JP6834206B2 - 建物の補強構造 - Google Patents

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本発明は、建物の補強構造に関する。
既存の建物を耐震補強する構造の一つとして、例えば建物に隣接して外付の架構を連結し、その架構に建物の水平力を分担させる技術が知られている(例えば、特許文献1等を参照)。この種の補強構造は、バットレス耐震補強構造とも呼ばれ、既存建物の外側から耐震補強のための工事を行うことができるという利点がある。
また、バットレス耐震補強構造においては、通常、あと施工アンカーを用いて既存建物と架構を連結し、架構を支持する基礎に埋設されたアースアンカー等を地盤に打ち込むなどして架構の転倒を抑制している。
特開2016−35158号公報
ところで、通常、バットレス耐震補強構造における架構は、鉄骨フレームを主体構造としているため、重力が比較的軽く、地震時に大きな引き抜き力が基礎に加わっていた。従来においては、架構を支持する基礎を大きくしたり、架構を既存建物に連結するアンカーの径の大径化や本数を増加するなどして、架構の浮き上がりを抑制するための方策を講じていた。これに伴い、施工費用の増加を招いたり、施工時における振動・騒音の増大を招くという課題があった。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであって、建物の外部に隣接して構築された架構を建物に連結する補強構造において、建物への架構の連結部や基礎を従来に比べて簡素化することの可能な技術を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、建物の補強構造において、建物の両側を挟み込むようにして当該建物の側面に一対の補強用架構フレームをそれぞれ連結し、基礎又は建物の構造躯体に対する補強用架構フレームにおける補強用柱の相対的な引き抜きを許容する引抜許容部を備えるようにした。
より詳細には、本発明は、建物の両側を挟み込むようにして当該建物の側面にそれぞれ連結された一対の補強用架構フレームと、前記補強用架構フレームを介して前記建物に作用する外力が伝達される、地中に埋設された基礎と、を備えた建物の補強構造であって、前記一対の補強用架構フレームは、前記建物の側面にアンカーを用いて一端側が接合される補強用梁と、前記補強用梁の他端側に接合されることで架構をなす補強用柱と、を有し、前記基礎又は前記建物の構造躯体に対する前記補強用柱の相対的な引き抜きを許容する引抜許容部を、更に備えることを特徴とする。
本発明においては、建物の両側を挟み込むように一対の補強用架構フレームを配置したので、地震時には一対の補強用架構フレームのうちの一方に上方への引抜力が作用し、他方に下方への圧縮力が作用する。本発明によれば、上方への引抜力を受ける補強用架構フ
レームの浮き上がりが許容されるので、補強用架構フレームの補強用梁等を建物の側面に取り付けるためのアンカーの本数を減らすことができ、また、補強用架構フレームを介して建物に作用する外力が伝達される基礎の構造を簡素化することができる。また、地震力に起因する引抜力を受けている一方の補強用架構フレームにおける補強用柱の底面が凹底面から浮き上がっている時は、地震力に起因する圧縮力を受けている他方の補強用架構フレームによって当該地震力を負担することができるため、建物に対する地震力の入力を低減することができる。
ここで、前記引抜許容部は、前記基礎の上面に設けられると共に前記補強用柱の下端側を引抜自在に受け入れる収容凹部によって形成され、前記収容凹部は、受け入れる補強用柱の底面を支持する凹底面と、当該収容凹部に受け入れる補強用柱の横方向への移動を拘束する凹側面と、を有していても良い。
