JP2017086091A - がんの非ヒトモデル動物及びその作製方法、がん幹細胞及びその製造方法 - Google Patents

がんの非ヒトモデル動物及びその作製方法、がん幹細胞及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】がんの非ヒトモデル動物を提供する。【解決手段】多能性幹細胞をある臓器もしくは組織の細胞に分化誘導する培地に不死化細胞の培養上清を添加して培養し、特定の臓器もしくは組織の特性を有するがん幹細胞を作製し、前記がん幹細胞を非ヒト哺乳動物に移植して、前記がん幹細胞と同じ特定の臓器もしくは組織にがんを作製することにより得ることができるがんの非ヒトモデル動物であって、前記臓器又は組織が大腸、胃、肝臓、食道、膵臓、胆管、乳房、子宮、前立腺、膀胱、肺、リンパ液、骨髄、脳/脊髄からなる群から選ばれ、前記特性は分化誘導された特定の臓器もしくは組織特異的な組織像を示すことであり、前記多能性幹細胞はがん化していないES細胞又はがん化していないiPS細胞に由来する、がんの非ヒトモデル動物。【選択図】図1

Description

本発明は、がんの非ヒトモデル動物及びその作製方法、がん幹細胞及びその製造方法に関する。
被検物質の発がん性リスク評価は、変異原性試験や反復投与毒性試験、統計学的にヒトに与える影響の評価などによって行われてきた。しかし、近年のがん研究ではがん及びがん組織は特定の遺伝子変異だけによる均一な細胞の集合体では無く、不均一な性質・特性をもつ細胞の集団であること、「がん誘導性の微小環境」によってがんの基となる「がん幹細胞」が作られること、がん幹細胞の分化や増殖、浸潤ががん組織の成長や転移、また、がん治療における再発の原因であることが明らかとなってきた。がん幹細胞は際限なく分化を継続してがん細胞を生みだし、自身も増殖を繰り返す。この分化増殖を促進するシグナルを提供するのが微小環境(ニッチ)である。一方、この分化過程は詳細には解明されていないが、本発明者らはiPS 細胞を用いることで,がん由来細胞株の培養液にがん幹細胞を誘導する“ニッチ” が存在することを証明してきた(特許文献1)。
従来の、がんのモデルは、例えばヒトのがんをヌードマウス、スキッドマウスなどの免疫不全マウスの皮下に移植することで作製され使用されてきた。
WO2014/148562
本発明は、ある臓器もしくは組織の特性を有するがん幹細胞(delay phaseのがん幹細胞)と特定の臓器もしくは組織の特性を有するに至っていない初期のがん幹細胞(early phaseのがん幹細胞)を作出し、これを免疫不全動物に移植し、生着増殖させることで作出する担がん動物モデルを提供する。移植部位は、当該臓器もしくは組織と同じことが望ましいが、異なっていてもよい。更に、宿主と同じMHC(主要組織適合遺伝子複合体)を有するがん細胞・組織を宿主内で簡便かつ再現性良く生み出すことができ、その結果として治療上大きな意味をもつ宿主等の免疫系等の関与も含めた、がんの治療薬、治療法等の評価が出来る、画期的な担がん動物モデルを提供することを目的とする。
本発明は、以下のがんの非ヒトモデル動物及びその作製方法を提供するものである。
項1. ある臓器もしくは組織の特性を有するがん幹細胞を非ヒト哺乳動物に移植して、前記臓器もしくは組織のがんを作製してなる、がんの非ヒトモデル動物。
項2. 前記非ヒト哺乳動物が免疫不全の非ヒト哺乳動物であり、前記がん幹細胞を前記臓器もしくは組織のがん細胞とともに非ヒト哺乳動物に移植して、がん幹細胞を保有する前記臓器もしくは組織のがんを作製してなる、項1に記載のがんの非ヒトモデル動物。
項3. 前記がん細胞がヒト由来のがん細胞である、項2に記載のがんの非ヒトモデル動物。
項4. 前記がん幹細胞移植して作製したがんを摘出し、がんを再発させてなる、項1に記載のがんの非ヒトモデル動物。
項5. 前記がん幹細胞とがん細胞を移植して作製したがんを摘出し、がんを再発させてなる、項2に記載のがんの非ヒトモデル動物。
項6. 前記非ヒト哺乳動物とがん幹細胞のMHC(主要組織適合遺伝子複合体)が同一である、項1に記載のがんの非ヒトモデル動物。
項7. 前記がん幹細胞がES細胞から誘導されたものであり、ES細胞とモデル動物のMHCが同一である、項6に記載のがんの非ヒトモデル動物。
項8. 前記臓器もしくは組織が、肝臓、腎臓、肺、胃、大腸、膵臓、胆嚢、卵巣、子宮、前立腺、乳房、甲状腺、血液、リンパ液、骨髄、膀胱、副腎、脳/脊髄からなる群から選ばれる、項1〜7のいずれか1項に記載のがんの非ヒトモデル動物。
項9. 多能性幹細胞をある臓器もしくは組織の細胞に分化誘導するプロセスにおいて不死化細胞の培地に含まれる培養成分を含む培地を使用して特定の臓器もしくは組織の性質を有するがん幹細胞を作製する工程、前記がん幹細胞を非ヒト哺乳動物に移植して、前記がん幹細胞と同じ特定の臓器もしくは組織にがんを作製する工程を含む、がんの非ヒトモデル動物の作製方法。
