JP2013208104A - 消化器系がん幹細胞を培養するための無血清培地、及びそれを用いた消化器系がん幹細胞の増殖方法 - Google Patents

消化器系がん幹細胞を培養するための無血清培地、及びそれを用いた消化器系がん幹細胞の増殖方法 Download PDF

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【課題】消化器系がん幹細胞を培養するための無血清培地や、消化器系がん幹細胞を培養する方法、特に長期間安定して増殖培養する方法を提供すること。
【解決手段】神経生存因子−1に加えて、トランスフェリン、インスリン、プトレシン、プロゲステロン、上皮成長因子(EGF)、塩基性繊維芽細胞増殖因子(Basic FGF)、及び白血病抑制因子(LIF)を添加してなる無血清培地に、消化器系がん細胞試料から単離した細胞を浮遊培養し、消化器系がん幹細胞の細胞塊(Sphere)を形成させ、該細胞塊を単離し、細胞接着分子をコーティングした培養器を用いて前記無血清培地中で接着培養し、漸次無血清培地の一部を、新しい無血清培地で置換して培養を継続することにより、消化器系がん幹細胞を三月以上にわたり増殖させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、消化器系がん幹細胞を培養するための無血清培地や、かかる無血清培地を用いた消化器系がん幹細胞の増殖方法や、消化器系がん幹細胞の集団に関する。
哺乳類などの多細胞生物において、組織を構成する細胞は、大きく分化細胞と幹細胞とに分けられる。分化細胞は、組織特有の機能を発揮する成熟した細胞である。他方、幹細胞は、活発な増殖能、分化能及び自己複製能を有する細胞である。分化細胞は、細胞老化や細胞損傷により細胞死するため、組織特有の機能を維持するための供給源が必要となるが、かかる供給源としての役割を担う細胞が幹細胞である。幹細胞による組織構築のシステム(幹細胞システム)において、分化細胞の多くは、それぞれの組織中に存在する体性幹細胞を起源とすることが多く、例えば血液系の細胞は造血幹細胞から、肝細胞は肝幹細胞から、また、神経系の細胞は神経幹細胞から分化することが知られている。
幹細胞システムは、がん組織においても同様に存在している可能性が示唆されている。がん組織における一部のがん細胞には、胚性幹細胞や体性幹細胞などの幹細胞に特徴的な性質である、自身と同じ細胞を作り出す自己複製能と多種類の細胞に分化できる多分化能とを有するがん細胞(がん幹細胞[cancer stem cells;CSCs])が存在し、かかるがん幹細胞が、自己複製能により自身と同じ細胞を維持しながら、多分化能によりがん組織における多数の分化したがん細胞を生み出していると考えられている。
がん幹細胞の存在は、すでに1970年代に示唆されていたが、それを実験的に証明することが技術的に困難であった。しかし、フローサイトメトリーの発展によって特定の細胞集団のみを分離することが可能になったことや、正常組織の体性幹細胞の解析が進んだことや、がん細胞の移植により腫瘍形成を評価できる免疫不全マウスなどの実験モデル動物が開発されたことなどによって、血液のがんである白血病で、がん幹細胞の存在が確認された(非特許文献1)。その後、白血病におけるがん幹細胞仮説を基に、CD133等の幹細胞マーカーを発現しているがん幹細胞が乳がん、脳腫瘍、大腸癌等のがん組織において存在することが知られている。
がん幹細胞は、がん発生のメカニズムを解明する上で重要なツールであるとともに、がん細胞が他の臓器に転移するためには、がん細胞が原発巣から遊離するだけではなく、到達した部位で新しくがんを形成する能力が必要となることから、転移のメカニズムや治療方法を確立する上でも重要なツールであると考えられている(非特許文献2)。
また、一般的な抗がん剤による治療において、固形腫瘍の縮小が治療の指針とされていることから、かかる治療に用いられる抗がん剤の標的は、がん幹細胞ではなく、腫瘍の大部分を占める分化したがん細胞である可能性が考えられる。実際に、がん幹細胞の中には、薬剤耐性を獲得しているものがあることが報告されている(非特許文献3)。したがって、治療によって大部分のがん細胞を除いても、ごく少数のがん幹細胞が生き残っていれば再発が起こりうることになり、これが、がんにおいてしばしば再発が起きる理由の一つとして考えられている。したがって、がん幹細胞を標的として除去することができれば、がんの転移や再発の防止にも有用な治療法の開発につながることが期待されている。
このためには、がん幹細胞を単離して培養する技術の確立が必要不可欠であるが、がん幹細胞を単離する方法としては、フローサイトメトリーによるソーティング法や、非接着条件下で浮遊培養することにより浮遊細胞塊を形成させる方法(特許文献1)等が知られているものの、がん幹細胞を培養する方法、特に長期間安定して増殖培養する方法については、ほとんど確立されていないのが現状であった。
特表2010−516259号公報
Bonnet, D. and Dick, J.E. Nature Medicine 3: 730-737 (1997) Li, F. et al. Cell Research 17: 3-14 (2007) Dean, M. et al. Nature Review Cancer 5: 275-284 (2005)
本発明の課題は、消化器系がん幹細胞を培養するための無血清培地や、消化器系がん幹細胞を培養する方法、特に長期間安定して増殖培養する方法を提供することにある。
