JP2010180101A - 高抵抗高飽和磁束密度MnZnCoフェライトおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高抵抗高飽和磁束密度のMnZnCoフェライトと、その有利な製造方法を提案する。
【解決手段】酸化物換算でFe:46.0〜49.8mol%、ZnO:3〜15mol%、CoO:0.1〜3.0mol%、残部がMnOからなる基本成分組成を有し、副成分としてSiOおよびCaOをSiO:CaO=0〜40(0は含まず):100〜60(100は含まず)(mol%)の混合比で合計100〜2500massppm、Biを10〜300massppm含有するよう原料を秤量して混合し、成形し、その後、上記成形体を600℃以上の昇温速度500℃/hr以上、最高温度1300℃以上で焼成し、室温における飽和磁束密度≧450mT、比抵抗≧10Ωm、かつ、初透磁率μ≧115×ZnO(mol%)−220を満たすMnZnCoフェライトを得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、数十kHz〜数百MHzの高周波帯域で使用されるコモンモードチョーク用磁芯や、表面実装パワーインダクタなどに用いられるMnZnCoフェライトに関し、特に、室温における飽和磁束密度≧450mT、比抵抗≧10Ωmである高抵抗高飽和磁束密度のMnZnCoフェライトとその製造方法に関するものである。
従来、数十kHz〜数百MHzの高周波帯域におけるノイズ対策素子やコモンモードチョーク等に用いられる磁芯材料としては、NiZn系フェライトが広く用いられている。しかし、NiZn系フェライトは、飽和磁束密度Bが低いため、近年のCPU駆動電圧低下に伴う大電流化の進展とともに、磁気飽和の問題が生じている。さらに、昨今の原料価格の高騰や、欧州における化学物質規制(REACH規制)により、Ni化合物に対する規制が厳しくなる可能性が指摘されている。そのため、NiZn系フェライトよりBの高いMnZnフェライトへの置き換えが検討されている。
表面実装パワーインダクタとしてNiZn系フェライトを使用する場合、比抵抗が10Ωm以上と絶縁性が高いため、ドラム形状のコアに直接巻線を施したり、ドラムの鍔部に直接電極を付けたりすることができる。しかし、MnZnフェライトの比抵抗は、10Ωm以下と低く、そのため、NiZn系フェライトのように直接巻線を施したり、直に電極を形成したりすることができず、何らかの絶縁処理が必要となる。そのため、NiZn系フェライトのコアを、そのままMnZnフェライトのコアに置き換えることは難しい。そこで、MnZnフェライトの高い飽和磁束密度Bを維持しつつ、NiZn系フェライト並みの比抵抗(≧10Ωm)を有する高抵抗高飽和磁束密度のMnZnフェライトの開発が望まれている。
MnZnフェライトの比抵抗を高める技術としては、例えば特許文献1〜3に、MnZnCoフェライトのFeの配合量を50mol%未満の鉄欠乏組成とする方法が提案されている。これらの技術によれば、10Ωm程度の比抵抗で、2MHz程度の高周波におけるコアロスの低減効果や、100kHzにおける初透磁率μの増大効果が得られている。しかし、直接巻線するには、さらに2桁以上の比抵抗の増大が必要である。また、コアロスやμに特化した従来技術の方法では、B≧450mTと比抵抗≧10Ωmを同時に満たすことは難しい。
また、特許文献4にも、Feの配合量を50mol%未満の鉄欠乏組成とする比抵抗≧200ΩmのMnZnCoフェライトが提案されている。しかし、この技術では、焼成温度を1250℃程度と、通常の鉄過剰組成のMnZnフェライトの焼成温度より低
一般に、スピネル型フェライトの焼結性は、Fe:50mol%を境にして大きく変化し、Feを52〜53mol%(鉄過剰組成)含有している通常のMnZnフェライトは、焼結性が低い。このため、通常のMnZnフェライトは、1300℃以上の高温で焼成されている。一方、Feが50mol%未満の鉄欠乏組成では、焼結性が良く、低温でも焼成できるが、従来の鉄過剰組成のMnZnフェライトと同じ1300℃以上の高温焼成炉で焼成すると、異常粒成長を起こしたり結晶粒内に空孔が多数残留して不均一な組織となったりして、初透磁率μが大きく低下するという問題がある。この傾向は、焼結時の昇温速度が速いほど顕著となるため、鉄欠乏組成のMnZnフェライトの昇温速度は、ある程度遅く設定する必要があった。そこで、鉄過剰組成のMnZnフェライトと同じ、1300℃以上の高温で、かつ高速の連続炉で焼成しても、諸透磁率μが低下しない鉄欠乏組成のMnZnフェライトが求められている。