項10. 多能性幹細胞をがん細胞と共培養して特定の臓器もしくは組織の性質を有するがん幹細胞を作製する工程、前記がん幹細胞と前記がん細胞を非ヒト哺乳動物に移植して、前記がん幹細胞の特性と同じ臓器もしくは組織にがんを作製する工程を含む、がんの非ヒトモデル動物の作製方法。
項11. 初期のがん幹細胞を、前記がん幹細胞と同一のMHC(主要組織適合遺伝子複合体)を有する非ヒト哺乳動物に移植してがんを作製してなり、初期のがん幹細胞が臓器もしくは組織の特性を有しないがん幹細胞である、がんの非ヒトモデル動物。
項12. がん幹細胞が、ES細胞或いはiPS細胞に由来する、項11に記載のがんの非ヒトモデル動物。
項13. 前記がん幹細胞を同一のMHCを有するがん細胞とともに同一のMHCを有する非ヒト哺乳動物に移植してがん幹細胞を保有するがんを作製してなる、項11又は12に記載のがんの非ヒトモデル動物。
項14. 非ヒトモデル動物の体内のがんに含まれる前記がん幹細胞が特定の臓器もしくは組織の性質を有し、その臓器もしくは組織のがんを保有する、項11〜13のいずれか1項に記載のがんの非ヒトモデル動物。
項15. 前記臓器もしくは組織が、肝臓、腎臓、肺、胃、大腸、膵臓、胆嚢、卵巣、子宮、前立腺、乳房、甲状腺、血液、リンパ液、骨髄、膀胱、副腎、脳/脊髄からなる群から選ばれる、項11〜14のいずれか1項に記載のがんの非ヒトモデル動物。
項16. がん幹細胞を、前記がん幹細胞と同一のMHC(主要組織適合遺伝子複合体)を有する非ヒト哺乳動物に移植してがんを作製した後にがんを摘出し、がんを再発させてなる、項11〜15のいずれか1項に記載のがんの非ヒトモデル動物。
項17. がん幹細胞と同じMHCを有する非ヒト哺乳動物に前記がん幹細胞を移植してがんを作製する工程を含む、がんの非ヒトモデル動物の作製方法。
項18. がん幹細胞と同じMHCを有する非ヒト哺乳動物に前記がん幹細胞とがん細胞を移植してがんを作製する工程を含む、項17に記載のがんの非ヒトモデル動物の作製方法。
項19. さらにがんを摘出してがんを再発させる工程を含む、項17又は18に記載のがんの非ヒトモデル動物の作製方法。
項20. ある臓器もしくは組織の特性を有し、多能性幹細胞に由来するがん幹細胞。
項21. 多能性幹細胞を不死化細胞の培地に含まれる培養成分を含む分化誘導培地で培養して、前記培地で誘導される臓器もしくは組織の特性を有するがん幹細胞を得る工程を含む、臓器もしくは組織の特性を有するがん幹細胞の製造方法。
項22. 多能性幹細胞をがん細胞と共培養して前記がん細胞と同じ臓器もしくは組織の特性を有するがん幹細胞を得る工程を含む、臓器もしくは組織の特性を有するがん幹細胞の製造方法。
従来のモデル動物は、分化が進んだヒトの肝臓がん細胞、肺がん細胞などを主に用い、これを免疫不全の非ヒト哺乳動物(例えばスキッドマウス/ヌードマウス)の皮下に移植して各種のがん(例えば肝臓がん/肺がん)を皮下で大きくする(腫瘍塊の増殖形成)か、免疫不全動物の同じ臓器への移植(同所移植:非ヒト哺乳動物組織との生着増殖)により作製していた。本願では、非ヒト哺乳動物の「がん幹細胞」(例えば自家移植)を用いることで、宿主と自然発症に近いがん細胞の樹立が期待できる。例えば、本発明を用いると、最近活発化している、「免疫チェックポイント」に働く薬剤の薬理作用検証、併用効果などのスクリーニングなどにも、用いることができると期待される。更に、「同じ」臓器部位あるいは、その周辺部位、その他に、前出「がん幹細胞」を移植することで、従来の、いわゆる「同所移植モデル」よりも、更に、臨床に近いがん組織形態を有する非ヒトモデル動物を作出することができる。
また、がん幹細胞とともにがん細胞を移植することで、がん幹細胞を含むがんの非ヒトモデル動物を作製することができる。
mES-LLCcm培養36日後のES細胞 チューブフォーメーションアッセイ(分化能評価) スフェアフォーメーションアッセイ(自己複製能評価)。左:アッセイ開始時、右:無血清培地、非接着培養4日目 腹腔に移植40日後に形成された腫瘍(造腫瘍能評価) 培養26日目のプライマリーカルチャー 腫瘍切片観察像 5mm角の腫瘍を移植したマウスに形成された腫瘍。(上段:皮下移植、下段:腹腔移植) CM添加条件下での分化誘導。EB:Embryonic Body, DE:Definitive Endoderm, Heps:Hepatocytes。 マウス担癌から作成したプライマリーカルチャー細胞の誘導 左:ヒト肝がん細胞株PLC/PRF/5(PLC)で誘導し、マウス担癌から抽出したプライマリーカルチャーを肝細胞に誘導。右:マウス肺癌細胞株LLCで誘導し、マウス担癌から抽出したプライマリーカルチャーを幹細胞に誘導。 アルブミン遺伝子発現量の変化。左上:CMなし(通常の分化誘導)、右上:CM添加、左下:miPS-PLCcmのプライマリーカルチャー(p1) 右下:miPS-LLCcmのプライマリーカルチャー(p1) アルファフェトプロテイン遺伝子発現量の変化左:CMなし(通常の分化誘導)、右:miPS-PLCcm-p1 SCID-bgマウス腸管に移植したHeps(+CM)が形成した肝臓の腫瘍と腫瘍から抽出したプライマリーカルチャー。 