JP2007308979A - 既設建物の免震化工法 - Google Patents

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Yuji Funayama
勇司 舟山
Tsutomu Morikawa
勤 森川
Koichi Inagaki
考一 稲垣
Masayuki Tsuruya
雅之 鶴谷
Takuya Takeda
卓也 武田
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Abstract

【課題】施工安全性が高く、施工コストの低減も達成することが可能な既設建物の免震化工法の提供を目的とする。
【解決手段】対象柱1から仮設支持材2に柱負担荷重を載せ替え、切断した対象柱に免震装置3を設置し、その後、仮設支持材から免震装置に柱負担荷重を載せ替えて当該仮設支持材を撤去する作業を、全ての対象柱のうちの一本もしくは適宜本数毎に順次完了していく既設建物の免震化工法であって、仮設支持材から免震装置に柱負担荷重を載せ替えた後で、免震装置が機能することを規制するための柱用水平変位拘束手段4を取り付ける作業を行うようにした。仮設支持材から免震装置に柱負担荷重を載せ替える前から、柱用水平変位拘束手段の取り付け後にわたって、仮設水平力支持手段5を設置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、施工安全性が高く、施工コストの低減も達成することが可能な既設建物の免震化工法に関する。
既設建物の免震化工法としては、特許文献1が知られている。特許文献1の「免震化工法」では、既存建物に免震装置を設置して免震化するための免震化工法であって、既存建物の複数本ある柱のうち所定本数の柱毎に、該柱が負担する既存建物の重量分を仮設材で受け、該柱を切断するとともにその切断箇所に免震装置を設置し、その後設置した免震装置に前記柱が負担する既存建物の重量分を前記仮設材から移し換えて該仮設材を撤去する作業を繰り返し行うことにより、前記複数本の柱全てに対して免震装置を順次設置するとともに前記仮設材を順次撤去していき、しかも、それら柱全てに対して免震装置を順次設置していきかつ仮設材を順次撤去していく工程中には、既存建物の重量分を仮設材から各免震装置に移し換えるに先立って、各免震装置の周囲にそれぞれ個別水平変位拘束手段を順次設置していくことにより、該個別水平変位拘束手段によって、既存建物の免震装置を設置する箇所より上側の部分の水平変位を拘束するようにしている。
特許第3760306号公報
背景技術にあっては、「免震装置を順次設置していきかつ仮設材を順次撤去していく工程中には、既存建物の重量分を仮設材から各免震装置に移し換えるに先立って、各免震装置の周囲にそれぞれ個別水平変位拘束手段を順次設置していく」という手順を備えていた。このような手順であると、特殊な拘束部材を使用しない限りは、既存建物の重量分を免震装置に移し換えることで、それよりも前に取り付けておく個別水平変位拘束手段にも明らかに加重されることになる。このため、個別水平変位拘束手段には、初期ひずみや初期応力が発生する。既存建物の重量分の移し換えで、免震装置が沈み込むようであれば、個別水平変位拘束手段に生ずる初期ひずみや初期応力はさらに大きなものとなる。このように、重量分の移し換え前から取り付けられ、移し換えによって初期ひずみ等が生じる個別水平変位拘束手段では、設計値に応じた拘束性能を発揮することはできず、安全装置としての機能を十分に果たし得ないおそれがあるという課題があった。また、個別水平変位拘束手段をボルト等で取り付けている場合は、加重やひずみによって、取り外し時に取り外しが困難になり、沈み込みを予め考慮して長孔にしておくなどすると、移動が許容されるため安全装置の用をなさず、また再度固定する必要があるので、取り付けが二度手間になる。
また、このような初期ひずみ等を勘案して設計する場合には、個別水平変位拘束手段のコストアップに繋がってしまう。個別水平変位拘束手段は、既存建物全ての柱に免震装置をセットした後で撤去する安全装置であるため、柱本数に合わせて多数準備されるこれら個別水平変位拘束手段のコストアップは、免震化施工全体の施工費用を上昇させてしまうという課題があった。
