JP2011038294A - 付加質量制震建物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 地震時の振動エネルギーを有効に吸収する付加質量制震建物
【解決方法】 1層〜5層程度の低層建物本体と、、前記建物本体上部に搭載された固有周期延長構造体とを有する付加質量制震建物であって、前記固有周期延長構造体は、付加質量1t当たり0.02kN/cm≦k≦0.1kN/cmの水平剛性kと、付加質量1t当たり0.01kN・sec/cm≦cの減衰係数cを有する支承部と、当該支承部によって支持された建物本体重量の10%以上である付加質量とを有し、一次水平固有周期が2秒以上である付加質量制震建物。
【選択図】 図1

Description

本発明は、制振構造を有する建物および制振構法に関するものである。本発明は、さらに、建物の上部に設けた支承部によって、建物本体の重量に対して10%以上の重量を有する付加質量を支持することによって、地震時に建物本体に作用する地震荷重(水平加重)を低減し、あわせて建物本体および付加質量の地震時の変位を所定の値以下に低減する付加質量制震建物および構法に関するものである。
建物構面の耐震壁等にエネルギー吸収装置を設置し、建物各階に働く水平方向の力を制御(建物の層間変形に対する抵抗力を発揮するとともに変形の振動エネルギーをエネルギー吸収装置によって吸収して振動を抑制)するいわゆるパッシブ制振構法が存在する。一方、建物の立地条件によっては、交通振動や強風などの影響による不快な微振動の低減のために質量慣性制振装置(TMDとも称する)を設置する場合がある。
TMD(同調質量制振)は風や交通振動などの環境振動対策として用いられるが、振動の大きな地震に用いるには制震能力が十分でない。屋上または建物内に付加質量を支承して建物の1次固有周期に付加質量の固有周期を同調させる従来のTMDは、付加質量を相対的に大きくしても建物本体の振動を低減できず、地震動にかえって建物本体に大きな地震力を生じてしまう可能性すらある。屋上にTMDにおいて通常考えられている以上の大質量を搭載し、一見建物の耐震設計にとっては不利に見えるが、その作用メカニズムと構造パラメータを適切に設定することでTMD以上の制震効果を発揮し、同時に変位を抑制することができることは本発明者が新たに発見した事実である。
特開平11−93458号公報(特許文献1)には、建物本体、付加質量体及び弾性体からなる系に意図的にホイッピング現象を発生させることにより、付加質量体及び弾性体に地震エネルギを集中化させる技術が記載されている。この技術では、建物本体と付加質量体の質量比、バネ定数比の関係を適切に設定することにより、水平振動において付加質量体を建物本体と同方向に変位させて、ホイッピング現象を生じさせて建物を制震する。また、弾性体を塑性変形させて振動エネルギーを吸収(減衰機能)する。
特開平8−284471号公報(特許文献2)には、構造物の吊床を付加質量として構造物の振動周期を長周期化して入力加速度を減少させると共に、付加質量の水平変位をダンパーで制御し、ダンパーのエネルギー吸収により制震する技術が開示されている。
特開2000−045561号公報(特許文献3)には、比較的大きな振動を減衰させる油圧ダンパーと比較的小さな振動を減衰させる減衰機構とを直列に配置して、大地震による水平力と交通機関等による環境振動の対策を1つの装置で兼ね備える制振ダンパー(ブレースダンパー)が開示されている。
これらは、大地震時に建物本体の振動(変形)を吸収し、建物の被害を軽減できるので好ましい。しかし、一般に低層で小規模な住宅では、載荷できるTMD等の重量に制限があり、環境振動の微振動から大地震の大きな振動までをカバーする付加質量制振構造は存在していなかった。さらにこれら文献には、建物の変位をどの程度に低減させるかについては、言及されておらず、低層住宅など短周期で重量が軽い建物に有害(建物外壁や石膏ボードの破壊)な変形を抑えられる設計方法が確立されていないのが現状である。
さらに、建物の上部に付加質量を搭載し、これによって地震動のエネルギーを吸収させる際には必然的に付加質量の地震時の変位が大きくなり、極端な場合には平面視において建物の外周よりも外に出てしまうことも起こりえる。そのような大変位は構造物としての安定を損なうばかりでなく、衝突による建物の損壊あるいは隣接建物にまで影響を及ぼすことも考えられるが、このような課題については従来認識されていなかった。