共培養ウェルにおけるがん幹細胞(CSC)検出 colon26+miPS-LLCcmの腫瘍回収の6-20日後の免疫染色結果(HE+GFP)を示す。 colon26+miPS-LLCcmの腫瘍回収の6-20日後の免疫染色結果(HE+Nanog)を示す。 4T1+miPS-LLCcmの腫瘍回収の6-20日後の免疫染色結果(HE+GFP)を示す。 4T1+miPS-LLCcmの腫瘍回収の6-20日後の免疫染色結果(HE+Nanog)を示す。 colon26又は4T1と共培養したがん幹細胞(CSC)を移植したマウスにおいて形成されたがん組織中の抗サイトケラチン抗体を用いた免疫染色の結果を示す。 colon26を直腸に同所性移植して得られた腫瘍。GFPとNanogは発現していない。 colon26とmiPS-LLCcmを直腸に同所性移植して得られた腫瘍。GFPとNanogを発現している。 LLC細胞のCMを用いたB6G細胞の分化誘導の様子 B6G-LLCcmによる腫瘍の形成とprimary cultureの作製 a:B6G-LLCcmにより形成した腫瘍 b:形成した腫瘍から作製したprimary culture B6G-CSCのTube formation assayとSphere formation assayの結果。
a: B6G-LLCcmのTube formation assay (20x)
b: B6G-LLCcmのSphere formation assay (20x)
q-PCRによる未分化マーカー解析 a:作成したmES-CSCの未分化マーカーの発現 b:作成したB6G-LLCcmの未分化マーカーの発現 形成された腫瘍の病理学的観察(HE染色)(a)腫瘍組織(b)ホスト肝臓組織を含む腫瘍組織 丸印 ; 腺上皮組織 矢印 ; 脂肪組織 点線左側 ; ホスト肝臓組織
本明細書において、「CSC」はがん幹細胞を示し、「cm」は培養培地を示す。
本発明で使用するがん幹細胞は、ある臓器もしくは組織の特性を有するがん幹細胞と、特定の臓器もしくは組織の特性を有しない、より未分化ながん幹細胞のいずれを使用してもよい。
本明細書において、ある臓器もしくは組織の特性を有するがん幹細胞は、より分化された「後期(delay phase)」のがん幹細胞と記載することがあり、特定の臓器もしくは組織の特性を有しないがん幹細胞は、未分化な「初期(early phase)」のがん幹細胞と記載することがある。ある臓器もしくは組織の特性を有するがん幹細胞(後期のがん幹細胞)は、例えば、ES細胞、iPS細胞などの多能性幹細胞を分化誘導する過程でがん細胞などの不死化細胞と共培養するか、多能性幹細胞を分化誘導する過程でがん細胞などの不死化細胞の培地に含まれる培養成分を含む培地を使用することで作製できる。特定の臓器もしくは組織の特性を有しないがん幹細胞(初期のがん幹細胞)は、ES細胞、iPS細胞などの多能性幹細胞を分化誘導することなくがん細胞などの不死化細胞と共培養するか、がん細胞などの不死化細胞の培地に含まれる培養成分を含む培地を使用してES細胞、iPS細胞などの多能性幹細胞を培養することで作製できる。なお、ES細胞、iPS細胞などの多能性幹細胞をがん細胞などの不死化細胞と共培養するか、多能性幹細胞を分化誘導する過程でがん細胞などの不死化細胞の培地に含まれる培養成分を含む培地で培養すると、不死化細胞の影響を受けるが、培養期間の初期において特定の臓器もしくは組織の特性を有しないがん幹細胞が生じ、さらに長期間培養を続けた場合には、後期のがん幹細胞になる場合があり、或いは、分化誘導培地で初期のがん幹細胞を培養することで後期のがん幹細胞に変換することができる。
臓器もしくは組織の特性は、形態学的特徴、免疫染色、発現するタンパク質、遺伝子の発現パターンなどにより識別可能である。
がん細胞などの不死化細胞と共培養されたがん幹細胞は、比較的速やかに初期のがん幹細胞から後期のがん幹細胞に移行し、がん細胞などの不死化細胞の培地に含まれる培養成分を含む培地を用いて多能性幹細胞を培養した場合には、初期のがん幹細胞から後期のがん幹細胞に移行するのに長期間必要になる。
本発明の後期のがん幹細胞は、ヌードマウス、SKIDマウスなどの免疫不全哺乳動物或いはがん幹細胞とMHCが同一の哺乳動物の各臓器もしくは組織に直接移植されるか、各臓器もしくは組織に至る血管等に注入されることにより、前記臓器もしくは組織のがんを保有するモデル動物を作製することができる。本発明の初期のがん幹細胞は、ヌードマウス、SKIDマウスなどの免疫不全哺乳動物或いはがん幹細胞とMHCが同一の哺乳動物の任意の臓器もしくは組織に直接移植されるか、任意の臓器もしくは組織に至る血管等に注入されることにより、任意の臓器もしくは組織のがんを保有するモデル動物を作製することができる。
