しかしながら、従来の制振構造では、以下の不都合を生じる可能性があると指摘される恐れがある。
すなわち、従来の制振構造では、構造体の柱と梁とで作られる空間に斜材として、またはリンク機構を介してダンパが配設されている関係上、どうしても、制振構造が適用される構造体を壁として利用する以外には利用することができず、当該構造体内に出入口、給排気および給排水等の配管設備、通風設備、採光設備等のいわゆる非構造部材を設けることはできない。
また、複数の構造体を組み合せて完成される構造物の設計に当り、制振構造を構造物中のどの位置に設置するかは、その構造物の構造計算によりある程度決まってしまうので、上記非構造部材の自由な配置が阻害されてしまうと同時に、設計者の設計上の負担も大きくなる。
そこで、本発明は上記不具合を解消するために創案されたものであって、その目的とするところは、構造物への非構造部材の配置の自由度を飛躍的に高める制振構造を提供することである。
第1の課題解決手段は、柱と梁とからなる構造体の柱と梁との間に減衰装置を掛け渡してなる制振構造において、減衰装置が柱の柱と梁の接合部近傍と梁との間に掛け渡されることを特徴とする。
第2の課題解決手段は、第1の課題解決手段において、減衰装置を梁に沿わせたことを特徴とする。
第3の課題解決手段は、第1または第2の課題解決手段において、減衰装置の一端もしくは両端に減衰装置に振動を増幅して伝達する増幅手段を設けたことを特徴とする。
第4の課題解決手段は、第1から第3の課題解決手段において、柱と梁の接合をヒンジ結合としたことを特徴とする。
第5の課題解決手段は、第1から第3の課題解決手段において、柱の柱と梁の接合部と減衰装置が取付けられる取付部位との間に、上記接合部と取付部位との水平方向の相対移動を許容する水平移動許容手段を設けたことを特徴とする。
第6の課題解決手段は、第5の課題解決手段において、水平移動許容手段が、柱の上記接合部と取付部位との間に介装される弾性体、もしくは、弾性体と剛体を複数積層した部材、もしくは、転がり部材、もしくは、滑り部材としたことを特徴とする。
各請求項の発明によれば、構造体に地震や強風などにより振動が入力されても減衰装置が伸長もしくは収縮しながら、所定の減衰力を発生して、振動エネルギを吸収して構造体の振動および変形を抑制することができる。
また、減衰装置は柱と梁との接合部の近傍に取付けられるので、構造体の柱と梁で作られる空間を全体にわたり減衰装置が占めてしまうことがなく、構造体を壁以外の用途に使用することができる。
したがって、構造体内に出入口、給排気および給排水等の配管設備、通風設備、採光設備等のいわゆる非構造部材を設けることが可能となり、複数の構造体を組み合せて完成される構造物の設計に当り、構造物への非構造部材の配置の自由度を飛躍的に高められる。そして、構造物の設計自由度が高められるので、設計者の設計上の負担も軽減される。
請求項2の発明によれば、減衰装置を梁に沿わせているので、減衰装置が構造体内に設けられるであろう非構造部材の設置に邪魔になることはなく、一層構造物設計の自由度が高まるのである。
また、梁をH形鋼とする場合には、減衰装置を梁の側部に収容するように、柱と梁との間に掛け渡すことが可能となるので、減衰装置が構造体内に設けられるであろう非構造部材の設置に邪魔になることはなく、より一層構造物設計の自由度が高まる
請求項3の発明によれば、増幅手段を設けたので、柱と梁の変形による相対移動を増幅して、すなわち、振動を増幅して減衰装置に伝達することが可能である。
したがって、振動に対して減衰装置の応答性を高めることが可能となり、これにより、振動抑制効果も向上する。
請求項4の発明によれば、柱と梁をヒンジ結合しているので、構造体に振動が入力されると、梁は、柱に対して揺動することが可能となり、減衰装置に振動を増幅させて伝達することができる。したがって、減衰装置は、振動が増幅されることから、その伸縮量も増加するので、微小な振動の入力でも大きな減衰力を発生することができる。
さらに、構造体への振動負荷時の柱や梁に働く力は、減衰装置で受けることとなり、柱や梁の変形を防止することができ、また、構造体を積層した構造物にあっては、層間変形を防止することもできる。