特開平11−93458号公報 特開平8−284471号公報 特開2000−045561号公報
本発明は、従来技術が有する上記の課題を解決することを目的としたものであって、基礎免震より低廉なコストで、1つの装置で環境振動(微小振動)から大地震までの制振効果を得る制震装置を備え、かつ大地震にあっては下部建物の各層が降伏しない付加質量制震建物を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、耐震要素の増量により地震時の応答低減を図ることによって平面計画が阻害されるような場合にも効率よく地震時の建物応答変位を下げること、あるいは、耐震要素(筋交い、ブレース、ラーメンフレーム)の量を増やして鉄骨造や木造のような剛性の低い建物の耐震性を高める際の問題、つまり、ある水準までは効果的に(安く、簡便に)対策ができるが、間取りの規制が強くなって、ある水準以上に耐震性を高めることは難しくなるという問題を解消して高水準の耐震性能を実現することを目的とする。
これにより本体の被害が軽微に留まることが期待され、さらに建物の安定性および隣接建物への悪影響の防止を図ることができる。
また、一般的な制震構造においては、建物の層間変形を利用するために、制震効果を得るためには、ある程度大きな層間変形が発生することが前提となるのに対して、本発明は、大きなコスト増無しに層間変形を減少させ、即ち建物被害を小さく留めたままで地震のエネルギーを処理できる制振構法を実現する。特に工業化住宅など規格化された小規模な構造物(短周期)での簡易かつ標準的な制振建物を提供することを課題とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、1層〜5層程度の低層建物本体と、
前記建物本体上部に搭載された固有周期延長構造体とを有する付加質量制震建物であって、前記固有周期延長構造体は、付加質量1t(トン)当たり0.02kN/cm≦k≦0.1kN/cmの水平剛性kと、付加質量1t当たり0.01kN・sec/cm≦cの減衰係数cを有する支承部と、当該支承部によって支持された建物本体重量の10%以上、好ましくは40%以上である付加質量とを有し、一次水平固有周期が2秒以上である付加質量制震建物を提案する。
また、前記建物本体は、前記建物本体の1次固有周期が0.5(sec)程度またはこれより短い建物本体ということができる。
本明細書において固有周期とは、特に断らない場合、水平方向の変形に対する1次の固有周期をいうものとする。固有周期が0.5秒程度またはこれより短い建物本体とは、主に低層(1層〜5層程度、1層分の階高3m前後(2.5〜5m))の住宅建物が代表的な例であるが、建物のスケルトン(骨組)状態における固有周期の値(例えば、建物本体が軸組構造である場合は、柱、梁および耐力パネルで構成された状態における値)が略0.5秒前後であるかこれより短い固有周期であることを特定したものである。さらにスケルトンに帳壁や内部間仕切壁等の非構造部材を取り付いた状態における固有周期の値は、一般に約0.2〜0.3秒程度となる。なお、建物の用途は、住宅に限定されず、オフィス、学校、工場、倉庫、駐車場、店舗等の建物であっても同様に含まれる。
本明細書において建物本体とは、建物の、固有周期延長構造体を支持する部分を指しており、一般に建物本体と呼ばれる部分とは異なる場合がある。例えば、下の段落で記載するように、一般には屋根構造も建物本体に含まれるとしても、屋根構造を固有周期延長構造体の一部として用いる場合には、建物本体には屋根構造は含まれない。また、搭載されたとは、重力による荷重を支持することを意味しており、支承部が圧縮力を受ける場合と引っ張り力を受ける場合の両方を想定している。
水平剛性kは、付加質量1t当たり0.02kN/cm≦k≦0.1kN/cmであるのが望ましい。この範囲内の剛性は、積層ゴム、軟鋼フレーム等比較的柔らかい部材を用いることによって実現することができる。0.01kN・sec/cm以下の減衰係数は、オイルダンパー、粘性ダンパー、粘弾性体ダンパー、降伏後の塑性変形を利用したダンパー、鉛ダンパー、摩擦ダンパーなどによって実現することができる。付加質量は、建物本体重量の10%以上、好ましくは40%以上が必要であるが、通常時と地震時において建物本体の部材設計に負担でない範囲で適宜選択することができる。
