JP2005139770A - 既存建物用制震補強架構及びそれを用いた制震構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 制震補強架構を付加して既存建物を制震補強する上で、増設の柱部分に不必要な曲げモーメントとせん断力を負担させない。
【解決手段】 既存建物のフレーム6の構面に平行に配列し、その構面内に互いに間隔を隔てて地上や基礎上に立設され、鉛直方向に複数本の支柱材21,22に分離した支柱2と、上下の支柱材21,22間に介在し、両者間の相対水平移動を許容する絶縁装置3と、同一レベルで隣接する支柱材21,21(22,22)間に架設され、両支柱材21,21(22,22)を互いにつなぐつなぎ梁4と、フレーム6の構面内の支柱材21,22間に架設されるダンパー一体型ブレース5から制震補強架構1を構成し、最下部より上に位置する支柱材22をフレーム6に接合し、ブレース5の一端を隣接する支柱材21,22の内、一方の支柱材21やそれ寄りのつなぎ梁4に接続し、他端を他方の支柱材22の直下、または直上の支柱材やそれ寄りのつなぎ梁4に接続する。
【選択図】 図1

Description

この発明は既存建物に地震時のエネルギ吸収能力を持たせながら建物の耐震性を確保する既存建物用制震補強架構、及びそれを用いた制震構造物に関するものである。
既存建物の耐力と剛性を高め、耐震性を確保するように建物を耐震補強する場合、柱と梁からなる既存フレームの地震力に対する負担を軽減することが目的になるため、フレームの構面内や構面外にブレース、またはブレースを含む補強架構を新たに架設することが基本的な方法となる(特許文献1〜特許文献3参照)。
この際、地震時のエネルギ吸収能力を持たせながら建物の耐震性を確保するように制震補強するためにブレースや補強架構と既存フレームとの間に、両者間の相対移動を利用したダンパー等の制震装置を設置することもある(特許文献4参照)。
いずれの方法も既存フレームが負担すべき地震力の一部を、付加されたブレースや補強架構に負担させることにより既存フレームの負担を軽減し、既存フレームを健全に保つことが狙いであるから、ブレースや補強架構は既存フレームと一体的に挙動するように構築されるため、既存フレームの構面方向には高い剛性と耐力が要求される。
しかしながら、既存フレームとブレースや補強架構との間に制震装置を介在させる場合にブレースや補強架構の剛性を高めれば、既存フレームとブレースや補強架構との剛性の差を利用して両者間の相対移動量を稼ぐことが難しくなるため、振動エネルギの吸収効果と既存フレームの揺れを抑制する効果を得にくくなる。
そこで、増設柱と増設梁からなる補強体を既存フレームに一体化させながら、増設柱を不連続にし、その不連続部分に免震支承を設置すると共に、免震支承より下の部分と上の部分との間にダンパーを架設し、免震支承より下の部分を変形させることなく上の部分を既存フレームの変形に追従させ、免震支承を挟んだ上下の部分に積極的に相対変形を生じさせることで、ダンパーによりエネルギ吸収を図り、既存フレームの揺れを低減する方法がある(特許文献5参照)。
特許第3367011号公報 特許第3369387号公報 特許第3407728号公報 特開平11-247461号公報 特開平11-229631号公報
特許文献5の方法では上下の増設梁に挟まれた、増設柱の免震支承より下の部分は片持ち梁の状態になるため、ダンパーは免震支承に内蔵される場合と外付けされる場合のいずれも増設柱の免震支承より下の部分の頭部と上の部分、もしくは増設梁との間に跨る形になる。
この結果、既存フレームが変形し、ダンパーが減衰力を発揮するときにはダンパーから受ける軸方向力の水平成分が増設柱の頭部に作用するため、増設柱にそれを転倒させようとする不必要な曲げモーメントとせん断力を負担させ、下の増設梁に接合された脚部に過大な応力を生じさせる可能性がある。
特にダンパーが免震支承とは別にその両側に外付けされる場合には増設柱の頭部が、その両側に位置するダンパーの内の一方から引張力を、他方から圧縮力を受け、その軸方向力の水平成分の向きが同一であるため、両ダンパーからの軸方向力の水平成分が相殺されることはなく、常に増設柱を転倒させようとする力となって作用する。
また増設梁と増設柱の免震支承より上の部分が既存フレームと一体となって挙動し、既存フレームと補強体との間に相対変位が生じないよう、補強体を既存フレームに近接した位置に配置していることから、補強体は既存フレームの構面内方向の変形時にしか機能せず、構面外方向の変形時には機能し得ないため、実際には既存建物に対し、2方向に補強体を構築しなければならない。
更に特許文献5のように補強架構の柱が上下に分離する場合には既存フレームの大変形時に、増設柱の免震支承を挟んだ上の部分が下の部分に対して浮き上がりが生ずることが想定されるが、浮き上がりに対する対策が施されていなければ、免震支承に軸方向引張力を作用させるため、積層ゴムを使用した場合にそれを破断させる危険性がある。
