JP2010202943A - 金属コロイド粒子凝集体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電性が高く、緻密な硬質皮膜を形成できる金属ナノ粒子を含む金属コロイド粒子凝集体および、その簡便な製造方法並びに金属ナノ粒子ペーストの提供。
【解決手段】金属ナノ粒子(A)と分散剤(B)とを含む金属コロイド粒子の凝集体において、前記分散剤(B)を、窒素原子を有する基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも一種の官能基を有する凝集助剤(B1)と、高分子分散剤(B2)とで構成する。この金属コロイド粒子の凝集体は、凝集助剤(B1)及び/又はその前駆体と、高分子分散剤(B2)との存在下、溶媒中で金属化合物を還元して金属コロイド粒子を生成するとともに、金属コロイド粒子の凝集体を沈殿物として生成させる工程、この工程で生成した凝集体を分離して回収する工程により製造される。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属ナノ粒子(銀ナノ粒子など)を含む金属コロイド粒子の凝集体及びその製造方法並びに前記凝集体を含む金属ナノ粒子ペーストに関する。
金属ナノ粒子(又は金属コロイド粒子)は、非線形光学特性などの物性を有し、バルクや金属原子とは異なる性質を有することが知られており、電気・通信分野などの多様な分野への応用が期待されている。金属ナノ粒子の製造方法の一つとして、液相法が知られている。液相法は、溶液中において、金属化合物を、この金属化合物の保護コロイドに成りうる化合物(又は分散剤)の存在下で還元する方法であり、簡便である上に大量生産にも適している。
液相法での製造方法によって金属コロイド溶液を調製する技術として、特許第3594803号公報(特許文献1)には、貴金属又は銅の化合物を、溶媒に溶解し、高分子量顔料分散剤を添加した後、さらにアミンを添加することにより、貴金属又は銅に還元する貴金属又は銅のコロイド溶液の製造方法が開示されている。この文献では、金や銀などの金属コロイド粒子のプラズモン共鳴による発色を利用し、彩度及び着色性の高い塗料組成物を調製することを目的としており、得られるコロイド溶液(ヒドロゾル又はオルガノゾル)は、赤色や黄色の鮮やかな彩色を発色するとともに、3ヶ月貯蔵しても、色の変化や沈殿の生成がなく、極めて安定である。さらに、この溶液に樹脂を添加して塗料を調製して塗膜を形成しても、前記彩色を塗膜に実現できる。特に、この文献では、このような分散安定性を維持するために、高分子量顔料分散剤の含有量及び配合量は、貴金属又は銅100重量部に対して50〜1000重量部であることが記載されている。
しかし、この金属コロイド溶液は、分散安定性が高いため、溶液から金属コロイド粒子を取り出すためには、限外ろ過などの精密な精製作業が必要であり、生産性が低い。さらに、この文献では、プラズモン共鳴による発色を目的とするため、ナノサイズの金属コロイド粒子が凝集することを否定している。
一方、金属コロイド溶液を用いて導電性被膜を形成する技術として、特開2007−301461号公報(特許文献2)には、金属コロイド粒子、数平均分子量7000〜50万の高分子量顔料分散剤及び数平均分子量180〜5000の低分子量顔料分散剤を含有する溶液を製造する工程(1)と、前記工程(1)で製造された溶液中の低分子量顔料分散剤の全部又は一部を除去する工程(2)とを含む金属コロイド溶液の製造方法が開示されている。この文献では、コロイド溶液の分散安定性を維持しつつ、高分子量顔料分散剤の使用量を減少して固形分中の金属濃度を向上させるため、高分子量顔料分散剤の使用量は、金属化合物中の金属質量100質量部に対して1〜150質量部(固形分質量比)であることが記載されている。低分子量顔料分散剤としては、アクリル系単位や炭化水素で構成された疎水性部分と、ポリオキシエチレン単位で構成された親水性部分とを含む共重合体が例示され、高分子量顔料分散剤に対して、高分子量顔料分散剤/低分子量顔料分散剤=1/20〜10/1(質量比)で使用されると記載されている。なお、この文献の実施例では、前記範囲にはない大量の低分子量顔料分散剤が使用されている。さらに、工程(2)では、金属コロイド溶液の安定性に悪影響を及ぼす残存分散剤、雑イオン、塩、アミンを限外ろ過により除去することが記載されている。
しかし、この方法でも、低分子量顔料分散剤を含む余剰成分を限外ろ過により精製する必要があるため、生産性が低い。さらに、低分子量顔料分散剤を使用せずに、高分子量分散剤を銀100質量部に対して約16質量部使用した例では、銀が凝集して沈殿したことが記載されている。さらに、低分子量顔料分散剤を使用せずに、高分子量分散剤を銀100質量部に対して約19質量部使用した例では、銀コロイド粒子は分散するものの、得られる被膜の導電性が低いことが記載されている。
さらに、特許第4070741号公報(特許文献3)には、貴金属又は銅の化合物を、溶媒に溶解し、高分子量顔料分散剤を添加した後、貴金属又は銅に還元して前記高分子量顔料分散剤で保護された貴金属又は銅のコロイド粒子を形成し、その後、前記溶媒を除去することにより、固体ゾルとする貴金属又は銅の固体ゾルの製造方法が開示されている。この文献でも、固体ゾルが塗料や樹脂に添加された場合であっても凝集を防止するため、高分子量顔料分散剤の含有量は、貴金属又は銅100重量部に対して、20〜1000重量部であると記載されている。
しかし、この方法で得られる固体ゾルは、良溶媒で容易に再分散可能でプラズモン吸収を示す沈殿物であり、適度な凝集力を有していないため、焼成膜を形成した場合に、緻密で導電性の高い焼結膜を形成できない。
特許第3594803号公報(請求項1、段落[0012][0037][0047]、実施例) 特開2007−301461号公報(特許請求の範囲、段落[0049][0091]、実施例) 特許第4070741号公報(特許請求の範囲、段落[0009][0034])
従って、本発明の目的は、簡便な方法で、導電性が高く、緻密な硬質被膜を形成できる金属ナノ粒子を含む金属コロイド粒子凝集体及びその製造方法並びに金属ナノ粒子ペーストを提供することにある。
本発明の他の目的は、低温(特に150℃以下程度の低温)であっても、高い導電性を有する焼結層又は焼結パターンを効率よく形成できる金属コロイド粒子凝集体及びその製造方法並びに金属ナノ粒子ペーストを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、低温及び低圧で焼成しても強固に金属などの無機素材を接合できる金属コロイド粒子凝集体及びその製造方法並びに金属ナノ粒子ペーストを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、特定の凝集助剤及び/又はその前駆体と高分子分散剤との存在下、金属化合物を還元して金属ナノ粒子を生成させると、液相中で、金属コロイド粒子が容易に凝集体として調製可能であり、さらにこの凝集体は、ナノメータサイズの金属粒子が適度に凝集しているため、導電性が高く、緻密な硬質被膜を形成できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の金属コロイド粒子凝集体は、金属ナノ粒子(A)と、分散剤(B)とで構成された金属コロイド粒子の凝集体であって、前記分散剤(B)が、窒素原子を有する基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも一種の官能基を有する凝集助剤(B1)と、高分子分散剤(B2)とで構成されている。前記分散剤(B)の割合は、前記金属ナノ粒子(A)100重量部に対して、1〜10重量部程度であり、かつ凝集助剤(B1)と、高分子分散剤(B2)との割合が、前者/後者=90/10〜1/99程度であってもよい。前記凝集助剤(B1)の炭素数は1〜10程度であってもよい。
本発明には、窒素原子を有する基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも一種の官能基を有する凝集助剤(B1)及び/又はその前駆体と、高分子分散剤(B2)との存在下、溶媒中で金属化合物を還元して金属コロイド粒子を生成するとともに、金属コロイド粒子の凝集体を沈殿物として生成させる工程、この工程で生成した凝集体を分離して回収する工程を含む前記凝集体の製造方法も含まれる。この方法において、凝集助剤(B1)及び/又はその前駆体を還元剤として用いてもよい。さらに、反応液から上澄み液を除去して回収した後、洗浄溶媒で洗浄して凝集体を精製してもよく、さらにろ過により凝集体を精製してもよい。
本発明には、前記金属コロイド粒子の凝集体及び有機溶媒で構成された金属ナノ粒子ペーストも含まれる。本発明の金属ナノ粒子ペーストは、さらに体積平均粒子径0.2〜10μmの金属フィラーを含んでいてもよい。本発明には、基材の上に前記金属ナノ粒子ペーストで被膜を形成する工程、及びこの被膜を焼成処理する工程を含む導電性基材の製造方法も含まれる。さらに、本発明の金属ナノ粒子ペーストは、無機素材用接合剤であってもよい。
本発明では、還元処理を利用した液相法で得られる金属コロイド粒子を凝集体として用いることにより、簡便な方法で、導電性が高く、緻密な硬質被膜を形成できる。また、この凝集体を含む金属ナノ粒子ペーストは、低温焼成が可能であって、各種用途に使用でき、例えば、高い導電性を有する焼結層又は焼結パターンを効率よく形成でき、また金属などの無機素材を強固に接合できる。
[金属コロイド粒子の凝集体]
本発明の金属コロイド粒子の凝集体は、金属ナノ粒子(A)と、分散剤(B)とで構成された金属コロイド粒子の凝集体である。
(A)金属ナノ粒子
金属ナノ粒子(A)を構成する金属(金属原子)としては、例えば、遷移金属(例えば、チタン、ジルコニウムなどの周期表第4A族金属;バナジウム、ニオブなどの周期表第5A族金属;モリブデン、タングステンなどの周期表第6A族金属;マンガンなどの周期表第7A族金属;鉄、ニッケル、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、イリジウム、白金などの周期表第8族金属;銅、銀、金などの周期表第1B族金属など)、周期表第2B族金属(例えば、亜鉛、カドミウムなど)、周期表第3B族金属(例えば、アルミニウム、ガリウム、インジウムなど)、周期表第4B族金属(例えば、ゲルマニウム、スズ、鉛など)、周期表第5B族金属(例えば、アンチモン、ビスマスなど)などが挙げられる。金属は、周期表第8族金属(鉄、ニッケル、ロジウム、パラジウム、白金など)、周期表第1B族金属(銅、銀、金など)、周期表第3B族金属(アルミニウムなど)及び周期表第4B族金属(スズなど)などであってもよい。なお、金属(金属原子)は、分散剤(B)に対する配位性の高い金属、例えば、周期表第8族金属、周期表第1B族金属などである場合が多い。
金属ナノ粒子(A)は、前記金属単体、前記金属の合金、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、金属炭化物、金属窒化物、金属ホウ化物などであってもよい。これらの金属ナノ粒子(A)は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。金属ナノ粒子(A)は、通常、金属単体粒子、又は金属合金粒子である場合が多い。なかでも、金属ナノ粒子(A)を構成する金属は、少なくとも銀などの貴金属(特に周期表第1B族金属)を含む金属(金属単体及び金属合金)、特に貴金属単体(例えば、銀単体など)であるのが好ましい。
金属ナノ粒子(A)はナノメータサイズである。例えば、本発明の金属コロイド粒子における金属ナノ粒子(A)の数平均粒子径(平均一次粒子径)は、1〜100nm、好ましくは1.5〜80nm、さらに好ましくは2〜70nm、特に3〜50nm程度であってもよく、通常1〜40nm(例えば、2〜30nm)程度であってもよい。
