JP2005075653A - フェライト材料の製造方法及びフェライト材料の焼成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高温域における飽和磁束密度が高く、コア損失が低く、ボトム温度が60℃以上にあるフェライト材料を安定して得る。
【解決手段】 Fe2O3:62〜68mol%、ZnO:12〜20mol%、NiO:5mol%以下(但し、0%を含む)、LiO0.5:4mol%未満(但し、0を含む)
、残部実質的にMnOを主成分とするフェライト材料の製造方法であって、主成分を含む粉末を用いて成形体を得る成形工程と、成形工程で得られた成形体を焼成する焼成工程とを有する。焼成工程は、所定温度まで昇温する昇温過程(I)と所定温度で保持する保持過程(II)および保持過程(II)の後の降温過程(III)とを含み、昇温過程(I)の酸
素分圧を4.0%以下にする。
【選択図】図1
【解決手段】 Fe2O3:62〜68mol%、ZnO:12〜20mol%、NiO:5mol%以下(但し、0%を含む)、LiO0.5:4mol%未満(但し、0を含む)
、残部実質的にMnOを主成分とするフェライト材料の製造方法であって、主成分を含む粉末を用いて成形体を得る成形工程と、成形工程で得られた成形体を焼成する焼成工程とを有する。焼成工程は、所定温度まで昇温する昇温過程(I)と所定温度で保持する保持過程(II)および保持過程(II)の後の降温過程(III)とを含み、昇温過程(I)の酸
素分圧を4.0%以下にする。
【選択図】図1
Description
本発明は、100℃近傍の温度域における飽和磁束密度が高いとともに、低損失でかつ損失の劣化が小さいフェライト材料に関する。
近年、電子機器の小型化、高出力化が進んでいる。それに伴い各種部品の高集積化、高速処理化が進み、電力を供給する電源ラインの大電流化が要求されている。また、CPUをはじめとする部品などからの発熱、あるいは自動車用電子回路のように使用環境温度の高い条件下など、高温域においても所定の性能を保つ電源ラインが要求されている。したがって、電源ラインに用いられるトランスやリアクタにも、高温下において大電流で使用されることが求められる。
これらトランスやリアクタに使用される材料としては、軟磁性金属材料とフェライト材料がある。フェライト材料はMnZn系フェライトとNi系フェライトに分類される。
軟磁性金属材料はフェライト材料に比べて飽和磁束密度が高いため、より大きな電流を流しても磁気飽和を起さない。しかしながら、軟磁性金属材料は、一般的に損失が高い、値段が高い、比重が高い、防錆性に劣るといった問題がある。
一方、フェライト材料はコストパフォーマンスに優れ、数十kHzから数百kHzの周波数帯域において損失が低いという利点がある。また、Ni系フェライトより飽和磁束密度が高いMn−Zn系フェライトが一般的に大電流用のトランスおよびチョークコイルに使用されている。しかしながら、近年の仕様要求の高度化に対しては、Mn−Zn系フェライトであっても100℃近傍の温度域(以下、単に高温域という)で飽和磁束密度が不十分であった。
これらトランスやリアクタに使用される材料としては、軟磁性金属材料とフェライト材料がある。フェライト材料はMnZn系フェライトとNi系フェライトに分類される。
軟磁性金属材料はフェライト材料に比べて飽和磁束密度が高いため、より大きな電流を流しても磁気飽和を起さない。しかしながら、軟磁性金属材料は、一般的に損失が高い、値段が高い、比重が高い、防錆性に劣るといった問題がある。
一方、フェライト材料はコストパフォーマンスに優れ、数十kHzから数百kHzの周波数帯域において損失が低いという利点がある。また、Ni系フェライトより飽和磁束密度が高いMn−Zn系フェライトが一般的に大電流用のトランスおよびチョークコイルに使用されている。しかしながら、近年の仕様要求の高度化に対しては、Mn−Zn系フェライトであっても100℃近傍の温度域(以下、単に高温域という)で飽和磁束密度が不十分であった。
そこで、高温域におけるフェライト材料の飽和磁束密度を向上するための検討が種々行われている。その中で例えば、特許文献1(特開2000−159523号公報)には、酸化鉄を60〜75mol%と多く含み、酸化亜鉛の含有量が0〜20mol%(ただし、0を含まず)および残部が酸化マンガンからなり、100℃での飽和磁束密度が450mT以上であり、かつ50kHz、150mTでのコア損失の最小値が1500kW/m3以下であるフェライト焼結体が開示されている。
また、特許文献2(特開昭62−87459号公報)には、Fe2O3:60〜68mol%であるMn−Znフェライトにおいて、焼成中の昇温過程において複数段の昇温工程を有すること、および酸素分圧を制御することにより580mT以上の高飽和磁束密度を持つ高密度フェライトが得られることの記載がなされている。