前記建物は、支承部が弾性変形する範囲において1次固有周期が2.0秒以上であるのが好ましい。風荷重などによって固有周期で常時振動することを抑制するためには、一定の水平加速度までは高い剛性を有する鋼材のようなものをスレッシュホールド部材として用いてもよい。建物本体の固有周期が0.5秒程度またはこれより短いのに対して、建物の1次固有周期が2.0秒以上と長くなっているのは、固有周期延長構造体の効果である。
建物の固有周期が0.5秒未満から、2.0秒以上に長くなることによって、地震動の加速度応答、すなわち建物が負担する地震荷重を低減することができる。
前記固有周期延長構造体自体の固有周期は、前記建物本体自体の固有周期と実質的に一致するものであってもよい。この場合、建物本体の固有周期に相当する地震動の入力成分に対する建物の応答を有効に低減することができる。
前記減衰は、履歴型減衰機構によって得られる等価減衰であっても良い。この場合の、減衰機構が履歴を描き始める限界水平荷重は、付加質量に重力加速度を掛けた値の0.1以上0.5以下の範囲で選択することもできる。これはすなわち、0.1Gないし0.5Gの静的水平加速度によって減衰機構が履歴を描き始めることに相当する。さらに、この場合、支承部がすべりを生じる加速度は、建物本体の構造部材が損傷を受ける加速度よりも小さいのが好ましい。このように設定することによって、地震時に、建物本体の構造部材が損傷受ける前に支承部がすべりを生じて振動エネルギーを吸収し、建物の応答を低減することができる。建物本体の構造部材とは、耐震設計において荷重を負担すると考えられる部材である。もちろん、支承部は、より小さな加速度ですべりを開始するものであってもよい。
設計用地震動に対する地震応答時の等価減衰定数は、例えば0.05以上0.3以下の範囲であってもよい。本明細書において等価減衰定数は、吸収エネルギー、最大応答変位、最大応答速度等の指標が実質的に等しくなる粘性減衰の大きさをいう。
前記支承部は建物の屋根構造よりも下の部分と屋根構造との間に設けられており、前記付加質量は建物の屋根構造を含む構造であってもよい。付加質量が屋根構造だけである場合には、別途付加質量を設けることなく本願発明の構造を実現することができるので、部材設計の面からも施工期間の面からも経済的である。前記付加質量は、屋上庭園、塔屋、貯水槽、防水層保護コンクリート版、特に設けた重量物の内のいずれか、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。特に設けた重量物とは、例えばコンクリート塊のようなものである。
耐震設計において想定される最大地震時において、前記付加質量が平面視において建物外周よりも突出することの無いよう水平変位が制御されているのが好ましい。そのためには、地震応答解析等を通じて付加質量と支承の特性(剛性と減衰係数または等価粘性減衰定数)を適宜選択することが必要である。付加質量が平面視において建物外周よりも突出することの無いよう水平変位を制御することによって、地震時の付加質量の大変位によって建物が損傷を受けるようなことが防止される。地震時における隣接地への越境等の建物の振れの影響も最小限に抑えることができる。
前記減衰係数を規定するエネルギー吸収機構は、粘性ダンパー、オイルダンパー、極低降伏点鋼材、高減衰ゴム、摩擦材を用いたすべり板の何れかであってもよい。
建物本体は、鉄骨軸組構法によって構成されているものであってもよい。その場合、鉄筋コンクリート建物などに比較して建物本体の重量が軽量であるため、付加質量自体もまた軽量化することができる。
建物本体の外壁は、軽量気泡コンクリート等のパネルを用いた帳壁構造であり、軸組を利用して並列に設置してあるものであってもよい。さらに、前記帳壁間に弾性シーリングまたは粘弾性シーリングが充填されていてもよい。このような建物の場合、地震時に帳壁が損傷を受ける本体の層間変位を比較的大きく設定することができ、したがって、本発明を適用することによって大地震時においても帳壁が損傷を受けないよう設計することが可能になる。
