5で構成される。特に、切梁2が架けられないような入隅部においては、切梁2に対して対称に火打ちが架けられるようなこともないので、発生するせん断力が対称性を持たないために前記ズレ止めが重要な役割を果たす。
大深度の掘削においては、深くなるにつれ支保工の負担する荷重が増大し、火打ち3のズレ止めに必要なアンカーボルト5の本数が増え、腹起し1も長大となる。
なお、火打ち3を構成する火打ち材の端部金物を直接壁内に埋め込むことでこの問題を解決することも考えられるが、依然として下記の問題が残る。
・壁に対して斜め部材を貫入させることで、壁の主筋に干渉する。
・火打ちに用いられるH型鋼(山留め材)は一般的に塗装されている中古材であり、新築躯体への埋め込みに適さない。
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、本来必要な仮設部材を省略することが出来るので、大深度掘削の物件において仮設部材を必要最小限にとどめることが可能となり、しかも、そのために山留め支保工材の端部に延設するものとして、鉄骨材による端部金物を壁体内に納める場合に配筋との干渉を極力少なくできる山留め支保工を提供することにある。
前記目的を達成するため請求項1記載の本発明は、火打ちや切梁等の山留支保工材の端部に延設するものとして、壁体に埋め込まれる部分と該壁体から突出する非埋め込み部分とを有する鉄骨材による端部金物を、該壁体に埋め込まれる部分が壁体直交方向に位置せしめて該壁体に埋め込まれ、該壁体から突出する非埋め込み部分が山留支保工材に接続され、該壁体と一体となり、該端部金物はフランジを壁体の水平面内に対して縦方向として壁体に打ち込むことを要旨とするものである。
請求項1記載の本発明によれば、火打ちの端部金物を壁体内に納めることで、壁体が直接ズレ止めの役割を果たし、これによりせん断力を負担するために本来必要な腹起しおよびアンカーボルトなどのズレ止めを省略することが出来る。
また、RCの躯体としての壁体に埋め込む際、壁体に直交方向に打ち込むことで配筋との干渉を極力少なくできる。
そして、壁体に埋設する端部金物を中古材でない鉄骨材を使用することで躯体への埋め込みが可能となる。
以上の工夫により、大深度掘削の物件において、仮設部材を必要最小限にとどめることが可能となった。
さらに、端部金物は、鉄骨材のフランジを縦方向として打ち込むことで、壁体埋め込まれる部分はフランジが壁面の水平面内に対して垂直になるので、端部金物を構成する鉄骨材(例えばH型鋼)の強軸方向を利用して、このフランジ部分で火打ちで伝達される軸力を躯体コンクリートに伝えることができる。
請求項記載の本発明は、火打ちや切梁等の山留支保工材の端部に延設するものとして、壁体に埋め込まれる部分と該壁体から突出する非埋め込み部分とを有する鉄骨材による端部金物を、該壁体に埋め込まれる部分が壁体直交方向に位置せしめて該壁体に埋め込まれ、該壁体から突出する非埋め込み部分が山留支保工材に接続され、該壁体と一体となり、該端部金物はウェブを壁体の水平面内に対して縦方向として打ち込むことを要旨とするものである。
請求項記載の本発明によれば、端部金物は、鉄骨材のウェブを縦方向として打ち込むことで、弱軸方向の利用とはなるが、ウェブ部分で火打ちで伝達される軸力を躯体コンクリートに伝えることができる。
請求項記載の本発明は、端部金物は、壁体に埋め込まれる部分から突出する部分は屈折して火打ちの軸方向に沿うことを要旨とするものである。
請求項記載の本発明によれば、端部金物の孔と火打ちの孔を合わせ、ボルトを挿入し本締めして固定することで火打受けピースも省略できる。
請求項4記載の本発明は、火打ちや切梁等の山留支保工材の端部に延設するものとして、壁体に埋め込まれる部分と該壁体から突出する非埋め込み部分とを有する鉄骨材による端部金物を、該壁体に埋め込まれる部分が壁体直交方向に位置せしめて該壁体に埋め込まれ、該壁体から突出する非埋め込み部分が山留支保工材に接続され、該壁体と一体となり、該端部金物は、壁体に埋め込まれる部分は壁体の水平面内に対して縦方向になるフランジまたはウェブを有し、壁体から突出する部分は火打ちの軸方向に沿うように屈折していることを要旨とするものである。
請求項4記載の本発明によれば、端部金物の孔と火打ちの孔を合わせ、ボルトを挿入し本締めして固定することで火打受けピースも省略できる。