後期のがん幹細胞は、前記がん幹細胞が有する特性に係るがん細胞とともに移植してもよい。初期のがん幹細胞は、がんを発生させるべき臓器又は組織のがん細胞とともに移植してもよい。この場合のがん細胞とがん幹細胞は、各々モデル動物と同じ由来であっても異なっていてもよい。例えば免疫不全マウスにマウス由来のがん幹細胞とヒト由来のがん細胞を同時に移植することで、がん幹細胞から自然発症に近いがんが形成され、かつ、ヒトのがんの性質を併せ持つ優れたがんモデルマウスを得ることができる。ヌードマウス、SKIDマウスなどの免疫不全マウスを使用する場合、移植するがん幹細胞とがん細胞がともにヒト由来などの非マウス由来であってもよい。がん幹細胞とがん細胞の組み合わせはマウスとヒトに限らずあらゆる種類の哺乳動物の組み合わせが本発明に含まれる。ある臓器もしくは組織の特性を有するがん幹細胞は、同所性移植によりモデル動物にがんを作製することが好ましいが、移植部位は、がん幹細胞の特性と無関係の臓器もしくは組織に移植することもできる。初期のがん幹細胞は、どのような臓器もしくは組織に移植してもよい。
初期又は後期のがん幹細胞、必要に応じてさらに使用されるがん細胞が、これらを移植する哺乳動物と同じMHCを有する場合には、免疫拒絶が抑制されるので、任意の非ヒト哺乳動物(例えばマウス)を使用することができ、がん幹細胞、必要に応じてさらに使用されるがん細胞が、これらを移植する哺乳動物と異なるMHCを有する場合には、免疫不全マウスなどの免疫不全非ヒト哺乳動物を用いることが好ましい。
初期又は後期のがん幹細胞、必要に応じてさらにがん細胞をモデル哺乳動物に移植してがんを形成し、これをそのままがんモデル動物として使用してもよく、いったんがんを摘出し、がんを再発させてがんモデル動物としてもよい。
本発明の他の1つの実施形態において、がん幹細胞とそれを移植する非ヒト哺乳動物は同一のMHCを有する。すなわち、がん幹細胞とそれを移植する非ヒト哺乳動物はMHC遺伝子群がホモ又はヘテロで同一であり、それにより移植したがん幹細胞は免疫拒絶を受けることなく宿主である非ヒト哺乳動物においてがん組織を形成する。例えば、がん幹細胞の調製にES細胞を使用する場合、移植する宿主の非ヒト哺乳動物と同じMHCを有するES細胞は市販品として入手可能であるので、そのようなES細胞と移植対象の哺乳動物の組み合わせを使用することで、MHCを同一にすることができる。或いは、移植対象の非ヒト哺乳動物からiPS細胞を作製し、このiPS細胞からがん幹細胞を作製して同じ非ヒト哺乳動物に移植してがんを作製することで、MHCが同一のがんの非ヒトモデル動物を得ることができる。応用例として、MHCが「同一でない」組み合わせの非ヒトモデル動物も作出することができる。使用目的により、こうした「組み合わせ」を自由に選択することができる。
不死化細胞としては、実験室環境において3カ月以上にわたり培養可能である細胞集団を指し、各種がん細胞が好ましく例示される。不死化細胞としては、CHO細胞、褐色細胞腫NS0細胞、CV-1細胞、COS-1細胞、COS-7細胞、CHO-K1細胞、3T3細胞、NIH/3T3細胞、HeLa細胞、C127I細胞、BS-C-1細胞、MRC-5細胞、HEK-293細胞、PC12細胞、HEK293T細胞、RBL細胞、SH- SY5Y細胞、MDCK細胞、SJ-RH30細胞、HepG2細胞、ND7/23細胞、ベロ細胞、Caco-2細胞、K562細胞、ジャーカット細胞、Per.C6細胞、HUVEC細胞、マウスCRL 2514細胞、CRL 2515細胞、Huh7細胞、A549細胞、乳がん細胞株4T1、大腸がん細胞株colon26、マウスP19-CL6細胞、マウスB16-F10細胞、PLC/PRF5細胞、LLC細胞、IMR-90細胞、MCF-7細胞、U-2 OS細胞、T84細胞などが挙げられる。不死化細胞としては、がん細胞が好ましい。
培養液/培養成分を利用するために用いるがん細胞としては、哺乳類(ヒト、マウス、ラット、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウサギ、イヌ、サルなど)由来のがん細胞であれば特に限定されず、マウス由来がん細胞、ヒト由来がん細胞などを広く用いることができる。また、がんの種類(大腸がん、乳がん、卵巣がん、子宮頚がん、子宮内膜がん、前立腺がん、胃がん、肝臓がん、食道がん、膵臓がん、膀胱がん、胆管がん、喉頭がん、黒色腫、肺がん、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、甲状腺がん、多発性骨髄腫など)にも因らない。
不死化細胞(好ましくはがん細胞)の培養液/培養成分は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。がん細胞を培養した培地の培養成分としては、培地を遠心分離して得られた培養上清や、培地をカラムクロマトグラフィーなどにより分画したフラクションなどが挙げられる。或いはマイトマイシンCなどで処理して増殖能を失ったがん細胞を不死化細胞(好ましくはがん細胞)の培養液/培養成分として使用することができる。