また、前記建物は、低層部と、前記低層部の両側から内側にセットバックして積層される高層部と、を含み、前記一対の補強用架構フレームは、前記低層部からセットバックして積層される高層部の両側を挟み込むようにして設けられ、前記引抜許容部は、前記低層部の構造躯体に接合されると共に前記補強用柱の下端部を支持する補強用柱支持部に設けられ、前記補強用柱の下端側を引抜自在に受け入れる収容凹部によって形成され、前記収容凹部は、受け入れる補強用柱の底面を支持する凹底面と、当該柱収容凹部に受け入れる補強用柱の横方向への移動を拘束する凹側面と、を有していても良い。
また、前記収容凹部に受け入れる補強用柱の外面と前記凹側面との間には、緩衝材が配置されていても良い。
本発明によれば、建物の外部に隣接して構築された架構を建物に連結する補強構造において、建物への架構の連結部や基礎を従来に比べて簡素化することの可能な技術を提供することができる。
図1は、実施形態1に係る建物の耐震補強構造を示す図である。 図2は、実施形態1に係る補強用架構フレーム2平面位置を示す図である。 図3は、実施形態1に係る基礎の斜視図である。 図4Aは、図3におけるA−A矢視断面図である。 図4Bは、図3におけるB−B矢視断面図である。 図5は、地震時における補強用架構フレームの挙動について説明する図である。 図6は、実施形態2に係る建物及び耐震補強構造を説明する図である。 図7は、実施形態2に係る補強用柱支持部の構造を示す図である。 図8は、実施形態2に係る耐震補強構造の変形例を説明する図である。 図9は、実施形態2の変形例に係る引抜許容部と低層部との接続構造を説明する図である。 図10は、実施形態2の変形例に係る耐震補強構造を説明する図である。
次に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。以下の説明は例示であり、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る建物1の耐震補強構造100を示す図である。建物1は、例
えば既存建物であり、耐震補強構造100によって耐震補強されている。建物1は、桁行方向(図1、図2において、X方向)に3スパン、梁間方向(図2において、Y方向)に1スパンの平面形状を有している。建物1は、複数の柱11と梁12を備え、これらが接合されることで一体化されている。
耐震補強構造100は、建物1の両側(両妻側)を挟み込むようにして当該建物1の側面1a,1bにそれぞれ接合された一対の補強用架構フレーム2を有している。図2は、実施形態1に係る補強用架構フレーム2の平面位置を示す図である。図2に示す鎖線は、建物1の外形を模式的に示している。図示のように、一対の補強用架構フレーム2は、建物1とは独立した立体架構形式の補強フレームである。本実施形態のように、建物1の両側を一対の補強用架構フレーム2によって挟み込む耐震補強構造はバットレス耐震補強構造とも呼ばれ、既存建物の外側から耐震補強のための工事を行うことができるという利点がある。
各補強用架構フレーム2は、建物1の側面1a,1bを形成する構造躯体に対し、あと施工アンカー3を用いて連結されている。あと施工アンカー3は周知であるため詳しい説明を省略するが、例えば接着系あと施工アンカーであってもよい。建物1は、例えば鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造等の構造からなる建物であり、建物1の側面1a,1bに隣接するようにして一対の補強用架構フレーム2が構築されている。
図1及び図2に示すように、耐震補強構造100に係る各補強用架構フレーム2は、地中に埋設された複数の基礎5上に立設された補強用柱20と、補強用梁21とが接合されることで立体架構をなしている。補強用柱20は、建物1の側面1a,1bから離間した位置に配置され、基礎5から鉛直方向に向かって延伸している。一方、補強用梁21は、建物1の桁行方向(図1、図2において、X方向)に関して側面1a,1bと補強用柱20との間に架設され、梁間方向に関し補強用柱20同士の間に架設されている。図1に示す例では、一番下に位置する補強用梁21を除いて、補強用柱20の上下方向に沿って補強用梁21が等間隔で配置されている。