この発明は上記背景より、増設の柱部分に不必要な曲げモーメントとせん断力を負担させず、また既存フレームの構面内方向ばかりでなく、構面外方向の変形時にも振動エネルギの吸収と揺れの抑制を図ることができ、更に浮き上がり時に積層ゴムに引張力を作用させない形式の制震補強架構及びそれを既存建物に付加した制震構造物を提案するものである。
本発明では既存建物の柱・梁からなるフレーム(以下本項目中、単に既存フレームと言う)の構面外に、既存フレームの構面に平行に配列する支柱と、ブレース本体にダンパーを組み込んだダンパー一体型ブレースを有する制震補強架構を構築し、各支柱を複数本の支柱材に上下に分離させると共に、既存フレームの構面内の支柱材間にダンパー一体型ブレース(以下本項目中、単にブレースと言う)を架設することにより、支柱材に不必要な曲げモーメントとせん断力を負担させず、その端部に過大な応力を生じさせる可能性を解消する。
制震補強架構は既存フレームの構面に平行に配列し、その構面内の水平方向に互いに間隔を隔てて地上、もしくは基礎上に立設され、鉛直方向に複数本の支柱材に分離した支柱と、上下に分離した支柱材間に介在し、両者間の相対水平移動を許容する絶縁装置と、同一レベルで隣接する支柱材間に架設され、両支柱材を互いにつなぐつなぎ梁と、既存フレームの構面内の支柱材間に架設される上記ブレースから構成される。請求項1は制震補強架構が既存フレームの構面外に、既存フレームに接する形で構築される場合と、構面から距離を置いて構築される場合(請求項2)を含む。
最下部に位置する支柱材は地盤、もしくは基礎に定着され、最下部より上に位置する支柱材は既存フレームに直接、または間接的に接合されて既存フレームと共に挙動し、ブレースの一端は既存フレームの構面内の水平方向に隣接する支柱材の内、一方の支柱材、もしくはその支柱材寄りのつなぎ梁に接続され、他端は他方の支柱材の直下、または直上の支柱材、もしくはその支柱材寄りのつなぎ梁に接続される。
最下部より上に位置する支柱材は直接既存フレームに接合される他、その支柱材をつなぐつなぎ梁が既存フレームに接合されることにより間接的に既存フレームに接合されるが、最下部より上の支柱材と既存フレームとの一体性を高め、既存フレームからの地震力を制震補強架構に伝達させる上ではつなぎ梁をフレームに接合する方が効果的である。
各支柱は地上や基礎上に定着される最下部の支柱材とその上に位置する上部の支柱材の、計2本の支柱材からなる場合と、最下部の支柱材とその上に位置する2本以上の上部の支柱材の、計3本以上の支柱材からなる場合がある。
既存フレームが地震力により構面内で変形しようとするときには、図3に二点鎖線で示すように既存フレームに一体化している、最下部の支柱材より上の支柱材が既存フレームと共に挙動することと、その直下の支柱材から分離し、両支柱材間に両者間の相対水平移動を許容する絶縁装置が介在していることで、最下部の支柱材より上の支柱材が直下の支柱材に対して相対水平移動する。
ブレースは既存フレームに一体化している支柱材やその付近のつなぎ梁と、その直下、または直上の支柱材に隣接する支柱材やその付近のつなぎ梁との間に架設されていることで、上下の支柱材の相対水平移動に伴って伸長、または収縮し、その伸長量や収縮量、あるいは伸縮時の速度に応じた減衰力をダンパーが発生し、振動エネルギを吸収する。同時にダンパーが発生する減衰力が既存フレームに一体化している支柱材やつなぎ梁から既存フレームに作用することで、既存フレームの揺れが抑制される。
図3に示すように既存フレームの構面内方向の変形に伴い、分離した上下の支柱材が相対水平移動したとき、ブレースが接続された支柱材にはダンパーからの軸方向力が作用するが、最下部の支柱材に作用する軸方向力に対する反力は地盤や基礎で負担され、最下部より上の支柱材に作用する軸方向力に対する反力は支柱材が接続される既存フレームで負担されるため、ダンパーからの軸方向力によって支柱材に過大な曲げモーメントとせん断力が作用する事態は回避され、分離している各支柱材が転倒する可能性と、支柱材の脚部や頂部に過大な応力を生じさせる可能性は解消される。支柱材の脚部や頂部に過大な応力を生じさせる可能性が解消されることで、支柱材自身は必ずしもダンパーからの軸方向力に抵抗し得る強度を有する必要はない。
特に最下部の支柱材と最上部の支柱材の中間位置でブレースが接続される支柱材のようにブレースが構面内方向の両側に、2方向に接続される支柱材には変形前に同一線上に位置するブレースからの軸方向力が実質的に相殺されるため、支柱材にはダンパーからの軸方向力による曲げモーメントとせん断力はほとんど作用しない。
既存フレームに入力する地震力の一部は既存フレームに接合され、ブレースが接続されている支柱材からブレースに伝達され、そのブレースが負担する。最終的にはブレースが接続され、地盤や基礎に定着されている最下部の支柱材から地盤に伝達され、負担される。地震力の一部がブレースで負担され、最終的に地盤で負担されることで、既存フレームが負担すべき地震力が軽減されるため、既存フレームの地震力に対する安全性が向上する。