多能性幹細胞をある臓器もしくは組織の細胞に誘導するプロセスにおいて、不死化細胞の培地に含まれる培養成分を含む培地を使用することで、特定の臓器もしくは組織の細胞の性質を有するがん幹細胞を作製することができる。例えば肝臓の性質を有するがん幹細胞は、アルブミン、αフェトプロテインなどを作製でき、肝細胞としての性質を有し、かつ、動物に移植したときに造腫瘍能を有するがん幹細胞が挙げられる。このような肝細胞としての性質を有するがん幹細胞は、Iwamuroら、Cell Transplant. 2010;19(6):841-7に記載の方法において、不死化細胞の培地に含まれる培養成分を含む培地を使用することで調製できる。肝臓以外の臓器、組織の性質を有するがん幹細胞は、ES細胞、iPS細胞などの多能性幹細胞を各臓器、組織に誘導する公知のプロセスにおいて不死化細胞の培地に含まれる培養成分を含む培地を使用することで、肝細胞の性質を有するがん幹細胞と同様に調製することができる。或いは、多能性幹細胞をがん細胞と共培養して特定の臓器もしくは組織の性質を有するがん幹細胞を作製することができる。がん細胞としては、各種のがん細胞株を使用することができる。
本発明の好ましい実施形態において、ある臓器もしくは組織の細胞の性質を有するがん幹細胞は、モデル動物に移植して、がん幹細胞が有する性質と同じがんを有するモデル動物を作製することができる。
モデル動物が有するがんとしては、大腸がん、乳がん、卵巣がん、子宮頚がん、子宮内膜がん、前立腺がん、胃がん、肝臓がん、食道がん、膵臓がん、膀胱がん、胆管がん、喉頭がん、黒色腫、肺がん、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、甲状腺がん、多発性骨髄腫などが挙げられる。
本発明の1つの実施形態において、例えば肝がんを保有するモデル動物は、がん幹細胞を腸管、門脈、肝臓などに注射器などで注入することで作製することができる。大腸がんは、腸管にがん幹細胞を注入することで作製できる。他の臓器/組織についても、がん幹細胞をがん作製の標的となる臓器/組織に直接注入するか、標的となる臓器/組織に至る血管に注入することにより、標的臓器/組織にがんを保有するモデル動物を作製することができる。
標的の臓器もしくは組織にがんが発生したことは、触診あるいは顕微鏡による観察などにより視覚的に確認することができる。例えばがん幹細胞がGFPなどの蛍光タンパク質或いはルシフェラーゼを発現するようにし、蛍光/発光を検出することで、どの臓器/組織に腫瘍が発生したのかを確認することができる。
多能性幹細胞は、がん細胞のような不死化細胞を培養した培地自体或いはその培養成分を用いて培養することで、がん幹細胞に誘導することができる。多能性幹細胞は、がん幹細胞に誘導できる細胞であれば特に限定されないが、例えばiPS細胞、ES細胞、間葉系幹細胞、神経幹細胞、造血幹細胞が挙げられ、iPS細胞、ES細胞が好ましい。
モデル哺乳動物と同じMHCを有するがん幹細胞を使用する場合、多能性幹細胞は、モデル動物と同じMHCを有する多能性幹細胞であれば特に限定されない。例えばマウスの多能性幹細胞を用いる場合、モデル動物はマウスであり、ラットの多能性幹細胞を用いる場合、モデル動物はラットである。
本明細書において、非ヒト哺乳動物としては、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ヤギ、イヌ、ネコ、サル、チンパンジー、ウシ、ウマ、ブタなどが挙げられ、マウス、ラットが好ましく、マウスがより好ましい。
初期又は後期のがん幹細胞を使用する場合、モデル動物とがん幹細胞の由来は同一であっても異なっていてもよい。例えばマウスのがん幹細胞を用いる場合、モデル動物はマウスであってもよく、マウス以外の非ヒト哺乳動物であってもよい。がん幹細胞及びがん細胞はヒトを含む任意の哺乳動物由来のがん幹細胞及びがん細胞を使用することができる。多能性幹細胞は、LIFの非存在下で培養すると分化するが、不死化細胞を培養した培地自体或いはその培養成分を分化誘導培地と組み合わせて培養するか、或いは、がん細胞と共培養することで、ある臓器もしくは組織の性質を有しするがん幹細胞に誘導することができる。
多能性幹細胞において、Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Myc、LIN28, L-MYC, NANOG, SV40LTなどのリプログラミング関連遺伝子のプロモーターの制御下にマーカー遺伝子を組み込むことで、多能性幹細胞から誘導されたがん幹細胞(リプログラミング関連遺伝子を発現する)の存在を容易に認識することができ、モデル動物に発生したがんの種類の同定に有用である。
本発明で使用する多能性幹細胞は、リプログラミング関連遺伝子(Nanog等)のプロモーターの制御下にマーカー遺伝子を含むのが好ましい。
マーカー遺伝子としては、CAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)、DsRed、GFP、YFP、RFP、CFPなどの蛍光タンパク質遺伝子、β-グルクロニダーゼ(GUS)、lacZ、カエデ遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子などが挙げられ、蛍光タンパク質遺伝子が好ましく例示される。
マーカー遺伝子の発現量の検出は、マイクロプレートリーダー、CCDカメラなどを用いて行うことができる。胚様体あるいはスフェロイド状の細胞塊は、マーカー遺伝子の発現量が多いために識別可能である。