また、特許文献2(特開昭62−87459号公報)には、Fe2O3:60〜68mol%であるMn−Znフェライトにおいて、焼成中の昇温過程において複数段の昇温工程を有すること、および酸素分圧を制御することにより580mT以上の高飽和磁束密度を持つ高密度フェライトが得られることの記載がなされている。
一方で、Mn−Zn系フェライトの低損失化についても種々の提案がなされている。例えば、特許文献3(特公昭63−59241号公報)、特許文献4(特開平6−267725号公報)、特許文献5(同11−3813号公報)等である。
特許文献3(特公昭63−59241公報)ではMnO、ZnOにNiO、Li2O、
MgOのうち少なくとも1種を加えることにより、150℃以上での低損失化を図っている。
特許文献3(特公昭63−59241公報)ではMnO、ZnOにNiO、Li2O、
MgOのうち少なくとも1種を加えることにより、150℃以上での低損失化を図っている。
しかし、特許文献1では損失値が大きい。また、コア損失が最小を示す温度(以下、ボトム温度と略す)が20℃付近の材料もあり、一般的なトランス、リアクタ用コアが使用される温度帯域(60〜120℃)では損失の温度依存性が正の傾きとなり、自己発熱による熱暴走の危険性を持つという不具合がある。
特許文献2は、損失、初透磁率に関する考慮がない。
特許文献3は飽和磁束密度に関する考慮がない。また、ボトム温度が150℃以上であることを特徴としているために、一般的なトランス、リアクタ用コアが使用される温度帯域(60〜120℃)では損失、初透磁率の劣化を招き不向きである。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、高温域における飽和磁束密度が高く、コア損失が低く、ボトム温度が60℃以上にあるフェライト材料を安定して得ることのできる製造方法を提供することを目的とする。
特許文献2は、損失、初透磁率に関する考慮がない。
特許文献3は飽和磁束密度に関する考慮がない。また、ボトム温度が150℃以上であることを特徴としているために、一般的なトランス、リアクタ用コアが使用される温度帯域(60〜120℃)では損失、初透磁率の劣化を招き不向きである。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、高温域における飽和磁束密度が高く、コア損失が低く、ボトム温度が60℃以上にあるフェライト材料を安定して得ることのできる製造方法を提供することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明のフェライト材料の製造方法は、Fe2O3:62〜68mol%、ZnO:12〜20mol%、NiO:5mol%以下(但し、0%を含む)及びLiO0.5:4mol%未満(但し、0を含む)の1種又は2種、残部実質的にMnOを
主成分とするフェライト材料の製造方法であって、主成分を含む粉末を用いて成形体を得る成形工程と、成形工程で得られた成形体を焼成する焼成工程と、を有し、焼成工程は、4.0%以下の酸素分圧の帯域を有し所定温度まで昇温する昇温過程、所定温度で保持する保持過程および保持過程の後の降温過程とを含むことを特徴としている。
本発明において、昇温過程における900℃以上の温度領域の平均昇温速度を200℃/hr以下とすることが望ましい。
また本発明において、昇温過程における900℃以上の温度領域に所定温度を維持する安定帯域を設けることが望ましい。
さらに本発明において、焼成工程において、焼成雰囲気に生じる気流の成形体への直接の衝突を遮る遮蔽体を配置することが望ましい。より具体的には、複数の成形体が積層された状態で焼成が行なわれる場合には、成形体の周囲を取り囲むように遮蔽体を配置することが望ましい。この遮蔽体は、得たいフェライト材料と実質的に同一の組成を有する焼成体から構成することができる。
主成分とするフェライト材料の製造方法であって、主成分を含む粉末を用いて成形体を得る成形工程と、成形工程で得られた成形体を焼成する焼成工程と、を有し、焼成工程は、4.0%以下の酸素分圧の帯域を有し所定温度まで昇温する昇温過程、所定温度で保持する保持過程および保持過程の後の降温過程とを含むことを特徴としている。
本発明において、昇温過程における900℃以上の温度領域の平均昇温速度を200℃/hr以下とすることが望ましい。
また本発明において、昇温過程における900℃以上の温度領域に所定温度を維持する安定帯域を設けることが望ましい。
さらに本発明において、焼成工程において、焼成雰囲気に生じる気流の成形体への直接の衝突を遮る遮蔽体を配置することが望ましい。より具体的には、複数の成形体が積層された状態で焼成が行なわれる場合には、成形体の周囲を取り囲むように遮蔽体を配置することが望ましい。この遮蔽体は、得たいフェライト材料と実質的に同一の組成を有する焼成体から構成することができる。
