JP5491256B2 - 曲げ変形制御型制震構造物 - Google Patents

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本発明は曲げ変形型架構の曲げ変形量を制震装置の介在によって低減し、建築計画上の自由度を高めることを可能にする曲げ変形制御型制震架構にスラブが接続する場合に、制震装置が跨る壁柱等、柱間の相対変位に伴うスラブの損傷を極力抑制し、制震架構の変形能力を高める機能を持たせた制震構造物に関するものである。
建物架構を例えば連層の耐震要素からなるコア(壁柱)とその外周の外周フレームから構成する場合に、剛性の差を利用してコアに水平力の大半を分担させる場合、架構の高層化に伴い、変形性状が曲げ変形型になる傾向があるため、この曲げ変形を低減させることがコアを有する高層建物の設計上の課題になる。
コアの曲げ変形量は外周フレームを含めた架構全体の剛性を上げることにより低減されるが、コアと外周フレームに同等の水平力を分担させようとすれば、外周フレームに入力する地震力が過大になり、コアに地震力のほとんどを負担させようとすれば、コアの脚部における転倒モーメントが過大になるため、いずれも設計が不可能になることがある。
こうした背景から、出願人はコアの曲げ変形を効果的に低減することを趣旨とする構造物と(特許文献1参照)、その発明を派生させ、更に建築計画上の自由度を増す制震架構を(特許文献2参照)を先に提案している。
特に架構内へのスラブの配置を想定した特許文献2では、地上から最上層まで連続する連層耐震要素である壁柱の区間の任意の範囲に、住居や事務所等の用途に対応するためのスラブを配置することが可能になっている(請求項4、段落0030〜0033、図31)。
この特許文献2では壁柱の頂部から水平に張り出す壁梁が壁柱の曲げ変形に伴って鉛直方向に相対変位を生ずることで、その先端に接続される制震装置に軸方向の変形を加える働きをするから、壁梁先端寄りの鉛直方向の変位量が大きくなることを前提としている。この関係で、壁柱頂部寄りの壁梁の区間にスラブを接続すればスラブ上の居住性が確保されなくなる可能性があるため、スラブの配置は壁梁を含めた壁柱の全長の内、壁梁を除く区間内に限られている。
同一構面内に位置し、互いに分離している構造体が水平力を負担したときに、両構造体間に生ずる相対変位を利用してダンパーにエネルギを吸収させることは、コアを構成する構造体としての連層耐震壁間にダンパーを架設することによっても実現可能である(特許文献3参照)。
特許第2842159号公報(請求項1、第3図、図4、図8、図10) 特許第2914187号公報(請求項4、段落0030〜0033、図31、図33、図34) 特開2003−269004号公報(請求項1、段落0011〜0014、図1〜図3)
しかしながら、特許文献2において壁梁を除く壁柱の区間にスラブを配置し、壁柱に接続するとしても、図4−(b)に示すように壁柱の曲げ変形量が上層寄り程、大きくなるから(段落0016、0017、図3、図10)、壁柱の上層寄りに接続しているスラブが壁柱の曲げ変形を拘束するように作用する可能性がある。スラブが壁柱の曲げ変形を拘束することは、壁柱の曲げ変形に伴い、スラブの壁柱への接続部分が損傷を受けることでもある。
従って特許文献2において壁柱にスラブを接続する場合には、壁柱の曲げ変形を効果的に生じさせ、制震装置によるエネルギ吸収能力を有効に発揮させる上では、スラブの接続位置、あるいは接続区間が必然的に制限されることになる。
一方、特許文献3では対向する連層耐震壁間に境界梁(境界梁ダンパー)を架設し、その一部に鋼材ダンパーを組み込んでいることから、鋼材ダンパーに変形が集中する傾向がある。
特許文献3では境界梁(境界梁ダンパー)の架設位置(レベル)とスラブ(床)の関係、あるいはスラブ(床)の配置位置に関する言及が一切ないが、図1に示す平面の全体にスラブを配置するとすれば、特許文献2と同様にスラブは対向する連層耐震壁間の相対変位を阻害するように作用するため、スラブに損傷が生ずる可能性を秘めている。
本発明は上記背景より、特許文献2の壁柱のように水平力の負担時に生ずる相対変位を利用して制震装置によるエネルギ吸収効果を期待する制震構造物において、壁柱にスラブが接続する場合に、スラブによる壁柱の曲げ変形に対する拘束を抑制し、スラブ自体の損傷を回避する構造の曲げ変形制御型制震構造物を提案するものである。
請求項1に記載の発明の曲げ変形制御型制震構造物は、水平方向に互いに距離を隔てて対向し、水平力の負担時に軸方向に相対変位を生ずる少なくとも一組の柱と、この対向する各柱に跨って両柱に接続するスラブと、対向する前記各柱間に架設され、軸方向力を負担したときに両端間に相対変位を生じて減衰力を発生する制震装置とを備え、
前記スラブが少なくとも前記一組の柱の対向する端面間で不在になり、且つ前記一組の柱の少なくとも一方の柱の前記端面寄りの、前記スラブ側を向いた側面からも構造的に分離していることを構成要件とする。
「柱」は構造物の骨組みであるラーメン構造の柱・梁の架構を構成する柱(図10)の他、特許文献1、2で言う、地上から立ち上がる連層の耐震要素(耐震壁)(図9)を含む。連層の耐震要素はブレースの組み合わせからなる構造体も含む。
「一組の柱」は制震装置が跨って架設され、制震装置の一端が接続(連結)される一方の柱と、制震装置の他端が接続(連結)される他方の柱の組(組み合わせ)を指す。いずれの柱も架構や耐震要素が水平力を負担するときに主としてその水平力の作用方向に曲げ変形する形式(曲げ変形卓越型)の柱であればよい。「少なくとも一組の柱」とは、「一組の柱」を構成する「対になる柱」の組が構造物内に一組のみある場合と、複数組ある場合があることを言う。