くする必要がある。
特開2001−261344号公報 特開2001−220221号公報 特開2005−247653号公報 特開2003−257724号公報
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、B≧450mTと比抵抗≧10Ωmを同時に満たす高抵抗高飽和磁束密度MnZnCoフェライトを提供するとともに、1300℃以上の高温で高速焼成しても初透磁率μが低下しない高抵抗高飽和磁束密度MnZnCoフェライトの有利な製造方法を提案することにある。
発明者らは、上記課題を解決するため、基本成分であるFe、MnOおよびZnOの組成比が、飽和磁束密度B、比抵抗および初透磁率μに及ぼす影響を調べ、MnZn三元系フェライトにおける最適な組成範囲を明らかにした。次いで、飽和磁束密度Bを改善可能な第4の基本成分について種々検討した。その結果、適正量のCoOを導入することで、比抵抗およびμを低下させることなくBを増大することができることを見出した。
次に、発明者らは、1300℃の高温の連続炉で高速焼成しても、異常粒成長を起こしたり結晶粒内に多数の空孔が残留して不均一組織となったりすることなく、高い初透磁率μを維持するため、原料中に添加する微量成分が焼結特性に及ぼす影響を詳細に調査した。その結果、副成分として添加しているSiOとCaOの混合比および添加量が結晶組織の均一性に大きく影響することを見出した。また、Biを同時に添加することで、さらに均一かつ緻密な結晶組織が得られることがわかった。
本発明は、上記知見にさらに検討を加えて開発したものである。
すなわち、本発明は、酸化物換算でFe:46.0〜49.8mol%、ZnO:3〜15mol%、CoO:0.1〜3.0mol%、残部がMnOからなる基本成分組成を有するMnZnCoフェライトにおいて、当該フェライトに対して、副成分としてSiOおよびCaOを、mol%比でSiO:CaO=0〜40(0は含まず):100〜60(100は含まず)の混合比で合計100〜2500massppm、Biを10〜300massppm含有し、室温における飽和磁束密度≧450mT、比抵抗≧10Ωmであることを特徴とする高抵抗高飽和磁束密度MnZnCoフェライトである。
本発明の上記MnZnCoフェライトは、初透磁率μが、下記式;
μ≧115×ZnO(mol%)−220
を満たすことを特徴とする。
また、本発明は、酸化物換算でFe:46.0〜49.8mol%、ZnO:3〜15mol%、CoO:0.1〜3.0mol%、残部がMnOからなる基本成分組成を有し、副成分としてSiOおよびCaOをSiO:CaO=0〜40(0は含まず):100〜60(100は含まず)(mol%)の混合比で合計100〜2500massppm、Biを10〜300massppm含有するMnZnCoフェライトの製造方法において、上記成分組成となるよう原料を秤量して混合し、成形し、その後、上記成形体を600℃以上の昇温速度500℃/hr以上、最高温度1300℃以上で焼成することを特徴とする請求項1または2に記載の高抵抗高飽和磁束密度MnZnCoフェライトの製造方法を提案する。
本発明によれば、飽和磁束密度B≧450mT、比抵抗≧10Ωmでかつ初透磁率μ≧115×ZnO(mol%)−220を同時に満足する高抵抗高飽和磁束密度のMnZnCoフェライトを、600℃以上における昇温速度≧500℃/hr、最高温度1300℃以上の高温高速連続炉で製造できるので、数十kHz〜数百MHzの高周波帯域で使用されるコモンモードチョーク用磁芯や、表面実装パワーインダクタなどに用いて好適なMnZnCoフェライトを安価に提供することできる。
本発明のMnZnCoフェライトは、基本成分組成を、Fe:46.0〜49.8mol%、ZnO:3〜15mol%、CoO:0.1〜3.0mol%、残部がMnOの範囲に調整することで、高飽和磁束密度、高比抵抗を実現したものである。
