JP6641761B2 - 制振構造 - Google Patents

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Description

本発明は、制振構造に関する。
制振対象の構造物の上に質量体や復元機構を備え、構造物の振動を制振するようにしたTMD(Tuned Mass Damper)タイプの制振構造が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の制振構造では復元機構として質量体を免震支承する積層ゴムが用いられている。そして、地震などにより構造物と質量体とが水平方向に相対変位した場合、積層ゴムにより構造物と質量体との相対的な位置を復元するようにしている。
特開平11−294522号公報
TMDを大地震の際に有効に効かせるためには、質量体を大きく動かす必要がある。
しかしながら、上述したような構造では、相対変位が大きくなると、積層ゴムが座屈するなど、質量体を免震支承する免震ユニットを損傷するおそれがあった。
本発明はかかる課題に鑑みてなされたもので、その主な目的は、大きな変形に追随でき、且つ、過大な変形の発生を抑制することができる制振構造を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の制振構造は、制振対象の構造物と、
前記制振対象の構造物の頂部に、水平方向に互いに間隔を隔てて配置された複数の第一免震ユニットと、
前記複数の第一免震ユニット間に掛け渡された単一の掛渡部材と、
各々の前記第一免震ユニット上に前記掛渡部材を介してそれぞれ重ねられた第二免震ユニットと、
前記第一免震ユニット及び前記第二免震ユニットに支承される質量体と、
前記掛渡部材と前記制振対象の構造体との間における前記第一免震ユニットの許容水平変位を超える水平変位を抑制する第一エネルギー吸収機構、及び、前記掛渡部材と前記質量体との間における前記第二免震ユニットの許容水平変位を超える水平変位を抑制する第二エネルギー吸収機構のうちの少なくともいずれか一方と、
を有していることを特徴とする制振構造である。
このような制振構造によれば、質量体は掛渡部材を介して重ねられた第一免震ユニット及び第二免震ユニットに支承されているので、第一免震ユニット及び第二免震ユニットの各々による相対変位が許容される。このため、より大きな変形に追随することが可能である。また、第一免震ユニットの許容水平変位を超える水平変位を抑制する第一エネルギー吸収機構と第二免震ユニットの許容水平変位を超える水平変位を抑制する第二エネルギー吸収機構とのうちの少なくともいずれか一方を有しているので、過大な変形の発生を抑制することが可能である。
かかる制振構造であって、前記第一エネルギー吸収機構は、前記制振対象の構造物の頂部から上方に突出する第一突出部と、前記掛渡部材との衝突エネルギーを吸収することが望ましい。
このような制振構造によれば、第一免震ユニットは、掛渡部材と当該掛渡部材の下方に位置する制振対象の構造体との間に設けられているので、制振対象の構造物の頂部から上方に突出する第一突出部と、掛渡部材との衝突エネルギーを吸収する構成とすることにより、より簡単な構成によって確実にエネルギー吸収機構を備えることが可能である。
かかる制振構造であって、前記掛渡部材には、水平方向において前記第一突出部を囲繞する降伏部材が設けられていることが望ましい。
このような制振構造によれば、制振対象の構造物の頂部から上方に突出する第一突出部が、掛渡部材に設けられた降伏部材により、水平方向において囲繞されているので、制振対象の構造物と掛渡部材とが、水平方向におけるいずれの方向に相対変位したとしても過大な変形の発生を抑制することが可能である。
かかる制振構造であって、前記第二エネルギー吸収機構は、前記質量体から下方に突出する第二突出部と、前記掛渡部材との衝突エネルギーを吸収することが望ましい。