モデル動物に発生したがんは、蛍光物質、放射活性物質、磁性金属などにより標識されたがんを特異的に認識する物質(例えば抗体、アルブミン)を用い、マイクロプレートリーダー、CCDカメラ、陽電子放出断層撮影(PET)、MRI、単光子放射計算断層撮影(SPECT)などにより検出できる。
本発明の1つの好ましい実施形態において、がん幹細胞を、前記がん幹細胞と同一のMHC(主要組織適合遺伝子複合体)を有する非ヒト哺乳動物にがん細胞とともに移植してがん細胞とがん幹細胞を含むがんを保有するがんの非ヒトモデル動物を得ることができる。がん細胞としては、公知の細胞株が広く用いられ、例えば上記の不死化細胞を広く用いることができる。がん幹細胞とともに移植されるがん細胞は、がん幹細胞及び非ヒト哺乳動物と同じMHCを有することが好ましい。このようながん細胞は、がん幹細胞をin vitroでがん細胞に導いてもよく、がん幹細胞を同じMHCを有する非ヒト哺乳動物に移植し、発生したがん組織から分離されたがん細胞を用いてもよい。
本発明の他の1つの好ましい実施形態において、ある臓器もしくは組織の性質を有するがん幹細胞を、前記性質の係るがん細胞とともに非ヒト哺乳動物に移植してがん細胞とがん幹細胞を含むがんを保有するがんの非ヒトモデル動物を得ることができる。がん細胞としては、がん幹細胞と同じ臓器もしくは組織の性質を有する公知の細胞株が広く用いられ、例えば上記の不死化細胞を広く用いることができる。
がん細胞ががん幹細胞と同じMHCを有する場合、このようながん細胞は、がん幹細胞をin vitroでがん細胞に導いてもよく、がん幹細胞を同じMHCを有する非ヒト哺乳動物に移植し、発生したがん組織から分離されたがん細胞を用いてもよい。
本発明のモデル動物は、自然発症に近い性質を有し、がん幹細胞(さらにがん細胞を組み合わせてもよい)をモデル動物に移植してがんを発生させて、そのがんを摘出した場合、がんの再発を高い確率で生じるので、このような再発したがんを保有するモデル動物として使用することができる。このような再発したがんを保有するモデル動物は、がんの再発モデルもしくは転移モデルとして使用できる。また、がん摘出後に一定の確率で再発するため、がんを摘出し再発前のモデル動物は、がんの再発を抑制する薬物のスクリーニングに使用することもできる。
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。
実施例1
1)マウス胚性細胞(mES細胞)から誘導したがん幹細胞
がん細胞株の培養上清とmES細胞培養用培地を混合して調整した培養液中でmES細胞(B6マウス由来胚性細胞)を4週間以上培養して(マウスB6系統)の腹腔あるいは皮下に移植した。本実施例では、理研バイオリソースセンターから譲渡されたES細胞(B6J-23^(UTR))を用いた。がん細胞株には、マウスルイス肺癌由来細胞(LLC細胞)あるいはマウスメラノーマ由来細胞(B16細胞)を用い、2種のがん幹細胞株、mES-LLCcmとmES-B16cmを得た。mES-LLCcm培養36日後のES細胞の顕微鏡写真を図1に示す。mES-LLCcmとmES-B16cmは、初期のがん幹細胞であった。
図1に示すように、LLCの培養上清を添加して培養した場合、36日間を通して、胚細胞様の形態を示す細胞が増殖した。この結果から、マウスES細胞の全てが分化することはなく、幹細胞の性質を保持している細胞が存在することが明らかになった。
mES細胞のがん幹細胞誘導培養を4週間行った後、マトリゲル上に播種して、VEGFを含む血管への分化誘導培地(EGM-2)で24時間培養すると、図2に示すように、チューブ状の構造体(血管様細胞)を形成した。マウスES細胞をがん細胞の培養成分とともに培養した細胞は、血管様細胞への分化能を有することが明らかになった。
また、がん幹細胞誘導培養後のmES-LLCcmを非接着で、無血清条件下で培養すると図3に示すようにスフェアを形成し、自己増殖能があることが判った。
図1〜図3および図6の結果から、マウスES細胞をがん細胞の培養上清とともに培養することで、初期の(Early Phase)がん幹細胞が得られたことが明らかになった。
がん幹細胞に用いる細胞はマウスES細胞をはじめとする非ヒト哺乳動物由来の胚性細胞であっても、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、間葉系幹細胞、神経幹細胞、造血幹細胞であっても良く、用いる細胞株培養上清はマウス由来、サル由来であっても、癌細胞株であっても、正常不死化細胞であっても良い。
図4に示すように、1×105個のmES-LLCcm細胞をB6マウスの腹腔に移植したところ、約1ヶ月で腫瘍が形成された。腫瘍を摘出して、1) 腫瘍の一部を4%パラフォルムアルデヒドで固定した(切片観察用、図6)。2)同一腫瘍の一部から、プライマリーカルチャーを作製した(図5)。3)また、同一腫瘍の一部を5mm角にして健康なB6マウスの皮下あるいは腹腔に新たに移植した(がん細胞であることを確認)。
