JP2010189903A - 建物の制振架構 - Google Patents

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Tetsuya Hanzawa
徹也 半澤
Kazuhiko Isoda
和彦 磯田
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Abstract

【課題】実施に対する制約を受けにくく、全体曲げ変形、層せん断変形のいずれの変形モードに対しても振動エネルギーを吸収して、より確実に建物の応答を低減させることが可能な建物の制振架構を提供する。
【解決手段】内部に上下方向に貫設したコア部1を備える建物の制振架構Aであって、コア部1の一面1aを形成するように並設された一対の本設柱3(3a、3b)の間に一対の増設柱4(4a、4b)を設ける。また、一対の増設柱4(4a、4b)の間にブレースダンパー6を設ける。さらに、本設柱3(3a、3b)と増設柱4(4a、4b)の間に境界梁ダンパー8を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばマンションやオフィスビルなどの多層構造の建物の制振架構に関する。
従来、マンションやオフィスビルなどの高層建物(多層構造の建物)には、振動エネルギー吸収装置として制振ダンパー(制震ダンパー)を設置した制振架構(制震架構)を採用し、地震時の変形を抑制するようにしたものがある。また、この種の建物には、建物の内部(内側)にコア部を貫設し、外周部を鉄骨造として構築したものがある。
一方、地震時の変形を抑制するために制振ダンパーを設置して制振架構とする場合には、建築計画上の制約から制振ダンパーの設置位置がコア部あるいはコア部の周りに限定されることが多く、さらに、コア部が上層から下層(上階から下階)に連続して形成されている場合には、コア部の塔状比が非常に大きくなる。また、コア部やコア部の周りに制振ダンパーを設置せず、コア部をRC耐震壁で形成したり、コア部に鉄骨ブレースや鋼板耐震壁を設けた場合であっても、上記と同様、コア部の塔状比が非常に大きくなる。このため、地震時には、コア部に地震力が集中し地震力の大部分を負担することになるが、上層においては全体曲げによる変形が卓越しやすく、層間に設置した制振ダンパーやブレースだけでは変形を抑制することが難しくなる。
これに対し、特許文献1には、コア部の頂部あるいは中間部にトップガーターを設け、このトップガーターの端部に鉛直方向に制振ダンパーを設けて、コア部の回転変形(曲げ変形)を抑制する制振架構が開示されている。
また、特許文献2には、建物の本設柱のスパン間に、2本の増設柱を所定の間隔をあけて設けるとともにこれら2本の増設柱の間に鋼板耐震壁を据付けて連層耐震壁を形成した上で、本設柱と増設柱の間に境界梁ダンパーを設けた制振架構が開示されている。
さらに、特許文献3には、隣り合う柱の間にブレースダンパーを架設してなる連層制振架構を二つ以上構築し(コア部を形成する一面に連層制振架構を二つ以上構築し)、隣り合う連層制振架構の間に境界梁ダンパーを架設した制振架構が開示されている。
特開平7−26786号公報 特開平10−184074号公報 特開2000−328810号公報
しかしながら、特許文献1の制振架構においては、制振ダンパー反力が外周フレームの柱の軸力として作用するため、外周フレームの柱の軸剛性が小さいと、コア部の曲げ変形を抑制する効果が得られなくなってしまう。コア部の曲げ変形を抑制する効果を得るためには、外周フレームの柱だけでなく、トップガーターの曲げ剛性を十分確保することも必要になり、このトップガーターにかなりの梁成が必要になってしまう。