また、本発明の金属コロイド粒子は、粗大粒子をほとんど含んでいなくてもよい。そのため、金属ナノ粒子(A)の最大一次粒子径は、例えば、200nm以下、好ましくは150nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。さらに、金属ナノ粒子(A)(又は金属コロイド粒子)において、一次粒子径が100nm以上の粒子の割合は、金属(又は金属成分)の質量基準で、例えば、10質量%以下(例えば、0〜8質量%程度)、好ましくは5質量%以下(例えば、0.01〜3質量%)、さらに好ましくは1質量%以下(例えば、0.02〜0.5質量%程度)であってもよい。
なお、金属コロイド粒子の粒子径も、通常、前記金属ナノ粒子(A)の粒子径と略同じ粒子径である。
(B)分散剤
分散剤(B)は、金属ナノ粒子表面を被覆していてもよく、金属ナノ粒子表面に対して親和性の又は結合可能な官能基を有する凝集助剤(B1)と、高分子分散剤(B2)とで構成されている。
(B1)凝集助剤(低分子凝集助剤)
凝集助剤(B1)は、金属ナノ粒子に作用して溶媒中で、後述する高分子分散剤によるコロイド粒子の分散性を制御する成分、例えば、低分子の有機化合物であり、かつ金属ナノ粒子に対して物理的又は化学的に親和性を有するか又は結合(水素結合、イオン結合、配位結合などの化学結合など)可能な部位を有する成分であればよい。特に、溶媒中で、金属ナノ粒子の成長(粒径の増大)を抑制しつつ、コロイド粒子の凝集を適度に促進するためには、低分子の有機化合物が金属ナノ粒子の表面に配位して結合するのが好ましい。そのため、好ましい凝集助剤は金属ナノ粒子に配位する親和性化合物又は配位性化合物ということもできる。
凝集助剤(B1)は、通常、金属ナノ粒子に配位可能な官能基(又は金属原子に対する親和性基)を有している。このような官能基としては、ハロゲン原子を有する基などであってもよいが、通常、ヘテロ原子(窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子など)、代表的には、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択された少なくとも1種のヘテロ原子を有する基(官能基)である場合が多い。官能基は、同種又は異種の複数のヘテロ原子を有していてもよい。官能基は塩(ナトリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩など)を形成していてもよい。
なお、本明細書において、「配位可能」「配位性」とは、金属に対して電子供与可能であることを意味し、必ずしも実際に金属原子に配位しなくてもよい。そのため、「配位性化合物」は、電子供与可能な(又は電子供与可能な基を有する)化合物であればよく、金属に対して配位していなくてもよい。
具体的な官能基としては、窒素原子を有する基[アミノ基、置換アミノ基(ジアルキルアミノ基など)、イミノ基(−NH−)、アミド基(−CON<)、シアノ基、ニトロ基、窒素環基(ピリジル基などの5〜8員窒素環基、カルバゾール基、モルホリニル基など)など]、酸素原子を有する基[ヒドロキシル基、エーテル基、カルボキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのC1−6アルコキシ基)、ホルミル基、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、酸素環基(テトラヒドロピラニル基などの5〜8員酸素環基など)など]、硫黄原子を有する基[例えば、チオ基(−S−)、チオール基(−SH)、チオカルボニル基(−SO−)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基などのC1−4アルキルチオ基など)、スルホ基、スルファモイル基、スルフィニル基(−SO−)など]、これらの塩を形成した基などが例示できる。
このような官能基を有する凝集助剤のうち、金属ナノ粒子を被覆する凝集助剤としては、窒素原子を有する基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも一種の官能基を有する化合物が好ましい。このような化合物には、アミン類、アミド類、ヒドロキシ化合物、カルボン酸類などが含まれる。
(アミン類)
アミン類は、モノアミン類、ポリアミン類を含み、さらに第1級〜第3級アミンに分類される。
モノアミン類のうち、第1級アミンとしては、例えば、モノアルキルアミン類[例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン(n−オクチルアミン、2−エチルへキシルアミンなど)、ノニルアミン、デシルアミンなどのC1−10アルキルアミンなど]、アルカノールアミン[例えば、モノエタノールアミン(2−アミノエチルアルコール)、モノプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ブタノールアミン、ヘキサノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールなどのモノC2−6アルカノールアミン又はこれらのエチレンオキサイド付加体など]、シクロアルキルアミン類(例えば、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミンなどのC4−10シクロアルキルアミン)、アリールアミン類(例えば、アニリン、トルイジン、アニシジン、フェネチジン、アミノナフタレンなどのC6−10アリールアミン)、アラルキルアミン類(例えば、ベンジルアミンなど)などが挙げられる。
第2級アミンとしては、例えば、ジアルキルアミン類(例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミンなどのジC1−10アルキルアミンなど)、アルキルアルカノールアミン類(例えば、N−メチルエタノールアミンなどのN−C1−3アルキルモノC2−6アルカノールアミン又はこれらのエチレンオキサイド付加体など)、ジアルカノールアミン(例えば、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミンなどのジC2−6アルカノールアミン又はこれらのエチレンオキサイド付加体など)、アルキルシクロアルキルアミン類(例えば、メチルシクロヘキシルアミンなど)、アルキルアリールアミン類(例えば、N−メチルアニリンなど)、アルキルアラルキルアミン類(例えば、N−メチルベンジルアミンなど)、環状アミン類(例えば、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、モルホリンなどの5〜8員環状アミンなど)などが挙げられる。
第3級アミンとしては、例えば、トリアルキルアミン類(例えば、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンなどのトリC1−10アルキルアミンなど)、アルキルアルカノールアミン類[例えば、N−メチルジエタノールアミンなどのN−C1−3アルキルジC2−10アルカノールアミン又はこれらのエチレンオキサイド付加体、N,N−ジメチルエタノールアミン(ジメチルアミノエタノール)、ジメチルアミノプロパノールなどのジC1−3アルキルモノC2−10アルカノールアミン又はこれらのエチレンオキサイド付加体など]、トリアルカノールアミン(例えば、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのトリC2−10アルカノールアミン又はこれらのエチレンオキサイド付加体など)、シクロアルキルジアルキルアミン類(例えば、シクロヘキシルジメチルアミンなど)、ジアルキルアリールアミン類(例えば、N,N−ジメチルアニリンなど)、ジアルキルアラルキルアミン類(例えば、N,N−ジメチルベンジルアミンなど)、環状アミン類(例えば、ピリジン、ピコリン、キノリン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジンなどの5〜8員環状アミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−1など)などが挙げられる。
ポリアミン類としては、前記モノアミン類に対応するポリアミン類、例えば、鎖状第1級ポリアミン[例えば、アルカンジアミン類(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのC2−10アルカンジアミンなど)、ポリアルキレンポリアミン類(又はポリアルキレンイミン、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタアミンなどのポリC2−4アルキレンポリアミン)、アルカノールアミン(2−(3−アミノプロピルアミノ)エタノールなど)など]、鎖状第2級ポリアミン(例えば、N,N′−ジメチルエチレンジアミン、N,N′−ジメチル−1,3−ジアミノプロパンなどのアルカンアミンなど)、鎖状第3級ポリアミン(例えば、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパンなどのアルカンアミンなど)、芳香族第1級ポリアミン(例えば、キシリレンジアミンなど)、芳香族第2級ポリアミン(例えば、N,N′−ジメチルキシリレンジアミンなど)、芳香族第3級ポリアミン(例えば、N,N,N′,N′−テトラメチルキシリレンジアミンなど)、複素環式第2級ポリアミン(例えば、ピペラジン、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、トリエチレンジアミンなど)、複素環式第3級ポリアミン(ピリミジン、N,N′−ジメチルピペラジンなど)などが挙げられる。
これらのアミン類は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。これらのアミン類のうち、C1−10アルキルアミン(例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、オクチルアミンなど)、モノC2−4アルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミンなど)、ジC1−3アルキルアミン(例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミンなど)、N−C1−3アルキルモノC2−6アルカノールアミン(例えば、N−メチルエタノールアミンなど)、ジC2−4アルカノールアミン(例えば、ジエタノールアミンなど)、トリC1−3アルキルアミン(例えば、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリエチルアミンなど)、N−C1−3アルキルジC2−6アルカノールアミン(例えば、N−メチルジエタノールアミンなど)、ジC1−3アルキルモノC2−6アルカノールアミン(例えば、N,N−ジメチルエタノールアミンなど)などが好ましい。さらに、これらのアミン類のうち、親水性又は水溶性アミンが特に好ましい。
(アミド類)
アミド類としては、例えば、ホルムアミド、アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプリル酸アミドなどのC1−10アシルアミド類、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルプロピオン酸アミド、N−メチル酪酸アミド、N−メチルカプリル酸アミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオン酸アミド、N,N−ジメチル酪酸アミド、N,N−ジメチルカプリル酸アミドなどのモノ又はジC1−4アルキルC1−10アシルアミド類、シュウ酸アミド、マロンアミド、コハク酸アミド、グルタール酸アミド、アジピン酸アミド、ピメリン酸アミド、コルク酸アミド、アゼライン酸アミド、セバシン酸アミド、ドデカンニ酸アミドなどのC2−10脂肪族ジカルボン酸アミドなどが挙げられる。
これらのアミド類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのアミド類のうち、アセトアミド、プロピオン酸アミドなどのC1−4アシルアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルプロピオン酸アミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのモノ又はジC1−2アルキルC1−4アシルアミドが好ましい。さらに、これらのアミド類のうち、親水性又は水溶性アミドが特に好ましい。