このような制振構造によれば、第二免震ユニットは、掛渡部材と当該掛渡部材の上方に位置する質量体との間に設けられているので、質量体から下方に突出する第二突出部と、掛渡部材との衝突エネルギーを吸収する構成とすることにより、より簡単な構成によって確実にエネルギー吸収機構を備えることが可能である。
かかる制振構造であって、前記掛渡部材には、水平方向において前記第二突出部を囲繞する降伏部材が設けられていることが望ましい。
このような制振構造によれば、質量体の下方に突出する第二突出部が、掛渡部材に設けられた降伏部材により、水平方向において囲繞されているので、質量体と掛渡部材とが、水平方向におけるいずれの方向に相対変位したとしても過大な変形の発生を抑制することが可能である。
かかる制振構造であって、前記第一エネルギー吸収機構、及び、前記第二エネルギー吸収機構は、互いに間隔を隔てて配置された前記第一免震ユニット同士及び前記第二免震ユニット同士の間に設けられていることが望ましい。
このような制振構造によれば、第一エネルギー吸収機構は、互いに間隔を隔てて配置された第一免震ユニット同士の間に、また、第二エネルギー吸収機構は、互いに間隔を隔てて配置された第二免震ユニット同士の間に設けられているので、よりコンパクトな制振構造を実現することが可能である。
かかる制振構造であって、前記第一免震ユニット及び前記第二免震ユニットは、前記衝突エネルギーを吸収した後も前記質量体を支承することが望ましい。
このような制振構造によれば、第一エネルギー吸収機構、及び、第二エネルギー吸収機構により衝突エネルギーを吸収した後も質量体は支承されているので、衝突エネルギーを吸収した後も制振機能を備えておくことが可能である。
かかる制振構造であって、前記第一免震ユニット及び前記第二免震ユニットにより衝突エネルギーを吸収して、前記掛渡部材における前記第一免震ユニットと前記第二免震ユニットとの間が損傷して分離した場合に、前記第一免震ユニットと前記第二免震ユニットは、各々、TMD制振構造としての機能を維持することが望ましい。
このような制振構造によれば、第一免震ユニット及び第二免震ユニットにより衝突エネルギーを吸収して、掛渡部材における第一免震ユニットと第二免震ユニットとの間が損傷して分離した場合であっても、第一免震ユニットと第二免震ユニットは、各々、TMD制振構造としての機能を維持することが可能である。
本発明によれば、大きな変形に追随でき、且つ、過大な変形の発生を抑制することができる制振構造を提供することが可能である。
本実施形態に係るTMD制振構造の構成を示す分解斜視図である。 TMD制振構造に用いられる掛渡部材を示す斜視図である。 錘を積層ゴムの手前で切断したTMD制振構造を正面から見た縦断面図である。 TMD制振構造を横フレームと横連結フレームとの間で切断した状態を正面から見た縦断面図である。 錘を左右方向において積層ゴムの外側で切断したTMD制振構造を側方から見た縦断面図である。 第一エネルギー吸収機構と第二エネルギー吸収機構を示す説明図である。
以下、本発明にかかる制振構造の一実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態の制振構造は、制振対象の構造物の上に質量体、復元機構、減衰機構を設け、予め、振動系の固有周期を制振対象の構造物の固有周期に対応させるように調整(チューニング)したTMD制振構造である。
図1は、本実施形態に係るTMD制振構造の構成を示す分解斜視図であり、図2は、TMD制振構造に用いられる掛渡部材を示す斜視図であり、図3は、錘を積層ゴムの手前で切断したTMD制振構造を正面から見た縦断面図であり、図4は、TMD制振構造を横フレームと横連結フレームとの間で切断した状態を正面から見た縦断面図であり、図5は、錘を左右方向において積層ゴムの外側で切断したTMD制振構造を側方から見た縦断面図である。尚、図1においては、後述する錘5の下面から突出させて設けられている部位を示すためにその他の部位を仮想線により示している。また、図1においては、同様の部位、部材における符号の一部は省略している。
本実施形態のTMD制振構造は、例えば高層ビルなどの鉄骨造または鉄筋コンクリート造の建物1の頂部1aに設けられている。ここで、建物1が制振対象の構造物に相当する。