以下、上記組成範囲に限定する理由について説明する。
Fe:46.0〜49.8mol%
Feは、Bおよび比抵抗に大きく影響する成分であり、Feの量が46.0mol%未満では、高飽和磁束密度Bが低下し、一方、49.8mol%を超えると比抵抗が急激に低下する。そこで、Feは46.0〜49.8mol%の範囲とする。好ましくは、48.5〜49.3mol%の範囲である。
ZnO:3〜15mol%
ZnOは、高飽和磁束密度Bに大きく影響する成分であり、ZnOの量が3mol%未満、または、15mol%を超えると、B<450mTに低下してしまう。さらに、ZnOの量の低下とともに、キュリー温度Tが低下し、100℃でのBが低下する。よって、ZnOの量は3〜15mol%の範囲とする。より高い飽和磁束密度を得るためには、ZnOは3〜12mol%の範囲とするのが好ましい。
なお、100kHzにおけるμ値は、ZnO:3〜15mol%の範囲であれば、ZnO量とともに増大する。したがって、本発明の製造方法を用いることにより、
μ≧115×ZnO(mol%)−220
の関係式を満たすMnZnCoフェライトを得ることができる。
CoO:0.1〜3.0mol%
CoOは、少量の添加で飽和磁束密度Bを増大させる効果がある。しかし、CoOの量が0.1mol%未満では、Bの改善効果が小さく、一方、3.0mol%を超える添加は、0℃付近の低温でのμが低下する。よって、CoOの量は0.1〜3.0mol%の範囲とする。好ましくは、0.5〜2.5mol%の範囲である。
なお、Co2+の磁気モーメントは3μであり、Mn2+の5μより小さいため、理論上は、CoO添加によるBの増大効果は期待できない。しかし、発明者らの実験結果によれば、予想に反して、少量のCoO添加でBの増大効果が確認されている。そのような効果が得られる機構は、現時点では、まだ明確ではないが、Co2+は、他の2価金属イオンと比べて著しく結晶磁気異方性が大きいため、周囲の金属イオンと磁気的に強く相互作用することで、2価金属イオンの磁気モーメントから推算するよりも高い効果が得られるものと考えられる。
上記のFe、ZnOおよびCoO以外の残部基本成分は、MnOである。
上記基本成分組成としたMnZnCoフェライトの成形体を焼成することで、飽和磁束密度Bおよび比抵抗が高いMnZnCoフェライトコアを得ることができる。
しかし、上記成形体を従来のMnZnフェライトと同じ1300℃以上の高温連続炉で高速焼成を行うと、異常粒成長や、空孔の残留による不均一組織をもたらし、比抵抗や初透磁率μの著しい低下を招く。
そこで、本発明においては、上記基本成分組成にさらに、副成分として、SiOおよびCaOをSiO:CaO=0〜40(0は含まず):100〜60(100は含まず)(mol%)の混合比で合計100〜2500massppm、Biを10〜300massppm添加することとした。これによって、600℃以上の昇温速度≧500℃/hr、最高温度1300℃以上の高温高速連続炉で焼成しても、均一かつ緻密な結晶組織を得ることができるので、初透磁率μ≧115×ZnO(mol%)−220の条件を満たした上でさらに、飽和磁束密度B≧450mT、比抵抗≧10Ωmを同時に満たす高抵抗高飽和磁束密度のMnZnCoフェライトを製造することができる。
発明者らは、上記副成分を含まない鉄欠乏組成のMnZnCoフェライトを、高温高速の焼成炉で焼成すると、μが低下する原因について詳細に調査した。その結果、鉄欠乏組成のMnZnフェライトを鉄過剰組成に適した焼成温度(1300〜1400℃)で焼成すると、一気に粒成長が進み、結晶粒内に気孔が残留する不均一な組織となり、μ値が低下することがわかった。この傾向は、昇温速度が速いほど顕著である。そこで、急激な粒成長を抑えるため、粒成長の抑制に効果のあるCaCOを添加したところ、粒内の気孔は低減するものの、焼結密度が低下し、結晶粒径も小さくなり、Bおよびμが低下してしまう。そこで、SiOとCaOの混合比を適正な範囲に配合して複合添加すると、焼結性のバランスが保たれ、かつ、粒内気孔のない平均結晶粒径10μm以上の均一な結晶組織が得られることがわかった。さらに、SiOとCaOに加えて、Biを添加すると、焼結密度がより高く、かつ均一な結晶組織が得られることもわかった。
