JP6955717B2 - 外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法 - Google Patents

外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法 Download PDF

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Description

本発明は、外来の細胞が移植された非ヒト動物を作製する方法に関する。
近年、様々な腫瘍においてがん幹細胞の存在が確認されてきており、特に、治療標的として注目を集めている。というのも、これらの細胞が生体内の腫瘍増殖の起点であり、再発・転移の原因であることが明らかになっているためである。がん幹細胞を標的とする治療薬開発には、がん幹細胞に対する効果をより正確に調べるために、単離されたがん幹細胞が必要とされている。しかし、生体内のがん細胞集団に占めるがん幹細胞の割合はごくわずかである。このため、治療薬開発に必要な充分ながん幹細胞の準備に、多大な手間や時間がかかることになる。
一方で、抗がん剤の抗がん効果の評価に、マウスやラットのようなモデル動物にがん細胞を移植した担がんモデル動物が使用されている。担がんモデル動物は、化合物のin vivoにおける抗がん効果を評価できることに加えて、がん細胞の生体内における増殖能や転移能などの特性の評価にも有用である。がん幹細胞を標的とした治療薬開発にも、がん幹細胞を移植した担がんモデル動物が有用であり、がん幹細胞を移植した担がんモデル動物が作製されている。例えば特許文献1には、胚性幹細胞(ES細胞)や誘導多能性幹細胞細胞(iPS細胞)等の多能性幹細胞から誘導したがん幹細胞を、ヌードマウス、スキッドマウスなどの免疫不全マウスの皮下に移植することによって、臨床に近いがん組織形態を有する非ヒトモデル動物を作出する試みがなされている。
特開2017−086091号公報
Nishiguchi et al., Macromol Bioscience,2015,vol.15(3),p.312-317.
一般的に、がん幹細胞は、異種移植、すなわち異なる生物種の動物に移植させたときの生着率はがん細胞よりも非常に低い。このため、移植先のモデル動物とは生物種の異なるがん幹細胞を移植して腫瘍を形成させることは困難である。
本発明は、外来の細胞が移植された非ヒト動物を作製する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、iPSがん幹細胞を、予め2以上の細胞層が厚み方向に積層されている細胞構造体に組織化した後に移植することにより、非ヒト動物に効率よく生着させられることを見出し、本発明を完成させた。
本発明に係る外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法は、下記[1]〜[14]である。
[1] 外来の細胞が移植された非ヒト動物を作製する方法であって、
移植する目的の細胞を含み、2以上の細胞層が厚み方向に積層されている細胞構造体を製造する製造工程と、
前記細胞構造体を非ヒト動物の体内に移植する移植工程と、
を備えることを特徴とする、外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
[2] 前記細胞構造体が、さらに、間質を構成する細胞を含む、前記[1]の外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
[3] 前記細胞構造体が、間質を構成する細胞として、血管内皮細胞及びリンパ管内皮細胞からなる群から選択される1種以上を含む、前記[2]の外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
[4] 前記細胞構造体が、脈管網構造を備える、前記[3]の外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
[5] 前記細胞構造体が、間質を構成する細胞として、繊維芽細胞を含む、前記[1]〜[4]のいずれかの外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
[6] 前記細胞構造体において、前記移植する目的の細胞が特定の細胞層にのみ存在している、前記[1]〜[5]のいずれかの外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
[7] 前記細胞構造体が、前記移植する目的の細胞からなる細胞層と、間質を構成する細胞を含む細胞層とを含む、前記[6]の外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
[8] 前記細胞構造体が、その最上層と最下層の少なくとも一方に、血管内皮細胞及びリンパ管内皮細胞からなる群から選択される1種以上を含む細胞層を備える、前記[1]〜[7]のいずれかの外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
[9] 前記移植する目的の細胞が、前記細胞構造体の内部に散在している、前記[1]〜[5]のいずれかの外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
[10] 前記細胞構造体の厚みが5μm以上である、前記[1]〜[9]のいずれかの外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
[11] 前記間質を構成する細胞が、前記非ヒト動物とは異なる生物種の動物に由来する細胞である、前記[2]〜[10]のいずれかの外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
[12] 前記移植する目的の細胞が、がん幹細胞を含む、前記[1]〜[11]のいずれかの外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
[13] 前記非ヒト動物が、哺乳類の非ヒトモデル動物である、前記[1]〜[12]のいずれかの外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
[14] 前記製造工程が、
(a)カチオン性緩衝液中で、少なくとも前記移植する目的の細胞を含む細胞と強電解質高分子と細胞外マトリックス成分とを混合して混合物を得る工程と、
(b)前記工程(a)により得られた混合物を、細胞培養容器中に播種する工程と、
(c)前記工程(b)の後、前記細胞培養容器中の細胞混合物から液体成分を除去し、当該細胞培養容器中に、前記細胞構造体を得る工程と、
を備える、前記[1]〜[13]のいずれかの外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
本発明によれば、移植する目的の細胞ががん幹細胞のような異種移植の生着率が低い細胞であっても、当該細胞が移植された非ヒト動物を効率よく作製することができる。
図1は、実施例1において構築した細胞構造体Aの、培養3日目のパラフィン包埋切片のHE染色像である。 図2は、実施例1において構築した細胞構造体Bの、培養3日目のパラフィン包埋切片のHE染色像である。 図3は、実施例1において構築した細胞構造体Cの、培養3日目のパラフィン包埋切片のHE染色像である。
