JP6022631B1 - 免震装置の交換方法および免震構造 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、この方法では、上部躯体をジャッキアップするため、免震装置が負担していた鉛直軸力を上回る荷重をジャッキに作用させる必要があり、大掛かりな仮設資材が必要となるうえに、ジャッキアップに伴って上部躯体に過大な応力が生じて、ひび割れなどの損傷が発生するおそれがある。
第1の方法では、下部躯体と上部躯体との間にジャッキを配置し、このジャッキで上部躯体を仮支持する(特許文献1参照)。この状態で、免震装置の積層ゴムを切断して、免震装置を撤去する。その後、新しい免震装置を設置する。
また、第2の方法では、複数の部材を組み合わせて治具を構成するため、治具の製作に多大なコストがかかる、という問題があった。
また、グラウト層は、既存躯体とは別個に、予め切断面として免震装置の上部側または下部側に設けるものであり、既存躯体内に配筋されている構造用鉄筋が設けられていない薄層部分によって形成される。
また、グラウト材または無収縮コンクリートを充填するだけでグラウト層を再度形成できるので、作業性が良好である。
請求項3に記載の免震構造は、前記グラウト層が前記免震装置の下フランジと前記下部ベースプレートとの間に設けられ、前記下フランジと前記下部躯体とは、前記連結部材で連結され、前記下部ベースプレートには、前記免震装置を前記下部躯体に定着する前記アンカーボルトが設けられ、前記連結部材は、アンボンド処理されており、下端側で機械式継手を介して前記アンカーボルトに連結されるとともに、上端側で前記下フランジに係合されることを特徴とする。
1.上部躯体あるいは下部躯体と免震装置との間に、鋼材やコンクリートと比較して切断・撤去がしやすいグラウト層を設けているため、ワイヤソーなどの汎用性の高い装置で切断が可能であり、また、切断後にグラウト層の撤去も容易なので、免震装置と上部ベースプレートあるいは下部ベースプレートとの間に適度な隙間を形成し、免震装置の撤去に必要な作業空間を確保できる。
2.グラウト材または無収縮コンクリートを充填するだけでグラウト層を再度形成できるので、作業性が良好である。
3.本発明は、短工期にて免震装置を交換できる。
4.免震装置を交換する際に使用する切断面を予め設定した免震構造を実現した。
図1は、本発明の一実施形態に係る免震装置の交換方法が適用される免震構造1の断面図である。
この免震構造1は、下部躯体としての基礎2と、上部躯体としての建物本体3と、基礎2と建物本体3との間に設置された免震装置10と、を備える。
免震装置10は、基礎2に設けられて、建物本体3を水平移動可能に支持する。
積層ゴム11は、鋼板とゴムとが交互に積層されたものである。
上下のフランジ12、13には、周縁部に沿って所定間隔おきに、ボルトを挿通するためのボルト挿通孔14、15が設けられている。
ステップS1では、ボルト24および連結ボルト34を撤去し、グラウト層40を切断する。
図1に示す状態において、基礎2と建物本体3との間に図示しないジャッキを配置し、このジャッキで基礎2から建物本体3を仮支持する。このジャッキは、建物本体3をジャッキアップする必要はなく、建物本体3を支持する程度で良い。この状態で、図3に示すように、ボルト24および連結ボルト34を取り外して撤去し、さらに、ワイヤソーなどによりグラウト層40を切断線50で水平方向に切断する。
図4に示すように、既存の免震装置10およびグラウト層40を撤去し、下部ベースプレート21および上部ベースプレート31の表面を清掃する。
次に、図5に示すように、新規の免震装置10を設置する。
図5に示すように、切断されたグラウト層である、新規の免震装置10の上フランジ13と上部ベースプレート31との間に、フラットジャッキ51をセットする。そして、図6に示すように、フラットジャッキ51の内部にモルタルを注入して、新規の免震装置10が支持していた軸力と同程度とする。フラットジャッキ51の軸力導入前の支圧板を含む厚さは30〜40mm程度である。
次に、図6に示すように、この上フランジ13の周縁部に沿って、この上フランジ13と上部ベースプレート31との隙間を塞ぐ型枠52を建て込む。
図6に示すように、新規のボルト24を用意し、このボルト24を新規の免震装置10の下フランジ12のボルト挿通孔14に挿通し、下部ベースプレート21の雌ねじ部22に螺合して仮締めする。これにより、新規の免震装置10の下フランジ12は下部免震基礎20に連結される。
また、アンボンド処理した新規の連結ボルト34を用意し、この連結ボルト34を免震装置10の上フランジ13のボルト挿通孔15に挿通し、上部ベースプレート31の雌ねじ部32に螺合して仮締めする。これにより、新規の免震装置10の上フランジ13と上部免震基礎30とを連結する。
