JP2010516259A - ヒトがん幹細胞 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ヒトがん幹細胞の単離された集団を開示する。ヒトがん幹細胞を特徴付けし、単離し、かつ培養するための方法もまた、開示する。ヒトがん幹細胞の使用を提供する。

Description

本出願は、2007年1月22日に出願された仮出願第60/881,497号、2007年3月23日に出願された同第60/907,180号、2007年5月4日に出願された同第60/924,247号、2007年7月19日に出願された同第60/950,714号、2007年9月14日に出願された同第60/972,613号に対して優先権を主張し、これらはすべて、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
本発明は一般に、ヒトがん幹細胞ならびにそれらの単離、特徴付け、および使用のための方法に関する。より具体的には、本発明はまた、ヒトがん幹細胞を同定する方法、治療薬、標的/創薬、抗腫瘍ワクチン、ならびにがんの診断および治療におけるそれらの使用に関する。
がん細胞は未制御な様式で分裂増殖するものの、それらの細胞は身体に対して必ずしも「異物」であるように思われず、したがって、標的とすることが難しいため、患者の身体からがんを除去することは困難である。既存のがん治療は、がん細胞を十分に標的としない傾向があり、患者の健常な組織に対して破壊的である。このような治療には、典型的には、X線、化学療法、プロトン療法、および外科手術が含まれる。身体の免疫系を刺激してこれらのがん細胞に対して正の免疫応答を提示する治療が好ましいと思われる。
がん細胞はがん関連抗原を発現するが、しばしば免疫応答から逃れることができる。これは、免疫系からがん抗原を隠すそれらの能力のおかげであるか、かつ/または曝露される抗原が、ヒト免疫系が通常は認識もしくは許容する正常な変異していない分化分子もしくはタンパク質であるためである。また、がん幹細胞は、化学療法および放射線療法の現行の療法に耐性であることも報告されている。(例えば、Targeted therapy for cancer stem cells: the patched pathway and ABC transporters. Oncogene, (2007) 26(9):1357-60(非特許文献1); Radiation resistance and stem-like cells in brain tumors. Cancer Cell (2006); 10(6):454-6(非特許文献2); WNT/beta-catenin mediates radiation resistance of mouse mammary progenitor cells. Proc Natl Acad Sci U S A (2007) 104(2):618-23 電子出版2007年1月3日(非特許文献3)を参照されたい)。
免疫療法を効果的に使用してがんを治療するためには、患者は、がん部位に到達することとがん細胞を破壊するエフェクターメカニズムを有することの両方ができる十分な数のがん反応性リンパ球を有しているか、または供給されなければならない。
調査中のいくつかの療法は、一般に免疫応答を高めることを目標としており、例えば、サイトカイン(例えば、IL-2および/またはIL-12)のような化学的メッセンジャー、テロメラーゼに特異的なリンパ球、細菌抽出物、または免疫系を強化する薬物の投与を含む。免疫応答を腫瘍細胞に対してより特異的にするために、いくつかの治療では、サイトカイン、例えば、個別もしくは組み合わせたGM-CSF、γインターフェロン、もしくはIL-2と組み合わせるか、またはこれらのサイトカインをコードする遺伝子をトランスフェクトした自己腫瘍細胞を投与する。エクスビボで自己リンパ球をがん細胞に対して感作させ、次いで患者に注入し戻す細胞導入療法においていくらかの成功が観察されている。同様のアプローチでは、自己腫瘍細胞の代わりに腫瘍細胞株を利用する。
アジュバントは、がんワクチン免疫療法と共に一般に使用される。1つのアプローチでは、患者において正の抗がん免疫応答を引き起こす著しく強力な抗原提示細胞である樹状細胞(DC)を使用する。樹状細胞は、MHCクラスI分子およびMHCクラスII分子、ナイーブなT細胞を刺激するためのシグナルを提供する共刺激分子および接着分子、CD4+Tヘルパー細胞、CD8+細胞障害性Tリンパ球(CTL)、ナチュラルキラー(NK)細胞、ならびに胸腺由来のNK細胞(NKT)細胞を発現する。DCは、様々なタイプの分子を取り込む能力を有する。その結果として、DCは、様々な形態の腫瘍関連抗原(TAA)を負荷され、ワクチンとして投与され得る。
DCに基づいた1つのアプローチでは、がん細胞を樹状細胞と融合することによって作製したDC-がん細胞ハイブリッドを使用して、持続的ながん抗原発現をDCの抗原提示能力および免疫刺激能力と組み合わせる。動物モデルにおいて、DC-がん細胞ハイブリッドによる免疫化により、何らかの形態の抗がん防御を提供するか、または確立された疾患を根絶することができる。がん細胞株またはヒト原発性がん細胞(乳がん細胞を含む)からなる自己DCのハイブリッドは、インビトロで自己がん細胞型に対するCTL応答を誘導することが示されている。腎細胞がんおよび神経膠腫の治療の臨床試験において、DC-がん細胞ハイブリッドのワクチン接種によって患者において抗がん免疫応答を安全に誘導できることが実証された。
腫瘍がどのように増殖および転移するかを説明する1つの仮説は、がん幹細胞仮説であり、これは、無制限な自己複製ができ、かつ、複製能力が比較的限られた、より成長した腫瘍細胞に発達することができる小さな独特の細胞サブセットが各腫瘍内部にあるとする。これらのがん幹細胞(CSC)は、化学療法剤、放射線、または他の毒性条件に対する耐性がより高く、したがって、臨床的療法後に存在し続け、その後、二次腫瘍に成長し、転移するか、または再発に関与し得るという仮説が立てられている。CSCは、組織幹細胞または分化のより進んだ組織前駆細胞のいずれかから生じ得ることが示唆されている。これを支持するデータは、造血幹細胞および造血前駆細胞ならびに造血器腫瘍に関しては十分にあるが、固形腫瘍およびそれらの個別のCSCに関してはあまり知られていない。
固形腫瘍は、幹細胞集団を含む器官中で生じると考えられている。これらの組織中の腫瘍は、分裂増殖し、新しい腫瘍を形成する能力が著しく異なるがん細胞の異種性集団からなる。腫瘍形成能力のこの差は、例えば、乳がん細胞および中枢神経系腫瘍において報告されている。がん細胞の大多数の分裂能力は限られているが、最近の文献において、がん幹細胞と呼ばれるがん細胞の集団が、多数回自己複製し、新しい腫瘍を形成する専用の能力を有することが示唆されている。正常な幹細胞の自己複製を調節する経路ががん幹細胞においては調節解除または改変され、その結果、自己複製するがん細胞の連続的な増殖および腫瘍形成がもたらされることを示唆する証拠が増えている。
がん患者の予後は、幹細胞の表現型/生物学に関連していることが示唆されている。(例えば、Molecular profiling identifies prognostic subgroups of pediatric glioblastoma and shows increased YB-1 expression in tumors. J Clin Oncol. (2007) 25(10):1196-208(非特許文献4); Cancer stem cells are central to metastasis, which accounts for 90% of the lethality of cancer. Cell Res. (2007) 17:3-14(非特許文献5)を参照されたい)。また、自己幹細胞に対する自己免疫応答を有する患者は、遅いがん進行を示すことも観察されている。(例えば、「immunity to cancer stem cells may help protect people with a precancerous condition from developing the full-blown disease」J Exp Med (2007) 204(4):831-40(非特許文献6)を参照されたい)。
組織幹細胞は、適切な発達状態および代謝状態でそれらを維持するために重大な意味を持つ特殊なニッチまたは微環境において存在する。これらの微環境は完全には理解されていないが、重要な因子を遺伝子ノックアウトすることによってそれらを破壊すると、発達中および成熟期の両方において、幹細胞ホメオスタシスの調節障害がもたらされ得る。組織の幹/前駆細胞を支援する微環境を理解しようとして、多くの研究者は、培地、基材、および物理的環境が、特定の胎児および新生児組織の幹/前駆細胞(SPC)を、SPCは複製できるが、分化はできない所定の状態で維持するために最適化した環境をもたらす、無血清培養条件を誘導するアプローチを採用した(例えば、米国特許第6,436,704号(特許文献1)および同第6,416,999号(特許文献2)を参照されたい)。様々なタイプのSPCに対して独特な最適化した培地および培養条件は、これらの細胞がインビボで占有する幹細胞ニッチを再現することと考えることができる。これらの培地および最適化した条件は、SPCを特異的に選択し、組織中の他の任意の細胞型の生存および/または増殖を支援することができないという点で、SPCに特異的に仕立てられる。その結果として、SPCが出発培養物のごくわずかの比率にしか相当しない場合でさえ、非SPC細胞は、SPCに好ましい条件下では生存および複製せず、培養および継代の間に失われて、純粋なSPC集団のみを残す。また、これらの条件は、SPCをさらに分化させるための任意のシグナルを除去して、長期間に渡って培養状態で維持することも可能にしなければならない。
腫瘍が生じる方法に関する1つの仮説は、腫瘍は一連の変異的事象によって組織SPCから発生するというものである。一部の腫瘍細胞が、転移プロセスの間に体内をあちこち動き回る際に特定のSPCニッチに「向かう」ことを示唆するデータが存在する。SPCの生存および増殖を支援するように誘導された培地および最適化された培養条件はまた、CSCの増殖および生存を優先的に支援することができ、したがって、分散した腫瘍を培養状態にした際にこのタイプの細胞を選択できる場合がある。このような培地および最適化された培養条件は、珍しいCSC表現型の長期または大規模な増殖およびそれらの特徴の維持が可能であると思われる純粋なCSC培養物の樹立を可能にし得る。
腫瘍幹細胞は仮説として取り上げられているが、これらの細胞を同定する信頼性が高い方法はまだ存在しておらず、それらの特徴すべてに関する統一見解も存在していない。一部の研究者らは、マーカー発現に基づいてがん幹細胞を同定できると提唱した(例えば、Al-Hajj et al. (2003) Proc Natl Acad Sci USA 100:3983-3988(非特許文献7); O'Brien et al. (2007) Nature 445:106-110(非特許文献8);およびClarke et al. (2006) Cell 124: 1111-5(非特許文献9)を参照されたい)。CD133は、脳腫瘍中のがん幹細胞およびヒト前立腺上皮幹細胞において存在するマーカーであると提唱された。CD24発現を伴わないか、またはCD24低発現を伴うCD44発現は、いくつかの固形がん幹細胞(例えば乳がん)によって発現されるという仮説が立てられた。CD34は、血管および未成熟血液細胞の表面に存在するマーカーであり、造血幹細胞とも関連付けられている。
純粋なCSC培養物の樹立は、腫瘍発生および転移の調節を研究および理解する際、ならびにCSCを対象とするがん療法の発見および開発の際に大きな利点であると思われる。したがって、がん幹細胞を同定、単離、培養、および特徴付けするための方法に対する必要が存在する。
米国特許第6,436,704号 米国特許第6,416,999号
Targeted therapy for cancer stem cells: the patched pathway and ABC transporters. Oncogene, (2007) 26(9):1357-60 Radiation resistance and stem-like cells in brain tumors. Cancer Cell (2006); 10(6):454-6 WNT/beta-catenin mediates radiation resistance of mouse mammary progenitor cells. Proc Natl Acad Sci U S A (2007) 104(2):618-23 電子出版2007年1月3日 Molecular profiling identifies prognostic subgroups of pediatric glioblastoma and shows increased YB-1 expression in tumors. J Clin Oncol. (2007) 25(10):1196-208 Cancer stem cells are central to metastasis, which accounts for 90% of the lethality of cancer. Cell Res. (2007) 17:3-14 「immunity to cancer stem cells may help protect people with a precancerous condition from developing the full-blown disease」J Exp Med (2007) 204(4):831-40 Al-Hajj et al. (2003) Proc Natl Acad Sci USA 100:3983-3988 O'Brien et al. (2007) Nature 445:106-110 Clarke et al. (2006) Cell 124: 1111-5
本明細書において説明する本発明は、前述のまだ満たされていない必要および欠点の多くを克服し、ヒトがん幹細胞を単離し、維持し、かつ増殖させる方法を提供する。本発明はまた、がん幹細胞の様々な特徴、ならびに具体的には、結腸腫瘍、前立腺腫瘍、肺腫瘍、膵臓腫瘍、乳房腫瘍、マントル細胞リンパ腫、およびメルケル腫瘍に由来する新規な細胞集団の特徴をCSCの生物学的特徴と共に説明する。
本発明はまた、CSCベースのワクチンの投与および本明細書において説明する治療によって、がんを治療するか、がんを予防するか、がんの発症を遅延させるか、またはがんの進行を遅延させるための単純で、効果的で、かつ効率的な方法も提供する。
細胞培養合成培地を用いた、前立腺がん腫瘍(PRCA)からのCSCコロニーの選択的増殖を示す。 基底細胞がん(BCCA1)のがん幹細胞型に対して選択的な合成培地中で培養した基底細胞がんに由来する1組のCSCコロニーを示す。 結腸腫瘍(パネルA〜C、F)、メルケル細胞腫瘍(パネルD)、および前立腺腫瘍(パネルE)から増殖した、類似した示差的形態を有するCSCコロニーを示す。パネルAおよびBは、結腸腫瘍に由来する培養物を示す:培養42日目の初代培養物(A)および3日後の同じ培養領域(B)。Aにおいて明らかな小型の丸い細胞(矢印および挿入図)が、依然として分裂しているのに対し、培養物中の他の細胞は死滅する(B)ことに注目されたい。図3Cは、1回の継代後の結腸CSCを示し、これはこの時点でほぼ完全に幹細胞になっている。パネルA、B、およびD〜Fは、CSCが明らかになり始め、腫瘍の非幹細胞構成要素は静的であるか、死滅しつつあるか、または死滅している初代培養物を示す。これらの培養物はすべて、継代を継続した場合、次に示す本発明のCSC株になった:CRCA1115(A、B)、RECA0515(C)、MCC(D)、PRCA0611(E)、およびCRCA0404(F)。 様々な細胞株からSCIDマウスの腎臓被膜下で形成させた腫瘍の写真を示す。左は、7週間(A-RECA1208)または8週間(B-RECA0515)増殖させた2種の結腸CRCの細胞各100個から形成させた腫瘍である。実質的な腫瘍が両方の場合で認められる。中央のパネルは、4.5週後にCRCA1115結腸CSCの細胞5×104個(C)または8週後に10倍多い(5×105)個の非CSC RECA0705(D)を移植した動物からの腫瘍形成を示す。Dの白い線維性材料は、移植物中のコラーゲンに由来する。屈折性の著しい材料は脂肪である。この腫瘍に関するヒトDNAの出入り(out/in)比は1.0未満である。最後の2つのパネルは、CSC由来の前立腺腫瘍細胞5×105個を移植した後の腎臓のものである。CSC(E-PRCA0425)細胞由来の腫瘍は、8週間後に示される。これらの細胞は、明らかに、4.5週の時点にパネルCで認められる結腸CSCよりもゆっくりと増殖するが、100個の細胞から腫瘍を形成する。最後に、パネルFは、PRCA0312-43STR細胞2.5×105個を5週間移植した後の腎臓である。腫瘍は視認できない。したがって、非CSC株は、このSRC異種移植モデルを用いることによってCSC株からはっきりと区別される。 KID24として公知の抗体が、本発明の結腸がん幹細胞株(CRCA0404)およびメルケルがん幹細胞株を用いてマウスの腎被膜下で確立したがん幹細胞転移モデルにおいて腫瘍の増殖を減少させることを示す。 転移に対する、具体的には、腎被膜下で確立した腫瘍から、膵臓を含む複数の器官に転移するメルケル細胞がんに対する、KID24として公知の抗体の影響を示す。転移(Met)は、実施例において説明するhuDNAに関するQPCRを用いて定量する。
発明の開示
本発明は、腫瘍生物学および細胞生物学の分野に関する。1つの局面において、本発明は、腫瘍組織から培養されたがん幹細胞の単離された集団に関する。これらの細胞は、無血清栄養培地で培養することができ、かつ、血清生体分子を実質的に含まない細胞表面を有し得る。これらの細胞は、長期間、セネッセンスに向かうことなく、または、増殖能力が失われることもなく、培養状態で維持され得る。
本発明のがん幹細胞は、罹病組織のゲノムおよびプロテオミクスプロファイリング(インビトロ、インビボ、および転移状態)のため、多価性がん幹細胞ワクチンのため、がん関連抗原の診断および画像化のため、ならびに抗体および薬物などの治療物質の同定のための道具として、薬物スクリーニングにおいて有用である。
本発明の別の局面は、セネッセンスを伴わずに、または、増殖能力(自己複製する能力)が失われることもなく培養状態で維持され得るこのような実質的に純粋なヒトがん幹細胞の集団を単離する方法に関する。これらの方法は、増殖のために最適化された環境でヒトがん幹細胞を培養することに基づいている。ヒトがん幹細胞を培養するための栄養培地は、対応する胎児前駆/幹細胞の増殖を支援するために最適化された培地処方に基づいている。
本発明の別の局面は、機能アッセイ法によって、このような実質的に純粋なヒトがん幹細胞の集団を特徴付ける方法に関する。このような方法は当技術分野において公知であり、本発明のヒトがん幹細胞の特徴付けに適している。一般に、このような方法は、少数のヒトがん幹細胞の移植によって、免疫が低下した宿主動物において腫瘍を形成させるための異種移植モデルである。
本発明の別の局面は、腫瘍(がん)幹細胞培養物を特徴付けするための方法を提供する。このような特徴付けは、造血幹細胞と以前に関連付けられたマーカーであるCD34を非限定的に含む、ある種のマーカーの発現を含んでよい。
本発明のさらに別の局面において、本発明は、ヒトがん幹細胞の集団を非ヒト哺乳動物レシピエントに導入することによって、ヒト腫瘍異種移植モデルを作製する方法に関する。
本発明の別の局面において、本発明は、ヒトがん幹細胞またはその断片を免疫原として用いる方法、および免疫原として役立つように、単離されたがん幹細胞を適切に提供するための方法に関する。これらの方法は、治療物質および診断物質として、ならびに個体の免疫応答を増強するためのワクチンとして抗がん幹細胞を作製するのに有用である。ワクチンは、治療的または予防的に使用することができる。治療的ワクチンは、がんを治療するために、がんに罹患している対象に投与される。がんに罹患している対象の場合、ワクチンは、対象自身のがん細胞から、または同種異系のがん細胞もしくは腫瘍細胞株から作製してよい。予防的ワクチンは、対象ががんを発症するリスクを低下させるために、がんに罹患していない対象に投与される。
本発明の別の局面は、医薬を開発するための生物学的構成要素としてのヒトがん幹細胞の供給源を提供する方法であって、ヒトがん幹細胞培養物が、がん幹細胞生物学的構成要素の供給源として使用され、これらのヒトがん幹細胞生物学的構成要素のうち1種または複数種が、開発中の薬物の標的である方法を提供する。
