JP6837865B2 - 制振建物 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、低層階の水平剛性を上層階よりも小さくし、かつ、当該低層階にハードニング型粘性ダンパーを設けて振動エネルギーを吸収させるソフトファーストストーリー建築物が開示されている。
また、特許文献2には、構造物の下層階の水平剛性を柔構造とし、制振装置を柱、梁架構に設けて構造物の振動周期を長周期化させた長周期化制御構造物が開示されている。
特許文献3には、低層階の水平剛性を上層階の水平剛性よりも小さくするとともに、低層階に、Y字型の支柱部材と、V字型に配置された2本のブレース型ダンパーを備えた建築物が開示されている。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の制振建物は、吹き抜け部を囲む柱梁架構内に制振装置が設けられた制振建物であって、前記吹き抜け部は、複数階にわたって形成され、前記制振装置は、前記複数階まで延びるブレースの上部または下部に設置されることを特徴とする。
このような構成によれば、制振装置に作用させる水平変位量は、単一階の層間変位量を大きく上回る複数階に跨る吹き抜け部に生じる層間変位量であり、小規模地震で生じる建物の微小変形段階から効率的に地震エネルギーが吸収できるために、構造安全性能だけでなく、環境振動性能に優れた建物を実現できる。制振構造としては、吹き抜け部を囲む柱梁架構内に、複数階まで延びるブレースを設置し、そのブレース上部または下部に制振装置を設置した受動的な制振構造である。
例えば、吹き抜け部を有する建物では、吹き抜け部分の水平剛性は吹き抜け部分を除いた前記水平剛性より相対的に小さく、吹き抜け部を有する建物当該階が、他の建物階より先行して損壊する可能性がある。よって、本発明の制振建物では、吹き抜け部を有する建物における前記水平剛性に関する建物特性を積極的に取り込み、吹き抜け部に生じる層間変位量によって、効率的に地震エネルギーを吸収させて、大きな減衰性能を確保するものである。
このような構成によれば、上述の作用効果に加えて、吹き抜け部が設けられた建物において、建物内部、及び建物外周部の柱梁構面内に其々制振装置を設置して地震エネルギーを吸収させることで、あらゆる方向から作用する地震荷重によるねじれ応答を低減することができる。また、吹き抜け部を囲む柱梁架構内に制振装置を設置することで、地震発生時に、吹き抜け部に作用する過大な局所的な応力や応力集中を低減できる。
このような構成によれば、上述の作用効果に加えて、制振装置として例えばダンパー等を使用した場合には、特殊な外径サイズの制振装置を使用することなく、比較的に小口径サイズの市場品の制振装置であっても、制振装置をブレース上部または下部の両側に鉛直方向に複数設置させることで、高い減衰性能が確保できる。また、市場品の制振装置は、筒状部の口径サイズが比較的に小さいために、柱梁架構の壁厚内に設置でき、居室の配置計画上の自由度を確保することができる。
本実施形態の制振建物は、図1、図3に示すように、吹き抜け部に接する柱梁架構内に配置される複数階に跨ぐブレースと、そのブレース上部に設置される制振装置とで構成される(第1実施形態、図1〜図4)。第2実施形態では、各階ごとに、V形ブレースの下端部両側に制振装置を設置する点が、第1実施形態と異なる(図7)。また、第1、第2変形例では、吹き抜け部が建物外部側に凹型状に開口した制振建物である(第1変形例は図8、9、第2変形例は図10、11)。第3変形例では、建物中間階に吹き抜け部を有する制振建物である(図12)。
以下、添付図面を参照して、本発明による制振建物を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
本発明の第1実施形態の制振建物の構成を示す縦断面図を図1に示す。図1の制振建物において、吹き抜け部が設けられた下層階部の構成を示す図1の制振建物のA−A部分の平断面図を図2に示す。
制振建物1は、図1に示されるように、地下階を有する下部構造部10と、上部構造部20で構成される。