TMD制振構造は、建物1の頂部1aにおいて、水平方向における所定方向に互いに間隔を隔てて設けられた2つの第一免震ユニット2と、2つの第一免震ユニット2に掛け渡された掛渡部材3と、第一免震ユニット2上に掛渡部材3を介してそれぞれ重ねられている2つの第二免震ユニット4と、2つの第一免震ユニット2及び2つの第二免震ユニット4に支承された質量体としての錘5とを有している。以下の説明においては、2つの第一免震ユニット2及び2つの第二免震ユニット4が各々、互いに間隔が隔てられている方向を左右方向とし、水平方向において左右方向と直交する方向を奥行き方向として説明する。
左右方向に互いに間隔を隔てて設けられた2つの第一免震ユニット2は、建物1の頂部1aにおいて、各々矩形状の領域S1の四隅に位置するように、建物1の頂部1aから上方に突出させた頂部台座1b上に各々固定された、復元機構をなす4つの積層ゴム21により構成されている。
積層ゴム21は、周知構成のものであり、例えば、円形のゴム層と内部鋼板を交互に積層したものを上下一対のフランジで挟んで固定した円柱形の部材である。積層ゴム21は、建物1の頂部1aと掛渡部材3との間に設けられており、錘5等を支持するとともに、建物1と掛渡部材3とが水平方向に相対変位した場合に、建物1と掛渡部材3との相対的な位置を復元させる。
掛渡部材3は、H型鋼を接合して形成されたフレームであり、左右の各第一免震ユニット2において、奥行き方向における手前側及び奥側において左右に並ぶ2つの積層ゴム21の上に掛け渡される2本の横フレーム31aと、左右の第一免震ユニット2の各横フレーム31a間に左右方向に沿って配置される中央横フレーム31bと、左右の第一免震ユニット2の奥行き方向に並ぶ積層ゴム21上に各々渡るように掛け渡される4本の縦フレーム31cとを有し、横フレーム31a、中央横フレーム31b、縦フレーム31cは、平面視十字状に形成された接合プレート31dを介して接合されてフレーム本体31が形成されている。
接合プレート31dの上端と下端とには、第一免震ユニット2をなす積層ゴム21、及び、後述する第二免震ユニット4をなす積層ゴム21が固定される平板状の台座プレート3aが設けられている。このため、H型鋼でなる横フレーム31aと縦フレーム31cのウエブが接合プレート31dと接合され、横フレーム31aと縦フレーム31cのフランジが台座プレート3aに接合されている。
フレーム本体31を構成する4本の縦フレーム31cのうち、左側の2本の縦フレーム31cの間と、右側の2本の縦フレーム31cの間とには、2本の横フレーム31aと奥行き方向に間隔を隔てるとともに平行に配置される2本の横連結フレーム31eが掛け渡されて接合され、2本の横連結フレーム31e間には、縦フレーム31cと左右方向に間隔を隔てるとともに平行に配置される2本の縦連結フレーム31fが掛け渡されて接合されている。このため、フレーム本体31のうち、左右に設けられた4つの積層ゴム21でなる第一免震ユニット2上を繋ぐ矩形状の左右の矩形フレーム部32の内側に、矩形フレーム部32より小さな内側矩形フレーム部33が形成されており、矩形フレーム部32と内側矩形フレーム部33との間には、それらを斜めに繋ぐ補強フレーム34が接合されている。
また、内側矩形フレーム部33の四隅において対向する2対の角部のうち、一方の対をなす角部には上方に突出させたH型鋼でなる上突起部35が設けられ、他方の対をなす角部には下方に突出させたH型鋼でなる下突起部36が設けられている。
また、フレーム本体31を構成する4本の縦フレーム31cのうち、内側に位置する2本の縦フレーム31cの間にも、2本の中央横フレーム31bと奥行き方向に間隔を隔てるとともに平行に配置される2本の横連結フレーム31eが掛け渡されて接合され、2本の横連結フレーム31e間には、縦フレーム31cと左右方向に間隔を隔てるとともに平行に配置される2本の縦連結フレーム31fが掛け渡されて接合され、さらに2本の横連結フレーム31eと中央横フレーム31bと間にも各々2本の縦連結フレーム31fが掛け渡されて接合されている。このため、左右の矩形フレーム部32の間にも、中央横フレーム31bと内側の2本の縦フレーム31cとにより形成される矩形状の中央矩形フレーム部37の内側に、中央矩形フレーム部37より小さな内側中央矩形フレーム部38が形成されており、中央矩形フレーム部37と内側中央矩形フレーム部38との間は、それらを繋ぐ補強フレーム34が接合されている。
