JP3469158B2 - 橋梁およびその耐震補強方法 - Google Patents

橋梁およびその耐震補強方法

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JP3469158B2
JP3469158B2 JP2000092215A JP2000092215A JP3469158B2 JP 3469158 B2 JP3469158 B2 JP 3469158B2 JP 2000092215 A JP2000092215 A JP 2000092215A JP 2000092215 A JP2000092215 A JP 2000092215A JP 3469158 B2 JP3469158 B2 JP 3469158B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、橋脚間に主構造が
架設され、この主構造によって道路床組が支持された橋
梁と、このような橋梁の耐震性を向上させるための耐震
補強方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、橋脚間に主構造が架設さ
れた橋梁において耐震性の向上を図るには、主構造と橋
脚あるいは基礎の間の支承部を免震化するか、あるい
は、地震時に損傷すると考えられる部材を直接補強する
ことが行われている。
【0003】図11から図17は、その場合の例を示す
ものである。図11に示す中路トラス橋1においては、
橋脚2と主構造3の間に、積層ゴム4が介装されること
により、橋脚2と主構造3とが縁切りされ、これにより
地震力が橋脚2を介して主構造3に伝達することが防が
れる。
【0004】また、図12(a)は、下路トラス橋6を
免震化した場合の例である。この橋梁においても、橋脚
7と主構造8との間に積層ゴム9が介装される。そし
て、(b)に拡大して示すように、積層ゴム9によって
免震化された主構造8上に道路床組10が支持されるこ
とにより、道路床組10の安全性が保たれることとな
る。
【0005】一方、図13から図17は、橋梁を構成す
る部材のうち地震によって損傷すると考えられる部分
(例えば、ボックス型の橋脚)を補強した場合の例であ
る。図13は、橋脚16の内部にコンクリートCを充填
することにより、橋脚16の曲げ耐力を増強した場合の
例であり、図14は、橋脚16の内部に既存のリブプレ
ート17,17,…に加えて、新たにリブプレート1
8,18,…を増設した場合の例である。また、図15
は、既存のリブプレート17を断面略T字型の補強材1
9により補強し、リブプレート17の剛性を向上させる
ようにした場合の例である。また、図16、図17は、
橋脚16の内部の補強が不可能な場合の例であり、図1
6は、橋脚16の外面に鋼板20を溶接することにより
橋脚16を増厚補強したもの、図17は、橋脚16の外
面にリブプレート21を溶接したものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような耐震補強方法は、それぞれ、以下のような問題点
を有している。図11や図12のように、主構造3また
は8を免震化する場合には、主構造3,8をジャッキア
ップし、これにより、主構造3,8と橋脚2,7との間
に生じた空間に積層ゴム4,9を介装することが必要で
あるが、主構造3,8の重量が大きい場合には、ジャッ
キアップのための装置が大がかりなものとなり、作業性
やコストの面で問題がある。また、上述のように、主構
造3または8を免震化したとしても、主構造3,8と道
路床組とが一体化されているために、主構造3,8と道
路床組とを合わせた重量が大きく、これにより、地震時
の慣性力が大きくなって、主構造3,8の地震時の変位
が過大となり、主構造3,8に接続する隣接橋との間に
緩衝が生じることも懸念される。
【0007】一方、図13から図17に示したように橋
脚16の補強を行う場合、特に補強数量が多いと、補強
工事による交通遮断の時間も長くなり、また、足場架設
なども広範囲にわたるために費用が増大する。さらに、
図16,17のように橋脚16の外面を補強する場合に
は、外観的にも問題が生じる。さらに、これら図13か
ら図17に示す橋脚16の補強は、橋脚16の重量を増
大させるものであるから、基礎の補強が必要となる場合
がある。
【0008】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、従来の耐震補強がなされた橋梁に比較し
て、低コストで実現可能であり、なおかつ、安全性の面
においてもより優れた橋梁を提供することを課題とす
る。また、このような橋梁を実現するための耐震補強方