本発明の別の局面において、本発明は、バイオアッセイ法の開発において使用するためのヒトがん幹細胞培養物を提供する方法に関する。ヒトがん幹細胞培養物をバイオアッセイ法において用いて、ヒトがん幹細胞の増殖および/または生存に影響を及ぼし得る因子、作用物質、または化合物を同定することができる。このような影響には、増殖促進、増殖停止、静止、死滅、アポトーシス、代謝の変化、遺伝子発現の変化、タンパク質発現の変化、または増殖/代謝経路の改変が含まれ得る。がん幹細胞をバイオアッセイ法および/または創薬において用いて、腫瘍発生、腫瘍定着、腫瘍増殖、および転移の分子経路を理解することができる。
発明の詳細な説明
下記の本発明の詳細な説明は、当業者が本発明を実践するのを手助けするために提供される。この詳細な説明は、本発明を限定すると解釈されるべきではなく、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書において開示する態様を修正することができる。本開示の全体を通して、様々な刊行物、特許、および公開された特許明細書は引用によって参照される。これらの刊行物、特許、および公開された特許の開示は、その全体が参照により本開示の本明細書に組み入れられる。
本発明の実践は、別段の定めが無い限り、免疫学、分子生物学、微生物学、細胞生物学、および組換えDNAの従来の技術を使用し、これらは当業者の技能の範囲内である。例えば、Molecular Cloning: a laboratory manual, 第2版、Sambrook, et al. (1989); Current Protocols In Molecular Biology F. M. Ausubel, et al.編、(1987); Methods In Enzymologyシリーズ、Academic Press, Inc.; PCR 2: A Practical Approach, M.J. MacPherson, B.D. HamesおよびG.R. Taylor編(1995), Antibodies, A Laboratory Manual, HarlowおよびLane編(1988); Adult and Pediatric Urology, J. Gillenwater et al.編(2002)、ならびにAnimal Cell Culture, R.I. Freshney編(1987)を参照されたい。
明細書および特許請求の範囲において使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈において特に規定がない限り、複数の指示内容を含む。例えば、「細胞(a cell)」という用語は、それらの混合物を含む複数の細胞を含む。
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、「がん幹細胞」および「CSC」という用語は交換可能であり、固形がん幹細胞を意味する。CSCは哺乳動物由来であり、好ましい態様において、これらのCSCはヒト由来であるが、それに限定されることを意図しない。本明細書において使用される場合、「腫瘍幹細胞」とは、典型的には、ヒト固形腫瘍から単離および培養した細胞を意味し、がん幹細胞と交換可能に使用される。
がん幹細胞は、適切な条件下でインビトロで無制限に増殖することができる(自己複製能力)腫瘍に由来する細胞の小規模なサブセットとして定義され、かつ機能的に特徴付けられ、ごく少数の細胞を用いてインビボで腫瘍を形成することができる。CSCを特徴付ける他の一般的なアプローチは、細胞表面マーカーの形態および検査、転写プロファイル、ならびに薬物応答を含む。
本発明の態様において、多数のCSC株が、多数の腫瘍タイプから樹立された。これらのCSCは、いくつかの特徴的な細胞表面抗原を共有し、他は異なる。本発明のCSC株のいくつかの態様は無制限に増殖し、20個未満の細胞からインビボで腫瘍を形成することができる。いくつかのCSCは、腎被膜下動物モデルまたは同所移植片において自然発生的に転移性である。本発明のCSC株およびCSC転移に由来する細胞株では、CD34およびCD44の発現のような細胞表面マーカー発現が特徴的に変化している。マーカー発現は、培養条件および動物における細胞株継代によって変化し得る。
本明細書において説明するがん幹細胞株は、細胞表面抗原の差次的ディスプレイに関して検査された。細胞表面抗原ディスプレイのパターンはまた、異なる培養条件(動物由来の産物を含むまたは含まない)で動物において細胞株を継代した後、および原発腫瘍と転移性腫瘍とでも異なるが、前述の好ましい培地でこれらの細胞が維持される場合には、インビトロでの多数回の継代の間、安定である。このパターンの細胞表面抗原および細胞マーカーの変化は、本発明のがん幹細胞を同定し、かつ特徴付けるために有用である。
「抗体」とは、抗原に結合することができる免疫グロブリン分子である。本明細書において使用される場合、この用語は、完全な免疫グロブリン分子だけでなく、必要とされる特異性を有する抗原認識部位を含む、免疫グロブリン分子の抗イディオタイプ抗体、変異体、断片、融合タンパク質、ヒト化タンパク質、および改変体(modification)も包含する。
「モノクローナル抗体」とは、同種の抗体集団を意味し、モノクローナル抗体は、ある抗原の選択的結合に関与しているアミノ酸(天然および非天然)からなる。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位を対象とする。「モノクローナル抗体」という用語は、完全なモノクローナル抗体および完全長モノクローナル抗体だけでなく、それらの断片(例えば、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv)、単鎖(ScFv)、それらの変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化モノクローナル抗体、キメラモノクローナル抗体、ならびに、必要とされる特異性および抗原結合能力を有する抗原認識部位を含む他の任意の立体配置が改変された免疫グロブリン分子を包含する。抗体の供給源またはそれを作製する様式(例えば、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、トランスジェニック動物などによる)に関して限定することは意図されない。
「ヒト化」抗体とは、抗原結合部位が非ヒト種由来の免疫グロブリンに由来し、かつ、分子の残りの免疫グロブリン構造がヒト免疫グロブリンの構造および/または配列をベースとする分子を意味する。抗原結合部位は、定常ドメイン上に融合された完全な可変ドメイン、または可変ドメイン中の適切なフレームワーク領域にグラフティングされた相補性決定領域(CDR)のみのいずれかを含み得る。
「抗原」という用語は、抗体が結合できる1つまたは複数の抗原決定基またはエピトープを含み得る分子である。抗原は、免疫原特性を有し得る、すなわち、免疫応答を誘導し得る物質である。抗原は、あるタイプの免疫原であるとみなされる。本明細書において使用される場合、「抗原」という用語は、完全長タンパク質、ならびに1つまたは複数のエピトープを含有するか、または含む、それらのペプチド断片を意味すると意図される。また、抗原は、1つもしくは複数の抗原決定基部位を含み得るか、またはそのような部位の1つもしくは複数の断片、そのような部位の変種、もしくはそのような部位のペプチドミメティックを含み得る。抗原は、タンパク質、部分的にタンパク質、または非タンパク質でよい。これらの化合物は、グリコシル化され得る。
「表面抗原」および「細胞表面抗原」という用語は本明細書において交換可能に使用され、細胞の形質膜構成要素を意味する。これらの構成要素には、内在性膜タンパク質および表在性膜タンパク質、糖タンパク質、多糖類、脂質、ならびにグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)結合タンパク質が含まれるがそれらに限定されるわけではない。「内在性膜タンパク質」は、細胞の形質膜の脂質二重層を貫通して伸びる膜貫通型タンパク質である。典型的な内在性膜タンパク質は、一般に疎水性アミノ酸残基からなる少なくとも1つの膜貫通セグメントからなる。表在性膜タンパク質は、脂質二重層の疎水性内部には伸びず、他の膜タンパク質との非共有結合的相互作用によって膜表面に結合している。GPI結合タンパク質は、脂質二重層中に挿入されている脂質尾部によって細胞表面に保持されているタンパク質である。
「免疫原」とは、免疫応答を誘導する任意の物質を意味する。免疫原である物質は、「免疫原性」であると説明される。免疫応答の誘導には、体液性応答(例えば、抗体の産生)または細胞応答(例えば、細胞障害性T細胞の刺激)の活性化、炎症応答(例えば、白血球の動員)、ならびにサイトカインおよびリンフォカインの分泌が含まれるがそれらに限定されるわけではない。
「異種」という用語は、免疫化または移植のために使用される細胞に適用される場合、その細胞が、レシピエントと遺伝子型が異なる実体に由来することを意味する。例えば、異種細胞は、異なる種、またはレシピエントと同じ種の異なる個体に由来してよい。1つの種のある個体に由来する胚細胞は、同じ種の成体に対して異種である。「異種」とは、レシピエントに適用される場合、そのレシピエントが、レシピエント中に導入される細胞の供給源と遺伝子型が異なる実体であることを意味する。
細胞表面は、ヒトがん幹細胞表面の少なくとも約50%、より好ましくはヒトがん幹細胞表面の少なくとも約75%、さらにより好ましくはヒトがん幹細胞表面の少なくとも約90%、および最も好ましくはヒトがん幹細胞表面の少なくとも約95%が、抗原部位もしくは抗体結合部位が結合されるか、または抗体もしくは抗体の一部分による抗原認識のために利用できなくなるように細胞表面に結合する血清由来の血清生体分子を有さない場合、「血清生体分子が実質的に無い」。細胞表面は、顕微鏡観察またはフローサイトメトリーのいずれかによって細胞サイズを測定することにより、測定することができる。例えば、様々な公知のサイズの合成ビーズが、フローサイトメトリーにおいて較正のために通常使用される。少量の較正したビーズをがん幹細胞と混合してよく、結果として得られる集団をフローサイトメトリーによって解析する。次いで、ヒトがん幹細胞を較正したビーズのサイズと比較することができる。ビーズのサイズが公知であるため、細胞表面量の計算を遂行することができる。
本明細書において使用される「セネッセンス」とは、細胞が分裂能力を失う現象を意味する。
本明細書において使用される場合、「実質的に純粋な」細胞集団とは、少なくとも約85%の関心対象の細胞、好ましくは少なくとも約90%、およびさらにより好ましくは約95%またはそれ以上からなる細胞集団である。
「血清」とは、本明細書において使用される場合、血液を凝固させた後に残る、哺乳動物血の液体相を意味する。
「血清生体分子」とは、本明細書において使用される場合、血清中に存在する生物学的組成物を意味する。例には、アルブミン、a1-グロブリン、a2-グロブリン、b-グロブリン、およびg-グロブリン含まれるがそれらに限定されるわけではない。血清生体分子には、生物学的組成物の全体または部分が含まれ、これらは血清中に天然に存在するか、または血清の加工および処理に由来する。
「哺乳動物」または「哺乳動物の」という用語は、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、サル、競技動物(sport animal)、およびペットを非限定的に含む温血脊椎動物を意味する。
がん幹細胞抗原
本発明の態様において、ある種の抗原は、本明細書において開示するがん幹細胞の表面で検出された。これらには、公知の抗原、新規な抗原、および組織幹細胞ともがん幹細胞とも以前に関連付けられていない抗原が含まれる。例として非限定的に、これらの抗原には、B7H3(様々なエピトープ)、CD46、トランスフェリン受容体、CD112(ポリオウイルス受容体関連タンパク質2)、ephA2受容体、EGFR、ALCAM(CD166)、α-V-β-5、JAM3、プリオピオニル(priopionyl)-コエンザイムAカルボキシラーゼα、カルボキシペプチダーゼM、カルボキシペプチダーゼC、LDL-受容体、デスモグレイン2、ADAM9、CEA CD66e、オンコスタチンM受容体β、α2インテグリン、およびプロスタチンが含まれる。これらの抗原を発現する細胞株は、これらの発明の方法において使用するために特に好ましい。
これらのがん幹細胞抗原を単離および獲得するための方法は、一般的である。好ましい方法では、これらの抗原に対する抗体を使用する。これらの抗原のうちいくつかを対象とする抗体の例は、以下の開示において提供される:B7H3(PCT WO2004/001381およびUS60/733,041、特に抗体TES7、PTA-7093)、CD46(US7,148,038、特に抗体PA7、PTA-3706)、トランスフェリン受容体(PCT WO05/121179、特に抗体LUCA31、PTA-6055)、ephA2受容体(PCT WO06/084226、特に抗体SPL1、PTA-6059)、JAM3(PCT WO06/084078、特に抗体PACA4、PTA-6510)、カルボキシペプチダーゼM(PCT WO06/076584、特に抗体KID31、PTA-6516)、ADAM9(PCT WO06/084075、特に抗体KID24、PTA-5174)、およびオンコスタチンM受容体β(PCT WO06/084092、特に抗体LUCA38、PTA-6511)。これらの抗体は、本明細書の教示に従ったがん幹細胞マーカーとして特に有用である。
これらの抗原は、がん幹細胞を一般に同定して、新しいがん幹細胞を発見する際に使用するための、または組織特異的もしくは発生段階に特異的であるもののようながん幹細胞の選択されたサブセットを同定するための望ましいマーカーである。本発明は、これまではがん幹細胞特異的であると認識されていなかった抗原パネルを開示し、したがって、細胞をプロファイリングし、それらの幹細胞性(stem-cellnes)を確認するための手段を使用可能にする。細胞は、フロー解析および他の一般に公知の手段を用い、単独でまたは他の公知のマーカーと組み合わせて、本明細書において開示する幹細胞マーカーのいくつかまたはすべての存在に基づいて、集団から選択することができる。ルーチンな実験法を用いて、本明細書において開示する抗原の細胞表面での存在を決定して、特定の組織、細胞、または細胞培養物に対する独特ながん幹細胞抗原「フィンガープリント」の収集を可能にする。
本発明者らは、固形腫瘍由来の顕著な数のがん幹細胞上に存在するマーカーのセットを同定した。これらのセットは、上記に特定した抗原のいくつかまたはすべてを含む。これらはがん幹細胞上にのみ排他的に存在するわけではない。本明細書において教示する方法を用いると、これらのマーカーは、正常組織幹細胞、正常組織、腫瘍組織、または娘細胞に(ある程度は)結合する。これらの抗原のうち多くは、正常幹細胞およびがん幹細胞の両方に存在する。いくつかは、本明細書において開示するがん幹細胞株の内の少なくとも5種に存在し、例えば、B7H3(すべてのエピトープ)がある。固形腫瘍由来のがん幹細胞のマーカープロファイルは、造血細胞由来のものとは異なることが予想される。
これらの抗原はまた、経時的に細胞表面を評価するためにも有用である。不掲載のデータにおいて、抗体パネルおよびがん幹細胞株の3つのペアを用いて、比較および差次的な結合アッセイ法を実施した:乳がん幹細胞株BRCA1103を第11代および第12代の時点で評価して、アッセイ法の再現性を示し、直腸がん腫のがん幹細胞株RECA0515を第10代および第16代の時点で評価して、細胞株の安定性を示し、結腸直腸がん腫のがん幹細胞株CRCA0404を用いて、親株とこの株に由来するクローンを比較した。RECA0515第10代 対 第16代の抗原プロファイルは13%異なり、BRCA1103の第11代 対 第12代の場合は2%異なり、CRACA0404 対 クローンの場合の抗原プロファイルは6%異なっていた。
本明細書において開示するように、がん幹細胞マーカーのセットは、所望の特徴を有する細胞の選択を最適化するように選択される。例えば、娘細胞、転移性沈着物由来の細胞、またはインビボで継代された細胞のマーカープロファイルは、組織または初代細胞培養物に由来するがん幹細胞のプロファイルとは異なっている。
ある種の抗原は、腫瘍組織の細胞すべてで発現されるわけではないが、その腫瘍に由来するがん幹細胞上に存在する。この種の差次的な発現を決定するための方法は、当分野において一般に公知である。
これらのがん幹細胞抗原をマーカーとして使用するための本明細書において開示する方法は、細胞培養法を用いた選択、表現型の評価または形態学などがん幹細胞を同定するための他の方法と有用に組み合わせられる。
これらの特に好ましい抗原は、多価ワクチン、組合せ治療的組成物中に存在するか、または疾患の予防、治療、もしくは診断のための個別の治療的組成物として存在する、望ましいワクチン構成要素である。これらのがん幹細胞抗原に結合する作用物質は、治療的部分または診断的部分をがん幹細胞にターゲティングするために有用である。
本発明の局面は、抗体TES7、PA7、LUCA31、SPL1、PACA4、KID31、KID24、およびLUCA38の内の1種または複数種に結合する、がん幹細胞形態を有する単離されたがん幹細胞を含む。
本発明のがん幹細胞はまた、リガンドに結合された場合に、血管新生因子および増殖因子などのサイトカインの産生を調整する抗原を発見およびスクリーニングするために使用される。例えば、B7-H3のアイソフォームを対象とする、本明細書においてTES7と呼ぶがん幹細胞結合抗体は、ストローマ細胞およびがん幹細胞の両方による血管新生因子VEGFおよびMIP-1α(CCL3)の分泌を減少させる。TES7および本明細書においてKID24と呼ぶ抗体の両方とも、サイトカイン経路およびサイトカインシグナル伝達を調整する能力を有することが示された。これにより、腫瘍増殖を推進することができるシグナル伝達メカニズムへの新しい洞察が得られ、本発明のがん幹細胞は、標準的な増殖アッセイ法では見逃されるであろう増殖調節抗体を同定する能力を提供する。本発明の教示によれば、本発明のがん幹細胞上に存在する抗原に対して産生させた抗体をサイトカインアッセイ法において使用して、抗体/抗原がサイトカインシグナル伝達を調整するかどうか決定する。本発明の実践に際して使用するのに適した多種多様なサイトカインアッセイ法は、当技術分野において周知である。
固形がん幹細胞の単離および維持
好ましい態様において、本発明のヒトがん幹細胞は、ヒト固形腫瘍組織から単離される。以下の方法は、限定的ではなく、例示的である。他の一般に公知の方法は、本発明の実践に際して許容される。
ヒト固形腫瘍組織を好ましくは数回、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)ですすぐ。PBSは、限定されるわけではないがゲンタマイシンのような、抗生物質および/または抗真菌物質を含んでよい。ヒト固形腫瘍組織を約1mmの立方体に刻み、解離培地中に懸濁させる。解離培地は、細胞解離剤を添加した基本培地である。非限定的に、EDTA、EGTA、トリプシン、およびコラゲナーゼ-ディスパーゼを含む、多種多様の解離剤を使用することができる。好ましい解離剤は、刻んだ腫瘍組織からの細胞の部分的な解離を可能にさせる濃度で使用されるコラゲナーゼディスパーゼである。好ましい濃度は、PBS中10重量対体積百分率(%w/v)である。トリプシンインヒビターの使用もまた、解離培地中に含めてよい。好ましいトリプシンインヒビターは、適切な濃度で使用されるダイズトリプシンインヒビター(STI)である。非限定的な例として、1つの典型的な適切なSTI濃度は10%(v/v)である。
細胞を解離培地中で37℃にてインキュベートする。5分間隔で、懸濁液をピペッティングして、細胞凝集物をほぐす。凝集物のサイズが細胞10〜20個になった時点で酵素活性を停止させる。遠心分離によって細胞をペレット状にし、基本培地で洗浄し、遠心分離によってペレット状にする。上清を除去し、組織を基本培地中に再懸濁し、次いで、培養皿に移す。
多種多様の基本培地が、ヒト固形がん幹細胞の生存を促進する範囲で液体のpHを保つために使用される。非限定的な例には、F12/DMEM、Ham's F10(Sigma)、CMRL-1066、最小必須培地(MEM、Sigma)、RPMI-1640(Sigma)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Sigma)、OPTI-MEM(登録商標)(GIBCO BRL)、およびイスコフ改変イーグル培地(IMEM)が含まれる。さらに、HamおよびWallace (1979) Meth. Enz., 58:44、Barnes およびSato (1980) Anal. Biochem., 102:255、またはMather, J.P. およびRoberts, P.E. (1998) 「Introduction to Cell and Tissue Culture」、 Plenum Press, New Yorkに記載されている基本栄養培地のいずれかもまた、使用することができる。場合によっては、基本培地は、特許出願公開WO 2005/028626に記載されている培地のように、糖供給源としてフルクトースを使用してよい。
