JP2019094643A - 新設建物の地下構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】複雑な設計作業が不要な、既存地下躯体を利用した新設建物の地下構造を提供する。【解決手段】既存地下躯体30で囲まれた内部側、又は既存地下躯体30の上方側に、新設地下躯体11Aが設けられた新設建物1Aの地下構造部10Aであって、既存地下躯体30は、既存地下外壁32と、既存耐圧盤31とを含んで構成され、既存地下外壁32の上端面32tと、該上端面32tの上方に位置する新設地下躯体11Aとの間には、隙間S1、又は緩衝材41が設けられている。【選択図】図2

Description

本発明は、既存地下躯体で囲まれた内部側や既存地下躯体の上方側に設ける新設建物の地下構造に関する。
既存建物を新設建物に建て替えるに際し、既存建物の基礎躯体を部分的に残して新設建物を構築することが行われている。
例えば、特許文献1には、既存杭に支持された既存構造物が既存杭および既存杭の上に配設された既存基礎スラブを残して撤去され、残された既存基礎スラブの上に埋め戻し材が敷設されて、埋め戻し材の上に新設構造物の基礎の新設マットスラブが配設されることにより構築された新設構造物が開示されている。
特許文献1に開示されたような構成においては、既存構造物の地下外壁は撤去されている。しかし、既存構造物の地下外壁を、例えば山留め材として利用するため、あるいは新設建物の構造の一部として利用するため、残す場合がある。
特許文献2には、既存建物のうち少なくとも既存杭を残して既存建物を撤去し、その撤去した既存建物の跡に新設建物を構築する建物構築方法で、新設建物の重量を既存杭に伝達するために多数の長尺部材により構成された骨組構造体を使用し、その骨組構造体を既存杭の上に設置して、その骨組構造体の上に新設建物を構築する建物構築方法が開示されている。
また、既存建物は、再利用可能であれば、既存杭に加えて、既存基礎梁、既存底板、既存外壁を残して撤去することが開示されている。
特許文献3には、既存地下構造物を一部解体して地下外壁及び地下底盤を残し、これら地下外壁及び地下底盤に充填材を充填して基礎地盤を構築し、この基礎地盤上に新築建物の地下構造を構築する構成が開示されている。
特許文献2、3に開示されたような構成では、新設の地下構造が負担する鉛直荷重が、既存の地下外壁に伝達されることがある。既存の地下外壁は、必ずしも鉛直荷重を負担することを想定して設けられているとは限らない。このため、地下外壁が負担できる鉛直荷重を考慮しつつ、新設の建物を設計しなければならず、その設計作業が複雑となる。
特開2010−121372号公報 特開2006−161476号公報 特開2015−34436号公報
本発明の目的は、複雑な設計作業が不要な、既存地下躯体を利用した新設建物の地下構造を提供することである。
本発明者らは、既存地下躯体を利用した新設建物の地下構造として、既存地下外壁を山留め壁に利用しつつ、既存地下外壁の上端面と新設地下躯体との間を分離するとともに、既存地下躯体(既存地下外壁または既存耐圧盤)と新設地下躯体とを接合鋼材で連結することで、既存地下外壁を構造部材として設計する必要がなく、かつ地震発生時には、新設地下躯体に連結された既存地下躯体の躯体重量をカウンターウェイトとして利用できる点に着眼し、本発明に至った。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の新設建物の地下構造は、既存地下躯体で囲まれた内部側、又は当該既存地下躯体の上方側に、新設地下躯体が設けられた新設建物の地下構造であって、前記既存地下躯体は、既存地下外壁と、既存耐圧盤とを含んで構成され、前記既存地下外壁の上端面と、該上端面の上方に位置する前記新設地下躯体との間には、隙間、又は緩衝材が設けられていることを特徴とする。