がん幹細胞を培養する方法、特に長期間安定して増殖培養する方法については、ほとんど確立されていないため、消化器系がん幹細胞を培養するために最適な無血清培地や培養方法を確立することは困難であることが予想されたが、本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねる中で、神経細胞の培養に有用である神経生存因子−1(NSF−1;Neural Survivor Factor-1)に着目した。そして、NSF−1が消化器系がん幹細胞の増殖培養においてきわめて重要な因子であることを見いだした。また、このNSF−1に加えて、トランスフェリン(Transferrin)、インスリン(Insulin)、プトレシン(Putrcine)、プロゲステロン(Progesterone)、上皮成長因子(Epidermal Growth Factor;EGF)、塩基性繊維芽細胞増殖因子(Basic fibroblast growth factor;Basic FGF)、及び白血病抑制因子(Leukemia Inhibitory Factor;LIF)を添加してなる無血清培地に、消化器系がん細胞を浮遊培養し、消化器系がん細胞に含まれていた消化器系がん幹細胞の細胞塊(Sphere)を形成させ、該細胞塊を単離し、細胞接着分子をコーティングした培養器を用いて前記無血清培地中で接着培養し、漸次無血清培地の一部を、新しい無血清培地で置換して培養を継続することにより、消化器系がん幹細胞を通常二月以上にわたり増殖させることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(1)血清を含有しない動物細胞培養用基礎培地に、神経生存因子−1(NSF−1)を添加してなることを特徴とする消化器系がん幹細胞を培養するための無血清培地や、(2)トランスフェリン、インスリン、プトレシン、プロゲステロン、上皮成長因子(EGF)、塩基性繊維芽細胞増殖因子(Basic FGF)、及び白血病抑制因子(LIF)をさらに添加してなる上記(1)の無血清培地や、(3)亜セレン酸又はその塩、ヘパリン、及びN−アセチルシステインをさらに添加してなる上記(1)又は(2)の無血清培地や、(4)血清を含有しない動物細胞培養用基礎培地が、グルコース添加DMEM/F12である上記(1)〜(3)のいずれかの無血清培地に関する。
また本発明は、(5)消化器系がん細胞試料から単離した細胞を、上記(1)〜(4)のいずれかの無血清培地中で浮遊培養し、消化器系がん幹細胞の細胞塊(Sphere)を形成させる工程(a)と、前記細胞塊を単離し、単離した細胞塊を、細胞接着分子をコーティングした培養器を用いて前記無血清培地中で接着培養することにより、消化器系がん幹細胞を増殖させる工程(b)とを順次備えた消化器系がん幹細胞の増殖方法や、(6)細胞接着分子が、ラミニンである上記(5)の増殖方法や、(7)工程(b)の後に、無血清培地の一部を、新しい無血清培地で置換して培養を継続する工程(C)を備えた上記(5)又は(6)の増殖方法に関する。
さらに本発明は、(8)少なくとも一月以上増殖し続けた消化器系がん幹細胞の集団や、(9)少なくとも三月以上増殖し続けた上記(8)の消化器系がん幹細胞の集団に関する。
本発明によると、膵臓がん幹細胞、肝がん幹細胞等の消化器系がん幹細胞を三月以上にわたり増殖させることができる。その結果、少なくとも一月、好ましくは少なくとも二月、より好ましくは少なくとも三月増殖し続けた消化器系がん幹細胞の集団を得ることができる。また、SK−HEP−1等の低分化型(分化度が低い、或いはがん細胞が発生した組織本来の細胞に形態学的にも機能的にも類似性が低い)肝がん由来の細胞株には、がん幹細胞がほとんど含まれていないため(<0.5%, Chen, X. et al., J Hepatol., 2011, 55: 838-845)、がん幹細胞を単離することは困難とされていたが、本発明によると、SK−HEP−1等の低分化型肝がん由来の細胞株からも高効率で肝がん幹細胞等の消化器系がん幹細胞の集団を得ることができる。
本発明の無血清培地を用いて単離した膵臓がん幹細胞の顕微鏡画像を示す図である。 フローサイトメトリーを用いて、単離した膵臓がん幹細胞におけるがん幹細胞マーカー因子を解析した結果を示す図である。 超免疫不全マウス(NOD-Rag -/- IL-2Common gamma chain -/-)(NRGマウス)を用いて、単離した膵臓がん幹細胞による腫瘍形成を解析した結果を示す図である。 本発明の無血清培地を用いて単離した肝がん幹細胞の顕微鏡画像を示す図である。 本発明の無血清培地を用いて単離した肝がん幹細胞の抗がん剤耐性能を、3種類の抗がん剤(5−フルオロウラシル[5−FU]、シスプラチン[CDDP]、及び酪酸ナトリウム[NaB])を用いて解析した結果を示す図である。横軸には、抗がん剤の濃度を、また、縦軸には、抗がん剤存在下で培養した場合の細胞の生存率を、抗がん剤非存在下で培養した場合の細胞の生存率に対する比率として示す。 本発明の無血清培地を用いて単離した肝がん幹細胞におけるがん幹細胞マーカー因子(ABCB1、ABCC1、ABCG2、及びALDH1A1)や上皮間葉転換(Epithelial to Mesenchymal Transition;EMT)に関連する因子(TGFβ1)のmRNAの発現を解析した結果を示す図である(n=6)。縦軸の「mRNAの発現量」は、コントロール(血清含有培地で培養したSK−HEP−1細胞株)におけるmRNAの発現量に対する比率として示す。 本発明の無血清培地を用いて単離した肝がん幹細胞におけるがん幹細胞マーカー因子(PROM1[CD133]及びNANOG)やEMTに関連する因子(FN1、VIM、TWIST2、及びSNAI3)のmRNAの発現を解析した結果を示す図である(n=4)。縦軸の「mRNAの発現量」は、コントロール(血清含有培地で培養したSK−HEP−1細胞株)におけるmRNAの発現量に対する比率として示す。
本発明の消化器系がん幹細胞を培養するための無血清培地(以下、単に「本発明の無血清培地」という)は、胃がん、大腸がん、肝がん、膵臓がん等の消化器系がん幹細胞を培養するために用いられ、NSF−1を含有するものである。本発明において消化器系がん幹細胞とは、幹細胞の性質を有する消化器系がん細胞のことをいい、より具体的には、1)複数系統の消化器系がん細胞に分化できる能力(多分化能)、2)細胞分裂を経ても多分化能を維持できる能力(自己複製能)、及び3)元の消化器系がんと同じ表現型の腫瘍を高い効率で形成できる能力(高腫瘍形成能)の1)〜3)の能力のうち、少なくとも1の能力を有する消化器系がん細胞(幹細胞)のことを意味する。
