JP6621161B1 - 免震装置交換に備えたプレストレス導入法 - Google Patents

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Abstract

【課題】免震装置を交換する際に、ジャッキアップしてフーチングを持ち上げて所要の上向き変形量を形成しても、当該上向き変形量による基礎梁に生ずる付加応力を合理的なプレストレスの導入により打ち消し可能にしたプレストレス導入方法を提供する。【解決手段】免震装置5の上に、コンクリート部材とする基礎梁7とフーチング6が設けられ、フーチング6を貫通して基礎梁7に免震装置交換に備えたPC鋼材16を配置して緊張定着して梁断面に一様なプレストレス分布を形成し、免震装置交換時に、ジャッキアップしてフーチング6を持ち上げて所要の上向き変形量を形成し、当該上向き変形量による基礎梁7に生じる付加応力を打ち消し可能なプレストレスを導入する。【選択図】図6

Description

本発明は、免震建物構造において免震装置交換に備えたプレストレス導入法に関するものである。
免震建物構造において、積層ゴム免震装置が多く使用されているが、免震装置が耐用年数に達したりまたは経年劣化したり、さらに地震や火災等により損傷が生じた場合に、建物の供用期間中であっても免震装置を交換する必要が生ずる。一般的に免震装置の交換は、通常は一箇所づつ行うのであるが、免震装置が上部構造の荷重を支えているので、鉛直方向に免震装置のゴムが弾性変形しているため、免震装置の周囲に複数のジャッキを設置し、ジャッキアップして上部構造を持ち上げて、弾性変形を開放するとともに一定以上の隙間を形成しなければ、免震装置の交換が行えないのである。そこで、免震建物構造における免震装置の交換については複数の技術が公知になっている。
第1の公知技術は、地盤表面から杭頭部が突出して土間コンクリートで固定された鋼管杭の上面に免震装置が設置され、該免震装置の上には上部構造におけるフラットスラブ基礎のキャピタルが設置され、前記免震装置を交換する際に設置されるジャッキを支持するブラケットが鋼管杭に設けられた免震構造物、である(特許文献1参照)。
上記第1の公知技術による免震構造物では、上部荷重をジャッキを介して鋼管杭のブラケットで支持したことにより、免震装置の交換が簡単にできる、というものである。
第2の公知技術については、複数設置された基礎杭の頭部間に基礎杭の耐震性能を保持するための水平つなぎ部材が設けられ、該基礎杭頭部に設置された免震装置を介して上部構造体が前記基礎杭に支持されている免震建物における杭頭免震構造における免震装置の交換方法であって、前記基礎杭の耐震性能を保持した状態で、前記基礎杭の杭頭部の周りに所要大きさの反力受け部材を前記基礎杭と一体的に構築し、前記反力受け部材に対応する位置で、少なくとも滑り材とジャッキとで構成された免震機能を有する支持部材を複数箇所に設置し、前記上部構造体の免震状態と共に基礎杭の耐震性能を保持したままで、前記支持部材で上部構造体の荷重を支持させて既設免震装置を新たな免震装置と交換することを特徴とする杭頭免震構造における免震装置の交換方法である(特許文献2参照)。
上記第2の公知技術による免震装置の交換方法では、免震装置が交換不能な杭頭部間に水平つなぎ部材を設けた杭頭免震構造において、免震装置を交換する際に、基礎杭の耐震性能を保持した状態で、前記基礎杭の杭頭部の周りに周囲が四角形状の所要厚みで所要大きさの反力受け部材を前記基礎杭と一体的に構築したことによって、前記反力受け部材に対応する位置で、少なくとも滑り材とジャッキとで構成された免震機能を有する支持部材を複数箇所に設置して前記上部構造体の免震状態と共に基礎杭の耐震性能を保持したままで、上部構造体の荷重を支持させる前記支持部材の反力を杭に伝達することが可能になり、既設免震装置を新たな免震装置と交換することができる、というものである。