ブレースが地震力の一部を負担しても、制震補強架構を構成する支柱とつなぎ梁は既存フレームに入力する地震力を既存フレームと共に分担するのではなく、最下部の支柱材より上の支柱材が既存フレームと共に挙動して直下の支柱材との間で相対移動を生ずることで、ダンパーが発生する減衰力を既存フレームに作用させる働きをするため、支柱とつなぎ梁は地震力に抵抗するブレースのダンパーから受ける軸方向力に対する反力を地盤や基礎、あるいは既存フレームから受けることができればよく、支柱とつなぎ梁が全長に亘って地震力に抵抗する必要がない。
ブレースが接続される支柱材にはダンパーからの軸方向力が作用する結果、軸方向力の鉛直成分が絶縁装置を通じてその上下に隣接する支柱材に伝達されるものの、その上下に隣接する支柱材とは絶縁装置によって切り離されているため、絶縁装置の水平変形可能な範囲で軸方向力の水平成分は上下に隣接する支柱材には伝達されない。
また上記のように支柱材自身は必ずしもダンパーからの軸方向力に抵抗し得る強度を有する必要がないことから、支柱とつなぎ梁は既存フレームの耐力と剛性を補う程の耐力と剛性を有する必要がなく、地震力を既存フレームと共に分担する場合より断面を減ずることが可能になる。
制震補強架構を構成する支柱とつなぎ梁が既存フレームと共に地震力を分担するとすれば、大地震時に地震力に抵抗することで損傷を受ける可能性があるが、本発明の支柱とつなぎ梁は全長に亘って地震力に抵抗する必要がなく、またそれぞれの断面の低減により地震力を既存フレームと共に分担する場合より制震補強架構自体の剛性を低下させることができることで、制震補強架構は大地震に対しても柔軟に変形することができるため、損傷を受けることは回避される。
請求項2では既存フレームの構面から距離を置いて制震補強架構を構築することにより、制震補強架構に既存フレームの構面外方向への変形に対する追従能力を持たせ、既存フレームの構面内方向の変形時ばかりでなく、構面外方向への変形時にも制震補強架構のダンパーによる制震効果を発揮させ、既存建物に対して補強架構を2方向に構築する必要性を解消する。
制震補強架構が既存フレームの構面に平行に構築されることで、既存フレームの構面内方向の変形時には絶縁装置によって互いに分離した上下の支柱材が構面内で相対移動し、この相対移動に伴い、ブレースのダンパーが収縮、または伸長し、減衰力を発生することにより振動エネルギを吸収し、既存建物の揺れを抑制する。
また制震補強架構が既存フレームの構面外に、その構面から距離を置いて構築されることで、構面外方向への変形時にも互いに分離した上下の支柱材が既存フレームの変形に追従して相対移動することができるため、ダンパーの収縮、または伸長による減衰力の発生により振動エネルギを吸収し、既存建物の揺れを抑制することが可能となる。
請求項2では既存フレームの構面内であるか構面外であるかを問わず、既存フレームが地震力により変形しようとするときに、最下部の支柱材より上の支柱材が直下の支柱材に対して相対水平移動し、ブレースが上下の支柱材の相対水平移動に伴って伸長、または収縮し、その伸長量や収縮量、あるいは伸縮時の速度に応じた減衰力をダンパーが発生し、振動エネルギを吸収する。同時にダンパーが発生する減衰力が既存フレームに一体化している支柱材から既存フレームに作用し、既存フレームの揺れが抑制される。
請求項2では既存フレームの構面から距離を置いて制震補強架構が構築されるものの、例えば請求項7に記載のように最下部より上に位置する支柱材をつなぐつなぎ梁を既存フレームの梁に接合することで、既存フレームとつなぎ梁の一体性を強めることができるため、制震補強架構を既存フレームの構面内に構築する場合、あるいは構面外に既存フレームに接する形で構築する場合と同等の振動抑制効果を得ることは可能である。
絶縁装置には地震時の既存フレームの層間変位に追従しながら、それより上の支柱材とつなぎ梁を安定して支持すると共に、地震力をブレースに伝達するために、水平方向の剛性が小さく、鉛直方向の剛性と荷重支持能力が高い積層ゴム支承の他、支柱材からの離脱防止のための変形制限機構を付加した弾性滑り支承、滑り支承等が用いられる。
積層ゴム支承を用いた場合の、上端と下端が支柱材に接合されることによる浮き上がり時の破断の問題は、請求項3に記載のように絶縁装置の上端と下端のいずれか一方を上下に分離した支柱材の内のいずれか一方の支柱材に接合し、他方を他方の支柱材に鉛直方向に相対移動自在に接続させることにより解消される。
この場合、絶縁装置の上端と下端のいずれか一方が支柱材に接合され、他方が鉛直方向に相対移動自在であることで、上下に分離した支柱材の相対水平移動を許容しながらも、上側の支柱材の浮き上がりに追従することができるため、絶縁装置が軸方向引張力を受けることがなくなり、積層ゴム支承を用いた場合の引張による破断が回避される。