内側中央矩形フレーム部38は、左右方向に長い長方形状をなしており、2つの長辺側には、その長さをほぼ4等分する位置に、内側中央矩形フレーム部38から上下方向にそれぞれ張り出して、H型鋼でなる3つの張出部材39aが設けられ、2つの短辺側には、その長さをほぼ3等分する位置に、内側中央矩形フレーム部38から上下方向にそれぞれ張り出して、H型鋼でなる2つの張出部材39aが設けられている。
これらの張出部材39aは、上端と下端部とにそれぞれ長辺側の3本を繋ぐ長辺連結材39bと、短辺側の2本を繋ぐ短辺連結材39cと、長辺連結材39bと短辺連結材39cの端部同士を斜めに繋ぐ連結斜材39dとが八角形状をなすように接合されている。張出部材39a、長辺連結材39b、短辺連結材39c、連結斜材39dにより構成されてフレーム本体31の上下に突出する部位は、第一免震ユニット2及び第二免震ユニット4が許容水平変位を超えて水平変位することを抑制するための降伏部39をなしている。すなわち、第一免震ユニット2及び第二免震ユニット4が許容水平変位を超えて水平変位する前に、建物1側の部位または錘5側の部位が降伏部39に衝突してエネルギーを吸収するように構成されている。このため、降伏部39は掛渡部材3の他の部位と比較して脆弱に形成されている。
掛渡部材3の下に設けられた2つの第一免震ユニット2をなす8つの積層ゴム21の上には、掛渡部材3を介して、各々第一免震ユニット2と同一の積層ゴム21が載置されて台座プレート3aに固定されている。8つの積層ゴム21は、第一免震ユニット2と同様に、左右に間隔を隔てた矩形状の領域S1の四隅に配置された4つずつが各々第二免震ユニット4をなしている。
掛渡部材3を介して上下に積み重ねて固定された第一免震ユニット2及び第二免震ユニット4の上に錘5が載置されて支承されている。錘5の下面5aには、第二免震ユニット4をなす各積層ゴム21を受けるため錘台座5bが下方に突出させて設けられている。すなわち、建物1の頂部1aに設けられた頂部台座1bと錘5の下面5aに設けられた錘台座5bとは、上下方向に対向する位置に配置されるように設定されている。
また、建物1の頂部1aには左右に分かれて設けられた4つずつの頂部台座1bが四隅をなす2つの矩形状の領域S1の間に、そのほぼ中央に位置させて上方に突出する第一突出部1cが設けられ、錘5の下面5aには左右に分かれて設けられた4つずつの錘台座5bが四隅をなす2つの矩形状の領域の間に、そのほぼ中央に位置させて下方に突出する第二突出部5cが設けられている。
第一突出部1c及び第二突出部5cは、掛渡部材3を介して上下に積み重ねられた第一免震ユニット2及び第二免震ユニット4の上に錘5が載置された状態で、各々フレーム本体31の上方及び下方に突出させて設けられた八角形状の降伏部39に囲繞されて、降伏部39のほぼ中央に位置するように設定されている。このとき、第一突出部1c及び第二突出部5cと降伏部39との間隔は、水平方向におけるいずれの方向においても、第一免震ユニット2及び第二免震ユニット4をなす積層ゴム21における許容水平変位量より狭く設定されている。このため、建物1に地震等により水平方向の振動が生じ、第一免震ユニット2及び第二免震ユニット4の積層ゴム21における許容水平変位を超える相対変位が生じる前に、降伏部39に第一突出部1cまたは第二突出部5cが衝突してエネルギーを吸収するので、過大な相対変形の発生を抑制することが可能である。すなわち、第一突出部1cと下側の降伏部39とが第一エネルギー吸収機構をなし、第二突出部5cと上側の降伏部39とが第二エネルギー吸収機構をなしている。