遮蔽体を設置する焼成工程は、本発明で規定する組成以外のフェライト材料に適用することもできる。したがって、本発明は焼成雰囲気を形成するガスによる気流が生じている環境下に被焼成物を配置し、被焼成物を基準として気流の上流側に、被焼成物への気流の直接の衝突を遮る遮蔽体を設置することを特徴とするフェライト材料の焼成方法も提供する。
本発明によれば、高温域における飽和磁束密度が高く、コア損失が低く、ボトム温度が60℃以上にあるフェライト材料を安定して得ることができる。
はじめに、本発明における成分の限定理由を説明する。
Fe2O3の量を増加すると高温域における飽和磁束密度が向上する一方、コア損失が劣化する傾向にある。Fe2O3が62mol%より少ないと高温域における飽和磁束密度が低下する。一方、Fe2O3が68mol%を超えるとコア損失の増大が顕著となる。したがって、本発明ではFe2O3を62〜68mol%とする。この範囲では、Fe2O3量の増加に伴ってボトム温度は高温側へシフトするが、Fe2O3量が62〜68mol%の範囲内にある場合には、ボトム温度を60〜130℃の範囲に設定することができる。望ま
しいFe2O3の量は63〜67mol%、さらに望ましいFe2O3の量は63〜66mol%である。
Fe2O3の量を増加すると高温域における飽和磁束密度が向上する一方、コア損失が劣化する傾向にある。Fe2O3が62mol%より少ないと高温域における飽和磁束密度が低下する。一方、Fe2O3が68mol%を超えるとコア損失の増大が顕著となる。したがって、本発明ではFe2O3を62〜68mol%とする。この範囲では、Fe2O3量の増加に伴ってボトム温度は高温側へシフトするが、Fe2O3量が62〜68mol%の範囲内にある場合には、ボトム温度を60〜130℃の範囲に設定することができる。望ま
しいFe2O3の量は63〜67mol%、さらに望ましいFe2O3の量は63〜66mol%である。
ZnOの量も飽和磁束密度およびコア損失に影響を与える。ZnOが12mol%より少ないと飽和磁束密度が低下するとともに、損失が大きくなる。また、ZnOが20mol%を超えても飽和磁束密度が低下するとともに、損失が大きくなる。したがって、本発明ではZnOを12〜20mol%とする。ZnO量の増加に伴ってボトム温度は高温側へシフトするが、ZnO量が12〜20mol%の範囲内にある場合には、ボトム温度を60〜130℃の範囲に設定することができる。望ましいZnOの量は13〜19mol%、さらに望ましいZnOの量は14〜18mol%である。
NiOは、キュリー温度の上昇に伴い飽和磁束密度を向上させるのに有効である。但し、NiOの含有量が5mol%を超えると、損失が大きくなる。したがって本発明では、飽和磁束密度の向上および低損失という効果を享受するために、NiOを5mol%以下の範囲内で含有させる。望ましいNiOの量は0.2〜5mol%、さらに望ましいNiOの量は0.5〜4mol%である。
LiO0.5は、高温域における飽和磁束密度を向上させるのに有効である。但し、4m
ol%以上含有させると、損失が大きくなるとともに、100℃における飽和磁束密度が添加前と同等以下のレベルまで低下してしまう。したがって本発明では、LiO0.5の量
を4mol%未満とする。望ましいLiO0.5の量は0.2〜3.5mol%、さらに望
ましいLiO0.5の量は0.5〜3mol%である。
NiOおよびLiO0.5の合計量は、0.2〜5mol%とすることが望ましい。より
望ましいNiOおよびLiO0.5の合計量は、0.5〜4mol%、さらに望ましいNi
OおよびLiO0.5の合計量は、1〜3mol%である。
本発明のフェライト材料は主成分として、上記以外に実質的な残部としてMnOを含む。
ol%以上含有させると、損失が大きくなるとともに、100℃における飽和磁束密度が添加前と同等以下のレベルまで低下してしまう。したがって本発明では、LiO0.5の量
を4mol%未満とする。望ましいLiO0.5の量は0.2〜3.5mol%、さらに望
ましいLiO0.5の量は0.5〜3mol%である。
NiOおよびLiO0.5の合計量は、0.2〜5mol%とすることが望ましい。より
望ましいNiOおよびLiO0.5の合計量は、0.5〜4mol%、さらに望ましいNi
OおよびLiO0.5の合計量は、1〜3mol%である。
本発明のフェライト材料は主成分として、上記以外に実質的な残部としてMnOを含む。
本発明のフェライト材料は、以上の主成分の他に以下説明する副成分を含むことができる。
本発明のフェライト材料は、第1副成分としてSiをSiO2換算で250ppm以下
(但し、0を含まず)およびCaをCaCO3換算で2500ppm以下(但し、0を含