法を提供することを別の課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明においては以下の手段を採用した。すなわち、
請求項1記載の橋梁は、橋脚間に主構造が架設され、該
主構造によって道路床組が支持された橋梁において、前
記道路床組は、前記道路床組の前記主構造に対する水平
変位を許容する複数の支承装置を介して前記主構造から
支持され、該支承装置のうちの少なくとも一部は、前記
水平変位を弾性的に規制する弾性支承装置とされている
ことを特徴としている。
【0010】このような構成により、道路床組のみが免
震化されるとともに、道路床組と主構造とが別個の振動
体として挙動することとなる。
【0011】請求項2記載の橋梁は、請求項1記載の橋
梁であって、前記弾性支承装置は積層ゴムからなること
を特徴としている。
【0012】請求項3記載の橋梁は、請求項1または2
記載の橋梁であって、前記道路床組と前記主構造との間
には、前記道路床組が前記主構造に対して水平振動した
際に、その振動エネルギーを減衰させるダンパーが介装
されていることを特徴としている。
【0013】このような構成により、道路床組の振動応
答を低減することができる。
【0014】請求項4記載の橋梁は、請求項3記載の橋
梁であって、前記弾性支承装置の水平方向のバネ定数お
よび前記ダンパーの減衰係数は、前記主構造が水平振動
した場合に、前記道路床組および前記主構造からなる振
動系の共振現象を利用して、前記主構造の振動エネルギ
ーの一部を前記道路床組の運動エネルギーに変換すると
とともに、前記ダンパーにおいて消費できるように定め
られていることを特徴としている。
【0015】このような構成により、道路床組および主
構造の双方からなる振動系の振動応答を効果的に低減す
ることができる。
【0016】請求項5記載の橋梁は、請求項1から4の
いずれかに記載の橋梁であって、前記道路床組と前記主
構造との間には、これらの間の相対変位を所定寸法以内
に規制するためのストッパが設けられていることを特徴
としている。
【0017】このような構成により、大規模な地震が発
生した場合に道路床組の変位が過大となることが防がれ
る。
【0018】請求項6記載の橋梁の耐震補強方法は、橋
脚間に主構造が架設され、該主構造によって道路床組が
支持された橋梁の耐震性を向上させるための耐震補強方
法であって、前記道路床組から前記主構造を支持するた
めの支承構造のうち、前記道路床組の前記主構造に対す
る水平方向の相対変位を拘束するもののすべてと、該相
対変位を許容するものの一部、あるいはすべてとを撤去
し、これら支承構造を撤去した部分に、前記相対変位を
許容する支承装置を新たに介装して、前記道路床組を前
記主構造側から支持させる構成となっており、前記支承
装置の少なくとも一部には、前記主構造に対する前記道
路床組の水平方向の変位を弾性的に規制する弾性支承装
置を用いることを特徴としている。
【0019】このような構成により、道路床組を主構造
から絶縁する際に、道路床組の重量のみを支持すればよ
くなり、従来の耐震補強方法に比較して、弾性支承装置
(免震装置)を介装する際のジャッキ装置等として小型
のものを使用することができる。また、耐震補強前に用
いられていた支承構造の一部を転用することも可能なこ
とから、必要とされる作業やコストを最小限とすること
ができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態を
示す図であり、符号30は、橋梁を示す。この橋梁30
は、橋脚31,31,…間に主構造32が架設され、な
おかつ、主構造32によって道路床組33が支持された
構成の既存の橋梁を耐震補強することにより形成された
ものであり、主構造32と道路床組33との間に介装さ
れて道路床組33を主構造32から支持するための支承
装置の一部に積層ゴム(弾性支承装置)34が用いられ
た構成となっている。
【0021】積層ゴム34は、図2に拡大して示すよう
に、主構造32を構成するとともに橋梁30の延在方向
(図中x方向)に直交するように設けられた梁体35
と、道路床組33との間に介装されるものであり、道路
床組33の主構造32に対する水平方向の相対変位を弾
性的に規制するように機能する。
【0022】また、図3は、図2におけるI−I線矢視
断面図である。このように、積層ゴム34は、橋梁30
の延在方向と直交する水平方向(図3中y方向)に配列
されて例えば3箇所設けられる。
【0023】道路床組33は、積層ゴム34によって支
持された以外の部分において、図4に示すような支承装
置36を介して主構造32側から支持された構成となっ
ている。この支承装置36は、主構造32側に固定され
た下部体37と、道路床組33側に固定された上部体3
8と、これら下部体37および上部体38間に介装され
