本発明の第1の発明に係る閉鎖空間照明装置は、入り口と出口を有する閉鎖空間の内部に設置される閉鎖空間照明装置であって、閉鎖空間の内部を照らす発光手段と、閉鎖空間の内部の状況を判定し、判定結果に基づいて、発光手段の発光態様を制御する制御手段と、を備える。
この構成により、閉鎖空間照明装置は、閉鎖空間内部での障害の発生を把握でき、把握された障害の発生に基づいて、車両へ注意喚起や情報提供を行えるように、発光手段の発光態様を制御できる。
本発明の第2の発明に係る閉鎖空間照明装置では、第1の発明に加えて、閉鎖空間は、自動車道、一般道および鉄道に設けられるトンネル、地下通路および地下街の少なくとも一つである。
この構成により、周囲環境へ視線が届きにくい閉鎖空間に、閉鎖空間照明装置が対応できる。
本発明の第3の発明に係る閉鎖空間照明装置では、第1又は第2の発明に加えて、発光手段は、閉鎖空間内部の異なる位置に配置され、閉鎖空間内部を照らす複数の発光部を備え、複数の発光部のそれぞれは、閉鎖空間内部の状況を示す内部情報を、制御手段に出力する検出部を有し、検出部は、発光部の配置位置を示す位置情報を、制御手段に出力し、制御手段は、内部情報および位置情報に基づいて、複数の発光部の内で発光態様の制御を受ける制御発光部を決定し、制御発光部の発光態様を制御する。
この構成により、閉鎖空間照明装置は、閉鎖空間内部での障害の発生および障害発生位置を確実に検出できる。更に閉鎖空間照明装置は、発生している障害の内容および位置に基づいて、車両に対して注意喚起をしたり避難誘導をしたりできる。
本発明の第4の発明に係る閉鎖空間照明装置では、第3の発明に加えて、第1情報は、複数の発光部のそれぞれの位置において通行する車両の数、速度および通過時刻を含み、第2情報は、複数の発光部のそれぞれの位置における異音の発生の有無を含み、検出部は、第1情報および第2情報の少なくとも一方に基づいて、閉鎖空間内部における交通渋滞、交通事故、列車事故、火災、自然災害および人災の少なくとも一つの発生を、内部情報として出力する。
この構成により、閉鎖空間照明装置は、閉鎖空間のどの位置でどのような障害が生じたかを、的確に把握できる。
本発明の第5の発明に係る閉鎖空間照明装置では、第4の発明に加えて、検出部は、車両の速度が所定の速度よりも遅い場合もしくは、単位期間における入り口に流入する車両数と出口から出る車両数とがアンバランスである場合に、閉鎖空間において交通渋滞が発生していると判断する。
この構成により、閉鎖空間照明装置は、交通渋滞の発生と発生箇所を把握できる。
本発明の第6の発明に係る閉鎖空間照明装置では、第4の発明に加えて、検出部は、異音および異音の発生した場所における車両の速度の少なくとも一方に基づいて、交通事故もしくは列車事故が発生していると判断する。
この構成により、閉鎖空間照明装置は、交通事故もしくは列車事故の発生および発生位置を的確に把握できる。
本発明の第7の発明に係る閉鎖空間照明装置では、第4の発明に加えて、検出部は、所定の温度以上の温度を検出する場合、所定の帯域の光を検出する場合および所定量以上の煙を検出する場合の少なくとも一つに基づいて、火災が発生していると判断する。
この構成により、閉鎖空間照明装置は、火災の発生および発生位置を的確に把握できる。
本発明の第8の発明に係る閉鎖空間照明装置では、第4から第7のいずれかの発明に加えて、制御手段は、内部情報および位置情報に基づいて、交通渋滞、交通事故、列車事故、火災、自然災害および人災の少なくとも一つが発生している位置を、障害発生位置として決定し、障害発生位置に対応する発光部を、制御発光部として決定する。
この構成により、制御手段は、車両への注意喚起を効率的に行えるように発光態様の制御を行える。
本発明の第9の発明に係る閉鎖空間照明装置では、第8の発明に加えて、制御部は、障害発生位置に近接する発光部も、制御発光部として決定する。
この構成により、制御手段は、車両への注意喚起を効率的に行えるように発光態様の制御を行える。
本発明の第10の発明に係る閉鎖空間照明装置では、第8の発明に加えて、制御部は、閉鎖空間内部を通行する車両の速度に応じて、制御発光部の対象となる発光部の数を増減させる。
この構成により、制御手段は、車両の通行状態に応じて、車両への注意喚起をより効率的に行えるように発光態様の制御を行える。
本発明の第11の発明に関わる閉鎖空間照明装置では、第3から第10のいずれかの発明に加えて、制御部は、制御発光部を、輝度、色度、照射角度および発光パターンの少なくとも一つの点で制御する。
この構成により、閉鎖空間照明装置は、閉鎖空間を通行する車両や人間に、適切な注意喚起や情報提供を行える。
本発明の第12の発明に関わる閉鎖空間照明装置では、第11の発明に加えて、制御部は、内部情報が、閉鎖空間内部における交通渋滞、交通事故、列車事故、火災、自然災害および人災の少なくとも一つの発生を含む場合には、制御発光部の色度を、警告色に制御する。
この構成により、閉鎖空間照明装置は、閉鎖空間を通行する車両や人間に、効果的に注意喚起を起こさせる。
本発明の第13の発明に関わる閉鎖空間照明装置では、第11の発明に加えて、制御部は、内部情報が、火災の発生を含む場合には、制御発光部および制御発光部以外の発光部の少なくとも一部の照射角度を、下向きに制御する。
この構成により、閉鎖空間照明装置は、閉鎖空間における人間の避難を、効率的に誘導できる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
なお、本明細書における閉鎖空間とは、入り口と出口を有する以外は、一般的に考えられる通行の面で閉鎖されている空間であって、自動車道、一般道、鉄道に設けられるトンネル、地下通路、地下街など、車両や人間が通行する閉鎖された空間を指す。なお、閉鎖空間といっても、喚起通路や災害時の非常口などが閉鎖空間に設けられていることを排除するものではない。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1における閉鎖空間照明装置について説明する。なお、実施の形態1では、説明の便宜のため、自動車道あるいは一般道に設けられたトンネルを閉鎖空間の一例として説明する。閉鎖空間がトンネルに限られるわけではないことは言うまでもない。