請求項5および6の発明によれば、柱に水平移動許容手段が設けられているので、この構造体に振動が負荷された場合に、減衰装置に上記振動を増幅させて伝達することができる。すると、減衰装置は、振動が増幅されることから、その伸縮量も増加するので、微小な振動の入力でも大きな減衰力を発生することができる。すなわち、振動に対して減衰装置の応答性を高めることが可能となり、これにより、振動抑制効果も向上する。これにより、減衰装置を柱と梁との接合部の近傍に取付けても、充分な振動抑制効果を得られる。
さらに、従来のように、大掛かりな斜材やリンク機構を使用して、振動を増幅させる必要が無いので、この制振構造が具現化される制振装置を従来の制振装置に比較してコンパクトかつ軽量なものとすることができる。
さらに、水平移動許容手段を設けたので、構造体への振動負荷時の柱や梁に働く力は、減衰装置で受けることとなり、柱や梁の変形を防止することができ、また、構造体を積層した構造物にあっては、層間変形を防止することもできる。そして、減衰装置の発生する減衰力を可変にしておけば、いわゆる免振装置としても機能させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図にもと基づいて説明する。図1は、第1の実施の形態における制振構造を具現化した制振装置を概念的に示すモデル図である。図2は、減衰装置たる油圧ダンパを概念的に示す図である。図3は、第2の実施の形態における制振構造を具現化した制振装置を概念的に示すモデル図である。図4は、第3の実施の形態における制振構造を具現化した制振装置を概念的に示すモデル図である。図5は、第4の実施の形態における制振構造を具現化した制振装置を概念的に示すモデル図である。図6は、第5の実施の形態における制振構造を具現化した制振装置を概念的に示すモデル図である。図7は、第6の実施の形態における制振構造を具現化した制振装置を概念的に示すモデル図である。
第1の実施の形態における制振構造を具現化した制振装置は、基本的には、図1に示すように、縦方向に起立する柱1と、柱1の隣に起立する図示しない柱と、この柱1と図示しない柱との間に架設される梁2と、で構成される構造体と、構造体の柱1と梁2との間に掛け渡される減衰装置3とで構成され、構造体に振動が負荷された場合に、減衰装置3で振動エネルギを吸収して、構造体の振動を抑制するものである。そして、構造体を複数組み合せて構造物を形成する場合には、任意の構造体に、この制振構造を適用して、結果的に構造物の振動を抑制することができる。
以下、詳しく説明すると、減衰装置3は、粘性ダンパ、粘弾性ダンパ、弾塑性ダンパ、摩擦ダンパ等の種々のダンパを利用すればよいが、ここでは、油圧ダンパを使用した場合について説明する。減衰装置3は、たとえば、図2に示すように、シリンダ20と、シリンダ20内に摺動自在に挿入したピストン21と、シリンダ20内にピストン21を介して移動自在に挿入したピストンロッド22と、シリンダ20内にピストン21により区画される油室R1および油室R2とを備えた両ロッド型のダンパであって、油室R1と油室R2とを連通する通路23と、当該通路23に設けた減衰力発生要素24とを備えており、シリンダ20に対しピストンロッド22が移動する際に減衰力を発生可能なものである。そして、シリンダ20の図2中右端には筒体25がピストンロッド22のストロークを妨げないように取付けられている。なお、減衰力発生要素としては、ポート、オリフィス、リーフバルブ等の公知のものを使用すればよく、また、減衰装置としての油圧ダンパは、ピストンロッドが図2中左右方向に移動する際の減衰特性が同一、たとえば、減衰力がピストン速度に依存するものであれは減衰力の速度依存特性が同一であれば使用可能であり、その限りにおいて両ロッド型以外にも片ロッド型とされてもよく、上記したもの以外の公知の油圧ダンパを使用するとしてもよい。
さらに、この減衰装置3のピストンロッド22は、柱1に対して揺動可能なように上記柱1の柱1と梁2の接合部A近傍の取付部位Bにヒンジ結合されており、他方、減衰装置3の筒体25の右端は、梁2に対して揺動可能なように、梁2の下部にヒンジ結合され、これにより減衰装置3は、梁2に沿わせるようにして柱1と梁2との間に掛け渡されている。したがって、減衰装置3を柱1および梁2に剛結合した場合に比較して、構造体に振動が入力された際、柱1もしくは梁2が捩られた場合にあっても、柱1および梁2を損傷する危険が防止されている。なお、本実施の形態においては、ヒンジ接合されているが、ヒンジの他に球面軸受を用いてもよい。この場合にも、減衰装置3は柱1および梁2に対して揺動可能となる。また、本実施の形態においては、減衰装置3は、梁2の下方に取付けられているが、梁2の側方もしくは上方に取付けられるとしてもよい。