制震装置はそれが架設される、対向する柱の相対変位時に両柱から軸方向両端部において軸方向力(圧縮力と引張力)を受けることにより軸方向に相対変位を生じ、その相対変位量、または相対速度等に応じた減衰力を発揮することで、構造物に入力する地震力によるエネルギを吸収する。軸方向両端部間に受ける軸方向力によって減衰力を発揮すればよいため、制震装置にはオイルダンパー等の粘性ダンパー、摩擦ダンパーの他、軸方向力である圧縮力と引張力のいずれかを受けて軸部が降伏する形式のダンパー等が使用される。
オイルダンパーの制震装置は例えばピストンの両側に油圧室を持つ油圧シリンダ内をピストンロッドが往復動し、圧力油が油圧室間を移動するときの抵抗力を減衰力として発生する機能を持ち、油圧シリンダの一方の端部が対向する柱の内の一方の柱に相対回転変位可能に接続(連結)され、ピストンロッドが他方の柱に相対回転変位可能に接続(連結)される。両柱間の相対変位時にはピストンロッドが油圧シリンダに対していずれかの向きに移動し、圧力油がピストンを通過することにより減衰力を発生する。
制震装置はまた、対向する両柱の相対変位時に軸方向力を受けることができればよく、両柱の相対変位による制震装置への加力が制震装置に対して軸方向の成分を持てばよいため、制震装置は軸を鉛直方向、あるいは柱の軸方向に向けて配置される他、鉛直方向や柱軸方向に対して傾斜した状態で配置されることもある。制震装置は柱の曲げ変形時に機能するから、柱が曲げ変形した状態のときに、制震装置の軸方向に力を受け易い方向を向いていることが合理的である。
スラブは図2に示すように対向する一組の柱の双方に接続するが、少なくとも一組の柱の対向する端面間で不在になっていることで、両柱への接続にも拘らず、一組の柱を互いに分離した状態に保つ。一組の柱の双方にスラブが接続しても一組の柱が互いに分離した状態に保たれることで、スラブによって一組の柱間の相対変位が阻害されることはない。スラブが一組の柱間の相対変位を阻害しないことで、スラブが柱の曲げ変形に追従しようとする挙動が緩和されるため、スラブの損傷も抑制、あるいは回避される。
一組の柱間に確保される水平距離(端面間距離)は図3−(a)〜(c)に示すように各柱が水平力を受けて曲げ変形したときに、変形前の両柱間における高さ方向(柱軸方向)の距離より変形後の両柱間における高さ方向(柱軸方向)の距離が増減するように設定される。
すなわち、図3−()に示すようにいずれか一方の向きへの曲げ変形時に高さ方向(柱軸方向)の相対変位量が拡大し、()に示すように他方の向きへの曲げ変形時に高さ方向(柱軸方向)の相対変位量が減少するように、変形前の状態での柱間の水平距離が確保される。「高さ方向」は柱の軸方向であり、その方向は柱の曲げ変形の程度によって変動するから、必ずしも「鉛直方向」を指すとは限らない。
ここで、例えば一組の柱の対向する端面間距離(水平距離)が小さければ、両柱の曲げ変形時に対向する端面が互いに接触する可能性がないとは言えないから、水平距離は少なくとも曲げ変形時にも両柱が互いに接触しない程度以上、確保される必要がある。
従って「スラブが少なくとも一組の柱の対向する端面間で不在になった状態で両柱に接続すること」(請求項1)は、一組の柱の対向する端面間に確保されている間隔(距離)分以上の距離を置いた状態を維持するように、すなわち、柱の対向する端面間の距離を短縮させないように両柱にスラブが接続することになる。
対向する柱の柱軸方向の相対変位量はそのまま制震装置に与える相対変位量であり、制震装置はその相対変位量に応じたエネルギ吸収能力を発揮する。水平力は正負の向きに交互に作用するから、図3−(b)の状態からは(a)の状態を経て(c)の状態に移行するため、(b)の状態で圧縮力を受けた制震装置は(c)の状態では引張力を受けることになる。
また対向する柱間の軸方向の相対変位量は主に各柱の曲げ剛性と、柱へのスラブの接続区間の長さ(水平距離)(スラブによる柱の拘束の程度)によって決まるから、各柱に自由な曲げ変形を生じさせ、それに伴って制震装置に効果的に相対変位量を与える上では、スラブが各柱から分離している区間の長さは大きい方がよい。
図3に示すように各柱が曲げ変形を起こしたときの(水平)変形量は上層寄り程、大きく、制震装置によるエネルギ吸収能力は軸方向両端部間に生ずる変形量が大きい程、大きいから、制震装置は図1、図9に示すように対向する柱間の上層寄りに配置されることが効果的である。
また曲げ変形を起こしたときの柱の変形量が上層寄り程、大きいことで、上層寄り程、柱に接続しているスラブの、柱に追従しての変形量も大きくなり、それだけスラブによる柱の変形を阻害し易く、スラブは損傷を受け易くなるから、図9に示すようにスラブが柱に接続する区間は上層寄り程、短縮されることが合理的である。
対向する柱の端面間には前記のように少なくとも両柱が曲げ変形したときに互いに接触しない程度の間隔(距離)が確保されるが、更にこの対向する柱の端面間の間隔(距離)を超えた水平方向の区間に亘ってスラブと柱が分離するよう、スラブは柱の端面寄りの柱の側面部分においても柱から分離し(請求項1)、図2に2点鎖線で示すように柱の側面とスラブとの間にはスリットが形成される形になる。
スラブが柱の端面寄りの柱の側面から分離し、一組の柱の少なくとも一方の柱の側面から分離することで、スラブが柱から分離している水平方向の区間の長さは対向する柱間の水平方向の距離より大きくなる。