た支承板39を有している。下部体37の上面37aに
は所定の曲率半径の凹部40が形成され、また支承板3
9の下面は、凹部40と同一の曲率半径の凸面41とし
て形成されている。また支承板39の上面39aと上部
体38の下面38aとは単に当接するのみの構成となっ
ている。このような支承装置36においては、下部体3
7および上部体38間に水平力が作用した際に、上部体
38の下面38aと支承板39の上面39aとの間に滑
りが生じ、これにより、下部体37と上部体38との間
の水平方向の相対変位が許容される。また、下部体37
と上部体38との間に回転方向の相対変位が生じた場合
には、凹部40と凸面41との間に滑りが生じ、これに
より支承装置36に曲げモーメントが作用しないように
なっている。
【0024】なお、この支承装置36は、既存の橋梁に
おいて主構造32から道路床組33を支持する際に用い
られたものであり、耐震補強後の橋梁30においても継
続して転用することが可能なものとなっている。
【0025】また、道路床組33が、主構造32から、
上述のような積層ゴム34および支承装置36を介して
支持されることにより、主構造32および道路床組33
間に水平方向の相対変位が作用した場合に、積層ゴム3
4はこれを復元させるように機能し、支承装置36は、
この水平変位に追随するように挙動することとなる。
【0026】次に、既存の橋梁を耐震補強して橋梁30
を形成する際の手順について説明する。これには、ま
ず、既存の橋梁において、主構造32側から道路床組3
3を支持するための支承構造のうち、主構造32と道路
床組33とを固定しているもののすべてと、上述の支承
装置36のうちの一部、あるいはすべてとを、その近傍
を仮受けしつつ撤去する。
【0027】さらに、主構造32側から道路床組33を
ジャッキアップし、支承構造を撤去した部分に、新たに
積層ゴム34または支承装置36を配置する。この場
合、積層ゴム34および支承装置36をいずれの位置に
配置するかについては、橋梁30の構造や振動特性に対
応して、最適な配置が選択される。そして、その後に、
仮受けに用いた部材を撤去するとともに、道路床組33
をジャッキダウンすることにより、図1に示したような
構成の橋梁30を得る。
【0028】このようにして形成された橋梁30は、道
路床組33が、道路床組33の主構造32に対する水平
変位を許容する複数の支承装置36および積層ゴム34
によって主構造32側から支持された構成となってお
り、さらに、この場合、積層ゴム34が、道路床組33
の主構造32に対する水平変位を弾性的に規制するよう
に機能するため、地震時に橋梁30に水平力が作用した
際に、道路床組10および主構造32が別個の振動体と
して水平振動することが可能となる。この場合、道路床
組33の重量が主構造32から切り離されることとなる
ため、主構造32に作用する慣性力が、道路床組33お
よび主構造32が一体化された耐震補強以前の既存橋梁
に比較して低減する。これにより、主構造32の変位も
補強前に比べてより小さくなり、主構造32の安全性が
向上する。また、道路床組33については、主構造32
から絶縁されるため、地震エネルギーの入力が低減さ
れ、当然にその安全性が向上することとなる。さらに、
主構造32と橋脚31とが固定されたままとされるの
で、主構造32と橋脚31との間に相対変位が生じず、
落橋等の危険がない。
【0029】また、上述の橋梁30においては、道路床
組33を主構造32から支持するとともに、道路床組3
3の水平変位を弾性的に規制する支承装置として積層ゴ
ム34が用いられるために、道路床組33を良好に主構
造32から絶縁することができる。
【0030】また、上述の橋梁の耐震補強方法において
は、既存の橋梁において道路床組33から主構造32を
支持するための支承構造のうち、道路床組33の主構造
32に対する水平方向の相対変位を拘束するもののすべ
てと、この相対変位を許容する支承装置36,36,…
のうちの一部、あるいはすべてを撤去し、これら支承構
造を撤去した部分に、新たに支承装置を介装して、道路
床組33を主構造32側から支持させる構成となってお
り、なおかつ、新たに介装する支承装置の少なくとも一
部に、主構造32に対する道路床組33の水平方向の変
位を弾性的に規制する積層ゴム34を用いるようになっ
ているため、道路床組33を主構造32から絶縁した構
造を形成して、橋梁の耐震安全性を向上させることがで
きる。また、施工にあたっては、道路床組33のみがジ
ャッキアップされることから、従来の耐震補強方法に比
較して、ジャッキ装置等を大がかりなものとする必要が
無くなり、コストおよび作業性の面において有利とな
る。さらに、耐震補強前の支承装置36,36,…を一
部転用することも可能なため、必要とされる作業やコス