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の制震補強架構は請求項4に記載のように既存フレームの構面に平行に配置され、制震補強架構の最下部に位置する支柱材が地盤、もしくは基礎に定着させられ、最下部より上に位置する支柱材が既存フレームに直接、または間接的に接合されることにより構築され、同時に既存建物が制震構造物化される。
制震構造物化された既存建物の揺れは変形と同時にブレースのダンパーによって抑制され、既存フレームに入力する地震力の一部は支柱材からブレースに伝達され、そのブレースが負担し、最終的に最下部の支柱材から地盤に伝達され、負担される。
地震力の一部がブレースで負担され、最終的に地盤で負担されることで、制震構造物の内の既存フレームが負担すべき地震力が軽減されるため、制震構造物としての地震力に対する安全性が向上する。
既存建物の構造種別や用途、形状等は一切問われないが、制震補強架構が支柱とつなぎ梁、及びダンパーを組み込んだブレースからなることで、耐震壁を付加する場合と異なり、既存建物に付加された後に既存フレームの柱間の開口を塞ぐ形にならないため、特に請求項5に記載のようにピロティ形式の既存建物に適用された場合にもピロティ(柱)のある空間の既存の用途や機能を害することなく既存建物を制震補強することが可能である。
ピロティ形式の既存建物を耐震補強する場合、一般的には剛性と耐力が極端に小さい1層部分に、建物全体で剛性と耐力のバランスが保たれるように上層の耐震壁に連続する形で耐震壁を配置することが行われるが、請求項1〜請求項3の制震補強架構を、支柱とつなぎ梁を既存フレームの柱と梁に沿って配置するように付加することで、ピロティ間の開口を塞ぐことが最小限に抑えられるため、ピロティ部分の空間が有していた店舗や駐車場等の用途や機能を維持することが可能である。
また既存建物が屏風型の集合住宅のように桁行方向に一定の間隔を隔てて梁間方向に連層耐震壁が配置され、地震時に梁間方向への曲げ変形が卓越する建物においては、請求項6に記載のように既存建物の両面に位置するフレームの各構面外に請求項3に記載の制震補強架構を付加すれば、梁間方向の曲げ変形を効果的に抑制することが可能になる。
請求項3に記載の制震補強架構は絶縁装置の上端と下端のいずれか一方がその側の支柱材に対して鉛直方向に相対移動自在であることで、絶縁装置の上に接合、もしくは接続された支柱材がその直下の支柱材に対して浮き上がることができ、その支柱材の浮き上がりに伴い、ブレースのダンパーが伸長して減衰力を発生し、振動を抑制する能力を有するため、請求項3に記載の制震補強架構が既存建物の片面のみに配置されてもブレースのダンパーが伸長するときに連層耐震壁の曲げ変形を抑制することはできる。
請求項6では請求項3に記載の制震補強架構が既存建物の両面、すなわち連層耐震壁の幅方向両側に付加されることで、連層耐震壁の曲げ変形時にその両側の制震補強架構のダンパーが交互に減衰力を発生し、連層耐震壁のいずれの向きの曲げ変形時にも揺れが減衰させられるため、連層耐震壁の曲げ変形が一層効果的に抑制されることになる。
既存建物が鉄筋コンクリート造、または鉄骨鉄筋コンクリート造の場合には請求項7に記載のように例えば既存フレームにコンクリートを増打ちする等により、最下部より上に位置する支柱材をつなぐつなぎ梁を既存フレームの梁に接合することで、その支柱材が既存フレームに間接的に接合され、制震補強架構が構築される。
この場合、つなぎ梁が既存フレームの梁に接合されることで、制震補強架構が既存フレームの構面から距離を置く場合にもフレームとつなぎ梁の一体性が強まり、フレームに入力する地震力がつなぎ梁に伝達し易くなると同時に、ダンパーからの減衰力が既存フレームに作用し易くなるため、制震補強架構による振動エネルギの吸収効果と、既存建物の揺れを抑制する効果が向上する。
請求項1、請求項4では既存建物の柱・梁からなるフレームの構面外に、フレームの構面に平行に配列する支柱と、ブレース本体にダンパーを組み込んだダンパー一体型ブレースを有する制震補強架構を構築し、各支柱を複数本の支柱材に上下に分離させると共に、構面内の支柱材間にダンパー一体型ブレースを架設することで、分離した上下の支柱材が相対移動したときに、最下部の支柱材に作用するダンパーからの軸方向力に対する反力を地盤や基礎に負担させ、最下部より上の支柱材に作用するダンパーからの軸方向力に対する反力を既存フレームに負担させることができるため、ダンパーからの軸方向力によって支柱材に過大な曲げモーメントとせん断力が作用する事態を回避することができ、分離している各支柱材が転倒する可能性と、支柱材の脚部や頂部に過大な応力を生じさせる可能性を解消することができる。
既存フレームに入力する地震力の一部は既存フレームに接合され、ダンパー一体型ブレースが接続された支柱材からダンパー一体型ブレースに伝達され、最終的に地盤で負担されるため、既存フレームが負担すべき地震力が軽減され、既存フレームの地震力に対する安全性が向上する。