(ヒドロキシ化合物)
ヒドロキシ化合物としては、例えば、アルカノール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、オクタデカノールなどのC1−20アルカンモノオール)、シクロアルカノール類(例えば、シクロヘキサノールなど)、アルカンジオール類(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどのC2−6アルカンジオールなど)、ポリアルキレングリコール類(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリC2−4アルキレングリコールなど)、アラルキルアルコール類(例えば、ベンジルアルコールなど)、多価アルコール類(例えば、グリセリン、ポリグリセリンなど)などが挙げられる。
これらのヒドロキシ化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのヒドロキシ化合物のうち、C1−4アルカノール(例えば、メタノール、エタノールなど)、C2−4アルカンジオール(例えば、エチレングリコールなど)、グリセリンなどが好ましい。さらに、さらに、これらのヒドロキシ化合物のうち、親水性又は水溶性のヒドロキシ化合物が特に好ましい。
(カルボン酸類)
カルボン酸類には、例えば、モノカルボン酸、ポリカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸(又はオキシカルボン酸)、フェノール性水酸基、アミノカルボン酸を有するカルボン酸などが含まれる。
モノカルボン酸としては、例えば、脂肪族モノカルボン酸[飽和脂肪族モノカルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプリル酸、カプロン酸、ヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、シクロヘキサンカルボン酸、デヒドロコール酸、コラン酸などのC1−34脂肪族モノカルボン酸、好ましくはC1−30脂肪族モノカルボン酸など)、不飽和脂肪族モノカルボン酸(例えば、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、アビエチン酸などのC4−34不飽和脂肪族カルボン酸、好ましくはC10−30不飽和脂肪族カルボン酸)]、芳香族モノカルボン酸(安息香酸、ナフトエ酸などのC7−12芳香族モノカルボン酸など)などが挙げられる。
ポリカルボン酸としては、例えば、脂肪族ポリカルボン酸[例えば、脂肪族飽和ポリカルボン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などのC2−14脂肪族飽和ポリカルボン酸、好ましくはC2−10脂肪族飽和ポリカルボン酸など)、脂肪族不飽和ポリカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ソルビン酸、テトラヒドロフタル酸などのC4−14脂肪族不飽和ポリカルボン酸、好ましくはC4−10脂肪族不飽和ポリカルボン酸など)など]、芳香族ポリカルボン酸(例えば、フタル酸、トリメリット酸などのC8−12芳香族ポリカルボン酸など)などが挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては、ヒドロキシモノカルボン酸[脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸(例えば、グリコール酸、乳酸、オキシ酪酸、グリセリン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、12−オキソケノデオキシコール酸、グリココール酸、リトコール酸、ヒオデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、アポコール酸、タウロコール酸などのC2−50脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸、好ましくはC2−34脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸、さらに好ましくはC2−30脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸など)、芳香族ヒドロキシモノカルボン酸(サリチル酸、オキシ安息香酸、没食子酸などのC7−12芳香族ヒドロキシモノカルボン酸など)など]、ヒドロキシポリカルボン酸[脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸(例えば、タルトロン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸などのC2−10脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸など)など]などが挙げられる。
フェノール性水酸基を有するカルボン酸としては、例えば、サリチル酸、オキシ安息香酸、プロトカテチュ酸、ゲンチシン酸、レゾルシン酸、オルセリン酸、カフェー酸、ウンペル酸、没食子酸、オキシフタル酸、タンニン酸などが挙げられる。
アミノカルボン酸としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、アミノヘプタン酸、アミノノナン酸などのC2−10アミノカルボン酸、N−メチルアミノ酢酸、N,N−ジメチルアミノ酢酸、N,N−ジメチルアミノプロピオン酸、N,N−ジメチルアミノ酪酸などのC1−4アルキルC2−10アミノカルボン酸などが挙げられる。
なお、これらのカルボン酸は、塩を形成していてもよく、無水物、水和物などであってもよい。なお、カルボン酸は、前記と同様に、塩(特に、アミンとの塩などの塩基性化合物との塩)を形成していない場合が多い。
これらのカルボン酸類は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。これらのカルボン酸類のうち、C1−24飽和脂肪族モノカルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸など)、C4−24不飽和脂肪族モノカルボン酸(例えば、リノール酸、オレイン酸など)、C10−34縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸(例えば、コール酸など)、C10−34縮合多環式脂肪族カルボン酸(例えば、デヒドロコール酸、コラン酸など)、C2−10脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸(例えば、グリコール酸、乳酸、オキシ酪酸など)、C2−10脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸(例えば、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸など)、C2−6アミノカルボン酸(例えば、グリシン、アラニンなど)、C1−4アルキルC2−6アミノカルボン酸(例えば、N,N−ジメチルアミノ酢酸、N,N−ジメチルアミノプロピオン酸など)などが好ましい。さらに、これらのカルボン酸類のうち、親水性又は水溶性カルボン酸が特に好ましい。
凝集助剤(B1)の分子量は、例えば、1000以下(例えば、46〜900程度)、好ましくは800以下(例えば、50〜500程度)、さらに好ましくは300以下(例えば、55〜200程度)であってもよい。
また、凝集助剤(B1)のpKa値は、例えば、1以上(例えば、1〜10程度)、好ましくは2以上(例えば、2〜8程度)程度であってもよい。
凝集助剤(B1)は、同種の化合物だけでなく、異種の化合物の組み合わせであってもよいが、カルボン酸のカルボキシル基が金属ナノ粒子との親和性が高いため、少なくともカルボン酸類を含むのが好ましい。カルボン酸類は、単独であってもよく、他の凝集助剤、例えば、アミン類(例えば、ジメチルアミンやオクチルアミンなどのC1−10アルキルアミン、N−メチルジエタノールアミンやN,N−ジメチルエタノールアミンなどのC1−3アルキルC2−6アルカノール第3級アミンなど)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミドなど)、ヒドロキシ化合物(例えば、エタノールなどのC1−4アルカノールなど)などとの組み合わせであってもよい。
さらに、凝集助剤(B1)は、コロイド粒子の製造工程において、生成するコロイド粒子が溶媒中で凝集し、かつ焼結膜の形成において、低温で分解して焼結サイトを形成できる点から、炭素数が1〜18、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜6(特に1〜4)程度が好ましい。このような凝集助剤は、焼成温度で金属粒子から脱離又は消失し、焼結サイトを形成することにより金属膜の連続性及び導電性を向上できる。
具体的には、金属ナノ粒子の表面と親和性が高く、凝集性及び焼結性にも優れる点から、前記炭素数を有するカルボン酸類、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸などのC1−10アルカン酸(アルカンカルボン酸)が好ましく、酢酸やプロピオン酸などのC1−6アルカン酸(好ましくはC1−4アルカン酸、さらに好ましくはC2−3アルカン酸、特に酢酸)がより好ましい。特に、酢酸などのC1−4アルカン酸を用いると、金属コロイド粒子が適度に凝集されているためか、燃焼時の割れやボイドの発生が抑制され、緻密で硬質な焼成膜を形成できる。
凝集助剤(B1)の沸点は、例えば、200℃以下が好ましく、例えば、80〜180℃、好ましくは90〜170℃、さらに好ましくは100〜150℃(特に110〜130℃)程度であってもよい。
(B2)高分子分散剤
本発明では、分散剤(B)を、前記凝集助剤(B1)と高分子分散剤(B2)とで組み合わせて構成する。このような組み合わせで分散剤(B)を構成することにより、粗大粒子が著しく少ない金属ナノ粒子を含む金属コロイド粒子が得られる。特に、前記分散剤(B)の組み合わせにより、金属ナノ粒子の割合を大きくでき、還元反応工程において、金属コロイド粒子を安定して生成できるとともに、得られた金属コロイド粒子は、生成後は速やかに凝集して沈殿するため、容易に反応液から取り出すことができる。前記組み合わせにより、このような優れた金属コロイド粒子が得られ、かつ凝集する理由は定かではないが、以下のような理由が考えられる。
まず、高分子分散剤(B2)は、その構造から、比較的大きな粒子を分散安定化する効果に優れているが、比較的小さな粒子の安定化効果が十分ではないため、金属ナノ粒子原料の濃度を大きくすると、生成する粒子を十分に安定化できなくなる。一方、このようなナノ粒子の合成初期段階に生成する比較的小さい粒子を、前記凝集助剤(B1)が分散安定化する。このような凝集助剤(B1)と高分子分散剤(B2)との相乗的な作用により、金属ナノ粒子の原料が高濃度であっても金属ナノ粒子を生成できるものと考えられる。
また、本発明では、分散剤(B)の割合を比較的少量にしているため、生成した比較的大きな金属コロイド粒子の分散安定性を維持することができず、凝集助剤(B1)の結合サイトがウイークポイントになって、金属コロイド粒子が生成するとともに、凝集が開始すると考えられる。特に、本発明では、金属コロイドの粒子の凝集は起こるものの、特定の割合で組み合わせた凝集助剤(B1)と高分子分散剤(B2)とが金属ナノ粒子を適度に被覆するため、金属ナノ粒子の成長は適度に抑制され、数百nm単位の金属粒子は生成しない。従って、本発明では、このような作用機構によって、ナノメータサイズの金属コロイド粒子を沈殿物として容易に取り出すことができると推定できる。