前記建物本体の軸組構面内には、エネルギー吸収機構が備えられていてもよい。本願発明は、付加質量と支承部の効果によって地震時の振動エネルギーが建物に入らないようにするとともに振動エネルギーを吸収するものであるが、建物本体が別途エネルギー吸収機構を有する構造を排除するものではない。
建物は、モジュール化された寸法を有する部材によって構成されており、平面視において前記付加質量と建物外周に確保されているセットバックもまたモジュール化された寸法であるものであってもよい。これにより付加質量部分の水平挙動範囲や支承部材等の設置位置を設計しやすい。前記支承部は、積層ゴムを含むものであってもよいが、これと直列あるいは並列にエネルギー吸収機構、ストッパー、スレッシュホールド機構が設けられていても良い。
前記支承部は建物の屋根構造よりも下の部分と屋根構造との間に設けられており、前記付加質量は建物の屋根構造を含むものであってもよい。当該構造であれば、格別に設ける付加質量を低減することができる。
前記付加質量は、屋上庭園、塔屋、貯水槽、防水層保護コンクリート版、特に設けた重量物の内の少なくとも1つを含むものであってもよい。
本発明によれば、基礎免震より低廉なコストで、1つの装置で環境振動(微小振動)から大地震までの制振効果を得る制震装置を備え、かつ大地震にあっては下部建物の各層が降伏しない付加質量制震建物を得ることができる。さらに、耐震要素の増量により平面計画が阻害される場合に、平面計画を阻害せずに効率よく地震時の建物応答変位を下げる効果、および、鉄骨造や木造のような剛性の低い建物の耐震性を高める際の間取りの規制を緩和する効果が得られる。また、本発明により本体の被害が軽微に留められ、建物の安定性、隣接建物への影響の防止を図ることができる。本発明によって、大きなコスト増無しに層間変形を減少させ、即ち建物被害を小さく留めたままで地震のエネルギーを処理できる制振構法が提供される。特に工業化住宅など規格化された小規模な構造物(短周期)での簡易かつ標準的な制振建物を提供することができる。
本発明に基づく付加質量制震建物の振動モデル 本発明に基づく建物の第1の実施例を示す概念図 付加質量の支承剛性と地震時の建物第1層の層間変位の関係を示すグラフ 付加質量の飛翔剛性と地震時の付加質量部の変位(変形)を示すグラフ 本発明に基づく建物の第2の実施例を示す概念図 本発明に基づく建物の第3の実施例を示す概念図 本発明に基づく建物の第4の実施例を示す概念図 本発明に係る実施例の建物本体の外壁パネルのロッキングを模式的に示したもの 本発明に係る実施例の建物本体の外壁パネルのロッキングを模式的に示したもの 本発明に係る実施例の建物本体の外壁パネルの弾性(粘弾性)シーリングを含む水平断面図 付加質量の支持剛性と建物の固有周期の関係を示す解析結果
以下に、実施例に基づいて本発明の具体的な態様を説明するが、実施例は発明の理解を助けるために記載するに過ぎないものであるから、本発明は以下に記載する実施例に限定されるものではないことはいうまでも無い。
図1は、本発明の振動体としての構造を、付加質量を有する2層建物を例にとってごく単純化して示したものである。第1層の質量を10、第2層の質量を12、付加質量を20として、本発明を適用した2層建物は3自由度系(質点系)の振動モデルで表現することができる。
図2は、本発明に基づく付加質量制震建物の概念を示す模式図である。平屋根を有する2層の建物本体100、120に固有周期延長構造体200が搭載されている。付加質量の重量(質量)は、建物本体の重量(質量)の略40%(10%以上、好ましくは40%以上)である。付加質量が建物本体の重量の約40%である例を図示したが、付加質量が建物本体の重量の10%程度以上であれば、以下に記載する付加質量制振の効果を期待することができる。付加質量は、単に質量効果のみを発揮するためのコンクリートブロックのようなものであってもよいが、屋上床板、防水層の保護、ひさし等を兼用することもできる
解析対象は、具体的には以下のような構造を有する建物をモデル化したものと考えることができる。すなわち、低層鉄鋼系工業化住宅の軸組構造に耐力パネルおよび非構造部材である軽量気泡コンクリ−ト(ALC)帳壁および石膏ボードに内部壁(間仕切り壁)を有する構造形式である。ALC帳壁は、上下の鉄骨梁にピン接合され、建物の水平変形とともに個別に回転する。隣接するALC帳壁間は弾性シーリング材により目地つめされているので、弾性シーリング剤の上下方向(および水平方向)のせん断変形は、建物の水平抵抗力の一部を構成する。石膏ボード壁は、間仕切り壁の下地にビス固定された面内せん断抵抗要素である。