図1は、本発明の実施の形態1におけるトンネルの模式図である。
トンネル1は、自動車道や一般道に設けられ、山間をくりぬいて設けられたり、崖沿いに設けられたりする。トンネル1は、入り口7と出口8を有する閉鎖空間2を備える。閉鎖空間2内部は、換気口や非常口などの特殊なルートを除けば、外界と遮断されている。
トンネル1には、道路5が走っており、車両3、4がトンネル1内部(すなわち閉鎖空間2)を通行する。図1では、入り口7から車両3がトンネル1内部に入り、出口8から車両4がトンネル1を抜ける。
トンネル1の内壁6には、閉鎖空間照明装置(以下、「照明装置」という)10が設置されている。照明装置10は、内壁6に沿って、所定の間隔で設置されている。なお、所定間隔は一定間隔でもそれ以外の間隔でもよい。
図2を用いて照明装置10を説明する。なお、実施の形態1における照明装置10は、設置における単位が単体である発光部のみを有する。すなわち、実施の形態1における照明装置10は、トンネル1の内壁6に設置される際の最小単位である。
図2は、本発明の実施の形態1における照明装置のブロック図である。
照明装置10は、トンネル1が形成する閉鎖空間2における内壁6に設置される。照明装置10は、閉鎖空間2の内部を照らす発光手段11と、閉鎖空間2内部の状況を判定し、判定結果に基づいて、発光手段11の発光態様を制御する制御手段12とを備える。
発光手段11は、発光素子、電球、蛍光灯などを用いて閉鎖空間2内部を照らす。一つの発光手段11は、複数の発光素子、複数の電球、複数の蛍光灯を用いてもよい。なお、発光手段11は、様々な発光態様を実現するために、発光素子としてLED(Light Emitting Device)を用いることが好適である。発光手段11が、異なる色を発光できる複数のLEDを備えることで、発光手段11は、白黒、グレースケール、カラー、高輝度、低輝度、収束光、拡散光などの様々な発光態様を実現できる。
制御手段12は、発光手段11と同じハウジングに格納されて、内壁6の所定の設置箇所に設置される。もちろん、発光手段11のみが、内壁6の所定の設置箇所に設置されて、制御手段12は、他の場所に設置されても良い。
制御手段12と発光手段11とが同じハウジングに格納されて、内壁6に設置される場合には、制御手段12および発光手段11の少なくとも一方が検出部13を備える。制御手段12が、発光手段11と異なる場所に設置される場合には、発光手段11が検出部13を備える。検出部13は、閉鎖空間2内部の状況を判定する。
検出部13は、例えば、速度センサー、加速度センサー、色検出センサー、煙センサー、音検出センサー、熱センサーなどのセンサーを備え、検出部13の対向領域(すなわち、発光手段11の対向領域)で、交通渋滞、交通事故、列車事故、火災、自然災害および人災の少なくとも一つの障害の発生を検出する。
検出部13は、これら障害を検出したことを、制御手段12に通知する。通知の方法は、無線通信、優先通信を用いた電気信号のやり取りで実現できる。
制御手段12は、障害の発生を受けて、発光手段11の発光態様を制御する。
例えば、交通事故が発生している場合には、制御手段12は、発光手段11の発光色を予め定められた警告色に制御する。発光手段11が警告色(例えば赤色、朱色など)で発光することで、通行する車両は、警戒心を持つようになる。
あるいは、火災が発生している場合には、制御手段12は、発光手段11の照射角度を下向き(道路5向き)に制御する。発光手段11が下向きに照射することで、火災のために車両から降りて歩いて避難する人の足元を照らすことができる。この結果、トンネル1からの避難が整然と行われる。
また、渋滞が発生している場合には、制御手段12は、発光手段11を点滅させたり警告色に制御したりする。点滅や警告色によって、通行する車両は、予め定められた発光パターンよりトンネル1の渋滞状況を把握でき、予測運転によって、事故を減少させる。
なお、閉鎖空間2内部で発生している障害の内容と、制御手段12が制御する発光態様とは、予め定められた上で、車両運転者にも教育されていることが好ましい。障害の内容と発光態様との相対関係が、予め定められていることで、トンネルなどでのよりスムーズな車両や人への情報提供や誘導が実現できるからである。
また、図2に示される照明装置10は、閉鎖空間2の所定の位置に取り付けられる一単位に対応する。このため、実施の形態1における照明装置10は、一つの発光単位によって、内部状況に対応して発光態様を変化させる。すなわち、一つの発光単位で完結して、車両や人に対して閉鎖空間2の内部状況を通知できる。
一方で、複数の実施の形態1における照明装置10が、内壁6に設置されることで、様々な発光態様の組み合わせが実現できる。この複数の照明装置10による発光態様の組み合わせによって、閉鎖空間2内部全体を通じて、車両や人に対する情報提供や誘導が実現できる。
以上のように、実施の形態1における照明装置10は、閉鎖空間2の内部状況に応じた発光態様を、閉鎖空間2を通行する車両や人に提供できる。結果として、閉鎖空間2を通行する車両や人に対して、内部状況に関する情報を提供したり、内部状況に対応する対処を案内したりできる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
実施の形態2の照明装置では、発光手段が複数の発光部を備える場合を説明する。すなわち、トンネルなどの閉鎖空間に設置される複数の発光部とこれらを制御する制御手段とを備える照明装置について説明する。制御手段が複数の発光部を制御することで、より発光部を用いて、より多種多様な情報提供や避難誘導を行うことができる。
まず、図3、図4を用いて、照明装置の概要を説明する。
(概要)
図3は、本発明の実施の形態2におけるトンネルの模式図である。図4は、本発明の実施の形態2における照明装置のブロック図である。但し、図4では、トンネル内部に照明装置が設置されていることが分かりやすくなるように、道路5や車両3なども付随して表している。
照明装置20は、閉鎖空間2の内部に設置される。照明装置20は、閉鎖空間2の内部を照射する発光手段21と、閉鎖空間2の内部の状況を判定し、判定結果に基づいて、発光手段21の発光態様を制御する制御手段22を備える。