対向する一組の柱は曲げ変形時に両者間に生ずる軸方向の相対変位に伴って制震装置に効果的に変形を与えるような間隔(距離)を置いて配置されるため、一組の柱同士は全高に亘って水平方向に分離する。水平方向に分離する柱端面間の間隔(水平距離)は図2に示すように制震装置が配置される区間(制震装置の配置区間)と、制震装置が配置されない区間(制震装置の不在区間)とで相違することもあるが、スラブは少なくとも対向する柱同士が水平方向に分離する(間隔を置く)範囲で柱と分離する。
スラブが対向する柱間の相対変位を阻害しないように柱に接続するには、少なくとも柱の対向する端面間をスラブが埋めないようにスラブが柱の側面(端面に直交する面)に接続することが必要であるが、上記のように極力、スラブが柱の曲げ変形を阻害せず、柱の曲げ変形時にスラブが損傷を受けないようにする上では、柱の端面寄りの柱の側面部分においてもスラブと柱が分離し、両者間にスリットが形成されることがより望ましい。
スラブがある階(層)の床面全体を覆うように配置、あるいは構築されるとすれば、スラブは柱の対向する端面間の分離部分を埋めるように配置等されることになり、結局、分離すべき柱同士がスラブによって一体化することになる。これに対し、スラブが柱の対向する端面間の間隔を埋めないように配置等されれば、柱同士は分離した状態に保たれるため、柱間の相対変位が許容されることになる。
例えば図1に示すように対向する柱の、それぞれの対向する端面から対向する柱側へ、高さ方向(柱軸方向)に互いに段差が付いて張出部が突出し、双方の張出部間に制震装置が架設(配置)される場合(請求項)、対向する柱の対向する端面間に水平方向に確保される間隔(距離)の大きさは、図2に示すように制震装置の配置区間と不在区間とで相違し、柱端面間の水平距離は制震装置の配置区間で大きく、不在区間では小さくなる。図1では制震装置が軸を鉛直方向に向けて配置されているが、上記のように必ずしも制震装置の軸が鉛直方向を向く必要はない。張出部は柱の一部を構成するか、梁のように柱に一体化する。
対向する柱の、それぞれの対向する端面から対向する柱側へ突出する張出部は主として制震装置の軸を鉛直方向に向けた状態で、あるいは鉛直方向に近い角度で傾斜させた状態で、対向する柱間に架設する目的で形成されるが、制震装置は必ずしも軸を鉛直方向に向けて、あるいはそれに近い角度で傾斜して配置される必要はないため、張出部も必ずしも形成される必要はない。
制震装置の軸が鉛直方向を向く必要がないことから、張出部の上面と下面は必ずしも水平面をなしている必要もなく、水平面、あるいは鉛直面に対して傾斜した面をなしていることもある。また例えば柱の対向する端面に切欠きを形成することにより相対的に張出部を形成することもある。
図1の場合、制震装置の配置区間における柱端面間の水平距離と、不在区間における柱端面間の水平距離に差があるため、図2に破線で示すように制震装置の配置区間にスラブが接続する場合と、図2に2点鎖線で示すように不在区間にスラブが接続する場合とでは、スラブが柱から分離する区間(水平距離)にも差が生じ、配置区間にスラブが接続する場合の方がスラブの、柱からの分離区間の距離が大きくなるため、それだけ柱間の相対変位が拡大し易い。
スラブは少なくとも柱の対向する端面間において不在になることで不連続になるから、一組の柱を高さ方向に見たとき、水平方向に対向する柱端間距離が最も大きくなる区間である制震装置の配置区間にスラブを配置(接続)することにすれば、スラブの不連続区間(距離)が大きくなるため、一組の柱の相対変位が生じ易くなり、同時にスラブが受ける損傷が軽減され易くなることになる。
但し、スラブが制震装置の不在区間に配置(接続)された場合にも、図2に2点鎖線で示すようにスラブの、一方の柱からの分離区間を、制震装置の配置区間における柱間距離に対応した距離分、確保すれば、対向する柱間の関係はスラブを制震装置の配置区間に配置した場合と同じ状況になるため、柱間に相対変位を発生させ易くなり、スラブの損傷も軽減され易くなる。この場合、スラブが制震装置の不在区間に配置(接続)されながらも、スラブと少なくとも一方の柱の側面との間には両者が互いに分離するためのスリットが形成される形になる。
図2に2点鎖線で示す場合のように破線で示す場合と同様に、スラブが制震装置の配置区間に配置されるか、不在区間に配置されるかに関係なく、スラブの、柱からの分離区間の水平距離が制震装置の配置区間等、対向する柱端面間距離が最も大きい区間以上になる場合には、スラブの両柱への接続によって柱間の相対変位が阻害されることがなくなる。この結果、柱間には相対的な曲げ変形が自由に生ずると同時に、スラブが両柱から強制的な変形を受けることがないため、スラブの損傷も軽減、あるいは抑制される。
図4−(a)は柱の頂部の高さが柱以外の構造体の頂部より高い構造物の立面を示している。この図4−(a)に示す一組の柱が図4−(b)に示すように曲げ変形を起こしたとき、柱の頂部寄りの区間は柱以外の構造体によって拘束されることがないため、構造体の曲げ変形より大きい曲げ変形を起こす傾向がある。このため、例えば柱の頂部寄りの区間にスラブが接続しているとすれば、スラブが柱の曲げ変形に追従することで、損傷を受け易い。
そこで、図4−(c)に示すように柱の頂部の高さとそれ以外の構造体の頂部の高さを揃えれば、柱以外の構造体が柱の曲げ変形を全高に亘って拘束するように作用する結果、柱の曲げ変形量が(b)の場合より抑制されるため、柱の頂部寄りの区間にスラブが接続している場合にも、柱の曲げ変形に伴うスラブの損傷が軽減される。