すなわち、図7に示すように、型枠52で囲まれた部分、つまり、新規の免震装置10の上フランジ13と上部ベースプレート31との隙間に、グラウト材または無収縮コンクリートを充填して硬化させる。これにより、グラウト層40を再度形成する。
なお、フラットジャッキ51はグラウト層40内に残置されることになるが、フラットジャッキ51は軟鋼板で形成されているため、問題は生じない。さらに、フラットジャッキ51は安価であるので、施工コストがそれほど増大しない。
本実施形態は、グラウト層を上部ベースプレートと上部フランジの間に形成した免震
構造の例を用いて説明したが、グラウト層は下部ベースプレートと下部フランジの間に
設けた免震構造の場合も同様である。
(1)上フランジ13と上部ベースプレート31との間に、鋼材やコンクリートと比較して切断・撤去がしやすいグラウト層40を設けているため、ワイヤソーなどの汎用性の高い装置で切断が可能であり、また、グラウト層40の撤去も容易なので、短工期にて免震装置10と上部ベースプレート31との間に適度な隙間を形成できる。また、隙間によって免震装置10の撤去に必要な作業空間を確保できるため、低コストかつ容易に免震装置10を交換できる。
また、グラウト材または無収縮コンクリートを充填するだけでグラウト層40を再度形成できるので、作業性が良好である。
2…基礎(下部躯体)
3…建物本体(上部躯体)
10…免震装置
11…積層ゴム
12…下フランジ
13…上フランジ
14…ボルト挿通孔
15…ボルト挿通孔
20…下部免震基礎
21…下部ベースプレート
22…雌ねじ部
23…アンカーボルト
24…ボルト
30…上部免震基礎
31…上部ベースプレート
32…雌ねじ部(機械式継手)
33…アンカーボルト
34…連結ボルト(連結部材)
40…グラウト層
50…切断線
51…フラットジャッキ
52…型枠
Claims (3)
- 下部躯体と上部躯体との間に設置された免震装置の交換方法であって、
前記免震装置は、積層ゴムと、当該積層ゴムの下に位置する下フランジと、前記積層ゴムの上に位置する上フランジと、を備え、
前記下部躯体の上面には、下部ベースプレートが設けられ、
前記上部躯体の下面には、上部ベースプレートが設けられ、
前記上フランジと前記上部ベースプレートとの間、または、前記下フランジと前記下部ベースプレートとの間には、グラウト層が設けられ、
当該グラウト層が設けられた側のフランジと躯体とは、連結部材で連結されており、
前記連結部材を撤去して前記グラウト層を切断する工程と、
前記免震装置を新規の免震装置に交換する工程と、
新規の連結部材により、当該グラウト層が設けられていた側のフランジと躯体とを連結する工程と、
前記切断されたグラウト層の隙間にグラウト材または無収縮コンクリートを充填して、グラウト層を再度形成する工程と、を備えることを特徴とする免震装置の交換方法。 - 下部躯体と上部躯体との間に免震装置が設けられた免震構造であって、
前記免震装置は、積層ゴムと、当該積層ゴムの下に位置する下フランジと、前記積層ゴムの上に位置する上フランジと、を備え、
前記下部躯体の上面には、下部ベースプレートが設けられ、
前記上部躯体の下面には、上部ベースプレートが設けられ、
前記上フランジと前記上部ベースプレートとの間には、グラウト層が設けられ、
前記上フランジと前記上部躯体とは、連結部材で連結され、
前記上部ベースプレートには、前記上部躯体に定着するアンカーボルトが設けられ、
前記連結部材は、アンボンド処理されており、上端側で機械式継手を介して前記アンカーボルトに連結されるとともに、下端側で前記上フランジに係合されることを特徴とする免震構造。 - 下部躯体と上部躯体との間に免震装置が設けられた免震構造であって、
前記免震装置は、積層ゴムと、当該積層ゴムの下に位置する下フランジと、前記積層ゴムの上に位置する上フランジと、を備え、
前記下部躯体の上面には、下部ベースプレートが設けられ、
前記上部躯体の下面には、上部ベースプレートが設けられ、
前記下フランジと前記下部ベースプレートとの間には、グラウト層が設けられ、
前記下フランジと前記下部躯体とは、前記連結部材で連結され、
前記下部ベースプレートには、前記下部躯体に定着するアンカーボルトが設けられ、
前記連結部材は、アンボンド処理されており、下端側で機械式継手を介して前記アンカーボルトに連結されるとともに、上端側で前記下フランジに係合されることを特徴とする免震構造。
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