本発明に係る外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法(以下、「本発明に係る作製方法」ということがある。)は、外来の細胞が移植された非ヒト動物を作製する方法であって、移植する目的の細胞を含み、2以上の細胞層が厚み方向に積層されている細胞構造体を製造する製造工程と、前記細胞構造体を非ヒト動物の体内に移植する移植工程と、を備えることを特徴とする。本発明に係る作製方法では、移植する目的の細胞を、予め立体的な細胞組織の状態で、移植する対象の非ヒト動物に移植する。これにより、細胞単体では生着し難い細胞であっても、非ヒト動物に移植して効率よく生着させることができる。
<移植する目的の細胞>
移植する目的の細胞(以下、単に「移植目的細胞」ということがある。)は、動物細胞であれば特に限定されるものではない。例えば、移植される非ヒト動物と同種の生物種の細胞であってもよく、異種の動物細胞であってもよい。具体的には、移植目的細胞として、ヒト、サル、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、ウシ、マウス、ラット等の動物に由来する細胞を用いることができる。移植された非ヒト動物を、医薬品の薬効評価試験のツールに用いる場合には、移植目的細胞はヒトに由来する細胞であることが好ましい。
本発明において用いられる移植目的細胞は、特に限定されるものではなく、動物から採取された細胞であってもよく、動物から採取された細胞を培養した細胞であってもよく、動物から採取された細胞に各種処理を施した細胞であってもよく、培養細胞株であってもよい。動物から採取された細胞の場合、採取部位は特に限定されず、骨、筋肉、内臓、神経、脳、骨、皮膚、血液などに由来する体細胞であってもよく、生殖細胞であってもよく、ES細胞であってもよく、間葉系幹細胞(MSC)であってもよい。動物から採取された細胞を培養した細胞としては、初代培養細胞であってもよく、継代培養細胞であってもよい。また、各種処理を施した細胞としては、iPS細胞や、分化誘導後の細胞が挙げられる。
本発明において用いられる移植目的細胞は、生理機能が正常である細胞(正常細胞)であってもよく、いずれかの生理機能に異常が生じている細胞(異常細胞)であってもよい。異常細胞としては、特に、生じている機能異常が何等かの疾患に関連している細胞が好ましい。当該細胞としては、生じている機能異常に起因して何等かの病態が生じている、疾患の原因細胞であってもよく、疾患の原因細胞によって当該疾患に特徴的な機能異常が生じてしまった細胞であってもよい。何等かの疾患に関連している細胞を移植した非ヒト動物は、当該疾患のモデル動物となり得るためである。
移植目的細胞とする異常細胞としては、例えば、がん細胞が挙げられる。なお、がん細胞とは、体細胞から派生して無限の増殖能を獲得した細胞である。また、移植目的細胞とする異常細胞としては、ヒト以外の動物由来のがん細胞であってもよいが、ヒト由来のがん細胞が好ましい。移植目的細胞とするがん細胞としては、株化された培養細胞であってもよく、がん患者から採取されたがん細胞であってもよい。がん患者から採取されたがん細胞は、予め培養して増殖させたものであってもよい。具体的には、がん患者から採取された初代がん細胞、人工培養がん細胞、がん幹細胞、がん治療の研究や抗がん剤の開発に利用するために予め準備されている株化がん細胞等が挙げられる。
移植目的細胞となり得るがん細胞の由来となるがんとしては、例えば、乳がん(例えば、浸潤性乳管がん、非浸潤性乳管がん、炎症性乳がん等)、前立腺がん(例えば、ホルモン依存性前立腺がん、ホルモン非依存性前立腺がん等)、膵がん(例えば、膵管がん等)、胃がん(例えば、乳頭腺がん、粘液性腺がん、腺扁平上皮がん等)、肺がん(例えば、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、悪性中皮腫等)、結腸がん(例えば、消化管間質腫瘍等)、直腸がん(例えば、消化管間質腫瘍等)、大腸がん(例えば、家族性大腸がん、遺伝性非ポリポーシス大腸がん、消化管間質腫瘍等)、小腸がん(例えば、非ホジキンリンパ腫、消化管間質腫瘍等)、食道がん、十二指腸がん、舌がん、咽頭がん(例えば、上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん等)、頭頚部がん、唾液腺がん、脳腫瘍(例えば、松果体星細胞腫瘍、毛様細胞性星細胞腫、びまん性星細胞腫、退形成性星細胞腫等)、神経鞘腫、肝臓がん(例えば、原発性肝がん、肝外胆管がん等)、腎臓がん(例えば、腎細胞がん、腎盂と尿管の移行上皮がん等)、胆嚢がん、胆管がん、膵臓がん、肝がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、卵巣がん(例、上皮性卵巣がん、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣性胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍等)、膀胱がん、尿道がん、皮膚がん(例えば、眼内(眼)黒色腫、メルケル細胞がん等)、血管腫、悪性リンパ腫(例えば、細網肉腫、リンパ肉腫、ホジキン病等)、メラノーマ(悪性黒色腫)、甲状腺がん(例えば、甲状腺髄様がん等)、副甲状腺がん、鼻腔がん、副鼻腔がん、骨腫瘍(例えば、骨肉腫、ユーイング腫瘍、子宮肉腫、軟部組織肉腫等)、転移性髄芽腫、血管線維腫、隆起性皮膚線維肉腫、網膜肉腫、陰茎癌、精巣腫瘍、小児固形がん(例えば、ウィルムス腫瘍、小児腎腫瘍等)、カポジ肉腫、AIDSに起因するカポジ肉腫、上顎洞腫瘍、線維性組織球腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、慢性骨髄増殖性疾患、白血病(例えば、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病等)等が挙げられ、これらに限定されない。
本発明において、移植目的細胞は、1種類の細胞であってもよく、2種類以上の細胞であってもよい。例えば、がん患者から採取された腫瘍組織中のがん細胞を移植する場合、当該腫瘍組織に含まれているがん細胞以外の細胞も、がん細胞と共に移植目的細胞とすることができる。具体的には、例えば、がん患者から採取された腫瘍組織中の細胞を、細胞種で選別することなく、そのまま細胞構造体の構築に供する。これにより、がん患者に由来するがん細胞とがん細胞以外の細胞を共に含む細胞構造体が得られ、この得られた細胞構造体を非ヒト動物に移植する。