制震補強架構を構成する支柱とつなぎ梁は地震力を既存フレームと共に分担するのではなく、ダンパーが発生する減衰力を既存フレームに作用させる働きをするため、支柱とつなぎ梁は地震力に抵抗するダンパー一体型ブレースのダンパーから受ける軸方向力に対する反力を地盤や基礎、あるいは既存フレームから受けることができればよく、支柱とつなぎ梁が全長に亘って地震力に抵抗する必要がない。
また支柱材の脚部や頂部に過大な応力を生じさせる可能性が解消されることで、支柱材自身は必ずしもダンパーからの軸方向力に抵抗し得る強度を有する必要がなく、支柱とつなぎ梁は既存フレームの耐力と剛性を補う程の耐力と剛性を有する必要もないため、地震力を既存フレームと共に分担する場合より断面を減ずることが可能になる。
制震補強架構を構成する支柱とつなぎ梁が地震力を分担するとすれば、大地震時に地震力に抵抗することで損傷を受ける可能性があるのに対し、本発明の支柱とつなぎ梁は全長に亘って地震力に抵抗する必要がなく、またそれぞれの断面の低減により地震力を既存フレームと共に分担する場合より制震補強架構自体の剛性を低下させることで、変形能力を高めることができるため、大地震に対しても損傷を受けることを回避できる。
請求項2では既存フレームの構面から距離を置いて制震補強架構を構築することにより、制震補強架構に既存フレームの構面外方向への変形に対する追従能力を持たせるため、既存フレームの構面内方向の変形時ばかりでなく、構面外方向への変形時にも制震補強架構のダンパーによる制震効果を発揮させることができ、既存建物に対して補強架構を2方向に構築する必要がなくなる。
請求項3では絶縁装置の上端と下端のいずれか一方を上下に分離した支柱材の内のいずれか一方の支柱材に接合し、他方を他方の支柱材に鉛直方向に相対移動自在に接続させることで、上下に分離した支柱材の相対水平移動を許容しながらも、上側の支柱材の浮き上がりに追従することができるため、絶縁装置が軸方向引張力を受けることがなくなり、絶縁装置に積層ゴム支承を用いた場合の引張による破断を回避することができる。
制震補強架構をピロティ形式の既存建物へ適用する請求項5では、耐震壁を付加する場合と異なり、ピロティ間の開口を塞ぐことが最小限に抑えられるため、ピロティ部分の空間が有していた店舗や駐車場等の機能を維持することができる。
請求項6では既存建物の両面に位置するフレームの各構面外に請求項3に記載の制震補強架構を付加することで、連層耐震壁の曲げ変形時にその両側の制震補強架構のダンパーが交互に減衰力を発生し、連層耐震壁のいずれの向きの曲げ変形時にも揺れを減衰させることができるため、連層耐震壁の曲げ変形を効果的に抑制することができる。
請求項7では最下部より上に位置する支柱材をつなぐつなぎ梁を既存フレームの梁に接合することで、既存フレームとつなぎ梁の一体性を強めるため、既存フレームに入力する地震力がつなぎ梁に伝達し易くなると同時に、ダンパーからの減衰力が既存フレームに作用し易くなり、制震補強架構による振動エネルギの吸収効果と、既存建物の揺れを抑制する効果が向上する。
請求項1に記載の発明は図1、図2に示すように既存建物の柱61と梁62からなるフレーム6の構面外に構築され、フレーム6の構面に平行に配列し、その構面内の水平方向に互いに間隔を隔てて地上、もしくは基礎上に立設され、鉛直方向に複数本の支柱材21,22に分離した支柱2と、上下に分離した支柱材21,22間に介在し、両者間の相対水平移動を許容する絶縁装置3と、同一レベルで隣接する支柱材21,22間に架設され、両支柱材21,22を互いにつなぐつなぎ梁4と、構面内の支柱材21,22間に架設される、ブレース本体51にダンパー52を組み込んだダンパー一体型ブレース(以下ブレース)5から構成される制震補強架構1である。
フレーム6は鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、外壁等にALC版を張り付けた鉄骨造、あるいは鋼管コンクリート造の別を問わず、制震補強架構1を構成する支柱2とつなぎ梁4も鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨造、鋼管コンクリート造の場合がある。コンクリート造の場合は現場打ちコンクリート造とプレキャストコンクリート製の場合がある。
最下部に位置する支柱材21は図2に示すように地盤、もしくは既存建物の基礎に定着され、最下部の支柱材21より上に位置する支柱材22はフレーム6に直接、または間接的に接合されることによりフレーム6と共に挙動する。図2では支柱材21の、地中に位置する下端部にフーチングを形成し、フーチングを地中に埋設することにより地盤に定着させているが、地盤や基礎への定着方法は問われない。
ブレース5の一端は構面内の水平方向に隣接する支柱材21,21(22,22)の内、一方の支柱材21(22)、もしくはその支柱材21(22)寄りのつなぎ梁4に接続され、他端は他方の支柱材21(22)の直下、または直上の支柱材22(21)、もしくはその支柱材22(21)寄りのつなぎ梁4に接続される。