ここで、発光手段21は、複数の発光部23を備える。発行部23は、発光素子、電球、蛍光灯などを用いて閉鎖空間2内部を照らす。一つの発光部23は、複数の発光素子、複数の電球、複数の蛍光灯を用いてもよい。なお、発光部23は、様々な発光態様を実現するために、発光素子としてLEDを用いることも好適である。発光部23が、異なる色を発光できる複数のLEDを備えることで、発光部23は、白黒、グレースケール、カラー、高輝度、低輝度、収束光、拡散光などの様々な発光態様を実現できる。
複数の発光部23のそれぞれは、閉鎖空間2内部の異なる位置に配置させる。一般的には図3にも示されるように、トンネル1の内壁6に沿って横並び(車両の進行方向)に、複数の発光部23のそれぞれは配置される。すなわち、トンネル1を車両が進むにつれて、次々と発光部23が現れる。複数の発光部23のそれぞれは、閉鎖空間2内部での位置が特定されている状態であると言える。
制御手段22は、発光手段21をまとめて制御することで、結果として、複数の発光部23のそれぞれを制御する。
複数の発光部23のそれぞれは、閉鎖空間2の内部の状況を検出し、検出された内部情報を制御手段22に出力する検出部24を有する。
検出部24は、例えば、速度センサー、加速度センサー、色検出センサー、煙センサー、音検出センサー、熱センサーなどのセンサーを備え、検出部24の対向領域(すなわち、発光部23の対向領域)で、交通渋滞、交通事故、列車事故、火災、自然災害および人災の少なくとも一つの障害の発生を検出する。
これらのセンサーから得られる情報を整理することで、検出部24は、自らが対向する領域で生じている交通渋滞、交通事故、列車事故、火災、自然災害および人災の少なくとも一つの障害を検出できる。この検出した障害などを示す情報を、内部情報として、検出部24は、制御手段22に出力する。
また、複数の発光部23のそれぞれは、閉鎖空間2において、所定の位置に配置されている。位置は、番地や順番などで表すことができる。このため、検出部24は、発光部23の配置位置を示す位置情報を、制御手段22に出力する。検出部24は、内部情報および位置情報を、無線通信や有線通信などの手段を用いて、制御手段22に出力する。
制御手段22は、内部情報および位置情報に基づいて、複数の発光部23の内、発光態様の制御を受けるべき発光部を、制御発光部として決定する。更に制御手段22は、制御発光部の発光態様を制御する。
ここで、制御発光部として決定されるのは、何らかの障害が発生している位置に配置されている発光部になる。これは、複数の発光部23のそれぞれが有する位置情報と、内部情報とによって、どの発光部23に対向する位置で障害が生じているかを、制御手段22が把握できるからである。
何らかの障害が発生している位置に対向する発光部23を、制御発光部として、制御手段22がその発光態様を制御することで、閉鎖空間2内部を通行する車両や人により適切に注意を喚起できる。
例えば、トンネル1内部に設置されている全ての発光部が、同じ輝度、色度などによって制御される場合には、仮にこれらが警告色であったとしても、車両への注意喚起が弱い。特に、障害の発生している場所が、車両の運転者には分からず、事前に問題を回避する行動を取らせることへのモチベーションが上がらない。
これに対して、障害の起こっている位置に配置されている制御発光部の発光態様が制御されることで、例えば、制御発光部と他の発光部との色度や輝度が異なるようになる。この結果、車両の運転者に対しては、閉鎖空間2内部で障害が生じていることだけでなく、どこで障害が生じているかも、照明装置20だけで通知することができる。このような情報提供を受けた運転者は、障害の発生への注意を払うと共に、障害の発生している場所では、徐行運転や避難などの適切な行動を取るようになり、二次災害の防止に役立つ。
図4を用いて、制御発光部に対する制御を説明する。
図4は、トンネル1の内壁6に、複数の発光部23、24、25、26、27が設置されている状態を示している。発光部23、発光部24、発光部25、発光部26、発光部27のそれぞれは、閉鎖空間2内部での配置位置に対応する位置情報を有している。例えば、発光部23は、位置「01」、発光部24は、位置「02」、発光部25は、位置「03」、発光部26は、位置「04」、発光部27は、位置「05」との位置情報を有している。
発光部23は、検出部33を有し、発光部24は、検出部34を有し、発光部25は、検出部35を有し、発光部26は、検出部36を有し、発光部27は、検出部37を有する。検出部33〜37のそれぞれは、異なる位置に配置される発光部23〜27のそれぞれに設けられるので、検出部33〜37のそれぞれは、発光部23〜27の有する位置情報(すなわち、位置「01」、位置「02」など)を制御手段22に出力できる。
検出部33〜37のそれぞれは、交通渋滞、交通事故、火災や災害などの障害を、発光部23〜27の位置に合わせて検出できる。検出部33〜37のそれぞれは、各種センサーなどを用いて検出された閉鎖空間2内部の状況を示す内部情報を、制御手段22に出力する。
ここで、図4では、発光部25の対向する位置で、車両3が故障をおこしている。車両3は、故障によって、停止したり動けなくなったりしている可能性がある。故障した車両3によって、トンネル1内部の通行が妨げられたり、二次災害が生じたりする。発光部25が備える検出部35は、故障車両3が発生する熱、煙、音などを検出したり、故障車両3の加速度や速度(これらがゼロになっている)を検出したりして、故障車両3の存在を内部情報として制御手段22に出力する。
ここで、検出部35は、位置「03」という位置情報と故障車両3の存在を示す内部情報の両方を制御手段22に出力する。
このため、制御手段22は、発光部25に対向する領域で障害(故障車両の発生あるいは交通事故の発生)が発生していることを把握できる。結果として、制御手段22は、発光部25を制御発光部として決定する。この決定に伴い、制御手段22は、発光部25の発光態様を制御する。例えば、発光部25は、赤色や朱色の警告色に制御され、発光部25の前後の発光部である発光部23、24、26、27は、注意をうながす黄色に制御される。