また、柱1には、柱1の接合部Aと減衰装置が取付けられる取付部位Bとの間に、上記接合部Aと取付部位Bとの水平方向の相対移動を許容する水平移動許容手段5が設けられており、この水平移動許容手段5は、弾性体であるゴムと剛体である鉄板を複数枚積層されて構成されており、柱1の軸方向の軸力にも耐えられるようになっている。したがって、この構造体に振動が負荷されると、水平移動許容手段5のゴムが弾性変形し、接合部Aと取付部Bとの相対移動を許容する。すると、柱1を剛体としたときに比較して、接合部Aと取付部Bと相対移動が許容されるので、結果的に、構造体に振動が入力された時には、柱1の図1中取付部B側と梁2との相対変位および相対速度が大きくなる。なお、水平移動許容手段としては、上記以外にも、例えばゴム等の弾性体を1つとして構成されてもよく、また、柱1の軸方向の軸力にも耐えられ、かつ、接合部Aと取付部Bとの水平方向の相対移動を許容することができればよいので、ボールアイソレータ、ボールベアリング等の転がり部材や、摩擦係数の低い平滑面を有する部材同士を対向させて構成した滑り部材としてもよいし、弾性体も、柱1の軸方向の軸力にも耐えられ、かつ、接合部Aと取付部Bとの水平方向の相対移動を許容することができれる限りにおいてゴム以外のものを使用してもよい。
そして、この制振構造では、構造体に地震や強風などにより振動が入力されると、柱1および梁2には水平力が負荷される。すると、柱1が左右いずれかに傾こうとする。それに伴い、減衰装置3は伸長もしくは収縮しながら、所定の減衰力を発生して、上記水平力に対向する力を発生しつつ振動エネルギを吸収して構造体の振動および変形を抑制することができる。
ここで、減衰装置3は柱1と梁2との接合部Aの近傍に取付けられるので、構造体の柱1と梁2で作られる空間を全体にわたり減衰装置3が占めてしまうことがなく、構造体を壁以外の用途に使用することができる。したがって、構造体内に出入口、給排気および給排水等の配管設備、通風設備、採光設備等のいわゆる非構造部材を設けることが可能となり、複数の構造体を組み合せて完成される構造物の設計に当り、構造物への非構造部材の配置の自由度を飛躍的に高められる。そして、構造物の設計自由度が高められるので、設計者の設計上の負担も軽減される。
そして、減衰装置3を梁2に沿わせる場合にあっては、減衰装置3が構造体内に設けられるであろう非構造部材の設置に邪魔になることはなく、一層構造物設計の自由度が高まるのである。
また、本実施の形態にあっては、柱1に水平移動許容手段5が設けられているので、この構造体に振動が負荷された場合に、減衰装置3に上記振動を増幅させて伝達することができる。すると、減衰装置3は、振動が増幅されることから、その伸縮量も増加するので、微小な振動の入力でも大きな減衰力を発生することができる。すなわち、振動に対して減衰装置3の応答性を高めることが可能となり、これにより、振動抑制効果も向上する。これにより、減衰装置3を柱1と梁2との接合部Aの近傍に取付けても、充分な振動抑制効果を得られる。さらに、従来のように、大掛かりな斜材やリンク機構を使用して、振動を増幅させる必要が無いので、この制振構造が具現化される制振装置を従来の制振装置に比較してコンパクトかつ軽量なものとすることができる。
さらに、水平移動許容手段を設けたので、構造体への振動負荷時の柱1や梁2に働く力は、減衰装置3で受けることとなり、柱1や梁2の変形を防止することができ、また、構造体を積層した構造物にあっては、層間変形を防止することもできる。そして、減衰装置3の発生する減衰力を可変にしておけば、いわゆる免振装置としても機能させることができる。