基本培地を培養皿に添加し、加湿雰囲気中、37℃で組織をインキュベートする。がん幹細胞の生存および増殖を促進する好ましい態様において、基本培地を補助するために様々な栄養素を添加し、このようにして「栄養培地」を作製する。ヒトがん幹細胞凝集体をこの培地中に入れると、好ましい態様において、CSCは細胞凝集物から出て培地中へと移動し、培養皿または他の供給されたアンカー材料に固着する。培養皿にもアンカーにも付着しない、刻んだ組織の残遺物は、培地中に流れ、短期間の培養後、例えば1〜2週間後に培地交換することによって除去される。
別の好ましい態様において、ヒトがん細胞凝集体に由来する細胞は、栄養培地に入れるとすべて培養皿に付着し、ヒトがん幹細胞は、ヒト腫瘍からの他の細胞型の内でゆっくりと樹立し、増殖する。最終的に、ヒトがん幹細胞は、実質的に純粋な細胞集団を形成し、他の混在する細胞型はもはや培養物中に存在しなくなる。培養プロセスおよび環境は、混在する細胞型の複製および/または生存を支援せず、ヒトがん幹細胞の生存および増殖を促進して、実質的に純粋なヒトがん幹細胞集団を生じさせる。ヒトがん幹細胞集団は、培養状態で長期に渡って増殖することができ、セネッセンスを伴わずに多数回分裂増殖および増殖することができる。
ヒトがん幹細胞は、コーティングされていないか、または様々な基材でコーティングされた組織培養容器(例えば、フラスコ、プレートなど)中で増殖させることができる。使用され得る基材の非限定的な例には、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲン、ポリリジン、ニトロセルロース、ナイロン、およびポリテトラフルオロエチレンが含まれる。組織培養容器のサイズは、容器内に入れられるヒト腫瘍組織の量に比例する。当業者は、組織培養容器内に入れる腫瘍組織を段階的に増加させることによって、組織培養容器の正確なサイズを決定することができる。ヒト腫瘍組織を組織培養容器内に最初に入れる際、培地の全体的な混濁度は、一般的に清澄である。細胞が腫瘍組織細片の外へと移動して離れるにつれ、培地は、より不透明かつより混濁した状態になる。培地が著しく混濁した時点で、より多くの栄養培地を組織培養容器中に入れて、より多くの新鮮な培地を添加するか、または培地を完全に交換することによって、ヒト腫瘍細胞に消費された栄養素を補給する。さらに、または代替法として、培地が混濁した際に、少量の細胞を組織培養容器から取り出し、例えばトリパンブルー染色によって、細胞生存率を検査してもよい。過度に多い細胞に覆い尽くされた組織培養容器は、細胞生存率の減少を示し始める。
ヒトがん幹細胞の継続培養は、一般に、1つまたは複数の新しい培養容器への細胞の移動を含む。好ましくは、このような移動は、(例えば、細胞生存率の減少によって示されるように)培養容器が細胞に覆い尽くされる前に実施する。細胞をより大きなサイズの他の容器(例えば、より大きな立方体積)に移して、量が増加しつつある細胞を収容してもよい。あるいは、細胞を、新鮮な栄養培地を含むいくつかの別々の組織培養容器に「分割」してもよい(「継代培養」としても公知である)。このようにして、実質的に純粋なヒトがん幹細胞集団を獲得し、増殖させることができる。
組織培養容器からの細胞の除去は、好ましくは、酵素処理により、プラスチック製組織培養容器の表面および/または使用した基材(例えば、フィブロネクチン、ラミニンなど)から細胞を剥離させることによって遂行する。より好ましい態様において、コラゲナーゼ-ディスパーゼのような酵素は、組織培養フラスコの内側の面からヒトがん幹細胞を解離させるのに十分な量で使用される。有効量は、少なくとも約10体積%、より好ましくは少なくとも約1体積%、および最も好ましくは少なくとも約0.1体積%のコラゲナーゼ-ディスパーゼである。組織培養容器の表面から細胞を脱離させた後、基本培地、好ましくは本明細書において開示する栄養培地で酵素を洗い流し、これらの細胞を、栄養培地、好ましくは本明細書において開示する栄養培地を含む新しい培養容器中に入れる。栄養培地は、ヒトがん幹細胞と同じ組織に由来する胎児幹/前駆細胞に対して最適化した栄養培地中に存在する増殖因子および化合物を含んでよい。
ヒトがん幹細胞に栄養を与える頻度は、細胞の栄養素代謝の速度ならびに添加したホルモンおよび増殖因子の安定性に依存する。栄養素代謝の速度が速いほど、細胞は栄養をより頻繁に与えられる必要がある。一般に、細胞が培地中の栄養素を代謝するにつれて、培地の酸度が上昇する。一部の栄養培地(例えば、RPMI-1640、DMEM、EMEMなど)は、酸性になった場合に培地の色が変わるように、酸度を示すpH感受性色素を含む。その場合、栄養培地を添加して、細胞の生命を維持し、かつ細胞の増殖を促進すると考えられる酸度まで既存の培地の酸度を変えることができる。あるいは、少しの分量の細胞を組織培養容器から取り出し、例えばトリパンブルー染色によって、細胞生存率を評価してもよい。栄養培地が代謝されていた場合は、細胞生存率は低い(例えば50%未満)と考えられる。無血清合成培地中でヒトがん幹細胞の生存および増殖を促進するために好ましい栄養供給頻度は、週に約2回である。本発明のヒトがん幹細胞は、セネッセンスを伴わずに、培養状態で長期に渡って増殖することができる。
ヒト結腸直腸がん幹細胞(CRCA)
ヒト結腸直腸がん幹細胞は、ヒト結腸直腸がん組織から単離される。腫瘍組織をきれいにし、刻み、解離させた後、結腸直腸がん幹細胞を維持する栄養培地にこれを入れ、CSCを増殖させる。栄養培地は、ヒト結腸直腸がん幹細胞の増殖および繁殖のために最適化された栄養素を含む適切な基本培地である。好ましい態様では、F12/DMEM(50:50)基本培地を使用する。補充栄養素の例には、インスリン、トランスフェリン、上皮増殖因子、セレン、トリヨードチロニン(T3)、エタノールアミン、ホスホエタノールアミン、ヒドロコルチゾン、およびI-トコフェロール(ビタミンE)が含まれるがそれらに限定されるわけではない。好ましい態様において、次の量の栄養素が、ヒト結腸直腸がん幹細胞の生存および増殖を促進するために使用される:少なくとも約10ng/mlのインスリンおよび約1mg/ml以下のインスリン、より好ましくは約10μg/mlのインスリン;少なくとも約1μg/mlのトランスフェリンおよび100μg/ml以下のトランスフェリン、より好ましくは約10μg/mlのトランスフェリン;少なくとも約500pg/mlの上皮増殖因子(EGF)および5μg/ml以下のEGF、より好ましくは5ng/mlのEGF;少なくとも1×10-10Mのセレンおよび1×10-6M以下のセレン、より好ましくは2.5×10-8Mのセレン;少なくとも1×10-14Mのトリヨードチロニン(T3)および1×10-10M以下のT3、より好ましくは1×10-12MのT3;少なくとも1×10-8Mのエタノールアミンおよび1×10-4M以下のエタノールアミン、より好ましくは1×10-6Mのエタノールアミン;少なくとも1×10-8Mのホスホエタノールアミンおよび1×10-4M以下のホスホエタノールアミン、より好ましくは1×10-6Mのホスホエタノールアミン;少なくとも1×10-11Mのヒドロコルチゾンおよび1×10-7M以下のヒドロコルチゾン、より好ましくは1×10-9M;少なくとも100ng/mlのビタミンEおよび100μg/ml以下のビタミンE、より好ましくは5μg/mlのビタミンE。ゲンタマイシン、ペニシリン、および/またはストレプトマイシンなどの抗生物質および/または抗真菌物質もまた、培地に添加してよいが、抗生物質/抗真菌物質は、培養の初期段階(例えば、最初の2日〜5日)の間にのみ添加されることが好ましい。
当技術分野において周知である様々な培養管中で細胞を増殖させ、継代することができる。好ましい態様は、基材でコーティングした培養皿中でヒト結腸直腸がん幹細胞を培養するものである。当技術分野において公知である様々な培養基材がある。このような基材の例には、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、およびマトリゲルなどが含まれるがそれらに限定されるわけではない。特に好ましい態様は、フィブロネクチンまたはラミニンのいずれかでコーティングした培養皿上でヒト結腸直腸がん幹細胞を増殖させ、継代するものである。
ヒト直腸がん幹細胞(RECA)
ヒト直腸がん幹細胞は、ヒト直腸がん組織から単離される。腫瘍組織をきれいにし、刻み、解離させた後、直腸がん幹細胞を維持する栄養培地にこれを入れ、CSCを増殖させる。栄養培地は、ヒト直腸がん幹細胞の増殖および繁殖のために最適化された栄養素を含む適切な基本培地である。好ましい態様では、F12/DMEM(50:50)基本培地を使用する。補充栄養素の例には、インスリン、トランスフェリン、EGF、セレン、T3、エタノールアミン、ホスホエタノールアミン、ヒドロコルチゾン、ビタミンE、およびブタ脳下垂体エキス(PPE)が含まれるがそれらに限定されるわけではない。好ましい態様において、次の量の栄養素が、ヒト直腸がん幹細胞の生存および増殖を促進するために使用される:少なくとも約10ng/mlのインスリンおよび約1mg/ml以下のインスリン、より好ましくは約10μg/mlのインスリン;少なくとも約1μg/mlのトランスフェリンおよび約100μg/ml以下のトランスフェリン、より好ましくは約10μg/mlのトランスフェリン;少なくとも約500pg/mlの上皮増殖因子(EGF)および5μg/ml以下のEGF、より好ましくは5ng/mlのEGF;少なくとも1×10-10Mのセレンおよび1×10-6M以下のセレン、より好ましくは2.5×10-8M;少なくとも1×10-14Mのトリヨードチロニン(T3)および1×10-10M以下のT3、より好ましくは1×10-12MのT3;少なくとも1×10-8Mのエタノールアミンおよび1×10-4M以下のエタノールアミン、より好ましくは1×10-6Mのエタノールアミン;少なくとも1×10-8Mのホスホエタノールアミンおよび1×10-4M以下のホスホエタノールアミン、より好ましくは1×10-6Mのホスホエタノールアミン;少なくとも1×10-11Mのヒドロコルチゾンおよび1×10-7M以下のヒドロコルチゾン、より好ましくは1×10-9M;ならびに少なくとも100ng/mlのビタミンEおよび100μg/ml以下のビタミンE、より好ましくは5μg/mlのビタミンE。
他の増殖因子を栄養培地に添加して、ヒト直腸がん幹細胞の増殖および生存を促進してもよい。このような増殖因子には、動物の脳下垂体から得た脳下垂体エキスが含まれ得るがそれに限定されるわけではない。当技術分野において公知である多くの動物脳下垂体エキスがある。好ましい脳下垂体エキスの例には、ヒト脳下垂体エキス(HPE)、ウシ脳下垂体エキス(BPE)、およびブタ脳下垂体エキス(PPE)が含まれるがそれらに限定されるわけではない。脳下垂体エキスの調製は、当技術分野において周知であり、本発明のヒトがん幹細胞の単離および増殖のために適切であり得る。
ブタ脳下垂体エキスを調製する1つの好ましい方法は、ブタ脳下垂体100グラムを使用する段階および0.15M NaCl 250mlを添加する段階を含む。脳下垂体とNaClの混合物を、冷却したフードプロセッサー中で2、3回、短時間粉砕し(pulsed)、次いで、約10分間、または所望の硬さに達するまで、フードプロセッサー中でピューレにする。次いで、混合物をビーカーに移し、マグネチックスターラ上で約90分間攪拌する。次いで、混合物を適切なチューブに移し、18,000rpm、4℃で45分間、遠心分離する。上清をデカントし、この上清を20,000rpm、4℃で45分間、遠心分離する。0.8μmフィルター、次いで0.45μmフィルター、最後に0.22μmフィルターに通して、上清をろ過する。当技術分野において公知の標準的方法を用いて、1ml当たりのPPEタンパク質総量の濃度を決定することができる。好ましくは、タンパク質濃度は、約15mg/mlのPPEであるべきである。結果として生じるブタ脳下垂体エキスは、等分し、必要になるまで凍結することができる。
前述の方法で調製したブタ脳下垂体エキスを栄養培地に添加して、本発明のヒト直腸がん幹細胞の生存および増殖を促進することができる。好ましい態様において、栄養培地1ml当たり少なくとも7μgのPPEタンパク質総量および栄養培地1ml当たり7mg以下のPPEタンパク質総量、より好ましくは、栄養培地1ml当たり約75μgのPPEタンパク質総量が、本発明のヒト直腸がん幹細胞の生存および増殖のために添加される。
ゲンタマイシン、ペニシリン、および/またはストレプトマイシンなどの抗生物質および/または抗真菌物質もまた、培地に添加してよいが、抗生物質/抗真菌物質は、培養の初期段階(例えば、最初の2日〜5日)の間にのみ添加されることが好ましい。
当技術分野において周知である様々な培養管中で細胞を増殖させ、継代することができる。好ましい態様は、基材でコーティングした培養皿中でヒト直腸がん幹細胞を培養するものである。当技術分野において公知である様々な培養基材がある。特に好ましい態様は、フィブロネクチン、ラミニン、またはフィブロネクチンとラミニンの混合物でコーティングした培養皿上でヒト直腸がん幹細胞を増殖させ、継代するものである。
ヒト肺がん幹細胞
ヒト肺がん幹細胞は、ヒト肺がん組織から単離される。腫瘍組織をきれいにし、刻み、解離させた後、肺がん幹細胞を維持する栄養培地に組織を入れ、CSCを増殖させる。栄養培地は、ヒト肺がん幹細胞の増殖および繁殖のために最適化された栄養素を含む適切な基本培地である。好ましい態様では、F12/DMEM(50:50)基本培地を使用する。補充栄養素の例には、インスリン、トランスフェリン、EGF、セレン、およびブタ脳下垂体エキス(PPE)が含まれるがそれらに限定されるわけではない。好ましい態様において、次の量の栄養素が、ヒト肺がん幹細胞の生存および増殖を促進するために使用される:少なくとも約10ng/mlのインスリンおよび約1mg/ml以下のインスリン、より好ましくは約10μg/mlのインスリン;少なくとも約1μg/mlのトランスフェリンおよび約100μg/ml以下のトランスフェリン、より好ましくは約10μg/mlのトランスフェリン;少なくとも約500pg/mlの上皮増殖因子(EGF)および5μg/ml以下のEGF、より好ましくは5ng/mlのEGF;少なくとも約1×10-10Mのセレンおよび1×10-6M以下のセレン、より好ましくは2.5×10-8Mのセレン;ならびに、1ml当たり少なくとも7μgのPPEタンパク質総量、および1ml当たり7mg以下のPPEタンパク質総量、より好ましくは1ml当たり75μgのPPEタンパク質総量。ゲンタマイシン、ペニシリン、および/またはストレプトマイシンなどの抗生物質および/または抗真菌物質もまた、培地に添加してよいが、抗生物質/抗真菌物質は、培養の初期段階(例えば、最初の2日〜5日)の間にのみ添加されることが好ましい。
当技術分野において周知である様々な培養管中で細胞を増殖させ、継代することができる。好ましい態様は、基材でコーティングした培養皿中でヒト肺がん幹細胞を培養するものである。当技術分野において公知である様々な培養基材がある。このような基材の例には、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、およびマトリゲルなどが含まれるがそれらに限定されるわけではない。特に好ましい態様は、フィブロネクチンでコーティングした培養皿上でヒト肺がん幹細胞を増殖させ、継代するものである。
ヒト膵臓がん幹細胞
ヒト膵臓がん幹細胞は、ヒト膵臓がん組織から単離される。腫瘍組織をきれいにし、刻み、解離させた後、膵臓がん幹細胞を維持する栄養培地にこれを入れ、CSCを増殖させる。栄養培地は、ヒト膵臓がん幹細胞の増殖および繁殖のために最適化された栄養素を含む適切な基本培地である。好ましい態様では、F12/DMEM(50:50)基本培地を使用する。補充栄養素の例には、インスリン、トランスフェリン、EGF、セレン、T3、エタノールアミン、ホスホエタノールアミン、ヒドロコルチゾン、プロゲステロン、ホルスコリン、ヘレグリン、およびアプロチニンが含まれるがそれらに限定されるわけではない。好ましい態様において、次の量の栄養素が、ヒト膵臓がん幹細胞の生存および増殖を促進するために使用される:少なくとも約10ng/mlのインスリンおよび約1mg/ml以下のインスリン、より好ましくは約10μg/mlのインスリン;少なくとも約1μg/mlのトランスフェリンおよび約100μg/ml以下のトランスフェリン、より好ましくは約10μg/mlのトランスフェリン;少なくとも約500pg/mlの上皮増殖因子(EGF)および5μg/ml以下のEGF、より好ましくは5ng/mlのEGF;少なくとも1×10-10Mのセレンおよび1×10-6M以下のセレン、より好ましくは2.5×10-8Mのセレン;少なくとも1×10-14Mのトリヨードチロニン(T3)および1×10-10M以下のT3、より好ましくは1×10-12MのT3;少なくとも1×10-8Mのエタノールアミンおよび1×10-4M以下のエタノールアミン、より好ましくは1×10-6Mのエタノールアミン;少なくとも1×10-8Mのホスホエタノールアミンおよび1×10-4M以下のホスホエタノールアミン、より好ましくは1×10-6Mのホスホエタノールアミン;少なくとも1×10-11Mのヒドロコルチゾンおよび1×10-7M以下のヒドロコルチゾン、より好ましくは1×10-9M;少なくとも1×10-10Mのプロゲステロンであるが、1×10-6M以下のプロゲステロン、より好ましくは1×10-8Mのプロゲステロン;少なくとも10nMのホルスコリンであるが、100μM以下のホルスコリン、より好ましくは約5μMのホルスコリン;少なくとも10pMのヘレグリン(HRG)であるが、100nM未満のヘレグリン、およびより好ましくは1〜3nMのヘレグリン;ならびに少なくとも500ng/mlのアプロチニンであるが、500μg/mlのアプロチニン、およびより好ましくは25μg/mlのアプロチニン。ゲンタマイシン、ペニシリン、および/またはストレプトマイシンなどの抗生物質および/または抗真菌物質もまた、培地に添加してよいが、抗生物質/抗真菌物質は、培養の初期段階(例えば、最初の2日〜5日)の間にのみ添加されることが好ましい。
当技術分野において周知である様々な培養管中で細胞を増殖させ、継代することができる。好ましい態様は、基材でコーティングした培養皿中でヒト膵臓がん幹細胞を培養するものである。当技術分野において公知である様々な培養基材がある。特に好ましい態様において、フィブロネクチンでコーティングした培養皿上でヒト膵臓がん幹細胞を増殖させ、継代する。ヒト膵臓がん幹細胞培養物は、毎日モニターすることができる。培地を回収して、その後の培養物の栄養培地に補充することができる。好ましい態様において、ヒト膵臓がん幹細胞用の培地を3日目毎に回収し、0.22μmフィルターを用いてろ過する。少なくとも1%(体積/体積)であるが、80%(体積/体積)以下、およびより好ましくは、20%(体積/体積)の濃度で、この順化培地を後続の培養物に添加することができる。
ヒト膵臓がん幹細胞は、最初のプレーティングから7〜10日以内に上皮様コロニーを形成し、これらの上皮様コロニーは、非分裂性の間質様細胞の間に広がる。ヒト膵臓がん幹は、継代および継代培養することができる。当業者は、ヒト膵臓幹細胞がすぐに継代培養できる状態にあるか判定することができる。好ましい態様において、ヒト膵臓がん幹細胞は、最初のプレーティング後少なくとも14日目、および最初のプレーティング後40日以内、より好ましくは、最初のプレーティング後21〜24日目に継代培養することができる。ヒト膵臓がん幹細胞を継代培養する場合、少なくとも1:2の比率であるが1:25以下の比率、およびより好ましくは1:3の比率で、フィブロネクチンでコーティングした皿上でそれらを継代培養することができる。アプロチニンは、この増殖因子の存在下でそれ以上の増殖刺激が観察されない場合には、培養物から取り除いてよい。
ヒトメルケル細胞がん幹細胞