図1、図2に示すように1本の支柱2が2本の支柱材21,22からなる場合、ブレース5の一端は最下部の支柱材21やつなぎ梁4に接続され、他端は水平方向に隣接する最下部の支柱材21の直上の支柱材22やつなぎ梁4に接続される。図1、図2、図4〜図11はフレーム6の構面が平面で、複数層に亘る集合住宅の場合を示しているが、構面が曲面の場合を含め、既存建物の形態、あるいは既存建物の用途は限定されない。
図3に示すように1本の支柱2が3本以上の支柱材21,22,23からなる場合はブレース5の架設層が2層以上に亘ることから、最下層のブレース5の一端は図1の場合と同じく最下部の支柱材21やつなぎ梁4に接続され、他端は水平方向に隣接する最下部の支柱材21の直上の支柱材22やつなぎ梁4に接続される。その直上層のブレース5の一端は最下部の支柱材21の直上の支柱材22やつなぎ梁4に接続され、他端はその支柱材22に隣接する支柱材22の直上の支柱材23やつなぎ梁4に接続される。その直上層のブレース5も同様に接続される。
最上部の支柱材23を除き、各支柱材21,22はブレース5への地震力の入力と、その軸方向の変形に伴うダンパー52によるエネルギ吸収の効果を発揮させるために、フレーム6の層間変位に追従するよう、フレーム6への接合位置に応じ、1層分乃数層分の高さを有するが、最上部の支柱材23はフレーム6への接合と、ブレース5の接続ができればよく、必ずしも1層分の高さを有する必要がないため、図1、図2では最上部の支柱材23の高さをつなぎ梁4の成程度の高さに留めている。
支柱材21,22が数層分の高さを有する場合は1本のブレース5が数層に亘って架設されることになることで、1層の場合より層間変位によるブレース5の変形量が大きくなるため、ダンパー52によるエネルギ吸収効率が高まる利点がある。
ブレース5は互いに軸方向に相対移動自在なブレース本体51,51と、一方のブレース本体51に内蔵され、他方のブレース本体51に接続されるダンパー52からなり、ブレース本体51,51の端部に一体化したブラケット53,53において、制震補強架構1の支柱2やつなぎ梁4に接合されたベースプレート7,7に一体化したガセットプレート8に連結される。ブレース5はブレース本体51,51がその両端間に作用する圧縮力と引張力によって相対移動するときにダンパー52が減衰力を発生することによりフレーム6の揺れを抑制する。ダンパー52にはオイルダンパー等の粘性流体を用いたダンパーが使用される。
ベースプレート7を鉄筋コンクリート造の支柱2に接合する場合にはブレース5からの圧縮力と引張力が支柱2に直接伝達されるよう、例えば図13、図14に示すような4枚のプレートを箱形のバンドプレート状に組み立てた形で、支柱2を包囲する形のベースプレート7が使用される。ガセットプレート8は箱形のベースプレート7の、ブレース5が接続される側に溶接される。図13、図14では支柱2の表面からばかりでなく、内部からもブレース5からの圧縮力と引張力が伝達されるよう、箱形のベースプレート7の内部をプレートで仕切ると共に、そのプレートにスタッドボルトを溶接している。
図4乃至図7は例えば既存建物がバルコニー63を持たない鉄筋コンクリート造の集合住宅や事務所建築のような場合に、フレーム6に対して格別な処理を加えずに、フレーム6の構面に近い位置に3層に亘る制震補強架構1を構築し、つなぎ梁4をフレーム6に接合することにより支柱材22,23を間接的にフレーム6に接合した場合を示す。制震補強架構1の支柱2とつなぎ梁4はフレーム6の開口を閉塞しないようにする上では、図示するようにフレーム6の柱61と梁62に沿い、立面上、柱61と梁62に重なるように配置される。
つなぎ梁4は例えば図6に示すようにフレーム6の梁62とつなぎ梁4にアンカー9や鉄筋等を定着させ、梁62とつなぎ梁4との間にコンクリート10やモルタル等を打設することにより、またはコンクリート10等をつなぎ梁4と一体に打設することにより、フレーム6に入力する地震力がつなぎ梁4に伝達されるようにつなぎ梁4がフレーム6に接合される。
アンカー9は接着系アンカーや金属拡張系アンカー等の後施工アンカーによって施工されるが、図12に示すようにアンカー9の挿入のために梁62の側面から穿設される穿孔62a内に接着剤91を充填すると共に、梁62の側面に密着するベースプレート92と梁62との間に接着剤93を介在させ、アンカー9の軸に直交する方向のせん断耐力とせん断剛性を高めた形式の接着系アンカーを使用すれば、梁62とつなぎ梁4との間でのせん断力の伝達能力を高めることができる。図12ではベースプレート92の表面側に雄ねじを形成し、ナット94の締め付けによってコンクリート10打設時の型枠を支持するためのプレート(山形鋼)14を挟めるようにしている。
梁62とつなぎ梁4との間のコンクリート10がつなぎ梁4と分離して打設される場合、またはつなぎ梁4がプレキャストコンクリート製の場合、コンクリート10は狭隘な場所に打設されることになるため、振動機による締め固めを要せず、充填性のよい高流動コンクリートの使用が適当である。