下部構造部10は、地盤G中に構築された基礎杭(図示無し)上に支持されている。下部構造部10は、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造からなる複数本の下部柱11と、互いに隣接する下部柱11どうしの間に架設された下部梁12と、を備えている。
上部構造部20は、下部構造部10上に支持されている。上部構造部20は、上下方向に複数階、例えば9階を有している。上部構造部20は、下部構造部10の下部柱11上に設けられた複数本の柱21と、互いに隣接する柱21の間に架設された梁22とを備えている。上部構造部20の柱21は、例えばコンクリート充填鋼管(CFT)造であり、梁22は鉄骨造である。
吹き抜け部Hは、図1、図2に示されるように、本実施形態においては、上部構造部20を構成する下層階部20Lの建物内部側に設けられている。この吹き抜け部Hは、複数本の柱21を跨ぐ複数スパン、及び複数階(図1の例では地上2階、3階部分)にわたって形成されており、当該吹き抜け部Hでは当該階(具体的には、2階、3階部分)の床スラブが取り除かれて上下方向に大空間が形成されている。
また、吹き抜け部Hに接する少なくとも一部の柱梁架構内には、図1に示すように、地上1階から地上3階まで複数階に跨るブレース31と、そのブレース31上部の両側にダンパー(制振装置)32を備える制振機構30A、外周制振機構30B(図2参照)が設置されている。制振機構30Aは、図2に示すように、吹き抜け部を囲む複数スパンにわたる柱梁架構25内にそれぞれ設置されている、一方、外周制振機構30Bは、制振機構30Aと同様、複数スパンにわたる建物外周の外周柱梁架構25B内に設置されている。よって、吹き抜け部Hは、1スパンの柱梁架構が複数階にわたって形成される、または図1、2に示すように複数スパンの柱梁架構が複数階にわたって形成されるものである。
ブレース31,31は、例えば逆V字状に設けられ、図1に示されるように、下層階部20Lの複数階にわたって上下方向に連続して延びている。また、各ブレース31は、鉄骨製で、その下端部31aが、柱梁架構25の下方に位置する柱21及び梁22に結合されている。これら2本のブレース31,31の上端部31b,31bは、ブロック状の連結部材33に連結されている。この連結部材33は、柱梁架構25の上側に位置する梁22の直下に設置され、梁22の下面に突設された鋼板状のスライドガイド34を挟むように当該連結部材33の上面には対向する位置にブラケットが設けられている。よって、連結部材33は、スライドガイド34によって面外方向への移動が拘束されている。
ダンパー32は、ブレース31,31の上部の連結部材33の両側に、鉛直方向に複数列、例えば2本ずつに配設されている。柱梁架構25において、上方に位置する梁22には、下方に向かって延びる支持ブロック35が設けられている。ダンパー32は、例えば油圧シリンダー等からなり、その両端部が、ブレース31,31の連結部材33と、支持ブロック35とに連結されている。このダンパー32には、連結部材33と支持ブロック35との水平方向の相対変位が入力変位量として作用し、地震エネルギーが吸収される。
下層階部20Lにおいて、吹き抜け部Hを囲む柱梁架構内に設けられた制振機構30Aと外周柱梁架構25Bの間の中間階(例えば2階、3階)には、図1、図2に示すように、材端部がピン接合される中間梁26が架設されている。ここで、下層階部20Lに設けた中間梁26の一部は、両側の柱21に対してピン接合されることで、下層階部20Lの途中階の中間梁26に生じる応力や変形が、制振機構30Aを備えた柱梁架構25に伝達されるのを抑え、下層階部20Lの水平剛性の増大をふせぎ、下層階部20Lの柔性(変形性能)を高める点に特徴がある。
図4に示されるように、柱21にピン接合される中間梁26は、柱21の側面21sから水平方向に突出した受けブラケット27上に支持されている。
柱21の側面21sには、受けブラケット27の上方に、中間梁26の軸方向に沿って突出し、鉛直面内に位置するガセットプレート28が設けられている。このガセットプレート28には、中間梁26の軸方向に連続する長孔41が形成されている。ガセットプレート28には、例えばステンレス製のシート43が長孔41の周囲に設けられている。