ヒトメルケル細胞がん幹細胞は、ヒトメルケル細胞がん組織から単離される。腫瘍組織をきれいにし、刻み、解離させた後、メルケル細胞がん幹細胞を維持する栄養培地にこれを入れ、CSCを増殖させる。栄養培地は、ヒトメルケル細胞がん幹細胞の増殖および繁殖のために最適化された栄養素を含む適切な基本培地である。好ましい態様では、F12/DMEM(50:50)基本培地を使用する。補充栄養素の例には、インスリン、トランスフェリン、EGF、セレン、T3、エタノールアミン、ホスホエタノールアミン、ヒドロコルチゾン、ホルスコリン、プロゲステロン、およびブタ脳下垂体エキス(PPE)が含まれるがそれらに限定されるわけではない。任意で、基本培地への補充栄養素として神経成長因子β(NGF-β)を添加してもよい。好ましい態様において、次の量の栄養素が、ヒトメルケルがん幹細胞の生存および増殖を促進するために使用される:少なくとも約10ng/mlのインスリンおよび約1mg/ml以下のインスリン、より好ましくは約10μg/mlのインスリン;少なくとも約1μg/mlのトランスフェリンおよび約100μg/ml以下のトランスフェリン、より好ましくは約10μg/mlのトランスフェリン;少なくとも約500pg/mlの上皮増殖因子(EGF)および5μg/ml以下のEGF、より好ましくは5ng/mlのEGF;少なくとも1×10-10Mのセレンおよび1×10-6M以下のセレン、より好ましくは2.5×10-8Mのセレン;少なくとも1×10-14Mのトリヨードチロニン(T3)および1×10-10M以下のT3、より好ましくは1×10-12MのT3;少なくとも1×10-8Mのエタノールアミンおよび1×10-4M以下のエタノールアミン、より好ましくは1×10-6Mのエタノールアミン;少なくとも1×10-8Mのホスホエタノールアミンおよび1×10-4M以下のホスホエタノールアミン、より好ましくは1×10-6Mのホスホエタノールアミン;少なくとも1×10-11Mのヒドロコルチゾンおよび1×10-7M以下のヒドロコルチゾン、より好ましくは5×10-6M;少なくとも10nMのホルスコリンおよび500μM以下のホルスコリン、より好ましくは1〜5μMのホルスコリン;少なくとも1×10-10Mのプロゲステロンおよび1×10-6M以下のプロゲステロン、より好ましくは10×10-8Mのプロゲステロン;ならびに、1ml当たり少なくとも7μgのPPEタンパク質総量、および1ml当たり750μg以下のPPEタンパク質総量、より好ましくは1ml当たり約75μgのPPEタンパク質総量。PPEは、この増殖因子の存在下でそれ以上の増殖刺激が観察されない場合には、培養物から取り除いてよい。
場合によっては、神経成長因子β(NGF-β)を栄養培地に添加して、メルケル細胞がん幹細胞の増殖を促進してもよい。NGFβを使用する場合、少なくとも100pg/mlのNGF-βおよび1μg/ml以下のNGF-β、より好ましくは10ng/mlのNGF-βを使用されたい。NGF-βは、この増殖因子の存在下でそれ以上の増殖刺激が観察されない場合には、培養物から取り除いてよい。ゲンタマイシン、ペニシリン、および/またはストレプトマイシンなどの抗生物質および/または抗真菌物質もまた、培地に添加してよいが、抗生物質/抗真菌物質は、培養の初期段階(例えば、最初の2日〜5日)の間にのみ添加されることが好ましい。
当技術分野において周知である様々な培養管中で細胞を増殖させ、継代することができる。好ましい態様は、基材でコーティングした培養皿中でヒトメルケル細胞がん幹細胞を培養するものである。当技術分野において公知である様々な培養基材がある。特に好ましい態様において、フィブロネクチンでコーティングした培養皿上でヒトメルケル細胞がん幹細胞を増殖させ、継代する。
ヒト前立腺がん幹細胞(PRCA)
ヒト前立腺がん幹細胞は、ヒト前立腺がん組織から単離される。腫瘍組織をきれいにし、刻み、解離させた後、前立腺がん幹細胞を維持する栄養培地にこれを入れ、CSCを増殖させる。栄養培地は、ヒト前立腺がん幹細胞の増殖および繁殖のために最適化された栄養素を含む適切な基本培地である。好ましい態様では、カルシウム無添加のF12/DMEM(50:50)基本培地を使用する。補充栄養素の例には、カルシウム、インスリン、トランスフェリン、EGF、セレン、T3、エタノールアミン、ホスホエタノールアミン、ヒドロコルチゾン、テストステロン、およびブタ脳下垂体エキス(PPE)が含まれるがそれらに限定されるわけではない。好ましい態様において、次の量の栄養素が、ヒト前立腺がん幹細胞の生存および増殖を促進するために使用される:少なくとも約10ng/mlのインスリンおよび約1mg/ml以下のインスリン、より好ましくは約10μg/mlのインスリン;少なくとも約1μg/mlのトランスフェリンおよび約100μg/ml以下のトランスフェリン、より好ましくは約10μg/mlのトランスフェリン;少なくとも約500pg/mlの上皮増殖因子(EGF)および5μg/ml以下のEGF、より好ましくは5ng/mlのEGF;少なくとも1×10-10Mのセレンおよび1×10-6M以下のセレン、より好ましくは2.5×10-8Mのセレン;少なくとも1×10-14Mのトリヨードチロニン(T3)および1×10-10M以下のT3、より好ましくは1×10-12MのT3;少なくとも1×10-8Mのエタノールアミンおよび1×10-4M以下のエタノールアミン、より好ましくは1×10-6Mのエタノールアミン;少なくとも1×10-8Mのホスホエタノールアミンおよび1×10-4M以下のホスホエタノールアミン、より好ましくは1×10-6Mのホスホエタノールアミン;少なくとも1×10-11Mのヒドロコルチゾンおよび1×10-7M以下のヒドロコルチゾン、より好ましくは1〜5×10-9M;少なくとも50pg/mlのテストステロンおよび5μg/ml以下のテストステロン、より好ましくは50ng/mlのテストステロン;ならびに1ml当たり150ngのPPEタンパク質総量、および1ml当たり150μg以下のPPEタンパク質総量、より好ましくは1ml当たり約15μgのPPEタンパク質総量。別の好ましい態様において、栄養培地にテストステロンをまったく添加しない。当業者は、テストステロンの添加がヒト前立腺がん幹細胞の増殖にとって有利であるか判定することができる。また、カルシウムレベルは、ヒト前立腺がん幹細胞を樹立および維持する際に変更してよい。いくつかの場合では、栄養培地にカルシウムを添加しない方が、ヒト前立腺がん幹細胞の樹立のために有利である。他の場合では、低レベルのカルシウムを添加する方が、ヒト前立腺がん幹細胞の樹立のために有利である。栄養培地中に低レベルのカルシウムを添加して使用する場合、少なくとも1nMのカルシウムおよび100mM以下のカルシウム、より好ましくは0.1mMのカルシウムを使用されたい。当業者は、カルシウムの使用が、ヒト前立腺がん幹細胞の単離および/または増殖のために有利であるか判定することができる。
ゲンタマイシン、ペニシリン、および/またはストレプトマイシンなどの抗生物質および/または抗真菌物質もまた、培地に添加してよいが、抗生物質/抗真菌物質は、培養の初期段階(例えば、最初の2日〜5日)の間にのみ添加されることが好ましい。
当技術分野において周知である様々な培養管中で細胞を増殖させ、継代することができる。好ましい態様は、基材でコーティングした培養皿中でヒト前立腺がん幹細胞を培養するものである。当技術分野において公知である様々な培養基材がある。特に好ましい態様において、ラミニンでコーティングした培養皿上でヒト前立腺がん幹細胞を増殖させ、継代する。
ヒト乳がん幹細胞(BRCA)
ヒト乳がん幹細胞は、ヒト乳がん組織から単離される。腫瘍組織をきれいにし、刻み、解離させた後、乳がん幹細胞を維持する栄養培地にこれを入れる。栄養培地は、ヒト乳がん幹細胞の増殖および繁殖のために最適化された栄養素を含む適切な基本培地である。好ましい態様では、F12/DMEM(50:50)基本培地を使用する。補充栄養素の例には、インスリン、トランスフェリン、EGF、セレン、T3、エタノールアミン、ホスホエタノールアミン、ヒドロコルチゾン、プロスタグランジンE1、およびブタ脳下垂体エキス(PPE)が含まれるがそれらに限定されるわけではない。好ましい態様において、次の量の栄養素が、ヒト乳がん幹細胞の生存および増殖を促進するために使用される:少なくとも約10ng/mlのインスリンおよび約1mg/ml以下のインスリン、より好ましくは約10μg/mlのインスリン;少なくとも約1μg/mlのトランスフェリンおよび約100μg/ml以下のトランスフェリン、より好ましくは約10μg/mlのトランスフェリン;少なくとも約500pg/mlの上皮増殖因子(EGF)および5μg/ml以下のEGF、より好ましくは5ng/mlのEGF;少なくとも1×10-10Mのセレンおよび1×10-6M以下のセレン、より好ましくは2.5×10-8Mのセレン;少なくとも1×10-14Mのトリヨードチロニン(T3)および1×10-10M以下のT3、より好ましくは1×10-12MのT3;少なくとも1×10-8Mのエタノールアミンおよび1×10-4M以下のエタノールアミン、より好ましくは1×10-6Mのエタノールアミン;少なくとも1×10-8Mのホスホエタノールアミンおよび1×10-4M以下のホスホエタノールアミン、より好ましくは1×10-6Mのホスホエタノールアミン;少なくとも1×10-10Mのヒドロコルチゾンおよび1×10-6M以下のヒドロコルチゾン、より好ましくは1〜5×10-8M;少なくとも10pg/mlのプロスタグランジンE1(PGE1)および100μg/ml以下のPGE1、より好ましくは100ng/mlのPGE1;ならびに、1ml当たり少なくとも150ngのPPEタンパク質総量、および1ml当たり150μgより多いPPEタンパク質総量、より好ましくは1ml当たり約15μgのPPEタンパク質総量。ゲンタマイシン、ペニシリン、および/またはストレプトマイシンなどの抗生物質および/または抗真菌物質もまた、培地に添加してよいが、抗生物質/抗真菌物質は、培養の初期段階(例えば、最初の2日〜5日)の間にのみ添加されることが好ましい。
当技術分野において周知である様々な培養管中で細胞を増殖させ、継代することができる。好ましい態様は、基材でコーティングした培養皿中でヒト乳がん幹細胞を培養するものである。当技術分野において公知である様々な培養基材がある。特に好ましい態様において、フィブロネクチンでコーティングした培養皿上でヒト乳がん幹細胞を増殖させ、継代する。
培養状態でヒト乳がん幹細胞を樹立した後、当技術分野において公知のルーチンな方法を用いて、それらの細胞を凍結することができる。凍結したヒト乳がん幹細胞を培養のために解凍する場合、培養の初期段階(例えば、最初の1〜5日)にウシ胎児血清(FBS)を添加することが、培養物樹立にとって有利な場合がある。当業者は、ヒト乳がんを解凍した後、培養の初期段階にウシ胎児血清を添加することが有利であるかを判定することができる。好ましい態様において、ヒト乳がん幹細胞を解凍した後、培養の初期段階に2%FBS(体積/体積)を栄養培地に添加する。2〜5日後、栄養培地を交換し、FBSを除去する。ウシ胎児血清は、最初の解凍の後は、ヒト乳がん幹細胞の増殖のために必要ではない。
ヒト基底細胞がん幹細胞(BCCA)
ヒト基底細胞がん幹細胞は、ヒト基底細胞がん組織から単離される。腫瘍組織をきれいにし、刻み、解離させた後、基底がん幹細胞を維持する栄養培地にこれを入れる。栄養培地は、ヒト基底細胞がん幹細胞の増殖および繁殖のために最適化された栄養素を含む適切な基本培地である。好ましい態様では、F12/DMEM(50:50)基本培地を使用する。補充栄養素の例には、インスリン、トランスフェリン、EGF、セレン、T3、エタノールアミン、ホスホエタノールアミン、ヒドロコルチゾン、およびブタ脳下垂体エキス(PPE)が含まれるがそれらに限定されるわけではない。好ましい態様において、次の量の栄養素が、ヒト乳がん幹細胞の生存および増殖を促進するために使用される:少なくとも約10ng/mlのインスリンおよび約1mg/ml以下のインスリン、より好ましくは約10μg/mlのインスリン;少なくとも約1μg/mlのトランスフェリンおよび約100μg/ml以下のトランスフェリン、より好ましくは約10μg/mlのトランスフェリン;少なくとも約500pg/mlの上皮増殖因子(EGF)および5μg/ml以下のEGF、より好ましくは5ng/mlのEGF;少なくとも1×10-10Mのセレンおよび1×10-6M以下のセレン、より好ましくは2.5×10-8Mのセレン;少なくとも1×10-14Mのトリヨードチロニン(T3)および1×10-10M以下のT3、より好ましくは1×10-12MのT3;少なくとも1×10-8Mのエタノールアミンおよび1×10-4M以下のエタノールアミン、より好ましくは1×10-6Mのエタノールアミン;少なくとも1×10-8Mのホスホエタノールアミンおよび1×10-4M以下のホスホエタノールアミン、より好ましくは1×10-6Mのホスホエタノールアミン;少なくとも1×10-10Mのヒドロコルチゾンおよび1×10-6M以下のヒドロコルチゾン、より好ましくは1×10-8M;ならびに、1ml当たり少なくとも7μgのPPEタンパク質総量、および1ml当たり750μgより多いPPEタンパク質総量、より好ましくは1ml当たり約75μgのPPEタンパク質総量。
ゲンタマイシン、ペニシリン、および/またはストレプトマイシンなどの抗生物質および/または抗真菌物質もまた、培地に添加してよいが、抗生物質/抗真菌物質は、培養の初期段階(例えば、最初の2日〜5日)の間にのみ添加されることが好ましい。
当技術分野において周知である様々な培養管中で細胞を増殖させ、継代することができる。好ましい態様は、基材でコーティングした培養皿中でヒト基底細胞がん幹細胞を培養するものである。当技術分野において公知である様々な培養基材がある。特に好ましい態様において、フィブロネクチンでコーティングした培養皿上でヒト乳がん幹細胞を増殖させ、継代する。
ヒトがん幹細胞の特徴付け
本明細書内で開示される様式で単離された本発明のヒトがん幹細胞は、いくつかの際立った特徴を有する。第1に、ヒトがん幹細胞は、増殖潜在能力(自己複製能力)を特徴とし得る。ヒトがん幹細胞は、分裂増殖能力を失うことなく、細胞培養の状態で長期間増殖するのに適している。
本発明のヒトがん幹細胞は、増殖を最適化するように処方された基本栄養培地中で分裂増殖能力を失うことなく維持され得る。本明細書において開示する好ましい栄養培地は、ヒトがん幹細胞をインビトロで培養するために使用され得る。様々なタイプの基材または組織培養プレートを用いて、ヒトがん幹細胞のいくつかの増殖を亢進させることができる。
当業者には周知のように、血清は、細胞増殖をさらに亢進させるために、栄養培地に一般に添加される。血清および他の動物由来のタンパク質または培地添加物は、血清生体分子を含み、本発明のヒトがん幹細胞は、血清生体分子をまったく添加しないか、または最小限しか添加せずに増殖させることが特に好ましい。本明細書において提供される無血清合成培地は、CSCを選択するために最適化される。培地は、CSCの増殖のために必要な栄養素および増殖因子を提供する一方で、血清中に存在し得る任意の様々なシグナルを除去する。
本発明のヒトがん幹細胞は、長期培養で維持することができ、かつ継代培養することができる。培養中の任意の選択された時点および任意の継代後、バイオアッセイ法のために、異種移植モデルのヒト腫瘍モデルを確立するために、または本明細書において開示する創薬および/もしくは開発のために、ヒトがん幹細胞を免疫原として使用することができる。
マーカーを用いた、ヒトがん幹細胞の特徴付け
本発明のヒトがん幹細胞の別の特徴は、特異的マーカーの発現である。CD24、CD34、CD133、およびCD44を含む多種多様のマーカーが、ヒトがん幹細胞において発現されることが報告されている。好ましい態様において、本発明のヒトがん幹細胞は、CD34を発現する。CD34は、造血がん幹細胞において発現されることが報告されているマーカーである。培養中のヒト固形がん幹細胞がCD34を発現することは、これまで観察されていなかった。固形腫瘍細胞におけるCD34の発現が、固形がん幹細胞を同定するためのマーカーとしての機能を果たすことは、本発明の特徴である。本発明の好ましいヒトがん幹細胞は、検出可能レベルのCD34を発現する。
形態学によるヒトがん幹細胞の特徴付け
形態学的な特徴により、本明細書において開示する様式で単離された本発明のヒトがん幹細胞を同定することができる。本明細書において開示するように、ヒトがん幹細胞は、ヒトがん幹細胞が単離される元の腫瘍の起源によって、付着細胞として、または懸濁培養物中で、インビトロで増殖する。ヒトがん幹細胞の形態は小さく、約8〜15μmのサイズである。本明細書において開示する様式でヒトがん幹細胞を単離する場合、それらの小さなサイズに基づいて、ヒトがん幹細胞を他の細胞型から区別することができる。ヒトがん幹細胞は、集団または島として増殖し、最終的に単層培養物を形成し得る。付着細胞として増殖される場合、ヒトがん幹細胞は、立方体の外観を有し得るが、ヒトがん幹細胞の外観は、ヒトがん幹細胞が単離される元の腫瘍の起源および培養条件に応じて変化し得る。懸濁培養物として増殖される場合、ヒトがん幹細胞は、丸い嚢胞様集団中に存在し得、個々の細胞は、プロジェクタイル(projectile)を有し得る。
ヒトがん幹細胞の機能的特徴付け
ヒトがん幹細胞の別の特性は、異種移植片中の少数の細胞からインビボで腫瘍を形成する能力である。いくつかの異種移植モデルが、がん幹細胞の機能的特徴付けに適しており、当技術分野において周知である。2つの好ましい異種移植モデルは、免疫が低下したマウスへの細胞の皮下移植および免疫が低下したマウスの腎臓被膜(kidney capsule)(または腎被膜(renal capsule))下への細胞移植である。
異種移植モデルにヒトがん幹細胞を移植する場合、少数の細胞の取扱いを容易にするために、基材を使用することができる。適切な基材の例には、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、およびマトリゲルが含まれるがそれらに限定されるわけではない。ヒトがん幹細胞を基材中に封入することができ、結果として生じる「充填物」を宿主動物に直接移植することができる。
宿主動物に移植した後、適切な期間、ヒトがん幹細胞を増殖させる。皮下異種移植モデルが使用される場合、結果として生じる腫瘍形成は、動物において視覚的に認めるか、または適切な期間後に触診することができる。腎被膜下異種移植モデルが使用される場合、適切な期間後に宿主動物を屠殺し、腫瘍形成の存在に関して腎臓を視覚的に検査することができる。腫瘍形成を検出する他の方法もまた、当技術分野において公知であり、適切であり得る。例えば、ヒト特異的プライマーを用いた定量的PCR(QPCR)を、切除した腎臓に対して実施することができる。ヒトDNAの量を定量して、腫瘍形成の程度を決定することができる。
腫瘍形成を検出するための別の方法は、腫瘍を切除し、形成された腫瘍がヒト細胞に由来するかを組織学的に判定するものである。この方法は、腫瘍表現型に関する追加情報が重要である場合、特に好ましい。
ヒトがん幹細胞の使用
免疫原
ヒトがん幹細胞の一用途は、免疫原である。本発明において開示されるように、独特な無血清培養条件により、ヒトがん幹細胞の細胞表面が、表面に結合し得る血清タンパク質も血清生体分子も含まないままであることが可能になる。開示される無血清の単離および培養技術を用いることにより、血清生体分子による結合によって抗原部位が「マスクされ」得るという潜在的な問題が回避される。したがって、血清を含む培養条件を用いた場合に「マスクされ」た新規に利用可能な抗原に対する抗体パネルを作製することができる。
本明細書において開示される方法を用いて単離および培養されたヒトがん幹細胞は、異種レシピエントに投与される免疫原として使用することができる。異種レシピエントに免疫原としてヒトがん幹細胞を投与する方法には、免疫化、塗布装置または掻爬装置などの直接的接触による膜への投与、エアロゾルによる粘膜への投与、および経口投与が含まれるがそれらに限定されるわけではない。当技術分野において周知であるように、免疫化は、受動免疫または能動免疫のいずれかでよい。免疫化の方法は、腹腔内注射、皮内注射、足蹠注射、および局所注射を非限定的に含む、様々な経路を介して行ってよい。免疫化の対象には、マウスのような哺乳動物が含まれ得る。免疫化の経路およびスケジュールは、一般に、抗体の刺激および産生のための確立された従来の技術に従う。マウスがこの態様において使用されるが、ヒトを含む任意の哺乳動物対象またはそれに由来する抗体産生細胞を本発明のプロセスに従って処理して、哺乳動物ハイブリドーマ細胞株を作製するための基礎として役立つようにすることができる。典型的には、免疫原性の量のヒトがん幹細胞をマウスの腹腔内に接種し、次いで、同様の量の免疫原で追加免疫する。好ましい態様において、アジュバントを併用または併用せずに、免疫原性の量のヒトがん幹細胞を足蹠注射によってマウスに接種し、次いで、同様の量の免疫原で追加免疫する。代替の方法では、非生体膜マトリックス上で増殖させた細胞を、宿主哺乳動物の腹腔内に外科的に移植する。マウス由来のリンパ系細胞、好ましくは脾臓リンパ系細胞を、最終の追加免疫後数日目に採取し、融合に使用するための細胞懸濁液をそれから調製する。