図6の場合、バルコニー63を持たない集合住宅や事務所建築の屋外の、フレーム6の梁62のレベルにつなぎ梁4が一体化することにより、図7に示すようにつなぎ梁4を2次的に、空調機の室外機を設置するための台として利用することができる。
絶縁装置3には積層ゴム支承、または支柱材21,22(22,23)からの離脱防止のための変形制限機構付きの弾性滑り支承や滑り支承等が使用されるが、絶縁装置3として積層ゴム支承を使用した場合、絶縁装置3は図5に示すように上端と下端のいずれか一方において上下に分離した支柱材21,22(22,23)の内のいずれか一方の支柱材21(22)に接合され、他方において他方の支柱材22(23)に鉛直方向に相対移動自在に接続される。
絶縁装置3は積層ゴムの上下に一体化しているフランジ31,32の内の例えば上部のフランジ31を上側の支柱材22(23)の下面に定着させ、下部のフランジ32を下側の支柱材21(22)の上面に定着させることなく、フランジ32の下面に接合されたシアキー33を下側の支柱材21(22)の上面から形成された空洞2aに嵌合させ、水平方向に係合させることにより支柱材22(23)に鉛直方向に相対移動自在に接続される。シアキー33を上部のフランジ31の上面に接合し、これを上側の支柱材22(23)の下面から形成された空洞2aに嵌合させると共に、下部のフランジ32を下側の支柱材21(22)の上面に定着させることもある。
この場合、絶縁装置3より上側の支柱材22(23)からの鉛直荷重はフランジ31,32と積層ゴムを通じて、またはフランジ31,32と積層ゴム、及びシアキー33を通じて下側の支柱材21(22)に伝達される。
図1、図2及び図8、図9は既存建物がバルコニー63を持つ鉄筋コンクリート造の集合住宅や事務所建築、あるいは学校建築のような場合に、フレーム6の構面から距離を置いて制震補強架構1を構築した場合(請求項2)であり、制震補強架構1をバルコニー63の腰壁の外側に接するように配置し、つなぎ梁4をフレーム6の梁62に接合することにより支柱材22,23を間接的にフレーム6に接合した場合を示す。図1、図2は制震補強架構1が1層の場合、図8、図9は制震補強架構1が3層に亘る場合である。この場合も制震補強架構1の支柱2とつなぎ梁4はフレーム6の開口を閉塞しないようにする上で、フレーム6の柱61と梁62に沿い、立面上、柱61と梁62に重なるように配置される。
この場合も図10に示すようにフレーム6の梁62とつなぎ梁4に、後施工アンカーによるアンカー9や鉄筋等を定着させると共に、バルコニー63のスラブの下面側にコンクリート10等を増打ちすることにより、フレーム6に入力する地震力がつなぎ梁4に伝達されるようにつなぎ梁4とフレーム6との一体性、及びバルコニー63部分の水平剛性が確保される。
コンクリート10等の増打ちによるバルコニー63部分の水平剛性の確保により、フレーム6の構面から距離を置いて制震補強架構1を構築しながらも、フレーム6の構面に近い位置に、あるいは構面内に構築する場合と同等程度の、フレーム6から制震補強架構1への地震力の伝達と、ダンパー52からの減衰力のフレーム6への伝達機構が得られる。
またこの場合は制震補強架構1がフレーム6の構面から距離を置くことで、制震補強架構1はフレーム6の構面外方向への変形に対する追従能力を持つため、フレーム6の構面内方向の変形時ばかりでなく、構面外方向への変形時にもダンパー52による制震効果を発揮する。
図1、図2及び図8、図9の場合、コンクリート10等の増打ちは通常、バルコニー63のスラブの下方にサポートと型枠を組んだ状態で、型枠上に配筋し、コンクリート10等を打設する、という要領で行われるが、コンクリート10等として例えば既存のコンクリートとの付着性のよいポリマーセメントモルタル等のモルタルを用いれば、スラブの下面から塗布する、あるいは吹き付けることが可能になり、サポートと型枠の組み立てが不要になるか簡略化されるため、施工性が向上する。
図11はフレーム6の梁62に定着されたアンカー9に、増打ちのコンクリート10中に配筋される鉄筋11をカプラー12により接続して連続させ、コンクリート10をつなぎ梁4のコンクリートと一体に打設した場合を示す。
具体的にはサポートの設置を不要にするために増打ちのコンクリート10の下面側にバルコニー63からつなぎ梁4まで連続する幅を持つ、捨て型枠としてのL形断面のハーフPC版13を設置し、つなぎ梁4側の開放部分から高流動コンクリート等のコンクリート10を打設することにより増打ちのコンクリート10とつなぎ梁4が一体に構築される。ハーフPC版13はつなぎ梁4と同等程度の長さを有する。
ハーフPC版13は例えば図12に示すように梁62側においてはアンカー9に接続されて懸垂したプレート14に支持され、つなぎ梁4側においては支柱21(22)に接合されているベースプレート7に支持される。図12では前記のようにアンカー9を定着させるベースプレート92にナット94によってプレート14(山形鋼)を挟み込む一方、ハーフPC版13の梁62側の先端に定着させたプレート15(山形鋼)をプレート14に重ねて接合し、梁62側の先端をプレート14に支持させている。