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、施工安全性が高く、施工コストの低減も達成することが可能な既設建物の免震化工法を提供することを目的とする。
本発明にかかる既設建物の免震化工法は、対象柱から仮設支持材に柱負担荷重を載せ替え、切断した該対象柱に免震装置を設置し、その後、該仮設支持材から該免震装置に柱負担荷重を載せ替えて当該仮設支持材を撤去する作業を、全ての上記対象柱のうちの一本もしくは適宜本数毎に順次完了していく既設建物の免震化工法であって、上記仮設支持材から上記免震装置に柱負担荷重を載せ替えた後で、上記免震装置が機能することを規制するための柱用水平変位拘束手段を取り付ける作業を行うことを特徴とする。
前記仮設支持材から前記免震装置に柱負担荷重を載せ替える前から、前記柱用水平変位拘束手段の取り付け後にわたって、仮設水平力支持手段を設置することを特徴とする。
また、本発明にかかる既設建物の免震化工法は、対象柱周りの躯体の補強と仮設水平力支持手段の設置とを行う第1工程と、上記対象柱から仮設支持材に柱負担荷重を移し替える第2工程と、免震装置設置スペースを形成するために上記対象柱を切断する第3工程と、免震装置設置スペースへ免震装置を設置する第4工程と、上記仮設支持材から上記免震装置に柱負担荷重を移し替える第5工程と、柱負担荷重を上記免震装置に移し替え終わった後で、上記対象柱に柱用水平変位拘束手段を取り付け、また適宜に上記仮設支持材を撤去する第6工程と、上記仮設水平力支持手段を撤去する第7工程と、柱用水平変位拘束手段を撤去する第8工程とを備え、少なくとも上記第2工程から上記第6工程の施工を、全ての上記対象柱のうちの一本もしくは適宜本数毎に順次完了していくことを特徴とする。
前記第1工程には、壁の切断および壁用水平変位拘束手段の取り付けが含まれることを特徴とする。
前記第7工程には、前記壁用水平変位拘束手段の撤去が含まれることを特徴とする。
前記第8工程には、前記壁用水平変位拘束手段の撤去が含まれることを特徴とする。
上記既設建物の免震化工法を、既設建物を、前記対象柱を含む複数の領域に区分けして、各領域ごとに上記第2工程から上記第6工程を実行することを特徴とする。
前記仮設水平力支持手段が仮設ブレースであることを特徴とする。
本発明にかかる既設建物の免震化工法にあっては、施工安全性が高く、施工コストの低減も達成することができる。
以下に、本発明にかかる既設建物の免震化工法の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態にかかる既設建物の免震化工法は基本的には、図1から図4に示すように、対象柱1から仮設支持材2に柱負担荷重を載せ替え、切断した対象柱1に免震装置3を設置し、その後、仮設支持材2から免震装置3に柱負担荷重を載せ替えて当該仮設支持材2を撤去する作業を、全ての対象柱1のうちの一本もしくは適宜本数毎に順次完了していく既設建物の免震化工法であって、仮設支持材2から免震装置3に柱負担荷重を載せ替えた後で、免震装置3が機能することを規制するための柱用水平変位拘束手段4を取り付ける作業を行うようになっている。仮設支持材2から免震装置3に柱負担荷重を載せ替える前から、柱用水平変位拘束手段4の取り付け後にわたって、仮設水平力支持手段5を設置することが好ましい。
より具体的には、対象柱1周りの躯体の補強と仮設水平力支持手段5の設置とを行う第1工程と、対象柱1から仮設支持材2に柱負担荷重を移し替える第2工程と、免震装置3の設置スペースSを形成するために対象柱1を切断する第3工程と、免震装置3の設置スペースSへ免震装置3を設置する第4工程と、仮設支持材2から免震装置3に柱負担荷重を移し替える第5工程と、柱負担荷重を免震装置3に移し替え終わった後で、対象柱1に柱用水平変位拘束手段4を取り付け、また適宜に仮設支持材2を撤去する第6工程と、仮設水平力支持手段5を撤去する第7工程と、柱用水平変位拘束手段4を撤去する第8工程とを備え、少なくとも第2工程から第6工程の施工を、全ての対象柱1のうちの一本もしくは適宜本数毎に順次完了していくようになっている。