ハイブリドーマは、Buck, D. W., et al., (1982) In Vitro, 18:377-381によって修正されたKohler, B.およびMilstein, C. (1975) Nature 256:495-497の一般的な体細胞ハイブリダイゼーション技術を用いて、リンパ球および不死化した骨髄腫細胞から調製される。X63-Ag8.653およびSalk Institute, Cell Distribution Center, San Diego, Calif., USAから得られるものを非限定的に含む利用可能な骨髄腫株が、ハイブリダイゼーションにおいて使用され得る。この技術は、ポリエチレングリコールのような融合因子を用いるか、または当業者に周知の電気的手段によって、骨髄腫細胞およびリンパ系細胞を融合することを含む。融合後、細胞を融合培地から分離し、HAT培地のような選択的増殖培地中で増殖させて、ハイブリダイズしていない親細胞を排除する。本明細書において説明する培地のいずれかを、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを培養するために使用することができる。細胞融合技術の別の代替方法として、EBV不死化B細胞を使用して、本発明のモノクローナル抗体を作製する。ハイブリドーマを増殖させ、望ましいならばサブクローニングし、従来のイムノアッセイ法手順(例えば、ラジオイムノアッセイ法、酵素イムノアッセイ法、または蛍光イムノアッセイ法)によって、抗免疫原活性に関して上清を分析する。
このような抗体を産生するハイブリドーマは、公知の手順を用いてインビトロまたはインビボで増殖させてよい。モノクローナル抗体は、望ましいならば、硫酸アンモニウム沈殿法、ゲル電気泳動、透析、クロマトグラフィー、および限外ろ過など従来の免疫グロブリン精製手順によって、培地または体液から単離することができる。望まれない活性が存在する場合には、例えば、固相に結合された免疫原でできている吸着剤の上に調製物を流し、かつ、所望の抗体を免疫原から溶離または遊離させることによって、除去することができる。
モノクローナル抗体はまた、米国特許第4,816,567号に記載されているもののような組換えDNA法によって作製することもできる。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)、容易に単離および配列決定することができる。単離した後、DNAを発現ベクター中に入れてもよく、これは次いで、組換え宿主細胞中でのモノクローナル抗体合成を得るために、さもなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しないサルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞などの宿主細胞中にトランスフェクトされる。大腸菌(E. coli)のような原核宿主もまた、本明細書における抗体の組換え作製に適している。また、例えば、相同なマウス配列をヒトの重鎖および軽鎖の定常ドメインのコード配列で置換することによって(米国特許第4,816,567号)、または非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全体もしくは一部分を免疫グロブリンコード配列に共有結合的に連結することによって、DNAを改変することもできる。このような非免疫グロブリンポリペプチドで、本発明の細胞を免疫原として用いて作製した抗体の定常ドメインを置換するか、または本発明の細胞を用いて作製した抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインを置換して、キメラの二価抗体を作り出すことができる。
このようにして、本発明のヒトがん幹細胞を用いて、ヒトがん幹細胞に特異的な細胞表面抗原に対する新規な抗体のパネルを作製することができる。ヒトがん幹細胞上の細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体を本明細書において開示する方法によって作製すると、これらの抗体にはいくつかの用途がある。
組換え抗体またはヒト化抗体を作製するために、これらの抗体を配列決定し、かつクローン化してよい。ヒトがん幹細胞に特異的な抗体の他の用途には、生物学的試験および精製(例えば、フローサイトメトリーまたはパンニング法によるヒトがん幹細胞の単離)、治療的用途(例えば、標的細胞への抗体の結合による細胞増殖の促進もしくは停止、または標的細胞への抗体の結合による細胞集団の増殖の促進もしくは停止)、生物学的マーカー(例えば、他のヒトがん幹細胞の同定)、ならびに臨床的診断(例えば、ヒトがん幹細胞の同定)が含まれるがそれらに限定されるわけではない。
ワクチン
本発明は、能動免疫化および受動免疫化の両方で使用するための開示されるがん細胞ワクチンを企図する。ワクチンとして有用な免疫原性組成物は、免疫原性ペプチドおよび選択されたがん細胞から最も容易に調製され得る。がん細胞は、宿主のがん細胞または同じタイプのがん細胞に由来し、これらは、適切な細胞株または非自己腫瘍細胞から得てよい。
本腫瘍細胞は、細胞性ワクチンを作製するために有用である。当技術分野において公知の細胞性ワクチンを作製するための様々な方法が適用可能である(例えば、米国特許出願第20050136066号、同第20050106130号、および同第20050260208号を参照されたい)。特に、抗原提示細胞である樹状細胞の1つのタイプは、最近、がん免疫療法の分野で関心対象となっている。樹状細胞は、抗原を内在化し、かつ、MHCクラスI複合体およびMHCクラスII複合体の両方において提示されるように抗原をプロセシングすることができる、骨髄由来細胞である。いくつかの局面において、本発明において使用される樹状細胞は、CD8+T細胞(主として細胞障害性Tリンパ球である)およびCD4+T細胞(主としてヘルパーT細胞である)の両方を活性化することができる。内在化された抗原に由来するペプチドをクラスI MHCおよびクラスII MHCの両方において提示することができる任意の細胞は、本発明の樹状細胞であることを理解すべきである(Steinman, Annu. Rev. Immunol. 9: 271-296 (1991))。この能力により、樹状細胞を用いて、関心対象の抗原をT細胞に提示することができる。成熟した樹状細胞上への腫瘍ペプチドの投与(pulsing)を含む、いくつかのアプローチが、樹状細胞上に腫瘍抗原を直接負荷するために採用された(Avigan, Blood Reviews 13: 51-64 (1999))。単離された樹状細胞は、腫瘍抗原をエクスビボで負荷され、かつ細胞性ワクチンとして投与されると、実験動物において防御的かつ治療的な抗腫瘍免疫を誘導することが見出された(Timmerman et al., Annu. Rev. Med. 50:507-529 (1999))。
1つの局面において、樹状細胞のような抗原提示細胞にインビボまたはエクスビボでCSCを接触させる。樹状細胞がCSCの抗原を取り込むと、その抗原が提示される対象となる他のリンパ球細胞によって、細胞性ワクチンが生成されると予想される。樹状細胞のほかに、作用物質(agent)を提示するのに有用な他の細胞には、マクロファージ、B細胞、および本発明のCSCと融合された他の細胞が含まれるがそれらに限定されるわけではない。
他の態様において、ワクチン接種のために使用されるか、または本発明の他の方法と共に使用される治療的組成物は完全なCSCではなく、その代わりに、対象において腫瘍に対する内因性応答を誘導または増強するためのワクチンとして役立つ精製された細胞膜調製物である。これらの態様における免疫原は、形質膜断片または小胞からなり、これらは、好ましくは、表を出した向きであり、免疫原の供給源である細胞と患者自身のがん細胞に共通のエピトープに対してがん患者の免疫応答を誘導するような仕方で患者に投与される。
形質膜小胞(PMV)を生じる細胞は、由来元のタイプの腫瘍によって一般に発現される様々ながん胎児性抗原を発現する本発明のCSCを含む。あるいは、それらはがん幹細胞ではなく、胎児組織幹細胞でもよい。
がん細胞ワクチンは、典型的には、懸濁液の形態の注射剤として調製される。細胞懸濁液は、薬学的に許容され、かつ細胞と適合性のある賦形剤と混合してよい。適切な賦形剤には、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、またはエタノールなど、およびそれらの組合せが含まれる。さらに、望ましいならば、ワクチンは、湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝剤、またはワクチンの有効性を高めるアジュバントなど少量の補助物質を含んでよい。
ワクチンは、従来、注射によって、例えば、皮下または筋肉内のいずれかに非経口的に投与され、投薬製剤と適合性のある様式で、かつ治療的に有効かつ免疫原性であると考えられるような量で、投与される。あるいは、ワクチンの皮内注射が好ましい場合もある。投与される量は、例えば、抗体を合成する宿主の免疫系の能力および所望の防御の程度を含めて、治療しようとする対象に依存する。必要とされる形質転換細胞の正確な量は、開業医の判断および宿主の年齢、健康、性別などにある程度は依存する。しかしながら、適切な用量範囲は、動物モデルおよび初期の臨床試験から決定することができる。一般に、106個程度の形質転換細胞が必要とされることが企図される。
宿主の免疫系が弱まっているか、または低下している場合、アジュバントが好ましい場合がある。一般に使用されるアジュバントには、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウム(ミョウバン)などの作用物質、糖の合成ポリマーとの混合物(Carbopol(登録商標))、熱処理(例えば、70〜101℃)によるワクチン中のタンパク質凝集が含まれる。アルブミンに対するペプシン処理した(Fab)抗体を用いて再活性化させることによる凝集、C.パルブム(parvum)のような細菌細胞またはグラム陰性菌のエンドトキシンもしくはリポ多糖構成要素との混合、マンニドモノオレアート(Aracel A)のような生理学的に許容される植物油ビヒクル中の乳濁液、またはブロック代替物(block substitute)として使用されるペルフルオロカーボン(Fluosol-DA(登録商標))の20%溶液を含む乳濁液もまた、使用され得る。他のアジュバントは、当分野において周知である。
いくつかの場合において、ワクチンを複数回投与することが望ましいと考えられ、通常、10回のワクチン接種を超えず、より普通には、4回を超えず、および好ましくは1回または複数回、通常、2回または3回である。ワクチン接種は、普通は2〜12週の間隔、より普通には3〜5週で実施される。1〜5年、通常は3年の間隔の定期的な追加免疫が、防御的レベルの抗体および記憶T細胞を維持するために必要とされ得る。
薬学的ワクチン組成物
がん細胞ワクチンを含む薬学的組成物は、好ましくは、非経口的に、腹腔内、皮内、または筋肉内に投与される。注射に適した薬剤形態には、液剤または分散液剤を用時調製するための滅菌済み水性液剤または分散液剤が含まれる。すべての場合において、形態は、滅菌済みでなければならず、かつ、容易に注入が可能である程度まで流動性でなければならない。これは製造および保存時の条件下で安定でなければならず、かつ、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、多価アルコール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、および液状ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、ならびに植物油を含む溶媒または分散媒でよい。適切な流動性は、レシチンのようなコーティング材料の使用によって、分散系の場合は必要とされる粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。微生物作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、およびチメロサールなどによって実施することができる。多くの場合、等張化剤、例えば、糖または塩化ナトリウムが含まれてよい。注射用組成物の長期の吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中で使用することによって実現することができる。
無菌注射液剤は、適切な溶媒中の必要とされる量の活性化合物を、上記に列挙した他の様々な成分と必要に応じて混合し、続いてろ過滅菌することによって調製される。一般に、分散剤は、基本となる分散媒および上記に列挙したもののうち必要な他の成分を含む無菌ビヒクル中に、滅菌した様々な活性成分を混合することによって調製される。無菌注射液剤を調製するための無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分および任意の付加的な所望の成分の粉末を、予め滅菌ろ過したその溶液から生じさせる、真空乾燥技術および凍結乾燥技術である。
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される担体」には、任意およびすべての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、ならびに等張化剤および吸収遅延剤などが含まれる。薬学的に活性な物質に対するこのような媒体および作用物質の使用は、当技術分野において周知である。任意の従来の媒体または作用物質が活性成分と不適合である場合以外は、治療的組成物におけるその使用が企図される。補充的な活性成分もまた、組成物中に混合することができる。
「薬学的に許容される」という語句は、ヒトに投与された際に、アレルギー反応または類似した有害反応を生じない分子実体および組成物を意味する。タンパク質を有効成分として含む水性組成物の調製は、当技術分野において十分に理解されている。典型的には、このような組成物は、溶液剤または懸濁剤のいずれかとして、注射剤として調製され、また、注射前に液体中に溶解または懸濁するのに適した固形形態も調製され得る。調製物は、乳化することもできる。
処方する際、液剤は、投薬製剤と適合性のある様式かつ治療的に有効であるような量で投与される。これらの製剤は、様々な剤形で、好ましくは注射液剤として容易に投与される。
水性液剤として非経口投与する場合、例えば、液剤は、必要に応じて適切に緩衝化すべきであり、液体希釈剤は、十分な生理食塩水またはグルコースで最初に等張性にすべきである。これらの個々の水性液剤は、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、および腹腔内投与に特に適している。これに関して、使用され得る無菌水性媒体は、本開示に照らして当業者には公知であろう。例えば、1回分の投薬量を等張性のNaCl溶液1ml中に溶解し、皮下注入液1000mlに添加するか、または提案された注入部位に注射してよい(例えば、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、第15版、1035〜1038頁および1570〜1580頁を参照されたい)。投薬量のいくらかの変動は、治療される対象の病態に応じて必然的に発生すると考えられる。いずれにせよ、投与を担当する者が、個々の対象に対して適切な用量を決定する。さらに、ヒトに投与する場合、調製物は、FDA Office of Biologics standardsによって要求される無菌性、発熱性、全般的安全、および純度の基準を満たさなくてはならない。
創薬
ヒトがん幹細胞の別の用途は、創薬に関係している。本明細書において開示する単離されたヒトがん幹細胞集団および本発明の教示に従って得られたものは、開示した様式で以前に単離されたことも培養されたこともなかったため、これらは新規であり、かつ、これまで発見も特徴付けもされていないタンパク質をそれらの表面に提示するか、発現するか、または分泌し得る。血清を用いた以前の培養技術は、細胞表面におけるタンパク質の提示および/またはタンパク質の分泌を阻害する場合がある。さらに、血清タンパク質または血清生体分子は、CSC表現型の変化を引き起こす場合があり、かつ、がん幹細胞表面に結合し、内因性CSC抗原に対するモノクローナル抗体の産生を邪魔する場合がある。あるいは、タンパク質が分泌され、血清生体分子と相互作用する際に、タンパク質の機能、高次構造、または活性が変化し得る。無血清合成培地中で増殖させたヒトがん幹細胞によって提示または分泌されるタンパク質は、血清生体分子による干渉は最小限しか受けず、したがって、生理学的かつ立体配置的に(topologically)、より正確であり得る。したがって、ヒトがん幹細胞によって発現されるか、分泌されるか、または表面に提示されるタンパク質は、薬物開発のための望ましい標的である。1つの態様において、ヒトがん幹細胞、および/またはインビボで処理されるか、もしくはそれから分化した細胞上の特異的なタンパク質を標的とする薬物が作製される。薬物が結合することにより、ヒトがん幹細胞の増殖能力が改変され得る。さらに別の態様において、ヒトがん幹細胞は、ヒト腫瘍細胞と相互作用する低分子または他の治療物質を開発または発見するために使用される。これらの低分子は、合成または天然でよく、ヒト腫瘍細胞の増殖を中止、阻害、または促進するために使用することができる。
治療方法
本発明の別の局面は、がん幹細胞(全体もしくは部分的)または本発明の腫瘍幹細胞の表面に存在する標的抗原の調節物質(抗体を含むがそれに限定されない)を用いて疾患状態を治療することを含む。
別の局面において、本発明は、ある疾患と診断された対象に、ある量の放射線治療物質、およびCSCまたはCSC 細胞表面抗原の調節物質を投与する段階を含む方法を提供する。好ましい態様において、放射線治療物質は、放射性同位元素(例えば、At-211、I-131、I-125、Y-90、Re-186、Re-188、Sm-153、Bi-212、P-32、およびLuの放射性同位元素)からなる群より選択されるが、他の態様において、他の作用物質が投与され、例えば、化学療法剤、細菌、真菌、植物、または動物起源の低分子毒素または酵素的に活性な毒素などの、それらの断片および/または変種を含む毒素フリーラジカル、電荷、虚血、オキシダント傷害、熱ショック、心肥大、発熱、炎症、代謝疾患、感染、サイトカイン、増殖因子、ホルモン、病原体(例えば、細菌、寄生虫、細胞内寄生虫、真菌、ウイルス、プリオン、およびウイロイド)、細胞間相互作用、可溶性因子、ならびに他の原因による細胞および組織の損傷である。
本治療方法では、本明細書において開示する様々な治療的組成物を使用してよいか、または当技術分野において公知の任意の治療と組み合わせてよい。1つの態様において、抗体集団および/またはそのような抗体を産生するハイブリドーマは、ある疾患状態の治療のために使用される。
別の態様において、本発明の治療的組成物は、罹病細胞または損傷細胞を、補体依存性細胞障害(CDC)、抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)、または他の宿主監視免疫に対してより感受性にする際に有効である。
別の態様において、本発明の治療的組成物は、同じまたは異なる分類の他の作用物質と組み合わせて使用される。組合せ治療は、同時に行ってよく、または一方の治療を他方の治療の前に行ってもよい。それを必要としている対象は、治療の異なる時点に異なる治療的組成物を反復使用してよい。
本発明の別の局面は、本発明の治療的組成物を用いたオーダーメイド治療を含み、この治療では、対象の罹病細胞上で発現される抗原が決定され、次に、特定の対象抗原を調整する本発明の治療的組成物が、本明細書において説明する方法に従って、対象に次いで投与される。1つの態様において、本発明の治療的組成物は、オーダーメイド治療のために使用される。
新生物性病態の治療
新生物性病態には、良性または悪性の腫瘍(例えば、腎がん、肝臓がん、腎臓がん、膀胱がん、乳がん、胃がん、卵巣がん、結腸直腸がん、前立腺がん、膵臓がん、肺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝がん;肉腫;神経膠芽腫;および様々な頭頸部腫瘍);白血病およびリンパ系腫瘍;神経細胞障害、神経膠障害、星状細胞障害、視床下部および他の腺の障害、マクロファージ(macrophagal)障害、上皮障害、間質および胞胚腔の障害;ならびに炎症性障害、血管新生障害、免疫学的障害、および病原体に起因する障害などの他の障害が含まれる。本発明の治療的組成物および方法を用いた治療に特に好ましい標的は、新生物性病態である。