これらの結果から、鉄欠乏組成のMnZnCoフェライトを、600℃以上の昇温速度≧500℃/hrという高速で昇温し、1300〜1400℃という高温で焼成しても、均一で緻密な結晶組織を有するとともに、飽和磁束密度B≧450mT、比抵抗≧10Ωm、初透磁率μ≧115×ZnO(mol%)−220を同時に満たす高抵抗高飽和磁束密度のMnZnCoフェライトを得ることができることを見出した。
ここで、上記効果を得るためには、SiOとCaOの添加量は、合計で100〜2500massppmとする必要がある。合計の添加量が100massppm未満では、高速焼成で緻密かつ均一な結晶組織を得る効果が不十分なため、高B、高μが得られない。一方、合計の添加量が2500massppmを超えると、異常粒が発生してμが著しく低下する。好ましい合計の添加量は1000〜2000massppmの範囲である。
また、SiOとCaOの混合比は、SiO:Ca0=0〜40(0は含まず):100〜60(100は含まず)(mol%)とする必要がある。SiOとCaOが共存することで、昇温過程および焼成中に粒界に液相を生成して結晶組織を均一化する効果が得られるが、SiOの比率が40mol%を超えると、異常粒が発生しやすくなり、μが低下するからである。好ましくは、SiOz:CaO=5〜30:95〜70(mol%)の範囲である。
また、Biの添加量は10〜300massppmとする必要がある。Biが10massppm未満では、焼結密度の増大効果が得られず、一方、300massppmを超えると、異常粒が発生しやすくなり、μが低下する。また、Biは、焼成中にフェライト中から蒸発して炉内の耐火物を汚染するため、あまり高濃度の添加は好ましくない。好ましくは、30〜250massppmの範囲である。
次に、本発明のMnZnCoフェライトの製造方法について説明する。
本発明の高抵抗高飽和磁束密度のMnZnCoフェライトは、焼成後の成分組成が上記適正範囲となるよう出発原料を配合しさえすれば、通常のフェライトの製造方法で製造することができる。すなわち、まず、MnZnCoフェライトの原料となるFe、MnまたはMnCO、ZnO、CoOまたはCoを適正量秤量し、これらをアトライターやボールミルなどの混合機を用いて、湿式または乾式で混合した後、800〜1000℃で仮焼する。次いで、上記仮焼粉に本発明範囲の量の副成分を添加し、アトライターやボールミルなどの混合機を用いて、湿式または乾式で、粒径が0.8〜1.6μm程度になるまで粉砕する。その後、その粉砕粉に、PVAなどの結合剤を添加し、スプレードライヤや篩を用いて造粒した後、金型に充填してプレス成形等して所定の形状に成形し、得られた成形体を、鉄過剰組成のMnZnフェライトの焼成条件と同様のヒートカーブおよび雰囲気で焼成することによって製造することができる。
なお、上記製造方法は、一般的なフェライトの製造方法であるが、本発明は、上記製造方法に限定されるものではなく、例えば、成形前の原料粉の製造方法として、上記方法に代えて、混合焙焼法や共沈法などの特殊な方法を用いてもよい。また、成形方法についても、プレス成形に限定されるものではなく、射出成形法、フェライトペースト印刷法、グリーンシート法など、種々の方法を適用することができる。
焼成後の基本成分が表1に示す組成となるよう、Fe、ZnO、MnおよびCoOの原料を秤量し、それらをボールミルで湿式混合し、900℃で仮焼後、副成分としてSiO、CaCOおよびBiを、それぞれSiO:175massppm、CaO:1200massppm、Bi:100massppmとなるように添加して、ボールミルでさらに湿式粉砕し、平均粒径が1.1μmのフェライト原料粉を得た。なお、上記平均粒径は、空気透過法により測定した値である。次いで、上記原料粉に、バインダー(PVA)を加え、目開き500μmの篩を通して造粒後、外径:31mmφ、内径:19mmφ、厚さ:7mmのリング型にプレス成形し、次いで、この成形体を、電気炉を用いて、酸化性雰囲気中で1370℃×3時間焼成した後、還元雰囲気中で冷却して、MnZnCoのフェライトコアを得た。なお、上記焼成における600℃以上の昇温速度は、550℃/hrとした。