本実施形態にかかる既設建物の免震化工法は、低層や中層の建物の柱を対象とするのみならず、高層・超高層建物の適宜階の柱も対象として施工される。また、施工対象とする柱としては、建物平面プランの柱全数を対象としても、その中から適宜選択した柱を対象として施工してもよい。本実施形態にあっては、RC造もしくはSRC造の既設建物が例示されているが、S造や鋼管コンクリート構造、さらにはS造とRC造などの混合構造の既設建物を対象として施工してもよい。
図1および図2には、対象柱1を含む柱と梁6で構成された架構に床7を設け、また適宜に耐震壁8や袖壁を設けて構築された既設建物が示されている。この既設建物に対し、免震化工法を適用していくにあたっては、まず、第1工程として図1(A)〜(C)および図3に示すように、積層ゴム等の免震装置3を組み込む対象となる対象柱1の周りに対して、躯体補強を行い、併せて、仮設水平力支持手段5として、開口部9に仮設ブレース5aを設置する作業を実施する。また、この第1工程では、耐震壁8や袖壁の切断と壁用水平変位拘束手段10として、壁用水平変位拘束プレート10aの取り付けを行う作業が実施される。
本実施形態にあっては、最初に、X型ブレースなどの仮設ブレース5aが設置される(図1(A)参照)。仮設ブレース5aは、対象柱1などの柱と梁6で構成される架構の横方向剛性を向上させる。図示例では、X型ブレースが採用されているけれども、建物に作用する水平力を負担できるものであれば、K型ブレースなど、その他のブレースを用いてもよい。これにより、その後の対象柱1の切断に対し、既設建物の水平剛性を保証することができる。次いで、耐震壁8等を対象柱1から相当の幅で切除して空間部Tを形成し、残った壁を水平方向に切断し、切断した壁上部8aと壁下部8bとの間に掛け渡して、壁用水平方向変位拘束プレート10aを適宜に取り付ける(図1(B)参照)。図示例にあっては、空間部Tを形成するにあたり、梁6下全体の壁部分を切除しているが、切除する壁部分は必要最小限でよく、免震装置3を設置する箇所の周囲だけ部分的に切除するようにしてもよい。
壁用水平変位拘束プレート10aは、免震装置3の上側に連続する壁上部8aと下側に連続する壁下部8bとの間で、水平方向の変位を拘束する。壁上部8aと壁下部8bとを結合してこれらを一体とする壁用水平変位拘束プレート10aにより、免震装置3を対象柱1に取り付けて機能させるまでの間、既設建物の水平変位を規制して、耐震性能の維持を保証することができるとともに、免震化工法の最終段階で壁用水平変位拘束プレート10aを取り外すことで、免震装置3の免震機能を確保することができる。その後、対象柱1周りの躯体構造を補強する。躯体の補強に際しては、免震装置3の設置箇所を避けて、対象柱1周りの梁6に梁幅および梁せいを拡張する形態で増設部分11を形成するとともに、対象柱1を拡幅する形態で拡幅部分12を形成する。図示例にあっては、拡幅部分12を、免震装置3の設置位置下方全体にわたって床7まで形成しているが、この拡幅部分11も必要最小限形成すればよく、床7まで形成する必要はなくて、対象柱1の高さ方向途中まで形成するだけでもよい。
本実施形態は、RC造等の既設建物を対象としているので、増設部分11や拡幅部分12はRC造で対象柱1や梁6に一体的に構築される。これにより、対象柱1周りの躯体が補強される。図示例にあっては、図1(A)から(C)に示したように、仮設ブレース5aを設置し、耐震壁8等に対する処理を行って壁用水平変位拘束プレート10aを取り付け、躯体補強を行う手順が示されているが、これら3つの作業の手順はいずれを最初に行っても、また同時に行ってもよい。