このような構成によれば、既存地下外壁の上端面と新設地下躯体との間に、剛性ゼロの隙間、または低剛性の緩衝材が設けられ、既存地下外壁と新設地下躯体が力学的に分離されているために、新設建物を構成する上部構造体の鉛直荷重が既存地下外壁に伝達されることはなく、新設建物が新設地下躯体のみで支持される。このため、新設建物の設計を行う際に、既存地下外壁は新設建物の鉛直荷重の負担を考慮せずに設計作業を行うことができ、複雑な設計作業が不要である。
また、施工時においては、既存地下外壁を山留め壁として利用することができるので、新設地下躯体を構築する際に山留め壁を新たに設ける必要はなく、建設費用を低減でき、作業日数を短縮できる。
本発明の一態様においては、本発明の新設建物の地下構造は、前記既存地下外壁の内部側側面と前記新設地下躯体との間には、隙間、又は緩衝材が設けられている。
このような構成によれば、既存地下外壁の内部側側面と新設地下躯体との間に、隙間又は緩衝材が設けられていることで、既存地下外壁と新設地下躯体との間で新設建物の鉛直荷重等が伝達されることはなく、既存地下外壁を非構造部材として比較的容易に設計することができる。
本発明の一態様においては、本発明の新設建物の地下構造は、前記既存地下外壁と前記新設地下躯体との間、及び前記既存耐圧盤と前記新設地下躯体との間には接合鋼材が設置され、当該接合鋼材を介して前記既存地下躯体と前記新設地下躯体が接合されている。
このような構成によれば、接合鋼材を介して既存地下躯体と新設地下躯体が接合されているので、既存地下外壁と既存耐圧盤を含む既存地下躯体の自重を、新設地下躯体のカウンターウェイトとして利用できる。また、接合鋼材を介して新設地下躯体と既存地下外壁、または既存耐圧盤が接合されていることで、地震発生時に建物脚部に生じる転倒モーメントに対して、接合鋼材が引抜き抵抗材として機能するとともに、新設地下躯体と既存耐圧盤との水平接合面においては支圧抵抗力が作用して抵抗モーメントが形成され、建物の回転を抑制させることができる。その結果、新設建物の耐震性を高めることができる。
本発明によれば、複雑な設計作業が不要な、既存地下躯体を利用した新設建物の地下構造を提供することが可能となる。
本発明の第一実施形態にかかる新設建物の全体構成を示す断面図である。 図1の新設建物の地下構造部の一部を示す部分拡大断面図である。 上記第一実施形態にかかる新設建物の、抵抗機構の説明図である。 本発明の第二実施形態にかかる新設建物の全体構成を示す断面図である。 図4の新設建物の地下構造部の一部を示す部分拡大断面図である。 本発明の第二実施形態にかかる新設建物の変形例の構成を示す断面図である。
本発明は、既存地下外壁と新設地下躯体との間に隙間や緩衝材を設けて、力学的に分離するとともに、既存地下躯体(既存地下外壁、既存耐圧盤)と新設地下躯体を接合鋼材で連結させた新設建物の地下構造である。第一実施形態は、既存耐圧盤の上面に新設地下躯体が設けられた直接基礎形式による新設建物の地下構造である(図1〜図2)。第二実施形態やその変形例は、既存杭や新設杭を備えた杭基礎形式による新設建物の地下構造である(図4〜図6)。
以下、添付図面を参照して、本発明による新設建物の地下構造を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態にかかる新設建物の全体構成を示す断面図を図1に示す。図1の新設建物の地下構造部の一部を示す部分拡大断面図を図2に示す。
図1、図2に示されるように、新設建物1Aは、地下構造部(新設建物の地下構造)10Aと、上部構造部20と、を備える。
上部構造部20は、地下構造部10A上に設けられている。上部構造部20は、複数本の上部柱21と、互いに隣り合う上部柱21間に架設された上部梁22とを備えている。
地下構造部10Aは、図1、及び図2に示すように、既存地下躯体30と、新設地下躯体11Aと、前記既存地下躯体と前記新設地下躯体との間に設ける隙間S1、S2、又は緩衝材41、42から構成されている。
既存地下躯体30は、既存建物の基礎部の少なくとも一部であり、新設建物1Aの構築に先立って、既存建物(図示無し)を取り壊す際に、地盤G中に残すことによって構成される。
