JP2007031240A - MnZnフェライトの製造方法及びMnZnフェライト - Google Patents

MnZnフェライトの製造方法及びMnZnフェライト Download PDF

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Abstract

【課題】 数十kHzから数百kHzの周波数帯域における損失が低く、かつ100℃近傍における飽和磁束密度の高いMnZn系フェライトを提供する。
【解決手段】 比表面積(BET法による)が2.0〜5.0m2/g、50%粒径が0.7〜2.0μmである成形用粉末を所定形状の成形体に成形する工程と、成形体を焼成して焼成体を得る工程と、を備え、焼成の工程における安定温度Tが1250〜1450℃であり、安定温度Tにおける雰囲気の酸素濃度(PO2)が、Log(PO2)=a−(11900/T(K))、ただしa≦8…式(1)を満足する。
【選択図】図1

Description

本発明は、100℃近傍の温度域において高飽和磁束密度及び低損失であり、かつ損失の経時変化が小さいMnZn系フェライトに関する。
電子機器の小型化、高出力化が進んでおり、それに伴い各種部品の高集積化、高速処理化が進み、電力を供給する電源ラインの大電流化が要求されている。また、CPUをはじめとする部品などからの発熱、あるいは自動車用電子回路のように使用環境温度の高い条件下など、100℃近傍の温度域においても所定の性能を保つ電源ラインが要求されている。したがって、電源ラインに用いられるトランスやリアクタにも、100℃近傍の温度域において大電流で使用されることが求められる。
これらトランスやリアクタに使用される材料としては、軟磁性金属材料とフェライトがある。このフェライトはMnZn系フェライトとNi系フェライトに分類される。
軟磁性金属材料はフェライトに比べて飽和磁束密度が高いため、より大きな電流を流しても磁気飽和を起さない利点がある。しかしながら、軟磁性金属材料は、一般的に損失が大きい、値段が高い、比重が大きい、防錆性に劣るといった問題がある。
一方、フェライトはコストパフォーマンスに優れ、数十kHzから数百kHzの周波数帯域において損失が低いという利点がある。また、Ni系フェライトより飽和磁束密度の高いMnZn系フェライトが一般的に大電流用のトランス及びチョークコイルに使用されている。
例えば、特公昭63−59241号公報(特許文献1)では、MnO、ZnOに加えNiO、Li2O、MgOのうち少なくとも1種を含むことにより150℃以上での低損失化を図っている。しかし、損失が最小を示す温度(以下、ボトム温度という)が150℃以上であるため、100℃近傍の温度域(例えば、80〜120℃)では損失、初透磁率の劣化を招き不向きである。
また、特許第3389170号公報(特許文献2)は、MnZn系フェライトにNiOを置換することにより飽和磁束密度Bsが440mT以上で直流重畳特性が優れ、広い温度域で使用できることを開示している。
さらに、特開平11−255501号公報(特許文献3)では、MnZn系フェライトにCoOを添加することにより、20〜100℃の広い温度域における損失の著しい低減、ならびに温度変化の緩和を達成し、具体的には、損失の最小値が400kW/m3以下、かつ、損失の最大値と最小値の差が150kW/m3以下の特性を得ている。
さらにまた、特開平11−3813号公報(特許文献4)では、Fe23含有量が50mol%を超えるMnZn系フェライトの基本成分にNiO及びCoOを同時に含有させることが、1MHz程度以上の高周波数域においても低損失化が図れることを示している。このMnZn系フェライトは、Fe23:52〜68mol%、NiO:0.5〜10mol%、ZnO:15mol%以下、CoO:0.005〜0.5mol%を含み、残部が実質的にMnOの組成を有している。
また、NiO及びCoOを同時に含有させたMnZn系フェライトとしては、特開2000−286119号公報(特許文献5)に開示されたものも知られている。このフェライトは、Fe23:52〜56mol%、ZnO:6〜14mol%、NiO:4mol%以下、CoO:0.01〜0.6mol%、残部が実質的にMnOの組成となる基本成分に対して、外枠量でSiO2:0.0050〜0.0500wt%及びCaO:0.0200〜0.2000wt%を含有し、さらに、Ta25、ZrO2、Nb25、V25、K2O、TiO2、SnO2及びHfO2のうちから選ばれる少なくとも1種の添加成分を所定量含有し、かつ、周波数が100kHz、最大磁束密度が200mTの測定条件で、損失が最低となる温度が50℃以上85℃以下であることを特徴としている。