更に、図1、図2に示すように、補強用架構フレーム2には、ブレース22、25や制振装置4等が組み込まれている。ブレース22は、補強用柱20及び補強用梁21によって囲まれた構面内に斜めに架設された斜材である。図1、図2に示す例では、上下層(上下階)の補強用梁21,21間に、下層(下階)側の補強用梁21と建物1の側面1a,1bとの交点と、下層(下階)側の補強用梁21と補強用柱20との交点から、上層(上階)側の補強用梁21の中央まで2本のブレース22,22が延出して設けられており、これら2本のブレース22,22同士の交点に形成されたブレース頭部23に制振装置4が設置されている。但し、ブレース22,22を設置する態様については適宜変更することができ、補強用架構フレーム2へのブレース22,22の設置を省略することも可能である。また、図2に示すように、補強用架構フレーム2には、平面視菱形となるように、建物1の側面1a,1bと補強用梁21に固定される複数のブレース25が設けられている。補強用架構フレーム2における補強用柱20、補強用梁21、及びブレース22、25は、鋼製部材である。また、本実施形態において、補強用柱20は例えば正方形の横断面を有する角型鋼管柱であり、補強用梁21及びブレース22、25は例えばH形鋼である。
制振装置4は、建物1の側面1a,1bとブレース頭部23の間に介在する高減衰オイルダンパーである。制振装置4は、シリンダー内に設けた調圧弁を通過する作動油の流体抵抗によって、建物に入力される地震力を減衰させる減衰力を発生させることで、建物1の振動を低減する。但し、本実施形態の制振装置4は高減衰オイルダンパーとしたが、これに限られるものではなく、例えば鋼材が弾性限界以上に変形する際のエネルギー吸収を
利用する弾塑性ダンパー等でもよい。また、補強用架構フレーム2に設置する制振装置4の数は特に限定されず、制振装置4自体の設置を省略してもよい。その場合、補強用架構フレーム2を例えば耐震フレームとして構成してもよい。
基礎5は、地中に埋設されており、例えば杭51を有する杭基礎として構成されている。建物1に作用する地震力等といった外力は、各補強用架構フレーム2を介して基礎5に伝達され、基礎5を介して地盤に伝達される。基礎5は、例えば鉄筋コンクリート造として構築されている。
図1に示すように、建物1の側面1a,1bには、補強用架構フレーム2の補強用梁21を固定するためのブラケット26があと施工アンカー3によって取り付けられている。また、ブラケット26には、補強用梁21の他、ブレース22、25や制振装置4等が接合されている。建物1の桁行方向に沿って配置される補強用梁21は、一端側がブラケット26を介して建物1の側面1aに接合され、他端側が補強用柱20に接合されている。
図1に示す符号20aは、補強用柱20の下端部である。図3及び図4は、基礎5の詳細構造を説明する図である。図3は、実施形態1に係る基礎5の斜視図である。図4Aは、図3におけるA−A矢視断面図である。図4Bは、図3におけるB−B矢視断面図である。基礎5の上面5aには、補強用柱20の下端部20aを受け入れるための収容凹部50が設けられており、収容凹部50は補強用柱20の下端部20a側を収容している。収容凹部50は、基礎5に立設する補強用柱20の下端部20aの基礎5に対する相対的な引き抜きを許容するための空洞部であり、本発明に係る引抜許容部に相当する。本実施形態において、収容凹部50を、補強用柱20の形状に合わせて四角柱形状の空洞部として形成している。