本発明の移植された外来細胞の生着率が高いという効果がより有利に働くため、本発明において用いられる移植目的細胞としては、非ヒト動物に移植した際の生着性が比較的低い細胞が好ましい。移植時の生着性が低い細胞としては、例えば、移植される非ヒト動物とは異種の動物に由来する細胞や、幹細胞のように増殖能がさほど高くない細胞が挙げられる。本発明における移植目的細胞としては、移植時の生着性が低い細胞の中でも特に、がん幹細胞が好ましく、移植される非ヒト動物とは異種の動物に由来するがん幹細胞がより好ましく、ヒト由来のがん幹細胞がさらに好ましい。がん幹細胞を組織化して立体的な細胞構造体とし、この細胞構造体を非ヒト動物に移植することにより、高効率に、移植された非ヒト動物にがん幹細胞由来の腫瘍組織を形成させることができる。つまり、本発明においてがん幹細胞を移植目的細胞とすることにより、移植されたがん幹細胞の担がんモデル動物を効率良く作製することができる。がん幹細胞としては、がん患者から採取されたがん幹細胞であってもよく、幹細胞ががん化したがん幹細胞であってもよい。幹細胞ががん化したがん幹細胞としては、iPSがん幹細胞、MSCがん幹細胞、ESがん幹細胞等が挙げられる。
幹細胞からがん幹細胞を調製する方法は特に限定されるものではなく、常法により行うことができる。例えば、iPS細胞から調製する方法としては、iPS細胞を、iPS細胞用培地と調整培地を1:1で混合した培地で培養することによってがん化を誘導し、iPSがん幹細胞を得ることができる。
前記調整培地は、例えば、下記の(1)〜(5)の工程を備える方法により調製することができる。なお、以下の方法に限定されるものではない。
(1)10cmのペトリ皿で、がん細胞株が60%〜70%程度に増えるまで10%FBS含有培地で培養する。がん細胞株は、株化されたがん細胞株が好ましい。また、培養培地は、D−MEM培地等の培養細胞株の一般的な培養培地を用いることができる。
(2)上清を除去し、5mLのPBSで2回洗浄を行う。
(3)5%FBS含有培地10.2mLで100%なるまで培養する。
(4)100%コンフルエントな状態になったことを確認した後、培養物をピペットで50mL容のコニカルチューブ2本に回収する。この2本のコニカルチューブを1200rpmで5分間遠心し、デカンテーションにより上清(培養上清)を空のメディウム瓶に集める。
(5)(1)〜(4)を繰り返し、培養上清を目的の量になるまで回収する。その後、回収した培養上清を、0.22μmのボトルフィルターで除菌し、調整培地を得る。
<細胞構造体>
本発明及び本願明細書において、「細胞構造体」とは、複数の細胞層が積層された3次元構造体を意味する。また、「細胞構造体の厚み」とは、当該構造体の自重方向の長さを意味する。自重方向とは、重力のかかる方向であり、厚み方向ともいう。
本発明に係る作製方法では、移植目的細胞を含み、2以上の細胞層が厚み方向に積層されている細胞構造体を、非ヒト動物に移植する。本発明において非ヒト動物に移植される細胞構造体(以下、「移植用細胞構造体」ということがある。)は、移植目的細胞を含む細胞構造体であればよく、移植目的細胞のみから構成された細胞構造体であってもよく、移植目的細胞以外の細胞を含む細胞構造体であってもよい。移植用細胞構造体は、同種の生物種由来の細胞のみから構成されていてもよく、複数種類の生物種由来の細胞により構成されていてもよい。
移植用細胞構造体としては、移植目的細胞に加えて、さらに、間質を構成する細胞(間質細胞)を含むことが好ましい。間質は生体内の微小環境において重要な構成であり、間質細胞を立体的に構築することにより、間質組織を模した細胞構造体を構築できる。移植目的細胞を、間質を模した細胞構造体と共に、又は間質を模した細胞構造体の内部に含ませた状態で移植することにより、細胞単体では生着させにくい細胞の生着率を高めることができる。移植用細胞構造体が間質細胞を含む場合に、移植用細胞構造体の生着率が高められる理由は明らかではないが、生体内の間質組織のような三次元構造に形成された間質細胞から分泌された成分が移植目的細胞に接触可能であるためと推察される。
移植用細胞構造体を構成する間質細胞等の移植目的細胞以外に細胞は特に限定されるものではなく、動物から採取された細胞であってもよく、動物から採取された細胞を培養した細胞であってもよく、動物から採取された細胞に各種処理を施した細胞であってもよく、培養細胞株であってもよい。また、市販の細胞を用いてもよく、患者由来の細胞を用いてもよい。動物から採取された細胞の場合、採取部位は特に限定されず、骨、筋肉、内臓、神経、脳、骨、皮膚、血液などに由来する体細胞であってもよく、生殖細胞であってもよく、ES細胞であってもよい。また、移植用細胞構造体を構成する細胞が由来する生物種は特に限定されるものではなく、例えば、ヒト、サル、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、ウシ、マウス、ラット等の動物に由来する細胞を用いることができる。動物から採取された細胞を培養した細胞としては、初代培養細胞であってもよく、継代培養細胞であってもよい。また、各種処理を施した細胞としては、iPS細胞や、分化誘導後の細胞が挙げられる。また、移植用細胞構造体は、同種の生物種由来の細胞のみから構成されていてもよく、複数種類の生物種由来の細胞により構成されていてもよい。
移植用細胞構造体を構成する間質細胞としては、例えば、内皮細胞、繊維芽細胞、周皮細胞、免疫細胞、神経細胞、肥満細胞、上皮細胞、心筋細胞、肝細胞、膵島細胞、組織幹細胞、平滑筋細胞等が挙げられる。免疫細胞とは、免疫に関与する細胞である。具体的には、リンパ球、マクロファージ、樹状細胞などが挙げられる。リンパ球には、T細胞、B細胞、NK細胞、形質細胞等がある。移植用細胞構造体に含まれる間質細胞は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。移植用細胞構造体に含まれる間質細胞としては、線維芽細胞、周皮細胞、内皮細胞、免疫細胞からなる群から選択される1種以上を含むことが好ましい。
移植用細胞構造体を構成する間質細胞の由来する動物種は特に限定されるものではないが、移植目的細胞と同種の動物種に由来する細胞であることが好ましい。移植用細胞構造体に、移植目的細胞と共に、移植目的細胞と同じ動物種の間質細胞を含めることにより、間質細胞を共存させることによる生着率の改善効果をより充分に発揮し得る。例えば、移植目的細胞がヒトのがん幹細胞の場合、移植用細胞構造体に含める間質細胞は、全てヒト由来の細胞とすることが好ましい。
移植用細胞構造体中の間質細胞の数は、特に限定されるものではないが、より間質組織を模した細胞構造体となることから、移植用細胞構造体を構成する全細胞に対する間質細胞の存在比(細胞数比)が、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることがよりさらに好ましい。
移植用細胞構造体中の移植目的細胞の数は、移植後の非ヒト動物の体内で移植目的細胞により形成される組織を構築するために充分な量であればよく、特に限定されるものではない。例えば、移植用細胞構造体を構成する全細胞に対する移植目的細胞の存在比(細胞数比)が、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、20%以上であることがさらに好ましい。また、移植用細胞構造体を構成する全細胞に対する移植目的細胞の存在比は、100%であってもよいが、充分な量の間質細胞を含むことができるため、80%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましく、50%以下であることがさらに好ましく、30%以下であることがよりさらに好ましい。特に、移植目的細胞ががん幹細胞の場合、移植用細胞構造体に含まれるがん幹細胞の細胞数は、2×10〜1×106個であることが好ましい。