本発明において用いられるNSF−1としては、カンブレックス社製、ロンザジャパン社製などの市販のものであっても、自ら調製したものであってもよい。NSF−1を自ら調製する場合、例えばモレキュラー・クローニング、ア・ラボラトリーマニュアル(Molecular cloning,A laboratorymanual)などに記載の方法に基づき、NSF−1遺伝子を組み込んだ発現ベクターを生細胞に導入し、生細胞中にNSF−1を発現させ、単離・精製することができる。
本発明において用いられるNSF−1の濃度は、消化器系がん幹細胞が効率よく増殖できる濃度であれば特に制限されず、通常0.17%(w/v)以上であり、好ましくは0.6%(w/v)以上であり、より好ましくは1.7%(w/v)以上であり、また、費用対効果を考慮すると、通常24%(w/v)以下、好ましくは7.2%(w/v)以下、より好ましくは2.4%(w/v)以下である。
上記血清を含有しない動物細胞培養用基礎培地としては、例えば、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、最小必須培地(MEM)、イーグル基礎培地(BME)、RPMI1640培地、F12培地等の公知の化学合成培地などの培地、及びDMEM/F12(Dulbecco's Modified Eagle Medium:NutrientMixture F12)培地(DMEMとF12培地を1:1で混合した培地)、ヒト間葉系幹細胞用無血清培地(STK2)等のこれらの培地のいずれか1又は2以上を適当な割合で混合した培地等を挙げることができるが、中でもRPMI1640培地(日研生物医学研究所製)、DMEM/F12培地(シグマ−アルドリッチ社製社製)、STK2培地(DSファーマバイオメディァル社製)を好適に例示することができる。また、これら培地にはグルコース等の糖類や、ストレプトマイシン、ペニシリン、ゲンタマイシン等の抗生物質や、Hepes等の緩衝剤などを添加することが好ましい。
本発明の無血清培地は、さらに消化器系がん幹細胞の培養に好ましい成分である、鉄源(トランスフェリン等)、成長因子(インスリン、EGF、Basic FGF、グリア細胞由来神経栄養因子[GDNF;Glial cell line-derived neurotrophic factor]、幹細胞因子[SCF;Stem Cell Factor]等)、ポリアミン類(プトレシン等)、ステロイド(プロゲステロン、β-エストラジオール等)、幹細胞の分化抑制剤(LIF、Wnt、TGF-β等)、ミネラル(亜セレン酸[Selenous acid]又はその塩)、接着因子(例えば、ヘパリン(Heparin)、ヘパラン硫酸、コラーゲン、フィブロネクチン等)、還元剤(N−アセチルシステイン[N-acetylcysteine]、2−メルカプトエタノール、カタラーゼ等)などを含有するものが好ましく、具体的には、トランスフェリン、インスリン、プトレシン、プロゲステロン、EGF、Basic FGF、及びLIFを含有するものが好ましく、さらに、亜セレン酸ナトリウム等の亜セレン酸又はその塩、ヘパリン、及びN−アセチルシステインを含有するものがより好ましい。
本発明において用いられるトランスフェリン、インスリン、プトレシン、プロゲステロン、EGF、Basic FGF、及びLIFや、亜セレン酸ナトリウム等の亜セレン酸又はその塩、ヘパリン、及びN−アセチルシステインとしては、市販のものであっても、自ら調製したものであってもよい。市販のものとしては、例えばシグマ−アルドリッチ社製等の市販のトランスフェリンや、シグマ−アルドリッチ社製等の市販のインスリンや、シグマ−アルドリッチ社製、Alexis Biochemicals社製等の市販のプトレシンや、シグマ−アルドリッチ社製等の市販のプロゲステロンや、シグマ−アルドリッチ社製、和光純薬工業社製等の市販のEGFや、和光純薬工業社製等の市販のBasic FGFや、ケミコン社製、ミリポア社製等の市販のLIFや、ナカライテスク社製等の市販の亜セレン酸又はその塩や、シグマ社製等の市販のヘパリンや、シグマ−アルドリッチ社製、ナカライテスク社製等の市販のN−アセチルシステインを挙げることができる。また、自ら調製したものとしては、例えばモレキュラー・クローニング、ア・ラボラトリーマニュアル(Molecular cloning,A laboratorymanual)などに記載の方法に基づき、トランスフェリン、インスリン、EGF、Basic FGF、及びLIFの遺伝子を組み込んだ発現ベクターを生細胞に導入し、生細胞中にかかる遺伝子を発現させ、単離・精製して得られたものを挙げることができる。
本発明において用いられるトランスフェリンの濃度は、消化器系がん幹細胞が効率よく増殖できる濃度であればよく、通常8μg/ml以上であり、好ましくは27μg/ml以上であり、より好ましくは80μg/ml以上であり、また、費用対効果を考慮すると、通常12000μg/ml以下、好ましくは360μg/ml以下、より好ましくは120μg/ml以下である。
また、本発明において用いられるインスリンの濃度は、消化器系がん幹細胞が効率よく増殖できる濃度でよく、通常2μg/ml以上であり、好ましくは7μg/ml以上であり、より好ましくは20μg/ml以上であり、また、費用対効果を考慮すると、通常300μg/ml以下、好ましくは90μg/ml以下、より好ましくは30μg/ml以下である。
また、本発明において用いられるプトレシンの濃度は、消化器系がん幹細胞が効率よく増殖できる濃度であればよく、通常16μg/ml以上であり、好ましくは54μg/ml以上であり、より好ましくは160μg/ml以上であり、また、費用対効果を考慮すると、通常2300μg/ml以下、好ましくは690μg/ml以下、より好ましくは230μg/ml以下である。
また、本発明において用いられるプロゲステロンの濃度は、消化器系がん幹細胞が効率よく増殖できる濃度であればよく、通常1.7μg/ml以上であり、好ましくは6μg/ml以上であり、より好ましくは17μg/ml以上であり、また、費用対効果を考慮すると、通常240μg/ml以下、好ましくは72μg/ml以下、より好ましくは24μg/ml以下である。