第2工程では、対象柱1から仮設支持材2であるジャッキ2aに柱負担荷重を移し替える作業を実施する。この工程では図1(D)に示すように、対象柱1の周りに柱高さ方向に伸縮自在なジャッキ2aを適宜数配設し、これらジャッキ2aを伸張させて、その上端を増設部分11に下方から当接させる。従って、増設部分11は、少なくともジャッキ2a上端を当接させ得る寸法で形成される。ジャッキ2aは、下階の梁6に支持反力をとって、施工階の増設部分11を介して柱負担荷重を支持する。これにより、対象柱1が負担している建物荷重がジャッキ2aに移し替えられる。ジャッキ2aの支持反力を負担する下階の梁6については、必要に応じて補強を行ったり、当該下階の梁6下に別途ジャッキを設置して、さらに下階の梁からも支持反力をとるようにしてもよい。
このようにジャッキ2aの支持反力を、対象柱1に接続される下階の梁6で負担する関係上、上記仮設ブレース5aは、対象柱1とは異なる柱通りに設置することが好ましい。建物に作用する水平外力を負担する仮設ブレース5aの支持反力も、下階の梁6で負担しなければならず、これら仮設ブレース5aおよびジャッキ2aの支持反力を共通の梁6で負担させることは好ましくないためである。また、仮設ブレース5aを対象柱1と異なる柱通りに設置することで、上記躯体補強などの作業スペースも広く確保することができる。また、本実施形態では、水平外力を仮設ブレース5aや壁用水平変位拘束プレート10aで負担させるようにしているので、ジャッキ2aに水平外力を負担させる必要がなく、ジャッキ2aの上下を床7や増設部分11に剛接合するなどの作業を行う必要がない。これにより、ジャッキ2aの取り付け構成を単純化することができ、その取り付け作業および撤去作業ともに、容易化することができる。
第3工程では、対象柱1を切断して、免震装置3の設置スペースSを形成する作業を実施する。この工程では図1(D)に示すように、躯体補強となる増設部分11と拡幅部分12との間において、上下2箇所で対象柱1を切断し、これら切断箇所の間の切除部分13を対象柱1から撤去する。これにより、ジャッキ2aで支持した状態の施工階の対象柱1位置に、免震装置3の設置スペースSが形成される。
第4工程では、免震装置3をその設置スペースSへ設置する作業を実施する。この工程では図1(E)に示すように、切除部分13を撤去した対象柱1の設置スペースSに免震装置3を装着する。この装着作業は図示しないけれども、まず、免震装置3を設置スペースSへ挿入し、免震装置3の上下フランジプレートそれぞれと着脱自在に接合される上部取付プレート3aおよび下部取付プレート3bから突出する定着部材3cがそれぞれ対象柱1の切断面に向かい合うように配置する。次いで、定着部材3cを包囲するように対象柱1周りを型枠で取り囲む。その後、型枠内にコンクリートやモルタルなどのグラウト材を充填する等の方法で、免震装置3を対象柱1に対して固定する。コンクリート等が必要強度を発現した後、型枠を撤去する。これにより、免震装置3は対象柱1の上方柱部1aと下方柱部1bとの間に設置される。
第5工程では、ジャッキ2aから免震装置3に柱負担荷重を移し替える作業を実施する。この工程では図1(F)に示すように、ジャッキ2aを収縮させて、その上端を増設部分11から離脱させる。これにより、それまでジャッキ2aが支持していた柱負担荷重が、上方柱部1aおよび下方柱部1bを介して、免震装置3に載せ替えられる。柱負担荷重を免震装置3に移し替えるこの段階では、仮設ブレース5aおよび壁用水平変位拘束プレート10aによって、第1工程以降継続的に、建物に作用する水平外力が負担され、水平変位を拘束することができていて、たとえ地震外力が既設建物に作用しても、免震装置3が機能することはなく、これら仮設ブレース5aと壁用水平変位拘束プレート10aとによって既設建物の構造強度を維持して、建物の安全性を保証することができる。なお、壁用水平変位拘束プレート10aは、ジャッキ2aの伸縮等の影響を避けるため、なるべく対象柱1から離して設置することが望ましい。