血管網構造やリンパ管網構造は、移植用細胞構造体中の移植目的細胞の増殖や活性に重要である。このため、移植用細胞構造体は、脈管網構造を備えるものが好ましい。すなわち、移植用細胞構造体としては、脈管を形成していない細胞の積層体の内部に、リンパ管及び/又は血管等の脈管網構造が三次元的に構築され、より生体内に近い組織を構築しているものが好ましい。脈管網構造は、細胞構造体の内部にのみ形成されていてもよく、少なくともその一部が細胞構造体の表面又は底面に露出されるように形成されていてもよい。また、脈管網構造は、細胞構造体全体に構築されていてもよく、特定の細胞層にのみ形成されていてもよい。なお、本発明及び本願明細書において、「脈管網構造」とは、生体組織における血管網やリンパ管網のような、網状の構造を指す。
脈管網構造は、間質細胞として脈管を構成する内皮細胞を含むことにより形成させることができる。移植用細胞構造体に含まれる内皮細胞としては、血管内皮細胞であってもよく、リンパ管内皮細胞であってもよい。また、血管内皮細胞とリンパ管内皮細胞との両方を含んでいてもよい。
移植用細胞構造体が脈管網構造を備える場合、当該細胞構造体中の内皮細胞以外の細胞としては、内皮細胞が脈管網を形成することを阻害しないものであれば特に限定されるものではないが、内皮細胞が本来の機能及び形状を保持する脈管網を形成しやすいことから、生体内において脈管の周辺組織を構成する細胞であることが好ましく、生体内の間質組織及びその近傍の環境とより近似させられることから、内皮細胞以外の細胞として少なくとも繊維芽細胞を含むものがより好ましく、血管内皮細胞と繊維芽細胞を含むもの、リンパ管内皮細胞と繊維芽細胞を含むもの、又は血管内皮細胞とリンパ管内皮細胞と繊維芽細胞を含むものがさらに好ましい。なお、細胞構造体に含まれる内皮細胞以外の細胞としては、内皮細胞と同種の生物種由来の細胞であってもよく、異種の生物種由来の細胞であってもよい。
移植用細胞構造体中の内皮細胞の数は、脈管網構造が形成されるのに充分な数であれば特に限定されるものではなく、細胞構造体の大きさ、内皮細胞や内皮細胞以外の細胞の細胞種等を考慮して適宜決定することができる。例えば、移植用細胞構造体を構成する全細胞に対する内皮細胞の存在比(細胞数比)を0.1%以上にすることによって、脈管網構造が形成された細胞構造体を調製できる。内皮細胞以外の細胞として繊維芽細胞を用いる場合、移植用細胞構造体における内皮細胞数は、繊維芽細胞数の0.1%以上であることが好ましく、0.1〜5.0%であることがより好ましい。内皮細胞として血管内皮細胞とリンパ管内皮細胞の両方を含む場合、血管内皮細胞及びリンパ管内皮細胞の総細胞数が、繊維芽細胞数の0.1%以上であることが好ましく、0.1〜5.0%であることがより好ましい。
移植用細胞構造体は、移植目的細胞が構造体内部全体に散在している細胞構造体であってもよく、移植目的細胞が特定の細胞層にのみ存在している細胞構造体であってもよい。移植目的細胞が特定の細胞層にのみ存在している場合、この移植目的細胞を含む細胞層(移植細胞層)の移植用細胞構造体における位置は、特に限定されるものではない。また、1の細胞構造体が備える移動細胞層は、単層であってもよく、多層であってもよい。この移植細胞層は、1種以上の移植目的細胞のみから形成される層であってもよく、移植目的細胞以外の細胞を含んでいてもよい。
移植用細胞構造体が間質細胞を含む場合、間質細胞が構造体内部全体に散在している細胞構造体であってもよく、間質細胞が特定の細胞層にのみ存在している細胞構造体であってもよい。間質細胞が特定の細胞層にのみ存在している場合、この間質細胞を含む細胞層(間質細胞層)の移植用細胞構造体における位置は、特に限定されるものではない。また、1の細胞構造体が備える間質細胞層は、単層であってもよく、多層であってもよい。間質細胞層は、1種以上の間質細胞のみから形成される層であってもよく、間質細胞以外の細胞を含んでいてもよい。
移植用細胞構造体の大きさや形状は、特に限定されるものではない。より生体内の組織に形成された脈管と近い状態の脈管網構造が形成可能であることから、当該細胞構造体の厚さは、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、50μm以上がさらに好ましく、100μm以上がよりさらに好ましい。当該細胞構造体の厚さとしては、また、500μm以下が好ましく、400μm以下がより好ましく、300μm以下がさらに好ましい。移植用細胞構造体の細胞層の数としては、2〜60層程度が好ましく、5〜60層程度がより好ましく、10〜60層程度がさらに好ましい。
なお、細胞構造体を構成する細胞層数は、三次元構造を構成する細胞の総数を、1層当たりの細胞数(1層を構成するために必要な細胞数)で除することにより測定される。1層当たりの細胞数は、細胞構造体を構成させる際に使用する細胞培養容器に、予め細胞をコンフルエントになるように平面的に培養して調べることができる。具体的には、ある細胞培養容器に形成された細胞構造体の細胞層数は、当該細胞構造体を構成する全細胞数を計測し、当該細胞培養容器の1層当たりの細胞数で除することにより算出できる。
一般的に、移植用細胞構造体は、細胞培養容器中に構築される。当該細胞培養容器としては、細胞構造体の構築が可能であり、かつ構築された細胞構造体の培養が可能な容器であれば特に限定されるものではない。当該細胞培養容器としては、具体的には、ディッシュ、セルカルチャーインサート(例えば、Transwell(登録商標)インサート、Netwell(登録商標)インサート、Falcon(登録商標)セルカルチャーインサート、Millicell(登録商標)セルカルチャーインサート等)、チューブ、フラスコ、ボトル、プレート等が挙げられる。移植用細胞構造体の構築においては、細胞構造体の構築をより簡便に行うことができるため、ディッシュ又は各種セルカルチャーインサートが好ましい。
移植用細胞構造体は、移植目的細胞を含む多層の細胞層からなる構造体であればよく、その構築方法は特に限定されるものではない。例えば、一層ずつ構築して順次積層させて構築する方法であってもよく、2層以上の細胞層を一度に構築する方法であってもよく、両構築方法を適宜組み合わせて多層の細胞層を構築する方法であってもよい。また、移植用細胞構造体は、各細胞層を構成する細胞種が層ごとに異なる多層構造体であってもよく、各細胞層を構成する細胞種が、構造体の全層で共通するものであってもよい。例えば、細胞種毎に層を形成し、この細胞層を順次積層させることによって構築する方法であってもよく、複数種類の細胞を混合した細胞混合液を予め調製し、この細胞混合液から多層構造の細胞構造体を一度に構築する方法であってもよい。
一層ずつ構築して順次積層させて構築する方法としては、例えば、特許第4919464号公報に記載されている方法、すなわち、細胞層を形成する工程と、形成された細胞層をECM(細胞外マトリックス)の成分を含有する溶液に接触させる工程と、を交互に繰り返すことにより、連続的に細胞層を積層する方法が挙げられる。例えば、当該方法を行うに際し、予め、細胞構造体を構成する全ての細胞(例えば、移植目的細胞と間質細胞)を混合した細胞混合物を調製しておき、この細胞混合物によって各細胞層を形成することによって、構造体全体に脈管網構造が形成されており、かつ移植目的細胞が構造体全体に散在している細胞構造体が構築できる。また、各細胞層を、細胞種ごとに形成することによって、内皮細胞からなる層にのみ脈管網構造が形成されており、移植目的細胞が特定の細胞層にのみ存在している細胞構造体が構築できる。