第3の公知技術については、基礎杭又は基礎地盤上に設けられた固定基礎部と、この固定基礎部上に据え付けられた免震装置と、該免震装置を介して前記固定基礎部上に支持されたコンクリート部材で、建築物の柱下端を支持する構造体基部と、を備えた免震基礎における免震装置の取り換え方法であって、該免震基礎の構築時に、ほぼ水平方向に前記構造体基部を貫通し、PC鋼材を挿通することができるダクトを設けておき、免震装置を取り換える必要が生じた時に、前記ダクトにPC鋼材を挿通し、このPC鋼材に緊張力を導入して、両端をコンクリートに定着し、免震装置の周囲で前記固定基礎部と構造体基部との間にジャッキを介挿して前記構造体基部を持ち上げ、既存の免震装置の撤去および新たな免震装置の据え付けを行い、前記構造体基部を降下して新たな免震装置の上に載置する免震装置の取り換え方法、である(特許文献3)。
上記第3の公知技術による免震装置の取り換え方法では、免震装置の取り換えの必要が生じたときには、PC鋼材をダクトに挿通し、プレストレスを導入するので、構造体基部が補強され、構築時には免震装置の取り換えを想定した部材寸法の設定、補強が行われていなくても、ジャッキで持ち上げ、免震装置の取り換えを行うことができる、というものである。
また、免震装置の交換については一切言及されていないが、免震構造物のプレストレス導入に関する公知技術を、第4の公知技術として引用する。
この公知技術は、上部躯体と下部躯体との間に、免震装置を介在させてある免震建物であって、前記上部躯体は、柱部と梁部とを、プレストレス導入用長尺体の緊張によって連結してあり、前記免震装置は、免震装置本体の上部に一体に連結ブロックを設けて構成してあると共に、前記連結ブロックには、その側方に配置する梁端部を載置自在な載置部が形成してあり、前記上部躯体における最下部の梁部は、前記連結ブロックの前記載置部上に梁端部を載置した状態でプレストレス導入用長尺体の緊張によって前記連結ブロックと連結してなる免震建物構造、である(特許文献4)。
上記第4の公知技術による免震建物構造によれば、前記上部躯体は、柱部と梁部とを、プレストレス導入用長尺体の緊張によって連結してあるから、上部躯体としての剛性を高いものとすることが可能となり、地震に伴う上部躯体の変形を抑制して前記免震装置の免震作用をより効率よく発揮させることが可能となる、というものである。
特許第3756158号の特許公報 特許第6031626号の特許公報 特開平9−3921号の公開特許公報 特許第3916336号の特許公報
前記特許文献1では、ジャッキアップして一定以上の隙間を形成しすることによって上部構造に、上向きの変形量が形成され、該変形量によって上部構造にひび割れなどの悪影響が生ずることについて、一切言及されていないのである。
前記特許文献2、3では、フーチングの周囲に反力受部材を設けたり、フーチングに設けたダクトにPC鋼材を挿通してプレストレスを導入して、ジャッキアップによる一定以上の上向き変形による上部構造のフーチングのひび割れを防止するというものであるが、現実的にはコンクリート部材の基礎梁に付加応力が発生してひび割れや損傷を与えることを回避することができていないという問題点を有している。
さらに、前記文献4では、コンクリート部材とする梁断面にPC鋼材を配設し緊張定着してプレストレスを導入することが記載されている。記載されたPC鋼材の配置は、設計荷重による梁断面に生じる曲げモーメントの作用方向に対応させてPC鋼材を梁断面に偏心させて配置することが開示されている。設計荷重には長期荷重(固定荷重+積載荷重)と短期荷重(地震や風力による水平荷重)とがあるが、長期荷重作用時に、梁の中央断面に正曲げモーメントが生じるから、それに対応するようにPC鋼材の図心を梁断面図心の下方に偏心させて配設し、梁端部の断面に負曲げモーメントが生じるから、それに対応するPC鋼材の合計した図心を梁図心の上方に偏心させるように配置しており、しかも長期荷重の作用方向は一定であり梁断面に生じる曲げモーメントも一定であるから変化することはないのであり、仮に、免震装置の交換時にフーチングをジャッキアップして、コンクリート部材の基礎梁端部に一定以上の上向き変形に対しては予定していないので、PC鋼材よる曲げ耐力があればよいとして、ひび割れの発生を許容することとしている。