つづいて、図3に示す、第2の実施の形態における制振構造を具現化された制振装置について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の部材については、説明が重複するので、同一の符号を付するのみとして、以下の実施の形態については、その詳しい説明を省略することとし、第1の実施の形態と異なる部分についてのみ説明する。図3に示す第2の実施の形態の制振装置にあっては、第1の実施の形態の制振装置では柱1と梁2を剛結合していたところを、柱1と梁2のヒンジ結合とし、さらに、第1の実施の形態における水平移動許容手段を廃したものである。
この場合には、柱1と梁2とがヒンジ結合されているので、柱1に対して梁2が揺動可能となっている。なお、図示はしないが、梁2の他方も、柱1の隣に起立する図示しない柱にヒンジ結合により結合されており、この柱1と、図示しない柱と、梁2とで構造体が構成されている。
したがって、第2の実施の形態にあっては、構造体に振動が入力されると、梁2は、柱1に対して揺動することが可能となっているので、減衰装置3に上記振動を増幅させて伝達することができる。すると、減衰装置3は、振動が増幅されることから、その伸縮量も増加するので、微小な振動の入力でも大きな減衰力を発生することができる。すなわち、第2の実施の形態にあっても、振動に対して減衰装置3の応答性を高めることが可能となり、これにより、振動抑制効果も向上でき、設計の自由度も向上させることが可能となる。
さらに、図4に示す第3の実施の形態について説明する。図4に示す第3の実施の形態の制振構造が具現化された制振装置にあっては、第1の実施の形態の制振装置の取付部Bと減衰装置3との間に振動を増幅する増幅手段Z1を設けている。
増幅手段Z1は、一端が取付部Bにヒンジ結合されるとともに他端が減衰装置3のピストンロッド22の端部にヒンジ結合される腕6と、一端が梁2にヒンジ結合され他端が腕6の中間部8にヒンジ結合される腕7とで構成され、中間部8の位置は、腕6の取付部Bと中間部8との間の距離よりピストンロッド22へのヒンジ結合部と中間部8との間の距離が長くなるように設定されている。したがって、構造体に振動が入力され、柱1と梁2が弾性変形する際、上記中間8が支点となり、柱1と梁2の変形による相対移動を増幅して、すなわち、振動を増幅して減衰装置3に伝達することが可能である。
したがって、第3の実施の形態にあっても、振動に対して減衰装置3の応答性を高めることが可能となり、これにより、振動抑制効果も向上する。
さらに、第3の実施の形態にあっては、図示するように、梁2をH形鋼とする場合には、減衰装置3を梁2の側部に収容するように、柱1と梁2との間に掛け渡すことが可能となるので、減衰装置3が構造体内に設けられるであろう非構造部材の設置に邪魔になることはなく、より一層構造物設計の自由度が高まる。
さらに、図5に示す第4の実施の形態について説明する。図5に示す第4の実施の形態の制振構造が具現化された制振装置にあっては、第1の実施の形態の制振装置の取付部Bと減衰装置3との間に振動を増幅する増幅手段Z2を設けている。
増幅手段Z2は、一端が取付部Bに固着されるブラケット10と、一端がブラケット10にヒンジ結合されブラケット10に対し揺動可能な腕11と、梁2にヒンジ結合されるとともに減衰装置3のピストンロッド22の端部にヒンジ結合され梁2に対し揺動可能な腕12と、で構成され、腕11の他端は腕12の梁2へのヒンジ結合部12a近傍にヒンジ結合されており、腕12の腕11へのヒンジ結合部12bと腕12の梁2へのヒンジ結合部12aとの間の距離より、腕12のピストンロッド22へのヒンジ結合部12cと腕12の梁2へのヒンジ結合部12aとの間の距離が長くなるように設定されている。したがって、構造体に振動が入力され、柱1と梁2が弾性変形する際、上記ヒンジ結合部12aが支点となり、柱1と梁2の変形による相対移動を増幅して、すなわち、振動を増幅して減衰装置3に伝達することが可能である。
したがって、第4の実施の形態にあっても、振動に対して減衰装置3の応答性を高めることが可能となり、これにより、振動抑制効果も向上する。
さらに、第4の実施の形態にあっては、図示するように、梁2をH形鋼とする場合には、増幅手段Z2の腕11および腕12を梁2の側部に収容することができるので、減衰装置3が構造体内に設けられるであろう非構造部材の設置に邪魔になることはなく、より一層構造物設計の自由度が高まる。
