JP6650257B2 - 山留め構造およびその構築方法 - Google Patents
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Description
特許文献1の山留め支保工では、異なる高さの山留壁を支持している。具体的には、高い山留壁に対向する位置に、掘削空間の床付面に複数の控え杭を打ち込み、高い山留壁と控え杭とを梁材で連結している。特許文献1では、連結部材に水平力が作用すると、控え杭に水平せん断力および回転モーメントが作用するので、控え杭だけではこの水平力に抵抗できない場合があった。
また、山留支持ユニットを設けたことで、切梁に作用する水平力を受杭単独で抵抗する必要がなくなるので、受杭の杭径を小さくしたり、受杭の本数を削減したりできる。
また、2つの掘削空間で掘削深さが異なるにもかかわらず、これら2つの掘削空間に跨がって切梁を架設した場合、深い方の掘削空間に地下躯体が構築されるまで、切梁を解体できず、浅い方の掘削空間に地下躯体を構築できない、という問題があった。
また、掘削深さが異なる2つの掘削空間のそれぞれについて、独立して切梁を架設できるから、深い方の掘削空間に架設した切梁を解体しなくても、浅い方の掘削空間に地下躯体を構築でき、施工工程の自由度を向上できる。
また、挿通孔の内壁面にビニールシートなどの非付着材を貼り付けた後、挿通孔の内部に受杭の杭頭部を挿入し、この状態で、挿通孔にコンクリートやモルタルなどの充填材を充填してもよい。このようにすれば、充填材がプレキャストコンクリートブロック体と一体化されないので、山留支持ユニットを解体する際、山留支持ユニットを容易に移動できる。
具体的に、掘削深さに高低差がある建設敷地では、浅い方の掘削空間の底面上に設けた山留支持ユニットおよび受杭の構成として、第1実施形態では、山留支持ユニットは水平材、垂直材、および斜梁で構成されたトラス構造であり、一対の山留支持ユニットが一対の受杭に連結されている。また、第1参考例では、第1実施形態の構造の1つの山留支持ユニットが1本の受杭に連結されている。また、第2参考例では、山留支持ユニットをプレキャストコンクリートブロック体とし、その挿通孔に受杭が挿入されている。
また、掘削深さに高低差のない一様な掘削底面を有する建設敷地では、実施形態4の山留め構造として、深い掘削空間はなく、所定深さの掘削空間の底面に山留支持ユニットを固定し、山留壁と山留支持ユニット間に切梁が架設されている。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る山留め構造1の側面図である。
山留め構造1は、所定深さの第1掘削空間10と、当該第1掘削空間10に連続しかつ当該第1掘削空間よりも深い略直方体状の第2掘削空間20と、に設けられるものである。
ここで、地表面2から第1掘削空間10の底面12までの深さは、d1となっている。
ここで、第2掘削空間20の地表面2から底面23までの深さは、d1よりも大きいd2となっている。
また、第2掘削空間20の壁面21には、山留壁31が構築されており、この山留壁31の内壁面には、略水平に延びる腹起し40〜42が設けられている。
また、第2掘削空間20の壁面22には、山留壁32が構築されており、この山留壁32には、腹起し40、41が設けられている。
斜め切梁63は、山留壁32の腹起し42と控え杭51との間に架設されている。
支持架構50は、山留壁31に対向配置された第1掘削空間10の底面12に打ち込まれた一対の受杭52と、この一対の受杭52の内側に設置された一対の山留支持ユニット53と、一対の受杭52と一対の山留支持ユニット53とを連結する連結材54と、を備える。
第1掘削空間10の底面12上で、垂直材71の下端部と山留壁32との間には、前面繋ぎ材74が設けられており、この前面繋ぎ材74を介して、垂直材71と山留壁32とが連結されている。
また、腹起し40は、垂直材71の上端側に設けられており、これにより、切梁62は、山留壁31と山留支持ユニット53との間に架設されている。
ステップS1では、図6(a)に示すように、掘削前の状態で、地表面2から、掘削空間10、20の壁面11、21、22となる部分に、山留壁30〜32を構築する。
ステップS2では、図6(a)に示すように、地表面2から、第1掘削空間10の底面12となる部分に、控え杭51および受杭52を打ち込む。
ステップS5では、山留壁30、31および山留支持ユニット53に腹起し42を取り付けて、山留壁31と山留支持ユニット53との間に切梁62を架設するとともに、山留壁30と控え杭51との間に斜め切梁63を架設する。
(1)切梁62に作用する水平力に対して、地盤面に打ち込んだ受杭52によるせん断抵抗と、山留支持ユニット53と地盤面との間に生じる水平方向の摩擦力と、鉛直方向の地盤反力と、で抵抗するので、山留壁を確実に支持できる。また、受杭52単独ではなく、山留支持ユニット53を設けたことにより、受杭52の杭径を小さくしたり、受杭52の本数を削減したりできる。
また、掘削深さが異なる2つの掘削空間10、20のそれぞれについて、独立して切梁60〜63を架設できるから、掘削深さが深い第2掘削空間20に架設した切梁60〜62を解体しなくても、掘削深さが浅い第1掘削空間10の地下躯体を構築でき、施工工程の自由度を向上できる。
図7および図8は、本発明の第1参考例に係る支持架構50Aの側面図および平面図である。
本参考例では、支持架構50Aは、第1掘削空間10の底面12に打ち込まれた1本の受杭52と、この受杭52に沿って山留壁30とは反対側に設けられた1つの山留支持ユニット53と、を備える。