そこで、本発明は、前記従来技術における問題点を解決し、免震装置を交換する際に、ジャッキアップしてフーチングを持ち上げて所要の上向き変形量を形成しても、当該上向き変形量による基礎梁に生ずる付加応力を合理的なプレストレスの導入により打ち消し可能にしたプレストレス導入方法を提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するための具体的手段として、本発明は、上部構造と下部構造との間に免震装置が設置された免震建物構造であって、免震装置の上に、コンクリート部材とする基礎梁とフーチングが設けられ、フーチングを貫通して基礎梁に免震装置交換に備えたPC鋼材を配置して緊張定着して梁断面に一様なプレストレス分布を形成し、免震装置交換時に、ジャッキアップしてフーチングを持ち上げて所要の上向き変形量を形成し、当該上向き変形量による基礎梁に生じる付加応力を打ち消し可能なプレストレスを導入してあることを特徴とする免震装置交換に備えたプレストレス導入法を提供するものである。
上記発明において、前記フーチングに貫通して基礎梁の端部より所定の長さまで緊張材用の挿入孔を設け、免震装置交換時に、前記免震装置交換に備えたPC鋼材とする緊張材を挿入孔に挿入して緊張定着して梁断面に一様なプレストレス分布を形成し、かつ、前記上向き変形量による基礎梁に生じる付加応力を打ち消し可能なプレストレスを導入し、免震装置交換後、前記緊張材の緊張定着を解除して免震建物構造の本来の使用状態に復旧すること、及び前記上向き変形量を最大20mmとすること、を付加的な要件として含むものである。
本発明に係る免震装置交換に備えたプレストレス導入法によれば、以下の効果を奏することができる。
1、ジャッキアップしてフーチングを持ち上げて所要の上向き変形量が形成され、免震装置の交換作業が可能になる。そして、上向き変形量による基礎梁に生じる付加応力が梁に導入されたプレストレスで打ち消される。しかも、基礎梁に生じる付加応力が断面位置によって変化することに対して、梁断面に一様なプレストレス分布を形成して、合理的に打消すことができる。
2、予めフーチングと基礎梁の端部に予備挿入孔を設けることによって、免震装置交換時に、緊張材を挿入孔に挿入して緊張定着して前記の付加応力を打ち消すことが可能となりひび割れを防止できる。さらに、免震装置交換後、緊張材の緊張定着を解除して免震建物構造の本来の使用状態に復旧することによって、免震装置の交換は基礎梁及び上部構造に一切の影響を与えることなく、建物の供用期間中に設計通りの構造性能を保つことができる。
本発明に係る免震装置交換に備えたプレストレス導入法が適用された免震建物の梁構造を示した平面図である。 図1のA−A線に沿う同免震建物の断面図である。 免震建物における免震装置を交換する際にジャッキが設置される状況を示した第1の実施例に係る要部のみの(一部)破断側面図である。 図3のB−B線に沿う底面図である。 図3のC−C線に沿う平面図である。 免震建物における中央部の免震装置を交換する一例を示すものであり、交換しようとする免震装置が設置されているフーチングをジャッキアップする状況を示した要部の側面図である。 同フーチングをジャッキアップして上向きの力で持ち上げた状態における基礎梁の上向き変形状況を示したイメージ図である。 同変形状況における基礎梁の上向き変形量によって斜めに変形して梁に生じた付加応力(Mδ)を示す説明図である。 同付加応力が前後・左右に生じる状態を略示的に示した説明図である。 本発明に係る第2の実施例に係る補助緊張材を配設する前の状態を示した要部のみの(一部)破断側面図である。 図10のD−D線に沿う底面図である。 同第2の実施例における補助緊張材を配設し緊張定着させた状態でジャッキを配設した前記図3と同様の要部のみを示した破断側面図である。 図12のE−E線に沿う底面図である。 同第2の実施例の他の例に係る補助緊張材を配設する前の状態を示した要部のみの(一部)破断側面図である。 図14のF−F線に沿う底面図である。 同第2の実施例の他の例における補助緊張材を配設し緊張定着させた状態でジャッキを配設した前記図3と同様の要部のみを示した破断側面図である。 図16のG−G線に沿う底面図である。
本発明を図示の実施の形態に係る具体例について説明する。まず、図1と図2について説明する。