図5−(a)は一組の柱2、3の対向する端面から高さ方向に段差が付いて張出部21、31が突出し、双方の張出部21、31間に制震装置5が架設(配置)された場合(請求項)の状況を示している。ここでは対向する柱2、3の内、左側に位置する柱2の頂部寄りから張出部21が突出し、右側に位置する柱3の、頂部より下方位置から張出部31が突出し、左側の張出部21の下面と右側の張出部31の上面との間に制震装置5が架設され、両端において双方に任意の水平軸回りに回転自在に連結されている。
この図5−(a)の状態で、図3−(b)に示すように両柱2、3が共に右側へ一様に曲げ変形したときには、図5−(b)に示すように対向する柱2、3の端面間では左側に位置する柱2が右側の柱3に対して相対的に下方へ変位し、右側の柱3が相対的に左側の柱2に対して上方へ変位する状況になるため、両柱2、3間に配置されている制震装置5には軸方向圧縮力が作用する。
逆に図3−(c)に示すように両柱2、3が共に左側へ一様に曲げ変形したときには、図5−(c)に示すように対向する面(端面)間では左側に位置する柱2が右側に位置する柱3に対して相対的に上方へ変位し、右側の柱3が相対的に左側の柱2に対して下方へ変位する状況になるため、両柱2、3間に配置されている制震装置5には軸方向引張力が作用する。
なお、双方の柱2、3から突出する張出部21、31の位置が図5、図3とは逆であって、右側の柱3の頂部寄りから張出部31が突出し、左側の柱2の頂部より下方位置から張出部21が突出する場合には、制震装置5の状況は逆になり、両柱2、3が右側へ曲げ変形したとき、制震装置5には引張力が作用し、左側へ曲げ変形したときには圧縮力が作用する。
図5−(b)の状態でも図5−(c)の状態でも、変形を起こしていない(a)の状態を基準とすれば、見かけ上は一方の柱2(3)が伸長し、他方の柱3(2)が収縮するように両柱2、3が挙動する。一方の柱2(3)の見かけ上の伸長量と他方の柱3(2)の見かけ上の収縮量の合計は一方の柱2(3)の伸長量(収縮量)の2倍になるため、いずれの状態でも一方の柱2(3)のみが曲げ変形を起こした場合との対比では2倍の変形量を制震装置5に与え、2倍のエネルギ吸収効果を得ることができることになる。
水平力の負担時に軸方向に相対変位を生ずる少なくとも一組の柱と、各柱に跨って両柱に接続するスラブと、対向する各柱間に架設される制震装置とを備え制震構造物において、スラブが少なくとも一組の柱の対向する端面間で不在になっていることで、両柱への接続にも拘らず、一組の柱を互いに分離した状態に保つことができる。
この結果、スラブによって一組の柱間の相対変位が阻害されることはないか、軽減されるため、スラブが柱の曲げ変形に追従しようとする挙動が緩和され、スラブの損傷を抑制、あるいは回避することができる。
(a)は対向する端面に張出部が突出した一組の柱を有する基本的な制震構造物の例を示した立面図、(b)は(a)のx−x線断面図である。 図1−(a)における張出部の形成区間(制震装置の不在区間)にスラブが接続する場合と、張出部以外の区間(制震装置の配置区間)にスラブが接続する場合の両柱とスラブの関係を示した斜視図である。 (a)は張出部を有する、図1−(a)における対向する柱を抽出してモデル化した様子を示した立面図、(b)は(a)に示す両柱が右側へ一様に曲げ変形したときの様子を示した立面図、(c)は(a)に示す両柱が左側へ一様に曲げ変形したときの様子を示した立面図である。 (a)は柱の頂部の高さが柱以外の構造体の頂部より高く、対向する柱間に制震装置が架設された制震構造物を示した立面図、(b)は(a)に示す制震構造物が右側へ曲げ変形したときの様子を示した立面図、(c)は(a)に示す制震構造物の柱の頂部とそれ以外の構造体の頂部の高さを揃えた場合の制震構造物を示した立面図である。 (a)は図1−(a)に示す、制震装置が架設された対向する柱を抜き出して示した立面図、(b)は(a)に示す両柱が右側へ曲げ変形したときの、高さ方向に対向する張出部間の相対的な距離の変化と制震装置の関係を示した立面図、(c)は(a)に示す両柱が左側へ曲げ変形したときの張出部間の相対的な距離の変化と制震装置の関係を示した立面図である。 (a)は図1−(a)の具体例であり、対向する柱のそれぞれから高さ方向に交互に、突出長さが等しい張出部が突出し、この張出部の突出区間(制震装置の不在区間)にスラブが接続している場合の例を示した立面図、(b)は(a)のy−y線断面図である。 (a)は対向する柱のそれぞれから高さ方向に交互に、突出長さが相違する張出部が突出し、この張出部の突出区間(制震装置の不在区間)にスラブが接続している場合の例を示した立面図、(b)は(a)のz−z線断面図である。 (a)は対向する柱のそれぞれから高さ方向に交互に、突出長さが等しい張出部が突出し、上下の張出部間に複数本の制震装置を配置した場合の例を示した立面図、(b)は張出部を鋼材(鉄骨)で構成した場合の例を示した立面図である。 柱が連層の耐震要素(耐震壁)からなる壁柱である場合の制震構造物の例を示した立面図である。 (a)は柱が柱・梁架構の柱である場合の制震構造物の例を示した立面図、(b)は軸を鉛直方向以外の方向に向けて制震装置を張出部間に配置した場合の例を示した立面図である。 (a)〜(l)は対向する柱の平面形状例と組み合わせ例を示した平面図である。