また、本発明において用いられるEGFの濃度は、消化器系がん幹細胞が効率よく増殖できる濃度であればよく、通常1.7ng/ml以上であり、好ましくは6ng/ml以上であり、より好ましくは17ng/ml以上であり、また、費用対効果を考慮すると、通常240ng/ml以下、好ましくは72ng/ml以下、より好ましくは24ng/ml以下である。
また、本発明において用いられるBasic FGFの濃度は、消化器系がん幹細胞が効率よく増殖できる濃度であればよく、通常1.7ng/ml以上であり、好ましくは6ng/ml以上であり、より好ましくは17ng/ml以上であり、また、費用対効果を考慮すると、通常240ng/ml以下、好ましくは72ng/ml以下、より好ましくは24ng/ml以下である。
また、本発明において用いられるLIFの濃度は、消化器系がん幹細胞が効率よく増殖できる濃度であればよく、通常0.8ng/ml以上であり、好ましくは3ng/ml以上であり、より好ましくは8ng/ml以上であり、また、費用対効果を考慮すると、通常120ng/ml以下、好ましくは36ng/ml以下、より好ましくは12ng/ml以下である。
また、本発明において用いられる亜セレン酸又はその塩の濃度は、消化器系がん幹細胞が効率よく増殖できる濃度であればよく、通常2.5nM以上であり、好ましくは9nM以上であり、より好ましくは25nM以上であり、また、費用対効果を考慮すると、通常360nM以下、好ましくは108nM以下、より好ましくは36nM以下である。
また、本発明において用いられるヘパリンの濃度は、消化器系がん幹細胞が効率よく増殖できる濃度であればよく、通常0.17μg/ml以上であり、好ましくは0.6μg/ml以上であり、より好ましくは1.7μg/ml以上であり、また、費用対効果を考慮すると、通常24μg/ml以下、好ましくは7.2μg/ml以下、より好ましくは2.4μg/ml以下である。
また、本発明において用いられるN−アセチルシステインの濃度は、消化器系がん幹細胞が効率よく増殖できる濃度であればよく、通常5μg/ml以上であり、好ましくは17μg/ml以上であり、より好ましくは50μg/ml以上であり、また、費用対効果を考慮すると、通常720μg/ml以下、好ましくは216μg/ml以下、より好ましくは72μg/ml以下である。
本発明の消化器系がん幹細胞の増殖方法は、本発明の無血清培地に、胃がん、大腸がん、肝がん、膵臓がん等の消化器系がん細胞を浮遊培養し、複数の消化器系がん幹細胞からなる細胞塊(Sphere)を形成させる工程(a)と、前記細胞塊を単離し、単離した細胞塊を、細胞接着分子をコーティングしたマルチウエルプレート、培養皿(シャーレ、ディッシュ)、フラスコ等の培養器を用いて前記無血清培地中で接着培養することにより、消化器系がん幹細胞を増殖させる工程(b)とを備えており、上記工程(b)に続いて、無血清培地の一部を、新しい無血清培地で置換して継代培養をする工程(C)を備えていることが特に好ましい。培養した無血清培地の一部、例えば20〜80%(v/v%)、好ましくは30〜70%(v/v%)、より好ましくは40〜60%(v/v%)を新しい無血清培地で置換することから、元の培養後の培地の一部はそのまま再利用されることになる。この再利用される培養後の培地中には、がん幹細胞から分泌された、がん幹細胞の増殖を支援する、IL−1beta、IL−2、IL−4、IL−9、IL−10、IL−12、IL−13、Basic FGF、エオタキシン(Eotaxin)、顆粒球コロニー刺激因子(Granulocyte Colony-Stimulating Factor;G−CSF)、顆粒球単球コロニー刺激因子(Granulocyte Macrophage colony-stimulating Factor ;GM−CSF)、IP−10、腫瘍壊死因子アルファ(Tumor Necrosis Factor-alpha;TNF-alpha)、血管内皮細胞増殖因子(Vascular endothelial growth factor;VEGF)等のサイトカインなどが含まれている。このため、消化器系がん幹細胞を、長期間(少なくとも一月)に亘って培養・増殖することができる。
本発明の増殖方法における消化器系がん細胞としては、胃がん細胞株(MKN7、TMK−1、MKN−28等)、大腸がん細胞株(COLM−5、Colo205等)、肝細胞がん細胞株(SK−HEP−1、HLE、HLF、HepG2等)、膵臓がん細胞株(YPK1〜5等)などの細胞株として樹立されたものの他、医師等当業者が通常用いる基準に照らして明らかにがん化していると判断される消化器系の組織や器官から採取された細胞も含まれる。
本発明の増殖方法における浮遊培養する条件としては、消化器系がん幹細胞の細胞塊が形成できる培養条件(温度、時間等)であれば適宜選択することができる。例えば、培養温度としては、30〜40℃の範囲から選択することができ、培養時間としては、3時間〜2週間の範囲から選択することができるが、消化器系がん細胞が死滅し、且つ消化器系がん幹細胞が生存できる培養時間が好ましく、具体的には、1〜2週間を好適に例示することができる。また、培養は、5〜10%の二酸化炭素ガスを満たしたインキュベーター内で行うことができる。細胞塊を構成する消化器系がん幹細胞数としては、細胞塊形成されたことを顕微鏡などにより判別できれば特に制限されず、通常少なくとも2、好ましくは少なくとも6、より好ましくは少なくとも20を挙げることができる。
本発明の増殖方法における工程(b)において、がん幹細胞塊を単離する場合、消化器系がん細胞が死滅しない条件下でがん幹細胞塊を形成させたときは、顕微鏡下で細胞を観察し、ピペットマン等を用いて単一細胞(シングル)の状態の消化器系がん細胞を含まないように細胞塊を単離(回収)することが好ましく、また、消化器系がん細胞が死滅する条件下でがん幹細胞塊を形成させたときは、細胞塊を含む無血清培地をそのまま単離(回収)することが好ましい。