免震建物構造1においては、例えば、下部構造として、地盤に打ち込まれた複数の基礎杭2の頭部近傍に水平繋ぎ部材3が設けられると共に、各杭頭部に天端調整台4が形成される。
前記天端調整台4の上部に夫々免震装置5が取り付けられて、免震層が形成される。その上に上部構造が構築される。
上部構造については、各免震装置5の上にコンクリート部材であるフーチング6が取り付けられ、該各フーチング6間に夫々コンクリート部材である基礎梁7が架け渡されて一体的に基礎構造が構築される。
各フーチング6にプレキャストPC柱8を立設させ、該プレキャストPC柱8は要するに顎9付のPC柱であって、外周柱は上端側の三面に、隅柱は二面に、及び中央柱は四面に予め顎9が一体的に形成された顎9付プレキャストPC柱8が使用され、立設した隣設の柱8間の顎9にプレキャストPC大梁10を載置して、現場打ちコンクリート柱梁接合部(パネルゾーン)によって連結すると共に、連結した対向する大梁10間には一方向に所要の間隔をもってプレキャストPC小梁11を配置し、さらに、各階毎にスラブ12を形成することで順次上層階が構築される。
このように構築される免震建物構造1において、免震装置5を交換する際に、ジャッキアップしてフーチング6を持ち上げることによりフーチング6と共に基礎梁7が上向きに変形することによる不都合を解消させることにあるので、本発明に係る第1の実施例を示した図3乃至図9について説明する。
まず、各基礎杭2の頭部側には水平繋ぎ部材3の方向、つまり、十字状に鉄骨のブラケット13が設けられ、該ブラケット13を包み込むように略四角形状のコンクリートの反力受部材14が予め一体的に形成されている。また、コンクリート部材である各基礎梁7とフーチング6とを貫通してダクト15を介して複数本、好ましくは上下・左右2段に渡って、免震装置5を交換可能に備えたPC鋼より線からなるPC鋼材16をクロス方向に夫々配置し、該PC鋼材16の図心は基礎梁断面に対して偏心させずに基礎梁断面の図心と一致するように配置し、該PC鋼材16の両端部は、夫々外周縁部のフーチング6の外側面で所要のプレストレスを導入し、基礎梁7の全長に渡って梁断面に一様のプレストレス分布を形成して緊張定着される。
このように各基礎梁7とフーチング6とを貫通し、所要のプレストレスを導入してPC鋼材16が配設されていることにより、例えば、中央部の基礎杭2における免震装置5を交換する際に、図3乃至図5に示したように、複数のジャッキ17を基礎杭2の反力受部材14とフーチング6との間に、例えば、レベル調整モルタル18や高さ調整ブロック19及び滑り材20等を介して設置する。この場合、4個のジャッキ17を鉄骨のブラケット13の上に位置するように等間隔で設置することにより、ジャッキ17の作動時に相当の重量が掛かっても反力受部材14は耐えられるのである。そして、設置したジャッキ17を作動(ジャッキアップ)して、フーチング6を持ち上げて免震装置5との間に数cm程度の隙間が形成されれば、図4に示したように、矢印a方向に免震装置5を出し入れ(交換)できるのである。
また、図6に示したように、中央部の免震装置5を交換する際に、ジャッキ17を作動(ジャッキアップ)して、上向きの力Fでフーチング6を持ち上げることにより、図7と図9に示したように、該フーチング6の左右(前後を含む)に連結してある基礎梁7に上向き変形量δによって斜めに変形し、図8に示したように、両側の基礎梁に付加応力(曲げモーメントと剪断力)が生ずる。図示では、剪断力の図示を省略して、曲げモーメントMδを示しているが、その付加応力の曲げモーメントMδの分布は、梁断面位置によって変化するし、持ち上げたフーチング6側と交換しない隣接のフーチング6側とでは、曲げモーメントMδの作用方向も正・負の関係で異なる。更に,同じ基礎梁であっても、最初に交換する時に生じた付加応力(Mδ)と、次に隣接箇所の免震装置を交換する時に生ずる付加応力(Mδ)とでは正・負の作用方向が逆になる。このように基礎梁に生ずる付加応力(Mδ)に対して、従来のPC鋼材の配設方法では打ち消すことができず、梁端にひび割れを生ずる結果を招来していたのである。なお、フーチング6は基礎梁7と較べて剛性が大きいため変形しないものとする。