特公昭63−59241号公報 特許第3389170号公報 特開平11−255501号公報 特開平11−3813号公報 特開2000−286119号公報
以上説明したように、NiO及びCoOをともに含有するMnZn系フェライトは、損失に関して優れた特性を具備することができる。しかし、特許文献4に開示されたMnZn系フェライトは、1MHz程度以上の高周波数帯域における損失は優れているものの、数十kHzから数百kHzの周波数帯域における用途には不向きである。
また、室温における飽和磁束密度が高くても、100℃近傍の温度域(80〜120℃)において飽和磁束密度が低下してしまうと、所望するトランス、リアクタ用コアの性能を発揮することができなくなる。特許文献5に開示されたMnZn系フェライトは、数十kHzから数百kHzの周波数帯域における損失は優れているものの、100℃近傍における飽和磁束密度に関する考慮はなされていない。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、100℃近傍における飽和磁束密度が高いとともに数十kHzから数百kHzの周波数帯域における損失が低く、かつ損失の経時変化が小さいMnZn系フェライトを提供することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明者らは検討を重ねたところ、MnZnフェライト製造に用いる原料粉末の粒子(1次粒子)の特性によって、損失が最小を示す温度(以下、ボトム温度)及び100℃近傍における飽和磁束密度が変動することを知見した。また、後述するδ値(陽イオン欠陥量)を制御することにより、損失の経時変化を小さくできる。本発明は以上の知見に基づくものであり、比表面積(BET法による)が2.0〜5.0m2/g、50%粒径が0.7〜2.0μmである成形用粉末を所定形状の成形体に成形する工程と、成形体を焼成して焼成体を得る工程と、を備え、焼成の工程における安定温度Tが1200〜1450℃であり、安定温度Tにおける雰囲気の酸素濃度(PO2)が、Log(PO2)=a−(11900/T(K))、ただしa≦8…式(1)を満足することを特徴とするMnZnフェライトの製造方法である。
本発明におけるMnZnフェライトは、Fe23:54〜57mol%、ZnO:5〜10mol%、NiO:4mol%以下(但し、0mol%を含まず)、残部実質的にMnOを主成分とすることが望ましい。
また、本発明において、成形用粉末は、90%粒径が4.0μm以下であることが望ましい。
本発明において、第1副成分として、SiをSiO2換算で60〜250ppm及びCaをCaCO3換算で700〜2500ppm含むことが望ましい。また、第2副成分として、CoO:500〜4000ppm、Nb25:50〜500ppm、ZrO2:50〜1000ppm、Ta25:50〜1000ppm、V25:50〜1000ppm、HfO2:50〜1000ppm、In25:50〜2000ppm、MoO3:50〜1000ppm、Bi23:50〜1000ppmの1種又は2種以上を含むことが望ましい。さらに、第3副成分としてSnO2:500〜10000ppm及びTiO2:500〜10000ppmの範囲で1種又は2種を含むことが望ましい。
以上の本発明の製造方法によれば、Fe23:54〜57mol%、ZnO:5〜10mol%、NiO:4mol%以下(但し、0mol%を含まず)、残部実質的にMnOを主成分とし、かつSiをSiO2換算で60〜250ppm、CaをCaCO3換算で700〜2500ppm及びCoをCoO換算で500〜4000ppmを副成分として含む焼成体からなり、式(2)におけるδ値がδ≦0.004、100℃における飽和磁束密度が440mT以上、損失が最小値を示す温度であるボトム温度が85〜120℃、損失の最小値(100kHz、200mT)が350kW/m3以下であるMnZnフェライトが提供される。
(Zna 2+,Nib 2+,Mnc 2+,Mnd 3+,Fee 2+,Fef 3+34+δ…式(2)
ただし、a+b+c+d+e+f=3、δ=a+b+c+(3/2)d+e+(3/2)f−4