また、柱21の側面21sには、ガセットプレート28の上方に、中間梁26の軸方向に沿って突出する位置決め部材29が形成されている。
このような中間梁26は、上部フランジ26bが位置決め部材29上に支持された状態で、上部フランジ26bの端部26tが柱21の側面21sに溶接により接合されている。また、中間梁26は、ウェブ26aをガセットプレート28に沿わせて対向させ、ガセットプレート28に形成された長孔41とウェブ26aに形成された貫通孔(図示無し)とを、ボルト・ナット46によって締結している。
ここで、中間梁26のウェブ26aの、ガゼットプレート28のステンレス製のシート43と対向する位置には、例えばテフロン(登録商標)等の低摩擦材42がシート43に密接して設けられている。これにより、中間梁26のウェブ26aとガセットプレート28との間には、低摩擦材42と、これに対向する、例えばステンレス製のシート43と、が挟み込まれている 。
また、中間梁26の下部フランジ26cと、受けブラケット27の上面との間には、例えばテフロン(登録商標)からなる低摩擦材44と、これに対向する、例えばステンレス製のシート45と、が挟み込まれている。
これにより、中間梁26の端部は、上部フランジ26bのみが柱21の側面21sに溶接され、ウェブ26a及び下部フランジ26cは、柱21に対して中間梁26の軸方向に相対変位可能とされ、実質的にピン接合されている。
以下、制振機構が設置された吹き抜け部を有する建物当該階と非吹き抜け部の建物階との層剛性比の適正な範囲について行った検証解析の結果について説明する。本検証は、図1、図2に示す下層階部と上層階部で構成される地上10階建ての複合建物を模擬した計算モデルを用いて、質点系振動解析により行った。
本検証の各条件は、以下の通りである。
計算モデルでは、建物各階ごとに、柱、梁、ブレース、壁からなる骨組みモデルを作成し、その骨組みモデルを対象に荷重漸増解析を行って、建物各階ごとの層剛性を算出した。本発明の制振建物モデルでは、1階〜3階の層剛性は500kN/mm程度で、4〜10階の層剛性は3000kN/mm程度である。また、従来型の制振建物モデルでは、1階〜10階までの層剛性は其々2000kN/mm程度となった。よって、本発明の計算モデルでは、制振機構が付加された吹き抜け部を有する下層階部の層剛性は、従来型の制振建物モデルの層剛性の25%程度に設定した。
解析では、本発明の制振建物モデルと従来型の制振建物モデルを対象に、代表的な観測地震波(ElCentro、NS波)を用いて、建物の各階ごとの最大応答加速度と、最大層間変形角について、比較検討した。
図6に、本発明の制振建物モデルと、従来型の制振建物モデルについて、質点系振動解析による建物の階数ごとの最大層間変形角の比較図を示す。図6の横軸にとった層間変形角は、建物が地震荷重を受けた際に生じる水平変形量を、建物の当該階ごとの相対水平変形量として着目して、上下階の相対水平変形量(層間変形)を階高で割った値である。また、最大層間変形角は、時々刻々変化する層間変形角について絶対値をとった最大値であり、建物の構造安全性を評価する上で重要な指標である。よって、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物では、大地震時でも安全性を確保できる限界値として、最大層間変形角が1/100程度以下となるように、柱や梁などの主要架構が設計されることが多い。
本検証の応答結果によると、本発明の制振建物モデルでは、最大層間変形角が吹き抜け部(1〜3階)では大きく、吹き抜け部上部の4〜10階では大幅に小さくなっている。詳細には、下層階部20Lの層間変形角は、(1階床〜4階床の相対水平変形)を(1階床〜4階床の高さ)で除して算出した。吹き抜け部(1〜3階)では、最大層間変形角が1/150radに達しているものの、従来指標値とされる1/100を下回る1/133以下に収まっている。
そこで、吹き抜け部を有する制振建物において、従来型の制振建物に比べて、下層階部の層剛性比が25%程度で、上層階部の層剛性比を150%程度に確保した場合、最大層間変形角を1/100以下に収められると推定できる。