本発明の増殖方法における細胞接着分子としては、例えばフィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、ニドジェン、テネイシン、トロンボスポンジン、フィブリノーゲンなどを挙げることができ、ラミニンが好ましい。また、上記細胞接着分子は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよいし、或いはポリ−L−オルニチンやポリ−リジンでコーティングした培養皿にオーバーコートしてもよい。
本発明の増殖方法における細胞接着分子をコーティングした培養器は、市販のものであっても、自ら調製したものであってもよい。市販のものとしては、例えばBD バイオコート ラミニンコート製品(日本BD社製)、バイオコート ポリ−D−リジン/ラミニン ディッシュ(コスモバイオ社製)、バイオコート ポリ−L−オルニチン/ラミニン プレート(コスモバイオ社製)、バイオコート ラミニン/フィブロネクチン プレート(コスモバイオ社製)等の市販品を挙げることができる。また、自ら調製する場合、例えばポリ−L−オルニチンやポリ−リジンを培養皿の表面全体が覆われる程度に浸し、15〜60分間、15〜37℃で静置し、リン酸緩衝生理食塩水(Phosphate buffered saline;PBS)等の溶液で培養皿を洗浄する一連の処理を必要に応じて行った後、細胞接着分子を含むPBS等の溶液を培養皿の表面全体が覆われる程度に浸し、30分〜24時間、15〜40℃で静置し、溶液を除くことにより得ることができる。また、使用前にPBS等の溶液で培養皿を洗浄してもよい。
本発明の増殖方法における接着培養する条件としては、消化器系がん幹細胞が接着培養できる培養条件(温度等)であれば適宜選択することができる。例えば、培養温度としては、30〜40℃の範囲から選択することができ、また、培養は、5〜10%の二酸化炭素ガスを満たしたインキュベーター内で行うことができる。また、細胞は、コンフルエントになる前に適宜その一部(例えば、50%、25%、12%等)をトリプシン等の消化酵素を用いて培養器から剥離・単離し、新しい培養器を用いて継代代培養してもよい。
本発明の増殖方法を用いて単離した細胞塊や、細胞塊を接着培養することにより得られた細胞が消化器系がん幹細胞であることは、例えば消化器系がん幹細胞特異的な表面抗原の発現や、高腫瘍形成能などを解析することにより確認することができる。消化器系がん幹細胞特異的な表面抗原の発現を解析する場合、例えばCD19、CD24、CD44、CD133、ESA(Epithelial-specific antigen)等の表面抗原に対する抗体とセルソーター、フローサイトメーター等の細胞解析装置とを用いて文献(Proc Natl Acad Sci USA, 101, 3781-3786 (2004)、Cancer Res, 65, 6207-6219 (2005))等に記載の方法にしたがってフローサイトメトリーを行い、本発明の方法で得られた消化器系がん幹細胞が消化器系がん幹細胞特異的な表面抗原を発現することを検出する。また、高腫瘍形成能を解析する場合、免疫不全のモデル動物に、本発明の方法で得られた消化器系がん幹細胞を皮下移植等で投与し、組織学的解析などの解析法により腫瘍形成を検出する。免疫不全のモデル動物は、異物に対する排除能力が低下するため、外部から投与された細胞が定着しやすく、このため腫瘍形成能を容易に検出することができる。投与する消化器系がん幹細胞の細胞数としては、高腫瘍形成能を評価できる細胞数であれば特に制限されず、例えば1〜100000、好ましくは100〜10000、より好ましくは400〜4000を挙げることができる。また、使用する免疫不全のモデル動物としては、自然に免疫不全になったモデル動物であっても、T細胞やB細胞等の免疫系に関与する遺伝子をノックアウト等の手法により破壊したモデル動物であっても、あるいはこれらモデル動物を交配して得られたものであってもよく、具体的には、NOD(nonobese diabetic 痩せ型糖尿病)マウスとSCID(severe combined immunodeficiency 重症複合免疫不全)マウスとを交配して作製されたNOD-scidマウスや、NOD-scidマウスとIL-2rγノックアウトマウスとを交配して作製されたNOD/Shi-scid-IL2Rγnullマウス(NOGマウス)(Ito, M. et al., Blood., 2002, 100: 3175-3182)や、B細胞とT細胞が完全に欠損したRag欠損(Ragnull)マウスや、Rag欠損(Ragnull)マウスとIL-2rγノックアウトマウスを交配して作製されたNRGマウス(Pearson, T. et al., Clin. Exp. Immunol., 2008, 154: 270-284)などの(超)免疫不全のモデルマウスを挙げることができる。上記モデル動物としてマウスの他、ラット、ハムスター、モルモット、サル、ウシ、ブタ、ウマ、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、イヌ等の非ヒト哺乳動物モデルを例示することができる。
消化器系がん幹細胞をターゲットとした治療薬の開発には、多数の消化器系がん幹細胞が必要となるが、本発明の無血清培地を用いて消化器系がん幹細胞を長期間増殖し続けることにより、多数の消化器系がん幹細胞からなる集団を得ることができる。ここで長期間増殖し続ける期間としては、好ましくは少なくとも一月、より好ましくは少なくとも二月、さらに好ましくは少なくとも三月を挙げることができる。長期間増殖し続けて得られた消化器系がん幹細胞は、使用するまでの間、5〜25%DMSOや、mFreSR hESC freezing medium(ベリタス社製)、セルバンカー3(和光純薬社製)等の市販の細胞凍結保存液を用いて凍結保存してもよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