トンネル1内部に流入するあるいはトンネル1内部を通行する車両は、発光部23、24の黄色の点灯によって故障車両や交通事故が、トンネル1内部で生じていることをまず認識し、ついで、発光部25が赤色や朱色となっていることで、発光部25の設置位置近辺にて、実際の故障車両や交通事故が存在することを確認できる。確認に基づき、閉鎖空間2内部を通行する車両は、徐々に減速をして、障害箇所では徐行するなどの障害回避行動をとるようになる。この結果、二次災害も防止できる。
このように、制御手段22が制御発光部を中心にその発光態様を制御することで、発光という手段のみで、通行する車両に対して、情報を提供したり、注意を喚起したり、障害からの回避行動を誘導したりできる。
次に、各部の詳細について説明する。
(発光部)
まず、発光部23について説明する。
発光手段21は、複数の発光部23を備える。ここで、複数の発光部23は、発光手段21という一つのブロック要素に含まれている必要はなく、それぞれが独立した要素であってよい。
複数の発光部23のそれぞれは、閉鎖空間2内部の所定の位置に設置される。トンネルであれば、トンネルの内壁(側面、上面など)に順々に設置される。
発光部23は、発光素子、電球、蛍光灯など、光を照射する機能を有する素子を備える。但し、LEDのように電圧や電流によってその輝度を変化させることのできる発光素子であることで、発光部23の発光態様を様々に変化させることができる。
図5は、本発明の実施の形態2における発光部のブロック図である。図5に示される発光部23は、LEDを備えている。
発光部23は、赤色LED40、緑色LED41、青色LED42を備えている。発光部23が、これらいわゆるRGB(Red Green Blue)の三原色を発光できるLEDを備えていることで、様々な色度を表現できる。制御部22は、赤色LED40、緑色LED41、青色LED42に対する電流値を制御することで、輝度や色度を変えることができる。例えば、発光部23が警告色である赤色を照射したい場合には、赤色LED40に対する電流値のみを増加させればよい。
また、発光部23は、閉鎖空間2に設置されるので、設置されやすいようにハウジングに収められていることが好適である。特に、現在のトンネルに設置されている電球や蛍光灯を主とする発光装置との置き換えを容易とするために、現在の発光装置と同一形状、同一サイズのハウジングに、発光部23が格納されることも好適である。また、このとき発光部23への電力供給の配線も、現在設置されている発光装置の配線と同一にされていることが好ましい。
また、複数の発光部23のそれぞれは検出部33を備えるが、検出部33は、位置情報および内部情報を制御手段22に出力する。このため、発光部23は、無線通信、有線通信による通信手段を備える。このとき、発光部23は、LED素子に電力を供給する電力線を有していることがほとんどであるから、発光部23は、電力線通信を可能とするモジュールを備えておき、検出部33からの通信を実現させても良い。
複数の発光部23のそれぞれは、輝度、色度、照射角度、点滅による制御を受けることが可能であり、複数の発光部23のそれぞれが、輝度、色度、照射角度、点滅による制御を受けることで、全体としての発光パターンを実現することができる。
すなわち、発光部単体の発光態様によって、車両や人に対して情報提供や誘導を行うこともできるし、複数の発光部が一体となった発光パターンによって、車両や人に対して情報提供や誘導を行うこともできる。
(検出部)
次に、検出部33について説明する。
複数の発光部23のそれぞれが、検出部33を有する。検出部33は、例えば、速度センサー、加速度センサー、色検出センサー、煙センサー、音検出センサー、熱センサーなどのセンサーを備え、検出部33の対向領域(すなわち、発光部23の対向領域)で、交通渋滞、交通事故、列車事故、火災、自然災害および人災の少なくとも一つの障害の発生を検出する。
ここで、第1情報は、発光部23の前を通過する車両の数、車両の速度および車両の通過時刻を含む情報であって、検出部33は、この第1情報を検出する。また、第2情報は、発光部33の周囲で生じる異音の発生を含む情報であって、検出部33は、この第2情報を検出する。更に、第3情報は、発光部33の周囲での温度、煙、色を示す情報であって、検出部33は、この第3情報を検出する。
検出部33は、第1情報および第2情報および第3情報の少なくとも一部に基づいて、閉鎖空間2内部における交通渋滞、交通事故、列車事故、火災、自然災害および人災の少なくとも一つの障害の発生を検出する。
また、検出部33は、複数の発光部23のそれぞれに設けられる。複数の発光部23のそれぞれは、所定の位置に設置されているので、検出部33は閉鎖空間2内部の様々な位置で障害の発生を検出できる。言い換えると、検出部33は、障害の発生に加えて、障害の発生している場所も検出できる。
このように、実施の形態2の照明装置20は、複数の発光部23のそれぞれが備える検出部33の働きによって、閉鎖空間2内部のどこでどのような障害が生じているかを把握できる。この把握の結果、照明装置20は、閉鎖空間2内部のどこでどのような対処をすればよいかを制御できる。
ここで、検出部33による、各種障害の検出を説明する。
(渋滞の検出)
検出部33は、備えている加速度センサーや速度センサーを用いて、対向領域を通過する車両(自動車、列車、軽車両、人)の速度を検出する。
検出部33は、検出した車両の速度と予め定められている所定の速度とを比較する。この所定の速度は、例えば、閉鎖空間2が自動車道に設けられているトンネルであれば、時速50Kmであって、閉鎖空間2が一般道に設けられているトンネルであれば、時速15Kmであるなど、渋滞と考えられる基準で定められる。
検出部33が自動車道のトンネルに設置されている場合、対向領域を通過する車両の速度が時速50Km以下である時には、検出部33は、渋滞が発生していると判断する。このとき、検出部33は、渋滞であることを示す内部情報に加えて検出部33の位置を示す位置情報をも制御手段22に出力する。
このため、制御手段22は、検出部33からの内部情報と位置情報とによって、閉鎖空間2内部で「渋滞が発生していること」、「渋滞の発生している場所(渋滞のひどい場所)」を把握できる。