耐力パネルは、トリリニアの復元力の特性を有するものとしてモデル化できる。ALC帳壁と石膏ボード壁の復元力モデルは、木造耐力壁の荷重変形特性に対応する復元力モデルである大橋モデルを参考とした真柄らのモデルである。本モデルは、正負交番加力の包落線に相当する骨格曲線及び特定点などのパラメータで規定された最大点志向型の復元力モデルである。
建物本体は、質点系モデルとして時刻歴応答解析を行った。第1層せん断力係数を、0.47として建物強度設計を行った。
地震応答解析に用いた建物本体の第1層水平剛性は、5.49(tf/cm)、第2層水平剛性は、5.49(tf/cm)の90%とした。粘性減衰定数は、対象建物の1次モードに対して、初期剛性比例型0.01とした。当該解析においては、第1層、第2層の質量の大きさを、それぞれ6.83t、4.78t、とした。なお、建物本体の各層の階高hは、約3m(第1層部分(基礎天端から1層梁)、第2層部分(1層梁から2層梁)とも2.89m)である。
建物の最上部に設置する付加質量部分は、4.78tである。支承部は、初期剛性が0.1〜2.0(kN/cm)の弾性型とする。減衰係数cは0.05〜0.20kN・sec/cm)の間で変化させてそれぞれ地震応答解析を行った。この減衰係数cは、付加質量1tあたりでみると、0.01〜0.4(kN・sec/cm)の間である。
地震応答解析に用いた地震動は、気象庁から発表されている兵庫県南部地震であるJMAkobeNS波である。上記モデルにおいて、付加質量を搭載しない建物本体(軸組構造の柱、梁および耐力パネルで構成された状態)の1次固有周期が、0.5(sec)であるのに対して、付加質量の支承剛性を0.5(kN/cm)以下にすると、付加質量を含む建物の1次固有周期は2.0(sec)以上に長周期化した。ただし、付加質量を搭載しない建物についても、地震時に建物本体が塑性化することを考慮すると、地震応答時の実効的な固有周期に相当する卓越周期は0.5〜0.8(sec)程度になる。図11は、付加質量の支承剛性kと建物全体の1次固有周期の関係を図示したものである。
図3は、付加質量を建物本体重量の約40%と設定した構造において地震応答解析を行い、付加質量の支承剛性と建物本体の層間変形の関係を示したものである。図から明らかなように、付加質量の支承剛性が、2.0(kN/cm)以下の範囲において、付加質量無しの場合の層間変位に対して、付加質量を設けた場合の建物本体層間変位は低減されている。さらに、付加質量の支承剛性が、1.2(kN/cm)程度以下であれば減衰係数(図3および図4では、cの代わりにcと示す。以下同じ。)によらず付加質量無しの場合の半分程度以下に応答変位が抑制されている。0.1〜0.5(kN/cmの範囲)(付加質量1t当たり約0.02〜0.10(kN/cm)の範囲)が特に優れ、減衰係数0.15(kN・sec/cm)以下である場合に第1層部分の層間変位が、階高約3mに対して、3cm未満(層間変形角γは、1/100程度)となっている。このとき、2層床高さの速度は、付加質量を搭載しない場合の半分程度に低減され、速度値が30cm程度であり、室内の家具の転倒を防止できることが期待される。
図4は、付加質量の支承剛性と付加質量部分の変位(層間変形)の関係を図示したものである。付加質量の支承剛性が高い場合に付加質量部の変形が大きい傾向がある。減衰係数0.20(kN・sec/cm)を例にとれば、付加質量の支承剛性が1.0(kN/cm)以下であれば、付加質量部の変形は20cm程度以下である。付加質量部の変形が30cm未満であることを条件とすれば、同減衰係数0.10(kN・sec/cm)以上の場合には、付加質量の支承剛性は2(kN/cm)以下であれば十分余裕がある。同減衰係数0.05(kN・sec/cm)に関してみれば、付加質量の支承剛性が0.5(kN/cm)の場合に付加質量部の変形を30cm以下に抑えることができる。このことは、本実施例において、付加質量の支承部の減衰係数cを質量1tあたり0.01(kN・sec/cm)より大きくすることにより付加質量の変位を30cm以下に抑えられることを示している。