さらに、地震波の特性によって、あるいは架構の柱や梁の剛性のバランスによって、高層建物では地震時に幾つかの変形モードが混成し、全体曲げ変形、層せん断変形が時々刻々と生起するが、特許文献1の制振架構においては、制振ダンパーによって主に全体曲げ変形を制御(低減)し、層せん断変形に対しては柱や梁の剛性で抵抗することになる。すなわち、特許文献1の制振架構においては、全体曲げ変形、層せん断変形のいずれの変形モードに対しても振動エネルギーを吸収して低減させるように構成されていないため、建物の応答を低減する(変形を抑制する)効果が十分とはいえない。
また、特許文献2の制振架構において、連層耐震壁は制振架構ではなく、それ自体に積極的に振動エネルギーを吸収する効果を期待することはできない。すなわち、特許文献2の制振架構においては、地震によって建物架構に大きな水平力が作用した際に、境界梁ダンパーがいち早く変形して地震力(外力)を吸収することになり、この境界梁ダンパーによって積極的に曲げ変形を制御することになる。このため、特許文献1の制振架構と同様に、全体曲げ変形、層せん断変形のいずれの変形モードに対しても振動エネルギーを積極的に吸収して低減させることができず、やはり建物の応答を低減する(変形を抑制する)効果が十分とはいえない。
一方、特許文献3の制振架構においては、隣り合う柱の間にブレースダンパーを架設してなる連層制振架構を二つ以上構築して構成されている。そして、小さなサイズの境界梁ダンパーに比べブレースダンパーはコストが高く、このようなブレースダンパーを架設してなる連層制振架構を二つ以上設ける場合には、コスト及び建築計画の点からその実施に制約を受けやすくなってしまう。
本発明は、上記事情に鑑み、実施に対する制約を受けにくく、全体曲げ変形、層せん断変形のいずれの変形モードに対しても振動エネルギーを吸収して、より確実に建物の応答を低減させることが可能な建物の制振架構を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の建物の制振架構は、内部に上下方向に貫設したコア部を備える建物の制振架構であって、前記コア部の一面を形成するように並設された一対の本設柱の間に一対の増設柱を設け、前記一対の増設柱の間にブレースダンパーを設けるとともに、前記本設柱と前記増設柱の間に境界梁ダンパーを設けて構成されていることを特徴とする。
この発明においては、コア部の一面を形成するように並設された一対の本設柱の間(スパン間)に一対の増設柱を設け、これら一対の増設柱の間にブレースダンパーが設けられている。すなわち、コア部の一面に、ブレースダンパーを架設してなる一つの連層制振架構を設けて構成されている。このため、地震力が建物に作用した際に、ブレースダンパーによって振動エネルギーを吸収し、建物の層せん断変形を低減させることが可能になる。また、本設柱と増設柱の間に発生する上下方向の相対変位に境界梁ダンパーが作用して、この境界梁ダンパーによって振動エネルギーを吸収し、建物の全体曲げ変形を低減させることが可能になる。
本発明の建物の制振架構によれば、一対の増設柱の間に設けたブレースダンパーと、本設柱と増設柱の間に設けた境界梁ダンパーとで、地震波の特性によって、あるいは架構の柱や梁の剛性のバランスによって時々刻々と生起する建物の全体曲げ変形、層せん断変形のいずれの変形モードに対しても振動エネルギーを積極的に吸収して低減させることが可能になる。これにより、従来の制振架構と比べ、より確実に建物の応答を低減させることができ、建物に優れた耐振性能を付与することが可能になる。
また、このとき、コア部の一面に、一つの連層制振架構を設けて構成されているため、従来の制振架構と比較し、高価なブレースダンパーの設置数を減らしても、建物の全体曲げ変形、層せん断変形を生じさせる振動エネルギーの吸収効果を発揮させることが可能になる。これにより、コスト及び建築計画の点からその実施に制約を受けやすいという従来の制振架構の課題を解消することが可能になる。
本発明の一実施形態に係る建物の制振架構を示す図である。 図1のX1−X1線矢視図である。 シミュレーション結果を示す図である。 シミュレーションで用いた従来の制振架構を示す図である。 シミュレーションで用いた従来の制振架構を示す図である。