なお、図示するところでは、腕11および腕12のみを梁2の側部に収容するとしているが、減衰装置3およびブラケット10をも収容するとしてもよい。その場合には、上記設計自由度はさらに向上する。
さらに、図6に示す第5の実施の形態について説明する。図6に示す第5の実施の形態の制振構造が具現化された制振装置にあっては、減衰装置3のピストンロッド22を柱1と梁2の接合部にブラケット30を介してヒンジ結合するとともに、減衰装置3の筒体25をそれぞれ梁2にブラケット32を介してヒンジ結合される腕34と柱1にブラケット31を介してヒンジ結合される腕33にヒンジ結合したもので、いわゆるトグル機構に形成され、この場合、増幅手段Z3は、腕33と腕34とで構成され、構造体に振動が入力され、柱1と梁2が弾性変形する際の柱1と梁2の水平方向の相対移動を増幅して、すなわち、振動を増幅して減衰装置3に伝達することが可能である。
また、本実施の形態では、水平移動許容手段5は、柱1の上記ブラケット30が固着された位置とブラケット31が固着された位置との間に設けられており、この水平移動許容手段5によっても、構造体に負荷される振動を増幅でき、この増幅された振動を減衰装置3に伝達することができるようになっている。
したがって、本実施の形態にあっては、水平移動許容手段5と上記増幅手段Z3の相乗効果により振動増幅効果がさらに高まるので、より一層振動に対して減衰装置3の応答性を高めることが可能となり、これにより、振動抑制効果も格段向上する。
さらに、第5の実施の形態にあっても、装置の大型化を伴わずに充分な振動抑制効果を得られることから、効果的に済むので、非構造部材の設置に邪魔になることはなく、構造物設計の自由度が高まる。
さらに、図7に示す第6の実施の形態について説明する。図7に示す第6の実施の形態の制振構造が具現化された制振装置にあっては、減衰装置3のピストンロッド22をそれぞれ柱1にブラケット40を介してヒンジ結合される腕42と梁2にブラケット41を介してヒンジ結合される腕44にヒンジ結合するとともに、減衰装置3の筒体25をそれぞれ柱1にブラケット40を介してヒンジ結合される腕43と梁2にブラケット41を介してヒンジ結合される腕45にヒンジ結合したもので、いわゆるパンタグラフ機構に形成され、この場合、増幅手段Z4は、腕42と腕43と腕44と腕45とで構成され、構造体に振動が入力され、柱1と梁2が弾性変形する際の柱1と梁2の水平方向の相対移動を増幅して、すなわち、振動を増幅して減衰装置3に伝達することが可能である。
また、本実施の形態では、水平移動許容手段5は、柱1の上記ブラケット40が固着された位置と柱1と梁2との接合部との間に設けられており、この水平移動許容手段5によっても、構造体に負荷される振動を増幅でき、この増幅された振動を減衰装置3に伝達することができるようになっている。
したがって、本実施の形態にあっては、水平移動許容手段5と上記増幅手段Z4の相乗効果により振動増幅効果がさらに高まるので、より一層振動に対して減衰装置3の応答性を高めることが可能となり、これにより、振動抑制効果も格段向上する。
さらに、第6の実施の形態にあっても、装置の大型化を伴わずに充分な振動抑制効果を得られることから、効果的に済むので、非構造部材の設置に邪魔になることはなく、構造物設計の自由度が高まる。
なお、上述した各実施の形態にあっては、減衰装置3の筒体25とピストンロッド22の取付位置を逆にしてもよいことは無論である。
また、上記全ての実施の形態に水平移動許容手段5を適用することが可能なことは、無論であるが、第1,3,5,6の各実施の形態における水平移動許容手段5にかえて柱1と梁2とをヒンジ結合して柱1に対して梁2を揺動可能とするとしてもよく、逆に第2の実施の形態における柱1と梁2とのヒンジ結合にかえて水平移動許容手段5を適用してもよく、さらに、柱1と梁2とのヒンジ結合を上記全ての実施の形態に適用するとしてもよい。
さらに、図示したところからすれば、各実施の形態における制振装置は、柱1に対して垂直に取付けられているが、各図において紙面に対し制振装置を90度手前もしくは後に回転させて取付ける、すなわち、柱1に対し制振装置を水平となるように取付けるとしてもよい。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。