トを最小限とすることができる。
【0031】なお、上記実施の形態において、本発明の
趣旨を逸脱しない範囲内で他の構成を採用するようにし
ても良い。例えば、上記実施の形態における支承装置3
6に代えて、図5(a),(b)に示すようなピンロー
ラー支承43や(c)に示すようなピボットローラー支
承44、あるいは、図6(a)に示すような上下の滑り
板45,45をゴム製の被覆材46によって被覆した一
体成型タイプの滑り支承47や、(b)に示すような滑
り板48,48を積層して形成した切断加工タイプの滑
り支承49などを用いることができる。また、この他に
も、主構造32と道路床組33との水平方向の相対変位
を許容する任意の支承構造を支承装置36に代えて採用
することができる。
【0032】また、図3に示した積層ゴム34に加え
て、主構造32と道路床組33との間に、図7に示すよ
うな摩擦ダンパー(ダンパー)51を配置するようにし
てもよい。この摩擦ダンパー51は、主構造32側に固
定された下部材52と道路床組33側に固定された上部
材53とを互いに当接させたものであり、道路床組33
が主構造32に対して水平方向に振動した際に、上部材
53および下部材52間に発生する摩擦により、道路床
組33の振動エネルギーを吸収する機能を発揮するもの
である。したがって、このような摩擦ダンパーを採用す
ることにより、道路床組33の振動応答を低減させて、
道路床組33の安全性をより一層向上させることができ
る。
【0033】また、図7のような構成においては、主構
造32が地震により水平振動した際に、道路床組33お
よび主構造32からなる振動系の共振現象を利用して、
主構造32の振動エネルギーの一部を道路床組33の運
動エネルギーに変換するととともに、摩擦ダンパー5
1,51,…において適切に消費できるように、積層ゴ
ム34および摩擦ダンパー51の性能を定めることが好
適である。この場合、道路床組33および主構造32か
らなる振動系がTMD(Tuned Mass Damper)としての
機能を発揮するように、積層ゴム34,34,…の全体
の水平方向のバネ定数kDと摩擦ダンパー51,51,
…の全体の減衰係数CDとが定められることとなる。こ
れにより、道路床組33および主構造32の双方からな
る振動系の全体の振動応答を効果的に低減し、橋梁30
の安全性をさらに向上させることが可能である。
【0034】なお、具体的には、例えば、 主構造32の質量 : 3061ton 道路床組33の質量: 1531ton バネ定数kD : 76.9MN/m 減衰係数CD : 44.3MN・sec/m である場合に、主構造32の部材に発生する応力が約4
0%低減されるという結果が計算上得られている。
【0035】また、ここで、摩擦ダンパー51の代わり
に、オイルダンパーや鋼製ダンパー、あるいは、粘弾性
ダンパーなどのエネルギー吸収機構を有するその他のダ
ンパーを、主構造32と道路床組33との間に介装する
ようにしても同様の効果を得ることができる。
【0036】また、これとは別に、図8に示すように、
積層ゴム34に加えて、道路床組33と主構造32との
間にストッパ54を設けるようにしても良い。ここでス
トッパ54は、主構造32側に設けられた筒状体55
と、上端が道路床組33に固定され、下端が筒状体53
の内部に配置された棒状体56とを備えた構成となって
おり、道路床組33と主構造32との間に相対変位が生
じた際に、棒状体56が筒状体55の内壁面に当接する
ことにより、道路床組33および主構造32間の相対変
位が所定寸法以上となることを規制するように機能す
る。
【0037】このようなストッパ54を設けることによ
り、大規模な地震が発生した場合に道路床組33の変位
が過大となることが防がれ、道路床組33の安全性をさ
らに向上させることができる。なお、ストッパ54は図
8に示したようなものに限定されず、主構造32と道路
床組33との水平方向の相対変位を所定寸法以内に規制
するものであれば、他の構造のものであっても良い。
【0038】また、橋梁30の構造は、図1に示したよ
うな中路トラス橋に限定されず、図9に示すような主構
造58の下部において道路床組33が支持された下路ト
ラス橋59や、図10に示すような、主構造60の上部
に道路床組33が支持された上路トラス桁構造61であ
ってもよい。
【0039】また、その他にも、本発明の趣旨を逸脱し
ない範囲内で他の構成を採用するようにしてもよく、上
述したような各種変形例を適宜選択的に組み合わせて採
用するようにしても良いのは言うまでもない。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る橋
梁においては、道路床組が、道路床組の主構造に対する