この支持架構50Aでは、腹起し40は、受杭52の上端側に設けられている。これにより、切梁62は、山留壁31と受杭52との間に架設されている。
(5)1本の切梁62に対して一対の受杭52と一対の山留支持ユニット53とで形成された支持架構50は、少ない部材点数で構成されるため、山留壁の構築段階または解体段階において、短工期化と低コストを実現できる。また、支持架構50は、設置スペースが狭隘であっても設置可能である。
図9および図10は、本発明の第2参考例に係る支持架構50Bの側面図および斜視図である。
支持架構50Bは、第1掘削空間10の底面12に打ち込まれた1本の受杭52と、この受杭52が挿通される筒状の山留支持ユニット53Bと、を備える。
山留支持ユニット53Bは、鉄筋コンクリート造の四角柱状であり、上下に延びる挿通孔80が形成されている。この挿通孔80には、受杭52が挿通され、この状態で、挿通孔80の内部にコンクリート81が充填されている。
(6)山留支持ユニット53Bはプレキャストコンクリートブロック造であるので、山留支持ユニット53Bを容易に多様な形状とすることができるうえに、比較的に高重量であるため、地盤面との摩擦抵抗力を大きく確保でき、切梁62を介して山留支持ユニット53Bに作用する水平力に対して、確実に抵抗できる。
本発明の第2実施形態に係る山留め構造1の側面図は、図6(b)に示す第1実施形態の山留め構造の構築手順の説明図(その2)が相当する。具体的には、図6(b)に示す山留壁32は設置されておらず、掘削空間に高低差はなく一様である。本実施形態の山留め構造は、山留支持ユニット53と受杭52と切梁62で構成されており、実施形態1と略同様の構成であるが、図6(b)に示す第1実施形態の壁面21、22、底面23、切梁60、61は設けられていない。
(7)掘削空間の外周壁の高さが場所によって異なっていても、掘削底面12に山留支持ユニット53を固定し、異なる高さの山留壁と山留支持ユニット53の間に切梁62を介して支持させることができる。よって、異なる高さの山留壁であっても、同一種類の山留支持ユニット53を使用して、切梁62を架設することができる。
例えば、上述の第1実施形態では、受杭52を一対に設け、これら一対の受杭52の内側に一対の山留支持ユニット53を配置したが、これに限らず、受杭を1本とし、この受杭を挟んで一対の山留支持ユニット53を配置してもよい。
10…第1掘削空間 11…壁面 12…底面
20…第2掘削空間 21、22…壁面 23…底面
30、31、32…山留壁
40、41、42…腹起し
50、50A、50B…支持架構
51…控え杭 52…受杭 53、53B…山留支持ユニット 54…連結材
60、61、62…切梁 63…斜め切梁
70…水平材 71…垂直材 72…斜梁(斜め材) 73…捨てコンクリート 74…前面繋ぎ材 75…貫通孔
80…挿通孔 81…コンクリート(充填材) 82…凹部
Claims (3)
- 所定深さの掘削空間に設けられる山留めの構造であって、
前記掘削空間の外周壁面に構築された山留壁と、
前記掘削空間の底面に打ち込まれた一対の受杭と、
前記一対の受杭同士の間に設けられた一対の山留支持ユニットと、
前記一対の受杭と前記一対の山留支持ユニットとを連結する連結材と、
前記掘削空間の山留壁と前記山留支持ユニットとの間に架設された切梁と、を備え、
前記山留支持ユニットは、前記掘削空間の底面上に設けられて前記連結材に接合されて水平方向に延びる水平材と、当該水平材の前記山留壁側の一端側から鉛直方向に延びる垂直材と、当該垂直材と前記水平材の他端側とを連結する斜め材と、を含むトラス構造であることを特徴とする山留め構造。 - 所定深さの第1掘削空間と、当該第1掘削空間に連続しかつ当該第1掘削空間よりも深い第2掘削空間と、に設けられる山留めの構造であって、
前記第2掘削空間の外周壁面に構築された外側山留壁と、
前記第2掘削空間の前記第1掘削空間側の壁面に構築された内側山留壁と、
前記第1掘削空間の底面に打ち込まれた受杭と、
前記第1掘削空間の底面上に設けられた山留支持ユニットと、
前記第2掘削空間の外側山留壁と前記山留支持ユニットとの間に架設された切梁と、を備え、
前記山留支持ユニットは、前記第1掘削空間の底面上に設けられて前記受杭に連結されて水平方向に延びる水平材と、当該水平材の前記内側山留壁側の一端側から鉛直方向に延びて前記内側山留壁に連結された垂直材と、当該垂直材と前記水平材の他端側とを連結する斜め材と、を含むトラス構造であることを特徴とする山留め構造。 - 所定深さの第1掘削空間と、当該第1掘削空間に連続しかつ当該第1掘削空間よりも深い第2掘削空間と、に設けられる山留め構造の構築方法であって、
地表面から前記第2掘削空間の外周壁面となる部分に外側山留壁を構築するとともに、前記第2掘削空間の前記第1掘削空間側の壁面となる部分に内側山留壁を構築する工程と、
地表面から前記第1掘削空間の底面となる部分に受杭を打ち込む工程と、
前記第1掘削空間および前記第2掘削空間を所定深さまで掘削する工程と、
前記第1掘削空間の底面上に山留支持ユニットを設置して、当該山留支持ユニットを前記受杭および前記内側山留壁に連結する工程と、
前記外側山留壁と前記山留支持ユニットとの間に切梁を架設する工程と、を備え、
前記山留支持ユニットは、前記第1掘削空間の底面上に設けられて前記受杭に連結されて水平方向に延びる水平材と、当該水平材の前記内側山留壁側の一端側から鉛直方向に延びて前記内側山留壁に連結された垂直材と、当該垂直材と前記水平材の他端側とを連結する斜め材と、を含むトラス構造であることを特徴とする山留め構造の構築方法。
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