よって、吹き抜け部に制振機構が付加された制振建物において、吹き抜け部を有する建物階の層剛性を、従来型の制振建物の25%程度に設定すると、最大層間変形角や最大応答加速度を低減できることを確認した。
このような構成によれば、下層階部20Lに設けられた吹き抜け部Hには、当該階(2階、3階)の床スラブや梁部材は設けられておらず、小規模地震等の微少な外力が入力された場合であっても、柱梁架構25、外周柱梁架構25Bにおいては、層間変位が生じやすい。よって、その層間変位に対して、柱梁架構25、外周柱梁架構25Bに設けた制振機構30A、外周制振機構30Bのブレース31でせん断抵抗しつつ、ブレース31上部に設置されたダンパー32で減衰させる。
このような構成によれば、ダンパー32に作用させる水平変位量は、単一階の層間変位量を大きく上回る複数階に跨る吹き抜け部Hに生じる層間変位量であり、小規模地震で生じる建物の微小変形段階から効率的に地震エネルギーが吸収できるために、構造安全性能だけでなく、環境振動性能に優れた建物を実現できる。制振構造としては、吹き抜け部Hを囲む柱梁架構25内に、複数階まで延びるブレース31を設置し、そのブレース31上部にダンパー32を設置した受動的な制振構造である。
例えば、吹き抜け部Hを有する建物では、吹き抜け部分Hの水平剛性は吹き抜け部分を除いた水平剛性より相対的に小さく、吹き抜け部Hを有する建物当該階が、他の建物階より先行して損壊する可能性がある。よって、本実施形態における制振建物1では、吹き抜け部Hを有する建物における水平剛性に関する建物特性を積極的に取り込み、吹き抜け部Hに生じる層間変位量によって、効率的に地震エネルギーを吸収させて、大きな減衰性能を確保するものである。
このような構成によれば、上述の作用効果に加えて、吹き抜け部Hが設けられた建物において、建物内部、及び建物外周部の柱梁構面内に其々ダンパー32を設置して地震エネルギーを吸収させることで、あらゆる方向から作用する地震荷重によるねじれ応答を低減することができる。また、吹き抜け部Hを囲む柱梁架構内にダンパー32を設置することで、地震発生時に、吹き抜け部Hに作用する過大な局所的な応力や応力集中を低減できる。
加えて、柱21に対してピン接合した中間梁26の端部は、柱21に設けられた受けブラケット27及びガセットプレート28との間に、低摩擦材42、44を挟み込むようにした。これによって、地震発生時等に、柱21に対してピン接合された中間梁26が変位するときに、中間梁26と受けブラケット27やガセットプレート28とが擦れることで生じる騒音を抑えることができる。
次に、本発明に係る制振装置の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上記第1実施形態と異なる構成を中心に説明を行い、上記第1実施形態と共通する構成については、図中に上記第1実施形態と同一符号を付してその説明を省略する。
本発明の第2実施形態の制振建物の構成を示す立断面図を図7に示す。
図7に示されるように、本実施形態における制振建物1は、吹き抜け部Hが設けられた下層階部20Lにおいて、吹き抜け部Hを囲む柱梁架構内に、上下方向に複数階にわたって、複数の制振機構30Cが連続して設けられている。この場合、各制振機構30Cは、各階の柱21,21と梁22,22とで形成される柱梁架構25Cの内側に、ブレース31,31とダンパー32とを設けることで構成される。
このような構成においても、上記第1実施形態と同様、吹き抜け部Hを囲む柱梁架構25Cに、上下方向の複数階にわたる制振機構30Cを設けることで、柱梁架構25Cに生じる層間変位を抑えることができる。これにより、高い制振性を備えた、吹き抜け部Hを有する制振建物1を提供することが可能となる。
なお、本実施形態では、各階ごとに、V形ブレースの下端部両側に制振装置を設置したが、前記複数階まで跨いでV形ブレースを設置し、下端部両側に制振装置を設置しても良い。
なお、本発明の制振建物は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
まず、吹き抜け部Hは、平面視において、制振建物1内のいかなる場所に設けてもよい。
本発明の実施形態における制振建物の第1変形例の構成を示す平断面図を図8に示す。本発明の実施形態における制振建物の第1変形例の構成を示す立断面図を図9に示す。