また、発光部23は、トンネル1の入り口7および出口8にも設けられている。このため、検出部33は、トンネル1の入り口7および出口8にも設置されていることになり、トンネル1の入り口7と出口8における車両の状況を検出できる。
例えば、検出部33は、熱センサーや物体センサーを用いて、対向領域を通過する車両を検知できる。このため、入り口7付近に設置されている検出部33は、単位期間において入り口7を通過(入り口7に流入)する車両の数を算出できる。同様に、出口8付近に設置されている検出部33は、単位期間において出口8を通過(出口8を出る)する車両の数を算出できる。
ここで、単位期間において、入り口7に流入する車両の数と出口8を出る車両の数とがアンバランスである場合(入り口7に流入する車両の数が、出口8を出る車両の数よりも所定数以上多い場合)は、トンネル1内部で車両速度が遅くならざるを得ない状況が発生していることを示す。すなわち、これはトンネル1内部での渋滞を示している。
検出部33は、この場合にも、トンネル1内部で渋滞が発生していることを判断できる。
また、(1)入り口7と出口8に設置されている検出部33が、入り口7と出口8との単位期間における通過車両の数のアンバランスを検出して渋滞の発生を検出、ついで、(2)トンネル1内部に設置されている検出部33が、対向領域を通過する車両の速度を検出して、速度が所定の速度よりももっとも遅くなっている位置を検出、との2段階の処理を行うことにより、照明装置20は、トンネル1の内部で「渋滞が発生していること」、「渋滞の発生している場所(渋滞のひどい場所)」を把握できる。
このように、複数の検出部33が相互に役割分担をすることで、照明装置20は、渋滞の発生および渋滞発生の位置を把握できる。
以上のように、トンネル1のような閉鎖空間2内部に、複数の検出部33(発光部23)が設置されていることで、検出部33は、閉鎖空間2内部での渋滞の発生および渋滞の発生している場所を検出できる。なお、この際に、単体の検出部33が渋滞を検出してもよいし、複数の検出部33が渋滞を検出しても良い。また、検出部33が個々に渋滞の検出および渋滞位置の検出までを処理してもよいし、検出部33は、車両の速度情報や車両の通過数の情報のみを検出して検出した結果を制御手段22に出力し、制御手段22が、渋滞の検出および渋滞位置の検出を判断してもよい。
渋滞情報を受けた制御手段22は、複数の発光部23の輝度、色度、照射角度および発光パターンの少なくとも一つを制御し、車両への注意を喚起する。また、渋滞の発生している位置における発光部23の色とそれ以外の位置における発光部23の色とを変えることで、渋滞の発生と渋滞箇所の認識を、車両に対して通知できる。
(交通事故もしくは列車事故の検出
検出部33は、音検出センサーや速度センサーを備える。
検出部33は、音検出センサーを用いて、閉鎖空間2内部での異音を検出する。異音の発生原因は、種々のものを含む。例えば、大きすぎるエンジン音、積載物の落下、カーステレオの大きすぎる音、運転者の声、車両のクラクションなどである。しかし、異音は、交通事故の際に発生する音を含むこともある。
検出部33は、所定の音量以上の異音、所定の周波数帯域に属する異音、所定パターンで発生する異音を検出した場合には、交通事故や列車事故が発生していると判断する。このとき、検出部33は、閉鎖空間2内部で設置されている位置情報をも有するので、閉鎖空間2内部のいずれの位置で交通事故や列車事故が発生しているかを検出できる。
異音は、交通事故や列車事故の際に発生する異音だけではない。上述の通り、交通事故に関係のない異音も多くある。交通事故で発生する異音とクラクションで発生する異音とでは、音量、周波数帯域、発生パターンに相違があることもあるが、これだけでは交通事故で発生する異音とクラクションで発生する異音とは、区別されにくいこともある。
そこで、異音を検出した検出部33もしくはこの検出部33の周辺に設置される検出部33は、通過する車両の速度も検出する。異音の原因がクラクションやエンジン音であれば、通過する車両の速度に大きな変化は生じない。一方、異音の原因が交通事故であれば、通過する車両の速度は大きく減少するはずである。
このため、異音を検出した検出部33もしくはこの検出部33の周辺に設置される検出部33は、検出した通過車両の速度が所定の速度よりも遅い場合に、交通事故や列車事故が発生していると判断する。
図6は、交通事故の検出を示している。図6は、本発明の実施の形態2における交通事故の発生を検出する模式図である。
照明装置20は、複数の発光部23〜27、複数の検出部33〜37、制御手段22を有しており、検出部33〜37を備える複数の発光部23〜27は、閉鎖空間2内部に順に設置されている。閉鎖空間2内部を2台の車両40、41が通行しており、車両40と車両41とが、交通事故を起こしている。
車両40と車両41とは、衝突や接触を起こしているので、異音を発生させる。交通事故は、検出部35(発光部25に含まれる)の対向領域で生じている。このため、検出部35が、車両40と車両41との衝突によって生じる異音を検出する。更に、車両40と車両41とは、衝突や接触を起こしているので、大きく減速もしくは停止をしている。このため、検出部35は、対向領域を通過する車両の速度が、所定の速度よりも遅いことを検出する。
以上のように、検出部35は、(1)異音の発生、(2)通過車両の速度が、所定の速度よりも遅い、との2つの現象を検出し、この2つの現象を合わせて交通事故や列車事故が発生していることを検出できる。更に、検出部35は、閉鎖空間2内部での位置を示す位置情報も有しているので、閉鎖空間2内部のどの位置で交通事故や列車事故が生じているかを検出できる。
検出部35は、制御手段22に、(1)交通事故の発生、(2)交通事故の発生位置、に関する情報を出力する。制御手段22は、これらの情報を受けて、複数の発光部23〜27の輝度、色度、照射角度および発光パターンの少なくとも一つを制御する。特に、交通事故の発生している位置あるいはその周辺の発光部を、制御を受けるべき制御発光部(図6では発光部25)とし、この制御発光部を警告色にしたり、より明るくしたりして、他の車両への注意を喚起する。あるいは、閉鎖空間2内部に設置されている複数の発光部23〜27を所定の発光パターンにして、車両へ注意を喚起する。