第6工程では、ジャッキ2aから免震装置3に柱負担荷重を載せ替えた後、すなわち柱負担荷重を免震装置3に移し替え終わった後で、対象柱1に柱用水平変位拘束プレート4aを取り付け、また適宜にジャッキ2aを撤去する作業を実施する。ここで、「ジャッキ2aから免震装置3に柱負担荷重を載せ替えた後、すなわち柱負担荷重を免震装置3に移し替え終わった後」とは、柱負担荷重がすべて完全に、ジャッキ2aから、免震装置3に移し替えられた状態を意味し、すなわちジャッキ2aには建物の荷重が何ら作用せず、従って撤去可能となった状態をいう。その意味では、第6工程は、図1(F)に示したジャッキ2a上端が増設部分11から離れた状態を含む。換言すれば、第5工程の柱負担荷重の移し替え操作は、柱負担荷重をジャッキ2aから免震装置3に徐々に移す操作段階をいい、第6工程は、ジャッキ2aをいつでも取り外すことができるようになった状態以降の段階となる。図1(G)および図2に示すように、ジャッキ2aを撤去した状態はもちろん第6工程の段階である。
そして、ジャッキ2aを現実に撤去したかしないかに関わらず、ジャッキ2aに建物の荷重が何ら作用しなくなった後、柱用水平変位拘束プレート4aを、免震装置3を取り囲んで、上方柱部1aと下方柱部1bとの間に取り付ける。柱用水平変位拘束プレート4aは、免震装置3の上側の上方柱部1aと下側の下方柱部1bとの間で、水平方向の変位を拘束して、免震装置3が機能することを規制する。ジャッキ2aから免震装置3に完全に全ての柱負担荷重を移し替えた段階では、当該柱負担荷重により免震装置3は僅かながら沈み込むように変形する。本実施形態では、このように免震装置3が柱負担荷重を負担することによって相当の変形を生じた後で、柱用水平変位拘束プレート4aを取り付ける。
従って、柱用水平変位拘束プレート4aを取り付けるにあたり、何らの初期ひずみも初期応力も生じさせることなく、対象柱1に設置することができる。従って、柱用水平変位拘束プレート4aは、設計値に応じて適正に対象柱1における水平変位を拘束し、水平外力が既設建物に作用しても免震装置3が機能することを阻止して、仮設ブレース5aや壁用水平変位拘束プレート10aとともに、施工の安全性を保証する。
図4には、柱用水平変位拘束プレート4aの例が示されている。図2および図4(A)に示すものは、ワンピースのプレート片14を用いたもので、その上下端が上方柱部1aおよび下方柱部1bにボルト接合されて取り付けられる。図4(B)に示した柱用水平変位拘束プレート4aは、上方柱部1aおよび下方柱部1bそれぞれにボルト接合した2ピースのプレート片15同士を免震装置3の設置スペースSで互いにボルト締結するようにしたものである。図4(C)に示した柱用水平変位拘束プレート4aは、3ピースのプレート片16,16,17を用い、上方柱部1aおよび下方柱部1bそれぞれにボルト接合した上下のプレート片16それぞれに、免震装置3の設置スペースSに配置した中間プレート17をボルト締結するようにしたものである。
柱用水平変位拘束プレート4aは、上方柱部1aや下方柱部1bに直接取り付ける形態のみならず、図4(D)から(F)に示すように、免震装置3に取り付けられる上部取付プレート3aや下部取付プレート3bに取り付けて、これら取付プレート3a,3bを介して上方柱部1aや下方柱部1bに取り付けるようにしてもよい。図4(D)に示すものは、ワンピースのプレート片18を用いたもので、その上下端が上部取付プレート3aおよび下部取付プレート3bにボルト接合されて取り付けられる。図4(E)に示した柱用水平変位拘束プレート4aは、上部取付プレート3aおよび下部取付プレート3bそれぞれにボルト接合した2ピースのプレート片19同士を免震装置3の設置スペースSで互いにボルト締結するようにしたものである。図4(F)に示した柱用水平変位拘束プレート4aは、3ピースのプレート片20,20,21を用い、上部取付プレート3aおよび下部取付プレート3bそれぞれにボルト接合した上下のプレート片20それぞれに、免震装置3の設置スペースSに配置した中間プレート21をボルト締結するようにしたものである。いずれのプレート片14〜21に対しても、座屈を防止するための補強を施すようにしてもよい。