本発明の消化器系がん幹細胞を培養するための無血清培地と、オルニチン及びラミニンでコーティングしたシャーレを作製した。
1.材料
本発明の無血清培地として、以下の成分A、B、及びCからなるものを作製した。
1−1 無血清培地
(1)成分A
DMEM/F12(シグマ−アルドリッチ社製社製) 86mL
1M Hepes(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid) 900μl
Antibiotic/antimycotic liquid (100倍濃度) 900μl
30% グルコース 1.7ml
(2)成分B
DMEM/F12培地(シグマ−アルドリッチ社製) 8.6ml
30 % グルコース(シグマ−アルドリッチ社製) 200μl
トランスフェリン(シグマ−アルドリッチ社製) 10 mg+HO 200μl
インスリン(シグマ−アルドリッチ社製) 2.5mg+0.1N HCl 100μl(先にインスリンを溶解)+HO 900μl(溶解後に加える) 計1ml
プトレシン(Alexis Biochemicals社製)19.33mg
0.3mM 亜セレン酸ナトリウム(シグマ−アルドリッチ社製) 10μl
2mM プロゲステロン(シグマ−アルドリッチ社製) 1μl
(3)成分C
200μg/ml ヒトEGF(シグマ−アルドリッチ社製) 10μl
4μg/ml Basic FGF(和光純薬工業社製)500μl
1mg/ml ヘパリン(シグマ−アルドリッチ社製) 200μl
10μg/mlLIF(ケミコン社製) 100μl
NSF−1(50倍濃度)(カンブレックス社製) 2ml(最終濃度;2%[w/v])
60mg/mlN−アセチルシステイン(N-acetylcysteine)(シグマ−アルドリッチ社製) 100μl
なお、ここでは約100mlの無血清培地を作製する場合の組成を記載している。また、無血清培地は、成分A、B及びCをそれぞれ個別に作製した後、混合して作製した。
1−2 オルニチン及びラミニンでコーティングしたシャーレの作製
0.01% Poly-L-ornithine溶液をシャーレに表面が覆われる程度入れて、約30分間、室温で置いておく。その後その溶液は吸引して除き、PBSで1回洗浄し、1%ラミニン/PBS溶液で1晩(15〜18時間)、37℃のインキュベーターで保存した後、かかる溶液を捨てて、クリーンベンチ内にて室温で乾燥させる。その後使用までは4℃で保存した。使用直前にPBSを用いて一度洗浄した。
2.本発明の無血清培地を用いた、膵臓がん幹細胞の単離
本発明の無血清培地を用いて、膵臓がん細胞株から膵臓がん幹細胞を単離し、長期培養できるかどうかを解析した。上記実施例1で作製した無血清培地を用いて、インキュベーター(37℃、5% CO)で膵臓がん細胞株(YPK1〜5)をがん細胞が死滅しがん幹細胞が生存できる条件下、すなわち浮遊条件下で約1〜2週間培養を行った。なお、コントロールとして10%ウシ胎児血清(FBS;fetal bovine serum)を含むDMEM(以下、単に血清含有培地という)や3種類の無血清培地(DMEM/F12[シグマ−アルドリッチ社製]、RPMI1640[日研生物医学研究所社製]、STK2 ヒト間葉系幹細胞用無血清倍地[DSファーマバイオメディカル社製])を用いた。その結果、本発明の無血清培地を用いると、YPK1〜5いずれの膵臓がん細胞株においても、膵臓がん幹細胞からなる細胞塊(Sphere)の形成が認められた。図1には、YPK2細胞株で形成された細胞塊の例を示す。他方、血清含有培地を用いた場合、膵臓がん細胞は接着し、細胞塊は形成されなかった。また、上記3種類の無血清培地を用いて形成された細胞塊は、本発明の無血清を用いた場合と比べ形成効率が悪く、また大きさも小さい上に、かかる細胞塊を形成する細胞は約1週間の培養後死滅し始めた。これらの結果は、市販品等の従来知られている無血清培地では、膵臓がん細胞株から膵臓がん幹細胞の単離はできないが、本発明の無血清培地を用いると、膵臓がん細胞株から膵臓がん幹細胞を単離できることを示している。
3.本発明の無血清培地を用いた、膵臓がん幹細胞の長期増殖培養
次に上記実施例2の方法で単離した膵臓がん幹細胞が、長期培養した場合に安定に増殖できるかどうかを解析した。上記実施例2に示される方法で細胞塊を含む無血清培地を分離し、ラミニンをコートした培養シャーレに移した後、同体積量の上記実施例1で作製した新鮮な無血清培地を添加した。シャーレの底に少しずつ、膵臓がん幹細胞が付着し増加するのを顕微鏡で確認しながら1週間に一度無血清培地を半分吸引・破棄し、同体積量の上記実施例1で作製した新鮮な無血清培地を添加する操作を繰り返し行い、接着培養したところ、少なくとも三月間増殖培養できることが明らかとなった。一方、上記実施例1で作製した新鮮な無血清培地を添加する操作を行わなかった場合は、2週間程度しか膵臓がん幹細胞を培養することができなく、また、本発明の無血清培地を上記実施例1で作製した新鮮な無血清培地にすべて置換した場合は、1週間程度しか膵臓がん幹細胞を培養することができなかった。これらの結果は、膵臓がん幹細胞などのがん幹細胞が産生するサイトカインががん幹細胞の細胞増殖をサポートすることを示唆している。