まず)の範囲内で含むことができる。SiおよびCaは、結晶粒界に偏析して高抵抗層を形成して低損失に寄与するとともに焼結助剤として焼結密度を向上する効果を有する。SiがSiO2換算で250ppmを超え、あるいはCaがCaCO3換算で2500ppmを超えると、不連続異常粒成長による損失の劣化が大きい。そこで本発明では、SiをSiO2換算で250ppm以下、CaをCaCO3換算で2500ppm以下とする。一方、SiがSiO2換算で80ppm未満、あるいはCaがCaCO3換算で800ppm未満では上記効果を十分に得ることができないため、SiはSiO2換算で80ppm以上
、CaはCaCO3換算で800ppm以上、含有させることが望ましい。さらに望まし
いSiおよびCaの含有量はSiはSiO2換算で80〜200ppm、CaはCaCO3換算で1000〜1800ppm、より望ましいSiおよびCaの含有量はSiはSiO2換算で80〜150ppm、CaはCaCO3換算で1200〜1700ppmである。
低損失に寄与し、かつ焼結助剤として焼結密度を向上する効果を有するとともに、所定量のSiおよびCaの含有は、高温域における飽和磁束密度の向上にも有効に寄与する。
本発明のフェライト材料は、第1副成分としてSiをSiO2換算で250ppm以下
(但し、0を含まず)およびCaをCaCO3換算で2500ppm以下(但し、0を含
まず)の範囲内で含むことができる。SiおよびCaは、結晶粒界に偏析して高抵抗層を形成して低損失に寄与するとともに焼結助剤として焼結密度を向上する効果を有する。SiがSiO2換算で250ppmを超え、あるいはCaがCaCO3換算で2500ppmを超えると、不連続異常粒成長による損失の劣化が大きい。そこで本発明では、SiをSiO2換算で250ppm以下、CaをCaCO3換算で2500ppm以下とする。一方、SiがSiO2換算で80ppm未満、あるいはCaがCaCO3換算で800ppm未満では上記効果を十分に得ることができないため、SiはSiO2換算で80ppm以上
、CaはCaCO3換算で800ppm以上、含有させることが望ましい。さらに望まし
いSiおよびCaの含有量はSiはSiO2換算で80〜200ppm、CaはCaCO3換算で1000〜1800ppm、より望ましいSiおよびCaの含有量はSiはSiO2換算で80〜150ppm、CaはCaCO3換算で1200〜1700ppmである。
低損失に寄与し、かつ焼結助剤として焼結密度を向上する効果を有するとともに、所定量のSiおよびCaの含有は、高温域における飽和磁束密度の向上にも有効に寄与する。
また、SiとCaを複合添加する場合には、Si、CaをそれぞれSiO2換算、Ca
CO3換算でSiO2/CaCO3(重量比)が0.04〜0.25、より望ましくは0.
05〜0.2の範囲になるように設定することが有効である。
CO3換算でSiO2/CaCO3(重量比)が0.04〜0.25、より望ましくは0.
05〜0.2の範囲になるように設定することが有効である。
本発明は第2副成分として、Nb2O5:400ppm以下(但し、0を含まず)、ZrO2:1000ppm以下(但し、0を含まず)、Ta2O5:1000ppm以下(但し
、0を含まず)、In2O5:1000ppm以下(但し、0を含まず)、Ga2O5:1000ppm以下(但し、0を含まず)の1種又は2種以上を含むことができる。これらの第2副成分を含有することによって、飽和磁束密度の向上および/または損失低減という効果を得ることができる。
、0を含まず)、In2O5:1000ppm以下(但し、0を含まず)、Ga2O5:1000ppm以下(但し、0を含まず)の1種又は2種以上を含むことができる。これらの第2副成分を含有することによって、飽和磁束密度の向上および/または損失低減という効果を得ることができる。
本発明は第3副成分として、SnO2:10000ppm以下(但し、0を含まず)お
よびTiO2:10000ppm以下(但し、0を含まず)の1種又は2種を含むことが
できる。SnO2およびTiO2は、結晶粒内、結晶粒界に存在し損失低減の効果がある。10000ppmを超えると、不連続異常粒成長による損失の劣化や飽和磁束密度の低下を招く。そのために本発明では、SnO2およびTiO2の上限値を各々10000ppmとする。一方、以上の効果を十分享受するためには、第3副成分を500ppm以上含有させることが望ましい。さらに望ましいSnO2およびTiO2の量は1000〜8000ppm、より望ましいSnO2およびTiO2の含有量は1000〜7000ppmである。なお、第3副成分を複合して添加する場合、添加量の合計は10000ppm以下とすることが望ましい。
よびTiO2:10000ppm以下(但し、0を含まず)の1種又は2種を含むことが