また、建物1の頂部1aには、掛渡部材3における内側矩形フレーム部33の二対の角部のうちの下突起部36が設けられていない角部と対向する位置に、上方に突出する下対向突部1dが設けられており、錘5の下面には、掛渡部材3における内側矩形フレーム部33の二対の角部のうちの上突起部35が設けられていない角部と対向する位置に、下方に突出する上対向突部5dがそれぞれ設けられている。このため、掛渡部材3の下側には、左右の矩形フレーム部32の四隅に相当する位置に、一方の対角に一対の下突起部36と、他方の対角に一対の下対向突部1dとが配置されており、掛渡部材3の上側には、一方の対角に一対の上突起部35と、他方の対角に一対の上対向突部5dとが配置されている。
そして、矩形状の四隅に配置された一対の下突起部36と一対の下対向突部1dとには、互いに隣り合う下突起部36と下対向突部1dとの間にダンパー6が介在され、その端部が各々水平方向において揺動可能にピン接合されており、矩形状の四隅に配置された一対の上突起部35と一対の上対向突部5dとには、互いに隣り合う上突起部35と上対向突部5dとの間にダンパー6が介在されて、その端部が各々水平方向において揺動可能にピン接合されている。ダンパー6は、建物1と錘5とが相対変位するときの振動エネルギーを吸収し振動を減衰させる減衰機構をなしている。なお、本実施形態ではダンパー6として例えば、粘性流体であるオイルを用いて振動を減衰させる減衰部材としてのオイルダンパー6を用いている。
以上のように構成されたTMD制振構造において、振動系(錘、積層ゴム、ダンパー)の振動周波数を、予め、制振対象の建物1の固有周期に対応させるように調整(チューニング)しておく。こうすることにより、地震などにより建物1が水平方向に振動した場合でも、その振動を制振させることが可能である。
具体的には、本実施形態のTMD制震構造を備えた建物1に地震等により水平方向の振動が生じると、建物1と錘5とが相対的に変位し、第一免震ユニット2及び第二免震ユニット4を構成する積層ゴム21が各々せん断変形する。このとき、建物1と掛渡部材3との間、及び、掛渡部材3と錘5との間にそれぞれ介在されているオイルダンパー6が各積層ゴム21のせん断変形を抑制するように作用することにより建物1の振動を制振する。
本実施形態のTMD制震構造によれば、第一免震ユニット2の積層ゴム21と第二免震ユニット4の積層ゴム21とが、上下方向に重ねて設けられているので、上下に位置する積層ゴム21が各々せん断変形することにより、より大きな相対変位を許容することが可能である。また、オイルダンパー6は、掛渡部材3の下側と上側とにそれぞれ設けられているので、下側のオイルダンパー6により第一免震ユニット2を構成する積層ゴム21のせん断変形を抑制し、上側のオイルダンパー6により第二免震ユニット4を構成する積層ゴム21のせん断変形を抑制することにより、建物1の振動を更に制振することが可能である。
図6は、第一エネルギー吸収機構と第二エネルギー吸収機構を示す説明図である。
本実施形態のTMD制震構造は、第一免震ユニット2の許容水平変位を超える水平変位を抑制する第一エネルギー吸収機構と第二免震ユニット4の許容水平変位を超える水平変位を抑制する第二エネルギー吸収機構とを有しているので、建物1が大きく振動する際に、第一免震ユニット2及び第二免震ユニット4が許容水平変位を超える前に、図6に示すように、第一突出部1c及び第二突出部5cが降伏部39に衝突することによりエネルギーを吸収し第一免震ユニット2及び第二免震ユニット4の損傷、具体的には、積層ゴム21に座屈が生じることを抑制することが可能である。このとき、第一突出部1cと降伏部39との水平方向における間隔と、第二突出部5cと降伏部39との水平方向における間隔とをほぼ等しく設定しておくと、第一突出部1cと降伏部39、及び、第二突出部5cと降伏部39がほぼ同時に衝突するので、第一免震ユニット2及び第二免震ユニット4を構成するいずれの積層ゴム21も座屈し難い制振構造を提供することが可能である。
また、第一免震ユニット2は、掛渡部材3と当該掛渡部材3の下方に位置する建物1との間に設けられているので、建物1の頂部1aから上方に突出する第一突出部1cと、掛渡部材3の降伏部39との衝突エネルギーを吸収する構成とすることにより、より簡単な構成により確実に第一エネルギー吸収機構を備えることが可能である。