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1−(a)、(b)は水平方向に互いに距離を隔てて対向し、水平力の負担時に軸方向に相対変位を生ずる少なくとも一組の柱2、3と、この対向する各柱2、3に跨って両柱2、3に接続するスラブ4と、対向する各柱2、3間に架設され、軸方向力を負担したときに両端間に相対変位を生じて減衰力を発生する制震装置5とを備える曲げ変形制御型制震構造物(以下、構造物)1の具体例を示している。
柱2、3とスラブ4、構造物1全体は鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨造等で構築されるが、柱2、3は構造物1とは別構造で構築されることもある。コンクリート造の場合には現場打ちコンクリートとプレキャストコンクリートの場合の他、プレストレスの導入がされることもある。
図1を含め、図面では対向する柱2、3の、それぞれの対向する面(端面2a、3a)から対向する柱3、2側へ、高さ方向に互いに段差が付いて張出部21、31が突出し、双方の張出部21、31間に制震装置5が架設されている場合を示しているが、張出部21、31は形成されないこともある。
張出部21、31は制震装置5の軸を鉛直方向に向けるか、それに近い角度を付けた状態で、制震装置5を柱2、3間に架設するために形成されるため、軸に傾斜を付ける場合でも例えば柱2、3の対向する端面2a、3aに切欠きを形成して水平面、あるいは鉛直面に対して傾斜した面を形成することができれば、張出部21、31を形成することは必ずしも必要ではなくなる。切欠きの形成によって相対的に張出部21、31が形成されること同等の状態を得ることができることによる。図示するように張出部21、31の上面と下面が水平面をなす場合は、制震装置5は軸が鉛直方向を向いて架設される。
スラブ4は図1−(b)、図2に示すように少なくとも一組の柱2、3の対向する端面2a、3a間で不在になっており、両柱2、3の対向する端面2a、3a間に空間(空隙)を確保し、両柱2、3を一体化させず、互いに分離した状態に保っている。図1−(b)は張出部21、31のない区間での断面である、図1−(a)のx−x線の断面を示しているが、少なくとも対向する柱2、3間のハッチングのない範囲にはスラブ4が存在せず、両柱2、3は互いに分離している。
柱2、3の高さ方向(軸方向)にはスラブ4の配置(接続)位置は問われず、また高さ方向に一定の間隔でスラブ4が配列する必要もない。但し、柱2、3の対向する端面2a、3aに張出部21、31を形成する場合、図2に示すように制震装置5が配置される区間(配置区間)の柱2、3の端面2a、3a間距離と、制震装置5が配置されない区間(不在区間)の柱2、3間の端面2a、3a間距離は相違し、不在区間(張出部21、31の形成区間)での端面2a、3a間距離が小さくなる。
詳しく言えば、制震装置5の配置区間では張出部21、31が不在になるが、制震装置5の不在区間には張出部21(31)が一方の柱2(3)から突出する関係で、制震装置5の不在区間(張出部21(31)の形成区間)における柱2、3の端面2a、3a間距離は制震装置5の配置区間における柱2、3の端面2a、3a間距離より、張出部21、31の幅(柱2、3の端面2a、3aからの張り出し長さ)分だけ、小さくなる。
図2では制震装置5の配置区間(張出部21(31)が不在の区間)に配置されるスラブ4を破線で、制震装置5の不在区間(張出部21(31)が存在する区間)に配置されるスラブ4を2点鎖線で示している。ここでは便宜的に破線のスラブ4と2点鎖線のスラブ4を共に、幅と長さを持つ一部の領域として(スラブ4を一部で切断した状態で)示しているが、スラブ4は図9に示すように柱2、3と外周柱9で囲まれた領域に構築(形成)、あるいは敷設される。
ここに2点鎖線で示す、制震装置5の不在区間に配置されるスラブ4が例えば柱2、3の側面2b、3bに突き当たった状態で両柱2、3に接続して(接合されて)いる場合には、そのスラブ4の、柱2、3から分離する区間(分離区間)は破線で示す、制震装置5の配置区間に配置されるスラブ4より、張出部21、31の幅分だけ短縮される。
スラブ4と柱2、3とは例えばスラブ4と柱2、3の側面との間に跨って鉄筋が配筋され、両者間にコンクリート等が充填されることにより接合(接続)状態になるから、このような接合状態になければ、スラブ4と柱2、3とは構造的に分離(絶縁)した状態になる。
このことから、例えば図2に2点鎖線で示すスラブ4が制震装置5の不在区間において両柱2、3の側面2b、3bに接合された状態にある場合には、スラブ4が柱2、3の端面2a、3a間で不在になるだけでは、スラブ4が柱2、3に接続する区間(スラブ4が柱2、3から分離する区間以外の区間)の距離が大きくなるため、柱2、3へスラブ4の接続(柱2、3側面への接合)によって柱2、3の曲げ変形を拘束する可能性が高まる。
以上のようにスラブ4の柱2、3の側面2b、3bに沿った区間は柱2、3に接続する(接合された)接続区間と、縁が切れる(絶縁される)分離区間に区分されるが、分離区間が接続区間より相対的に短ければ、スラブ4が柱2、3の曲げ変形を拘束し易くなり、同時に柱2、3が曲げ変形しようとするときにスラブ4がその変形に追従して損傷を受け易くなる。
これに対し、図2に破線で示すようにスラブ4が制震装置5の配置区間(張出部21、31が不在の区間)において両柱2、3に接続する(柱2、3の側面2b、3bに接合される)場合には、張出部21(31)の幅分以上、柱2、3間でスラブ4が不在になることで、スラブ4が柱2、3に接続する区間(スラブ4が柱2、3から分離する区間以外の区間)の距離は図2の2点鎖線の場合より小さくなるため、スラブ4による柱2、3に対する拘束効果は低下している。