既存地下躯体30は、地盤G上に形成された既存耐圧盤31と、既存耐圧盤31の外周部から上方に向かって立ち上がる既存地下外壁32と、を備える。既存地下外壁32の外周面32fは、周囲の地盤Gに接している。
これら既存耐圧盤31及び既存地下外壁32は、鉄筋コンクリート造等により形成されている。
新設地下躯体11Aは、既存地下躯体30で囲まれた内部側に設けられている。新設地下躯体11Aは、新設耐圧盤12と、新設地下外壁13と、下部柱14と、基礎梁15と、を備える。
新設耐圧盤12は、既存耐圧盤31上に、所定の厚さで形成されている。なお、新設耐圧盤12は、既存耐圧盤31上に均し所定の厚さで設けたコンクリート9上に形成してもよい。
新設地下外壁13は、新設耐圧盤12の外周部から上方に向かって立ち上がるよう形成されている。これにより、新設地下躯体11Aは、既存地下躯体30の上方側に設けられている。
これら新設耐圧盤12及び新設地下外壁13は、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造等によって形成される。
下部柱14は、新設耐圧盤12から鉛直上方に向かって延びている。基礎梁15は、互いに隣り合う下部柱14及び新設地下外壁13との間に架設されている。
新設地下外壁13は、図2に示すように、既存地下外壁32の上端面32tよりも、上方に突出するように形成する。新設地下外壁13は、既存地下外壁32の上端面32tよりも上方に、外周側に張り出す張り出し部13wを有している。この張り出し部13wは、例えば新設地下躯体11Aの外周部に位置する外周基礎梁15wによって形成することができる。
既存地下外壁32の上端面32tと、上端面32tの上方に位置する新設地下外壁13の張り出し部13wの下面13bとの間には、上下方向に隙間S1が形成されている。
また、新設地下外壁13の外周面13fと、既存地下外壁32の内部側側面32gとの間には、水平方向に所定寸法の隙間S2が形成されている。
隙間S1及びS2には、例えばポリプロピレン等の発泡性フォーム材等からなる緩衝材41、42が充填されていてもよい。また、隙間S1、S2に、土砂や構造材として期待することのない低強度コンクリート(例えば、ラップルコンクリート)を配置してもよい
。上述のような構成により、新設地下外壁13で負担する鉛直荷重は、既存地下外壁32に伝達されないようになっている。
既存地下外壁32と新設地下躯体11Aとの間には、図2に示すように、接着系の後施工アンカー筋等からなる接合鋼材51が設けられている。接合鋼材51は、水平方向に延び、その一端が既存地下外壁32に打ち込まれ、他端が新設地下躯体11Aの新設地下外壁13に埋設されている。接合鋼材51は、上下方向及び水平方向に適宜間隔をあけて複数本が設けられている。ここで、接合鋼材51は、新設地下外壁13で負担する鉛直荷重を既存地下外壁32に伝達しない程度の本数、材料で設けられている。
既存耐圧盤31と新設地下躯体11Aとの間には、接着系の後施工アンカー筋等からなる接合鋼材52が設けられている。接合鋼材52は、上下方向に延び、その下端が既存耐圧盤31に打ち込まれ、上端が新設地下躯体11Aの新設耐圧盤12に埋設されている。接合鋼材52は、水平面内で互いに直交する2方向(例えば、図2の紙面に沿った方向と、図2の紙面に直交する方向)にそれぞれ適宜間隔をあけて複数本が設けられている。
このような新設建物1Aを構築するには、まず、既存建物(図示無し)を、既存地下躯体30を地盤G中に残して解体、撤去する。
その後、既存地下躯体30で囲まれた内部側に、新設地下躯体11Aを設ける。このときには、既存地下躯体30の既存地下外壁32が山留め壁として機能し、周囲の地盤Gが既存地下外壁で囲まれた内部側に流れこまないように周囲の地盤を固めることができる。
新設地下躯体11Aの構築後、新設地下躯体11A上に上部構造部20を構築することで、新設建物1Aの施工が完了する。
次に、本第一実施形態の新設建物の地下構造の抵抗機構を説明する。