請求項記載の本発明は、火打ちや切梁等の山留支保工材の端部に延設するものとして、壁体に埋め込まれる部分と該壁体から突出する非埋め込み部分とを有する鉄骨材による端部金物を、該壁体に埋め込まれる部分が壁体直交方向に位置せしめて該壁体に埋め込まれ、該壁体から突出する非埋め込み部分が山留支保工材に接続され、該壁体と一体となり、該端部金物は、壁体に埋め込まれる部分は壁体の水平面内に対して平行になるウェブまたはフランジには鉄筋貫通孔を形成することを要旨とするものである。
請求項記載の本発明によれば、ウェブまたはフランジに形成した鉄筋貫通孔を用いて配筋でき、火打ちで伝達される軸力を躯体コンクリートの圧縮力で負担することができる。
以上述べたように本発明の山留め支保工は、本来必要な仮設部材を省略することが出来るので、大深度掘削の物件において仮設部材を必要最小限にとどめることが可能となり、しかも、そのために山留め支保工材の端部に延設するものとして、鉄骨材による端部金物を壁体内に納める場合に配筋との干渉を極力少なくできるものである。
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の山留め支保工の全体の平面図、図2は火打ちとの接続を示す説明図、図3は本発明の山留め支保工の縦断側面図で、図中7は地中連続壁による山留め壁、6はRC(鉄筋コンクリート)の躯体としての壁体である。
図2に示すように、壁体6を構築する時に、火打ち3の端部となる端部金物8をコンクリート打設前の型枠等に設置した後、コンクリートを打設し、壁体6と一体となるように固定する。
端部金物8は、H型鋼を使用した火打ち3と同等サイズの鉄骨材(H型鋼)によるもので、火打ち3の端部を延設するように後で火打ち3に接続する。
このようにして、火打ち3の端部に延設するものとして、端部金物8を、コンクリート打設時に地下外壁や擁壁等の壁体6に直交方向に打ち込み、壁体と一体とする。
このように前記端部金物8はRCの壁体6に直交方向に位置せしめるように打ち込むので、壁縦筋の干渉を極力減らすことができる。
鉄骨材による端部金物は、壁体に埋め込まれる部分8″と該壁体から突出する非埋め込み部分8′とを有する。
端部金物8はフランジ8aおよびウェブ8bを有し、端部金物8の壁体6への打ち込みは、フランジ8aまたはウェブ8bを縦方向として打ち込む、すなわち、壁体6の水平面内に対してフランジ8aまたはウェブ8bを垂直にする。図4〜図6に示すように、必要に応じて、壁体6の水平面内に対して平行になるウェブ8bまたはフランジ8aには鉄筋貫通孔9を形成する。
この鉄筋貫通孔9を利用して配筋することで、端部金物8は壁体6と一体化し、火打ちで伝達される軸力を従来工法と異なり躯体コンクリートの圧縮力で負担することとなる。なお、必要に応じて補強筋を配設することもできる。
一つの実施形態として、図3、図4および図5に示すように、端部金物8は、フランジ8aを壁体6の垂直方向(縦方向)にした状態で打ち込むようにした。これにより、前記鉄筋貫通孔9を形成する場合でもフランジ8aに孔をあけずにすみ、フランジ8aの面で応力を受けることが可能となる。
このように、端部金物8の壁体6に埋め込まれる部分8″は壁面の水平面内に対してフランジ8aが垂直になるとともに、壁体6から突出する非埋込み部分8′はこれを屈折させて火打ち3の軸方向に沿って設置されるものとした。この屈折角度は火打ち3の軸方向に合致させるものであり、その端部には火打ち3との接合用のボルト孔を穿設してあり、端部金物8の孔と火打ち3の孔を合わせ、ボルトを挿入し本締めして固定する。
図4は非埋込み部分8′は埋め込まれる部分とフランジ8a′、ウェブ8b′の向きを合致させたものであり、火打ち3のフランジ、ウェブとは90°向きを異ならせる。図5は埋め込まれる部分とフランジ8a′、ウェブ8b′の向きを90°異ならせた場合で、火打ち3のフランジ、ウェブとは向きが合致する。図中10は壁体6に埋め込まれる部分8″と非埋込み部分8′の境に形成する鍔板であり、本実施形態では壁体6に埋設した。
支保工の撤去時には、打ち込み金物である端部金物8の躯体埋設部だけを埋殺し、残りの部分は撤去する。
図6は他の実施形態を示すもので、端部金物8は、ウェブ8bを縦方向として打ち込むようにしたものである。