さらに、本発明では、金属コロイド粒子は、凝集しているものの、金属粒子はナノメータサイズを保持しているため、焼成により、導電性が高く、硬質で緻密な焼結膜を形成できる。特に、金属コロイド粒子が焼成前から凝集してナノ粒子が近接しているためか、焼成膜の割れやボイドの発生も抑制できる。すなわち、前記組み合わせにより、金属ナノ粒子の表面には、高分子分散剤(B2)の吸着部、前記凝集助剤(B1)の吸着部が形成されている。そして、前記高分子分散剤(B2)の吸着部は、強い表面保護能力により安定化されている一方、凝集助剤(B1)の吸着部は金属ナノ粒子表面から脱離し易く、低温焼結の反応サイトとしての役割を担う。このような反応サイトは、室温程度の雰囲気においては高分子分散剤(B2)の作用により保護されているが、比較的低温での焼成温度(例えば、約50℃以上)においてナノ粒子間で焼結反応を開始し、結果として低温焼成でも低抵抗の金属膜などを得ることができるようである。特に、焼成温度が高くなれば、さらに高分子分散剤の保護能力よりも粒子間衝突や焼結性が高くなるため、導電性はバルクの金属並になる。また、高分子分散剤は、基材に対する密着性を向上させる効果があるだけでなく、本発明では基材における高分子分散剤の残存量を小さくできる。従って、本発明では、体積収縮が小さい緻密かつ密着性の高い膜を形成できるため、これらの点も基材に対する密着性に優れるとともに基材に強固に固定され、かつ金属膜の導電性を向上できる要因となっている。
高分子分散剤(又は高分子型分散剤)(B2)としては、両親媒性の高分子分散剤(又はオリゴマー型分散剤)を好適に使用できる。
高分子分散剤としては、通常、塗料、インキ分野などで着色剤の分散に用いられている高分子分散剤が例示できる。このような分散剤には、スチレン系樹脂(スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体など)、アクリル系樹脂((メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸などの(メタ)アクリル酸系樹脂など)、水溶性ウレタン樹脂、水溶性アクリルウレタン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(ニトロセルロース;エチルセルロースなどのアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースなどのアルキル−ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシアルキルセルロースなどのセルロースエーテル類など)、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール(液状のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)、天然高分子(ゼラチン、デキストリン、アラビヤゴム、カゼインなど)、ポリエチレンスルホン酸又はその塩、ポリスチレンスルホン酸又はその塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、窒素原子含有高分子化合物[例えば、ポリアルキレンイミン(ポリエチレンイミンなど)、ポリビニルピロリドン、ポリアリルアミン、ポリエーテルポリアミン(ポリオキシエチレンポリアミンなど)などのアミノ基を有する高分子化合物]などが含まれる。
代表的な高分子分散剤(両親媒性の高分子分散剤)としては、親水性モノマーで構成された親水性ユニット(又は親水性ブロック)を含む樹脂(又は水溶性樹脂、水分散性樹脂)が含まれる。
前記親水性モノマーとしては、例えば、カルボキシル基又は酸無水物基含有単量体(アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル系単量体、マレイン酸などの不飽和多価カルボン酸、無水マレイン酸など)、ヒドロキシル基含有単量体(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ビニルフェノールなど)などの付加重合系モノマー;アルキレンオキシド(エチレンオキシドなど)などの縮合系モノマーなどが例示できる。前記縮合系モノマーは、ヒドロキシル基などの活性基(例えば、前記ヒドロキシル基含有単量体など)との反応により、親水性ユニットを形成していてもよい。親水性モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて親水性ユニットを形成していてもよい。
高分子分散剤は、少なくとも親水性ユニット(又は親水性ブロック)を含んでいればよく、親水性モノマーの単独又は共重合体(例えば、ポリアクリル酸又はその塩など)であってもよく、前記例示のスチレン系樹脂やアクリル系樹脂などのように、親水性モノマーと疎水性モノマーとのコポリマーであってもよい。疎水性モノマー(非イオン性モノマー)としては、(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸C1−20アルキル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸シクロアルキル、(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリール、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−フェニルエチルなどの(メタ)アクリル酸アラルキルなど]などの(メタ)アクリル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのスチレン系モノマー;α−C2−20オレフィン(エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセンなど)などのオレフィン系モノマー;酢酸ビニル、酪酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル系モノマーなどが挙げられる。疎水性モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて疎水性ユニットを構成していてもよい。
高分子分散剤がコポリマー(例えば、親水性モノマーと疎水性モノマーとのコポリマー)である場合、コポリマーは、ランダムコポリマー、交互共重合体、ブロックコポリマー(例えば、親水性モノマーで構成された親水性ブロックと、疎水性モノマーで構成された疎水性ブロックとで構成されたコポリマー)、星型ポリマー(又は星型ブロックコポリマー)、くし型コポリマー(又はくし型グラフトコポリマー)などであってもよい。前記ブロックコポリマーの構造は、特に限定されず、ジブロック構造、トリブロック構造(ABA型、BAB型)などであってもよい。また、前記くし型コポリマーにおいて、主鎖は、前記親水性ブロックで構成してもよく、前記疎水性ブロックで構成してもよく、親水性ブロックおよび疎水性ブロックで構成してもよい。
なお、前記のように、親水性ユニットは、アルキレンオキシド(エチレンオキシドなど)で構成された親水性ブロック(ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドなどのポリアルキレンオキシド)などの縮合系ブロックで構成することもできる。親水性ブロック(ポリアルキレンオキシドなど)と疎水性ブロック(ポリオレフィンブロックなど)とは、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合などの連結基を介して結合していてもよい。これらの結合は、例えば、疎水性ブロック(ポリオレフィンなど)を変性剤[不飽和カルボン酸又はその無水物((無水)マレイン酸など)、ラクタム又はアミノカルボン酸、ヒドロキシルアミン、ジアミンなど]で変性した後、親水性ブロックを導入することにより形成してもよい。また、ヒドロキシル基やカルボキシル基などの親水性基を有するモノマー(前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなど)から得られるポリマーと、前記縮合系の親水性モノマー(エチレンオキシドなど)とを反応(又は結合)させることにより、くし型コポリマー(主鎖が疎水性ブロックで構成されたくし型コポリマー)を形成してもよい。
さらに、共重合成分として、親水性の非イオン性モノマーを使用することにより、親水性と疎水性とのバランスを調整してもよい。このような成分としては、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(例えば、数平均分子量200〜1000程度)などのアルキレンオキシ(特にエチレンオキシ)ユニットを有するモノマー又はオリゴマーなどを例示できる。また、親水性基(カルボキシル基など)を変性(例えば、エステル化)することにより親水性と疎水性とのバランスを調整してもよい。
高分子分散剤(B2)は、官能基を有していてもよい。このような官能基としては、例えば、酸基(又は酸性基、例えば、カルボキシル基(又は酸無水物基)、スルホ基(スルホン酸基)など)、塩基性基(例えば、アミノ基など)、ヒドロキシル基などが挙げられる。これらの官能基は、単独で又は2種以上組み合わせて高分子分散剤(B2)が有していてもよい。
これらの官能基のうち、高分子分散剤(B2)は、酸基又は塩基性基、特に、遊離のカルボキシル基を有しているのが好ましい。
また、高分子分散剤(B2)が、酸基(カルボキシル基など)を有している場合、少なくとも一部又は全部の酸基(カルボキシル基など)は、塩(アミンとの塩、金属塩など)を形成していてもよいが、特に、本発明では、カルボキシル基(特に、すべてのカルボキシル基)などの酸基が、塩[特に、塩基性化合物との塩(アミンとの塩又はアミン塩など)]を形成していない高分子分散剤[すなわち、遊離の酸基(特にカルボキシル基)を有する高分子分散剤]を好適に使用できる。
酸基(特に遊離のカルボキシル基)を有する高分子分散剤(B2)において、酸価は、例えば、1mgKOH/g以上(例えば、2〜1500mgKOH/g程度)、好ましくは3mgKOH/g以上(例えば、4〜1200mgKOH/g程度)、さらに好ましくは5mgKOH/g以上(例えば、8〜1000mgKOH/g程度)、特に10mgKOH/g以上(例えば、12〜900mgKOH/g程度)の範囲から選択できる。特に、酸基(特にカルボキシル基)を有する高分子分散剤(B2)が、親水性ユニットおよび疎水性ユニットを有する化合物などである場合、酸価は、1mgKOH/g以上(例えば、2〜100mgKOH/g程度)、好ましくは3mgKOH/g以上(例えば、4〜90mgKOH/g程度)、さらに好ましくは5mgKOH/g以上(例えば、6〜80mgKOH/g程度)、特に7mgKOH/g以上(例えば、8〜70mgKOH/g程度)であってもよく、通常3〜50mgKOH/g(例えば、5〜30mgKOH/g)程度であってもよい。酸基を有する高分子分散剤(B2)において、アミン価は0(又はほぼ0)であってもよい。
なお、高分子分散剤において、上記のような官能基の位置は、特に限定されず、主鎖であってもよく、側鎖であってもよく、主鎖および側鎖に位置していてもよい。このような官能基は、例えば、親水性モノマー又は親水性ユニット由来の官能基(例えば、ヒドロキシル基など)であってもよく、官能基を有する共重合性モノマー(例えば、無水マレイン酸など)の共重合によりポリマー中に導入することもできる。
高分子分散剤(B2)は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、高分子分散剤として、特開平11−80647号公報に記載の高分子分散剤(高分子量顔料分散剤)を使用してもよい。