図8、図9に示されるように、制振建物1の外側に臨む外側面1sに開口するよう、吹き抜け部Hを設けてもよい。この場合も、吹き抜け部Hにおいて、制振建物1の外方に向かって開口する部分を除いた三方に位置する柱梁架構25に、上記第1実施形態と同様の制振機構30Aを備える。この場合も、上記第1実施形態と同様、吹き抜け部Hよりも外側で、例えば制振建物1の外側面1sに位置する外周柱梁架構25Bに外周制振機構30Bを備えることもできる。
本発明の実施形態における制振建物の第2変形例の構成を示す平断面図を図10に示す。本発明の実施形態における制振建物の第2変形例の構成を示す立断面図を図11に示す。図10、図11に示されるように、制振建物1の複数の外側面1s、1tに向かって開口する複数の 吹き抜け部H、Hを備える場合、それぞれの吹き抜け部Hを囲む少なくとも一部に位置する柱梁架構25に、制振機構30Aを備えるようにしてもよい。
本発明の実施形態における制振建物の第3変形例の構成を示す立断面図を図12に示す。図12に示されるように、制振建物1の下層階部20Lに限らず、制振建物1の中間階部(階層)20Mに吹き抜け部Hを備える場合についても、吹き抜け部Hを囲む柱梁架構25に制振機構30Aを備えることによって、上記実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
例えば、上記第1実施形態では、下層階部20Lにおいて、中間梁26を柱21に対してピン接合する構成を例示したが、他の構成に変更することが可能である。
中間梁の柱への接合構造の変形例を示す図を図13に示す。
例えば、柱に対する梁のピン接合形式として、図13に示されるように、中間梁26Bの端部の下部を切り欠いて、上部にのみ、中間梁26の軸方向に突出する端部ブラケット26eを設け、この端部ブラケット26eを、柱21の側面21sから突出した受けブラケット27上に載せるようにしてもよい。この端部ブラケット26eは、上記実施形態における中間梁26の端部と同様、上部フランジ26b、ウェブ26a、下部フランジ26cを備えている。
また、上記実施形態において、制振機構30A、外周制振機構30B、制振機構30Cとして、ブレース31,31とダンパー32とを備える構成を例に挙げたが、上記した以外の構成を備えてもよい。例えば、ブレース31,31を逆V字状に設けたが、これを、図7に示されるように、V字状とし、ダンパー32を柱梁架構25Cの下部に設けてもよい。これ以外にも、ブレース31やダンパー32の形状や配置を、適宜変更することができる。
また、ダンパー32は、油圧シリンダーに限らず、粘弾性ダンパー等、他の形式のものとしてもよい。
また、制振機構30A、30Cは、吹き抜け部Hに臨む位置の全周にわたって設けることは必須ではなく、その周方向の一部の柱梁架構25のみに設けてもよい。さらに、吹き抜け部Hに臨む位置の一部に、ピン接合された中間梁26を設けることもできる。
また、外周制振機構30Bは、その設置位置、設置方向について何ら限定するものではなく、設置しない場合や、設置する場合には、必要な制振性が得られるように適宜配置すれば良い。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
20H 上層階部(他の階層) 25C 柱梁架構
20L 下層階部(階層) 30A 制振機構
20M 中間階部(階層) 30B 外周制振機構
21 柱 31 ブレース
22 梁 32 ダンパー(制振装置)
25 柱梁架構 H 吹き抜け部
26 中間梁
Claims (2)
- 吹き抜け部を囲む柱梁架構内に制振装置が設けられた制振建物であって、
前記吹き抜け部は、複数階にわたって形成され、
前記制振装置は、前記複数階まで延びるブレースの上部または下部に設置され、
前記制振装置は、前記ブレース上部または下部の両側に鉛直方向に複数列配設されることを特徴とする制振建物。 - 前記制振装置は、さらに、前記吹き抜け部が設けられた建物当該階の外周柱梁架構内に設置されることを特徴とする請求項1に記載の制振建物。
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