基礎5の収容凹部50は、この収容凹部50に受け入れる補強用柱20の底面20bを支持する正方形の凹底面50aと、当該引抜許容凹部50に受け入れる補強用柱20の下端部20aの横方向への移動を拘束する凹側面50bとを有している。凹側面50bとは、収容凹部50に補強用柱20が挿設された状態において、補強用柱20の側面20cに対向して配置される。本実施形態においては、基礎5に対して補強用柱20は接合されておらず、補強用柱20の下端部20aは収容凹部50に挿入された状態で凹底面50aに支持されている。これにより、基礎5の収容凹部50は、補強用柱20の下端部20a側を上下方向にスライド自在に受け入れることができる。但し、地震時に補強用架構フレーム2が引抜力を受けた際、基礎5の収容凹部50に下端側が挿入されている補強用柱20が、当該収容凹部50から完全に抜け出さないように、想定される補強用柱20の上方への引き抜き量に比べて、収容凹部50の深さ(高さ)を十分に大きな寸法に設計しておくとよい。また、本実施形態における基礎5は鉄筋コンクリート造であるが、図4A及び図4Bにおいて鉄筋の図示を省略している。なお、本実施形態における耐震補強構造100は、補強用架構フレーム2における補強用柱20を基礎5に対して相対的に引き抜き可能としているが、これに代わり、建物1の構造躯体、例えば柱11や梁12等に対して相対的な引き抜きを許容する構造を採用してもよい。
また、基礎5における収容凹部50の各凹側面50bは、補強用柱20における下端部20aの各側面20cと所定のクリアランスを挟んで対向配置されている。補強用柱20における下端部20aの側面20cが、収容凹部50の凹側面50bに当接することで、補強用柱20における下端部20aの横方向への移動を規制することができる。本実施形態では、補強用柱20における下端部20a、即ち収容凹部50へと挿入される部分にゴム等の緩衝材6が巻き付けられている。例えば、補強用柱20における下端部20aには、ゴム等からなる緩衝材6が一定の厚さに巻き付けられていてもよい。これにより、基礎5における収容凹部50の各凹側面50bと、収容凹部50に下端部20aが挿入される
補強用柱20の側面20c(外面)との間に緩衝材6が狭持されるようにして挿設される。但し、緩衝材6の設置態様は上記の例に限定されない。例えば、シート状の緩衝材6を補強用柱20の下端部20aにおける各側面20cに貼り付けてもよい。また、収容凹部50の各凹側面50bと、補強用柱20の側面20cとの間に緩衝材6を配置しなくてもよい。
本実施形態における補強用架構フレーム2によれば、基礎5から立設する補強用柱20の下端部20aを引抜許容凹部50に挿設することで、基礎5に対して補強用柱20を上方に向かって引抜自在とすることができる。ここで、地震時等には建物1が繰り返し水平荷重を受けることになる。例えば、図5に示すように建物1が矢印(ハッチング)で示す水平荷重(地震力)F1を受けている状態では、側面1a側に設けられる補強用架構フレーム2Aに引抜力Ft1が作用し、側面1b側に設けられる補強用架構フレーム2Bに圧縮力Fc1が作用する。その際、引抜力Ft1を受ける補強用架構フレーム2Aの補強用柱20は、下端部20aが上方へ引抜自在に基礎5の収容凹部50に収容されている。
そのため、補強用架構フレーム2Aが引抜力Ft1を受けた際に、基礎5の収容凹部50内に収容されている補強用柱20の底面20bが凹底面50aから浮き上がることが許容される。その結果、補強用架構フレーム2Aを支持する基礎5に大きな引抜力が作用することを抑制することができ、基礎5を簡素化することができる。また、補強用架構フレーム2Aの浮き上がりが許容されるので、補強用架構フレーム2Aの補強用梁21やブレース22等を側面1aに取り付けるためのブラケット26を簡素化することができる。即ち、側面1aにブラケット26を固定するために用いられるあと施工アンカー3の本数を少なくすることができる。
なお、引抜力Ft1に起因する補強用架構フレーム2Aの浮き上がりが許容される分、圧縮力Fc1を受ける圧縮側の補強用架構フレーム2Bが主として地震力F1を負担する。補強用架構フレーム2Bの補強用柱20における下端部20aの底面20bが基礎5における収容凹部50の凹底面50aに支持され、凹側面50bが緩衝材6を挟んで収容凹部50の凹側面50bに当接することで横方向への移動が拘束されるため、補強用柱20を介して地震力F1を基礎5へと確実に伝達することができる。