本実施形態にかかる既設建物の免震化工法にあっては、図3に示すように、少なくとも上述した第2工程から第6工程の施工を、全ての対象柱1のうちの一本もしくは適宜本数毎に順次完了していく。例えば、一本の場合には、当該一つの対象柱1に対し、柱負担荷重をジャッキ2aに移し替え、上記手順に従って作業を実施し、ジャッキ2aを撤去した後、柱用水平変位拘束プレート4aを取り付ける作業を完了し、次いで、他の対象柱1に作業を移行することを繰り返す。適宜本数の場合には、これら対象柱1に対する施工を並行処理で進め、施工が完了したら、次の適宜本数の対象柱1に対して同様な施工を繰り返す。
すなわち、本実施形態にかかる既設建物の免震化工法における作業手順は、少なくとも対象柱1全数を一挙にジャッキダウンする施工形態でなければ、対象柱1一本一本を順次に施工しても、適宜本数の対象柱1に対する施工を順次に繰り返して行うようにしてもよく、これにより、ジャッキ2aの転用を可能として、できる限り必要ジャッキ台数を削減することができる。他方、第1工程は、対象柱1全数に対して一挙に施工してもよく、あるいはいくつかの複数の対象柱1に対して、さらには対象柱1一つ一つに対して順次施工するようにしてもよい。
第6工程までを、対象柱1全数に対して施工した後、第7工程および第8工程の作業を順次実施する。第7工程では図1(H)に示すように、仮設ブレース5aを撤去する。これに合わせて、壁用水平変位拘束プレート10aを撤去してもよい。その後、第8工程で、柱用水平変位拘束プレート4aを撤去する。これにより、既設建物の所望の対象柱1に設置した免震装置3を完全に機能させることができ、本実施形態による免震化工法の施工が完了する。壁用水平変位拘束プレート10aは、第8工程の段階で撤去するようにしてもよい。あるいは、仮設ブレース5a、壁用水平変位拘束プレート10a、そして柱用水平変位拘束プレート4a全てを同時に撤去するようにしてもよい。
以上説明した本実施形態にかかる既設建物の免震化工法にあっては、基本的に、ジャッキ2aから免震装置3に柱負担荷重を載せ替えた後で、対象柱1に柱用水平変位拘束プレート4aを取り付ける手順であり、従って柱用水平変位拘束プレート4aを取り付ける際には、免震装置3は柱負担荷重の移し替えによって発生する変形を生じた後であることから、柱用水平変位拘束プレート4aには何らの初期ひずみや初期応力も発生することはなく、設計値に応じた拘束性能を発揮することができて、施工時の安全装置としての機能を十分に果たすことができ、施工安全性を高く保証することができる。従って、柱用水平変位拘束プレート4aを、設計値で設計することができて、背景技術とは異なってそれらのコストアップを防止でき、免震化施工全体の施工費用も低減することができる。また、施工安全性が高いこととも相俟って、既設建物を使用しながら施工することもできる。
また、ジャッキ2aから免震装置3に柱負担荷重を載せ替える前から、柱用水平変位拘束プレート4aの取り付け後にわたって、仮設ブレース5aを設置するようにしたので、この仮設ブレース5aによって常時、建物に作用する水平外力を負担することができ、施工安全性をさらに向上することができる。
また、第2工程から第6工程を対象柱1全数に対して順次繰り返して施工し、全対象柱1に柱用水平変位拘束プレート4aを取り付けた後で、仮設ブレース5aを撤去し、その後柱用水平変位拘束プレート4aを撤去するようにしたので、第1工程から第8工程で柱用水平変位拘束プレート4aを取り外すまで、常時水平外力に対する既設建物の必要強度性能を維持することができ、この面からも高い施工安全性を確保することができる。
さらに、第1工程で耐震壁8等の切断および壁用水平変位拘束プレート10aの取り付けを行うようにしたので、その後の第2工程から第6工程の施工期間中を含め、壁用水平変位拘束プレート10aを取り外すまで、常時壁用水平変位拘束プレート10aで既設建物の水平変位を適切に拘束することができ、施工の安全性をさらに高く確保することができる。また、第7工程あるいは第8工程で壁用水平変位拘束プレート10aの撤去を行うようにしたので、仮設ブレース5aあるいは柱用水平変位拘束プレート4aの撤去と併せて、近隣に位置する壁用水平変位拘束プレート10aの撤去作業を行うことができ、効率よく施工することができる。仮設水平力支持手段5として仮設ブレース5aを採用したので、既存技術によって簡便な施工で、必要な補強対策を施すことができる。