なお、検出部が交通事故の発生を検出してもよいし、検出部からの情報に基づいて、制御手段22が交通事故の発生を検出しても良い。
(火災の検出)
検出部33は、熱検出センサー、光検出センサー、煙検出センサーを有する。
検出部33は、熱検出センサーを用いて、対向領域の温度を測定する。このとき、所定の温度以上の温度を検出する場合には、検出部33は、閉鎖空間2内部で火災が発生していると判断する。
火災が発生すれば、当然ながら周辺の温度が異常に上昇する。検出部33は、熱検出センサーを備え、この熱検出センサーが所定の温度以上の温度を検出すれば、火災が生じているものと判断する。所定の温度は、例えば100℃などの通常では生じ得ない高温を基準にすればよい。
また、検出部33は、閉鎖空間2内部の位置を示す位置情報を有しているので、火災の発生に加えて、火災の発生位置も検出できる。検出部33は、火災の発生および火災位置の情報を制御手段22に出力する。
これらの情報を受けた制御手段22は、発光部23の輝度、色度、照射角度および発光パターンの少なくとも一つを制御する。この制御によって、車両に注意を喚起する。例えば、複数の発光部23が、所定の発光パターンで発光したり、火災が発生していると判断された位置の発光部(制御発光部)の色のみが変更されたりする。
また、火災が発生している場合には、車両に乗車している人間は、車両から降りて徒歩で避難する必要がある。徒歩で避難する人間の誘導をスムーズにするために、制御手段22は、複数の発光部23の輝度を上げたり、照射角度を下向きに制御したりする。照射角度が下向きになることで、避難する人間の足元を照らすことになり、避難が容易となるメリットがある。
また、検出部33は、光検出センサーを用いて、火災の発生を検出する。閉鎖空間2の内部では、車両のヘッドランプ、テールランプなどの種々の光が発生している。しかしながら、火災の引き起こす光は、その色や輝度などが、一般の色と著しく異なることが多い。このことを利用して、検出部33は、光検出センサーが、所定の輝度や色度の光を検出することで、火災の発生を判断する。例えば、火災で発生するのは赤色や黄色であることが多く、検出部33は、これらの色味を検出することで、火災の発生を判断する。
もちろん、検出部33は、閉鎖空間2内部での位置を示す位置情報を有するので、火災の発生のみならず、火災発生の位置も検出できる。
このように、検出部33は、光に基づいて、火災の発生を検出できる。
また、検出部33は、煙検出センサーを用いて、火災の発生を検出する。閉鎖空間2の内部では、タイヤのスリップのような微細な煙以外は、火災(交通事故を原因とする火災も含む)による煙である可能性がもっとも高い。煙検出センサーは、煙を検出できるので、検出部33は、煙検出センサーが煙を検出したことで、火災の発生を判断する。このとき、検出部33は、検出された煙の量(単位体積あたりの量)、煙の発生している時間、煙の密度、煙の色、煙の成分、煙の温度などの種々の情報を総合的に判断して、火災の発生を検出しても良い。
もちろん、検出部33は、閉鎖空間2内部での位置を示す位置情報を有するので、火災の発生のみならず、火災発生の位置も検出できる。
このように、検出部33は、閉鎖空間2内部で発生している煙に基づいて、火災の発生を検出できる。
なお、検出部33は、熱、光、煙の情報の2種以上の情報の組み合わせによって、火災の発生および火災発生位置を判断してもよい。熱検出センサーが検出する熱、光検出センサーが検出する光、煙検出センサーが検出する煙の、それぞれの情報の組み合わせに基づくことで、検出部33は、より確からしく、火災の発生を検出できる。
また、火災の検出と同様の処理により、検出部33は、自然災害や人災の発生を検出できる。
以上、検出部の詳細について説明したが、検出部は、渋滞、交通事故、列車事故、火災、自然災害および人災以外にも、閉鎖空間内部で発生しうる障害に関わる情報を検出する。
なお、内部情報および位置情報は、検出部33によって出力されてもよいし、発光部23によって出力されても良い。
(制御手段)
次に、制御手段22ついて説明する。
制御手段22は、検出部33から出力される内部情報(交通渋滞、交通事故、列車事故、火災、自然災害および人災などの障害の発生を示す情報)および位置情報に基づいて、障害の発生および障害発生位置を把握する。ついで、制御手段22は、障害の発生と障害発生位置の把握に基づいて、障害の発生している位置を障害発生位置として決定し、障害発生位置に設置されている発光部23を、その発光態様を制御する制御発光部として決定する。
更に、制御手段22は、制御発光部として決定した発光部23の発光態様を制御する。
なお、検出部33が、障害の発生および障害発生位置を確定した上で、これらの情報を制御手段22に出力してもよい。この場合には、制御手段22は、検出部33が確定させたこれらの情報によって、直接的に、障害の発生と障害発生位置を把握できる。
一方、検出部33は、障害の発生を示唆する種々の現象についての情報と位置情報のみを制御手段22に出力しても良い。この場合には、制御手段22は、これらの情報を整理したうえで、障害の発生と障害発生位置とを把握する。
このように、検出部33が出力する内部情報は、(1)障害が発生したことを明示する情報、(2)障害の発生を示唆する種々の現象についての情報、のいずれの場合も含む。
図7は、本発明の実施の形態2における照明装置のブロック図である。
制御手段22は、複数の検出部33からの内部情報および位置情報に基づいて、障害の発生と障害発生位置とを把握する。このとき、障害の発生位置に対応する位置に設置されている発光部を、その発光態様が制御されるべき制御発光部であるとして決定する。
このため、図7に示されるように、制御手段22は、複数の発光部23と信号のやり取りを行う。
図8は、本発明の実施の形態2における閉鎖空間に設置された照明装置の模式図である。