また、建物1の頂部1aから上方に突出する第一突出部1cが、掛渡部材3に設けられた降伏部39により、水平方向において囲繞されているので、建物1と掛渡部材3とが、水平方向におけるいずれの方向に相対変位したとしても過大な変形の発生をも抑制することが可能である。
また、第二免震ユニット4は、掛渡部材3と当該掛渡部材3の上方に位置する錘5との間に設けられているので、錘5から下方に突出する第二突出部5cと、掛渡部材3の降伏部39との衝突エネルギーを吸収する構成とすることにより、より簡単な構成により確実にエネルギー吸収機構を備えることが可能である。
また、錘5の下方に突出する第二突出部5cが、掛渡部材3に設けられた降伏部39により、水平方向において囲繞されているので、建物1と掛渡部材3とが、水平方向におけるいずれの方向に相対変位したとしても過大な変形の発生をも抑制することが可能である。
また、第一エネルギー吸収機構は、互いに間隔を隔てて配置された第一免震ユニット2同士の間に、また、第二エネルギー吸収機構は、互いに間隔を隔てて配置された第二免震ユニット4同士の間に設けられているので、よりコンパクトなTMD制振構造を実現することが可能である。
また、第一エネルギー吸収機構、及び、第二エネルギー吸収機構により衝突エネルギーを吸収した後も錘5は掛渡部材3を介して上下に設けられた第一免震ユニット2及び第二免震ユニット4に支承されているので、衝突エネルギーを吸収した後も制振機能を備えておくことが可能である。また、第一エネルギー吸収機構、及び、第二エネルギー吸収機構により衝突エネルギーを吸収した際に、掛渡部材3における第一免震ユニット2と第二免震ユニット4との間が損傷し、たとえ分離した場合であっても、第一免震ユニット2及び第二免震ユニット4は損傷がほとんどなく、各々TMD制振構造としての機能を維持することが可能である。
また、第一免震ユニット2及び第二免震ユニット4が、水平方向において直交する2方向の振動を減衰させるオイルダンパー6を備えているので、水平方向におけるいずれの方向の振動も減衰させてより効率良く制振することが可能である。
上記実施形態においては、積層ゴム21を上下方向に2段に積層した例について説明したが、これには限らず、例えば3段以上積層されていても構わない。
また、上記実施形態においては、第一免震ユニット2及び第二免震ユニット4を各々左右に間隔を隔てて2つ備えた例について説明したが、左右方向に各々互いに間隔を隔てて3つ以上設けられていても構わず、また、奥行き方向に各々互いに間隔を隔てて2つ以上設けられていても構わない。
上記実施形態においては、第一エネルギー吸収機構の第一突出部1cと降伏部39との水平方向における間隔と、第二エネルギー吸収機構の第二突出部5cと降伏部39との水平方向における間隔とをほぼ等しく設定した例について説明したが、第一突出部1cと降伏部39との間隔と、第二突出部5cと降伏部39との間隔とを相違させて、互いの衝突するタイミングを異ならせても構わない。
また上記実施形態においては、錘5の形状を平面視長方形としたがこれには限られない。例えば平面視正方形、多角形、円形などであってもよい。
上記実施形態においては、第一免震ユニット2及び第二免震ユニット4を積層ゴム21により構成する例について説明したが、これに限らず、例えば、滑り支承や転がり支承により構成しても構わない。この場合には、第一エネルギー吸収機構を構成する第一突出部と降伏部との間隔、及び、第二エネルギー吸収機構を構成する第二突出部と降伏部との間隔を、滑り支承や転がり支承の許容水平変位量よりも小さく設定しておく。
また、上記実施形態においては、TDM制振構造が、第一免震ユニット2の許容水平変位を超える水平変位を抑制する第一エネルギー吸収機構と第二免震ユニット4の許容水平変位を超える水平変位を抑制する第二エネルギー吸収機構とをいずれも備えている例について説明したが、いずれか一方のみを備えている形態であっても構わない。