2層以上の細胞層を一度に構築する方法としては、例えば、特許第5850419号公報に記載されている方法が挙げられる。当該方法は、予め細胞の表面全体をインテグリンが結合するアルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)配列を含む高分子と前記RGD配列を含む高分子と相互作用をする高分子によって被覆しておき、この接着膜で被覆された被覆細胞を細胞培養容器に収容した後、遠心処理等によって被覆細胞同士を集積させることにより、多層の細胞層からなる細胞構造体を構築する方法である。例えば、当該方法を行うに際し、予め、細胞構造体を構成する全ての細胞を混合した細胞混合物を調製しておき、この細胞混合物に接着性成分を添加することによって調製された被覆細胞を用いる。これにより、1度の遠心処理によって、構造体全体に移植目的細胞が散在する細胞構造体が構築できる。また、例えば、内皮細胞を被覆した被覆細胞と、繊維芽細胞を被覆した被覆細胞と、移植目的細胞を被覆した被覆細胞とを、それぞれ別個に調製し、間質細胞層として、繊維芽細胞の被覆細胞と内皮細胞を被覆した被覆細胞からなる多層を形成させた後、その上に移植細胞層として、移植目的細胞の被覆細胞からなる多層を形成させる。これにより、厚みがあり脈管網構造を含む間質細胞層の上に、多層からなる移植細胞層が積層された細胞構造体が構築できる。また、内皮細胞を被覆した被覆細胞と、繊維芽細胞を被覆した被覆細胞と、移植目的細胞を被覆した被覆細胞とを、それぞれ別個に調製し、内皮細胞を被覆した被覆細胞からなる1層の内皮細胞層を形成させた後、その上に繊維芽細胞の被覆細胞と内皮細胞を被覆した被覆細胞からなる多層を形成させ、さらにその上に移植目的細胞の被覆細胞からなる多層を形成させ、さらにその上に内皮細胞を被覆した被覆細胞からなる1層の内皮細胞層を形成させ。これにより、その最上層と最下層に内皮細胞を含む細胞層を備え、移植細胞層が内皮細胞を含む細胞層に挟まれた細胞構造体が構築できる。内皮細胞を含む細胞層は、細胞構造体の最上層と最下層のいずれか一方にのみさせてもよい。
移植用細胞構造体は、下記(a)〜(c)の工程を有する方法により構築することもできる。
(a)カチオン性緩衝液中で、細胞と細胞外マトリックス成分とを混合して混合物を得る工程と、
(b)前記工程(a)により得られた混合物を、細胞培養容器中に播種する工程と、
(c)前記工程(b)の後、前記細胞培養容器中の細胞混合物から液体成分を除去し、当該細胞培養容器中に細胞が多層に積層された細胞構造体を得る
工程。
工程(a)においては、細胞を、カチオン性物質を含む緩衝液(カチオン性緩衝液)及び細胞外マトリックス成分と混合し、この細胞混合物から細胞集合体を形成することにより、内部に大きな空隙が少ない立体的細胞組織を得ることができる。また、得られた立体的細胞組織は、比較的安定であるため、少なくとも数日間の培養が可能であり、かつ培地交換時にも組織が崩壊し難い。また、本発明においては、工程(b)において、細胞培養容器内に播種した細胞混合物を当該細胞培養容器内に沈降させることを含み得る。細胞混合物の沈降は、遠心分離等によって積極的に細胞を沈降させてもよく、自然沈降させてもよい。
工程(a)において、細胞をさらに強電解質高分子と混合することが好ましい。細胞をカチオン性物質、強電解質高分子及び細胞外マトリックス成分と混合することにより、工程(b)において遠心分離等の細胞を積極的に集合させる処理を要することなく、自然沈降させた場合であっても、空隙が少なく厚みのある立体的細胞組織が得られる。
前記カチオン性緩衝液としては、例えば、トリス−塩酸緩衝液、トリス−マレイン酸緩衝液、ビス−トリス−緩衝液、又はHEPES等が挙げられる。当該カチオン性緩衝液中のカチオン性物質(例えば、トリス−塩酸緩衝液におけるトリス)の濃度及びpHは、細胞の生育及び細胞構造体の構築に悪影響を及ぼさない限り、特に限定されない。例えば、カチオン性緩衝液中のカチオン性物質の濃度は、10〜100mMとすることができ、40〜70mMであることが好ましく、50mMであることがより好ましい。また、当該カチオン性緩衝液のpHは、6.0〜8.0とすることができ、6.8〜7.8であることが好ましく、7.2〜7.6であることがより好ましい。
前記強電解質高分子としては、例えば、ヘパリンや、コンドロイチン硫酸(例えば、コンドロイチン4−硫酸、コンドロイチン6−硫酸)、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸等のグリコサミノグリカン;デキストラン硫酸や、ラムナン硫酸、フコイダン、カラギナン、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及びポリアクリル酸、又はこれらの誘導体等が挙げられるが、これらに限定されない。工程(a)において調製される混合物には、強電解質高分子を1種類のみ混合させてもよく、2種類以上を組み合わせて混合させてもよい。移植用細胞構造体の構築においては、強電解質高分子はグリコサミノグリカンであることが好ましい。また、ヘパリン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、及びデルマタン硫酸のうち少なくとも1つを用いることがより好ましい。本発明で用いられる強電解質高分子はヘパリンであることがさらに好ましい。前記カチオン性緩衝液に混合する強電解質高分子の量は、細胞の生育及び細胞構造体の構築に悪影響を及ぼさない限り、特に限定されない。例えば、カチオン性緩衝液中の強電解質高分子の濃度は、0mg/mL超(0mg/mLより高く)1.0mg/mL未満とすることができ、0.025〜0.1mg/mLであることが好ましく、0.05〜0.1mg/mLであることがより好ましい。また、本発明においては、前記強電解質高分子を混合せずに前記混合物を調整し、細胞構造体の構築を行うこともできる。
前記細胞外マトリックス成分としては、例えば、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、エラスチン、テネイシン、エンタクチン、フィブリリン、プロテオグリカン、又はこれらの改変体若しくはバリアント等が挙げられる。プロテオグリカンには、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、ケラタン硫酸プロテオグリカン、デルマタン硫酸プロテオグリカン等が挙げられる。工程(a)において調製される混合物には、細胞外マトリックス成分を1種類のみ混合させてもよく、2種類以上を組み合わせて混合させてもよい。移植用細胞構造体の構築においては、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチンを用いることが好ましく、コラーゲンを用いることがより好ましい。細胞の生育及び細胞構造体の形成に悪影響を及ぼさない限り、上述の細胞外マトリックス成分の改変体及びバリアントを用いてもよい。前記カチオン性緩衝液に混合する細胞外マトリックス成分の量は、細胞の生育及び細胞構造体の構築に悪影響を及ぼさない限り、特に限定されない。例えば、カチオン性緩衝液中の細胞外マトリックス成分の濃度は、0mg/mL超(0mg/mLより高く)1.0mg/mL未満とすることができ、0.025〜0.1mg/mLであることが好ましく、0.05〜0.1mg/mLであることがより好ましい。