本発明は、いくつかの具体的な新生物性病態を治療するための方法を提供する。特定の態様において、新生物性病態は、非限定的に、副腎腫瘍、AIDSに関連したがん、胞状軟部肉腫、星状細胞腫瘍、膀胱がん(扁平上皮がんおよび移行上皮がん)、骨がん(アダマンチノーマ、動脈瘤様骨嚢胞、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳脊髄のがん、転移性脳腫瘍、乳がん、頸動脈球腫瘍、子宮頸がん、軟骨肉腫、脊索腫、嫌色素性腎細胞がん、明細胞がん、結腸がん、結腸直腸がん、皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、脳室上衣腫、ユーイング腫瘍、骨外性粘液型軟骨肉腫、線維形成性骨不全症(fibrogenesis imperfecta ossium)、線維性骨異形成症、胆嚢および胆管のがん、妊娠性絨毛疾患、胚細胞腫瘍、頭頸部がん、島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓がん(腎芽細胞腫、乳頭状腎細胞がん)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫性腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫性腫瘍、肝臓がん(肝芽腫、肝細胞がん)、リンパ腫、肺がん(小細胞がん、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなど)、髄芽細胞腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌腺腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽細胞腫、神経内分泌腫瘍、卵巣がん、膵臓がん、甲状腺乳頭がん、副甲状腺腫瘍、小児がん、末梢神経鞘腫瘍、褐色細胞腫、脳下垂体腫瘍、前立腺がん、後方ブドウ膜黒色腫、珍しい血液学的障害、転移性腎がん、ラブドイド腫瘍、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚がん、軟部組織肉腫、扁平上皮がん、胃がん、滑膜肉腫、精巣がん、胸腺がん、胸腺腫、転移性甲状腺がん、ならびに子宮がん(子宮頸がん、子宮内膜がん、および平滑筋腫)を含む群より選択される。いくつかの好ましい態様において、がん細胞は、乳がん、結腸がん、前立腺がん、肺がん、肉腫、転移性腎がん、転移性甲状腺がん、および明細胞がんを非限定的に含む、固形腫瘍の群より選択される。
甲状腺がんは、内分泌系の最も一般的な悪性腫瘍である。甲状腺のがんには、分化した腫瘍(乳頭または濾胞)および分化が不十分な腫瘍(髄様または退形成)が含まれる。腟がんには、扁平上皮がん、腺がん、黒色腫、および肉腫が含まれる。精巣がんは、精上皮腫型および非精上皮腫型に大まかに分けられる。
胸腺腫は、胸腺の上皮性腫瘍であり、非新生物性リンパ球によって大規模に浸潤される場合もあればされない場合もある。胸腺腫という用語は、慣例上、上皮構成要素の明白な異型性を示さない新生物を説明するために使用される。明確な細胞学的異型性およびもはや胸腺に特異的ではない組織学的特徴を示す胸腺上皮性腫瘍は、胸腺がんとして公知である(C型胸腺腫としても公知である)。
1つの好ましい態様において、本発明は、乳腺中の管組織における腺管がん、髄様がん、膠様がん、管状腺がん、および炎症性乳がんなどの乳がんを治療する方法を提供する。これらの乳がん患者にとって利用可能な既存の治療は、手術、免疫療法、放射線療法、化学療法、内分泌療法、またはそれらの組合せである。本治療的組成物は、これらの治療またはその組合せのいずれかで対象を治療した後に投与することができる。特定の態様において、本治療的組成物は、ドキソルビシン、シクロホスファミド、メトトレキサート、パクリタキセル、チオテパ、ミトキサントロン、ビンクリスチン、またはそれらの組合せなど1種または複数種の化学療法治療プログラムを用いて対象を治療した後に、投与することができる。他の態様において、本治療的組成物は、タモキシフェン、酢酸メゲストロール、アミノグルテチミド、フルオキシメステロン、ロイプロリド、ゴセレリン、およびプレドニゾンなど内分泌療法のための1種または複数種の作用物質を用いて対象を治療した後に投与することができる。
別の態様において、本発明は、卵巣における腺がんのような上皮性卵巣腫瘍および卵巣から腹腔中へと移動した腺がんを含む、卵巣がんに対する治療を提供する。本治療的組成物は、免疫療法、放射線療法、化学療法、内分泌療法、またはそれらの組合せを含む既存の治療のいずれかで対象を治療した後に投与することができる。特定の態様において、治療的組成物は、シクロホスファミド、エトポシド、アルトレタミン、およびイホスファミドなど1種または複数種の化学療法治療プログラムを用いて対象を治療した後に投与することができる。他の態様において、本治療的組成物は、タモキシフェンのような1種または複数種のホルモン療法剤を用いて対象を治療した後に投与することができる。
さらに、本発明は、扁平上皮がんおよび腺がんを含む、子宮頸上皮における腺がんのような子宮頸がんを治療する方法も提供する。子宮頸がんに対して利用可能である主な治療は、手術(凍結手術、子宮摘出術、および広汎性子宮全摘出術)、免疫療法、放射線療法(外部ビーム放射線療法または近接照射療法)、ならびに化学療法である。特定の態様において、本治療的組成物は、シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、イリノテカン、ブレオマイシン、ビンクリンスチン(vincrinstine)、マイトマイシン、イホスファミド、フルオロウラシル、エトポシド、メトトレキサート、またはそれらの組合せなど1種または複数種の化学療法治療プログラムを用いて対象を治療した後に投与することができる。
本発明はまた、以下、すなわち腺がんまたは骨に移動した腺がんより選択される前立腺がんのような前立腺がんに対する治療も提供する。手術、免疫療法、放射線療法、凍結手術、ホルモン療法、および化学療法は、前立腺がん患者に対して利用可能ないくつかの治療である。いくつかの放射線療法選択肢は、三次元原体照射療法、強度変調放射線療法、および陽子線原体照射療法を含む、外部ビーム放射線療法である。近接照射療法および凍結手術は、前立腺がんを治療するために使用される他の考え得る方法である。本治療的組成物は、これらの治療またはその組合せのいずれかで対象を治療した後に投与することができる。特定の態様において、本治療的組成物は、ロイプロリド、ゴセレリン、トリプトレリン、およびヒストレリンなどの黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH)類似体、ならびにアバレリックスのようなLHRHアンタゴニストを含む1種または複数種のホルモン療法剤を用いて対象を治療した後に投与することができる。他の態様において、本治療的組成物は、精巣摘除術を含むアンドロゲン枯渇療法またはアンドロゲン抑制療法に対象を供した後に投与することができる。他の態様において、本治療的組成物は、フルタミド、ビカルタミド、およびニルタミドなどの抗アンドロゲン物質を用いて対象を治療した後に投与することができる。他の態様において、本治療的組成物は、ドキソルビシン、エストラムスチン、エトポシド、ミトキサントロン、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドセタキセル、カルボプラチン、プレドニゾン、またはそれらの組合せなど1種または複数種の化学療法剤を用いて対象を治療した後に投与することができる。
本発明はさらに、膵管組織における類上皮がんおよび膵管における腺がんなどの膵臓がんを治療する方法も提供する。本治療的組成物は、化学療法および放射線療法、またはそれらの組合せを含む既存の治療のいずれかで対象を治療した後に投与することができる。本治療的組成物は、5-フルオロウラシル(5-FU)、マイトマイシン、イホスファミド、ドキソルビシン、ステプトゾシン(steptozocin)、クロロゾトシン、またはそれらの組合せなど1種または複数種の化学療法剤を用いて対象を治療した後に投与することができる。
本発明は、膀胱における移行上皮がん、尿路上皮がん(移行上皮がん)、膀胱の内側を覆う尿路上皮細胞における腫瘍、扁平上皮がん、腺がん、および小細胞がんなどの膀胱がんを治療するさらなる方法を提供する。特定の態様において、本治療的組成物は、カルメット・ゲラン桿菌(Bacillus Calmete-Guerin)(BCG)、インターフェロン、および糖タンパク質など1種または複数種の免疫療法剤を用いて対象を治療した後に投与することができる。他の態様において、本治療的組成物は、チテパ(thitepa)、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、パクリタキセル、カルボプラチン、シスプラチン、イホスファミド、ゲムシタビン、またはそれらの組合せなど1種または複数種の化学療法剤を用いて対象を治療した後に投与することができる。
さらに、本発明は、扁平上皮がん、腺がん、および大細胞未分化がんに分けられる非小細胞肺がん(NSCLC)ならびに小細胞肺がんなどの肺がんに対する治療を提供する。肺がんに対する治療選択肢には、手術、免疫療法、放射線療法、化学療法、光線力学的療法、またはそれらの組合せが含まれる。肺がんを治療するためのいくつかの考え得る外科的選択肢は、区域切除術もしくは楔状切除術、胚葉切除術、または肺切除術である。放射線療法は、外部ビーム放射線療法または近接照射療法でよい。特定の態様において、本治療的組成物は、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、ビノレルビン、イリノテカン、エトポシド、ビンブラスチン、ゲフィチニブ、イホスファミド、メトトレキサート、またはそれらの組合せなど1種または複数種の化学療法剤を用いて対象を治療する前、後、または治療と同時に投与することができる。
本治療方法は、新生細胞の増殖を阻害する際に、特に、抗がん剤に以前に曝露された新生細胞に対して特に有効であり得る。本方法はまた、抗がん治療物質に対する細胞感受性を維持するか、または増大させる際にも有効であり得る。
本発明は、いくつかの特定の天然の免疫欠損状態および誘導された免疫欠損状態を治療するための方法を提供する。例えば、天然の免疫欠損状態および誘導された免疫欠損状態には、B細胞(抗体)欠損、T細胞およびB細胞(抗体)欠損の組合せ、T細胞欠損、欠陥のある食細胞、補体欠損、および免疫抑制薬投与に起因する欠損が含まれる。
投与方法
本発明の治療的組成物は、公知の方法に従って、例えば、ボーラスとしての静脈内投与またはある期間に渡る持続注入により、筋肉内経路、腹腔内経路、経粘膜経路、脳脊髄内経路、皮下経路、関節内経路、滑液嚢内経路、くも膜下腔内経路、経口経路、局所的経路、または吸入経路によって、哺乳動物、好ましくはヒトに投与される。抗体の静脈内投与が好ましい。本発明の治療的組成物は、治療的処置、例えば化学療法剤と組み合わせて、前述したように投与することができる。治療物質は、同じまたは異なる投与経路によって投与することができる。
治療的処置は、抗原調節物質を用いた治療の前に実施するか、もしくは後に実施してよく、または同時に行ってもよい。治療物質の有効量は、ルーチンな試験によって決定することができる。同時投与には、同時の投与、またはいずれかの順序での2種の作用物質の連続的投与が含まれる。
併用投与には、同じ剤形における2種またはそれ以上の作用物質の同時投与、別々の剤形における同時投与、および個別投与が含まれ得る。すなわち、本治療的組成物および別の治療物質は、同じ剤形中に一緒に製剤化し、同時に投与することができる。あるいは、本治療的組成物および別の治療物質は、両方の作用物質が別々の製剤中に存在する状態で、同時に投与することもできる。別の代替方法において、治療物質を投与した直後に他方の治療物質を投与することができ、逆もまた同様である。個別投与プロトコールでは、本治療的組成物および別の治療物質は、数分間の間隔を空けて、または数時間の間隔を空けて、または数日間の間隔を空けて投与してよい。
新生物性病態の治療に関して、新生物性病態の病期に応じて、新生物性病態の治療は、以下の療法のうちの1つまたは組合せを含む:新生物性組織を除去する手術、放射線療法、および化学療法。本発明の治療方法は、化学療法のような治療物質の治療指数を向上させ、それによって、投与すべき有効量の減少を可能にする。したがって、本明細書における治療的方法は、化学療法の毒性および副作用に十分な耐性が無い高齢の患者などの治療、ならびに放射線療法の有用性が限られている転移性疾患において特に有用である。
他の治療プログラムを、抗がん剤、例えば、治療的組成物および化学療法剤の投与と組み合わせてもよい。例えば、このような抗がん剤を用いて治療される対象はまた、放射線療法を受けてもよく、かつ/または手術を受けてもよい。
疾患を予防または治療する際、治療的組成物、例えば本明細書における抗体の適切な投薬量は、上記に定義したような治療しようとする疾患のタイプ、疾患の重症度および経過、その作用物質が予防目的のために投与されるか、または治療目的のために投与されるかどうか、以前の療法、患者の臨床歴、および作用物質に対する応答、ならびに主治医の裁量に依存する。作用物質は、1回で、または一連の治療の間、適宜投与される。
製剤
本発明の治療的組成物の様々な製剤が、投与のために使用され得る。いくつかの態様において、治療的組成物は、適切に投与され得る。薬理学的に活性な作用物質に加えて、本発明の組成物は、当技術分野において周知であり、薬理学的に有効な物質の投与を促進するか、または作用部位に送達するために薬学的に使用され得る調製物に活性化合物を加工するのを容易にする比較的不活性な物質である賦形剤および補助剤を含む、薬学的に許容される適切な担体を含んでよい。例えば、賦形剤は、形態もしくは硬度を与えるか、または希釈剤としての役割を果たすことができる。適切な賦形剤には、安定化剤、湿潤剤および乳化剤、体積オスモル濃度を変更するための塩、カプセル化剤、緩衝剤、ならびに皮膚浸透促進剤が含まれるがそれらに限定されるわけではない。
非経口投与に適する製剤には、水溶性の形態の活性化合物、例えば水溶性の塩の水性液剤が含まれる。さらに、油性の注射用懸濁剤のために適切な活性化合物の懸濁剤も、投与され得る。適切な親油性溶媒またはビヒクルには、脂肪油、例えば、ゴマ油、または合成の脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルもしくはトリグリセリドが含まれる。注射用水性懸濁剤は、懸濁剤の粘度を上昇させる物質を含んでよく、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランが含まれる。任意で、懸濁液は、安定化剤も含み得る。また、リポソームも、細胞中に送達するために作用物質を封入するために使用することができる。
本発明による全身投与用の薬学的製剤は、経腸投与、非経口投与、または局所投与用に製剤化することができる。実際、3種すべてのタイプの製剤を同時に使用して、活性成分の全身投与を実現することができる。非経口および非経口ではない薬物送達のための賦形剤ならびに製剤は、Remington, The Science and Practice of Pharmacy 第20版、Mack Publishing (2000)において説明されている。
経口投与に適した製剤には、硬ゼラチンカプセル剤もしくは軟ゼラチンカプセル剤、丸剤、コーティング錠を含む錠剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、または吸入剤、およびそれらの制御放出型が含まれる。
一般に、これらの作用物質は、注射(例えば、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内など)による投与用に製剤化されるが、他の投与形態(例えば、経口、粘膜など)もまた、使用され得る。したがって、治療的組成物は、好ましくは、生理食塩水、リンガー溶液、およびデキストロース溶液など薬学的に許容されるビヒクルと組み合わされる。
具体的な投与計画、すなわち、用量、時期、および反復は、個々の個体およびその個体の病歴に依存する。一般に抗体に関しては、少なくとも約100ug/kg体重、より好ましくは少なくとも約250ug/kg体重、さらにより好ましくは少なくとも約750ug/kg体重、さらにより好ましくは少なくとも約3mg/kg体重、さらにより好ましくは少なくとも約5mg/kg体重、さらにより好ましくは少なくとも約10mg/kg体重の用量が投与される。
半減期のような経験的考察は、一般に、投薬量の決定に寄与すると考えられる。ヒト化抗体または完全ヒト抗体などヒト免疫系と適合性のある抗体に関しては、抗体の半減期を延長するため、および宿主の免疫系に抗体が攻撃されるのを防ぐために、使用され得る。投与頻度は、療法の過程を通じて決定および調整することができ、新生細胞の数を減少させること、新生細胞の減少を維持すること、新生細胞の分裂増殖を減少させること、または転移の発生を遅延させることに基づいている。あるいは、本治療的組成物を持続的かつ連続的に放出する製剤が適切な場合もある。持続放出を実現するための様々な製剤および装置は、当技術分野において公知である。
1つの態様において、治療的組成物の投薬量は、1回または複数回の投与を受けた個体において実験的に決定され得る。個体は、本明細書において説明するようにして作製された治療的組成物を漸増的な投薬量で与えられる。抗体有効性を評価するために、特定の疾患、障害、または病態のマーカーを追跡することができる。個体ががんに罹患している態様において、これらには、触診もしくは目視観測による腫瘍サイズの直接的測定値、X線もしくは他の画像処理技術による腫瘍サイズの間接的測定値;直接的な腫瘍生検および腫瘍試料の顕微鏡的検査によって評価された改善;本明細書において説明する方法によって同定された間接的な腫瘍マーカー(例えば、前立腺がんに対するPSA)もしくは抗原の測定値、疼痛もしくは麻痺の減少;言語行動、視力、呼吸、もしくは腫瘍に関連した他の能力障害の改善;食欲の増大;または容認された試験によって測定された生活の質の上昇、もしくは生存延長が含まれる。投薬量が、個体、新生物性病態のタイプ、新生物性病態の病期、新生物性病態が個体中の他の場所に転移し始めているかどうか、ならびに使用された過去の治療および併用治療に応じて変動することは、当業者には明らかであろう。
他の製剤には、リポソームのような担体を非限定的に含む、当技術分野において公知である適切な送達形態が含まれる。リポソーム調製物には、サイトフェクチン、多重膜小胞および単層膜小胞が含まれるがそれらに限定されるわけではない。
いくつかの態様において、複数の治療的組成物が存在してよい。このような組成物は、少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種の異なる治療的組成物を含んでよい。
製品
本発明の別の態様において、単独または治療物質もしくは品質改良剤と組み合わせた、本明細書における治療的組成物を含む製品が提供される。製品は、容器およびラベルを含む。適切な容器には、例えば、瓶、バイアル、シリンジ、および試験管が含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなど様々な材料から形成されてよい。容器は、標的とする疾患状態を治療するために有効である組成物を保管し、無菌取出口を有してよい(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能な栓を有する静注液バッグまたはバイアルでよい)。組成物中の活性物質は、抗原調節物質、好ましくは抗体である。容器の上にあるか、または容器に付随するラベルは、その組成物が、選ばれた疾患状態を診断または治療するために使用されることを示す。製品は、同じまたは別の容器内に、治療物質および任意で薬学的に許容される緩衝液、例えば、リン酸緩衝化生理食塩水、リンガー溶液、およびデキストロース溶液をさらに含む。これはさらに、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および使用に関する指示が書かれた添付文書を含む、商業的かつ使用者の観点から望ましい他の材料も含んでよい。
異種移植モデル
ヒトがん幹細胞の別の用途は、非ヒト哺乳動物においてヒト組織モデルを作り出すことである。いくつかの態様において、ヒトがん幹細胞は、異種移植レシピエントの腎臓被膜下に植えられ、増殖させられる。別の態様において、ヒトがん幹細胞は、レシピエント動物の皮下に植えられ、増殖させられる。当業者は、本明細書において開示する方法を用いてヒトがん幹細胞を最初に単離し、次いで、所望の異種移植部位にそれらを移植することによって、最適な組合せを段階的に決定することができる。