できる。SnO2およびTiO2は、結晶粒内、結晶粒界に存在し損失低減の効果がある。10000ppmを超えると、不連続異常粒成長による損失の劣化や飽和磁束密度の低下を招く。そのために本発明では、SnO2およびTiO2の上限値を各々10000ppmとする。一方、以上の効果を十分享受するためには、第3副成分を500ppm以上含有させることが望ましい。さらに望ましいSnO2およびTiO2の量は1000〜8000ppm、より望ましいSnO2およびTiO2の含有量は1000〜7000ppmである。なお、第3副成分を複合して添加する場合、添加量の合計は10000ppm以下とすることが望ましい。
本発明は第4副成分として、P換算でのPの化合物:35ppm以下(但し、0を含まず)、MoO3:1000ppm以下(但し、0を含まず)、V2O5:1000ppm以
下(但し、0を含まず)、GeO2:1000ppm以下(但し、0を含まず)、Bi2O3:1000ppm以下(但し、0を含まず)、Sb2O3:3000ppm以下(但し、
0を含まず)の1種又は2種以上を含むことができる。第4副成分は、焼結助剤として焼結密度を向上させる効果を有するとともに、低温焼成に寄与する。その効果を十分に享受するためには、MoO3、V2O5、GeO2、Bi2O3、Sb2O3は50ppm以上、P換算でのPの化合物は5ppm以上含有されることが望ましい。なお、第4副成分を複合して添加する場合、添加量の合計は2500ppm以下とすることが望ましい。
下(但し、0を含まず)、GeO2:1000ppm以下(但し、0を含まず)、Bi2O3:1000ppm以下(但し、0を含まず)、Sb2O3:3000ppm以下(但し、
0を含まず)の1種又は2種以上を含むことができる。第4副成分は、焼結助剤として焼結密度を向上させる効果を有するとともに、低温焼成に寄与する。その効果を十分に享受するためには、MoO3、V2O5、GeO2、Bi2O3、Sb2O3は50ppm以上、P換算でのPの化合物は5ppm以上含有されることが望ましい。なお、第4副成分を複合して添加する場合、添加量の合計は2500ppm以下とすることが望ましい。
本発明のフェライト材料は、上述した組成を適宜選択することにより、100℃における飽和磁束密度を480mT以上(測定磁界:1194A/m)、かつコア損失が最小値を示す温度であるボトム温度を60〜130℃の範囲に存在させることができる。さらに、コア損失の最小値を1300kW/m3以下(測定条件:100kHz、200mT)
とすることができる。特に、望ましい組成を選択することにより、コア損失の最小値を1200kW/m3以下(測定条件:100kHz、200mT)としつつ、100℃にお
ける飽和磁束密度が500mT以上(測定磁界:1194A/m)という従来では得ることのできなかった特性を得ることもできる。ボトム温度については、望ましくは70〜120℃、さらに望ましくは80〜120℃の範囲に設定することができる。したがって、本発明のフェライト材料を用いたフェライト部品は、その実用的な使用温度帯域にボトム温度が存在することになる。しかも本発明のフェライト材料は、室温における初透磁率が600、さらには700以上という高い値を有している。
とすることができる。特に、望ましい組成を選択することにより、コア損失の最小値を1200kW/m3以下(測定条件:100kHz、200mT)としつつ、100℃にお
ける飽和磁束密度が500mT以上(測定磁界:1194A/m)という従来では得ることのできなかった特性を得ることもできる。ボトム温度については、望ましくは70〜120℃、さらに望ましくは80〜120℃の範囲に設定することができる。したがって、本発明のフェライト材料を用いたフェライト部品は、その実用的な使用温度帯域にボトム温度が存在することになる。しかも本発明のフェライト材料は、室温における初透磁率が600、さらには700以上という高い値を有している。
次に、本発明によるフェライト材料にとって好適な製造方法を説明する。
主成分の原料としては、酸化物または加熱により酸化物となる化合物の粉末を用いる。具体的には、Fe2O3粉末、Mn3O4粉末、ZnO粉末、NiO粉末およびLi2CO3粉末等を用いることができる。各原料粉末の平均粒径は0.1〜3.0μmの範囲で適宜選択すればよい。
主成分の原料粉末を湿式混合した後、仮焼きを行なう。仮焼きの温度は800〜1000℃の範囲内での所定温度で、また雰囲気はN2または大気とすればよい。仮焼きの安定時間は0.5〜5.0時間の範囲で適宜選択すればよい。仮焼き後、仮焼き体を例えば、平均粒径0.5〜2.0μm程度まで粉砕する。なお、本発明では、上述の主成分の原料
に限らず、2種以上の金属を含む複合酸化物の粉末を主成分の原料としてもよい。例えば、塩化鉄、塩化マンガンを含有する水溶液を酸化培焼することによりFe、Mnを含む複合酸化物の粉末が得られる。この粉末とZnO粉末を混合して主成分原料としてもよい。このような場合には、仮焼きは不要である。