以上説明したように、本発明によれば、100℃近傍における飽和磁束密度が高く、数十kHzから数百kHzの周波数帯域における損失が低く、かつ損失の経時変化が小さいMnZn系フェライトが提供される。
はじめに、本発明によるMnZnフェライトにとって好適な製造方法を説明する。
主成分の原料としては、酸化物又は加熱により酸化物となる化合物の粉末を用いる。具体的には、Fe23粉末、Mn34粉末、ZnO粉末、NiO粉末等を用いることができる。
主成分の原料粉末を湿式混合した後、仮焼きを行う。仮焼きの保持温度は700〜1000℃の範囲内で、また雰囲気はN2〜大気とすればよい。仮焼きの保持時間は0.5〜5.0時間の範囲で適宜選択すればよい。仮焼き後に仮焼き粉を粉砕する。なお、本発明では、上述の主成分の原料に限らず、2種以上の金属を含む複合酸化物の粉末を主成分の原料としてもよい。例えば、塩化鉄、塩化マンガンを含有する水溶液を酸化培焼することによりFe、Mnを含む複合酸化物の粉末が得られる。この粉末とZnO粉末を混合して主成分原料としてもよい。このような場合には、仮焼きは不要である。
同様に副成分の原料として、酸化物又は加熱により酸化物となる化合物の粉末を用いることもできる。具体的には、SiO2、CaCO3、Co34、Nb25、ZrO2、Ta25、In25、SnO2、TiO2、MoO3、V25、Bi23等を用いることができる。これら副成分の原料粉末は、仮焼き後に粉砕された主成分の粉末と混合される。但し、主成分の原料粉末と混合した後に、主成分とともに仮焼きに供することもできる。
主成分及び副成分からなる混合粉末は、比表面積(BET法による)が2.0〜5.0m2/g、50%粒径が0.7〜2.0μmとする。ここで、比表面積(BET法による)が2.0m2/g未満又は5.0m2/gを超えると損失が大きくなる。また、比表面積が2.0m2/g未満になると飽和磁束密度が小さくなる。一方、50%粒径が0.7μm未満又は2.0μmを超えると、損失が大きくなる。また、50%粒径が2.0μmを超えると飽和磁束密度が小さくなる。望ましい比表面積(BET法による)は2.5〜4.0m2/g、望ましい50%粒径は0.9〜1.5μmである。なお、50%粒径とは、累積個数が50%となる粒子の粒径をいう。
成形に供される混合粉末をこのような特性とするためには、仮焼き後の粉砕条件を調整する、あるいは分級する等の公知の手段を適用すればよい。
仮焼き粉を粉砕した後に、成形工程を円滑に実行するために顆粒に造粒される。造粒は例えばスプレードライヤを用いて行なうことができる。混合粉末に適当な結合剤、例えばポリビニルアルコール(PVA)を少量添加し、これをスプレードライヤで噴霧、乾燥する。顆粒の粒径は80〜200μm程度とすることが望ましい。
得られた顆粒は、例えば所定形状の金型を有するプレスを用いて所望の形状に成形され、この成形体は焼成工程に供される。
焼成工程においては、焼成温度と焼成雰囲気を制御する必要がある。
焼成は1200〜1450℃の安定温度Tで所定時間保持すればよい。本発明のMnZnフェライトの効果を十分に引き出すには、1250〜1400℃の安定温度Tで保持、焼成することが望ましい。
本発明の焼成において、安定温度Tにおける雰囲気の酸素濃度(PO2)は、Log(PO2)=a−(11900/T(K))、ただしa≦8…式(1)を満足する。この式(1)の条件を満足することにより、得られるMnZnフェライトのδ値(式(2))におけるδ値をδ≦0.004とすることができる。詳しくは後述するように、δ≦0.004とすることにより、損失の経時変化を小さくできる。
本発明によるMnZnフェライトは、平均結晶粒径が5〜35μmの範囲とすることが望ましい。結晶粒径が小さいとヒステリシス損失が大きくなり、一方結晶粒径が大きいと渦電流損失が大きくなるからである。望ましい平均結晶粒径は8〜30μm、より望ましい平均結晶粒径は10〜25μmである。
次に成分の限定理由について説明する。
<Fe23
Fe23の量が多いと100℃近傍における飽和磁束密度が向上する一方、損失が増大する傾向にある。Fe23が54mol%より少ないと100℃近傍における飽和磁束密度が低下する。一方、Fe23が57mol%を超えると損失の増大が顕著となる。したがって、本発明ではFe23を54〜57mol%とする。この範囲では、Fe23量の増加に伴ってボトム温度は低温側へシフトするが、Fe23量が54〜57mol%の範囲内にある場合には、磁気特性を維持し、又は磁気特性の低下を可能な限り抑制しつつ、ボトム温度を85〜120℃の範囲に設定することができる。望ましいFe23の量は54.5〜56.5mol%、さらに望ましいFe23の量は54.5〜55.5mol%である。