本第一実施形態は、既存地下躯体30を構成する既存耐圧盤31と既存地下外壁32を残置させた状態で、既存耐圧盤31の上面に新設耐圧盤12を設けるとともに、既存地下外壁32の内部側側面32gに添わせて新設地下外壁13が構築された新設建物1Aの地下構造10Aである。また、既存地下外壁32と新設地下外壁13との間に隙間S1、S2や緩衝材41、42を設けて、力学的に分離するとともに、既存地下外壁32と新設地下外壁13、及び既存耐圧盤31と新設耐圧盤12とが接合鋼材51、52で連結されている。
図3に、本第一実施形態の新設建物の地下構造の抵抗機構の模式図を示す。
本第一実施形態の新設建物の地下構造では、図3に示すように、地震発生時に建物脚部に生じる転倒モーメントOMに対して、既存耐圧盤31と新設耐圧盤12との間では、接合鋼材52が引抜き抵抗力を負担し、双方の水平接合面では支圧抵抗力が作用して、その偶力機構によって抵抗モーメントRMが形成されることで、建物1Aの転倒を防止する。
具体的には、既存耐圧盤31と新設耐圧盤12との間に設ける接合鋼材52は、図2に示すように、建物1Aを平面視した際の短辺方向Wの両側端部に集中的に配置し、その接合鋼材52を、水平面内において端辺方向Wに直交する建物の長辺方向Lに沿って設ける。ここでいう建物1Aの短辺方向Wの両側端部とは、建物脚部に作用する転倒モーメントOMに対して、接合鋼材52に引抜き抵抗力を効率的に負担させるためには、建物1Aの短辺方向Wの中央付近を建物の回転中心線と捉えた場合、建物1Aの短辺方向Wの建物端面から建物内部側に建物1Aの短辺長さの1/3以下に相当する区間となる。
上述したような新設建物1Aの地下構造では、図2に示すように、既存地下躯体30で囲まれた内部側、及び既存地下躯体30の上方側に、新設地下躯体11Aが設けられている。既存地下躯体30は、既存地下外壁32と、既存耐圧盤31とを含んで構成され、既存地下外壁32の上端面32tと、上端面32tの上方に位置する新設地下躯体11Aとの間には、隙間S1又は緩衝材41が設けられている。
このような構成によれば、既存地下外壁32の上端面32tと新設地下躯体11Aとの間に、剛性ゼロの隙間S1、または低剛性の緩衝材41が設けられ、既存地下外壁32と新設地下躯体11Aが力学的に分離されているために、新設建物1Aを構成する上部構造体20の鉛直荷重が既存地下外壁32に伝達されることはなく、新設建物1Aが新設地下躯体11Aのみで支持される。このため、新設建物1Aの設計を行う際に、既存地下外壁32は新設建物1Aの鉛直荷重の負担を考慮せずに設計作業を行うことができ、複雑な設計作業が不要である。
また、施工時においては、既存地下外壁32を山留め壁として利用することができるので、新設地下躯体を構築する際に山留め壁を設ける必要はなく、建設費用を低減でき、作業日数を短縮できる。
したがって、複雑な設計作業が不要な、既存地下躯体30を利用した新設建物1Aの地下構造部10Aを提供することが可能となる。
新設建物1Aの地下構造部10Aにおいて、既存地下外壁32の内部側側面32gと新設地下躯体11Aとの間には、隙間S2、又は緩衝材42が設けられている。
このような構成によれば、既存地下外壁32の内部側側面32gと新設地下躯体11Aとの間には、隙間S2又は緩衝材42が設けられていることで、既存地下外壁32と新設地下躯体11Aとの間で新設建物1Aの鉛直荷重等が伝達されることはなく、既存地下外壁32を非構造部材として比較的容易に設計することができる。
新設建物1Aの地下構造部10Aにおいて、既存地下外壁32と新設地下躯体11Aとの間、及び既存耐圧盤31と新設地下躯体11Aとの間には接合鋼材51、52が設置され、接合鋼材51、52を介して既存地下躯体30と新設地下躯体11Aが接合されている。