上記のようにして得たフェライトコアについて、高抵抗計(アドバンテスト製R8340A)を用いて、印加電圧10Vで比抵抗を測定した。また、このフェライトコアに、0.6mmφの被覆銅線を10回巻き、LCRメータ(アジレント・テクノロジー製4285A)を用いて、100kHzにおける初透磁率μ値を測定した。さらに、直流BHアナライザー(理研電子製)を用いて、印加磁場強度1.2kA/mにおける飽和磁束密度Bを測定した。
上記測定の結果を表1に併記して示した。表1から、基本成分組成が本発明に適合するMnZnCoフェライトは、B≧450mT、比抵抗≧10Ωmで、かつμ≧115×ZnO(mol%)−220を同時に満たしていることがわかる。
Figure 2010180101
焼成後の基本成分組成が、Fe:ZnO:MnO:CoO=49:9:40.4:1.6(mol%)となるように出発原料であるFe、ZnO、MnおよびCoOを秤量し、これらをボールミルで湿式混合した後、850℃で仮焼した。なお、上記基本成分組成における(115×ZnO(mol%)−220)の値は815である。
次いで、この仮焼粉に、副成分としてSiO、CaCOおよびBiを表2に示す量となるように添加し、ボールミルで湿式粉砕して平均粒径1.2μm(空気透過法)の原料粉を得た。これにバインダーとしてPVAを加え、目開き500μmの篩を通して造粒し、外径31mm、内径19mm、高さ7mmのリング型にプレス成形した。
次いで、上記成形体を、鉄過剰組成のMnZnフェライト用高温高速焼成炉を用いて、600℃から最高温度までを550℃/hrで昇温し、酸化性雰囲気中で1350℃×2時間焼成した後、還元雰囲気中で冷却してMnZnCoフェライトコアを得た。
上記のようにして得たフェライトコアについて、比抵抗、100kHzにおけるμ値および印加磁場強度1.2kA/mにおける飽和磁束密度Bを実施例1と同様にして測定した。さらに、測定済みのコアを破断し、結晶組織の均一性を顕微鏡で確認した。
上記測定の結果を表2に併記して示した。表2から、本発明に適合する基本成分組成を有し、本発明に適合する量のSiO、CaCOおよびBiを添加したMnZnCoフェライトは、従来の鉄過剰組成のMnZnフェライト焼成用高温高速連続炉を用いて焼成しても、均一緻密な結晶組織を有すると共に、B≧450mT、比抵抗≧10Ωmで、かつμ≧115×ZnO(mol%)−220を満たす高抵抗高飽和磁束密度のMnZnCoフェライトが得られることがわかる。
Figure 2010180101
本発明の技術は、焼成後に粉砕して粉末状にすることによって得られる電波吸収体用磁性粉にも適用することができる。

Claims (3)

  1. 酸化物換算でFe:46.0〜49.8mol%、ZnO:3〜15mol%、CoO:0.1〜3.0mol%、残部がMnOからなる基本成分組成を有するMnZnCoフェライトにおいて、当該フェライトに対して、副成分としてSiOおよびCaOを、mol%比でSiO:CaO=0〜40(0は含まず):100〜60(100は含まず)の混合比で合計100〜2500massppm、Biを10〜300massppm含有し、室温における飽和磁束密度≧450mT、比抵抗≧10Ωmであることを特徴とする高抵抗高飽和磁束密度MnZnCoフェライト。
  2. 初透磁率μが、下記式;
    μ≧115×ZnO(mol%)−220
    を満たすことを特徴とする請求項1に記載の高抵抗高飽和磁束密度MnZnCoフェライト。
  3. 酸化物換算でFe:46.0〜49.8mol%、ZnO:3〜15mol%、CoO:0.1〜3.0mol%、残部がMnOからなる基本成分組成を有し、副成分としてSiOおよびCaOをSiO:CaO=0〜40(0は含まず):100〜60(100は含まず)(mol%)の混合比で合計100〜2500massppm、Biを10〜300massppm含有するMnZnCoフェライトの製造方法において、上記成分組成となるよう原料を秤量して混合し、成形し、その後、上記成形体を600℃以上の昇温速度500℃/hr以上、最高温度1300℃以上で焼成することを特徴とする請求項1または2に記載の高抵抗高飽和磁束密度MnZnCoフェライトの製造方法。
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