<ZnO>
ZnOの量も飽和磁束密度及び損失に影響を与える。ZnOが5mol%より少ないと飽和磁束密度が低下するとともに、損失が大きくなる。また、ZnOが10mol%を超えても飽和磁束密度が低下するとともに、損失が大きくなる。したがって本発明ではZnOを5〜10mol%とする。ZnO量の増加に伴ってボトム温度は低温側へシフトするが、ZnO量が5〜10mol%の範囲内にある場合には、磁気特性を維持し、又は磁気特性の低下を可能な限り抑制しつつ、ボトム温度を85〜120℃の範囲に設定することができる。望ましいZnOの量は6〜9mol%、さらに望ましいZnOの量は7〜8mol%である。
<NiO>
NiOは、キュリー温度を上昇させることにより飽和磁束密度を向上させることができる。但し、NiOの含有量が4mol%を超えると損失が大きくなる。したがって本発明では、飽和磁束密度の向上及び低損失という効果を享受するために、NiOを4mol%以下(但し、0mol%を含まず)の範囲内で含有させる。望ましいNiOの量は0.2〜4mol%、さらに望ましいNiOの量は0.5〜3mol%である。
本発明のMnZnフェライトは、第1副成分としてSiをSiO2換算で60〜250ppm及びCaをCaCO3換算で700〜2500ppmの範囲内で含むことができる。Si及びCaは、結晶粒界に偏析することにより高抵抗層を形成して低損失に寄与するとともに焼結助剤として焼結密度を向上させる効果を有する。SiがSiO2換算で250ppmを超え、あるいはCaがCaCO3換算で2500ppmを超えると、不連続異常粒成長による損失の劣化が大きい。そこで本発明では、SiをSiO2換算で250ppm以下、CaをCaCO3換算で2500ppm以下とする。一方、SiがSiO2換算で60ppm未満、あるいはCaがCaCO3換算で700ppm未満では上記効果を十分に得ることができないため、SiはSiO2換算で60ppm以上、CaはCaCO3換算で700ppm以上含有させることが望ましい。さらに望ましいSi及びCaの含有量はSiはSiO2換算で80〜200ppm、CaはCaCO3換算で1000〜1800ppm、より望ましいSi及びCaの含有量は、SiはSiO2換算で80〜150ppm、CaはCaCO3換算で1200〜1700ppmである。
なお、SiとCaを複合添加する場合には、Si、CaをそれぞれSiO2換算、CaCO3換算でSiO2/CaCO3(重量比)が0.04〜0.25、より望ましくは0.05〜0.2の範囲になるように設定することが有効である。
本発明は第2副成分として、CoO:500〜4000ppm、Nb25:50〜500ppm、ZrO2:50〜1000ppm、Ta25:50〜1000ppm、V25:50〜1000ppm、HfO2:50〜1000ppm、In25:50〜2000ppm、MoO3:50〜1000ppm、Bi23:50〜1000ppmの1種又は2種以上を含むことができる。これらの第2副成分を含有することによって、飽和磁束密度の向上、損失低減を図ることができる。望ましい含有量は、CoO:600〜2500ppm、Nb25:100〜400ppm、In25:50〜1000ppm、ZrO2、Ta25、V25、HfO2、MoO3、Bi23は50〜400ppmである。さらに、CoO、Nb25、In25については、CoO:600〜2000ppm、Nb25:80〜300ppm、In25:50〜400ppmとすることがより望ましい。なお、第2副成分を複合して添加する場合、合計量は5000ppm以下とすることが望ましい。また、第2副成分としては、CoOを用いることが最も望ましい。
本発明は第3副成分として、SnO2:500〜10000ppm及びTiO2:500〜10000ppmの範囲で1種又は2種を含むことができる。SnO2及びTiO2は、結晶粒内、結晶粒界に存在し損失を低減させる効果がある。10000ppmを超えると、不連続異常粒成長による損失の劣化や飽和磁束密度の低下を招く。そのために本発明では、SnO2及びTiO2の上限値を各々10000ppmとする。一方、以上の効果を十分享受するためには、第3副成分を500ppm以上含有させることが望ましい。さらに望ましい第3副成分の量は1000〜8000ppm、より望ましい第3副成分の量は1000〜7000ppmである。なお、第3副成分を複合して添加する場合、合計量は10000ppm以下とすることが望ましい。