前記カチオン性緩衝液に混合する強電解質高分子と細胞外マトリックス成分の配合比は、1:2〜2:1である。移植用細胞構造体の構築においては、強電解質高分子と細胞外マトリックス成分の配合比が、1:1.5〜1.5:1であることが好ましく、1:1であることがより好ましい。
工程(a)〜(c)を繰り返す、具体的には、工程(c)で得られた細胞構造体の上に、工程(b)として、工程(a)で調製した混合物を播種した後、工程(c)を行うことを繰り返すことにより、充分な厚みの細胞構造体を構築することができる。工程(c)で得られた細胞構造体の上に新たに播種する混合物の細胞組成は、既に構築されている細胞構造体を構成する細胞組成と同じであってもよく、異なっていてもよい。
例えば、まず、工程(a)において細胞としては繊維芽細胞と内皮細胞のみを含む混合物を調製し、工程(b)及び(c)を行って細胞培養容器に20層の間質細胞層からなる細胞構造体を得る。次いで、工程(a)として細胞として移植目的細胞のみを含む混合物を調製し、工程(b)及び(c)を行って細胞培養容器内の間質細胞層の上に5層の移植細胞層を積層させる。これにより、繊維芽細胞と内皮細胞を含む間質細胞層20層−移植細胞層5層の、移植目的細胞が他の細胞とは分けて積層された細胞構造体が構築できる。また、工程(a)において、細胞としては内皮細胞のみを含む混合物を調製し、工程(b)及び(c)を行って細胞培養容器に1層の内皮細胞層を構築する。次いで、工程(a)として細胞として細胞としては繊維芽細胞と内皮細胞のみを含む混合物を調製し、工程(b)及び(c)を行って細胞培養容器内の内皮細胞層の上に繊維芽細胞と内皮細胞からなる20層を積層させる。次いで、工程(a)として細胞として移植目的細胞のみを含む混合物を調製し、工程(b)及び(c)を行って細胞培養容器内の間質細胞層の上に5層の移植細胞層を積層させる。最後に、工程(a)において、細胞としては内皮細胞のみを含む混合物を調製し、工程(b)及び(c)を行って細胞培養容器内の移植細胞層の上に1層の内皮細胞層を積層させる。これにより、内皮細胞層1層−繊維芽細胞と内皮細胞を含む間質細胞層20層−移植細胞層5層−内皮細胞層1層となる細胞構造体が構築できる。さらに、工程(a)において、20層分の繊維芽細胞と血管内皮細胞と5層分の移植目的細胞とを全て混合した混合物を調製し、工程(b)及び(c)を行うことにより、25層分の厚みを有し、移植目的細胞と血管網構造の両方が構造体内部にそれぞれ独立して散在している細胞構造体が構築できる。
工程(a)〜(c)を繰り返す場合に、工程(c)の後、工程(b)を行う前に、得られた細胞構造体を培養してもよい。培養に用いる培養培地の組成、培養温度、培養時間、培養時の大気組成等の培養条件は、当該細胞構造体を構成する細胞の培養に適した条件で行う。培養培地としては、例えば、D−MEM、E−MEM、MEMα、RPMI−1640、Ham’s F−12等が挙げられる。
工程(a)の後に、(a’−1)得られた混合物から液体部分を除去し、細胞集合体を得る工程、及び(a’−2)細胞集合体を溶液に懸濁する工程を行い、工程(b)へ進んでもよい。上述の工程(a)〜(c)を実施することで所望の組織体を得ることができるが、工程(a)の後に(a’−1)及び(a’−2)を実施し、工程(b)を実施することで、より均質な組織体を得ることができる。
また、工程(a)の後に、前記工程(b)に代えて、下記工程(b’−1)及び(b’−2)を行ってもよい。本発明及び本願明細書において、「細胞粘稠体」とは、非特許文献1に記載されるようなゲル様の細胞集合体を指す。
(b’−1)工程(a)で得られた混合物を細胞培養容器内に播種した後、混合物から液体成分を除去し、細胞粘稠体を得る工程と、
(b’−2)細胞培養容器内に細胞粘稠体を溶媒に懸濁する工程。
細胞懸濁液を調製するための溶媒としては、細胞に対する毒性がなく、増殖性や機能を損なわない溶媒であれば特に限定されず、水、緩衝液、細胞の培養培地等を用いることができる。当該緩衝液としては、例えば、リン酸生理食塩水(PBS)、HEPES、Hanks緩衝液等が挙げられる。培養培地としては、D−MEM、E−MEM、MEMα、RPMI−1640、Ham’s F−12等が挙げられる。
前記工程(c)に代えて、下記工程(c’)を行ってもよい。
(c’)播種した混合物から液体成分を除去し、基材上に細胞の層を形成する工程。
工程(c)及び(c’)における液体成分の除去処理の方法は、細胞の生育及び細胞構造体の構築に悪影響を及ぼさない限り、特に限定されず、液体成分と固体成分の懸濁物から液体成分を除去する方法として当業者に公知の手法により適宜行うことができる。当該手法としては、例えば、遠心分離処理、磁性分離処理、又はろ過処理等が挙げられる。例えば、細胞培養容器としてセルカルチャーインサートを用いた場合には、混合物を播種したセルカルチャーインサートを、10℃、400×gで1分間の遠心分離処理に供することによって、液体成分を除去することができる。
構築された移植用細胞構造体は、非ヒト動物に移植される前に、1〜7日間、培養されることが好ましい。培養に使用される培養培地は、移植用細胞構造体に含まれている移植目的細胞や間質細胞が培養可能な培地であれば特に限定されるものではなく、公知の培養培地の中から適宜選択して、さらに必要に応じて適宜改変して用いることができる。培養培地としては、培養培地としては、例えば、D−MEM、E−MEM、MEMα、RPMI−1640、Ham’s F−12等や、これらにCS(ウシ血清)、FBS(ウシ胎児血清)、HBS(ウマ胎児血清)等の血清を1〜10容量%程度になるように添加した培地が挙げられる。また、StemPro培地のような初代培養において一般的に使用される培養培地であってもよい。
また、その他の培養条件は、一般的な動物細胞の培養条件と同様に適宜設定できる。例えば、培養温度は、好ましくは約30〜40℃であり、最も好ましくは37℃である。また、CO濃度は、好ましくは約1〜10容量%、最も好ましくは約5容量%である。その他、O濃度を大気よりも低い濃度となるように制御した環境下で培養することもできる。
<移植>
構築された移植用細胞構造体を、非ヒト動物の体内に移植することにより、移植目的細胞が移植された非ヒト動物が得られる。移植用細胞構造体が移植された非ヒト動物を充分な期間飼育することにより、当該移植用細胞構造体が生着する。移植後の非ヒト動物の飼育は、同種の非ヒト動物を飼育する一般的な方法と同様に行うことができる。
移植用細胞構造体が移植される非ヒト動物は、特に限定されるものではなく、哺乳類、鳥類、爬虫類、魚類のいずれであってもよい。本発明の作製方法において、移植用細胞構造体を移植する対象の非ヒト動物としては、哺乳類が好ましく、特に実験に用いられる動物や家畜、愛玩動物が好ましい。このような哺乳類としては、例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ等が挙げられる。中でも、サル、ラット、マウス、ウサギ、モルモットのような、いわゆるモデル動物として用いられている動物が好ましい。サルとしては、飼育の容易さから、アカゲザル、マーモセットのような小型のサルがより好ましい。