主成分の原料としては、酸化物または加熱により酸化物となる化合物の粉末を用いる。具体的には、Fe2O3粉末、Mn3O4粉末、ZnO粉末、NiO粉末およびLi2CO3粉末等を用いることができる。各原料粉末の平均粒径は0.1〜3.0μmの範囲で適宜選択すればよい。
主成分の原料粉末を湿式混合した後、仮焼きを行なう。仮焼きの温度は800〜1000℃の範囲内での所定温度で、また雰囲気はN2または大気とすればよい。仮焼きの安定時間は0.5〜5.0時間の範囲で適宜選択すればよい。仮焼き後、仮焼き体を例えば、平均粒径0.5〜2.0μm程度まで粉砕する。なお、本発明では、上述の主成分の原料
に限らず、2種以上の金属を含む複合酸化物の粉末を主成分の原料としてもよい。例えば、塩化鉄、塩化マンガンを含有する水溶液を酸化培焼することによりFe、Mnを含む複合酸化物の粉末が得られる。この粉末とZnO粉末を混合して主成分原料としてもよい。このような場合には、仮焼きは不要である。
同様に副成分の原料として、酸化物または加熱により酸化物となる化合物の粉末を用いることもできる。具体的には、SiO2、CaCO3、Nb2O5、ZrO2、Ta2O5、I
n2O5、Ga2O5、SnO2、TiO2、MoO3、V2O5、GeO2、Bi2O3、Sb2O3等を用いることができる。また、第4副成分としてP化合物を選択する場合には、加熱によりP化合物が得られる粉末、例えば(Ca3(PO4)2)等を用いることができる。こ
れら副成分の原料粉末は、仮焼き後に粉砕された主成分の粉末と混合される。但し、主成分の原料粉末と混合した後に、主成分とともに仮焼きに供することもできる。
n2O5、Ga2O5、SnO2、TiO2、MoO3、V2O5、GeO2、Bi2O3、Sb2O3等を用いることができる。また、第4副成分としてP化合物を選択する場合には、加熱によりP化合物が得られる粉末、例えば(Ca3(PO4)2)等を用いることができる。こ
れら副成分の原料粉末は、仮焼き後に粉砕された主成分の粉末と混合される。但し、主成分の原料粉末と混合した後に、主成分とともに仮焼きに供することもできる。
主成分および副成分からなる混合粉末は、後の成形工程を円滑に実行するために顆粒に造粒される。造粒は例えばスプレードライヤを用いて行なうことができる。混合粉末に適当な結合材、例えばポリビニルアルコール(PVA)を少量添加し、これをスプレードライヤで噴霧、乾燥する。得られる顆粒の粒径は80〜200μm程度とすることが望ましい。
得られた顆粒は、例えば所定形状の金型を有するプレスを用いて所望の形状に成形され、この成形体は焼成工程に供される。
焼成工程は、図1(a)に示すように、所定の温度まで昇温する昇温過程(I)、昇温過程(I)に続く所定温度に所定時間保持する保持過程(II)と、保持過程(II)の後に行われる降温過程(III)を含んでいる。
本発明は、昇温過程(I)に酸素分圧を4.0%以下となる帯域を設ける。この帯域は、昇温過程(I)の全域であっても、その一部であっても良い。一部の場合は、500℃以上の温度範囲とするのがよい。昇温過程(I)における酸素分圧が4.0%を超えると、焼成後において密度が十分に向上せずに高い飽和磁束密度を得ることができないからである。望ましい酸素分圧は3.0%以下、更に望ましい酸素分圧は2.5%以下である。
また本発明は、昇温過程(I)における平均昇温速度を200℃/hr以下とする。平均昇温速度が200℃/hrを超えると高い飽和磁束密度を得ることができないからである。望ましい平均昇温速度は150℃/hr以下、さらに望ましい平均昇温速度は100℃/hr以下である。なお、昇温の初期から平均昇温速度を200℃/hr以下とすることもできるが、高い飽和磁束密度を得るという効果は900℃以上の温度領域での昇温速度を平均で200℃/hr以下とすることにより顕著に得られる。したがって、焼成工程の長時間化を避けるために、900℃以上の温度域における平均昇温速度を200℃/hr以下とすることが望ましい。
焼成工程は、図1(a)に示すように、所定の温度まで昇温する昇温過程(I)、昇温過程(I)に続く所定温度に所定時間保持する保持過程(II)と、保持過程(II)の後に行われる降温過程(III)を含んでいる。
本発明は、昇温過程(I)に酸素分圧を4.0%以下となる帯域を設ける。この帯域は、昇温過程(I)の全域であっても、その一部であっても良い。一部の場合は、500℃以上の温度範囲とするのがよい。昇温過程(I)における酸素分圧が4.0%を超えると、焼成後において密度が十分に向上せずに高い飽和磁束密度を得ることができないからである。望ましい酸素分圧は3.0%以下、更に望ましい酸素分圧は2.5%以下である。
