JP7087258B2 - 免震構造物 - Google Patents

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本発明は、免震構造物に関する。
コア構造体と、外周構造体と、コア構造体と外周構造体との間に架設される水平材と、外周構造体の柱間に架設されたダンパーブレースとを備える制振架構が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された技術では、地震時における構造物のねじれ振動を利用し、ダンパーブレースの変形量を大きくすることで、ダンパーの減衰効率を高めている。
特開2013-28938号公報
ところで、免震装置に支持された上部構造体は、免震装置に支持されていない上部構造体と比較して、地震時におけるねじれ振動(ねじれ変形量)が小さくなり易い。そのため、ダンパーの変形量が小さくなり、ダンパーの減衰効率が低下する可能性がある。
本発明は、上記の事実を考慮し、免震構造物においてダンパーの減衰効率を高めることを目的とする。
第1態様に係る免震構造物は、複数の免震装置と、高剛性領域と、前記高剛性領域よりも剛性が低い低剛性領域と、を有し、前記複数の免震装置に支持された上部構造体と、前記低剛性領域に設けられた制振部材と、を備える。
第1態様に係る免震構造物によれば、上部構造体は、複数の免震装置に支持される。この上部構造体は、高剛性領域と、低剛性領域とを有する。
ここで、低剛性領域は、高剛性領域よりも剛性が低くされる。そのため、地震時には、低剛性領域の変形量が、高剛性領域の変形量よりも大きくなる。この低剛性領域に、制振部材が設けられる。
これにより、本発明では、高剛性領域に制振部材が設けられる場合と比較して、地震時における制振部材の変形量が大きくなる。したがって、制振部材の減衰効率を高めることができる。
第2態様に係る免震構造物は、第1態様に係る免震構造物において、前記低剛性領域のスラブには、前記高剛性領域よりもスラブ厚が薄く、又は開口部が形成された低面内剛性領域が設けられる。
第2態様に係る免震構造物によれば、低剛性領域のスラブには、高剛性領域よりもスラブ厚が薄く、又は開口部が形成された低面内剛性領域が設けられる。この低面内剛性領域によって、低剛性領域の剛性が、高剛性領域の剛性よりも低くされる。
これにより、地震時における低剛性領域の変形量が、高剛性領域の変形量よりも大きくなる。したがって、低剛性領域に設けられた制振部材の減衰効率を高めることができる。
第3態様に係る免震構造物は、第1態様又は第2態様に係る免震構造物において、前記高剛性領域のスラブには、水平ブレースが設けられる。
第3態様に係る免震構造物によれば、高剛性領域のスラブには、水平ブレースが設けられる。この水平ブレースによって、高剛性領域の剛性が、低剛性領域の剛性よりも高められる。換言すると、低剛性領域の剛性が、高剛性領域の剛性よりも低くされる。
これにより、地震時における低剛性領域の変形量が、高剛性領域の変形量よりも大きくなる。したがって、低剛性領域に設けられた制振部材の減衰効率を高めることができる。
第4態様に係る免震構造物は、水平剛性が異なる複数の免震装置と、前記複数の免震装置に支持される上部構造体と、前記上部構造体に設けられる制振部材と、を備え、前記複数の免震装置は、地震時に前記上部構造体にねじれ振動が発生するように配置される。
第4態様に係る免震構造物によれば、上部構造体は、水平剛性が異なる複数の免震装置に支持される。また、上部構造体には、制振部材が設けられる。
ここで、複数の免震装置は、地震時に、上部構造体にねじれ振動が発生するように配置される。したがって、上部構造体のねじれ振動の振幅が相対的に大きくなる領域に制振部材を設けることにより、制振部材の変形量を大きくすることができる。したがって、制振部材の減衰効率を高めることができる。
以上説明したように、本発明に係る免震構造物によれば、免震構造物においてダンパーの減衰効率を高めることができる。