このような構成によれば、接合鋼材51、52を介して既存地下躯体30と新設地下躯体11Aが接合されているので、既存地下外壁32と既存耐圧盤31を含む既存地下躯体30の自重を、新設地下躯体11Aのカウンターウェイトとして利用できる。また、接合鋼材51、52を介して新設地下躯体11Aと既存地下外壁32、または既存耐圧盤31が接合されていることで、地震発生時に建物脚部に生じる転倒モーメントOMに対して、接合鋼材51、52が引抜き抵抗材として機能するとともに、新設地下躯体11Aと既存耐圧盤31との水平接合面においては支圧抵抗力が作用して抵抗モーメントRMが形成され、建物1Aの回転を抑制させることができる。その結果、新設建物1Aの耐震性を高めることができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の新設建物の地下構造の第二実施形態について説明する。なお、以下に示す第二実施形態は、上記第一実施形態で示した新設建物の地下構造に対し、基礎杭を備えている点のみが異なる。したがって、以下の説明においては、上記第一実施形態に対する差異部分を中心に説明し、上記第一実施形態と共通する構成については、図中に同符号を付してその説明を省略する。
本発明の第二実施形態にかかる新設建物の全体構成を示す断面図を図4に示す。図4の新設建物の地下構造部の一部を示す部分拡大断面図を図5に示す。なお、図5においては、既存耐圧盤31と新設耐圧盤12との間の均しコンクリート9の図示を省略している。
新設建物1Bは、図4、図5に示すように、地下構造部(地下構造)10Bと、上部構造部20と、を備える。また、地下構造部10Bは、既存地下躯体30と、新設地下躯体11Bと、から構成されている。
既存地下躯体30は、既存耐圧盤31と、既存地下外壁32と、既存基礎杭35と、を備える。既存基礎杭35は、既存建物の基礎部の少なくとも一部であり、既存建物(図示無し)を取り壊す際に、既存耐圧盤31及び既存地下外壁32とともに、地盤G中に残すことによって構成される。
既存基礎杭35は、杭頭部35tが、より詳細には杭上部の杭体外周面が、既存耐圧盤31に接合されている。既存基礎杭35と既存耐圧盤31とは、図示しない接合筋等を介して接合することもできる。
新設地下躯体11Bは、図4に示すように既存地下躯体30で囲まれた内部側に設けられている。新設地下躯体11Bは、新設耐圧盤12と、新設地下外壁13と、下部柱14と、基礎梁15と、を備える。既存地下外壁32と新設地下躯体11Bとの間、及び既存耐圧盤31と新設地下躯体11Bとの間には、上記第一実施形態と同様、接合鋼材51、52(図2参照)が設置されている。
新設耐圧盤12は、図5に示すように、下端面に凹部12sが上方に向けて窪むように形成され、既存基礎杭35の杭頭部35tとの間に、水平方向及び上下方向に所定寸法の隙間S3を隔てて設けられる。この隙間S3には、例えばポリプロピレン等の発泡性フォーム材等からなる緩衝材43が充填されていてもよい。
上記第一実施形態の新設建物1Aと同様、新設地下躯体11Bは、既存地下外壁32の上端面との間に、隙間S1又は緩衝材41を介して設けられている。また、既存地下外壁32の内部側側面と新設地下躯体11Bとの間には、隙間S2又は緩衝材42が設けられている。これにより、新設建物1Bの設計を行う際に、既存地下外壁32による鉛直荷重の負担を考慮せずに設計作業を行うことができ、設計作業の複雑化を抑えることができる。
また、既存基礎杭35についても、図5に示すように、新設地下躯体11Bの新設耐圧盤12との間に、隙間S3又は緩衝材43を介して設けられている。これにより、新設建物1Bの設計を行う際に、既存基礎杭35による鉛直荷重の負担を考慮せずに設計作業を行うことができ、設計作業の複雑化を抑えることができる。
上述に示すような第二実施形態の構成によれば、新設地下躯体11Bを構成する新設耐圧盤12と既存基礎杭35との間に隙間S3、または緩衝材43が設けられ、新設耐圧盤12と既存基礎杭35が力学的に分離されていることで、新設建物1Bの鉛直荷重は既存基礎杭35に伝達されることはなく、新設耐圧盤12からその下面側の既存耐圧盤31を通して、当該既存耐圧盤31の直下地盤に伝達される。既存基礎杭35は、新設建物1Bの鉛直荷重は支持しないものの、地震発生時に新設耐圧盤12を含む新設地下躯体11Bが水平方向に移動し、既存基礎杭35と新設耐圧盤12との間の隙間空間が狭まり、新設耐圧盤12が既存基礎杭に接する変形領域に至った際には、既存基礎杭35が新設建物1Bの水平抵抗材として機能して、新設建物1Bの構造安全性を高めることができる。