本発明では、前記したようにPC鋼材16の図心を基礎梁7の断面の図心に対して偏心させずに一致させて配設し、梁断面に一様なプレストレス分布を形成、つまり、P/Aの形を形成(P:プレストレス、A:梁断面積)することによって、免震装置5を交換する際に生ずる付加応力(Mδ)を簡単かつ合理的に打ち消すことができるのである。しかも、免震装置5の交換作業に必要とされる隙間の形成、つまり、フーチング6を上向きに持ち上げる変形量を20mmまで形成しても、付加応力(Mδ)を打ち消すことができるプレストレスを導入することができるのである。
次に、本発明に係る第2の実施例について、図10乃至図13を用いて説明する。なお、前記第1の実施例と同一部分については、同一符号を付してその説明は省略する。
この第2の実施例においては、基礎梁7と同じ高さで両端部側に所要長さに渡って水平ハンチ21を一体的に形成し、該水平ハンチ21及びフーチング6を貫通して補助緊張材を挿通できる複数の予備孔22を予め形成しておき、該予備孔22の図心を水平ハンチ21の図心と一致するように設けてある。そして、前記第1の実施例と同様に、全部の基礎梁7にはフーチング6を貫通した状態で複数のPC鋼材16が梁断面に一様なプレストレス分布を形成するように緊張定着されており、普段は図10および図11に示した状態で免震建物構造1として使用されている。
ところで、当該フーチング6に設置してある免震装置5を交換する必要が生じた時に、図12および図13に示したように、各予備孔22に夫々補助緊張材のPC鋼材23を挿通し、該PC鋼材23の両端部は両側の水平ハンチ21の端面で緊張定着し、梁端部にプレストレスを導入する。この状態で図示したようにジャッキ17を作動(ジャッキアップ)して、フーチング6を持ち上げることにより、前記実施例でも説明したように付加応力が梁端部では大きいが、梁中央部に向かってだんだん小さくなるので、それに合わせて水平ハンチ21部に形成されるプレストレスを大きくし、中央断面に行くにしたがって小さくしてあり、PC鋼材23の配置を合理的かつ経済的にすることができるのである。さらに、水平ハンチ21に配設されるPC鋼材23は、主として梁端の付加応力を打ち消す役割を果たすもので、免震装置5の交換後にPC鋼材23の緊張定着を解除して取り外せば、常時設計荷重のみ作用する状態に復帰し、免震建造物としての機能を設計通りに保持することができる。
さらに、第2の実施例における他の例について、図14乃至図17について説明する。なお、前記第1の実施例と同一部分については、同一符号を付してその説明は省略する。
この他の実施例は、要するに、水平ハンチ21を設けずに、フーチング6を貫通して基礎梁7の端部に所要長さまで補助緊張材が挿入できるように予備孔22を設けることである。この場合に、複数の予備孔22ではなく、1個の大きめの予備孔22であっても良く、該予備孔22の両端部は基礎梁7の上面に開口させ、該開口部にコッター24を形成し、該コッター24において挿通した補助緊張材のPC鋼材23の端部を定着具25で強く緊張定着することができ、しかも基礎梁7の上面で補助緊張材の挿通及び締め付けの作業ができるので作業性が良好である。
そして、免震装置5の交換後に補助緊張材のPC鋼材23の緊張定着を解除して取り外せば、前記と同様に、常時設計荷重のみ作用する状態に復帰し、免震建造物としての機能を設計通りに保持することができる。
また、第2の実施例においても、免震装置5を交換する際に、ジャッキ17を作動(ジャッキアップ)して、上向きの力Fでフーチング6を持ち上げることにより、基礎梁7に上向き変形量δによって斜めに変形し、両側の基礎梁に付加応力(曲げモーメントMδ)が生ずること、及びその付加応力の曲げモーメントMδの分布は、梁断面位置によって変化するし、持ち上げたフーチング6側と交換しない隣接のフーチング6側とでは、曲げモーメントMδの作用方向も正・負の関係で異なること等について、フーチングをジャッキアップして上向きの力で持ち上げた状態における基礎梁7の上向き変形状況についてのイメージは、前記第1の実施例で説明した通りであるので、その図示及び詳細な説明は省略する。