第一実施形態に係る免震構造物の上部構造体の最下階を示す平面図である。 図1に示される上部構造体の地震時の変形状態を誇張して示す平面図である。 比較例に係る構造物を示す平面図である。 図3に示される比較例に係る構造物を免震化した構造物を示す平面図である。 第二実施形態に係る免震構造物の上部構造体の最下階を示す平面図である。 第三実施形態に係る免震構造物の上部構造体の最下階を示す平面図である。 図6に示される上部構造体の地震時の変形状態を誇張して示す平面図である。 第四実施形態に係る免震構造物の上部構造体の最下階を示す平面図である。 図8に示される上部構造体の地震時の変形状態を誇張して示す平面図である。
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について説明する。
(免震構造物)
図1には、第一実施形態に係る免震構造物10が示されている。免震構造物10は、例えば、基礎免震構造や、中間免震構造とされる。この免震構造物10は、複数の免震装置20と、複数の免震装置20に支持された上部構造体30と、上部構造体30に設けられた制振部材50とを備えている。
(免震装置)
複数の免震装置20は、水平二方向に配列されている。各免震装置20は、積層ゴム支承とされている。これらの免震装置20は、図示しない下部構造体上に設置されている。下部構造体は、例えば、免震構造物10の基礎や下層階とされる。
なお、本実施形態では、各免震装置20が同様の水平剛性を有している。また、免震装置20は、積層ゴム支承に限らず、滑り支承や転がり支承等であっても良い。また、各図に示される矢印X及び矢印Yは、互いに直交する水平二方向を示している。
(上部構造体)
複数の免震装置20の上には、上部構造体30が載置されている。上部構造体30は、複数の免震装置20を介して前述した下部構造体に支持されている。これにより、上部構造体30は、下部構造体に対して水平二方向に変位可能とされている。
上部構造体30は、一層、又は複数層からなる。この上部構造体30は、複数の架構32と、スラブ40とを有している。複数の架構32は、例えば、ラーメン架構とされており、矢印X方向又は矢印Y方向に沿って配置されている。
なお、図1には、免震装置20(免震層)の直上階、すなわち上部構造体30の最下階30Fの架構32が示されている。また、架構32は、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造でも良いし、鉄骨造でも良い。また、本実施形態では、一例として、各架構32が同様の剛性を有している。
各架構32は、隣り合う一対の柱34と、一対の柱34に架設された上下の梁36とを有している。複数の柱34は、水平二方向に配列され、免震装置20上に立てられている。つまり、柱34は、免震装置20を介して下部構造体に支持されている。なお、図1には、各架構32の下側の梁36のみが図示されている。
(スラブ)
スラブ40は、鉄筋コンクリート造とされている。また、スラブ40は、平面視にて、矩形状に形成されており、上部構造体30の最下階30Fの床を形成している。このスラブ40は、最下階30Fの下側の梁36上に敷設されており、当該梁36に支持されている。
ここで、上部構造体30には、高剛性領域30H及び低剛性領域30Lを有している。低剛性領域30Lは、高剛性領域30Hよりも剛性が低くされている。具体的には、高剛性領域30Hのスラブ40は、2つの高面内剛性領域40Hが設けられ、低剛性領域30Lのスラブ40には、2つの低面内剛性領域40Lが設けられている。
2つの高面内剛性領域40H及び2つの低面内剛性領域40Lは、水平二方向に配置されている。また、2つの高面内剛性領域40Hは、矢印Y方向に並んで配置されている。これと同様に、低面内剛性領域40Lは、矢印Y方向に並んで配置されている。なお、高面内剛性領域40H及び低面内剛性領域40Lは、4本の柱34によって区画された(囲まれた)領域とされる。
低面内剛性領域40Lは、高面内剛性領域40Hよりもスラブ厚が薄くされている。これにより、低面内剛性領域40Lの面内剛性が、高面内剛性領域40Hの面内剛性よりも低くされている。
特に本実施形態では、2つの低面内剛性領域40Lが矢印Y方向(所定方向)に並んで配置されている。これにより、低面内剛性領域40Lの矢印Y方向(所定方向)の面外剛性が、高面内剛性領域40Hの矢印Y方向の面内剛性よりも低くされている。そのため、地震時には、図2に示されるように、低面内剛性領域40Lの矢印Y方向の変形量(せん断変形量)が、高面内剛性領域40Hの矢印Y方向の変形量(せん断変形量)よりも大きくなる。