以下、図1から図5を参照し、本発明の一実施形態に係る建物の制振架構について説明する。
はじめに、本実施形態の建物(制振架構A)は、図1及び図2に示すように、例えばマンションやオフィスビルなどの多層構造の建物(高層建物)であり、建物Aの内部(内側)に例えばエレベーターや階段室などとして利用されるコア部1を貫設し、外周部2を鉄骨造として構築されている。
また、本実施形態の制振架構Aは、コア部1の一面(各面)1aを形成するように並設された一対の本設柱3(3a、3b)の間(スパン間)に、一対の増設柱4(4a、4b)が設けられている。また、一対の増設柱4(4a、4b)の間には、各層(階)に本設梁5が架設され、各層の上下の本設梁5の間にブレースダンパー6が架設されている。これにより、コア部1の一面1aには、上下方向に連続する一つの連層制振架構7が設けられている。
さらに、このコア部1の一面1aには、互いに隣接して対向する本設柱3(3a、3b)と増設柱4(4a、4b)の間に、制振ダンパーを備えた境界梁(境界梁ダンパー8)が架設されている。この境界梁ダンパー8は各層毎に設けられている。
ついで、上記構成からなる本実施形態の建物の制振架構Aの作用及び効果について説明する。
はじめに、この種の高層建物Aは、地震波の特性によって、あるいは架構の柱3や梁5の剛性のバランスによって、地震時に幾つかの変形モードが混成し、全体曲げ変形、層せん断変形が時々刻々と生起する。
そして、本実施形態の制振架構Aにおいては、地震時に作用した地震力の大部分を負担するコア部1の一面1aに連層制振架構7が設けられているため、この連層制振架構7の各ブレースダンパー6によって、層せん断変形を生じさせる振動エネルギーが積極的に吸収される。これにより、この建物(制振架構A)の層せん断変形が低減(抑制)される。
一方、本設柱3(3a、3b)と増設柱4(4a、4b)の間に境界梁ダンパー8が設けられているため、地震動が作用した際に、本設柱3(3a、3b)と増設柱4(4a、4b)の間に発生する上下方向の相対変位に境界梁ダンパー8が作用し、この境界梁ダンパー8によって、曲げ変形を生じさせる振動エネルギーが積極的に吸収される。これにより、この建物(制振架構A)の全体曲げ変形が低減(抑制)される。
このため、本実施形態の制振架構Aにおいては、時々刻々と生起する建物の全体曲げ変形、層せん断変形のいずれの変形モードに対しても振動エネルギーが積極的に吸収されて低減されることになる。これにより、従来の制振架構と比べ、より確実に(より一層)建物Aの応答の低減が図られ、優れた耐振性能を備えた建物Aとなる。
また、コア部1の一面1aに、一つの連層制振架構7と境界梁ダンパー8を設け、この連層制振架構7のブレースダンパー6と境界梁ダンパー8で全体曲げ変形、層せん断変形を低減させるように制振架構Aが構成されるため、従来の制振架構と比較し、連層制振架構7を一つとして高価なブレースダンパー6の設置数を減らしても、確実に全体曲げ変形、層せん断変形を生じさせる振動エネルギーの吸収効果が発揮される。このため、コスト及び建築計画の点からその実施に制約を受けやすい従来の制振架構と比較し、本実施形態の制振架構Aは実施の制約を受けにくいものとなる。
ここで、図3は、40階建ての建物Aを想定し、入力地震動をセンター波レベル2(継続時間20秒)としてシミュレーションを行った結果を示している。また、建物Aは、3×3スパン(38.4m×38.4m)のセンターコア形式の建物とし、重量を0.6t/m、1階(最下層)の階高を5m、他の一般階(上層)の階高を4mとしている。また、解析モデルはハーフモデルとしている。
また、境界梁(境界梁ダンパー)8を設けず、ブレースダンパー6のみとしたケース1(図4:建物B1)、ケース1に対してブレースダンパー6の板厚を2倍程度にしたケース2(図4:建物B2)、境界梁(境界梁ダンパー8)とブレースダンパー6を併用したケース3(図1及び図2:本発明の制振架構(建物)A)、境界梁8とブレースダンパー6をともに設けていないケース4(図5:建物B3)の4ケースの建物Aに対してそれぞれ、シミュレーションを行っている。なお、ブレースダンパー6は、アンボンドブレースダンパーとしている。