本発明のように、焼成前の成形用粉末を上述したように特定し、かつ上記組成を採用することにより、100℃における飽和磁束密度が440mT以上、損失が最小値を示す温度であるボトム温度が85〜120℃、損失の最小値(100kHz、200mT)が350kW/m3以下の特性を有するMnZnフェライトを得ることができる。
本発明は上記特性を備えるとともに、式(2)におけるδ値がδ≦0.004のMnZnフェライトが提供される。
(Zna 2+,Nib 2+,Mnc 2+,Mnd 3+,Fee 2+,Fef 3+34+δ…式(2)
ただし、a+b+c+d+e+f=3、δ=a+b+c+(3/2)d+e+(3/2)f−4
上記δ値は、組成分析と、Fe2+とMn3+の定量から算出することができる。すなわち、組成分析については、MnZnフェライト焼結体を粉砕し、粉末状にした後、蛍光X線分析装置(リガク(株)製、サイマルティック3530)を用いたガラスビード法によって測定した。Fe2+とMn3+の定量は、MnZnフェライト焼結体を粉砕、粉末状にし、酸に溶解後K2Cr27溶液により、電位差滴定を行い定量した。その他、Ni2+、Zn2+については、組成分析より得られたNi、Znが全て2価のイオンとして存在するものと仮定している。また、Fe、Mn量は、組成分析により得られたFe、Mn量により、上記電位差滴定によって求められたFe2+、Mn3+量をそれぞれ差し引いた値とした。
以上の各値を用いて、上記式(2)における、a+b+c+d+e+f=3、δ=a+b+c+(3/2)d+e+(3/2)f−4の関係を満たすように、δ値を算出する。
主成分の原料として、Fe23粉末、MnO粉末、ZnO粉末及びNiO粉末を以下に示す組成となるように湿式混合した後、850℃で2時間仮焼きした。
Fe23:55.1mol%
MnO:35.7mol%
ZnO:7.4mol%
NiO:1.8mol%
次いで、主成分の原料の仮焼き粉に対して以下に示す副成分の原料を混合した。主成分原料の仮焼き粉に副成分の原料を添加して、粉砕しながら混合した。なお、粉砕後の混合粉末の比表面積(BET)、50%粒径、90%粒径を測定したところ、以下の結果を得た。得られた混合物にバインダを加え、顆粒化した後、成形してトロイダル形状の成形体を得た。
SiO2:100ppm
CaCO3:1000ppm
Nb25:300ppm
ZrO2:120ppm
Co34:1000ppm
比表面積(BET):3.01m2/g
50%粒経:1.11μm
90%粒経:1.57μm
得られた成形体を、表1に示す安定温度(5時間保持)及び酸素濃度で焼成することにより、フェライトコアを得た。
このフェライトコアを用いて、100℃及び120℃におけるコア損失(Pcv,測定条件:100kHz、200mT)を測定した。100℃及び120℃におけるコア損失を測定した後に、175℃で48時間保持(高温負荷)した後に、再度100℃及び120℃におけるコア損失(Pcv,測定条件:100kHz、200mT)を測定し、各測定温度(100℃、120℃)における高温負荷前後のコア損失の変化率を求めた。その結果を表1に示す。また、上述にしたがって、δ値を求め、その結果を表1に示した。
Figure 2007031240
表1に示すように、安定温度における酸素濃度を高くすることにより、コア損失(Pcv)の変化率が大きくなることがわかる。そして、コア損失(Pcv)の変化率が大きいMnZnフェライトは、δ値も大きい。以上より、コア損失(Pcv)の変化率を小さくするためには、安定温度における酸素濃度を低くして、δ値を小さくすることが有効である。δ値を0.004以下にすることにより、100℃における高温負荷前後のコア損失(Pcv)の変化率を絶対値で3%以下、120℃における高温負荷前後のコア損失(Pcv)の変化率を絶対値で8%以下とすることができる。δ値は0.003以下、さらには0.002以下であることが好ましい。
なお、表1には、式(1)におけるa及びb(=11900)を示しているが、式(1)のaがa≦8の場合に、δ値を0.004以下にすることができる。