また、高分子分散剤は、合成したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。以下に、市販の高分子分散剤(又は少なくとも両親媒性の分散剤で構成された分散剤)を具体的に例示すると、ソルスパース13240、ソルスパース13940、ソルスパース32550、ソルスパース31845、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース41090などのソルスパースシリーズ[アビシア(株)製];ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック170、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック184、ディスパービック190、ディスパービック191、ディスパービック192、ディスパービック193、ディスパービック194、ディスパービック2001、ディスパービック2010、ディスパービック2050、ディスパービック2090、ディスパービック2091などのディスパービックシリーズ[ビックケミー(株)製];EFKA−46、EFKA−47、EFKA−48、EFKA−49、EFKA−1501、EFKA−1502、EFKA−4540、EFKA−4550、ポリマー100、ポリマー120、ポリマー150、ポリマー400、ポリマー401、ポリマー402、ポリマー403、ポリマー450、ポリマー451、ポリマー452、ポリマー453[EFKAケミカル(株)製];アジスパーPB711、アジスパーPAl11、アジスパーPB811、アジスパーPB821、アジスパーPW911などのアジスパーシリーズ[味の素(株)製];フローレンDOPA−158、フローレンDOPA−22、フローレンDOPA−17、フローレンTG−700、フローレンTG−720W、フローレン−730W、フローレン−740W、フローレン−745Wなどのフローレンシリーズ[共栄社化学(株)製];ジョンクリル678、ジョンクリル679、ジョンクリル62などのジョンクリルシリーズ[ジョンソンポリマー(株)製]などが挙げられる。
これらのうち、代表的な酸基を有する高分子分散剤には、ポリ(メタ)アクリル酸類[又はポリアクリル酸系樹脂、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸と共重合性単量体(例えば、(メタ)アクリレート、無水マレイン酸など)との共重合体などの(メタ)アクリル酸を主成分とするポリマー、これらの塩(例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩など)など]、ディスパービック190、ディスパービック194などが挙げられる。また、代表的な塩基性基(アミノ基)を有する高分子分散剤には、ポリアルキレンイミン(ポリエチレンイミンなど)、ポリビニルピロリドン、ポリアリルアミン、ポリエーテルポリアミン(ポリオキシエチレンポリアミンなど)などが挙げられる。
高分子分散剤(B2)の数平均分子量は、1000〜1000000(例えば、1200〜800000)の範囲から選択でき、例えば、1500〜500000(例えば、1500〜100000)、好ましくは2000〜80000(例えば、2000〜60000)、さらに好ましくは3000〜50000(例えば、5000〜30000)、特に7000〜20000程度であってもよい。
金属コロイド粒子において、分散剤(B)(凝集助剤(B1)及び高分子分散剤(B2)の総量)の割合は、固形分換算で、金属ナノ粒子(A)100質量部に対して、0.1〜15質量部程度の範囲から選択でき、操作性及び焼結膜の導電性のバランスに優れる点から、例えば、0.5〜12質量部(例えば、0.5〜10質量部)、好ましくは1〜10質量部(例えば、2〜10質量部)、さらに好ましくは3〜8質量部(特に4〜6質量部)程度であってもよい。さらに、高度に緻密で導電性に優れた焼成膜を得る点から、分散剤(B)の割合は、金属ナノ粒子(A)100質量部に対して、例えば、0.5〜5質量部、好ましくは1〜4質量部、さらに好ましくは1.5〜3質量部程度であってもよい。
凝集助剤(B1)と高分子分散剤(B2)との割合(溶媒などを含む場合は固形分の割合)は、例えば、前者/後者(質量比)=99/1〜1/99程度の範囲から選択でき、例えば、90/10〜1/99、好ましくは80/20〜3/97(例えば、70/30〜5/95)、さらに好ましくは50/50〜10/90(特に30/70〜15/85)程度であってもよい。さらに、コロイドの焼結サイトを大きくして、高度に緻密で導電性に優れた焼成膜を得る点から、前者/後者(質量比)=90/10〜10/90、好ましくは70/30〜20/80、さらに好ましくは60/40〜30/70程度であってもよい。凝集助剤(B1)の割合を大きくするためには、還元剤以外に、凝集助剤(特に、アルカンカルボン酸)を配合するのが効果的である。
本発明では、分散剤(B)の割合をこのような範囲にすることにより、前述のように、金属ナノ粒子を含むコロイド粒子を凝集体として得ることができる。
なお、金属コロイド粒子中の凝集助剤(B1)、高分子分散剤(B2)などの割合は、慣用の方法、例えば、熱分析(例えば、熱質量/示差熱同時分析など)により、測定することができる。
(金属コロイド粒子凝集体の特性)
本発明の金属コロイド粒子凝集体は、金属粒子がナノサイズを保持しつつ、各コロイド粒子が適度に凝集している。このような凝集体は、分散剤(B)を介在して金属ナノ粒子が凝集しており、例えば、金属ナノ粒子(A)の表面が分散剤(B)で被覆された金属コロイド粒子同士が、分散剤(B)のうち、主として、凝集助剤(B1)が吸着(又は被覆)した部分がウイークポイントになって引き付け合い、凝集していると推定される。すなわち、本発明の金属コロイド粒子凝集体は、従来の保護コロイドで被覆されたコロイド粒子よりも各金属コロイド粒子が分散剤(B)を介して強固に凝集しており、分散剤(B)(特に高分子分散剤(B2))の良溶媒及び貧溶媒のいずれの溶媒に対しても、機械的撹拌で均一に微分散せず(特に分散剤が親水性の場合、水などの良溶媒に機械的撹拌で分散せず)、超音波処理した場合に、高分子分散剤(B2)の良溶媒(例えば、水)に対して、わずかに分散して茶色〜黄色のプラズモン吸収を示す特性を有している。超音波処理は、例えば、20〜100kHz(特に30〜50kHz)において、10秒〜5時間(好ましくは、1分〜3時間、さらに好ましくは10分〜2時間)程度照射する処理であってもよい。本発明では、金属コロイド粒子のこのような特性により、還元反応に使用する分散剤(B)に対する良溶媒中で、凝集体が沈殿し、容易に金属コロイド粒子を回収できる。
また、本発明の凝集体は、溶媒に分散はしないものの、適度な柔軟性及び離解性又は解こう性を有しているため、分散剤(B)に対して親和性を有する有機溶媒を用いて高濃度で混合すれば、焼成膜を形成するための均一なペーストを調製できる。さらに、金属コロイド粒子は、分散剤(B)が少量で、かつ焼結サイトを形成可能な凝集助剤(B1)を含むとともに、適度にコロイド粒子が凝集しているため、低温焼成であっても、金属ナノ粒子が焼結して緻密で導電性の高い焼結膜を形成できる。
[金属コロイド粒子凝集体の製造方法]
本発明の金属コロイド粒子凝集体は、前記凝集助剤(B1)及び/又はその前駆体と、高分子分散剤(B2)との存在下、溶媒中で、前記金属ナノ粒子(A)に対応する金属化合物を還元して金属コロイド粒子を生成するとともに、金属コロイド粒子の凝集体を沈殿物として生成させる工程、この工程で生成した凝集体を分離して回収する工程を含む製造方法により調製できる。
前記反応工程において、前記金属ナノ粒子(A)に対応する金属化合物は、例えば、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、金属ハロゲン化物、金属酸塩[金属無機酸塩(硫酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩などのオキソ酸塩など)、金属有機酸塩(酢酸塩など)など]などであってもよい。なお、金属塩の形態は、単塩、複塩又は錯塩のいずれであってもよく、多量体(例えば、2量体)などであってもよい。これらの金属化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの金属化合物のうち、金属ハロゲン化物、金属酸塩[金属無機酸塩(硫酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩などのオキソ酸塩など)、金属有機酸塩(酢酸塩など)など]などを使用する場合が多い。なお、これらの金属化合物は、溶媒に溶解又は分散させて(例えば、水溶液などの水系溶媒の溶液の形態で)用いてもよい。
金属化合物の還元剤としては、慣用の成分、例えば、水素化ホウ素ナトリウム類(水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素ナトリウムなど)、水素化アルミニウムリチウム、次亜リン酸又はその塩(ナトリウム塩など)、ボラン類(ジボラン、ジメチルアミノボランなど)、ヒドラジン、ホルマリン、アミン類、アルコール類(ヒドロキシ化合物)、ヒドロキシカルボン酸、フェノール性水酸基を有するカルボン酸などが例示できる。これらの還元剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、還元剤は、凝集体を構成する凝集助剤(B1)又はその前駆体であってもよい。すなわち、還元剤として、凝集助剤(B1)又は前駆体を使用し、その残余(余剰)物が凝集体の分散剤(B)を構成してもよく、またその分解物又は誘導体が凝集体の分散剤(B)を構成してもよい。このような還元剤としては、例えば、前記凝集助剤(B1)で記載のアミン類、ヒドロキシ化合物、ヒドロキシカルボン酸、フェノール性水酸基を有するカルボン酸などが挙げられる。
これらの還元剤のうち、安全で還元力(還元速度)が強い点から、3級アミン(例えば、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリエチルアミンなどのトリC1−3アルキルアミンなど)が好ましく、さらに余剰成分又は分解成分が凝集体の凝集助剤(B1)として機能することが可能であり、かつ溶媒(特に水系溶媒)に対する分散性が高い点から、アルキルアルカノール第3級アミン類(例えば、N−メチルジエタノールアミンなどのN−C1−3アルキルジC2−6アルカノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンなどのジC1−3アルキルモノC2−6アルカノールアミン)が特に好ましい。例えば、還元剤がジメチルアミノエタノールである場合、還元反応の終了後、余剰のジメチルエタノールアミンの他、分解生成物として、酢酸などのカルボン酸、エタノールなどのアルコール、アルキルアミン、ジメチルホルムアミドなどのアルキルホルムアミド、アルキルアミノカルボン酸、硝酸塩、硝酸イオン又水酸化物イオンとの錯体などが生成し、金属ナノ粒子に吸着又は結合すると推定できる。なお、本発明では還元剤として、凝集助剤(B1)又は前駆体を使用した場合であっても、さらにカルボン酸などの凝集助剤(B1)を配合してもよい。特に、還元剤としてアミン類を使用した場合、酢酸などの低分子カルボン酸は、金属ナノ粒子に対する吸着性が強く、還元剤由来の凝集助剤よりも優先的に金属ナノ粒子に吸着し、優れた凝集性や焼成膜の特性を発現できると推定される。
還元剤の使用量は、金属原子換算で前記金属化合物1当量(又は1モル)に対して、1〜30モル(例えば、1.2〜20モル)、好ましくは1.5〜15モル、さらに好ましくは2〜10モル程度であってもよく、通常1〜5モル程度であってもよい。
還元反応は、慣用の方法、例えば、温度10〜75℃(例えば、15〜50℃、好ましくは20〜35℃)程度で行うことができる。反応系の雰囲気は、空気、不活性ガス(窒素ガスなど)であってもよく、還元性ガス(水素ガスなど)を含む雰囲気であってもよい。また、反応は、通常、攪拌下(又は攪拌しながら)で行ってもよい。
高分子分散剤(B2)の配合量は、凝集体における割合が前記範囲にあれば特に限定されないが、金属化合物の金属100質量部に対して、例えば、0.1〜10質量部(例えば、0.1〜7.5質量部)、好ましくは0.5〜8質量部、さらに好ましくは1〜7.5質量部(特に3〜7質量部)程度であってもよい。
凝集助剤(B1)の配合量も、凝集体における割合が前記範囲にあれば特に限定されず、還元剤として凝集助剤を使用するか否かに応じて選択できるが、例えば、金属化合物の金属100質量部に対して、例えば、100質量部以下、好ましくは0.1〜50質量部、さらに好ましくは1〜40質量部(特に10〜30質量部)程度であってもよい。