図5は、本発明の第2の実施例について模式的に示したものである。図において224で示した部材は太陽光発電パネルや屋上庭園など、一定の機能を有するものであるが、ここでは付加質量の一部として用いている。さらにこれらは、例えばRC版からなる屋上床板222に支持されている。これらの太陽光発電パネル224と屋上床板222は、弾性支承210と粘性ダンパー212によって建物本体上部に支持される構造である。
図6は、本発明の第3の実施例を模式的に示したものである。この実施例においては、建物の屋根構造あるいは小屋が付加質量として用いられている点が特徴である。屋根構造は、本来の屋根構造そのものであってもよいし、さらに付加質量を追加して重量を調節したものであってもよい。支承部210と滑り板とを有する支承であってもよいし、積層ゴムのみからなる支承を用いることもできる。図示した実施例では、支承とは別に(支承と並列に)ダンパー212が用いられている。このような構成とすることによって、制震のために設ける付加質量を最小限にして所期の効果を発揮することができる。
図7は、本発明の第4の実施例を模式的に示したものである。当該実施例においては、建物の屋上に設けられた水槽220が付加質量として使用されている。付加質量は水槽に限定されるものではなく、建物の第3層部分、ペントハウス等であってもよい。第4の実施例の建物は、建物外周を構成する1層から2層部分の外壁面に対して、付加質量部分である水槽220等の側面は、後退させた形状で構成されている。これらの構造を構成する部材は、統一した設計モジュール寸法によりモジュール化された寸法を有する部材によって構成されており、平面視において前記付加質量と建物外周に確保されているセットバックもまたモジュール化された寸法であるものであってもよい。すなわち、設計モジュール寸法の単位が305mmであった場合において、後退寸法を305mm、610mm、915mm・・・とすることが考えられる。これにより、凸凹を有する複雑な平面形状の建物本体であっても地震時に付加質量部分の水平変位の領域がモジュール寸法により囲まれた領域となり、建物設計における付加質量部分の水平変位の影響を設計段階で把握しやすく、かつ地震時に付加質量部分の支承部やストッパー等を構成する部材を、建物軸組を構成する梁等に合わせて、接合することができる等、付加質量部分の水平挙動範囲や支承部材等の設置位置を設計しやすい。
以上の記載から明らかなように、既に述べた効果に加えて、本発明によれば、本発明は付加質量の慣性の作用により、建物本体の変位、速度、加速度を低減するものであり、従来技術とは原理が全く異なる。すなわち、従来技術によれば、低層建物(住宅等)において耐震要素(耐震壁であるブレース、筋交い、耐力壁、ラーメンフレーム等)を増量して水平剛性を上げて耐震性能を高めようとすると、意匠設計において間仕切り壁のない大空間を設けようとしても耐震壁がその真ん中に必要になる等の支障がでたり、構造計算において耐震要素を増量してもある水準を超えると応答低減の効率が低下してくるが、本発明によれば、付加質量の慣性の効果を利用して解決を図る効果を得られることができる。特に、住宅など短周期で比較的重量が軽い低層建物について、慣性質量の作用を用いて有害な変形(建物外壁や石膏ボードの破壊)を抑え、外壁や石膏ボードの破壊を抑える(層間変形角1/100程度以下)ことのできる低層建物を実現することも可能になる。
図8〜図10は、本発明に係る実施例の建物本体の外壁が、軸組を利用してパネルを並列に設置された帳壁構造である例を模式的に示したものである。図8(A)に図示したように、帳壁構造は、水平方向に伸びる上梁300と下梁310に対して縦長の長方形の形状を有する外壁パネル320、326を吊り込み金物(図示なし)、ボルト330、332によってピン接合の固定をした構造を有する。
例えば、鉄骨等の柱梁で構成された軸組の断面I形状(H型鋼)の上梁300と下梁310のフランジの長手方向に沿って設置した断面L型、T型のランナーに吊り込み金物で引っ掛けることにより外壁パネル320、326(軽量気泡コンクリートパネル等)が建物の構造躯体に夫々独立してロッキング工法によって揺動自在に支持して隣設された構造である。