(第二実施形態の変形例)
なお、本発明の新設建物の地下構造は、図面を参照して説明した上述の第二実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、新設地下躯体11Bに、既存基礎杭35を設けるようにしたが、これに限らない。
本発明の第二実施形態にかかる新設建物の変形例の構成を示す断面図を図6に示す。新設建物1Cの地下構造部(地下構造)10Cは、既存地下躯体30と、新設地下躯体11Cと、から構成されている。
新設地下躯体11Cは、新設基礎杭18を備える。新設基礎杭18は、その杭頭部18tが、新設地下躯体11Cに一体に接合されている。新設基礎杭18と新設地下躯体11Cとは、図示しない接合筋等を介して接合することもできる。新設基礎杭18は、既存耐圧盤31に形成された貫通孔31hとの間に、所定寸法の隙間S4を隔てて形成されている。この隙間S4には、例えばポリプロピレン等の発泡性フォーム材等からなる緩衝材44が充填されていてもよい。
上述に示すような第二実施形態の変形例の構成によれば、既存耐圧盤31と新設基礎杭18との間に隙間S4、または緩衝材44が設けられ、既存耐圧盤31と新設基礎杭18が力学的に分離されていることで、地震発生時以外の通常時には既存耐圧盤31から新設基礎杭18に力が伝達されることはなく、地震発生時に既存耐圧盤31が新設基礎杭18に接する変形領域に至った際には、既存耐圧盤31と新設耐圧盤12が共に新設基礎杭18と接する状態となり、既存耐圧盤31が新設建物1Cの水平抵抗材として機能して、新設建物1Cの構造安全性を高めることができる。
(その他の変形例)
また、新設建物の地下構造部は、上記第二実施形態で示した既存基礎杭35と、第二実施形態の変形例で示した新設基礎杭18との双方を備えるようにしてもよい。その場合、既存基礎杭35は図5に示した構造とし、新設基礎杭18とその周辺の構成は図6に示す構造を採用する。
また、上記第二実施形態における既存基礎杭35と新設耐圧盤12との間の凹部、及び、上記第二実施形態の変形例における、新設基礎杭18が挿通する既存耐圧盤31の貫通孔部分には、隙間、または緩衝材が設けられていたが、これに替えて、構造材として期待することのない低強度コンクリートを配置してもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
1A、1B、1C 新設建物 31h 貫通孔
9 均しコンリート 31 既存耐圧盤
10A、10B、10C 地下構造部 32 既存地下外壁
(新設建物の地下構造) 32g 内部側側面
11A、11B、11C 新設地下躯体 32t 上端面
12 新設耐圧盤 35 既存基礎杭
18 新設基礎杭 41、42 緩衝材
20 上部構造部 51、52 接合鋼材
30 既存地下躯体 S1、S2、S3、S4 隙間

Claims (3)

  1. 既存地下躯体で囲まれた内部側、又は当該既存地下躯体の上方側に、新設地下躯体が設けられた新設建物の地下構造であって、
    前記既存地下躯体は、既存地下外壁と、既存耐圧盤とを含んで構成され、
    前記既存地下外壁の上端面と、該上端面の上方に位置する前記新設地下躯体との間には、隙間、又は緩衝材が設けられていることを特徴とする新設建物の地下構造。
  2. 前記既存地下外壁の内部側側面と前記新設地下躯体との間には、隙間、又は緩衝材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の新設建物の地下構造。
  3. 前記既存地下外壁と前記新設地下躯体との間、及び前記既存耐圧盤と前記新設地下躯体との間には接合鋼材が設置され、当該接合鋼材を介して前記既存地下躯体と前記新設地下躯体が接合されていることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の新設建物の地下構造。
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