なお、地震時等には建物1が繰り返し水平荷重を受けるため、図5に示す矢印の方向とは逆方向から地震力F1が作用する際には、建物1の側面1b側に設けられる補強用架構フレーム2Bに引抜力Ft1が加わり、側面1a側に設けられる補強用架構フレーム2Aに圧縮力Fc1が加わる。この場合には、先ほどとは逆に、引抜力Ft1に起因して補強用架構フレーム2Bの浮き上がりが許容されると共に、圧縮力Fc1を受ける圧縮側の補強用架構フレーム2Aが主として地震力F1を負担することになる。その際、補強用架構フレーム2Aの補強用柱20における下端部20aの底面20bが基礎5における収容凹部50の凹底面50aに支持され、凹側面50bが緩衝材6を挟んで収容凹部50の凹側面50bに当接することで横方向への移動が拘束されるため、補強用柱20を介して地震力F1を基礎5へと確実に伝達することができる。
以上より、本実施形態における耐震補強構造100の補強用架構フレーム2によれば、引抜力が作用した際に基礎5からの補強用柱20の浮き上がりが許容される設計を採用したので、上記のように基礎5やブラケット26を簡素化することができ、特に、建物1の側面1a,1bにブラケット26を固定するためのアンカー本数を少なくすることができるという利点がある。また、耐震補強構造100は、建物1の両側を挟み込むようにして当該建物1の側面1a,1bにそれぞれ接合された一対の補強用架構フレーム2を備えるようにしたので、地震時には圧縮側の補強用架構フレーム2を水平荷重に対する抵抗要素として十分に機能させることができる。なお、上述した基礎5の簡素化とは、杭51の径
を細くしたり、杭51の設置を省略することが含まれる。すなわち、本実施形態においては、基礎5に引抜力が作用しないため、空な図示も杭基礎にする必要はなく、基礎5が杭51を備えていなくても良い。
更に、本実施形態における耐震補強構造100の補強用架構フレーム2によれば、基礎5における収容凹部50の各凹側面50bと、収容凹部50に下端部20aが挿入される補強用柱20の外面との間に緩衝材6が挿設されている。そのため、基礎5の収容凹部50に挿入された補強用柱20から基礎5への応力伝達を円滑に行うことができる。また、補強用柱20が上方に引き抜かれて底面20bが収容凹部50の凹底面50aから浮き上がる際、補強用柱20における下端部20aの側面20cと収容凹部50の凹側面50bの間に狭持される緩衝材6がせん断変形することで、地震エネルギーを吸収することができる。また、補強用柱20に転倒モーメントが作用した際には、補強用柱20における下端部20aの側面20cと収容凹部50の凹側面50bによって狭持される緩衝材6が圧縮変形する。これによれば、収容凹部50の凹側面50bが収容凹部50の凹側面50bに強く衝突することを抑制することができ、収容凹部50及び補強用柱20が損傷することが抑制される。なお、基礎5の収容凹部50と、これに挿入される補強用柱20との間には、地震エネルギーを消費するための高減衰ゴム、摩擦材等を組み込むようにしてもよい。なお、本実施形態では、収容凹部50の形状を四角柱形状の空洞部として形成しているが、これには限られず他の形状を採用することができる。例えば、収容凹部50の横断面形状を、円形、楕円形、多角形にしても良い。
<実施形態2>
次に、実施形態2について説明する。図6は、実施形態2に係る建物1A及び耐震補強構造100Aを説明する図である。実施形態2における建物1Aは、低層部110と、低層部110の両側から内側にセットバックして積層される高層部120とを含んでいる。そして、耐震補強構造100Aに係る一対の補強用架構フレーム2は、低層部110からセットバックして積層される高層部120の両側、具体的には側面120a,120bを挟み込むようにして設けられている。側面120a,120bは、例えば建物1A(高層部120)の長辺方向に沿った側面であり、本実施形態では図6に示す一対の補強用架構フレーム2が建物1Aの長辺方向に沿って配置されている。但し、側面120a,120bは、建物1A(高層部120)の短辺向に沿った側面であっても良く、特に限定されない。補強用架構フレーム2において、実施形態1と共通する部材について同一の参照符号を用いることで詳しい説明を省略する。