水平変位を許容する複数の支承装置によって主構造側か
ら支持された構成となっており、さらに、これらの支承
装置の少なくとも一部が、道路床組の主構造に対する水
平変位を弾性的に規制するようになっているため、地震
時に橋梁に水平力が作用した場合に、道路床組および主
構造が別個の振動体として水平振動することとなる。こ
の場合、道路床組の重量が主構造から切り離されること
となり、主構造に作用する慣性力が低減され、これによ
り主構造の変位もより小さくなり、主構造の安全性が向
上する。また、道路床組についても、主構造から絶縁さ
れるため、地震エネルギーの入力が低減され、当然にそ
の安全性が向上することとなる。さらに、この橋梁にお
いては、主構造と橋脚とが固定されたままとされるの
で、主構造と橋脚との間に相対変位が生じず、落橋等の
危険がない。
【0041】請求項2に係る橋梁によれば、道路床組を
主構造から支持するとともに、道路床組の水平変位を弾
性的に規制する弾性支承装置として積層ゴムが用いられ
るために、道路床組を容易に主構造から絶縁することが
でき、請求項1の発明を良好に実現することができる。
【0042】請求項3に係る橋梁によれば、主構造と道
路床組との間に介装されたダンパーにより、道路床組の
振動応答を低減させて、道路床組の安全性をより一層向
上させることができる。
【0043】請求項4に係る橋梁によれば、道路床組お
よび主構造からなる振動系がTMD(Tuned Mass Dampe
r)としての機能を発揮するように、弾性支承装置の水
平方向のバネ定数およびダンパーの減衰係数が定められ
ているために、道路床組および主構造の双方からなる振
動系の全体の振動応答を効果的に低減することが可能と
なり、耐震安全性をより一層向上させることができる。
【0044】請求項5に係る橋梁によれば、道路床組と
主構造との間にストッパを設けることにより、大規模な
地震が発生した場合に道路床組の変位が過大となること
が防がれ、道路床組の耐震安全性をさらに向上させるこ
とができる。
【0045】請求項6に係る橋梁の耐震補強方法によれ
ば、既存の橋梁において道路床組から主構造を支持する
ための支承構造のうち、道路床組の主構造に対する水平
方向の相対変位を拘束するもののすべてと、この相対変
位を許容する支承装置のうちの一部、あるいはすべてを
撤去し、これら支承構造を撤去した部分に、新たに支承
装置を介装して、道路床組を主構造側から支持させる構
成となっており、なおかつ、新たに介装する支承装置の
少なくとも一部に、主構造に対する道路床組の水平方向
の変位を弾性的に規制する弾性支承装置を用いるように
したため、道路床組を主構造から絶縁した構造を容易に
形成して、橋梁の耐震安全性を向上させることができ
る。また、施工にあたっては、道路床組のみがジャッキ
アップされることから、従来の耐震補強方法に比較し
て、ジャッキ装置等を大がかりなものとする必要が無く
なり、コストおよび作業性の面において有利となる。ま
た、耐震補強前の支承構造を一部転用することも可能で
あるために、作業やコストを最小限とすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1 】 本発明の一実施の形態を模式的に示す橋梁
の立面図である。
【図2 】 図1に示した橋梁において用いられる積層
ゴムとその近傍の部分とを拡大して示した立面図であ
る。
【図3 】 図2におけるI−I線矢視断面図である。
【図4 】 図1に示した橋梁において主構造側から道
路床組を支持する際に用いられる支承装置の構造を示す
図であって、(a)は、その斜視図、(b)は、その立
断面図である。
【図5 】 図4に示した支承装置の他の例を示す図で
あって、(a)は、その斜視図、(b)は、その半断面
図、(c)は、支承装置のさらに他の例を示す半断面図
である。
【図6 】 図4,5に示した支承装置のさらに他の例
を示す図であって、(a)は、その断面斜視図、(b)
は、さらに他の例の斜視図である。
【図7 】 本発明の他の実施の形態を模式的に示す図
であって、橋梁における積層ゴム近傍の拡大側断面図で
ある。
【図8 】 本発明のさらに他の実施の形態を模式的に
示す図であって、橋梁における積層ゴム近傍の拡大側断
面図である。
【図9 】 本発明の橋梁の他の構造の例を示す立断面
図である。
【図10 】 本発明の橋梁のさらに他の構造の例を示
す立断面図である。
【図11 】 本発明の従来の技術を示す図であって、
耐震補強が行われた橋梁の立面図である。
【図12 】 本発明の従来の技術の他の例を示す図で
あって、(a)は、耐震補強が行われた橋梁の立面図、
(b)は、(a)に示した橋梁のうち、主構造から道路
床組を支持する支承構造の近傍部分を拡大して示した立
面図である。