別の態様において、ヒトがん幹細胞は、レシピエント動物の同所部位に植えられる。当業者は、本明細書において開示する方法を用いてヒトがん幹細胞を最初に単離し、次いで、所望の同所(orthopic)部位にそれらを移植することによって、最適な組合せを段階的に決定することができる。この手順の例は当技術分野において周知であり、非限定的な例として、乳腺脂肪パッドに乳がん幹細胞を植えることが含まれる。
異種移植のために使用されるヒトがん幹細胞は、基材と最初に組み合わせることができる。多くの適切な基材が当技術分野において周知であり、フィブロネクチン、マトリゲル、コラーゲン、およびラミニンが含まれるがそれらに限定されるわけではない。適切なレシピエント哺乳動物にはマウスおよびラットが含まれるが、それらに限定されるわけではない。典型的には、移植場面において、ドナー組織はレシピエントの免疫系による攻撃に対して脆弱である。移植片拒絶を緩和するために、いくつかの技術が使用される。1つの方法は、亜致死量の放射線をレシピエントに照射して、移植片を攻撃する可能性がある免疫細胞を破壊するものである。別の方法は、シクロスポリンまたは他のT細胞免疫抑制薬をレシピエントに与えるものである。マウスをレシピエント哺乳動物として用いる場合、移植片拒絶を緩和するために、より多岐に渡る方法が存在し得る。1つのこのような方法は、免疫不全マウス(ヌードまたは重症複合免疫不全もしくはSCID)の使用である。ヒトがん幹細胞の異種移植は、インビボでの腫瘍形成および/もしくは増殖を研究するために使用できるか、または薬物の発見もしくは開発のために使用できる。
バイオアッセイ法
本明細書において開示するヒトがん幹細胞は、様々なバイオアッセイ法において使用され得る。1つの態様において、ヒトがん幹細胞は、どの生物学的因子がヒトがん幹細胞の増殖能力に強い影響を与えるかを判定するために使用される。様々な生物学的化合物(ホルモン、特定の増殖因子など)と組み合わせて段階的にがん幹細胞を評価することによって、ヒトがん幹細胞の増殖能力または増殖潜在能力の改変または変化を誘導する1種または複数種の特定の生物学的化合物を発見することができる。
がん幹細胞に関するバイオアッセイ法における他の用途は、ディファレンシャルディスプレイ(例えばmRNAディファレンシャルディスプレイ)およびがん幹細胞から分泌されたタンパク質を用いたタンパク質間の相互作用である。タンパク質間の相互作用は、酵母ツーハイブリッドシステムのような技術を用いて決定することができる。ヒトがん幹細胞に由来するタンパク質を用いて、がん幹細胞と相互に作用する他の未知のタンパク質または他の細胞型を同定することができる。これらの未知のタンパク質は、以下のうちの1種または複数種でよい:増殖因子、ホルモン、酵素、転写因子、翻訳因子、および腫瘍抑制因子。ヒトがん幹細胞およびこれらの細胞が生じるタンパク質間の相互作用ならびにタンパク質間またはさらに細胞間の接触の効果を使用するバイオアッセイ法を用いて、インビボでの腫瘍の確立、増殖、および形成にこれらの細胞がどのように寄与するかを決定することができる。以下の実施例は、ヒトがん幹細胞の単離、特徴付け、および使用の詳細な説明を提供する。これらの実施例は、本発明を限定することを決して意図しない。
実施例
実施例1
結腸直腸がん細胞(CRCA)の単離および培養
結腸直腸がんに由来する組織を、100μg/mLゲンタマイシンを含む滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で短時間ゆすぎ、100mm組織培養皿に入れ、小さな(1mm未満)細片に刻む。解離培地(100μg/mLゲンタマイシンおよび200μLコラゲナーゼ-ディスパーゼ(PBS中10%(重量/体積))を含み、ダイズトリプシンインヒビター(STI、10%(体積/体積))を添加したF12/DMEM)5mL中に、刻んだ組織を懸濁し、37℃でインキュベートした。5分間隔で懸濁液をピペッティングして、細胞凝集物をほぐした。細胞10〜20個の凝集物が組織から解離したと思われた場合、酵素活性を停止した。
遠心分離(900rpmで4分)により、F12/DMEMで懸濁液を洗浄し、結果として生じる細胞ペレットを培地(インスリン(10μg/mL)、トランスフェリン(10μg/mL)、上皮増殖因子(EGF)(5ng/mL)、セレン(2.5×10-8M)、トリヨードチロニン(T3)(1×10-12M)、エタノールアミン(1×10-6M)、ホスホエタノールアミン(1×10-6M)、ヒドロコルチゾン(5×10-8M)、ビタミンE(5μg/mL)、および任意でゲンタマイシン(50μg/mL)を補充した無血清F12/DMEM)中に再懸濁した。
ラミニンまたはフィブロネクチンでコーティングした100mm皿5枚に細胞懸濁液を移し、分けた。培地を添加して皿当たりの最終体積を10mLにし、標準的なインキュベーション条件で皿をインキュベートした。
結腸直腸がん幹細胞は、ばらばらの集団として増殖し、上皮細胞の形態を示す。培養中の他の細胞と比べて、結腸直腸がん幹細胞のサイズははるかに小さく、したがって、この形態学的特徴を用いてさらに区別した。最初に培養状態にした際、結腸直腸がん組織に由来する細胞は、迅速に(8〜24時間)培養皿に付着した。培地を定期的に(好ましくは3日毎に)交換し、高密度に詰まった小さな幹細胞コロニーを認めることができるようになるまで、顕微鏡下で培養物を観察した。数週間後、結腸直腸がん幹細胞のばらばらの小さな集団が視認できた。結腸直腸がん幹細胞は、指数関数的速度ですぐに増殖し始め、さらに約2週間の培養後、同じ培地中でこれらの細胞を継代培養して、樹立細胞株として同じ培地中で連続的に継代培養できる結腸直腸がん幹細胞の実質的に純粋な培養物を得ることができた。この時点で、単細胞になる程度まで消化せずに培養皿から細胞を取り外す(lift)ためにコラゲナーゼ-ディスパーゼを用いる当技術分野において公知の標準技術を用いて、結腸直腸がん幹細胞を分割し、かつ継代した。30回超、1つの結腸直腸がん幹細胞培養物を継代したが、セネッセンスの徴候はなかった。
実施例2
直腸がん細胞(RECA)の単離および培養
直腸がんに由来する組織を、100μg/mLゲンタマイシンを含む滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で短時間ゆすぎ、100mm組織培養皿に入れ、小さな(1mm未満)細片に刻んだ。解離培地(100μg/mLゲンタマイシンおよび200μLコラゲナーゼ-ディスパーゼ(PBS中10%(重量/体積))を含み、ダイズトリプシンインヒビター(STI、10%(体積/体積))を添加したF12/DMEM)5mL中に、刻んだ組織を懸濁し、37℃でインキュベートした。5分間隔で懸濁液をピペッティングして、細胞凝集物をほぐした。細胞10〜20個の凝集物が組織から解離したと思われた場合、酵素活性を停止した。
遠心分離(900rpmで4分)により、F12/DMEMで懸濁液を洗浄し、結果として生じる細胞ペレットを培地(インスリン(10μg/mL)、トランスフェリン(10μg/mL)、EGF(5ng/mL)、セレン(2.5×10-8M)、T3(1×10-9M)、エタノールアミン(1×10-6M)、ホスホエタノールアミン(1×10-6M)、ヒドロコルチゾン(5×10-8M)、ビタミンE(5μg/mL)、およびブタ脳下垂体エキス(PPE)(1mL当たり75μgのPPEタンパク質総量)を補充した無血清F12/DMEM)中に再懸濁した。
ラミニン/フィブロネクチン(50:50)でコーティングした100mm皿5枚に細胞懸濁液を移し、分けた。培地を添加して皿当たりの最終体積を10mLにし、結腸がん培養物に関して前述した標準的なインキュベーション条件でこれらの皿をインキュベートした。幹細胞が発生し、説明した培地中での継代培養によって選択した後、その株を以下のようにして維持(carried)することができる。細胞が80〜95%コンフルエントになり、継代培養がすぐできるようになるまで、増殖培地を2〜3日毎に交換した。培養皿から細胞を取り外すためにコラゲナーゼ-ディスパーゼを用いる当技術分野において公知の標準条件を用いて、ヒト直腸がん幹細胞を継代した。50回超、1つの直腸がん幹細胞株を継代したが、セネッセンスの徴候はなかった。
実施例3
肺がん幹細胞の単離および培養
肺腺がんに由来する組織を、100μg/mLゲンタマイシンを含む滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で短時間ゆすぎ、100mm組織培養皿に入れ、小さな(1mm未満)細片に刻んだ。解離培地(100μg/mLゲンタマイシンおよび200μLコラゲナーゼ-ディスパーゼ(PBS中10%(重量/体積))を含み、ダイズトリプシンインヒビター(STI、10%(体積/体積))を添加したF12/DMEM)5mL中に、刻んだ組織を懸濁し、37℃でインキュベートした。5分間隔で懸濁液をピペッティングして、細胞凝集物をほぐした。細胞10〜20個の凝集物が組織から解離したと思われた場合、酵素活性を停止した。
遠心分離(900rpmで4分)により、F12/DMEMで懸濁液を洗浄し、結果として生じる細胞ペレットを培地(インスリン(10μg/mL)、EGF(5ng/mL)、セレン(2.5×10-8M)、ウシ脳下垂体エキス(BPE)またはPPE(1mL当たり75μgのPPEタンパク質総量)を補充した無血清F12/DMEM)中に再懸濁した。
フィブロネクチンでコーティングした100mm皿5枚に細胞懸濁液を移し、分けた。培地を添加して皿当たりの最終体積を10mLにし、標準的なインキュベーション条件で皿をインキュベートした。
細胞が80〜95%コンフルエントになり、継代培養がすぐできるようになるまで、増殖培地を2〜3日毎に交換した。培養皿から細胞を取り外すためにコラゲナーゼ-ディスパーゼを用いる当技術分野において公知の標準条件を用いて、ヒト肺がん幹細胞を継代した。25回超、1つのヒト肺がん幹細胞培養物を継代したが、セネッセンスの徴候はなかった。
実施例4
膵管がん幹細胞の単離および培養
膵管がんに由来する組織を、滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で短時間ゆすぎ、100mm組織培養皿に入れ、小さな(1mm未満)細片に刻んだ。解離培地(100μg/mLゲンタマイシンおよび200μLコラゲナーゼ-ディスパーゼ(PBS中10%(重量/体積))を含み、ダイズトリプシンインヒビター(STI、10%(体積/体積))を添加したF12/DMEM)5mL中に、刻んだ組織を懸濁し、37℃でインキュベートした。5分間隔で懸濁液をピペッティングして、細胞凝集物をほぐした。細胞10〜20個の凝集物が組織から解離したと思われた場合、酵素活性を停止した。
遠心分離(900rpmで4分)により、F12/DMEMで懸濁液を洗浄し、結果として生じる細胞ペレットを培地(インスリン(10μg/mL)、トランスフェリン(10μg/mL)、EGF(5ng/mL)、セレン(2.5×10-8M)、T3(1×10-12M)、エタノールアミン(1×10-6M)、ホスホエタノールアミン(1×10-6M)、ホルスコリン(1〜5μM)、ヒドロコルチゾン(1×10-9M)、プロゲステロン(1×10-8M)、ヘレグリン(HRG)(1〜3nM)、およびアプロチニン(25μg/mL)を補充した無血清F12/DMEM)中に再懸濁した。
フィブロネクチンでコーティングした(5μg/mL)100mm皿3枚に細胞懸濁液を移し、分けた。培地を添加して皿当たりの最終体積を10mLにし、標準的なインキュベーション条件で皿をインキュベートした。3日毎に使用済み培地を回収し、0.22μmフィルターを用いてろ過し、添加して(20%体積/体積)細胞を溶解した。最初のプレーティングから7〜10日以内に、ごく少数の上皮様コロニーが形成し、これらのコロニーは、非分裂性の間質様細胞の間に広がり始めた。さらに14日以内に、サブコンフルエントになった培養物を継代培養し、当技術分野において公知の標準的方法を用いて、フィブロネクチンでコーティングした100mm皿に1:3に分割した。(2回目または3回目の継代後に)膵管がん幹細胞を培養状態で樹立した後は、以前の培養物に由来する順化培地の使用はもはや必要ではなかった。当業者は、細胞の増殖および外観の観察に基づいて、順化培地の使用がもはや必要とされないと思われる時点を決定できるはずである。アプロチニンは、この因子の存在下でそれ以上の増殖刺激が観察されなくなった場合、もはや培地に添加しなかった。その後の増殖研究により、倍加時間が26時間であることが示された。60回超、1つの膵管がん幹細胞培養物を継代したが、セネッセンスの徴候はなかった。
実施例5
メルケル細胞がん幹細胞の単離および培養
メルケル細胞がんに由来する組織を、100μg/mLゲンタマイシンを含む滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で短時間ゆすぎ、100mm組織培養皿に入れ、小さな(1mm未満)細片に刻んだ。解離培地(100μg/mLゲンタマイシンおよび200μLコラゲナーゼ-ディスパーゼ(PBS中10%(重量/体積))を含み、ダイズトリプシンインヒビター(STI、10%(体積/体積))を添加したF12/DMEM)5mL中に、刻んだ組織を懸濁し、37℃でインキュベートした。5分間隔で懸濁液をピペッティングして、細胞凝集物をほぐした。細胞10〜20個の凝集物が組織から解離したと思われた場合、酵素活性を停止した。
遠心分離(900rpmで4分)により、F12/DMEMで懸濁液を洗浄し、結果として生じる細胞ペレットを培地(インスリン(10μg/mL)、トランスフェリン(10μg/mL)、EGF(5ng/mL)、セレン(2.5×10-8M)、T3(1×10-12M)、エタノールアミン(1×10-6M)、ホスホエタノールアミン(1×10-6M)、ホルスコリン(5μM)、ヒドロコルチゾン(1×10-9M)、プロゲステロン(1×10-8M)、PPE(15μgのPPEタンパク質総量)を補充した無血清F12/DMEM)中に再懸濁した。メルケル細胞がん幹細胞のいくつかの培養物は、培養物が樹立された後、増殖のためにPPEを必要としない。このことは、メルケル細胞がん幹細胞培養物の3回目または4回目の継代後に試験することができる。場合によっては、神経成長因子β(NGF-β)の添加が、メルケル細胞がん幹細胞培養物の増殖にとって有利な場合がある。NGF-βは、培養物が樹立された後、濃度10ng/mlで使用してよい。
フィブロネクチンでコーティングした100mm皿5枚に細胞懸濁液を移し、分けた。培地を添加して皿当たりの最終体積を10mLにし、幹細胞が明らかになるまで(図1〜3を参照されたい)、3日毎に培地を交換し、標準的なインキュベーション条件で皿をインキュベートした。この時点で、非幹細胞の大半は死滅しており、幹細胞コロニーは、1:3の密度で継代培養するのに十分な細胞密度(50%)まで増殖させることができる。
メルケル細胞がん幹細胞培養物が約85〜95%コンフルエントになった後で、培養皿から細胞を取り外すTrypLE Express(Invitrogen)を用いて培養物を継代培養した。用途に応じて、これらの細胞を1:5〜1:20の比率で分割した。継代から継代の間に、増殖培地を2〜3日毎に交換した。30回超、1つのメルケル細胞がん幹細胞培養物を継代したが、セネッセンスの徴候はなかった。
実施例6
前立腺がん幹細胞の単離および培養
前立腺がんに由来する組織を、100μg/mLゲンタマイシンを含む滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で短時間ゆすぎ、100mm組織培養皿に入れ、小さな(1mm未満)細片に刻んだ。解離培地(100μg/mLゲンタマイシンおよび200μLコラゲナーゼ-ディスパーゼ(PBS中10%(重量/体積))を含み、ダイズトリプシンインヒビター(STI、10%(体積/体積))を添加したF12/DMEM)5mL中に、刻んだ組織を懸濁し、37℃でインキュベートした。5分間隔で懸濁液をピペッティングして、細胞凝集物をほぐした。細胞10〜20個の凝集物が組織から解離したと思われた場合、酵素活性を停止した。
遠心分離(900rpmで4分)により、F12/DMEMで懸濁液を洗浄し、結果として生じる細胞ペレットを培地(カルシウム(0.1mM)、インスリン(10μg/mL)、トランスフェリン(10μg/mL)、EGF(5ng/mL)、セレン(2.5×10-8M)、T3(1×10-12M)、エタノールアミン(1×10-6M)、ホスホエタノールアミン(1×10-6M)、ヒドロコルチゾン(1×10-8M)、テストステロン(50ng/mL)、およびPPE(1mL当たり約15μgのPPEタンパク質総量)を補充した、カルシウムを含まない無血清F12/DMEM)中に再懸濁した。
ラミニンでコーティングした100mm皿5枚に細胞懸濁液を移し、分けた。培地を添加して皿当たりの最終体積を10mLにし、標準的なインキュベーション条件で皿をインキュベートした。
前立腺がん細胞の初期培養物は、3日間の培養後、あまりうまく付着しなかった。これらの細胞に対する培地を交換する場合、使用済み培地を回収し、コラゲナーゼ-ディスパーゼを用いて、任意の付着細胞を除去した。使用済み培地および細胞を遠心分離し、結果として生じる細胞ペレットを新鮮な増殖培地10ml中に再懸濁し、ラミニンでコーティングした新しい培養皿に播種した。また、新鮮な増殖培地10mlも元の皿プレートに入れ、この皿(および続いて使用した皿)を、前立腺がん幹細胞の樹立された培養物が生じるまで2〜3日毎に培地を交換しながら維持した。前立腺がん初代培養物中に前立腺がん幹細胞のコロニーが現れるのに要する平均時間は、4〜6週間の間であった。
図1Aは、約5週間の培養後、培養中の他の細胞型から増殖した前立腺がん幹細胞の小さなコロニーを示す。2〜3日毎に培地を交換したが、細胞は継代も分割もしなかった。白い円で強調したように、前立腺がん幹細胞は、それらの形態に基づいて、培養中の他の細胞から区別することができる。これらは、密なコロニー中で優先的に増殖し、上皮細胞の形態を有した。培養中の他の細胞と比べて、前立腺がん幹細胞のサイズははるかに小さく、したがって、この形態学的特徴を用いてさらに区別した。
小さなコロニーの確立後、前立腺がん幹細胞は次に、最適化された増殖培地において指数増殖期に移行するのが一般的である。図1Bは、指数増殖期を開始した前立腺がん幹細胞の小さなコロニーを示す。図1Cは、指数増殖期に入って3日後の前立腺がん幹細胞の同じコロニーを示す。図1Dは、指数増殖期に入って6日後の前立腺がん幹細胞の同じコロニーを示す。最終的に、前立腺がん幹細胞は、単離された実質的に純粋な細胞集団を形成し、他の細胞型は培養物中に存在しなかった。
実質的に純粋な前立腺がん幹細胞集団が樹立された後、培養皿から細胞を取り外すためにコラゲナーゼ-ディスパーゼを用いる当技術分野において公知の標準技術を用いて、細胞を継代した。継代から継代の間に、培地を3日毎に交換した。30回超、1つの前立腺がん幹細胞株を継代したが、セネッセンスの徴候はなかった。
実施例7
基底細胞がん幹細胞の単離および培養
基底細胞がんに由来する組織を、100μg/mLゲンタマイシンを含む滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で短時間ゆすぎ、100mm組織培養皿に入れ、小さな(1mm未満)細片に刻んだ。解離培地(100μg/mLゲンタマイシンおよび200μLコラゲナーゼ-ディスパーゼ(PBS中10%(重量/体積))を含み、ダイズトリプシンインヒビター(STI、10%(体積/体積))を添加したF12/DMEM)5mL中に、刻んだ組織を懸濁し、37℃でインキュベートした。5分間隔で懸濁液をピペッティングして、細胞凝集物をほぐした。細胞10〜20個の凝集物が組織から解離したと思われた場合、酵素活性を停止した。
遠心分離(900rpmで4分)により、F12/DMEMで懸濁液を洗浄し、結果として生じる細胞ペレットを培地(インスリン(10μg/mL)、トランスフェリン(10μg/mL)、EGF(5ng/mL)、セレン(2.5×10-8M)、T3(1×10-12M)、エタノールアミン(1×10-6M)、ホスホエタノールアミン(1×10-6M)、トリヨードチロニン(T3)(1×10-12M)、ヒドロコルチゾン(1×10-8M)、およびPPE(1mL当たり約75μgのPPEタンパク質総量)を補充した無血清F12/DMEM)中に再懸濁した。
フィブロネクチンでコーティングした100mm皿5枚に細胞懸濁液を移し、分けた。培地を添加して皿当たりの最終体積を10mLにし、標準的なインキュベーション条件で皿をインキュベートした。密接に詰まった小さな形態を有する幹細胞(図1〜3を参照されたい)が明らかになるまで、3日毎に培地を交換する。この時点で、他のがんタイプと同様に、幹細胞はより急速に増殖し始める。次いで、これらを継代培養することができ、数回の継代培養後、これらは培養物中に残存する唯一の細胞型となると考えられる。