「ロッキング」とは、本来「剛な盤上に置かれた剛体を転倒しない程度に傾けて放したとき、剛体の両脚部において衝突が交互に繰り返され運動が継続される現象」を意味するが、ここでは、剛体である複数の外壁パネル320、326が並列に梁300、310の盤上であるフランジ等に載置され(吊り込まれる)て上端部と下端部の水平変位を拘束されることにより、水平方向に揺動自在に(結果的に回転方向にも自在に)支持されて変位(回転)することを意味する。
また、外壁パネル320、326の室内側に対向させて石膏ボード(図示なし)を木または薄板鋼板で構成した桟を下地材として介在させて固定され内壁を構成している。
図8(B)に、地震時に上梁300と下梁310との間に層間変位(図(B)においては、上梁が右方向に、下梁が左方向に変位している)を生じた場合の帳壁の変形を誇張して示した。
図9は、層間変位が生じた際の隣接する外壁パネル(石膏ボード)間の相対変位を図示したものである。外壁パネル320の右辺は外壁パネル322の左辺に対して下方向に変位し、同時に、外壁パネル320の右辺は外壁パネル322の左辺に近づく。
図10は、2つの隣接する外壁パネル320、322の拡大した水平断面図である。2つの外壁パネルないしは帳壁間には、弾性シーリングまたは粘弾性シーリングが充填されている。このように構成することによって、地震時の外壁パネルの相対変位を吸収すると共に、振動エネルギーを吸収することができる。図では、外壁パネルの厚み方向の一部にシーリングを設けたが、外壁パネルの全厚みにシーリングを設けてもよい。
100 建物本体(1層部分の質量)
120 建物本体(2層部分の質量)
200 付加質量
210 固有周期延長構造体の支承部
212 ダンパー
220 屋根構造、タンク
222 屋上床板
224 太陽光パネル
300 上梁
310 下梁
320、322、326 外壁パネル
330、332 ボルト

Claims (12)

  1. 1層〜5層の低層建物本体と、
    前記建物本体上部に搭載された固有周期延長構造体とを有する付加質量制震建物であって、
    前記固有周期延長構造体は、付加質量1t当たり0.02kN/cm≦k≦0.1kN/cmである水平剛性kと、付加質量1t当たり0.01kN・sec/cm≦cである減衰係数cを有する支承部と、当該支承部によって支持された建物本体重量の10%以上である付加質量とを有し、一次水平固有周期が2秒以上である付加質量制震建物。
  2. 前記建物本体の固有周期が0.5(sec)程度またはこれより短い請求項1に記載の付加質量制震建物。
  3. 耐震設計において想定される最大地震時において、前記付加質量が平面視において建物外周よりも突出することの無いよう水平変位が制御されている請求項1に記載の付加質量制震建物。
  4. 前記減衰係数を規定するエネルギー吸収機構は、粘性ダンパー、オイルダンパー、極低降伏点鋼材、高減衰ゴム、摩擦材を用いたすべり板の何れかである、請求項1または2に記載の付加質量制震建物。
  5. 前記建物本体は、鉄骨軸組み構法によって構成されている請求項1ないし3の何れかに記載の付加質量制震建物。
  6. 前記建物本体の外壁は、帳壁構造であり、軸組を利用して並列に設置してある請求項1ないし4の何れかに記載の付加質量制震建物。
  7. 前記帳壁間に弾性シーリングまたは粘弾性シーリングが充填されている請求項5に記載の付加質量制震建物。
  8. 前記建物本体の軸組構面内には、エネルギー吸収機構が備えられている請求項1ないし6に記載の付加質量制震建物。
  9. 前記建物本体及び固有周期延長構造体がモジュール化された寸法を有する部材によって構成されており、平面視において前記付加質量と建物外周に確保されているセットバックもまたモジュール化された寸法またはその倍数である請求項1ないし7の何れかに記載の付加質量制震建物。
  10. 前記支承部は、積層ゴムを含む請求項1ないし8のいずれかに記載の付加質量制震建物。
  11. 前記支承部は建物の屋根構造よりも下の部分と屋根構造との間に設けられており、前記付加質量は建物の屋根構造を含む請求項1ないし9のいずれかに記載の付加質量制震建物。
  12. 前記付加質量は、屋上庭園、塔屋、貯水槽、防水層保護コンクリート版、特に設けた重量物の内の少なくとも1つを含む請求項1ないし10のいずれかに記載の付加質量制震建物。
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