この場合は端部金物8の壁体6に埋め込まれる部分8″は壁面の水平面内に対してウェブ8bが垂直になる。壁体6から突出する非埋込み部分8′は屈折して火打ち3の軸方向に沿って設置されるのは前記実施形態と同じであり、この屈折角度は火打ち3の軸方向に合致させるものであり、図示は省略するがその端部には接合板を配置し、火打ち3との接合用のボルト孔を穿設する。本実施形態ではウェブ8bには前記鉄筋貫通用の孔をあけずにすみ、ウェブ8bの面で応力を受けることが可能となる。
図6の例では、端部金物8の壁体6に埋め込まれる部分8″と非埋込み部分8′のフランジ8a′、ウェブ8b′の向きを合致させた。また、火打ち3のフランジ、ウェブとも向きが合致する。
なお、本件発明は、周辺状況・土質を選ばず実施可能であるが、大深度掘削であればあるほど、アンカーや腹起しの削減率が高くなり、メリットが高くなるものである(従来の方法では、深くなるにつれ支保工の負担する荷重が増大し、火打ちのズレ止めに必要なアンカーボルトの本数が増え、腹起し材も長大になる)。
本発明の山留め支保工の1実施形態を示す全体の平面図である。 本発明の山留め支保工で、端部金物と火打ちとの接続を示す説明図である。 本発明の山留め支保工の第1実施形態を示す要部の縦断側面図である。 本発明の山留め支保工の第1実施形態を示す要部の横断平面図である。 本発明の山留め支保工の第1実施形態で端部金物の埋め込まれる部分と非埋込み部分のフランジ、ウェブの向きを変えた場合の横断平面図である。 本発明の山留め支保工の第2実施形態を示す要部の横断平面図である。 山留め支保工の概略を示す斜視図である。 従来例を示す平面図である。 従来例を示す側面図である。
1…腹起し 2…切梁
3…火打ち 4…火打受けピース
5…アンカーボルト 6…壁体
7…山留め壁 8…端部金物
8′…非埋込み部分 8″…壁体に埋め込まれる部分
8a、8a′…フランジ 8b、8b′…ウェブ
9…鉄筋貫通孔 10…鍔板

Claims (5)

  1. 火打ちや切梁等の山留支保工材の端部に延設するものとして、壁体に埋め込まれる部分と該壁体から突出する非埋め込み部分とを有する鉄骨材による端部金物を、該壁体に埋め込まれる部分が壁体直交方向に位置せしめて該壁体に埋め込まれ、該壁体から突出する非埋め込み部分が山留支保工材に接続され、該壁体と一体となり、該端部金物はフランジを壁体の水平面内に対して縦方向として壁体に打ち込むことを特徴とした山留支保工。
  2. 火打ちや切梁等の山留支保工材の端部に延設するものとして、壁体に埋め込まれる部分と該壁体から突出する非埋め込み部分とを有する鉄骨材による端部金物を、該壁体に埋め込まれる部分が壁体直交方向に位置せしめて該壁体に埋め込まれ、該壁体から突出する非埋め込み部分が山留支保工材に接続され、該壁体と一体となり、該端部金物はウェブを壁体の水平面内に対して縦方向として打ち込むことを特徴とした山留支保工。
  3. 端部金物は、壁体に埋め込まれる部分から突出する部分は屈折して火打ちの軸方向に沿う請求項1または請求項2に記載の山留め支保工。
  4. 火打ちや切梁等の山留支保工材の端部に延設するものとして、壁体に埋め込まれる部分と該壁体から突出する非埋め込み部分とを有する鉄骨材による端部金物を、該壁体に埋め込まれる部分が壁体直交方向に位置せしめて該壁体に埋め込まれ、該壁体から突出する非埋め込み部分が山留支保工材に接続され、該壁体と一体となり、該端部金物は、壁体に埋め込まれる部分は壁体の水平面内に対して縦方向になるフランジまたはウェブを有し、壁体から突出する部分は火打ちの軸方向に沿うように屈折していることを特徴とした山留め支保工。
  5. 火打ちや切梁等の山留支保工材の端部に延設するものとして、壁体に埋め込まれる部分と該壁体から突出する非埋め込み部分とを有する鉄骨材による端部金物を、該壁体に埋め込まれる部分が壁体直交方向に位置せしめて該壁体に埋め込まれ、該壁体から突出する非埋め込み部分が山留支保工材に接続され、該壁体と一体となり、該端部金物は、壁体に埋め込まれる部分は壁体の水平面内に対して平行になるウェブまたはフランジには鉄筋貫通孔を形成することを特徴とした山留め支保工。
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