低層部110における両妻側の最上部には、各補強用架構フレーム2の補強用柱20を支持するための補強用柱支持部13が、低層部110の構造躯体に設置されている。本実施形態では、低層部110の隅柱梁接合部111と、この隅柱梁接合部111に接続されると共に梁間方向に向かって架け渡される梁(図示せず)に、それぞれ補強用柱支持部13が設けられている。補強用柱支持部13は、補強用架構フレーム2における補強用柱20の下端側を支持する。補強用柱支持部13は、例えば鉄筋コンクリートによって構築されており、低層部110における既存躯体との定着は、あと施工アンカー等を用いて確保されている。
図7は、実施形態2に係る補強用柱支持部13の構造を示す図である。図7に示すように、補強用柱支持部13の上面には、実施形態1における基礎5と同様な収容凹部50を有している。収容凹部50は、凹底面50a及びこの凹底面50aから立設する凹側面50bによって画定される四角柱形状を有する空洞部であり、補強用柱20の下端部20aを、補強用柱20の延伸方向に沿って引抜自在に収容している。これにより、補強用柱支持部13は、建物1の構造躯体に対する相対的な補強用柱20の引き抜きを許容した状態で補強用柱20を支持することができる。上述の通り、凹底面50aは、収容凹部50に
受け入れる補強用柱20の底面20bを支持する支持面である。また、凹側面50bは、補強用柱20における下端部20aの側面20cに当接することで、補強用柱20における下端部20aの横方向への移動を規制(拘束)する面である。また、補強用柱支持部13における収容凹部50の各凹側面50bと、収容凹部50に下端部20aが挿入される補強用柱20の外面との間には、実施形態1と同様、ゴム等といった緩衝材6が挿設されている。
その他、補強用架構フレーム2の主要構造は、実施形態1と同様である。即ち、補強用架構フレーム2は、補強用柱20及び補強用梁21が組み上げられることで架構をなしており、補強用柱20及び補強用梁21によって囲まれた構面内には、ブレース22や制振装置4等が組み込まれている。補強用架構フレーム2において、建物1Aの桁行方向(図6におけるX方向)に架設される補強用梁21は、その一端側があと施工アンカー3等によって高層部120の側面120a,120bに固定されている。
上記のように構成される実施形態2に係る耐震補強構造100Aにおいても、実施形態1に係る耐震補強構造100と同様の効果を奏する。即ち、本実施形態における補強用架構フレーム2によれば、補強用柱支持部13から立設する補強用柱20の下端部20aを収容凹部50に挿設することで、補強用柱支持部13に対して補強用柱20を延伸方向(上下方向)に沿ってスライド自在とすることができる。一方、補強用柱20が受ける鉛直下向き荷重や水平方向については、補強用柱支持部13の収容凹部50における凹底面50a及び凹側面50bによって抵抗することができる。そのため、地震時のように建物1Aに繰り返し水平荷重が作用する際、引抜側の補強用架構フレーム2については補強用柱20の浮き上がり、即ち補強用柱20の上方への引き抜きを許容しつつ、地震力に対しては主に圧縮側の補強用架構フレーム2によって抵抗することができる。これにより、建物1Aの側面120a,120bに補強用架構フレーム2を接合するために用いるアンカー本数を少なくすることができるという利点がある。
<変形例>