なお、低面内剛性領域40L及び高面内剛性領域40Hの数や配置は、適宜変更可能である。また、本実施形態では、低面内剛性領域40Lの全体のスラブ厚を、高面内剛性領域40Hよりも薄くしたが、本実施形態はこれに限らない。例えば、低面内剛性領域40Lの一部のスラブ厚を、高面内剛性領域40Hよりも薄くしても良い。また、低面内剛性領域40Lに開口部を形成することにより、低面内剛性領域40Lの面内剛性を高面内剛性領域40Hの面内剛性よりも低くしても良い。この場合、低面内剛性領域40L及び高面内剛性領域40Hのスラブ厚は、同じであっても良い。
(制振部材)
上部構造体30には、複数の制振部材50が設けられている。制振部材50は、例えば、オイルダンパーとされる。これらの制振部材50は、上部構造体30のうち、地震時の変位量(変位量)が相対的に大きくなる領域に設けられている。
具体的には、複数の制振部材50は、低面内剛性領域40Lに設けられている。これらの制振部材50は、上部構造体30の最下階30Fの外周部で、かつ、矢印Y方向に沿った低剛性領域30Lの架構32の構面にそれぞれ設けられている。各制振部材50は、地震時における架構32の変形(せん断変形)に伴って、振動エネルギーを吸収可能とされている。
なお、制振部材50の数や配置は、変更可能である。また、制振部材50には、オイルダンパーや、摩擦ダンパー、粘弾性体ダンパー、鋼材系ダンパー、制振ブレース等の種々の減衰部材を用いることができる。
(作用)
次に、第一実施形態の作用について説明する。
先ず、本実施形態の作用を明確にするために、比較例に係る構造物100について説明する。図3には、比較例に係る構造物100が示されている。なお、比較例に係る構造物100において、本実施形態に係る免震構造物10と同様の構成は、同符号を付して説明を省略する。
図3に示されるように、比較例に係る構造物100は、非免震構造とされている。この比較例では、二点鎖線で示されるように、地震時における構造物100のねじれ振動を利用し、制振部材50の変形量を大きくすることで、制振部材50の減衰効率を高めている。
具体的には、構造物100の一端側には、コア部102が設けられている。コア部102には、例えば、鉄筋コンクリート造等の高剛性の耐震壁104が設けられている。これにより、コア部102の剛性(せん断剛性)が、構造物100の他の部位の剛性(せん断剛性)よりも高くなっている。このコア部102によって、構造物100の重心Gと剛心Rとがずれている。つまり、コア部102によって、構造物100が偏心されている。
また、構造物100の他端側には、制振部材50が設けられている。制振部材50は、コア部102と対角する構造物100の角部を構成する架構106にそれぞれ設けられている。
ここで、構造物100は、前述したように偏心している。このように偏心した構造物100では、図3に二点鎖線で示されるように、地震時にねじれ振動が発生する。これにより、制振部材50の変形量が大きくなる。したがって、構造物100では、制振部材50の減衰効率を高めることができる。
ところで、例えば、偏心した構造物100を免震化することが考えられる。具体的には、図4には、免震化された構造物110が示されている。この構造物110は、図3に示される構造物100と同様に偏心している。
この構造物110は、複数の免震装置20に支持されているため、図4に二点鎖線で示されるように、地震時におけるねじれ振動(ねじれ変形量)が小さくなる。したがって、制振部材50の減衰効率が低下する可能性がある。このように免震化された構造物110では、制振部材50の減衰効率を高めることが難しい。なお、図3及び図4では、構造物100,110の変形量が誇張されている。
これに対して本実施形態では、図1に示されるように、免震構造物10の上部構造体30が、高剛性領域30H及び低剛性領域30Lを有している。低剛性領域30Lは、高面内剛性領域40Hよりも剛性が低くされている。
具体的には、高剛性領域30Hのスラブ40には、高面内剛性領域40Hが設けられている。一方、低剛性領域30Lのスラブ40には、低面内剛性領域40Lが設けられている。低面内剛性領域40Lのスラブ厚は、高面内剛性領域40Hのスラブ厚よりも薄くされている。これにより、低面内剛性領域40Lの面内剛性が、高面内剛性領域40Hの面内剛性よりも低くされている。