また本発明は、昇温過程(I)における平均昇温速度を200℃/hr以下とする。平均昇温速度が200℃/hrを超えると高い飽和磁束密度を得ることができないからである。望ましい平均昇温速度は150℃/hr以下、さらに望ましい平均昇温速度は100℃/hr以下である。なお、昇温の初期から平均昇温速度を200℃/hr以下とすることもできるが、高い飽和磁束密度を得るという効果は900℃以上の温度領域での昇温速度を平均で200℃/hr以下とすることにより顕著に得られる。したがって、焼成工程の長時間化を避けるために、900℃以上の温度域における平均昇温速度を200℃/hr以下とすることが望ましい。
ここで、昇温過程(I)は、図1(a)に示すように温度が一定の昇温速度で連続的に上昇する場合に限らず、図1(b)に示すように所定温度を所定時間維持する安定帯域(Ia)を設けることもできる。後述する実施例に示すように、安定帯域を設けることにより飽和磁束密度のさらなる向上を図ることができる。また、安定帯域は図1(c)に示すように複数設ける(Ia、Ib)ことも有効である。
昇温過程(I)に続いて保持過程(II)に移行する。ここで、保持過程(II)における保持温度を本願明細書では焼成温度と呼ぶことにする。
焼成温度は1250〜1450℃の範囲から適宜選択することができるが、本発明のフェライト材料の効果を十分引き出すには、1300〜1400℃の範囲で焼成することが望ましい。また本発明では、このときの雰囲気(焼成雰囲気)の酸素分圧を2.0%以下、望ましくは1.0%以下、さらに望ましくは0.5%以下とする。保持過程(II)における保持時間は、2〜10時間の範囲で適宜選択すればよい。
焼成温度は1250〜1450℃の範囲から適宜選択することができるが、本発明のフェライト材料の効果を十分引き出すには、1300〜1400℃の範囲で焼成することが望ましい。また本発明では、このときの雰囲気(焼成雰囲気)の酸素分圧を2.0%以下、望ましくは1.0%以下、さらに望ましくは0.5%以下とする。保持過程(II)における保持時間は、2〜10時間の範囲で適宜選択すればよい。
保持過程(II)が終了すると降温過程(III)に移行する。降温過程(III)は図1(a)〜(c)に示すように、一定の降温速度で連続的に温度を降下させることもできるし、昇温過程(I)と同様に安定帯域を設けることもできる。
焼成炉内には被焼成物である成形体が複数積層された状態で配置される。この状態を模式的に示したのが図2(a)である。本発明者等の検討によると、図2(a)に示すように成形体Gを積層して焼成すると、例えば上段に位置する成形体Gから得られた焼成体と、中段に位置する成形体Gから得られた焼成体とで初透磁率及びコア損失に差異があり、特性がばらつくことがわかった。
ところで焼成は、焼成炉内に所定のガスを導入しつつ行われる。例えば、上述した酸素分圧となるように制御された窒素ガスを焼成炉内に導入しつつ焼成工程は実施される。このとき、焼成炉内には焼成雰囲気を形成するための窒素ガスによる気流(図2(a)に矢印で示す)が生じる。本発明者等は、この気流が生じることによる焼成炉内の温度ばらつき、また、気流によるZnの蒸発等が焼成後の特性のばらつきの原因と推測した。そこで、気流が成形体Gに直接衝突しないように、図2(b)に示す気流の障害物となる遮蔽体Pを設けたところ、特性のばらつきを低減することができた。
ところで焼成は、焼成炉内に所定のガスを導入しつつ行われる。例えば、上述した酸素分圧となるように制御された窒素ガスを焼成炉内に導入しつつ焼成工程は実施される。このとき、焼成炉内には焼成雰囲気を形成するための窒素ガスによる気流(図2(a)に矢印で示す)が生じる。本発明者等は、この気流が生じることによる焼成炉内の温度ばらつき、また、気流によるZnの蒸発等が焼成後の特性のばらつきの原因と推測した。そこで、気流が成形体Gに直接衝突しないように、図2(b)に示す気流の障害物となる遮蔽体Pを設けたところ、特性のばらつきを低減することができた。
遮蔽体Pは、図2(b)に示すように、少なくとも、成形体Gを基準として気流の上流側に設ければよいが、最も望ましくは図2(c)に示すように成形体Gを取り囲むように配設する。ただし、遮蔽体Pにより成形体Gを気密に取り囲むことは避けなければならない。焼成が進行しがたくなるからである。なお、遮蔽体Pは成形体Gを焼成して得られるフェライト材料と同一の組成を有する焼成体を用いるのが望ましい。焼成雰囲気に悪影響を与えることがないからである。
以上のようにして得られるフェライト材料は、93%以上、さらに望ましくは95%以上の相対密度を得ることができる。
また、その平均結晶粒径は5〜30μmの範囲とすることが望ましい。結晶粒径が小さいとヒステリシス損失が大きくなり、一方結晶粒径が大きいと渦電流損失が大きくなるからである。望ましい平均結晶粒径は8〜25μm、より望ましい平均結晶粒径は10〜20μmである。