プライマリーカルチャーをがん幹細胞誘導時と同様の培地で培養すると培養26日間を通じてES様の細胞が増殖した(図5)。
図6に示すように異型分裂像(○)を多見し、悪性奇形腫と診断された。
図7に示すように、形成された腫瘍を5mm角に切断して、健康なB6マウスの皮下に移植した場合も腹腔に移植した場合も腫瘍が形成された。これらの結果はmES-LLCcmであってもB16細胞の培養上清を用いたmES-B16cmであっても同様に観察された。
様々な臓器・器官の細胞に分化誘導しながらがん幹細胞を作成することで、あらゆるがんのモデルを作製できると考えられる。
2)miPS-CSCを用いた臓器別がんモデルの作成
iPS細胞を既知の方法によって、肝細胞へと分化誘導した。本実施例ではIwamuroら(Cell Transplant. 2010;19(6):841-7)に準じた方法で以下の手順でEB(Embryonic Body)形成、DE(Definitive Endoderm)への誘導、Heps(Hepatocytes)の作成を行った。
i)肝細胞への誘導過程でがん細胞株培養上清を添加、あるいはii)がん幹細胞株で誘導後のCSCを用いた培養を行うことによって、後期の(Delay Phase)がん幹細胞を含む肝細胞を作成した。
図8で判る通り、CM存在下で細胞はGFP蛍光が減衰しながら分化している様子が観察された。一方、プライマリーカルチャーを肝細胞に分化させた場合には、GFP蛍光は殆ど消失した(図9)。
がん細胞株の培養上清(CM)を添加せず、通常のmiPSを通常の肝細胞に分化誘導した細胞の発現変化パターンを対照区とし、アルブミン遺伝子(ALB)の相対発現量を比較した。CMを添加した場合もHepsになるとアルブミン遺伝子発現量が対照区と同様に増加した。miPS-PLCcm-p1、miPS-LLCcm-p1を分化誘導した場合も同様にHepsで増加した(図10)。
CM非添加の培地と添加した培地でEB、DE、Hepsの順に分化誘導を行い、アルファフェトプロテイン(AFP)の相対的発現量変化のパターンを解析した。いずれもHepsでAFP遺伝子の発現量が上昇した(図11)。
CMを添加した培地でHepsに分化誘導した104個の細胞をSCID beigeマウスの肝臓付近の腸管に移植した。約1ヶ月で肝臓に腫瘍が形成された。腫瘍からプライマリーカルチャーを作製すると、幹細胞様の細胞の増殖が認められた。これらの結果、肝臓に形成された腫瘍は後期の(delay phase)がん幹細胞を含む肝癌であると考えられた。
実施例2
マウス細胞iPS由来のがん幹細胞(miPS-LLCcm)をマウス大腸がん細胞株colon26或いは乳がん細胞株4T1と共培養させた。miPS-LLCcm:colon26=1:1であり、miPS-LLCcm:4T1=4:1であった。がん幹細胞(miPS-LLCcm)には、Nanogプロモーターの制御下にGFP遺伝子が組み込まれていた。培養の4,11,14,21,27,32及び35日後にGFPの蛍光を確認した(図13)。図13に示されるように、がん幹細胞は、培養35日後にも存在することが明らかになった。
次に、colon26(150×104)とmiPS-LLCcm(150×104)とを共培養させてSKIDマウス/ヌードマウスに皮下投与して腫瘍を作製し、タイムコースを追って腫瘍を回収すると、20日目まで免疫染色でGFPとNanogが確認され、モデル動物が保有するがんが幹細胞性を有することが確認された(図14、図15)。
また、4T1(150×104)とmiPS-LLCcm(150×104)とを共培養させてSKIDマウス/ヌードマウスに皮下投与して腫瘍を作製し、タイムコースを追って腫瘍を回収すると、13日目まで免疫染色でGFPとNanogが確認され、モデル動物が保有するがんが幹細胞性を有することが確認された(図16、図17)。
さらに10日目、13日目の腫瘍について抗サイトケラチン抗体の免疫染色を行い、上皮成分もきちんと残存している事を確認した(図18)。
さらに、colon26細胞株(300×104)を直腸粘膜下にシリンジで注入することにより直腸への同所性移植を行い、大腸がんの同所性移植モデルマウスを作製した。colon26細胞株は本来幹細胞性を有しない腫瘍であるために、腫瘍部にNanog陽性部分は認められなかった(図19)。しかしながら、colon26細胞株(150×104)とmiPS-LLCcm(150×104)を共培養したものを直腸粘膜下にシリンジで注入して大腸がんの同所性移植モデルマウスを作製した場合、腫瘍部にNanog/GFP陽性部分が認められ、幹細胞性を有することが証明された(図20)。
実施例3
多能性幹細胞としてグリーンマウス(B6G)由来のmESとマウスルイス肺癌由来細胞(LLC細胞)を用い、実施例1と同様にしてmES-CSCを製造した。由来が異なる個体の(GFP遺伝子を恒常的に発現する)ES細胞を用いても、がん幹細胞に誘導できることが判った。また、mES-CSCsは遺伝子発現レベルで、未分化性を維持しており、初期のがん幹細胞であることが確認できた(図21)。