特に、本実施形態では、2つの低面内剛性領域40Lが矢印Y方向に並んで配置されている。そのため、低面内剛性領域40Lの矢印Y方向の面内剛性が、高面内剛性領域40Hの矢印Y方向の面内剛性よりも低くされている。そのため、図2に示されるように、地震時における低面内剛性領域40Lの矢印Y方向の変形量が、高面内剛性領域40Hの矢印Y方向の変形量よりも大きくなる。なお、図2では、上部構造体30の変形量が誇張されている。
このように地震時の変形量が相対的に大きくなる低剛性領域30Lの矢印Y方向に沿った2つの架構32の構面に、制振部材50がそれぞれ設けられている。これにより、本実施形態では、高面内剛性領域40Hに制振部材50が設けられる場合と比較して、地震時における制振部材50の変形量が大きくなる。したがって、制振部材50の減衰効率を高めることができる。
また、本実施形態では、上部構造体30の最下階30Fに低面内剛性領域40L、高面内剛性領域40H、及び制振部材50が設けられている。これにより、本実施形態では、最下階30Fよりも上層階に低面内剛性領域、高面内剛性領域、及び制振部材を設ける場合と比較して、制振部材50の減衰効率を効率的に高めることができる。
また、一般に、平面計画の不整形さや制約、既存構造物の免震改修などにより免震装置や制振部材(ダンパー)の配置が不整形になると、制振部材の減衰効率が低下する可能性がある。このような場合に本実施形態を適用することにより、制振部材の減衰効率を効率的に高めることができる。
また、建築計画的に免震層の減衰装置が偏心配置にならざるを得ない場合にも、本実施形態を適用することにより、制振部材の減衰効率を効率的に高めることができる。特に、本実施形態は、既存改修に有効である。
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態において、第一実施形態と同じ構成の部材等には、同符号を付して説明を適宜省略する。
図5には、第二実施形態に係る免震構造物60が示されている。免震構造物60の上部構造体30は、高剛性領域30H及び低剛性領域30Lを有している。また、高剛性領域30Hのスラブ40には、2つの高面内剛性領域40Hが設けられ、低剛性領域30Lには、2つの低面内剛性領域40Lが設けられている。
ここで、高面内剛性領域40Hのスラブ厚と低面内剛性領域40Lのスラブ厚とは、同じとされている。一方、高面内剛性領域40Hには、水平ブレース62が設けられている。この水平ブレース62によって、高面内剛性領域40Hの面内剛性が、低剛性領域30Lの面内剛性よりも高くされている。換言すると、低面内剛性領域40Lの面内剛性が、高面内剛性領域40Hの面内剛性よりも相対的に低くされている。
なお、第一実施形態と同様に、低面内剛性領域40Lのスラブ厚を、高面内剛性領域40Hのスラブ厚よりも薄くしたり、低面内剛性領域40Lに開口部を形成したりすることも可能である。また、低剛性領域30Lのスラブを省略することにより、低剛性領域30Lの剛性を高剛性領域30Hの剛性よりも低くしても良い。この場合、スラブを省略した低剛性領域30Lには、乾式床を設けても良い。
また、低面内剛性領域40Lの面内剛性が、高面内剛性領域40Hの面内剛性よりも低い範囲内であれば、低面内剛性領域40Lに水平ブレースを設けることも可能である。
次に、第二実施形態の作用について説明する。
本実施形態に係る免震構造物60によれば、高面内剛性領域40Hには、水平ブレース62が設けられている。この水平ブレース62によって、高面内剛性領域40Hの面内剛性が、低面内剛性領域40Lの面内剛性よりも高められている。換言すると、低面内剛性領域40Lの面内剛性が、高面内剛性領域40Hの剛性よりも低くされている。
これにより、地震時における低剛性領域30Lの変形量が、高剛性領域30Hの変形量よりも大きくなる。したがって、本実施形態では、第一実施形態と同様に、低剛性領域30Lに設けられた制振部材50の減衰効率を高めることができる。
(第三実施形態)
次に、第三実施形態について説明する。なお、第三実施形態において、第一実施形態及び第二実施形態と同じ構成の部材等には、同符号を付して説明を適宜省略する。
(免震構造物)