反応溶媒としては、還元剤や分散剤(B)の種類に応じて、極性溶媒(水溶性溶媒)であっても、疎水性溶媒(非水溶性溶媒)であってもよい。
極性溶媒には、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのC1−4アルカノールなど)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなど)、アミド類(ホルムアミド、アセトアミドなどのアシルアミド類、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド,N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのN−モノ又はN,N−ジC1−4アシルアミド類など)、ケトン類(アセトンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、有機カルボン酸類(酢酸など)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのC1−4アルキルセロソルブ類など)、セロソルブアセテート類(エチルセロソルブアセテートなどのC1−4アルキルセロソルブアセテート類など)、カルビトール類(メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピルカルビトール、ブチルカルビトールなどのC1−4アルキルカルビトール類など)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類など)などが例示できる。これらの極性溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、これらの極性溶媒の極性パラメータは、通常、後述の極性パラメータの範囲内にある場合が多い。
また、これらの極性溶媒のうち、環境保全性及び簡便性などの観点から、少なくとも水を含む極性溶媒であってもよい。さらに、用途に応じて、溶媒の蒸発を抑制するなどの点から、水にアルコール類(例えば、エタノールなどのC1−4アルカノール、エチレングリコールやグリセリンなどの脂肪族多価アルコールなど)を組み合わせてもよい。アルコール類の割合は、水100質量部に対して、例えば、0.1〜50質量部、好ましくは1〜30質量部、さらに好ましくは3〜20質量部(特に5〜15質量部)程度であってもよい。
疎水性溶媒としては、例えば、炭化水素類(ヘキサン、トリメチルペンタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類など)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチルなど)、ケトン類(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジプロピルエーテルなど)などが例示できる。これらの疎水性溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
溶媒は、少なくとも極性溶媒(特に非芳香族系極性溶媒又は脂肪族系極性溶媒)で構成するのが好ましい。このような溶媒の極性パラメータ(Snyderによる極性パラメータ)は、例えば、2.8〜11、好ましくは3〜10.5、さらに好ましくは3.1〜10.2程度であってもよい。また、本発明では、溶媒としては、環境の負荷が少なく、取り扱いが簡便である点から、水溶性溶媒、特に、少なくとも水及び/又はアルコール類などの水溶性溶媒(特に水)が好ましい。
反応液中の金属化合物の濃度は、金属の質量換算で、例えば、0.1質量%以上(例えば、1〜50質量%)、好ましくは3質量%以上(例えば、5〜45質量%)、さらに好ましくは10質量%以上(例えば、12〜40質量%)、通常5〜35質量%程度の高濃度であってもよい。本発明では、このような高濃度で反応させても、効率よく金属ナノ粒子を得ることができる。
なお、反応溶媒の種類などに応じて反応系のpHを調製してもよい。pH調整は、慣用の方法、例えば、酸(塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、酢酸などの有機酸)、アルカリ[水酸化ナトリウム、アンモニアなどの無機塩基、アミン類(例えば、アルキルアミン、アルカノールアミンなどの第三級アミン類などの有機塩基)などの塩基類]を用いて行うことができる。
本発明では、還元反応とともに、生成した金属コロイド粒子が凝集して、沈殿し始めるため、回収工程において、反応液から上澄み液を除去した後、洗浄溶媒で洗浄するだけで凝集体を回収できる。
上澄み液の除去方法としては、慣用の方法が利用でき、濃縮、遠心分離、ろ過などの方法も使用できるが、簡便性の点から、デカンテーションによる除去方法が好ましい。特に、本発明では、凝集体が分散剤(B)の良溶媒にも溶解又は均一に微分散せず、分散剤(B)や還元剤に対して良溶媒を洗浄溶媒として利用できるため、デカンテーションにより上澄み液を除去した沈殿物に対して、限外ろ過などの精密で煩雑な処理を利用せずに、不純物(還元剤又はその分解物、残存した分散剤、イオン、塩など)を容易に除去できる。
洗浄溶媒を用いた洗浄方法において、洗浄溶媒としては、反応溶媒として使用可能な前記極性又は疎水性溶媒が利用でき、還元反応に利用した溶媒(例えば、水)を使用してもよい。洗浄溶媒の使用量は、凝集体に対して、重量比で、例えば、2〜100倍、好ましくは3〜50倍、さらに好ましくは5〜30倍程度であってもよい。このような洗浄処理は、複数回(例えば、2〜5回)繰り返してもよい。複数回繰り返す場合は、異なる種類の洗浄溶媒(例えば、より揮発性の高い溶媒など)を使用してもよい。さらに、洗浄溶媒で洗浄後は、自然乾燥してもよく、メンブレンフィルタなどの簡易なろ過を行って精製してもよい。
[金属ナノ粒子ペースト]
本発明の金属コロイド粒子凝集体は、有機溶媒を配合してペーストを調製してもよい。前述したように、本発明の凝集体は、適度に凝集しているため、適度な柔軟性及び解こう性を有しており、特定の有機溶媒を配合すると、凝集体が再分散して均質で粘性なペーストを容易に調製できる。なお、ペースト中における凝集体の再分散とは、凝集体が溶媒中でナノメーターサイズの一次粒子が均一に微分散した状態ではなく、黄色〜青色のプラズモン吸収を示すような微分散した一次粒子と、プラズモン吸収を示さない大きさで一次粒子が会合した二次粒子又は凝集体とが混在した状態であると推定される。25℃におけるペーストの粘度[シェアレート:50(1/s)]は、例えば、0.1〜100mPa・s、好ましくは1〜80mPa・s、さらに好ましくは5〜50mPa・s程度であってもよい。
有機溶媒としては、分散剤(B)の種類に応じて、前記反応溶媒として記載した極性溶媒及び疎水性溶媒を使用できるが、均質なペーストを調製するためには、分散剤(B)と親和性を有する溶媒を使用するのが好ましく、例えば、分散剤(B)が親水性である場合には、極性溶媒を使用するのが好ましい。好ましい極性溶媒としては、例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトールなどのカルビトール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールなどが挙げられる。これらの極性溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの極性溶媒のうち、分散剤(B)に対する親和性に優れる点から、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコール(特にエチレングリコールなどのアルキレングリコール)が好ましい。
ぺースト中の金属ナノ粒子(A)の濃度は、例えば、30〜95質量%、好ましくは50〜93質量%、さらに好ましくは60〜90質量%(特に65〜85質量%)程度であってもよい。このような金属ナノ粒子ペーストは、高濃度で金属ナノ粒子(A)を含んでいても、沈降などを生じることなく長期安定性に優れている。さらに、高濃度で、かつ金属コロイド粒子は、適度に凝集しているため、金属膜(焼結膜)を形成しても、緻密で硬質な金属膜を形成できるとともに、抵抗値も増大することなく、優れた導電性を維持できる。
(金属フィラー)
本発明の金属ナノ粒子ペーストには、さらに金属フィラー(金属粉末)を配合することにより、ペーストに流動性を付与できるとともに、焼結膜の導電性を向上できる。
金属コロイド粒子を含むペーストでは、ペースト中の粒子濃度が上昇するにつれて、粒子間距離が小さくなり、粒子間又は表面に存在する分散剤(B)の絡み合いなどによる相互作用が生じ、粘度が急激に上昇し、取り扱い性が低下する。本発明では、大粒径の金属フィラーを添加することにより、高濃度のペーストであっても高い流動性を付与することができる。なお、流動性が発現する機構としては以下の理由が考えられる。
(1)粒子の表面間距離Dは、式:D=[{(√2×π)/(6f)}1/3−1]×d(式中、f:ペースト中に占める微粒子の体積分率、d:粒径)で表され、同一の金属濃度のペーストで比較した場合、粒径が大きい成分を含む分散液の方が粒子表面間距離は大きくなるため、粘度が低下すると推定される。
(2)粒子の沈降速度Dは、式:D=kT/(3πηd)(式中、k:ボルツマン定数、T:絶対温度、η:溶媒粘度、d:粒径)で表され、同一の金属濃度のペーストで大粒子は沈降速度が大きくなるため、分散液中に大粒子が存在すると凝集構造が破壊され易く、流動性が発現すると推定される。
さらに、本発明では、金属ナノ粒子ペーストにさらに大粒径の金属フィラーを添加することにより、ペースト中に含まれる分散剤(B)の割合が減少し、焼成に際して発生する分散剤(B)由来のガス量が低減され、膜中からのガス抜けによる膨れや割れの発生が抑制できる。さらに、ナノ粒子と金属フィラーとの組み合わせにより、充填効率が向上するためか、低温(例えば、150℃以下)で焼成しても、高い導電性を有する被膜が得られる。
このような金属フィラーの体積基準の平均粒子径は200nm以上であればよいが、例えば、0.2〜10μm、好ましくは0.3〜8μm(例えば、0.5〜7μm)、さらに好ましくは0.7〜6μm(特に1〜5μm)程度である。金属フィラー(B)の粒径範囲は、例えば、0.1〜30μm、好ましくは0.2〜20μm(例えば、0.25〜10μm)、さらに好ましくは0.3〜8μm(特に0.5〜7μm)程度であってもよい。金属フィラーの粒子径が大きすぎると、例えば、スクリーン印刷などにおいて目詰まりが発生し易くなる。一方、粒子径が小さすぎると、金属フィラーの分散性が低下するため、分散剤(B)の使用量が増加し、焼成におけるガスの発生量も増加する。
金属フィラーの比表面積は、例えば、0.1〜5m/g、好ましくは0.3〜2.6m/g程度の範囲から選択できる。低温焼成では、比表面積は、比較的小さい方が焼成膜の比抵抗を向上できるため、例えば、0.1〜2.6m/g(例えば、0.1〜1.5m/g)、好ましくは0.3〜1.2m/g(例えば、0.3〜0.6m/g)程度であってもよい。一方、高温焼成では、比表面積は、比較的大きい方が粒子間焼結が起こり易く、焼成膜の比抵抗を向上できるため、例えば、0.3〜5m/g、好ましくは0.4〜2.6m/g程度であってもよい。
金属ナノ粒子と金属フィラーとの平均粒径の比は、金属ナノ粒子/金属フィラー=1/1000/1〜1/5、好ましくは1/500〜1/10(例えば、1/300〜1/20)、さらに好ましくは1/250〜1/50(特に1/200〜1/100)程度である。両者の比がこの範囲にあると、金属ナノ粒子と金属フィラーとの充填効率が向上するため、焼成膜の導電性を向上できる。
金属フィラーを構成する金属は、金属ナノ粒子(A)の項で例示された金属単体、合金、金属化合物などが挙げられる。これらの金属のうち、少なくとも銀や金などの貴金属(特に周期表第1B族金属)を含む金属(金属単体及び金属合金)、特に貴金属単体(例えば、金単体など)であるのが好ましい。金属ナノ粒子を構成する金属と金属フィラーを構成する金属とは異なっていてもよいが、焼結し易い点から、同一又は同族の金属(特に同一の金属)であるのが好ましい。