図8においては、発光部23aの対向領域で障害が発生している。発光部23aの備える検出部は、制御手段22に障害の発生と障害発生位置(発光部23aのアドレス)を通知する。制御手段22は、これらの情報から、発光部23aを、その発光態様を制御すべき制御発光部として決定する。このとき、制御手段22は、発光部23aのみならず、発光部23aに近接する発光部23b、23cも制御発光部として決定しても良い。発光部23aのみの発光態様の制御では、車両に対して十分な注意喚起や情報提供が困難である場合に、近接する発光部23bも発光態様を制御することが好適だからである。
図8においては、制御手段22は、3つの発光部23a、23b、23cを制御発光部として決定している。
(制御発光部の増減調整)
また、発生している障害の種類によっては、制御手段22は、制御発光部の数を増減させても良い。
あるいは、制御手段22は、閉鎖空間2内を通行する車両の速度に応じて、制御発光部の数を増減させても良い。例えば、閉鎖空間2内を通行する車両の速度が速い場合には、車両に対してより早くから警告や注意を促す必要がある。この場合には、障害発生位置よりもかなり手前の発光部が、警告を促す発光態様であることが必要である。このため、車両の速度が速い場合には、制御発光部の数を増加させる。このとき、障害発生位置の両側のそれぞれで制御発光部の数を増加させてもよいし、障害発生位置に対して、車両が進入してくる側においてのみ制御発光部の数を増加させても良い。
一方、車両の速度が遅い場合には、制御手段22は、制御発光部の数を減少させる。
車両の速度が遅い場合には、障害発生位置とその隣接する位置での発光部が、警告状態であるだけで、車両は障害の発生に気づくことができる。このため、車両の速度が遅い場合には、制御発光部としての決定する発光部の数は少なくても良い。
なお、制御手段22は、障害の種類や障害発生時刻などによっても、制御発光部の数や位置を変える。また、障害の種類や通行する車両の速度によっては、障害発生位置に対応する発光部を制御発光部とするだけでなく、障害発生位置と異なる位置を制御発光部の位置として決定しても良い。
(発光態様の制御)
制御手段22は、これら3つの制御発光部23a、23b、23cの発光態様を制御する。例えば、制御発光部のみを警告を表す色(例えば赤色や朱色)に制御し、その他の発光部を通常色(白色や黄色)に制御する。
勿論、制御手段22は、制御発光部のみでなく、制御発光部以外の発光部の発光態様を制御しても良い。
あるいは、制御手段22は、制御発光部に関係なく、閉鎖空間2内部に設置されている複数の発光部23全体の発光態様を制御しても良い。
以下に、発光態様の制御の例を説明する。
(制御例1)
制御手段22は、制御発光部を警告色に、それ以外の発光部を通常色に制御する。
例えば、図8では、制御発光部23a、23b、23cのみが警告色となり、その他の発光部は通常色である。
(制御例2)
制御手段22は、制御発光部の輝度を、それ以外の発光部の輝度よりも高い輝度に制御する。障害の発生している箇所およびその近接位置における発光部の輝度のみが大きいことで、車両は、障害の発生を容易に認識できる。
(制御例3)
制御手段22は、制御発光部の照射角度を、それ以外の発光部の照射角度と異なるように制御する。例えば、制御発光部の照射角度のみが上向きとなったり下向きとなったりする。このように、障害の発生している箇所およびその近接位置における発光部の照射角度が他の発光部の照射角度と異なることで、車両は、障害の発生を容易に認識できる。
(制御例4)
制御手段22は、制御発光部のみを点滅させる。このように、障害の発生している箇所およびその近接位置における発光部のみが点滅していることで、車両は障害の発生を用意に認識できる。
勿論、制御手段22は、制御例1〜4を適宜組み合わせても良い。例えば、制御発光部の色度を、他の発光部の色度と変えつつ、点滅させることもよい。
また、制御例1〜4は、発生している障害の種類に関わらず、用いることができる。
(制御例5)
制御手段22は、発生している障害が火災や災害であって車両の乗員が車両を降りて徒歩で避難しなければならない場合には、異なる制御を組み合わせる。
まず、制御手段22は、障害が発生したことを把握して、制御発光部が、他の発光部と異なるように、輝度、色度、照射角度、発光パターンを制御する。この制御によって、車両の乗員は、障害の発生および避難の必要性を認識できる。ついで、制御手段22は、発光部23の一部あるいは全部を、下向きに制御する。車両を降りた乗員は、閉鎖空間2内部を徒歩で避難することになる。火災の場合には煙が充満している可能性もあり、発光部23は、乗員の足元を照らすことが適切である。このため、制御部22は、発光部23の一部もしくは全部の照射角度を、下向きに制御する。車を降りた乗員は、足元を照らされることで、安全に避難することができる。
以上のように、制御手段22は、発光部の色度や照射角度を切り替えながら制御することで、車両や避難者に対して、適切な情報提供や誘導を行える。
(制御例6)
発生している障害と閉鎖空間2内部に設置されている複数の発光部23の発光パターンとの関係が予め定められている場合がある。
図9は、本発明の実施の形態2における障害と発光パターンの関係を示すテーブルである。
図9より明らかな通り、障害内容が交通事故、列車事故、交通渋滞、火災、人災のそれぞれである場合には、制御部22は、パターン1、パターン2、パターン3、パターン4、パターン5のそれぞれに基づいて、発光部23を制御する。
パターン1〜パターン5は、予め定められており、これらの発光パターンと障害の内容との関連は、運転者や車両乗員に予め周知・教育されていることが好ましい。また、閉鎖空間2の入り口などで、発光パターンと障害の内容との関連性が表示されていることも好ましい。
このように、予め車両の運転者や乗員が、発光パターンと障害の内容との関連性を理解しておくことで、制御手段22による発光パターンの制御によって、照明装置20は、車両に対して注意を喚起できる。
なお、パターン1〜5での発光パターンは、
(1)複数の発光部23の一部が青色であって残りが赤色であるように、複数の発光部23が、位置によって異なる色で発光する、
(2)所定間隔で点滅する、
(3)所定間隔で発光する、
(4)複数の発光部23のそれぞれが、位置によって異なる照射角度を有する
(5)入り口と出口付近における発光部の色(あるいは輝度)と、閉鎖空間2の途中における発光部の色(あるいは輝度)とが異なる、