同様に図2に2点鎖線で示すスラブ4も図示するように張出部31の区間でスラブ4を柱3の側面3bから分離させれば、破線で示すスラブ4の場合と同距離の、スラブ4と柱2、3との分離区間が確保されるため、スラブ4による柱2、3に対する拘束効果は破線のスラブ4と同等になる。
スラブ4の柱2、3からの分離は上記した接合状態にならなければ得られるため、スラブ4と柱2、3との間に跨って鉄筋を配筋せず、コンクリート等を充填することをしなければ得られる。図2では制震装置5の不在区間に配置されるスラブ4と、張出部31が突出する柱3の側面3bとの間にスリット41を形成することで、分離させている。
このように柱2、3の端面2a、3aから張出部21、31が張り出す場合には、図1−(b)、図2に示すように一組の柱2、3の少なくとも一方の柱の側面2b、3bからスラブ4を分離させることによってスラブ4の、柱2、3からの分離区間を稼ぐことができる。
スラブ4を柱2、3の側面2b、3bから分離させることは例えばスラブ4を現場で構築するような場合には、上記のようにスラブ4と柱2、3の側面2b、3bとの間にスペーサ等を介在させ、スリット41を形成することによって可能になるが、スラブ4と柱2、3とは構造的に分離していれば(縁が切れていれば)よいため、必ずしもスリット41が形成される必要はない。但し、スリット41の形成は柱2、3が曲げ変形するときにその方向に直交する方向にも変形を伴うような場合に、柱2、3とスラブ4との衝突を回避する意味も持つ。
構造的に分離すべき(スリットを形成すべき)スラブ4と柱2、3との間では、例えば両者間に鉄筋を跨って配筋しないことによっても、あるいは構造的に分離すべきでない区間より相対的に降伏強度の低い材料でスラブ4と柱2、3を接続しておくことによっても分離状態は確保される。
図1−(a)は前記のように対向する柱2、3の、それぞれの端面2a、3aから張出部21、31が突出し、この双方の張出部21、31間に制震装置5が配置された場合の例を示している。図1−(a)は柱2、3の頂部の高さと柱以外の構造体の頂部の高さが等しい図4−(c)の構造物の具体例でもある。
張出部21、31は高さ方向(柱2、3の軸方向)に柱2と柱3から交互に張り出し、両張出部21、31に跨って制震装置5が架設されることで、制震装置5が対向し、分離している柱2、3間に跨って設置されることになる。各柱2、3の端面2a、3aからの張出部21、31の突出長さ(幅)は必ずしも同一である必要はなく、図7に示すように相違することもある。
また図1−(a)を含め、図面では高さ方向に配列する制震装置5の軸が同一線上に位置するように全制震装置5を配置しているが、必ずしもその必要もない。只、全制震装置5の軸が同一線上に位置するように制震装置5が配列する場合には、制震装置5が軸方向力を負担するときに、その軸方向力が上下に位置する制震装置5の軸線上に伝達されることになるから、例えばある張出部21(31)の上面がその上に連結されている制震装置5から受ける力と、下面がその下に連結されている制震装置5から受ける力が同一線上にあることで、それぞれの力が相殺されることになる。
特許文献3のように張出部21(31)の上面への制震装置5の連結位置と下面への制震装置5の連結位置が相違する場合には、上面で受ける力と下面で受ける力が同一線上にないことで、相殺し合うことがないため、張出部21(31)に幅方向に直交する方向のせん断力を作用させることになるが、全制震装置5の軸線が同一線上に位置していれば、張出部21(31)がせん断力を受けることがない利点がある。
図1−(b)は図1−(a)のx−x線の断面を示している。図1−(a)では図2に破線で示すように制震装置5の配置区間にスラブ4が配置されている場合を示しているが、図1−(b)では特に制震装置5の配置区間での対向する柱2、3の端面2a、3a間距離より大きい区間に亘ってスリット41の形成によってスラブ4を柱2、3から分離させている。図1−(b)中、1点鎖線の領域はスラブ4のない吹抜けの空間であることを示している。
図6−(a)は図1−(a)の具体例として一組の柱2、3の対向する端面2a、3aのそれぞれから等しい突出長さ(幅)の張出部21、31を高さ方向に交互に突出させ、相対的に上側に位置する張出部21(31)の下面と下側に位置する張出部31(21)の上面との間に制震装置5を架設した場合を示している。制震装置5の軸方向上端部は相対的に上側に位置する張出部31(21)の下面に任意の水平軸回りに回転自在に連結され、下端部は下側に位置する張出部21(31)の上面に任意の水平軸回りに回転自在に連結される。
図6−(a)では高さ方向(柱2、3の軸方向)に配列する複数本の制震装置5の軸が同一線上に位置するように配列させているが、必ずしもその必要はない。全制震装置5の軸が同一線上に位置する場合には、上記のようにある制震装置5が受ける軸方向の反力がその軸と同一線上に作用することで、張出部21、31にせん断力が作用しない利点がある。
図6−(a)では制震装置5の軸方向両端部にベースプレート51、51を連結し、このベースプレート51、51を張出部21、31の上面と下面にボルト6等により接合しているが、特にボルト6として張出部21(31)の上面と下面間を貫通するアンカーボルトを使用し、張出部21(31)の上面と下面とで対になるベースプレート51、51を互いに連結しながら、張出部21(31)に接合している。