また、本実施形態に係る補強用架構フレーム2は、図8に示す変形例に係る接合構造を採用して建物1Aと接合してもよい。図8に示す耐震補強構造100Bにおいて、符号27は、補強用柱20の下端部20aに接合された引抜許容部である。図9は、実施形態2の変形例に係る引抜許容部27と低層部110との接続構造を説明する図である。引抜許容部27の下面には、収容凹部50Aが設けられている。本変形例に係る建物1Aの低層部110の最上部には、補強用架構フレーム2の補強用柱20に対応する平面位置に、上方に突出する柱状凸部112が凸設されている。柱状凸部112は、建物1Aにおける低層部110と同構造であり、例えば鉄筋コンクリートによって構築されている。本変形例において、柱状凸部112の形状は四角柱形状としているが、特に限定されることはなく例えば円柱形状やその他の形状であってもよい。
補強用柱20の下端部20aに接合されている引抜許容部27の収容凹部50Aは、低層部110の最上部に設けられた柱状凸部112を上下方向にスライド自在に受け入れている。即ち、引抜許容部27の収容凹部50Aは、柱状凸部112を収容可能な四角柱形状の空洞部であり、凹頂面50c及び当該凹頂面50cから立設する凹側面50bによって画定されている。引抜許容部27における収容凹部50Aの凹頂面50cが、収容凹部50Aに挿入された柱状凸部112の上面112aと当接することで、引抜許容部27を介して低層部110に補強用架構フレーム2が支持される。また、引抜許容部27における収容凹部50Aの凹側面50bは、収容凹部50Aに柱状凸部112が挿入されている状態で、柱状凸部112の側面112bと対向する。収容凹部50Aの凹側面50が柱状凸部112の側面112bに当接することで、低層部110の柱状凸部112に対する引抜許容部27の横方向への移動が拘束(規制)される。これにより、補強用架構フレーム
2における補強用柱20の下端部20aの横方向への移動を規制することができる。本変形例においても、上述までの実施形態に係る耐震補強構造と同様の効果を奏する。なお、本変形例においても、引抜許容部27における収容凹部50Aの凹側面50bと、柱状凸部112の側面(外面)112bとの間には、上記実施形態と同様、ゴム等といった緩衝材6が挿設されている。
また、実施形態2に係る補強用架構フレーム2は、図10に示す変形例に示す接合構造を採用して建物1Aと接合してもよい。図10に示す耐震補強構造100Cは、建物1Aの低層部110における両側面に位置する既存柱11に、補強柱11Aが増設されており、この補強柱11Aの頂部に、図6で説明した補強用柱支持部13が設けられている。本変形例において、補強柱11Aは、既存柱11に添わせて増設されており、例えばあと施工アンカー等によって既存柱11と補強柱11Aとが一体となっている。補強柱11Aは、建物1Aにおける低層部110の構造躯体の一例である。補強柱11Aは、例えば鉄筋コンクリートによって構築することができるが、これには限定されない。補強柱11Aの頂部に設けられる補強用柱支持部13の詳細は、図7に示す通りである。即ち、補強用柱支持部13には収容凹部50が設けられている。そして、補強用柱支持部13は、補強用架構フレーム2における補強用柱20の下端部20aを、補強用柱20の延伸方向に沿って引抜自在に収容凹部50に収容することで、補強用柱20の下端側を支持している。なお、図10に示す変形例では、補強用柱支持部13を、補強柱11Aと同様、鉄筋コンクリートによって構築することができる。この場合、補強用柱支持部13および補強柱11Aを構築するコンクリートを同時に打設してもよい。
以上、本発明の実施形態及び変形例を説明したが、本発明に係る建物の補強構造はこれらに限られず、可能な限りこれらを組み合わせることができる。例えば、上記実施形態では、既存の建物1に耐震補強を行う場合に例に説明したが、新設の建物に本発明に係る補強構造を採用してもよい。また、本実施形態において、建物を鉄筋コンクリート造とする場合を例として説明したが他の構造を採用してもよい。
1・・・建物
2・・・補強用架構フレーム
3・・・あと施工アンカー
4・・・制震装置
5・・・基礎
6・・・緩衝材
20・・・補強用柱
21・・・補強用梁21