実施例1で使用した主成分及び副成分の原料を用いて、実施例1と同様にフェライトコアを作製した。なお、仮焼きは750℃、850℃及び950℃とし、副成分を添加した後の仮焼き粉の粉砕時間は表2及び表3に示す通りとした。また、焼成は、1300℃(安定温度、5時間保持、酸素濃度1.5%)及び1325℃(安定温度、5時間保持、酸素濃度2%)の2条件とした。
粉砕後の混合粉末の比表面積(BET)、50%粒径、90%粒径を測定し、その結果を表2(焼成安定温度1300℃)及び表3(焼成安定温度1325℃)に示した。
また、得られたフェライトコアを用いて、初透磁率(μi,測定温度:25℃、測定周波数:100kHz)、25℃及び100℃における飽和磁束密度(Bs,測定磁界:1194A/m)、25〜120℃におけるコア損失(Pcv,測定条件:100kHz、200mT)を測定した。その結果を表4(表2の粉末を1300℃で焼成)及び表5(表3の粉末を1325℃で焼成)に示す。表4及び表5より、仮焼き温度が低いほど、また粉砕時間が長いほど粉末の比表面積(BET)が大きくなることが確認できた。
Figure 2007031240
Figure 2007031240
Figure 2007031240
Figure 2007031240
比表面積(BET)、50%粒径及び90%粒径と、ボトム温度(90℃)におけるコア損失(Pcv at bottom)、100℃における飽和磁束密度(Bs at 100℃)の関係を整理した結果を、図1〜図4に示す。なお、焼成温度1300℃における比表面積(BET)、50%粒径及び90%粒径と、ボトム温度におけるコア損失(Pcv at bottom、損失の最小値)の関係を図1に、焼成温度1300℃における比表面積(BET)、50%粒径及び90%粒径と、飽和磁束密度(Bs at 100℃)の関係を図2に示す。同様に、1325℃における関係を図3、図4に示す。
図1〜図4より、ボトム温度における損失は、比表面積(BET)、50%粒径及び90%粒径の値により変動し、比表面積(BET)、50%粒径及び90%粒径が小さすぎても、また大きすぎても損失が大きくなることがわかる。つまり、ボトム温度における損失を小さくするためには、比表面積(BET)、50%粒径、さらには90%粒径を制御する必要がある。一方で、100℃における飽和磁束密度は、比表面積(BET)が大きいほど、逆に50%粒径及び90%粒径が小さいほど高い値を得ることができる。ボトム温度における損失及び100℃における飽和磁束密度の2つの特性を兼備させるためには、比表面積(BET)が2.0〜5.0m2/gでかつ、50%粒径が0.7〜2.0μm、さらには90%粒径が4.0μm以下の範囲にあることが望まれる。
組成及び焼成温度を表6に示した条件とし、かつ第1副成分としてSiO2を100ppm、CaCO3を1000ppm添加する以外は実施例1と同様(焼成温度1325℃)にしてMnZnフェライトを作製し、実施例2と同様にして特性を測定した。その結果を表6に示す。なお、焼成前の粉末の特性は以下の通りである。また、表6中のPcvはボトム温度における損失を、B.Temp.はボトム温度を示している。
BET:2.5〜4.0m2/g
50%粒径:0.7〜1.5μm
90%粒径:1.0〜4.0μm
Figure 2007031240
表6に示すように、Fe23が53.5mol%と少ない場合には飽和磁束密度(Bs)が低くなる。一方、Fe23が57.5mol%と多くなると損失が大きくなる。
次に、ZnOが4.5mol%と少ない場合には、損失が大きくなる。一方、ZnOが11mol%と多い場合には、飽和磁束密度(Bs)が低くなる。
また、NiOが4.5mol%と多くなると損失が大きくなる。
以上の結果より、本発明では主成分をFe23:54〜57mol%、ZnO:5〜10mol%、NiO:4mol%以下(但し、0を含まず)、残部実質的にMnOとすることが望ましい。
主成分を下記の通りとし副成分を表7、表8に示した条件とする以外は実施例1と同様(焼成温度1325℃)にしてMnZnフェライトを作製し、実施例2と同様にして特性を測定した。その結果を表7及び表8に示す。なお、焼成前の粉末の特性は以下の通りである。また、表8において、ΔPcvは25℃における損失−100℃における損失を示
している。
BET:2.5〜4.0m2/g
50%粒径:0.7〜1.5μm
90%粒径:1.0〜4.0μm
Figure 2007031240