図6には、第三実施形態に係る免震構造物70が示されている。免震構造物70の上部構造体30は、複数層からなる。この上部構造体30の一端側には、コア部72が設けられている。コア部72は、例えば、上部構造体30の複数階に亘って設けられる。なお、コア部72は、上部構造体30の最下階30Fにのみ設けられても良い。
コア部72には、鉄筋コンクリート造等の高剛性の耐震壁(耐力壁)74が設けられている。このコア部72によって、上部構造体30の重心Gと剛心Rとがずれている。つまり、コア部72によって、上部構造体30が偏心され、若しくは偏心率が大きくなっている(例えば、偏心率>0.15)。
(スラブ)
また、上部構造体30の最下階30Fのスラブ40は、その上階(直上階)のスラブ(図示省略)よりも面内剛性が低くされている。具体的には、最下階30Fのスラブ40のスラブ厚が、その上階のスラブ(図示省略)のスラブ厚よりも薄くされている。そのため、地震時における最下階30Fの変形量が、その上階の変形量よりも大きくなる。これにより、地震時に、最下階30Fにねじれ振動が発生し易くなる。
なお、最下階30Fのスラブ40に開口部を形成することにより、当該スラブ40の面内剛性を最下階30Fの上階のスラブの面内剛性よりも低くすることも可能である。
(制振部材)
上部構造体30の最下階30Fの他端側には、制振部材50が設けられている。制振部材50は、図7に示されるように、上部構造体30のうち、地震時におけるねじれ振動の振幅(変形量)が相対的に大きくなる領域に設置されている。具体的には、制振部材50は、上部構造体30の重心Gに対してコア部72と反対側に配置された2つの架構32にそれぞれ設けられている。2つの架構32は、矢印Y方向又は矢印Y方向に沿って配置されており、上部構造体30の角部を構成している。
なお、前述したように、制振部材50は、上部構造体30のうち、地震時におけるねじれ振動の振幅が相対的に大きくなる領域に設置することが望ましい。したがって、制振部材50は、例えば、上部構造体30の重心Gに対して上部構造体30の剛心Rと反対側に配置することが好ましく、また、上部構造体30の重心Gに対して上部構造体30の剛心Rと反対側の端部(外周部)に配置することがより好ましい。
(作用)
次に、第三実施形態の作用について説明する。
図6に示されるように、本実施形態に係る免震構造物70によれば、上部構造体30の一端側には、コア部72が設けられている。これにより、上部構造体30が偏心し、若しくは偏心率が大きくなっている。また、上部構造体30の重心Gに対してコア部72と反対側の2つの架構32の構面には、制振部材50がそれぞれ設けられている。
ここで、図4で前述したように、偏心した構造物100(図3参照)を免震化した構造物110では、ねじれ振動が小さくなる。この対策として本実施形態では、上部構造体30の最下階30Fのスラブ40の面内剛性が、最下階30Fの上階のスラブの面内剛性よりも低くされている。これにより、図7に示されるように、地震時における最下階30Fのねじれ振動が大きくなる。したがって、制振部材50の変形量が大きくなるため、制振部材50の減衰効率を高めることができる。
なお、本実施形態では、コア部72によって上部構造体30を偏心させたが、上部構造体30は、耐震壁、耐力壁、ブレース等の高剛性部材によって偏心させることも可能である。
(第四実施形態)
次に、第四実施形態について説明する。なお、第四実施形態において、第一実施形態~第三実施形態と同じ構成の部材等には、同符号を付して説明を適宜省略する。
(免震構造物)
図8には、第四実施形態に係る免震構造物80が示されている。免震構造物80の上部構造体30は、一層又は複数層からなる。この上部構造体30は、水平剛性が異なる複数の高剛性免震装置20H及び低剛性免震装置20Lを介して図示しない下部構造体に支持されている。
(免震装置)
高剛性免震装置20Hの水平剛性は、低剛性免震装置20Lの水平剛性よりも高くされている。換言すると、低剛性免震装置20Lの水平剛性は、高剛性免震装置20Hの水平剛性よりも低くされている。これらの高剛性免震装置20H及び低剛性免震装置20Lは、図9に示されるように、地震時に上部構造体30にねじれ振動が発生するように配置されている。