22・・・ブレース
26・・・ブラケット
50・・・収容凹部
50a・・・凹底面
50b・・・凹側面

Claims (4)

  1. 建物の両側を挟み込むようにして当該建物の側面にそれぞれ連結された一対の補強用架構フレームと、
    前記補強用架構フレームを介して前記建物に作用する外力が伝達される、地中に埋設された杭及び当該杭上に形成される基礎と、
    を備えた建物の補強構造であって、
    前記一対の補強用架構フレームは、
    前記建物の側面にアンカーを用いて一端側が接合される補強用梁と、
    前記補強用梁の他端側に接合されることで架構をなす補強用柱と、を有し、
    前記基礎に対する前記補強用柱の相対的な引き抜きを許容する引抜許容部を、更に備え、
    前記引抜許容部は、前記基礎の上面に設けられると共に前記補強用柱の下端側を上下方向にスライド自在に受け入れる収容凹部によって形成され、
    前記収容凹部は、受け入れる前記補強用柱の底面を支持する凹底面と、当該収容凹部に受け入れる前記補強用柱の横方向への移動を拘束する複数の凹側面と、を有し
    前記収容凹部に受け入れる前記補強用柱の外面の各々と各凹側面との間に、前記収容凹部及び前記補強用柱が損傷することを抑制するための緩衝材が挟持されている、
    建物の補強構造。
  2. 低層部と、前記低層部の両側から内側にセットバックして積層される高層部と、を含む建物の、前記低層部からセットバックして積層される高層部の両側を挟み込むようにして設けられる一対の補強用架構フレームを備えた建物の補強構造であって、
    前記一対の補強用架構フレームは、
    前記高層部の側面にアンカーを用いて一端側が接合される補強用梁と、
    前記補強用梁の他端側に接合されることで架構をなす補強用柱と、を有し、
    前記低層部の構造躯体に接合されると共に前記補強用柱の下端部を支持する補強用柱支持部と、
    前記補強用柱支持部に設けられ、前記補強用柱の下端側を上下方向にスライド自在に受け入れる収容凹部によって形成された引抜許容部と、を更に備え、
    前記収容凹部は、受け入れる前記補強用柱の底面を支持する凹底面と、当該収容凹部に受け入れる前記補強用柱の横方向への移動を拘束する複数の凹側面と、を有し、
    前記収容凹部に受け入れる前記補強用柱の外面の各々と各凹側面との間に、前記収容凹
    部及び前記補強用柱が損傷することを抑制するための緩衝材が挟持されている、
    建物の補強構造。
  3. 前記低層部における既存柱に添わせて増設された補強柱を更に備え、
    前記補強用柱支持部は、既存柱に添わせて増設された補強柱の頂部に設けられている、請求項2に記載の建物の補強構造。
  4. 低層部と、前記低層部の両側から内側にセットバックして積層される高層部と、を含む建物の、前記低層部からセットバックして積層される高層部の両側を挟み込むようにして設けられる一対の補強用架構フレームを備えた建物の補強構造であって、
    前記一対の補強用架構フレームは、
    前記高層部の側面にアンカーを用いて一端側が接合される補強用梁と、
    前記補強用梁の他端側に接合されることで架構をなす補強用柱と、を有し、
    前記低層部の最上部に設けられた柱状凸部と、
    前記補強用柱の下端部に接合され、前記柱状凸部の上端側を上下方向にスライド自在に受け入れる収容凹部を有する引抜許容部と、を更に備え、
    前記収容凹部は、受け入れる前記柱状凸部の上面に当接する凹頂面と、当該収容凹部に受け入れる前記柱状凸部の横方向への移動を拘束する複数の凹側面と、を有し、
    前記収容凹部に受け入れる前記柱状凸部の外面の各々と各凹側面との間に、前記収容凹部及び前記柱状凸部が損傷することを抑制するための緩衝材が挟持されている、
    建物の補強構造。
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