金属コロイド粒子凝集体と金属フィラーとの割合(質量比)は、金属コロイド粒子凝集体/金属フィラー=90/10〜10/90、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは70/30〜30/70(特に60/40〜40/60)程度である。両者の比がこの範囲にあると、両者の焼結が緻密に行われるため、焼成膜の導電性を向上できる。
本発明の金属ナノ粒子ペーストには、用途に応じて、慣用の添加剤、例えば、着色剤(染顔料など)、色相改良剤、染料定着剤、光沢付与剤、金属腐食防止剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、界面活性剤又は分散剤(アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤など)、分散安定化剤、増粘剤又は粘度調整剤、保湿剤、チクソトロピー性賦与剤、レベリング剤、消泡剤、殺菌剤、充填剤などが含まれていてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(金属ナノ粒子ペーストの用途)
本発明の金属粒子ペーストは、種々の用途に使用でき、例えば、金属膜(特に導電性膜)を形成するためのペースト、無機素材を接合するための接合剤などとして利用できる。
(導電性膜)
導電性膜を形成する場合、本発明の金属粒子ペーストは、高濃度で金属ナノ粒子を含んでおり、比較的低温(例えば、150℃以下)で焼結可能であるため、金属膜(連続膜、焼結膜)の中でも、所定のパターン(回路パターンなど、特に導電性パターンなど)を有する焼結層を形成し、導電性基材を製造するためのペーストとして好適である。以下、前記金属粒子ペーストを用いて、導電性基材を製造する方法について詳述する。
このような方法では、通常、基材に、前記金属粒子ペースト(又は金属粒子ペーストの塗布)により、被膜(塗布層又はパターン)を形成(描画)し、形成された被膜(描画パターン)を焼成処理することにより焼結層(焼結膜、焼結パターン、金属膜、焼結体層、導体層)を形成できる。
基材(又は基板)としては、特に限定されず、用途に応じて適宜選択できる。基材を構成する材質は、無機材料であってもよく、有機材料であってもよい。無機材料としては、例えば、ガラス類(ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、クラウンガラス、バリウム含有ガラス、ストロンチウム含有ガラス、ホウ素含有ガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラス、結晶化透明ガラス、シリカガラス、石英ガラス、耐熱ガラスなど)、金属酸化物(アルミナ、サファイア、ジルコニア、チタニア、酸化イットリウム、酸化インジウム−酸化錫系複合酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)など)などが挙げられる。有機材料としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂[ポリアルキレンアリレート系樹脂(ポリエチレンテレタフタレートなど)、ポリアリレート系樹脂や液晶ポリマーを含む]、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロース誘導体、フッ素樹脂などが挙げられる。これらの材料は、焼成工程を経るため、耐熱性の高い材料、例えば、無機材料、エンジニアリングプラスチック(例えば、芳香族ポリエステル系樹脂(ポリアリレート系樹脂を含む)、ポリイミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂など)、液晶ポリマー、フッ素樹脂などが好ましい。特に、本発明では、低温焼結可能であるため、樹脂を材質とする基材であってもパターン形成可能である。なお、基材は、表面処理されていてもよい。
基材は、易接着処理(表面処理)されていてもよい。易接着処理された基材(有機基材)を使用すると、基材に対する金属コロイド粒子(又はその金属膜)の密着性を向上でき、強固に固定された金属膜を得るのに有利である。
易接着処理としては、酸化処理[表面酸化処理、例えば、放電処理(コロナ放電処理、グロー放電など)、酸処理(クロム酸処理など)、紫外線照射処理、焔処理など]、表面凹凸処理(溶剤処理、サンドブラスト処理など)などの他、基材(基材表面)に、易接着層を形成する方法などが挙げられる。すなわち、有機基材として、易接着層が形成された基材を使用してもよい。
易接着層を構成(又は形成)する成分としては、金属コロイド粒子(又はその分散剤(B))と基材との密着性を向上できる成分であれば特に限定されず、例えば、オレフィン系樹脂[例えば、ポリエチレン(直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなど)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体(エチレン−アクリル酸エチル共重合体など)、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリロニトリル−アクリル酸共重合体などのポリエチレン系樹脂、非晶性ポリプロピレン系樹脂など]、塩化ビニル系樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体など)、塩化ビニリデン系樹脂(塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体など)、アクリル系樹脂[例えば、(メタ)アクリル系単量体(例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル)など]の単独又は共重合体、これらの(メタ)アクリル系単量体と共重合性単量体(スチレン系単量体、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体、不飽和ジカルボン酸又はそのエステルなど)との共重合体など]、酢酸ビニル系樹脂[ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニルと他の共重合性単量体(オレフィン系単量体(エチレンなど)、(メタ)アクリル酸エステル、不飽和ジカルボン酸又はそのエステルなど)との共重合体など]、スチレン系樹脂[例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体など]、ポリエステル系樹脂[脂肪族ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂(例えば、非晶性脂肪族又は芳香族ポリエステル)など]、ウレタン系樹脂(熱可塑性ウレタン系樹脂、イソシアネート基含有ポリマーなど)、ゴム状重合体(スチレン−ブタジエン共重合体など)、イミノ基含有ポリマー(ポリエチレンイミンなどのポリアルキレンイミンなど)などが挙げられる。これらの成分は、単独で又は2種以上組み合わせて易接着層を形成してもよい。
代表的な易接着層としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂などが挙げられる。
なお、易接着処理は、基材の表面の一部又は全部に対して施されていればよく、特に、基材(基材表面)のうち、金属膜を形成する部位(表面)に少なくとも形成されていてもよい。すなわち、前記基材が易接着処理された基材であり、この基材のうち易接着処理された部位に金属膜が形成されていてもよい。例えば、少なくとも一方の面に易接着層が形成された基材を使用し、この基材の易接着層が形成された面上に金属膜を形成してもよい。
塗布層(パターン)を描画するための描画法(又は印刷法)としては、パターン形成可能な印刷法であれば特に限定されず、例えば、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、凹版印刷法(例えば、グラビア印刷法など)、オフセット印刷法、凹版オフセット印刷法、フレキソ印刷法などが挙げられる。
焼結層(又は焼結パターン)の平均厚みは、例えば、0.5〜30μm、好ましくは0.6〜25μm、さらに好ましくは0.8〜15μm(特に1〜12μm)程度であってもよい。本発明では、高濃度で金属ナノ粒子及び金属フィラーを含むペーストを用いるので、このようなミクロンオーダーの厚膜も効率よく形成できる。
焼成処理は、通常、塗布層を所定の焼成温度で加熱(又は焼成又は加熱処理)することにより行うことができる。焼成温度としては、金属ナノ粒子が融着して連続膜を形成できる限り特に限定されず、500℃以下程度から適宜選択できる。特に、本発明の金属粒子ペーストは、比較的低温であっても焼結するため、焼成温度は、350℃以下(例えば、50〜350℃程度)、好ましくは70〜320℃、さらに好ましくは80〜300℃(例えば、100〜280℃)程度であってもよく、通常100〜350℃程度であってもよい。さらに、本発明では、150℃以下[例えば、40〜150℃、好ましくは45〜145℃(例えば、50〜140℃)、さらに好ましくは55〜135℃、特に60〜130℃程度]という低温でも焼結可能である。そのため、樹脂基板などに対しても金属膜やパターンを形成でき、適用範囲が広い。なお、高い導電性を要求される場合は、200℃以上の高温(例えば、200〜500℃、好ましくは300〜450℃程度)で焼成してもよい。
また、焼成処理時間(加熱時間)は、焼成温度などに応じて、例えば、10分〜6時間、好ましくは15分〜5時間、さらに好ましくは20分〜3時間程度であってもよい。
このようにして焼結層(焼結パターン)が形成される。焼結層は、金属ナノ粒子として導電性金属を用いた場合、高い導電性を有している。
(無機素材の接合材)
無機素材の接合体は、第1の無機素材と第2の無機素材との間に、本発明の金属ナノ粒子ペーストを介在させて、前記ペーストを焼結することにより得ることができる。
無機素材としては、ガラスや炭素材などの無機素材であってもよいが、ペーストが金属ナノ粒子で構成されているため、接合力を向上する点からは、少なくとも接合面が金属を含む素材(特に接合面の略全面が金属で構成されている素材)が好ましい。金属としては、金属ナノ粒子(A)の項で例示された金属単体、合金、金属化合物などが挙げられる。これらの金属のうち、少なくとも銀や金などの貴金属(特に周期表第1B族金属)を含む金属(金属単体及び金属合金)、特に貴金属単体(例えば、金単体など)であるのが好ましい。無機素材の接合面が金属を含む場合、金属ナノ粒子を構成する金属と無機素材に含まれる金属とは異なっていてもよいが、合金化しない金属が好ましく、さらに同一又は同族の金属であるのが好ましい。
接合する第1の無機素材と第2の無機素材とは、異種の材料であってもよく、同種の材料であってもよい。接合力の点からは、同種の材料(例えば、同一の金属材料、又は同族の金属材料など)であるのが好ましい。
無機素材の形状は、特に限定されないが、例えば、接合する素材同士の接触面積が大きくなる形状、例えば、接合面が平面である形状(通常、板又はシート状)などであってもよい。
無機素材用接合剤の塗布量(乾燥前の塗布量)は、接合する無機素材の用途や大きさに応じて適宜選択できるが、強固に接合する点から、例えば、10〜100mg/cm、好ましくは20〜80mg/cm、さらに好ましくは30〜70mg/cm程度である。
塗布方法としては、特に限定されず、慣用の方法、例えば、コーターを用いる方法、スプレーコーティング、ディッピングなどが利用できる。
金属ナノ粒子ペーストを焼結するための焼成温度は、例えば、150〜500℃、好ましくは200〜450℃、さらに好ましくは250〜400℃(特に300〜380℃)程度であってもよい。焼成の際には加圧してもよく、例えば、1〜500g/cm、好ましくは3〜300g/cm、さらに好ましくは5〜100g/cm(特に10〜50g/cm)程度の荷重を付与した状態で焼成してもよい。本発明では、このような比較的低温及び低圧で焼成しても、無機素材を強固に接合できる。
焼成処理時間(加熱時間)は、焼成温度などに応じて、例えば、1分〜10時間、好ましくは20分〜5時間、さらに好ましくは30分〜3時間程度であってもよい。