そこで、がん幹細胞が産生するサイトカインを探索するために、2種類の膵臓がん細胞株(YPK1及び2)を用いて上記実施例2の方法により膵臓がん幹細胞を単離した後、接着培養を行い、接着培養開始2週間後にBio-plex(Bio−Rad社製)により培地中の27種類のサイトカイン(IL−1beta、IL−1Ra、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−12[p70]、IL−13、IL−15、IL−17、Basic FGF、エオタキシン、G−CSF、GM−CSF、インターフェロンガンマ[Interferon-gamma;IFN-gamma]、IP−10、MCP−1[MCAF]、マクロファージ炎症性タンパク質1アルファ[Macrophage inflammatory protein 1alpha;MIP-1alpha]、マクロファージ炎症性タンパク質1ベータ[Macrophage inflammatory protein 1beta;MIP-1beta]、血小板由来増殖因子BB[becaplermin, platelet-derived growth factor BB;PDGF-BB]、RANTES、TNF-alpha、及びVEGF)のmRNAの発現量を測定した。なお、コントロールとして膵臓がん細胞株(YPK1又は2)を血清含有培地で2週間接着培養した後の培地を用いた。その結果、膵臓がん幹細胞を培養した培地は、コントロールの培地と比べ、14種類のサイトカイン(IL−1beta、IL−2、IL−4、IL−9、IL−10、IL−12、IL−13、Basic FGF、エオタキシン、G−CSF、GM−CSF、IP−10、TNF-alpha、及びVEGF)のmRNAの発現量が増加していた(IL−1beta;17〜38倍、IL−2;5〜1000倍以上、IL−4;1.6〜6.0倍、IL−9;1.5〜1000倍以上、IL−10;3〜5倍、IL−12;3.2〜5倍、IL−13;3.8〜13倍、Basic FGF;1000倍以上、エオタキシン;14〜1000倍以上、G−CSF;2〜40倍、GM−CSF;1.7〜1000倍以上、IP−10;1.1〜27倍、TNF-alpha;1000倍以上、VEGF;1.5〜11倍)ことが明らかとなった。この結果は、14種類のサイトカイン(IL−1beta、IL−2、IL−4、IL−9、IL−10、IL−12、IL−13、Basic FGF、エオタキシン、G−CSF、GM−CSF、IP−10、TNF-alpha、及びVEGF)が膵臓がん幹細胞などのがん幹細胞の増殖をサポートすることを示唆している。
また、胃がん組織からの培養、胃がん患者腹水(癌を含んでいる)からの培養、大腸がん肝転移組織から単離して、上記実施例2で示した方法により培養を行ってもがん幹細胞からなる細胞塊の形成が認められ、またかかる細胞塊を上記実施例3で示した方法により増殖培養を行ったところ、少なくとも二月間がん幹細胞が細胞増殖することが確認された。
4.フローサイトメトリーを用いた、単離した膵臓がん幹細胞のがん幹細胞マーカー因子の解析
次に、本発明の無血清培地を用いて単離した膵臓がん幹細胞について、がん幹細胞マーカー因子として知られている3種類の因子(CD24、CD44、及びESA)の蛋白質の発現レベルが亢進しているかどうかをフローサイトメトリーにより解析した。上記実施例2で示した方法によりYPK2細胞株を用いて膵臓がん幹細胞からなる細胞塊を単離した後、抗ヒトCD24抗体、抗ヒトCD44抗体及び抗ヒトESA抗体を用いて免疫蛍光染色法を行い、BD Biosciences社製のFACS Aria IIIを用いて解析を行った(図2)。なお、コントロールとして血清含有培地を用いて培養したYPK2細胞株を用いた。その結果、本発明の無血清培地を用いて単離した膵臓がん幹細胞は、血清含有培地を用いて培養した膵臓がん細胞と比べ、CD24陰性及びCD44陰性細胞の細胞数が減少するとともに(図2の中央図、Q4領域[37.4%]vs.図2の左図、Q4領域[87.1%])、CD24陽性及び/又はCD44陽性細胞の細胞数は増加していることが明らかとなった(図2の中央図、Q1〜3領域[36.3+2.76+23.6≒62.7%]vs.図2の左図、Q1〜3領域[0.585+0.793+11.5≒12.9%])。さらに本発明の無血清培地を用いて単離した膵臓がん幹細胞のCD24陽性及びCD44陽性細胞(図2の中央図、Q2領域の細胞)におけるESAの発現量は、血清含有培地を用いて培養した膵臓がん細胞のCD24陰性及びCD44陰性細胞(図2の左図、Q4領域の細胞)おけるESAの発現量と比べ、高いことが明らかとなった(図2の右図)。これらの結果は、本発明の無血清培地を用いて単離した膵臓がん幹細胞には、がん幹細胞マーカー因子であるCD24、CD44、又はESA陽性を示す細胞が多く含まれていることを示している。
5.超免疫不全マウス(NRGマウス)を用いた、単離した膵臓がん幹細胞による腫瘍形成の解析
次に、本発明の無血清培地を用いて単離した膵臓がん幹細胞について、腫瘍形成能を解析した。上記実施例2で示した方法によりYPK2細胞株を用いて膵臓がん幹細胞からなる細胞塊を単離した後、1000個を超免疫不全マウス(NRGマウス)(ジャクソン研究所)へ皮下移植した。なお、コントロールとして血清含有培地を用いて培養したYPK2細胞株を用いた。その結果、コントロールでは腫瘍形成はされなかったのに対し、本発明の無血清培地を用いて単離した膵臓がん幹細胞を用いた場合、腫瘍形成が確認された(図3)。この結果は、本発明の無血清培地を用いて単離した膵臓がん幹細胞などのがん幹細胞は、がん幹細胞の機能の1つである腫瘍形成能を有することが明らかとなった。
6.本発明の無血清培地を用いた、肝がん幹細胞の単離
従来の肝がん細胞株を用いたがん幹細胞の単離は、がん幹細胞がある程度含まれている、HuH−7等の高分化型肝がん由来の細胞株を用いて行われている。他方、SK−HEP−1等の低分化型肝がん由来の細胞株には、がん幹細胞がほとんど含まれていないため(<0.5%, Chen, X. et al., J Hepatol., 2011, 55: 838-845)、がん幹細胞を単離することは困難とされていた。そこで、本発明の無血清培地を用いてSK−HEP−1細胞株から肝がん幹細胞を単離できるかどうかを解析した。
SK−HEP−1細胞株の生細胞数をトリパンブルー染色より計測し、1.0x10個/mlとなるように上記実施例1で作製した無血清培地に懸濁した後、培養シャーレに播種し、37℃、5% CO条件下で培養した。なお、コントロールとして血清含有培地を用いた。上記実施例1で作製した無血清培地を用いた場合、培養後3日目には、肝がん幹細胞からなる細胞塊が形成されることが明らかとなった(図4の右図)。他方、血清含有培地を用いた場合、SK−HEP−1肝がん細胞は接着し、細胞塊は形成されなかった(図4の左図)。この結果は、本発明の無血清培地を用いると、がん幹細胞がほとんど含まれていない、SK−HEP−1などの低分化型肝がん由来の細胞株からもがん幹細胞を単離できることを示している。