【図13 】 本発明の従来の技術を示す図であって、
耐震補強が行われた橋脚の平断面図である。
【図14 】 同、耐震補強が行われた橋脚の他の例を
示す平断面図である。
【図15 】 同、耐震補強が行われた橋脚のさらに他
の例を示す平断面図である。
【図16 】 同、耐震補強が行われた橋脚のさらに他
の例を示す平断面図である。
【図17 】 同、耐震補強が行われた橋脚のさらに他
の例を示す平断面図である。
【符号の説明】
30 橋梁 31 橋脚 32,58,60 主構造 33 道路床組 34 積層ゴム(弾性支承装置) 36 支承装置 43 ピンローラー支承(支承装置) 44 ピボットローラー支承(支承装置) 47,49 滑り支承(支承装置) 51 摩擦ダンパー(ダンパー) 54 ストッパ 59 下路トラス橋 61 上路トラス橋
フロントページの続き (72)発明者 増田 伊知郎 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社 広島製作所内 (72)発明者 上平 悟 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社 広島製作所内 (72)発明者 北沢 正彦 大阪府大阪市中央区久太郎町4−1−3 大阪センタービル内 阪神高速道路公 団内 (72)発明者 古池 正宏 大阪府大阪市中央区久太郎町4−1−3 大阪センタービル内 阪神高速道路公 団内 (56)参考文献 特開 平7−180114(JP,A) 特開 平7−207620(JP,A) 特公 平4−41202(JP,B2) 実公 平7−16724(JP,Y2) 実用新案登録2546071(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E01D 19/04 E01D 1/00 E01D 22/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 橋脚間に主構造が架設され、該主構造
    によって道路床組が支持された橋梁において、前記道路
    床組は、前記道路床組の前記主構造に対する水平変位を
    許容する複数の支承装置を介して前記主構造から支持さ
    れ、該支承装置のうちの少なくとも一部は、前記水平変
    位を弾性的に規制する弾性支承装置とされていることを
    特徴とする橋梁。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の橋梁であって、前記弾性
    支承装置は積層ゴムからなることを特徴とする橋梁。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の橋梁であって、
    前記道路床組と前記主構造との間には、前記道路床組が
    前記主構造に対して水平振動した際に、その振動エネル
    ギーを減衰させるダンパーが介装されていることを特徴
    とする橋梁。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の橋梁であって、前記弾性
    支承装置の水平方向のバネ定数および前記ダンパーの減
    衰係数は、前記主構造が水平振動した場合に、前記道路
    床組および前記主構造からなる振動系の共振現象を利用
    して、前記主構造の振動エネルギーの一部を前記道路床
    組の運動エネルギーに変換するととともに、前記ダンパ
    ーにおいて消費できるように定められていることを特徴
    とする橋梁。
  5. 【請求項5】 請求項1から4のいずれかに記載の橋梁
    であって、前記道路床組と前記主構造との間には、これ
    らの間の相対変位を所定寸法以内に規制するためのスト
    ッパが設けられていることを特徴とする橋梁。
  6. 【請求項6】 橋脚間に主構造が架設され、該主構造に
    よって道路床組が支持された橋梁の耐震性を向上させる
    ための耐震補強方法であって、前記道路床組から前記主
    構造を支持するための支承構造のうち、前記道路床組の
    前記主構造に対する水平方向の相対変位を拘束するもの
    のすべてと、該相対変位を許容するものの一部、あるい
    はすべてとを撤去し、これら支承構造を撤去した部分
    に、前記相対変位を許容する支承装置を新たに介装し
    て、前記道路床組を前記主構造側から支持させる構成と
    なっており、前記支承装置の少なくとも一部には、前記
    主構造に対する前記道路床組の水平方向の変位を弾性的
    に規制する弾性支承装置を用いることを特徴とする橋梁
    の耐震補強方法。
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