基底細胞がん幹細胞培養物が約85〜95%コンフルエントになった後で、培養皿から細胞を取り外すTrypLE Express(Invitrogen)を用いて培養物を継代培養した。あるいは、トリプシンまたはコラゲナーゼ-ディスパーゼを使用してもよい。用途に応じて、これらの細胞を1:3〜1:5の比率で分割した。継代から継代の間に、増殖培地を3日毎に交換した。15回超、1つの基底細胞がん幹細胞培養物を継代したが、セネッセンスの徴候はなかった。
実施例8
乳がん幹細胞の単離および培養
乳がんに由来する組織を、100μg/mLゲンタマイシンを含む滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で短時間ゆすぎ、100mm組織培養皿に入れ、小さな(1mm未満)細片に刻んだ。解離培地(100μg/mLゲンタマイシンおよび200μLコラゲナーゼ-ディスパーゼ(PBS中10%(重量/体積))を含み、ダイズトリプシンインヒビター(STI、10%(体積/体積))を添加したF12/DMEM)5mL中に、刻んだ組織を懸濁し、37℃でインキュベートした。5分間隔で懸濁液をピペッティングして、細胞凝集物をほぐした。細胞10〜20個の凝集物が組織から解離したと思われた場合、酵素活性を停止した。
遠心分離(900rpmで4分)により、F12/DMEMで懸濁液を洗浄し、結果として生じる細胞ペレットを培地(インスリン(10μg/mL)、トランスフェリン(10μg/mL)、EGF(5ng/mL)、セレン(2.5×10-8M)、T3(1×10-12M)、エタノールアミン(1×10-6M)、ホスホエタノールアミン(1×10-6M)、ヒドロコルチゾン(1×10-8M)、プロスタグランジンE1(PGE1)(100ng/mL)、およびPPE(1mL当たり約15μgのPPEタンパク質総量)を補充した無血清F12/DMEM)中に再懸濁した。
フィブロネクチンでコーティングした100mm皿5枚に細胞懸濁液を移し、分けた。培地を添加して皿当たりの最終体積を10mLにし、標準的なインキュベーション条件で皿をインキュベートした。培養物が一度樹立されれば、標準的方法を用いてヒト乳がん幹細胞を凍結することができる。細胞を解凍し、培養状態にそれらを戻す場合、少量のウシ胎児血清(約2%(体積/体積))が、ヒト乳がん幹細胞の生存を確実にするために有益な場合がある。最初の解凍および培養(例えば、1〜2日)後、ウシ胎児血清を含む培地を除去し、無血清培地に取り替えてよい。ウシ胎児血清は、ヒト乳がん幹細胞の連続培養のために必要でもなく、好ましくもない。2%を上回るFBSを含む培養条件は、ヒト乳がん幹細胞の増殖に対して阻害性であることが示されている。
ヒト乳がん幹細胞は、継代培養することができる。使用済み培地を吸引除去し、DME/F12培地5mlを用いて細胞を洗浄した。洗浄培地を吸引除去し、トリプシン1mlを細胞に添加し、これらの細胞がプレートから剥離するまで(約5分)、37℃で細胞をインキュベートした。ダイズトリプシンインヒビター(STI)1mlを添加してトリプシンを中和し、これらの細胞を採取し、遠心分離してペレット状にした。細胞ペレットを新鮮な増殖培地中に再懸濁し、フィブロネクチンでコーティングした皿に、用途に応じて1:3〜1:5の比で分割した。増殖培地を2〜3日毎に交換し、細胞が80〜90%コンフルエントになった時点で継代または継代培養した。25回超、1つの乳がん幹細胞培養物を継代したが、セネッセンスの徴候はなかった。
実施例9
ヒトがん幹細胞の特徴付け
一部のがん細胞上で発現されることが報告されているマーカーの細胞表面での発現を探す、ヒトがん幹細胞を特徴付けるための実験を実施した。形態学的にがん幹細胞と同定された細胞のCD24、CD34、CD44、およびCD133の発現解析を、フローサイトメトリーを用いて実施した。
5分間、または細胞がフラスコから解離もしくは遊離するまで0.2%コラゲナーゼ/ディパーゼ(dipase)2mlを用いて、細胞をフラスコから取り外した。5mlピペットを用いて細胞を粉砕して、任意の細胞凝集塊を無くし、次いで、15mlコニカル試験管に移し、1200rpmで5分間、遠心沈殿させた。上清を除去し、1ml/T75フラスコまたは5ml/T175フラスコの解析緩衝液(1%BSAを含むハンクス平衡塩類溶液)中に細胞を再懸濁した。血球計数器を用いて細胞を計数した。
50,000〜100,000個の細胞を、下記に挙げた濃度の一次抗体および対照と混合した:
1. 100μl/細胞108個の抗CD24/PE (Miltenyi)
2. 100μl/細胞108個の抗CD44/PE (Miltenyi)
3. 10μl/細胞105個の抗CD34/PE (Miltenyi)
4. 2μl/細胞5×104個の抗CD133/PE(Miltenyi)
5. アイソタイプ対照
6. 100μl/細胞108個のFC Block (Miltenyi)
次いで、4℃で20分間、暗所でこれらの細胞をインキュベートした。
インキュベーション後、解析緩衝液で体積を200μlに調整し、1200rpmで5秒間、遠心沈殿させた。上清を除去し、新鮮な解析緩衝液200μl中に細胞を再懸濁した。5μlの7-アミノアクチノマイシン-D(7-AAD)またはヨウ化プロピジウムを、生存/死滅のゲートをかけるための解析の直前に細胞に添加した。FACSCaliburまたはGuava機器を用いて細胞を解析した。
細胞株におけるCD24、CD34、CD44、およびCD133発現の結果を下記の表1および表2に要約する。これらの表において、「+」は、蛍光強度のシフトが1logまたはそれ以上であることを示し、「中程度(med)」は、蛍光強度のシフトが0.5〜1logであることを示し、「低度(low)」は、蛍光強度のシフトが最大0.5logであることを示し、「-」は、蛍光強度のシフトが無いことを示す。
表1に示すように、がん幹細胞の大多数は、これまで固形がん幹細胞と関連付けられていなかった公知の造血幹細胞マーカーであるCD34を発現した。CD34は内皮細胞上で発現されることも公知であるため、対照として、別の内皮細胞マーカー(CD141)の発現を検査した。これらのがん幹細胞のどれもCD141を発現せず、したがって、これらが内皮細胞である見込みも造血細胞である見込みも少ない。
がん幹細胞マーカーに対する転移の影響を研究するために、動物異種移植実験において転移するがん幹細胞において、CD24、CD34、およびCD44の発現解析を実施した。メルケル細胞がん幹細胞および9926(膵臓がん幹細胞)を、免疫が低下したマウス宿主の腎被膜下に移植した。約6〜8週間後、これらの動物を屠殺し、腫瘍形成に関して検査した。宿主の腎臓上で形成する原発腫瘍に加えて、メルケル細胞および9926細胞の両方において、自然転移が宿主の体腔で観察された。これらの転移物を取り出し、初めの増殖培地中で培養した。細胞が培養で増殖した後、これらの細胞を分散させ、前述の方法に従ってフローサイトメトリーを用いて、CD24、CD34、およびCD44の発現を解析した。これらの実験の結果を下記の表2に要約する。
メルケル細胞型および9926細胞型の両方において、親細胞は、転移沈着物に由来する細胞上のマーカーパターンとは異なる細胞表面マーカー発現のパターンを示した。転移に由来するメルケル細胞がん株は、CD44を高発現し、CD24を低発現し、CD34は発現しなかった。比較すると、(動物で継代されていない)メルケル親細胞は、CD44を発現せず、CD24を発現せず、CD34を高発現した(表1を参照されたい)。また、同様の結果が、9926膵臓がん転移の場合でも認められ、CD44を発現せず、CD34を高発現する親9926膵臓がん幹細胞と比較して、CD44発現は高く、CD34発現は低かった。
がん幹細胞マーカーに対する動物継代の影響を研究するために、動物宿主における異種移植を経て継代されたがん幹細胞において、CD24、CD34、およびCD44の発現解析もまた実施した。3種のヒトがん幹細胞培養物(メルケル細胞がん、CRCA0404、およびPRCA629a)を異種移植片としてマウス宿主にそれぞれ植え(腎被膜下または皮下のいずれか)、腫瘍を形成させ、次いで、原発腫瘍を取り出し、各細胞型に対して適切な培地中で培養した。培養状態で増殖させた後、これらの細胞を分散させ、フローサイトメトリーを用いて、CD24、CD34、およびCD44の発現レベルを解析した。これらの結果を下記の表2に要約する。
新しい原発腫瘍において、それらの親と比べた場合、細胞表面マーカーの発現の変化が観察された。メルケル細胞がんおよびまたCRCA0404結腸直腸がんに由来する原発腫瘍に由来する細胞は、(親がん幹細胞と比べて)CD34発現の減少を示し、CD44発現の増加を示した。インビボでの増殖が非常に遅いPRCA629a腫瘍に由来する細胞は、CD34の高発現を保ち、CD44発現は低かった。これらの実験の結果から、動物を経た継代によって、対応するがん幹細胞と関連付けられたマーカーの細胞表面発現が変化し得ることが示唆される。
不掲載のその他のデータにおいて、細胞培養条件の変化もまた、細胞表面マーカーに影響を及ぼし得る。ホルスコリンの存在下で、乳がん細胞株BRCA1103は、ホルスコリンが無い場合のレベルと比べて、細胞表面マーカーCD44およびCD24の両方の減少を示す。
(表1)ヒトがん幹細胞培養物におけるCD24、CD34、CD44、およびCD133の発現
Figure 2010516259
(表2)動物継代後のヒトがん幹細胞(転移および新たな原発腫瘍)におけるCD24、CD34、およびCD44の発現
Figure 2010516259
実施例10
ヒト腫瘍異種移植モデル:ヒトがん幹細胞の腫瘍形成能力
がん幹細胞は、自己複製することができ、かつ、少数の細胞からインビボで腫瘍を形成する能力を有する腫瘍細胞の小さな部分集団(培養条件による初期選択)であると定義される。がん幹細胞の腫瘍形成能力を試験した。
これらの実験のために、コラーゲンボタン(collagen button)当たり細胞20個〜細胞5×104個の細胞数範囲の細胞を免疫欠損マウスに移植した。ラット尾部I型コラーゲンを用いて、コラーゲンボタンを調製した。ラット尾部I型コラーゲンの調製は、当技術分野において周知である。手短に言えば、成熟した飼育ラットの尾部を取り外し、腱を単離し、計量した。1グラムの腱から100mlのコラーゲン溶液を作製し、各尾部は約1〜1.5gの腱をもたらす。コラーゲンを抽出するために、ペニシリン、ストレプトマイシン、およびフンギソンを含む希酢酸溶液(水100mlに溶かした、腱1グラム当たり200μlの氷酢酸)中に腱を入れ、少なくとも1週間、4℃で穏やかに攪拌した。次いで、溶液を遠心分離し、コラーゲン上清を使用時まで4℃で保存した。
この研究のために、アール平衡塩類溶液(EBSS)、NaOH、およびNaHCO3を含む硬化溶液中でラット尾部コラーゲンを重合させることによって、コラーゲンボタン50μlを調製した。重合後、コラーゲンボタン1つ当たり様々な数(20個〜200個)の細胞を添加した。37℃で一晩、これらの細胞をコラーゲン中でインキュベートした後、移植した。
腎臓被膜下に細胞を移植するために、トリブロモエタノールでマウスを完全に麻酔した。細胞を植えることができるように、腎臓被膜中にポケットを作製した。これは、右および/または左の腎臓への腰近傍外科的アプローチによって作製した。手術後、動物を加温面上で回復させ、麻酔から完全に回復するまで観察した。創傷クリップは、手術後10日目に除去した。動物中で6〜12週間経過後、動物の腎臓を摘出し、腫瘍形成について視覚的に検査した。また、ヒトAlu特異的配列プライマーを用いて、腎臓において定量的PCR(QPCR)も実施して、腫瘍形成を確認および定量した。これらの結果を下記の表3に要約する。
がん幹細胞はすべて、細胞約200個の接種物によって、免疫欠損マウスにおいて腫瘍を形成することができた。これらの腫瘍は通常、可視的に認知でき、QPCRを用いて確認した。これまで、試験したがん幹細胞はすべて、細胞20個の接種物から、腫瘍を形成することができる。(表3を参照されたい)。すべての実験において、ヒトがん幹細胞を移植した動物の100%で腫瘍形成が観察された。一般に、1つの条件当たり少なくとも3匹の動物を、どの実験においても使用した。これらの結果は、ごく少数の細胞からインビボで腫瘍を形成する能力があるため、これらの細胞ががん幹細胞であるという特徴付けと一致している。
一方、がん由来の2種の培養物は腫瘍を形成しなかった(図4を参照されたい)。分散させた前立腺腫瘍細胞を、前述のように、選択培地の代わりに血清(10%)含有培地中で2〜4週間増殖させた場合には、結果として生じる培養物は、SRC中に最高250,000個の細胞/コラーゲンボタンを移植しても腫瘍を形成しないと思われる。結腸培養物のうち1つは、異なる形態、増殖特徴、および細胞表面タンパク質結合特徴を有する異常な細胞株(CRCA0705)を生じた。これらの細胞は、200個未満〜500,000個の細胞/コラーゲンボタンの接種物のいずれでも、腫瘍を形成しないと考えられる(図4を参照されたい)。
(表3)ヒトがん幹細胞を用いたインビボでの腫瘍形成
Figure 2010516259
図4は、様々な細胞株からSCIDマウスの腎臓被膜下で形成させた腫瘍の写真を示す。この図で示されるように、がん幹細胞株は、この腎臓下がん異種移植モデルを用いると、非がん幹細胞株とはっきりと区別可能である。
実施例11
ヒト腫瘍異種移植モデル:ヒトがん幹細胞の転移能力
この研究は、ヒト腫瘍異種移植モデルにおいてメルケル細胞がん(皮膚の神経内分泌がん)から培養したメルケル細胞がん幹細胞を使用するために設計した。腎被膜下で移植した場合、MCC細胞は、腹膜腔および胸腔の複数の器官に自然発生的に転移する腫瘍を形成すると考えられる。転移は、視覚的に認めることができるか、またはヒトDNAに関するQPCRを用いて定量することができる。
前述の方法によって、ラット尾部I型コラーゲンを調製した。この研究のために、アール平衡塩類溶液(EBSS)、NaOH、およびNaHCO3を含む硬化溶液中でラット尾部コラーゲンを重合させることによって、コラーゲンボタン50μlを調製した。重合後、コラーゲンボタン1つ当たり5×105個のメルケル細胞を添加した。37℃で一晩、これらの細胞をコラーゲン中でインキュベートした後、移植した。
腎臓被膜下に細胞を移植するために、トリブロモエタノールでマウスを完全に麻酔した。細胞を植えることができるように、腎臓被膜中にポケットを作製した。これは、右および/または左の腎臓への腰近傍外科的アプローチによって作製した。一部の研究では、両方の腎臓に異種移植片を施した。手術後、動物を加温面上で回復させ、麻酔から完全に回復するまで観察した。創傷クリップは、手術後10日目に除去した。
これらの腫瘍を約5〜8週間増殖させた。研究終了時に、マウスを屠殺し、腫瘍を摘出した。有意な数の転移が、マウスにおいて見出された。転移は、メルケル細胞がん細胞培養物を移植されたマウスの網、横隔膜、脾臓、卵巣、および肺において発見され得る。一般に、転移のサイズは大きく、肉眼で容易に認知できた。
RECA0515細胞およびCRCA1115細胞を用いて、同様の実験を実施した。両方の細胞型が、腎被膜下から多数の部位に転移すると考えられる。9926膵臓がん幹細胞を用いた実験の結果、マウスにおいて腎被膜下から他の部位への転移が起こった。また、9926膵臓がん幹細胞は、マウス前立腺に移植した場合に、腎被膜下移植と比べて高い頻度で転移した。全体としてひとまとめに考えると、これらの結果から、ヒトがん幹細胞培養物を成功裡の異種移植モデルで使用して、ヒト腫瘍のインビボでの確立、増殖、および転移を理解できることが示される。
興味深いことに、同様の実験において、PRCA株のうち4つはまた、(場合によっては)ごく少数(500個未満)の細胞を移植した場合にさえ、動物中で4〜12週間経過後に、SRCから自然発生的に転移する。
がん幹細胞が、遠位部位に転移する腫瘍中の細胞型であることが予測されていた(Li, F.Tiede, B., Massague, J.およびKang, Y. (2007) Cell Res 17, 3-14を参照されたい)。このことを念頭に置いて、本明細書において説明する前立腺 CSCのうち4つが、SRC中に移植した細胞から増殖させた腫瘍から複数の器官に自然発生的に転移することに注目することは興味深い。さらに、CRCA1115結腸腫瘍由来株、メルケル由来株、およびCTLY(皮膚T細胞リンパ腫由来株)はすべて、SRC腫瘍から転移する。PACA膵臓由来株は、膵臓に同所性に移植された腫瘍から転移する。したがって、これらのCSC株は、原発性固形腫瘍異種移植片から自然転移する特性をしばしば示し、これは、ATCCの腫瘍由来細胞株および大半の他の株においてめったに認められない特徴である。本発明の教示に従って得た腫瘍由来細胞株の一部のリストを、それらの組織および細胞株表現型と共に、表4に示す。
(表4)腫瘍由来の細胞株
Figure 2010516259
*これらの細胞株を用いて示したデータ。
また、がん細胞転移の増大に対する抗体の影響を決定するための実験も実施した。図5および6に示したように、ある種のがんの表面に結合することが公知である抗体KID24(PTA-5174)は、腎被膜下モデルにおいて確立させたがん幹細胞株がんからの腫瘍転移の増大を減少させた。
本明細書において説明する実施例および態様は、例示するためのものにすぎないこと、ならびにそれらを考慮した様々な修正または変更が当業者に示唆され、かつそれらが本出願の精神および権限の範囲内に含まれることが理解される。本明細書に引用される刊行物、特許、および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許、または特許出願のそれぞれが参照により組み入れられることが具体的かつ個別に示される場合と同程度に、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。

Claims (13)

  1. ヒト腫瘍組織から単離し、増殖のために最適化された栄養培地中で増殖させた、ヒトがん幹細胞の集団。
  2. セネッセンスを伴わずに多数回継代培養するための能力を保持している、請求項1記載のヒトがん幹細胞。
  3. 少なくとも1種の細胞表面マーカーを発現する、請求項1記載のヒトがん幹細胞。
  4. 細胞表面マーカーがCD34である、請求項3記載のヒトがん幹細胞。
  5. 以下の段階を含む、ヒトがん幹細胞の集団を単離する方法:
    (a)ヒトがん幹細胞の供給源を解離させる段階;
    (b)ヒトがん幹細胞の該解離させた供給源を、ヒトがん幹細胞の増殖のために最適化された栄養培地中に入れる段階;
    (c)ヒトがん幹細胞の該供給源から該栄養培地中へのヒトがん幹細胞の増殖を支援するのに十分である適切な培養条件を維持する段階;
    (d)ヒトがん幹細胞の該集団を継代培養して、ヒトがん幹細胞の実質的に純粋な集団を得る段階。
  6. 異種レシピエントに免疫原の供給源を提供する方法であって、該レシピエントにおいて免疫応答を誘導するのに有効な量の請求項1記載のヒトがん幹細胞を投与する段階を含む方法。
  7. 請求項1記載のヒトがん幹細胞を含むがん細胞ワクチンであって、選択されたがんのリスクがあるか、または罹患している哺乳動物に投与された場合、選択されたがんに対する防御的または治療的免疫応答を生じさせる、がん細胞ワクチン。
  8. 少なくとも1種の薬物を薬学的に開発するための、ヒトがん幹細胞に特異的な生物学的構成要素の供給源を提供する方法であって、請求項1記載のヒトがん幹細胞の集団を単離する段階、および開発中の薬物の標的として該ヒトがん幹細胞を使用する段階を含む方法。
  9. バイオアッセイ法の開発においてヒトがん幹細胞の供給源を提供する方法であって、請求項1記載のヒトがん幹細胞の集団を単離する段階、および該バイオアッセイ法の1つまたは複数の原理構成要素として該ヒトがん幹細胞を使用する段階を含む方法。
  10. 異種移植モデルにおいてヒトがん幹細胞の供給源を提供する方法であって、請求項1記載のヒトがん幹細胞の集団を単離する段階、および該異種移植モデルの1つまたは複数の原理構成要素として該ヒトがん幹細胞を使用する段階を含む方法。
  11. 薬学的に許容される製剤中に請求項1記載のがん幹細胞を含む、薬学的組成物。
  12. 対象においてがんを治療する方法であって、(a)請求項1記載のがん幹細胞を作製する段階、および(b)該がん幹細胞を該対象に投与する段階を含む方法。
  13. がん幹細胞を投与する段階が、静脈注射、筋肉内注射、腫瘍内注射、皮下注射、または白血球搬出を含む、請求項12記載の方法。
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