図6では柱2、3の端面2a、3aから突出する張出部21、31の区間にスラブ4を配置しているが、(a)のy−y線断面図である(b)に示すように図2における2点鎖線で示すスラブ4と同じく、少なくとも張出部21(31)の形成位置ではその幅(突出長さ)分、スラブ4をスリット(空隙)41の形成によって柱2(3)の側面2b、3bから分離させている。
スラブ4と柱2、3の側面2b、3bを分離させるために両者間に確保されるスリット(空隙)41の幅としては、柱2、3が曲げ変形を起こしたときに想定される、柱2、3の幅方向の変形(面外変形)によって柱2、3とスラブ4の接触(衝突)を回避できる程度の大きさが適切である。
スリット41の長さは両柱2、3が図3−(b)、(c)に示すような相対変位したときに、スラブ4がその相対変位に追従して変形を生じない程度、あるいは変形を生じてもその変形が許容される程度に留まる大きさに設定される。
図6は対向する柱2、3の端面2a、3a間の中央部に制震装置5が位置するように張出部21、31を形成し、制震装置5を配置している場合の例を示しているが、図7−(a)は一方の柱2(3)の端面2a(3a)側へ寄せて制震装置5を配置した場合の例を示している。
図7−(a)では制震装置5を一方の柱2(3)側へ寄せたことに伴い、他方の柱3(2)側に空間が形成されることから、この他方の柱3(2)側に通路用の開口部7を確保している。開口部7は図示するように他方の柱3の端面3a寄りに確保される。ここでは張出部21、31を除く端面2a、3a間距離(2000mm)の半分の距離(1000mm)を開口部7の幅として確保している。
図6、図7に示すようには柱2、3が壁柱(コア壁)である場合には、柱2、3が構造物1のコアを構成することから、各図の(b)に示すように各柱2、3は例えば箱形、あるいはL形等に閉じた水平断面形状に形成され、平面(スラブ4)はコアの内側と外側に区分される。図6はこのコアの外側にスラブ4を配置し、内側にはその外側のスラブ4と同一面内に位置するスラブを配置していない場合の例を示しているが、図7では対向する柱2、3の端面2a、3a間に通行用の開口部7を形成している関係で、内側にもスラブ4を配置している。
図6では(b)に示すように柱2、3が対向する端面2a、3a寄りの側面2b、3bからスラブ4を分離させ、図7においても同様に柱2、3の端面2a、3a寄りの側面2b、3bからスラブ4を分離させているが、図7の場合は特に他方の柱3の端面3aと制震装置5との間に開口部7を形成していることに伴い、内側のスラブ4と外側のスラブ4との間にエキスパンションジョイントとなり得る渡り廊下71を配置(架設)している。
図8は図6に示す張出部21、31を、柱2、3の端面2a、3aから平面上、両張出部21、31が重複する程度、突出させ、この重複した領域に柱2、3の対向する方向に並列する2本以上の制震装置5を配置した場合の例を示している。制震装置5は柱2、3の対向する方向の他、対向する方向に直交する方向(柱2、3の幅方向、あるいは厚さ方向:紙面に直交する方向)に並列することもある。
図6、図7はスラブ4を制震装置5の不在区間に配置した場合の例を示しているが、図8はスラブ4を制震装置5の配置区間に配置した場合の例を示している。図8ではスラブ4が制震装置5の配置区間にあることで、スラブ4を柱2、3の側面2b、3bに接合しても、端面2a、3a間で十分な分離区間を確保することができるから、必ずしもスラブ4を柱2、3の側面2b、3bから分離させる必要はない。
図8−(b)は図6−(a)〜図8−(a)に示す張出部21、31を鉄骨(鋼材)で形成した場合の例を示している。張出部21(31)を鉄骨で形成する場合、張出部21(31)はH形鋼やプレート等の形鋼(鋼材)を組み合わせることにより形成される。図8−(b)では張出部21(31)を構成する張出部本体81にH形鋼を使用し、柱2、3の端面2a、3a側に柱2、3への接合のための端部プレート82を溶接等により接合している。端部プレート82はそれを貫通して柱2、3中に定着されるアンカーボルト83によって接合される。
張出部本体81の上部のフランジ上に上側に位置する制震装置5のベースプレート51をボルト6等により接合し、下部のフランジ下に下側に位置する制震装置5のベースプレート51を同様に接合している。上部と下部のフランジ間には張出部本体81が圧縮力を負担したときの補強のためのスチフナ(プレート)84が配置される。
図9は柱2、3が地上から立ち上がる連層の耐震要素からなる壁柱(コア柱)である場合の構造物1の例を示している。柱2、3の平面上の周囲には柱2、3と共に、架構を構成する外周柱9が配置され、外周柱9と柱2、3との間にスラブ4が構築される。スラブ4は図7のように壁柱である柱2、3で囲まれた領域に構築されることもある。
図9に示す構造物1は壁柱(コア柱)の柱2、3と、平面上の周囲に地上から立設される外周柱9を基本の架構(骨組み)とし、高さ方向(柱2、3の軸方向)に間隔を置き、柱2、3と外周柱9との間にスラブ4が配置(構築)されることにより構造物1が構成される。
前記した通り、柱2、3が曲げ変形したときの(水平)変形量は上層寄り程、大きく、制震装置5によるエネルギ吸収効果も大きいことから、図9では上層寄りの柱2、3間に制震装置5を配置している。
また上層寄り程、柱2、3に接続しているスラブ4が柱2、3の曲げ変形を阻害し易く、スラブ4は柱2、3の変形に追従することで損傷を受け易くなるから、図9では上層寄りのスラブ4の、両柱2、3からの分離区間を長くし、両柱2、3への接続区間を短縮している。柱2、3の曲げ変形が卓越しない中層以下の層では平面の全面に亘ってスラブ4を配置している。