非ヒト動物への移植用細胞構造体の移植は、当該移植用細胞構造体の立体構造を損なうことなく移植する方法であれば特に限定されるものではない。例えば、一般的な外科的処置により移植することができる。移植用細胞構造体が移植される部位は特に限定されるものではなく、例えば、背部又は腹部の皮下、脂肪組織、腹腔壁、骨格筋、平滑筋、脳、肝臓、膵臓、脾臓、副腎、子宮、卵巣、精巣、心臓、甲状腺、胸腺、乳腺、リンパ節、消化管壁等が挙げられる。消化管壁は、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸等の壁が挙げられる。
例えば、がん幹細胞を移植目的細胞として構築した移植用細胞構造体を、マウスやラットのようなモデル動物に移植する。移植されたモデル動物を充分な期間飼育することにより、その体内では、移植されたがん幹細胞に由来する腫瘍組織が形成される。つまり、本発明に係る作製方法により、がん幹細胞に由来する腫瘍組織を備えた担がんモデル動物が得られる。この担がんモデル動物は、がん幹細胞を標的とした治療薬の開発において、治療薬の候補化合物のスクリーニングや、個々の化合物の治療効果の評価を行うためのツールとして有用である。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で多くの変形が当該分野において通常の知識を有する者により可能である。
以下の実施例において、特に説明がない限り、コラーゲンとしてコラーゲ ンIを用いた。
[実施例1]
がん幹細胞と間質細胞を含む細胞構造体をマウスに移植し、がん幹細胞に由来する腫瘍組織を備えた担がんモデルマウスを作製した。
がん幹細胞は、iPS細胞から常法により誘導したiPSがん幹細胞を用いた。
間質細胞としては、ヒト新生児由来皮膚線維芽細胞(Normal Human Dermal Fibroblasts:NHDF)(Lonza社製、製品番号:CC−2509)、ヒト臍帯静脈内皮細胞(Human Umbilical Vein Endothelial Cell:HUVEC)(Lonza社製、製品番号:CC−2517A)の2種類を用いた。
細胞培養容器としては、トランズウェルセルカルチャーインサート(Corning社製、製品番号:#3470)を用いた。また、培養培地は、iPSがん幹細胞を含まない細胞構造体の培養には、10容量%FBS(Corning社製、製品番号:#35−010−CV)及び1容量%ペニシリン/ストレプトマイシン(和光純薬社製、製品番号:168−23191)含有D−MEM(和光純薬社製、製品番号:043−30085)(以下、「FBS含有DMEM培地」と称する。)を用いた。iPSがん幹細胞を含む細胞構造体の培養には、D−MEMとiPS細胞培養用培地を等量ずつ混合した混合培地(以下、「がん幹細胞用培地」と称する。)を用いた。iPS細胞培養用培地は、15容量%FBS、0.1mM NEAA(非必須アミノ酸)、2mM グルタミン、及び0.1mM βメルカプトエタノール含有D−MEMである。さらに、細胞構造体を構成する細胞をヘパリンとコラーゲンで被覆するために、ヘパリン/コラーゲン溶液(0.1mg/mL ヘパリン、0.1mg/mL コラーゲン、50mM トリス、pH7.4)を用いた。
<細胞構造体Aの構築>
まず、NHDF(2×10個)とHUVEC(3×10個)をヘパリン/コラーゲン溶液に懸濁し、細胞懸濁液を調製した(工程(a))。この細胞懸濁液を、室温、400×gで1分間、遠心処理し、上清を取り除いた後、適量のFBS含有DMEM培地で再懸濁した(工程(a’−1)(a’−2))。次いで、この細胞懸濁液を、トランズウェルセルカルチャーインサート内に播種した後(工程(b))、当該トランズウェルセルカルチャーインサートを室温、400×gで1分間、遠心処理した。その後、当該トランズウェルセルカルチャーインサートに、適量のFBS含有DMEM培地を追加した後、CO2インキュベーター(37℃、5%CO)にて4日間培養した(工程(c))。
次いで、このトランズウェルセルカルチャーインサート内の細胞構造体の天面に、iPSがん幹細胞(5×10個)を播種した後、当該トランズウェルセルカルチャーインサートを室温、400×gで1分間、遠心処理した。なお、iPSがん幹細胞は、まずヘパリン/コラーゲン溶液に懸濁した後、得られた細胞懸濁液を、室温、400×gで1分間、遠心処理し、上清を取り除いた後、適量のがん幹細胞用培地で再懸濁した状態で、前記細胞構造体の天面に播種した。その後、当該トランズウェルセルカルチャーインサートに、適量のがん幹細胞用培地を追加した後、COインキュベーター(37℃、5%CO)にて3日間培養した。これにより、NHDFとHUVECからなり脈管網構造が形成された細胞層(20層)の上に、iPSがん幹細胞からなる細胞層(5層)が積層された細胞構造体A([NHDFとHUVECからなる20層]−[iPSがん幹細胞からなる5層])が構築された。
<細胞構造体Bの構築>
まず、HUVEC(3×10個)を、ヘパリン/コラーゲン溶液に懸濁し、細胞懸濁液を調製した。この細胞懸濁液を、室温、400×gで1分間、遠心処理し、上清を取り除いた後、適量のFBS含有DMEM培地で再懸濁した。次いで、この細胞懸濁液を、トランズウェルセルカルチャーインサート内に播種して1時間静置して自然沈降させた。
次いで、NHDF(2×10個)とHUVEC(3×10個)をヘパリン/コラーゲン溶液に懸濁し、得られた細胞懸濁液を、室温、400×gで1分間、遠心処理し、上清を取り除いた後、適量のFBS含有DMEM培地で再懸濁した。この再懸濁液を、前記トランズウェルセルカルチャーインサート内のHUVECの上に播種した後、当該トランズウェルセルカルチャーインサートを室温、400×gで1分間、遠心処理した。その後、当該トランズウェルセルカルチャーインサートに、適量のFBS含有DMEM培地を追加した後、COインキュベーター(37℃、5%CO)にて4日間培養した。
次いで、このトランズウェルセルカルチャーインサート内の細胞構造体の天面に、iPSがん幹細胞(5×10個)を播種した後、当該トランズウェルセルカルチャーインサートを室温、400×gで1分間、遠心処理した。なお、iPSがん幹細胞は、まずヘパリン/コラーゲン溶液に懸濁した後、得られた細胞懸濁液を、室温、400×gで1分間、遠心処理し、上清を取り除いた後、適量のがん幹細胞用培地で再懸濁した状態で、前記細胞構造体の天面に播種した。その後、当該トランズウェルセルカルチャーインサートに、適量のがん幹細胞用培地を追加した後、COインキュベーター(37℃、5%CO)にて3日間培養した。