また、上記実施形態においては、ダンパーをオイルダンパーとした例について説明したが、これには限らず、振動を減衰させるものであれば他のダンパー(例えば、粘弾性ダンパー、摩擦ダンパーなど)であっても構わない。
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
1 建物
1a 頂部
1b 頂部台座
1c 第一突出部
1d 下対向突部
2 第一免震ユニット
3 掛渡部材
3a 台座プレート
4 第二免震ユニット
5 錘
5a 下面
5b 錘台座
5c 第二突出部
5d 上対向突部
6 オイルダンパー(ダンパー)
21 積層ゴム
31 フレーム本体
31a 横フレーム
31b 中央横フレーム
31c 縦フレーム
31d 接合プレート
31e 横連結フレーム
31f 縦連結フレーム
32 矩形フレーム部
33 内側矩形フレーム部
34 補強フレーム
35 上突起部
36 下突起部
37 中央矩形フレーム部
38 内側中央矩形フレーム部
39 降伏部
39a 張出部材
39b 長辺連結材
39c 短辺連結材
39d 連結斜材
S1 矩形状の領域

Claims (8)

  1. 制振対象の構造物と、
    前記制振対象の構造物の頂部に、水平方向に互いに間隔を隔てて配置された複数の第一免震ユニットと、
    前記複数の第一免震ユニット間に掛け渡された単一の掛渡部材と、
    各々の前記第一免震ユニット上に前記掛渡部材を介してそれぞれ重ねられた第二免震ユニットと、
    前記第一免震ユニット及び前記第二免震ユニットに支承される質量体と、
    前記掛渡部材と前記制振対象の構造体との間における前記第一免震ユニットの許容水平変位を超える水平変位を抑制する第一エネルギー吸収機構、及び、前記掛渡部材と前記質量体との間における前記第二免震ユニットの許容水平変位を超える水平変位を抑制する第二エネルギー吸収機構のうちの少なくともいずれか一方と、
    を有していることを特徴とする制振構造。
  2. 請求項1に記載の制振構造であって、
    前記第一エネルギー吸収機構は、前記制振対象の構造物の頂部から上方に突出する第一突出部と、前記掛渡部材との衝突エネルギーを吸収することを特徴する制振構造。
  3. 請求項2に記載の制振構造であって、
    前記掛渡部材には、水平方向において前記第一突出部を囲繞する降伏部材が設けられていることを特徴する制振構造。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の制振構造であって、
    前記第二エネルギー吸収機構は、前記質量体から下方に突出する第二突出部と、前記掛渡部材との衝突エネルギーを吸収することを特徴する制振構造。
  5. 請求項4に記載の制振構造であって、
    前記掛渡部材には、水平方向において前記第二突出部を囲繞する降伏部材が設けられていることを特徴する制振構造。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の制振構造であって、
    前記第一エネルギー吸収機構、及び、前記第二エネルギー吸収機構は、互いに間隔を隔てて配置された前記第一免震ユニット同士及び前記第二免震ユニット同士の間に設けられていることを特徴する制振構造。
  7. 請求項2又は請求項4に記載の制振構造であって、
    前記第一免震ユニット及び前記第二免震ユニットは、前記衝突エネルギーを吸収した後も前記質量体を支承することを特徴する制振構造。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の制振構造であって、
    前記第一免震ユニット及び前記第二免震ユニットにより衝突エネルギーを吸収して、前記掛渡部材における前記第一免震ユニットと前記第二免震ユニットとの間が損傷して分離した場合に、前記第一免震ユニットと前記第二免震ユニットは、各々、TMD制振構造としての機能を維持することを特徴する制振構造。
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