具体的には、複数の高剛性免震装置20H及び低剛性免震装置20Lは、平面視にて、上部構造体30の矢印X方向(所定方向)の両側に、剛性差(水平剛性差)が生じるように配置されている。より詳細には、複数の高剛性免震装置20Hは、平面視にて、上部構造体30の矢印X方向の一方側の一端部30E1に配置されている。これらの高剛性免震装置20Hは、矢印Y方向に配列されており、上部構造体30の一端部30E1に設けられた架構32の柱34をそれぞれ支持している。
一方、複数の低剛性免震装置20Lは、上部構造体30の一端部30E1側以外に配置されており、上部構造体30の柱34を支持している。すなわち、複数の低剛性免震装置20Lは、平面視にて、上部構造体30の矢印X方向の他方側の他端部30E2、及び中間部30Mにそれぞれ配置されている。これらの低剛性免震装置20Lは、上部構造体30の矢印X方向及び矢印Y方向に配列されており、架構32の他端部30E2及び中間部30Mの柱34をそれぞれ支持している。
これにより、本実施形態では、全ての免震装置の水平剛性が同じ場合と比較して、地震時に上部構造体30にねじれ振動が発生し易くなる。
なお、高剛性免震装置20H及び低剛性免震装置20Lの配置や数は、適宜変更可能である。
(制振部材)
上部構造体30の直上階には、制振部材50が設けられている。制振部材50は、上部構造体30のうち、地震時にねじれ振動の振幅(変形量)が相対的に大きくなる領域に設置されている。具体的には、制振部材50は、上部構造体30の他端部30E2に配置された架構32の構面にそれぞれ設けられている。
(作用)
次に、第四実施形態の作用について説明する。
図8に示されるように、本実施形態に免震構造物80によれば、上部構造体30は、水平剛性が異なる複数の高剛性免震装置20H及び低剛性免震装置20Lに支持されている。これらの高剛性免震装置20H及び低剛性免震装置20Lは、図9に示されるように、地震時に、上部構造体30にねじれ振動が発生するように配置されている。
また、上部構造体30には、制振部材50が設けられている。制振部材50は、地震時に、上部構造体30のねじれ振動の振幅が相対的に大きくなる領域に設けられている。具体的には、制振部材50は、平面視にて、上部構造体30の他端部30E2に配置された架構32の構面に設けられている。これにより、地震時における制振部材50の変形量を大きくすることができる。したがって、制振部材50の減衰効率を高めることができる。
以上、本発明の第一実施形態~第四実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、各種の実施形態及び変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10 免震構造物
20 免震装置
20H 高剛性免震装置(免震装置)
20L 低剛性免震装置(免震装置)
30 上部構造体
30H 高剛性領域
30L 低剛性領域
40 スラブ
40L 低面内剛性領域
50 制振部材
60 免震構造物
62 水平ブレース
70 免震構造物
80 免震構造物

Claims (4)

  1. 複数の免震装置と、
    高面内剛性領域と、前記高面内剛性領域よりも面内剛性が低い低面内剛性領域と、を有し、前記複数の免震装置に支持されて免震化された上部構造体と、
    前記低面内剛性領域に設けられた制振部材と、
    を備え、
    前記制振部材は、互いに直交する水平二方向のうち、地震時における前記低面内剛性領域自体の変形量が相対的に大きくなる方向に沿って配置される、
    免震構造物。
  2. 前記低面内剛性領域のスラブは、前記高面内剛性領域よりもスラブ厚が薄く、又は前記低面内剛性領域のスラブには開口部が形成される
    請求項1に記載の免震構造物。
  3. 前記高面内剛性領域のスラブには、水平ブレースが設けられる、
    請求項1又は請求項2に記載の免震構造物。
  4. 水平剛性が異なる複数の免震装置と、
    前記複数の免震装置に支持される上部構造体と、
    前記上部構造体に設けられる制振部材と、
    を備え、
    前記複数の免震装置は、平面視にて、前記上部構造体の所定方向の両側に剛性差が生じるように配置されるとともに、地震時に前記上部構造体にねじれ振動が発生するように配置される、
    免震構造物。
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