マウスルイス肺癌由来細胞(LLC細胞)の培養上清とmES細胞培養用培地を混合して調整した培養液中でグリーンマウス(B6G)由来のmES細胞(B6G-LLCcm)を4週間以上培養した。1×105個の細胞をマウス(B6系統)の腹腔あるいは背部皮下に移植した。約1ヶ月で形成された腫瘍を摘出して背部皮下腫瘍の一部から、プライマリーカルチャーを作製した(図22)。プライマリーカルチャーはES細胞様のコロニーを形成した。このプライマリーカルチャーでGFP蛍光が観察されたことより、形成された腫瘍は移植した細胞(B6G-LLCcm)由来であることが判った。
B6G-LLCcmをマトリゲル上に播種して、VEGFを含む血管への分化誘導培地(EGM-2)で24時間培養すると、図23aに示すように、チューブ状の構造体(血管様細胞)を形成した。このマウスES細胞をがん細胞の培養成分とともに培養した細胞は、血管様細胞への分化能を有することが明らかになった。
がん幹細胞誘導培養後のB6G-LLCcmを非接着で、無血清条件下で培養すると図23に示すようにスフェアを形成し、自己増殖能があることが判った。
mES細胞をLLC細胞の培養上清とmES細胞培養用培地を混合して調整した培養液中で培養を継続して、38日後および130日後の細胞、また、図5に示したプライマリーカルチャーの細胞におけるNanog遺伝子, Oct3/4遺伝子およびSox2遺伝子を未分化マーカーとして、その発現量を幹細胞維持培養したmES細胞に対して比較したところ、いずれも発現が認められた。また、B16細胞の培養上清とmES細胞培養用培地を混合して調整した培養液中で培養を継続して、72日後および120日後の細胞とmES-LLCcmと同様に作製したプライマリーカルチャーでも同様に遺伝子発現量を比較したところ発現が認められた(図24)。さらにB6G細胞をLLC細胞の培養上清とmES細胞培養用培地を混合して調整した培養液中で10日後、20日後および30日後の未分化マーカー遺伝子の発現量を同様に調べると、培養期間を通して発現が認められた。
PLC/PRF/5の培養上清とmiPS細胞用の培地を混合した培地でmiPS細胞を4週間培養した104個の細胞を免疫不全マウスの肝臓に移植した。約1ヶ月で形成された肝臓の腫瘍を摘出して切片を作製し、HE染色を行って観察すると悪性の奇形種であることが判った(図25)。

Claims (7)

  1. 多能性幹細胞をある臓器もしくは組織の細胞に分化誘導する培地に不死化細胞の培養上清を添加して培養し、特定の臓器もしくは組織の特性を有するがん幹細胞を作製し、前記がん幹細胞を非ヒト哺乳動物に移植して、前記がん幹細胞と同じ特定の臓器もしくは組織にがんを作製することにより得ることができるがんの非ヒトモデル動物であって、前記臓器又は組織が大腸、胃、肝臓、食道、膵臓、胆管、乳房、子宮、前立腺、膀胱、肺、リンパ液、骨髄、脳/脊髄からなる群から選ばれ、前記特性は分化誘導された特定の臓器もしくは組織特異的な組織像を示すことであり、前記多能性幹細胞はがん化していないES細胞又はがん化していないiPS細胞に由来する、がんの非ヒトモデル動物。
  2. 前記非ヒト哺乳動物が免疫不全の非ヒト哺乳動物であり、前記がん幹細胞を前記臓器もしくは組織のがん細胞とともに非ヒト哺乳動物に移植して、がん幹細胞を保有する前記臓器もしくは組織のがんを作製してなる、請求項1に記載のがんの非ヒトモデル動物。
  3. 前記がん幹細胞及び/又は前記がん細胞がヒト由来である、請求項2に記載のがんの非ヒトモデル動物。
  4. 前記がん幹細胞を移植して作製したがんを摘出し、がんを再発させてなり、手術創を有し、前記非ヒトモデル動物と前記がん幹細胞は同一のMHCを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のがんの非ヒトモデル動物。
  5. 前記非ヒト哺乳動物とがん幹細胞のMHC(主要組織適合遺伝子複合体)が同一である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のがんの非ヒトモデル動物。
  6. 前記がん幹細胞がES細胞から誘導されたものであり、ES細胞とモデル動物のMHCが同一である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非ヒトモデル動物。
  7. 多能性幹細胞をある臓器もしくは組織の細胞に分化誘導する培地に不死化細胞の培養上清を添加して培養し、特定の臓器もしくは組織のがんの特性を有するがん幹細胞を作製する工程、前記がん幹細胞を非ヒト哺乳動物に移植して、前記がん幹細胞と同じ特定の臓器もしくは組織にがんを作製する工程を含み、前記臓器又は組織が大腸、胃、肝臓、食道、膵臓、胆管、乳房、子宮、前立腺、膀胱、肺、リンパ液、骨髄、脳/脊髄からなる群から選ばれ、前記特性は分化誘導された特定の臓器もしくは組織特異的な組織像を示すことであり、前記多能性幹細胞はがん化していないES細胞又はがん化していないiPS細胞に由来する、がんの非ヒトモデル動物の作製方法。
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