その後、このトランズウェルセルカルチャーインサート内の細胞構造体の天面に、HUVEC(3×10個)を播種した後、当該トランズウェルセルカルチャーインサートを室温、400×gで1分間、遠心処理した。なお、HUVECは、まずヘパリン/コラーゲン溶液に懸濁した後、得られた細胞懸濁液を、室温、400×gで1分間、遠心処理し、上清を取り除いた後、適量のがん幹細胞用培地で再懸濁した状態で、前記細胞構造体の天面に播種した。これにより、底面と天面にHUVECのみからなる層があり、かつNHDFとHUVECからなり脈管網構造が形成された細胞層(20層)の上に、iPSがん幹細胞からなる細胞層(5層)が積層された細胞構造体B([HUVECからなる1層]−[NHDFとHUVECからなる20層]−[iPSがん幹細胞からなる5層]−[HUVECからなる1層])が構築された。
<細胞構造体Cの構築>
NHDF(2×10個)とHUVEC(3×10個)とiPSがん幹細胞(5×10個)をヘパリン/コラーゲン溶液に懸濁し、細胞懸濁液を調製した。この細胞懸濁液を、室温、400×gで1分間、遠心処理し、上清を取り除いた後、適量のがん幹細胞用培地で再懸濁した。次いで、この細胞懸濁液を、トランズウェルセルカルチャーインサート内に播種した後、当該トランズウェルセルカルチャーインサートを室温、400×gで1分間、遠心処理した。その後、当該トランズウェルセルカルチャーインサートに、適量のがん幹細胞用培地を追加した後、CO2インキュベーター(37℃、5%CO)にて4日間培養した。これにより、NHDF、HUVEC、及びiPSがん幹細胞がいずれも構造体全体に散在している27層程度からなる細胞構造体C([NHDFとHUVECとiPSがん幹細胞からなる27層])が構築された。
<HE染色>
構築後3日間、がん幹細胞用培地中で培養した細胞構造体A〜Cのパラフィン包埋切片を作製した。 パラフィン包埋切片の作製は公知の方法に従った。作製した切片について、 ヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)を行った。HE染色は公知の方法に従った。各細胞構造体のHE染色画像を図1〜3に示す。この結果、細胞構造体Aのうち、NHDFとHUVECからなる層は、20層相当分の厚みを保持していた(図1)。細胞構造体Bでも、NHDFとHUVECからなる層は、20層相当分の厚みを保持していた。また、iPSがん幹細胞もやや偏りがあるもののNHDFとHUVECからなる層に接着していることが確認できた(図2)。細胞構造体Cは、3種のうち最も構造体内部に空隙が多く厚みがあったが、iPSがん幹細胞の接着は確認できた(図3)。
<移植>
構築した細胞構造体A〜Cは、いずれも構築後3日間、がん幹細胞用培地中で培養した後に、マウスの背部の皮下へ移植した。
移植後の各マウスに対して、移植部位を経時的に観察し、腫瘍形成の有無を調べた。移植部位の盛り上がりにより腫瘍の形成が確認できた場合は、皮膚の上から腫瘍部分の短辺(mm)と長辺(mm)のサイズをノギス又は定規で測定し、体積を算出した。腫瘍組織の体積は、以下の式で算出した。当該式は、腫瘍組織を回転楕円体に近似して求めるものであり、腫瘍組織の体積の算定に一般的に用いられている。
[腫瘍組織の体積(mm)]=[腫瘍部の短辺(mm)]× [腫瘍部の長辺(mm)]×1/2
この結果、移植後5週間経過した時点で、いずれの細胞構造体を移植したマウスでも腫瘍組織の体積が100mm以上となり、移植した細胞構造体が生着し、この細胞構造体に含まれていたiPSがん幹細胞に由来する腫瘍組織が形成されたことが確認された。
本発明によれば、より高効率に、外来の細胞を移植した非ヒト動物を作製することができる。特に、本発明により、がん幹細胞由来の腫瘍が形成された担がんモデル動物を効率よく作製することができる。したがって、本発明は、特に、がん幹細胞由来の腫瘍を標的とした治療薬の開発に有用である。

Claims (13)

  1. 外来の細胞が移植された非ヒト動物を作製する方法であって、
    移植する目的の細胞を含み、2以上の細胞層が厚み方向に積層されている細胞構造体を製造する製造工程と、
    前記細胞構造体を非ヒト動物の体内に移植する移植工程と、
    を備え
    前記製造工程が、
    (a)カチオン性緩衝液中で、細胞と細胞外マトリックス成分とを混合して混合物を得る工程と、
    (b)前記工程(a)により得られた混合物を、細胞培養容器中に播種する工程と、
    (c)前記工程(b)の後、前記細胞培養容器中の細胞混合物から液体成分を除去し、当該細胞培養容器中に前記細胞構造体を得る工程と、
    を備えることを特徴とする、外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
  2. 前記細胞構造体が、さらに、間質を構成する細胞を含む、請求項1に記載の外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
  3. 前記細胞構造体が、間質を構成する細胞として、血管内皮細胞及びリンパ管内皮細胞からなる群から選択される1種以上を含む、請求項2に記載の外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
  4. 前記細胞構造体が、脈管網構造を備える、請求項3に記載の外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
  5. 前記細胞構造体が、間質を構成する細胞として、繊維芽細胞を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
  6. 前記細胞構造体において、前記移植する目的の細胞が特定の細胞層にのみ存在している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
  7. 前記細胞構造体が、前記移植する目的の細胞からなる細胞層と、間質を構成する細胞を含む細胞層とを含む、請求項6に記載の外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
  8. 前記細胞構造体が、その最上層と最下層の少なくとも一方に、血管内皮細胞及びリンパ管内皮細胞からなる群から選択される1種以上を含む細胞層を備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
  9. 前記移植する目的の細胞が、前記細胞構造体の内部に散在している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
  10. 前記細胞構造体の厚みが5μm以上である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
  11. 前記間質を構成する細胞が、前記非ヒト動物とは異なる生物種の動物に由来する細胞である、請求項2〜10のいずれか一項に記載の外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
  12. 前記移植する目的の細胞が、がん幹細胞を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
  13. 前記非ヒト動物が、哺乳類の非ヒトモデル動物である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の外来の細胞が移植された非ヒト動物の作製方法。
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