そして、この第2の実施例においても、PC鋼材16の図心を基礎梁7の断面の図心に対して偏心させずに一致させて配設し、梁断面に一様なプレストレス分布を形成することによって、免震装置5を交換する際に生ずる付加応力(Mδ)を簡単かつ合理的に打ち消すことができるのである。また、免震装置5の交換作業に必要とされる隙間の形成、つまり、フーチング6を上向きに持ち上げる変形量を20mmまで形成しても、PC鋼材16の緊張定着によって付加応力(Mδ)を打ち消すことができるプレストレスを基礎梁7に導入することができるのである。
なお、本願明細書においてPC柱及びPC梁とは、プレストレストコンクリート構造とするものである。
本発明に係る免震装置交換に備えたプレストレス導入法は、上部構造と下部構造との間に免震装置5が設置された免震建物構造であって、免震装置5の上に、コンクリート部材とする基礎梁7とフーチング6が設けられ、フーチング6を貫通して基礎梁7に免震装置交換に備えたPC鋼材16を配置して緊張定着して梁断面に一様なプレストレス分布を形成し、免震装置交換時に、ジャッキアップしてフーチング6を持ち上げて所要の上向き変形量を形成し、当該上向き変形量による基礎梁7に生じる付加応力(Mδ)を打ち消し可能なプレストレスを導入してあること、および前記フーチング6に貫通して基礎梁7の端部より所定の長さまで補助緊張材用の挿入孔22を設け、免震装置交換時に、前記免震装置交換に備えたPC鋼材16の他に、補助緊張材とするPC鋼材23を挿入孔22に挿入して緊張定着して梁断面に一様なプレストレス分布を形成し、かつ、前記上向き変形量による基礎梁7に生じる付加応力(Mδ)を打ち消し可能なプレストレスを導入し、免震装置交換後、前記補助緊張材23の緊張定着を解除して免震建物構造の本来の使用状態に復旧すること、さらに、前記上向き変形量を最大20mmとすることによって、前記基礎梁7に生じる付加応力(Mδ)を打ち消すことが可能となりひび割れを防止できるので、予め免震建造物1に適用され、該免震建造物1おける免震装置5の取り換え工事において広く使用可能となるものである。
1 免震建物構造
2 基礎杭
3 水平繋ぎ部材
4 天端調整台
5 免震装置
6 フーチング
7 基礎梁
8 プレキャストPC柱
9 顎
10 プレキャストPC大梁
11 プレキャストPC小梁
12 スラブ
13 ブラケット
14 反力受部材
15 ダクト
16 PC鋼材
17 ジャッキ
18 レベル調整モルタル
19 高さ調整ブロック
20 滑り材
21 水平ハンチ
22 予備孔(挿入孔)
23 補助緊張材のPC鋼材
24 コッター
25 定着具

Claims (3)

  1. 上部構造と下部構造との間に免震装置が設置された免震建物構造であって、
    免震装置の上に、コンクリート部材とする基礎梁とフーチングが設けられ、フーチングを貫通して基礎梁に免震装置交換に備えたPC鋼材を配置して緊張定着して梁断面に一様なプレストレス分布を形成し、
    免震装置交換時に、ジャッキアップしてフーチングを持ち上げて所要の上向き変形量を形成し、当該上向き変形量による基礎梁に生じる付加応力を打ち消し可能なプレストレスを導入してあること
    を特徴とする免震装置交換に備えたプレストレス導入法。
  2. 前記フーチングに貫通して基礎梁の端部より所定の長さまで補助緊張材用の挿入孔を設け、
    免震装置交換時に、前記免震装置交換に備えたPC鋼材とする補助緊張材を挿入孔に挿入して緊張定着して梁断面に一様なプレストレス分布を形成し、かつ、前記上向き変形量による基礎梁に生じる付加応力を打ち消し可能なプレストレスを導入し、
    免震装置交換後、前記補助緊張材の緊張定着を解除して免震建物構造の本来の使用状態に復旧すること
    を特徴とする請求項1に記載の免震装置交換に備えたプレストレス導入法。
  3. 前記上向き変形量を最大20mmとすること
    を特徴とする請求項1または2に記載の免震装置交換に備えたプレストレス導入法。
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