そして、シミュレーション結果を示す図3から、境界梁8とブレースダンパー6を設けていないケース4の応答が最も大きく、ブレースダンパー6のみとしたケース1は、ブレースダンパー6によって振動エネルギーが吸収され、ケース4よりも応答が低減することが確認された。また、ブレースダンパー6の板厚を2倍程度にしたケース2では、ブレースダンパー6の容量を増加してケース1よりもさらに応答の低減を図っているが、ケース1とほぼ同程度の応答低減効果しか得られていない。これは、ブレースダンパー6が層間変形に対して振動エネルギーの吸収効果を発揮するが、全体曲げ成分には十分に効果を発揮しないことを示している。
一方、本発明のケース3では、ケース1やケース2よりも応答が低減することが確認された。これにより、本実施形態のように、ブレースダンパー6を連層配置した一つの連層制振架構7に加え、本設柱3(3a、3b)と増設柱4(4a、4b)の間に境界梁ダンパー8を設けることで、建物Aの全体曲げ変形、層せん断変形のいずれの変形モードに対してもエネルギー吸収効果が発揮され、建物Aの制振性能がより一層向上することが実証された。
したがって、本実施形態の建物の制振架構Aにおいては、コア部1の一面1aを形成するように並設された一対の本設柱3(3a、3b)の間に一対の増設柱4(4a、4b)を設け、これら一対の増設柱4(4a、4b)の間にブレースダンパー6を設けて、一つの連層制振架構7を設けることにより、この連層制振架構7のブレースダンパー6によって振動エネルギーを吸収し、建物Aの層せん断変形を低減させることが可能になる。また、本設柱3(3a、3b)と増設柱4(4a、4b)の間に発生する上下方向の相対変位に境界梁ダンパー8が作用して、この境界梁ダンパー8によって振動エネルギーを吸収し、建物Aの全体曲げ変形を低減させることが可能になる。
よって、本実施形態の建物の制振架構Aによれば、一対の増設柱4(4a、4b)の間に設けたブレースダンパー6と、本設柱3(3a、3b)と増設柱4(4a、4b)の間に設けた境界梁ダンパー8とで、地震波の特性によって、あるいは架構の柱3や梁5の剛性のバランスによって時々刻々と生起する建物Aの全体曲げ変形、層せん断変形のいずれの変形モードに対しても振動エネルギーを積極的に吸収して低減させることが可能になる。これにより、従来の制振架構と比べ、より確実に建物Aの応答を低減させることができ、建物Aに優れた耐振性能を付与することが可能になる。
また、このとき、コア部1の一面1aに、一つの連層制振架構7を設けて構成されているため、従来の制振架構と比較し、高価なブレースダンパー6の設置数を減らしても、建物Aの全体曲げ変形、層せん断変形を生じさせる振動エネルギーの吸収効果を発揮させることが可能になる。これにより、コスト及び建築計画の点からその実施に制約を受けやすいという従来の制振架構の課題を解消することが可能になる。
以上、本発明に係る建物の制振架構の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1 コア部
1a コア部の一面(各面)
2 外周部
3 本設柱
4 増設柱
5 本設梁
6 ブレースダンパー
7 連層制振架構
8 境界梁ダンパー(境界梁)
A 制振架構(建物)
B1 従来の制振架構(建物)
B2 従来の制振架構(建物)
B3 従来の制振架構(建物)

Claims (1)

  1. 内部に上下方向に貫設したコア部を備える建物の制振架構であって、
    前記コア部の一面を形成するように並設された一対の本設柱の間に一対の増設柱を設け、
    前記一対の増設柱の間にブレースダンパーを設けるとともに、前記本設柱と前記増設柱の間に境界梁ダンパーを設けて構成されていることを特徴とする建物の制振架構。
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