図12ではまた、安全のために、ハーフPC版13の幅方向中間部に上面側からインサートナット16を埋め込み、バルコニー63のスラブにコア抜きにより明けた開口から懸垂させた吊りボルト17をインサートナット16に接続することによりハーフPC版13の幅方向中間部を補助的にバルコニー63に支持させている。ハーフPC版13の梁62側の先端と梁62との間の空隙と、バルコニー63のスラブにおける開口はモルタルやコンクリートにより埋められる。
既存フレームの構面から距離を置いて1層の制震補強架構を構築した様子を示した立面図である。 図1の制震補強架構を含む部分の縦断面図である。 既存フレームが層間変位を生じたときの支柱材の追従の様子を示した立面図である。 既存フレームの構面に近い位置に3層に亘る制震補強架構を構築した様子を示した透視図である。 図4の支柱材とブレースとの接合部分を示した拡大図である。 図5の縦断面図である。 制震補強架構のつなぎ梁を室外機置きとして利用した様子を示した透視図である。 既存フレームの構面から距離を置いて3層の制震補強架構を構築した様子を示した透視図である。 図8の支柱材とブレースとの接合部分を示した拡大図である。 図9の縦断面図である。 図9の変形例を示した縦断面図である。 図11の既存フレーム側の詳細図である。 図5、図6等で使用される、箱形に組まれたベースプレートを示した斜視図である。 図12のベースプレートを別の角度から見た様子を示した斜視図である。
符号の説明
1……制震補強架構、2……支柱、21,22,23……支柱材、2a……空洞、
3……絶縁装置、31……上部フランジ、32……下部フランジ、33……シアキー、4……つなぎ梁、
5……ダンパー一体型ブレース、51……ブレース本体、52……ダンパー、53……ブラケット、
6……フレーム、61……柱、62……梁、62a……穿孔、63……バルコニー、
7……ベースプレート、8……ガセットプレート、
9……アンカー、91……接着剤、92……ベースプレート、93……接着剤、94……ナット、
10……コンクリート、11……鉄筋、12……カプラー、13……ハーフPC版、14……プレート、15……プレート、16……インサートナット、17……吊りボルト。

Claims (7)

  1. 既存建物の柱・梁からなるフレームの構面外に構築され、既存建物を制震補強する制震補強架構であり、前記フレームの構面に平行に配列し、その構面内の水平方向に互いに間隔を隔てて地上、もしくは基礎上に立設され、鉛直方向に複数本の支柱材に分離した支柱と、上下に分離した支柱材間に介在し、両者間の相対水平移動を許容する絶縁装置と、同一レベルで隣接する支柱材間に架設され、両支柱材を互いにつなぐつなぎ梁と、前記構面内の支柱材間に架設される、ブレース本体にダンパーを組み込んだダンパー一体型ブレースから構成され、最下部に位置する支柱材は地盤、もしくは基礎に定着され、最下部より上に位置する支柱材は前記フレームに直接、または間接的に接合されてフレームと共に挙動し、前記ダンパー一体型ブレースの一端は前記構面内の水平方向に隣接する支柱材の内、一方の支柱材、もしくはその支柱材寄りのつなぎ梁に接続され、他端は他方の支柱材の直下、または直上の支柱材、もしくはその支柱材寄りのつなぎ梁に接続されている既存建物用制震補強架構。
  2. 既存建物のフレームの構面から距離を置いて構築される請求項1記載の既存建物用制震補強架構。
  3. 絶縁装置はその上端と下端のいずれか一方において上下に分離した支柱材の内のいずれか一方の支柱材に接合され、他方において他方の支柱材に鉛直方向に相対移動自在に接続されている請求項1、もしくは請求項2記載の既存建物用制震補強架構。
  4. 既存建物の柱・梁からなるフレームの構面外に請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の制震補強架構を付加した制震構造物であり、前記フレームの構面に平行に前記制震補強架構を構築し、前記制震補強架構の最下部に位置する支柱材を地盤、もしくは基礎に定着させ、最下部より上に位置する支柱材を前記フレームに直接、または間接的に接合してある既存建物用制震補強架構を用いた制震構造物。
  5. 既存建物がピロティ形式の建物である請求項4記載の既存建物用制震補強架構を用いた制震構造物。
  6. 既存建物の両面に位置するフレームの各構面外に請求項3に記載の制震補強架構を付加した請求項4記載の既存建物用制震補強架構を用いた制震構造物。
  7. 最下部より上に位置する支柱材をつなぐつなぎ梁をフレームの梁に接合し、前記支柱材をフレームに間接的に接合してある請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の既存建物用制震補強架構を用いた制震構造物。
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