図10−(a)は構造物1が構造的に互いに分離したラーメン構造の架構11、12から構成され、各架構11(12)が複数本の柱2(3)と各柱2(3)をつなぐ梁10から成立している場合の例を示している。この例では対向する柱2、3を含むそれぞれの架構11、12が図9の例の場合における柱(壁柱)2、3に相当し、各架構11、12が独立して曲げ変形を起こすよう、水平方向に分離し、両者間に架設される制震装置5によって連結される。
図10−(a)に示す立面上、中央部に配列する制震装置5に関して片側に位置する各架構11、12は柱2(3)と柱2(3)をつなぐ梁10から構成されていることで、それぞれの架構の、対向する方向への曲げ剛性が高くないため、図9等に示す例と同様に、柱2(3)を含む架構11、12単位で対向する方向に曲げ変形を起こすことになる。
例えば図10−(a)に示すように左側から右側へ向かう水平力(外力:慣性力)が作用したときには、各架構11、12を構成し、梁10によってつながれた複数本の柱2、3が一様に曲げ変形する。各架構11、12を構成する柱2、3の内、外力の上流側に位置する柱2(3)は引張力を受けて伸びようとし、下流側に位置する柱2(3)は圧縮力を受けて収縮しようとする。その結果、各架構11、12は図3に示す、並列する柱2、3と同様の挙動を示すことになる。
図10−(a)の場合、隣接する架構11、12の対向する側に位置する柱2、3の端面2a、3aから対向する柱3、2側へ、高さ方向に交互に梁(ブラケット)10、10が突出し、その梁10、10が図1等の例における張出部21、31に相当する。この交互に突出する梁10、10間に跨って制震装置5が架設され、双方に連結される。
対向する柱2、3の曲げ変形の量は上層寄り程、大きくなり、その曲げ変形に伴って例えば軸を鉛直方向に向けて配置されている制震装置5の軸方向の向きが鉛直方向に対して傾斜するから、前記のように制震装置5は必ずしも軸を鉛直方向(高さ方向:柱軸方向)に向けて配置される必要はない。図10−(b)は柱2、3の曲げ変形前の状態で、予め制震装置5の軸を鉛直方向に対して傾斜した方向に向けて上下の梁10、10間に架設した場合の例を示している。
図11−(a)〜(l)は柱2、3が図9に示すような壁柱(コア柱)である場合の対向する柱2、3の平面形状例と配置(組み合わせ)例を示す。(a)〜(c)、(g)は同一形状をした2本の柱2、3の配置例、(d)、(e)は同一形状をした4本の柱2、3の配置例である。(f)、(h)、(i)は形状の異なる2本の柱2、3の配置例である。(j)〜(l)は形状の異なる4本を超える本数の柱2、3の配置例である。いずれの場合も対向する(隣接する)柱2、3間に制震装置5が配置される。
図11−(a)、(e)、(h)、(l)は少なくとも一方の、あるいはいずれかの柱2(3)がT形断面である場合、(b)、(f)、(h)、(i)、(j)、(k)は少なくとも一方の、あるいはいずれかの柱2(3)がI形断面である場合、(d)、(k)は少なくとも一方の、あるいはいずれかの柱2(3)がL形断面である場合、(c)、(f)は少なくとも一方の、あるいはいずれかの柱2(3)が溝形断面である場合の柱2、3の平面形状例である。(i)、(j)、(l)はまた、少なくとも一方の、あるいはいずれかの柱2(3)が点形断面である場合の柱2、3の平面形状例である。
以上のように対向する(隣接する)柱2、3の平面形状の組み合わせ例、すなわち如何なる平面形状の柱2、3同士を組み合わせるかは任意であり、それに伴う制震装置5の配置位置も任意であるが、柱2、3が曲げ変形し易い(曲げ変形が卓越する)方向に制震装置5が位置するように柱2、3の平面形状が組み合わせられることが合理的である。
また図11−(d)、(e)、(j)、(k)、(l)のようにいずれかの柱2(3)に対し、水平2方向に柱3(2)が対向して(隣接して)組み合わせられ、その柱3(2)との間に制震装置5が配置される場合には、構造物1が受ける水平2方向の水平力に対して地震時のエネルギを制震装置5に吸収させることができる。
1……制震構造物、
2……柱、2a……端面、2b……側面、21……張出部、
3……柱、3a……端面、3b……側面、31……張出部、
4……スラブ、41……スリット、
5……制震装置、51……ベースプレート、
6……ボルト、
7……開口部、71……渡り廊下、
81……張出部本体、82……端部プレート、83……アンカーボルト、84……スチフナ、
9……外周柱、10……梁、
11……架構、12……架構。

Claims (2)

  1. 水平方向に互いに距離を隔てて対向し、水平力の負担時に軸方向に相対変位を生ずる少なくとも一組の柱と、この対向する各柱に跨って両柱に接続するスラブと、対向する前記各柱間に架設され、軸方向力を負担したときに両端間に相対変位を生じて減衰力を発生する制震装置とを備え、
    前記スラブは少なくとも前記一組の柱の対向する端面間で不在になり、且つ前記一組の柱の少なくとも一方の柱の前記端面寄りの、前記スラブ側を向いた側面からも構造的に分離していることを特徴とする曲げ変形制御型制震構造物。
  2. 前記対向する柱の、それぞれの対向する面から対向する柱側へ、高さ方向に互いに段差が付いて張出部が突出し、双方の張出部間に前記制震装置が架設されていることを特徴とする請求項に記載の曲げ変形制御型制震構造物。
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