7.単離した肝がん幹細胞の抗がん剤耐性能の解析
がん幹細胞は、がん細胞と比較して、抗がん剤などの薬剤に対して高い耐性能を有することが知られている。そこで、本発明の無血清培地を用いて単離した肝がん幹細胞が高い抗がん剤耐性能を有するかどうかを解析した。実施例6で示した方法によりSK−HEP−1細胞株を用いて肝がん幹細胞からなる細胞塊を単離した後、1.0x10個の細胞を96ウェルプレートに播種し、3日後に抗がん剤(5−FU、CDDP、又はNaB)を添加した。抗がん剤添加から24時間後にMTS試薬(CellTiter 96 AQueous One Solution Cell Proliferation Assay、Promega社製)を添加し、さらに2時間後に490 nmでの吸光度を測定し、生存率を評価した。なお、コントロールとして血清含有培地を用いて培養したSK−HEP−1細胞株を用いた。その結果、上記3種類の抗がん剤(5−FU、CDDP、及びNaB)いずれを用いた場合においても、肝がん幹細胞からなる細胞塊は、コントロールのSK−HEP−1肝がん細胞よりも生存率が高かった(図5)この結果は、本発明の無血清培地を用いて単離した肝がん幹細胞は、がん幹細胞に特徴的な抗がん剤などの薬剤に対して高い耐性能を有することを示している。
8.単離した肝がん幹細胞のがん幹細胞マーカー因子及びEMTに関与する因子のmRNAの発現の解析
次に、本発明の無血清培地を用いて単離した肝がん幹細胞について、がん幹細胞マーカー因子として知られている4種類の因子(3種類のABCトランスポーター[ABCB1、ABCC1、及びABCG2]とALDH1A1)のmRNAの発現レベルが亢進しているかどうかを定量PCRにより解析した。また、がん細胞が浸潤や転移するときに、上皮細胞から間葉系の細胞に形質転換する現象(EMT)が知られているが、かかるEMTに関与する因子(TGFβ1)の発現レベルについてもあわせて解析した。実施例2で示した方法でSK−HEP−1肝がん細胞由来の肝がん幹細胞からなる細胞塊を単離した後、TRIzol Reagent(Life Technologies社製)とPureLink Micro-to-Midi Total RNA Purification Kit(Life Technologies社製)を用いて全RNAを精製し、さらにPrimeScript RT reagent Kit(TaKaRa Bio社製)を用いてcDNAを合成した。合成したcDNAを鋳型として、LightCycler 480 Probe Master(Roche社製)及びLightCycler480 System II(Roche社製)を用いて定量PCRを行った。なお、コントロールとして血清含有培地を用いて培養したSK−HEP−1肝がん細胞株由来のRNAを用いて解析を行った。その結果、肝がん幹細胞からなる細胞塊は、SK−HEP−1肝がん細胞と比べ、ABCB1、ABCC1、ABCG2、ALDH1A1、及びTGFβ1のmRNAの発現量が亢進していることが明らかとなった(ABCB1;5.7倍、ABCC1;1.8倍、ABCG2;5.0倍、ALDH1A1;4.6倍、TGFβ1;3.0倍)(図6)。さらに、がん幹細胞マーカー因子として知られている2種類の因子(PROM1及びNANOG)やEMTに関与する4種類の因子(FN1、VIM、TWIST2、及びSNAI3)についても同様に解析したところ、肝がん幹細胞からなる細胞塊は、SK−HEP−1肝がん細胞と比べ、かかる6種類の因子全てのmRNAの発現量が亢進していることが明らかとなった(PROM1;6.6倍、NANOG;5.0倍、FN1;2.8倍、VIM;2.3倍、TWIST2;2.2倍、SNAI3;3.1倍)(図7)。これらの結果は、本発明の無血清培地を用いて単離した肝がん幹細胞は、がん幹細胞に特徴的ながん幹細胞マーカー因子が高発現していることを示しているとともに、EMT関連因子の発現レベルについても亢進が認められたことから、がん幹細胞はEMTにより形成された可能性も示唆している。
本発明は、消化器がんの治療薬の開発に資するものである。

Claims (9)

  1. 血清を含有しない動物細胞培養用基礎培地に、神経生存因子−1(NSF−1)を添加してなることを特徴とする消化器系がん幹細胞を培養するための無血清培地。
  2. トランスフェリン、インスリン、プトレシン、プロゲステロン、上皮成長因子(EGF)、塩基性繊維芽細胞増殖因子(Basic FGF)、及び白血病抑制因子(LIF)をさらに添加してなることを特徴とする、請求項1記載の無血清培地。
  3. 亜セレン酸又はその塩、ヘパリン、及びN−アセチルシステインをさらに添加してなることを特徴とする、請求項1又は2記載の無血清培地。
  4. 血清を含有しない動物細胞培養用基礎培地が、グルコース添加DMEM/F12であることを請求項1〜3のいずれか記載の無血清培地。
  5. 以下の工程(a)及び(b)を備えたことを特徴とする消化器系がん幹細胞の増殖方法。
    (a)消化器系がん細胞を、請求項1〜4のいずれか記載の無血清培地中で浮遊培養し、消化器系がん幹細胞の細胞塊(Sphere)を形成させる工程;
    (b)前記細胞塊を単離し、単離した細胞塊を、細胞接着分子をコーティングした培養器を用いて前記無血清培地中で接着培養することにより、消化器系がん幹細胞を増殖させる工程;
  6. 細胞接着分子が、ラミニンであることを特徴とする請求項5記載の増殖方法。
  7. 工程(b)の後に、無血清培地の一部を、新しい無血清培地で置換して培養を継続する工程(C)を備えたことを特徴とする請求項5又は6記載の増殖方法。
  8. 少なくとも一月以上増殖し続けたことを特徴とする消化器系がん幹細胞の集団。
  9. 少なくとも三月以上増殖し続けたことを特徴とする請求項8記載の消化器系がん幹細胞の集団。
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