Figure 2007031240
表7に示すように、第2副成分、第3副成分を添加することにより、飽和磁束密度(Bs)を向上し、または損失を低減することができる。ただし、過剰な添加は、かえって飽和磁束密度(Bs)を低下させ、または損失が高くなるため、適切な範囲で添加することが望まれる。
また、表8に示すように、CoOを適量添加することにより、ボトム温度における損失を低減できるとともに、25℃〜ボトム温度における損失の変動を低く抑えることができる。
実施例2において、焼成温度1300℃における比表面積、50%粒径及び90%粒径と、ボトム温度における損失の関係を示すグラフである。 実施例2において、焼成温度1300℃における比表面積、50%粒径及び90%粒径と、飽和磁束密度の関係を示すグラフである。 実施例2において、焼成温度1325℃における比表面積、50%粒径及び90%粒径と、ボトム温度における損失の関係を示すグラフである。 実施例2において、焼成温度1325℃における比表面積、50%粒径及び90%粒径と、飽和磁束密度の関係を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 比表面積(BET法による)が2.0〜5.0m2/g、50%粒径が0.7〜2.0μmである成形用粉末を所定形状の成形体に成形する工程と、
    前記成形体を焼成して焼成体を得る工程と、を備え、
    前記焼成の工程における安定温度Tが1200〜1450℃であり、
    前記安定温度Tにおける雰囲気の酸素濃度(PO2)が、
    Log(PO2)=a−(11900/T(K))、ただしa≦8…式(1)
    を満足することを特徴とするMnZnフェライトの製造方法。
  2. 前記MnZnフェライトがFe23:54〜57mol%、ZnO:5〜10mol%、NiO:4mol%以下(但し、0mol%を含まず)、残部実質的にMnOを主成分とすることを特徴とする請求項1に記載のMnZnフェライトの製造方法。
  3. 前記成形用粉末は、90%粒径が4.0μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のMnZnフェライトの製造方法。
  4. 第1副成分として、SiをSiO2換算で60〜250ppm及びCaをCaCO3換算で700〜2500ppm含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のMnZnフェライトの製造方法。
  5. 第2副成分として、CoO:500〜4000ppm、Nb25:50〜500ppm、ZrO2:50〜1000ppm、Ta25:50〜1000ppm、V25:50〜1000ppm、HfO2:50〜1000ppm、In25:50〜2000ppm、MoO3:50〜1000ppm、Bi23:50〜1000ppmの1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のMnZnフェライトの製造方法。
  6. 第3副成分として、SnO2:500〜10000ppm及びTiO2:500〜10000ppmの範囲で1種又は2種を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のMnZnフェライトの製造方法。
  7. Fe23:54〜57mol%、ZnO:5〜10mol%、NiO:4mol%以下(但し、0mol%を含まず)、残部実質的にMnOを主成分とし、
    かつSiをSiO2換算で60〜250ppm、
    CaをCaCO3換算で700〜2500ppm及び
    CoをCoO換算で500〜4000ppmを副成分として含む焼成体からなり、
    式(2)におけるδ値がδ≦0.004、
    100℃における飽和磁束密度が440mT以上、
    損失が最小値を示す温度であるボトム温度が85〜120℃、
    損失の最小値(100kHz、200mT)が350kW/m3以下であることを特徴とするMnZnフェライト。
    (Zna 2+,Nib 2+,Mnc 2+,Mnd 3+,Fee 2+,Fef 3+34+δ…式(2)
    ただし、a+b+c+d+e+f=3、δ=a+b+c+(3/2)d+e+(3/2)f−4
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