上記実施形態にあっては、対象柱1を基準として免震化工法を施工する場合について説明したが、既設建物を、対象柱1を含む複数の領域(工区)に区分けし、これら領域を基準として各領域ごとに順次に第2工程から第6工程を実行するようにしてもよい。すなわち、既存建物全体に対し、第1工程を前施工として、そしてまた、第7工程および第8工程を後施工として実施する一方で、第2工程から第6工程については、領域毎に、個別に同時並行的にもしくは順番に進めるようにしてもよい。このようにすることで、施工管理に柔軟性をもたせることができ、領域毎に分けて既設建物を使用しながら施工することも可能であるとともに、必要ジャッキ台数を、建物全体を一斉にジャッキアップしたりジャッキダウンするような場合に比べて、削減することができる。
本発明にかかる既設建物の免震化工法の好適な一実施形態を説明するための施工進捗状態の説明図である。 図1にかかる既設建物の免震化工法の施工途中を示す側面図である。 図1に示す既設建物の免震化工法の工程図である。 図1に示す既設建物の免震化工法に適用可能な柱用水平変位拘束プレートの例を示す説明図である。
符号の説明
1 対象柱
2 仮設支持材
3 免震装置
4 柱用水平変位拘束手段
5 仮設水平力支持手段
5a 仮設ブレース
8 耐震壁
10 壁用水平変位拘束手段
11 増設部分
12 拡幅部分
S 免震装置設置スペース

Claims (8)

  1. 対象柱から仮設支持材に柱負担荷重を載せ替え、切断した該対象柱に免震装置を設置し、その後、該仮設支持材から該免震装置に柱負担荷重を載せ替えて当該仮設支持材を撤去する作業を、全ての上記対象柱のうちの一本もしくは適宜本数毎に順次完了していく既設建物の免震化工法であって、
    上記仮設支持材から上記免震装置に柱負担荷重を載せ替えた後で、上記免震装置が機能することを規制するための柱用水平変位拘束手段を取り付ける作業を行うことを特徴とする既設建物の免震化工法。
  2. 前記仮設支持材から前記免震装置に柱負担荷重を載せ替える前から、前記柱用水平変位拘束手段の取り付け後にわたって、仮設水平力支持手段を設置することを特徴とする請求項1に記載の既設建物の免震化工法。
  3. 対象柱周りの躯体の補強と仮設水平力支持手段の設置とを行う第1工程と、
    上記対象柱から仮設支持材に柱負担荷重を移し替える第2工程と、
    免震装置設置スペースを形成するために上記対象柱を切断する第3工程と、
    免震装置設置スペースへ免震装置を設置する第4工程と、
    上記仮設支持材から上記免震装置に柱負担荷重を移し替える第5工程と、
    柱負担荷重を上記免震装置に移し替え終わった後で、上記対象柱に柱用水平変位拘束手段を取り付け、また適宜に上記仮設支持材を撤去する第6工程と、
    上記仮設水平力支持手段を撤去する第7工程と、
    柱用水平変位拘束手段を撤去する第8工程とを備え、
    少なくとも上記第2工程から上記第6工程の施工を、全ての上記対象柱のうちの一本もしくは適宜本数毎に順次完了していくことを特徴とする既設建物の免震化工法。
  4. 前記第1工程には、壁の切断および壁用水平変位拘束手段の取り付けが含まれることを特徴とする請求項3に記載の既設建物の免震化工法。
  5. 前記第7工程には、前記壁用水平変位拘束手段の撤去が含まれることを特徴とする請求項4に記載の既設建物の免震化工法。
  6. 前記第8工程には、前記壁用水平変位拘束手段の撤去が含まれることを特徴とする請求項4に記載の既設建物の免震化工法。
  7. 請求項3〜6いずれかの項に記載の既設建物の免震化工法を、既設建物を、前記対象柱を含む複数の領域に区分けして、各領域ごとに上記第2工程から上記第6工程を実行することを特徴とする既設建物の免震化工法。
  8. 前記仮設水平力支持手段が仮設ブレースであることを特徴とする請求項2〜7いずれかの項に記載の既設建物の免震化工法。
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