(6)複数の発光部23が、所定間隔ごとに、色度もしくは輝度を変える、
(7)時間によって、複数の発光部23の輝度、色度が変化する、
などのパターンを含む。なお、パターン(1)〜(7)は、発光パターンの一例である。
このような、発光態様の制御によって、閉鎖空間2内部を通過する車両(自動車、人、軽車両、列車などを含む)は、閉鎖空間内で生じた障害を把握でき、適切な退避行動を取ることができる。結果として、二次災害や災害の拡大が防止できる。
また、制御例1〜6以外の態様で、制御手段22は、発光部23の発光態様を制御してもよく、制御例1〜6は、制御の一例である。勿論、制御手段22は、制御例1〜6を適宜組み合わせて制御しても良い。また、障害発生から時間が経過すると共に、制御手段22は、発光部の発光態様を制御しても良い。
また、制御手段22は、複数の発光部23の全てを制御してもよいし、一部を制御しても良い。
なお、障害の種類と発光態様との関係については、交通規則や諸般の基準で定められておき、車両の運転者に予め理解されておくことが好ましい。
また、制御手段22が発光部23の発光態様の制御を行うが、制御手段22は、制御のための制御信号のみを発光部23に出力して、実際の発光態様の変更を発光部23が行ってもよいし、制御手段22が、電流や電圧などを制御しながら、発光部23の発光態様そのものを制御しても良い。
以上のように、実施の形態2の照明装置20は、閉鎖空間2内部での、障害の発生および障害発生の位置を的確に検出し、障害に基づいて、閉鎖空間2を通行する車両や人間に、適切な注意喚起や情報提供を行う。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。
実施の形態3は、照明装置20が管理センター60からの指示によって動作する場合を説明する。
図10は、本発明の実施の形態3における照明装置の模式図である。
制御手段22は、管理センター60との通信を行う。
管理センター60は、例えば高速道路の管制センターや一般道路の交通管理センターと兼用でも良い。
制御手段22は、検出部33からの情報に基づいて、閉鎖空間2内部で発生している障害を把握できる。このため、実施の形態1、2で説明したように、制御手段22は、管理センター60からの指示を待つことなく、発光部23の発光態様の制御を行える。
しかしながら、発光態様の制御を行うことは、様々なことを引き起こす可能性がある。このため、制御手段22が実際に発光部23を制御する前に、管理センター60での判断を介する方が良い場合もある。管理センター60は、人為的あるいは機械によって、制御手段22から得られた障害情報に対して、発光態様の制御を行うか否か、あるいは発光態様の制御方法を決定して、制御手段22に指示する。
制御手段22は、管理センター60からの指示に基づいて、発光部23の発光態様を制御する。
例えば、制御手段22が閉鎖空間2内部で交通事故が発生していると判断した場合でも、照明装置で注意喚起することが却って運転者への動揺を与えることもある。このような場合には、管理センター60が、他の情報(交通量や時間帯など)をも考慮して、発光態様を制御することを最終判断する方が良い場合もある。
あるいは、法律や規則などの手続き上、管理センター60に位置する管理者によって最終判断をされなければならない場合もある。
これらを考慮して、管理センター60からの指示を待って、制御手段22は、発光部23の発光態様を制御する。
なお、制御手段22が管理センター60に種々の情報を出力しても良いが、複数の検出部33(発光部23)のそれぞれが管理センター60に情報を出力しても良い。管理センター60と照明装置20との信号接続は適宜定められればよく、特定の形態に限定されるものではない。また、管理センター60との通信では、無線通信および有線通信の少なくとも一方が用いられればよく、例えば電灯線通信が用いられることも好適である。
また、照明装置は、発光手段および制御手段を備える閉鎖空間照明システムとして提供されても良い。
以上のように、実施の形態3における照明装置20は、管理センター60における人為的あるいは機械的判断を待ってから、発光部23の発光態様を制御できるので、より確実な車両への注意喚起や情報提供が可能となる。
図11は、本発明の実施の形態3における閉鎖空間照明システム(以下、「照明システム」という)のブロック図である。
照明システム80は、発光素子と検出部33を備える複数の発光部23を備える発光手段21と、制御手段22と、を備える。検出部33は、実施の形態1,2で説明したとおり、発光部の位置を示す位置情報および閉鎖空間2内部における交通渋滞、交通事故、列車事故、火災、自然災害および人災の少なくとも一つの発生を示す内部情報とを制御手段22に出力する。
制御手段22は、実施の形態1、2で説明したとおり、位置情報および内部情報に基づいて、交通渋滞、交通事故、列車事故、火災、自然災害および人災の少なくとも一つが発生している位置を、障害発生位置として決定し、障害発生位置に対応する発光部23を制御発光部として決定する。更に、制御手段22は、決定した制御発光部の発光態様を制御する。勿論、制御発光部以外の発光部の発光態様も制御する。
このとき、制御手段22は、発光部の輝度、色度、照射角度および発光パターンの少なくとも一つを制御する。
このような制御によって、照明システム80は、閉鎖空間2内部を通行する車両に、注意を喚起し情報を提供できる。
また、図11においては、照明システム80は、管理センター60と接続されているが、これは任意である。
以上のように、実施の形態3における照明システム80は、閉鎖空間2内部での障害の発生と障害発生位置を的確に検出でき、障害に基づいて、車両に適切に注意喚起を促したり、情報を提供したりできる。
なお、発光部、検出部、制御手段における、発光、検出、判断、発光態様の制御は、ハードウェアで実現されてもよいし、ソフトウェアで実現されてもよいし、ハードウェアとソフトウェアの混在で実現されても良い。
以上、実施の形態1〜3で説明された閉鎖空間照明装置および閉鎖空間照明システムは、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。