焼成後の無機素材の層間に形成される焼結膜(金属膜)の厚みは、用途に応じて、1μm〜1cm程度の範囲から適宜選択できるが、例えば、5〜300μm、好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは30〜100μm程度である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
(銀コロイド粒子凝集体の作製)
硝酸銀336g、高分子分散剤(ビッグケミー製、「ディスパービック190」、親水性ユニットであるポリエチレンオキサイド鎖と疎水性ユニットであるアルキル基とを有する両親媒性分散剤、溶媒:水、不揮発成分40%、酸価10mgKOH/g、アミン価0)36gを、イオン交換水500gに投入し、激しく撹拌した。これに2−ジメチルアミノエタノール(和光純薬工業(株)製)500gを徐々に加えたところ、反応溶液が60℃まで上昇した。液温が50℃に下がったところで70℃に設定されたウォーターバス中で加熱撹拌した。1時間後、銀コロイド粒子凝集体が黒色の沈殿物として得られた。この銀コロイド凝集体に対して、37kHzの超音波を60分間照射すると、ほとんどの粒子は凝集したままであったが、わずかに黄色〜茶色のプラズモン吸収を示す程度に分散した。
銀コロイド粒子凝集体が沈殿した反応溶液の上澄み液を除去し、イオン交換水で希釈した。静置した後、上澄み液を除去し、メタノールでさらに希釈した。再度、静置後、上澄み液を除去し、メタノールで希釈した。その後、メンブレンフィルタ(アドバンテック社製、ポアサイズ0.5μm)を付けた加圧ろ過機で銀コロイド粒子凝集体を回収した。
(銀コロイド粒子凝集体の分析)
得られた銀コロイド粒子凝集体の一部を取り出し、回収された銀コロイド粒子凝集体に含まれるメタノール及び水分を完全に揮発させた後、銀コロイド粒子に含まれる分散剤(B)の含有量を熱重量測定装置(TG/DTA、セイコーインスツルメンツ(株)製、EXSTAR6000)で測定した。TG/DTAによる測定は、一分間に10℃の速さで30℃から550℃まで昇温した時の質量減少から算出した。また、凝集助剤(B1)の量は、30℃から200℃までの質量減少から算出し、高分子分散剤(B2)の量は、分散剤(B)の量から、凝集助剤(B1)の量を引いた量(B−B1)として算出した。結果を表1に示す。
(銀コロイド粒子ペーストの焼成)
得られた銀コロイド粒子凝集体に対して、エチレングリコール(和光純薬工業(株)製、沸点197.3℃、極性パラメータ6.9)を添加して乳鉢で混合し、凝集体に含まれるメタノールを揮発させて、銀濃度70質量%の銀ナノ粒子ペーストを調製した。このペーストを、無アルカリガラス基板(コーニング(株)製、品番1737)上に塗布し、ホットプレート上において120℃で30分間焼成し、基板上に厚み4μmの銀膜を形成した。焼成膜の比抵抗を測定したところ、16μΩ・cmであった。
実施例2
銀コロイド粒子凝集体の作製において、高分子分散剤の使用量を25.4gとする以外は実施例1と同様にして、銀コロイド粒子を作製したところ、銀コロイド粒子凝集体が黒色の沈殿物として得られた。この銀コロイド凝集体に対して、37kHzの超音波を60分間照射すると、ほとんどの粒子は凝集したままであったが、わずかに黄色〜茶色のプラズモン吸収を示す程度に分散した。
実施例1と同様にして、銀コロイド粒子を回収して分析した結果を表1に示す。得られた銀コロイド粒子凝集体に対して、実施例1と同様にして、銀濃度70質量%の銀ナノ粒子ペーストを調製して焼成した結果、焼成膜の体積抵抗率(比抵抗)は15μΩ・cmであった。
実施例3
銀コロイド粒子凝集体の作製において、硝酸銀336g、高分子分散剤(ディスパービック190)36.0g、酢酸(和光純薬工業(株)製、沸点118℃、炭素数2)50gをイオン交換水500gに添加する以外は実施例1と同様にして、銀コロイド粒子を作製したところ、銀コロイド粒子凝集体が灰色沈殿物として得られた。この銀コロイド凝集体に対して、37kHzの超音波を60分間照射すると、ほとんどの粒子は凝集したままであったが、わずかに黄色のプラズモン吸収を示す程度に分散した。
実施例1と同様にして、銀コロイド粒子を回収して分析した結果を表1に示す。得られた銀コロイド粒子凝集体に対して、実施例1と同様にして、銀濃度70質量%の銀ナノ粒子ペーストを調製して焼成した結果、焼成膜の比抵抗は13.8μΩ・cmであった。
実施例4
銀コロイド粒子凝集体の作製において、硝酸銀336g、高分子分散剤(ディスパービック190)25.2g、酢酸(和光純薬工業(株)製、沸点118℃、炭素数2)50gをイオン交換水500gに添加する以外は実施例1と同様にして、銀コロイド粒子を作製したところ、銀コロイド粒子凝集体が灰色の沈殿物として得られた。この銀コロイド凝集体に対して、37kHzの超音波を60分間照射すると、ほとんどの粒子は凝集したままであったが、わずかに黄色のプラズモン吸収を示す程度に分散した。
実施例1と同様にして、銀コロイド粒子を回収して分析した結果を表1に示す。得られた銀コロイド粒子凝集体に対して、実施例1と同様にして、銀濃度75質量%の銀ナノ粒子ペーストを調製して焼成した結果、焼成膜の比抵抗は11μΩ・cmであった。
実施例5
銀コロイド粒子凝集体の作製において、硝酸銀336g、高分子分散剤(ディスパービック190)10.8g、酢酸(和光純薬工業(株)製、沸点118℃、炭素数2)50gをイオン交換水500gに添加する以外は実施例1と同様にして、銀コロイド粒子を作製したところ、銀コロイド粒子凝集体が灰色の沈殿物として得られた。この銀コロイド凝集体に対して、37kHzの超音波を60分間照射すると、ほとんどの粒子は凝集したままであったが、わずかに黄色のプラズモン吸収を示す程度に分散した。
実施例1と同様にして、銀コロイド粒子を回収して分析した結果を表1に示す。得られた銀コロイド粒子凝集体に対して、実施例1と同様にして、銀濃度75質量%の銀ナノ粒子ペーストを調製して焼成した結果、焼成膜の比抵抗は6.5μΩ・cmであった。
実施例6
銀コロイド粒子凝集体の作製において、硝酸銀336g、高分子分散剤(ディスパービック190)3.6g、酢酸(和光純薬工業(株)製、沸点118℃、炭素数2)50gをイオン交換水500gに添加する以外は実施例1と同様にして、銀コロイド粒子を作製したところ、銀コロイド粒子凝集体が灰色の沈殿物として得られた。この銀コロイド凝集体に対して、37kHzの超音波を60分間照射すると、ほとんどの粒子は凝集したままであったが、わずかに黄色のプラズモン吸収を示す程度に分散した。
実施例1と同様にして、銀コロイド粒子を回収して分析した結果を表1に示す。得られた銀コロイド粒子凝集体に対して、実施例1と同様にして、銀濃度80質量%の銀ナノ粒子ペーストを調製して焼成した結果、焼成膜の比抵抗は5.8μΩ・cmであった。
比較例1
銀コロイド粒子凝集体の作製において、高分子分散剤の使用量を2472.5gとする以外は実施例1と同様にして、銀コロイド粒子を作製したところ、銀コロイド粒子凝集体は生成せず、銀コロイド粒子の分散液が得られた。この分散液を高速遠心分離器(Kokusan製、H−200 SERIES)を用い、7000rpm、1時間遠心分離したが、銀コロイド粒子を沈殿物として回収できなかった。なお、この分散液は、高分子分散剤が多量に含まれるため、比抵抗の測定は不可能であった。
比較例2
銀コロイド粒子凝集体の作製において、高分子分散剤の使用量を10.8gとする以外は実施例1と同様にして、銀コロイド粒子の作製を試みたが、還元時にナノ粒子の保護能力が不足し、沈殿物として得られた粒子は、サブミクロン単位の大きさの銀粒子であった。
実施例1と同様にして、銀粒子を回収して分析した結果を表1に示す。得られた銀粒子に対して、実施例1と同様にして、銀濃度80質量%の銀ナノ粒子ペーストを調製して焼成した結果、焼成膜の比抵抗は65μΩ・cmであった。
比較例3
銀コロイド粒子凝集体の作製において、高分子分散剤の使用量を3.6gとする以外は実施例1と同様にして、銀コロイド粒子の作製を試みたが、還元時にナノ粒子の保護能力が不足し、沈殿物として得られた粒子は、サブミクロン単位の大きさの銀粒子であった。
実施例1と同様にして、銀粒子を回収して分析した結果を表1に示す。得られた銀粒子に対して、実施例1と同様にして、銀濃度80質量%の銀ナノ粒子ペーストを調製して焼成した結果、焼成膜の比抵抗は58μΩ・cmであった。
Figure 2010202943
なお、表1中、「B2の配合量」は、高分子分散剤の硝酸銀に対する配合量(銀換算)を示し、「凝集体中のBの割合」は、コロイド粒子における分散剤(B)の銀ナノ粒子に対する割合を示し、「B1/B2」は、コロイド粒子における(B1)凝集助剤と(B)高分子分散剤との割合(重量比)を示す。
表1から明らかなように、比較例に比べ、実施例では導電性の高い焼成膜が簡便に得られる。
本発明の金属ナノ粒子ペーストは、得られた焼成膜が高い導電性を有するため、導電性インキ(又は導電性ペースト)としても利用可能である。そのため、各種の導電体、例えば、プラズマディスプレイパネル(PDP)、蛍光表示管(VFD)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機及び無機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)などの表示装置、シリコン半導体系やグレッツェル式などの太陽電池、タッチパネル式表示装置などの電極、RFIDタグ、電磁波シールド、家庭又は学習用配線キットなどに使用される導電膜や導電印刷のための塗布液として利用することもできる。特に、紙類で構成された基材の上にも、加熱や光処理することなく、微細で強固にパターニングできるため、RFIDタグや電子ぺーパーに好適である。
さらに、本発明の金属ナノ粒子ペーストは、基材、特に無機素材に対して強固に密着できるため、金属素材などの無機素材同士、例えば、金属板などの無機基板などを強固に接合可能な接合剤としても利用できる。

Claims (11)

  1. 金属ナノ粒子(A)と分散剤(B)とを含む金属コロイド粒子の凝集体であって、前記分散剤(B)が、窒素原子を有する基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも一種の官能基を有する凝集助剤(B1)と、高分子分散剤(B2)とで構成されている金属コロイド粒子凝集体。
  2. 分散剤(B)の割合が、金属ナノ粒子(A)100重量部に対して、1〜10重量部であり、かつ凝集助剤(B1)と、高分子分散剤(B2)との割合(質量比)が、前者/後者=90/10〜1/99である請求項1記載の凝集体。
  3. 凝集助剤(B1)の炭素数が1〜10である請求項1又は2記載の凝集体。
  4. 窒素原子を有する基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも一種の官能基を有する凝集助剤(B1)及び/又はその前駆体と、高分子分散剤(B2)との存在下、溶媒中で金属化合物を還元して金属コロイド粒子を生成するとともに、金属コロイド粒子の凝集体を沈殿物として生成させる工程、この工程で生成した凝集体を分離して回収する工程を含む請求項1〜3のいずれかに記載の凝集体の製造方法。
  5. 凝集助剤(B1)及び/又はその前駆体を還元剤として用いる請求項4記載の製造方法。
  6. 反応液から上澄み液を除去して回収した後、洗浄溶媒で洗浄して凝集体を精製する請求項4又は5記載の製造方法。
  7. さらにろ過により凝集体を精製する請求項4〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 請求項1〜3のいずれかに記載の金属コロイド粒子の凝集体及び有機溶媒で構成された金属ナノ粒子ペースト。
  9. さらに体積平均粒子径0.2〜10μmの金属フィラーを含む請求項8記載の金属ナノ粒子ペースト。
  10. 基材の上に請求項8又は9記載の金属ナノ粒子ペーストで被膜を形成する工程、及びこの被膜を焼成処理する工程を含む導電性基材の製造方法。
  11. 無機素材用接合剤である請求項9記載の金属ナノ粒子ペースト。
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