また、その平均結晶粒径は5〜30μmの範囲とすることが望ましい。結晶粒径が小さいとヒステリシス損失が大きくなり、一方結晶粒径が大きいと渦電流損失が大きくなるからである。望ましい平均結晶粒径は8〜25μm、より望ましい平均結晶粒径は10〜20μmである。
主成分の原料として、Fe2O3粉末:65.6mol%、MnO粉末:18.9mol%、ZnO粉末:14.0mol%及びNiO粉末:1.5mol%を用意し、湿式混合した後、850℃で3時間仮焼きした。
次に仮焼体を粉砕して比表面積(SSA)が3.1m2/g、90%径が3.2μmの
粉砕粉末を得た。この粉砕粉末にバインダを加え、顆粒化した後、成形してトロイダル形状の成形体を得た。
次に仮焼体を粉砕して比表面積(SSA)が3.1m2/g、90%径が3.2μmの
粉砕粉末を得た。この粉砕粉末にバインダを加え、顆粒化した後、成形してトロイダル形状の成形体を得た。
得られた成形体を、300℃/hrの速度で900℃まで昇温し、さらに150℃/hrの速度で1350℃まで昇温し、その後5時間保持することにより焼成してフェライトコアを作製した。なお、900〜1350℃の温度範囲の酸素分圧を0%、1.0%、3.0%及び5.0%、1350℃保持の酸素分圧を1.0%として、4種類のフェライトコアを作製した。なお、焼成における昇温過程の酸素分圧及び保持過程の酸素分圧は、焼成炉内に上記酸素分圧に制御された窒素ガスを流入することにより設定した。このフェラ
イトコアについて、100℃、測定磁界:1194A/mにおける飽和磁束密度(Bs)を測定した。また、フェライトコアの密度を測定した。その結果を表1に示す。表1には、ボトム温度におけるコア損失(Pcv)、ボトム温度(B.Temp.)及び25℃における初透磁率(μi)の測定結果を併せて示しておく。
表1に示すように、酸素分圧が低くなるにつれて飽和磁束密度(Bs)が向上することがわかる。酸素分圧が低くなるにつれて密度も向上しており、これが飽和磁束密度(Bs)、向上の要因と解される。
以上の結果より、本発明では焼成工程における900℃以上の昇温過程の酸素分圧を4.0%以下とすることを推奨する。望ましい酸素分圧は2.5%以下、さらに望ましい酸素分圧は1.0%以下である。
イトコアについて、100℃、測定磁界:1194A/mにおける飽和磁束密度(Bs)を測定した。また、フェライトコアの密度を測定した。その結果を表1に示す。表1には、ボトム温度におけるコア損失(Pcv)、ボトム温度(B.Temp.)及び25℃における初透磁率(μi)の測定結果を併せて示しておく。
表1に示すように、酸素分圧が低くなるにつれて飽和磁束密度(Bs)が向上することがわかる。酸素分圧が低くなるにつれて密度も向上しており、これが飽和磁束密度(Bs)、向上の要因と解される。
以上の結果より、本発明では焼成工程における900℃以上の昇温過程の酸素分圧を4.0%以下とすることを推奨する。望ましい酸素分圧は2.5%以下、さらに望ましい酸素分圧は1.0%以下である。
第1実施例と同様にしてトロイダル形状の成形体を得た。
得られた成形体を、表2に示す昇温条件を適用して焼成を行なって7種類のフェライトコアを作製した。なお、焼成は炉内単位体積当りの焼成処理量(成形体の個数)が第1実施例よりも多く、かつ成形体を3段に積層した状態で行なった。なお、Mn−Znフェライトは、焼成の昇温過程において酸素を放出するため、単位体積当りの焼成処理量が多くなると磁気特性が低下する傾向にある。このフェライトコアについて、100℃、測定磁界:1194A/mにおける飽和磁束密度(Bs)を測定した。また、フェライトコアの密度を測定した。その結果を表2にあわせて示す。なお、この測定結果は、後述する焼結体ブロックによる囲いを設けない状態のものである。
表2における昇温速度とは900〜1350℃における昇温速度をいう。ただし、900℃までの昇温速度が300℃/hrである実施例8、900℃までの昇温速度が100℃/hrである実施例9を除いて、他の実施例は900℃までの昇温速度も表2に記載された昇温速度を採用している。また、表2における安定帯域とは900〜1350℃の昇温過程において所定温度に所定時間に保持することをいう。例えば、実施例8の場合、300℃/hrの速度で900℃まで昇温、75℃/hrの速度で900℃から1200℃まで昇温、引き続いて1200℃で1hr保持、1hr経過後に75℃/hrの速度で1350℃まで昇温、1350℃で5hr保持するというパターンで焼成を行なう。表2に示される実施例の焼成パターンの一例を図3に示しておく。なお、焼成における昇温過程の酸素分圧は0%、保持過程の酸素分圧は1.0%であり、これは焼成炉内に上記酸素分圧に制御された窒素ガスを流入することにより設定した。
得られた成形体を、表2に示す昇温条件を適用して焼成を行なって7種類のフェライトコアを作製した。なお、焼成は炉内単位体積当りの焼成処理量(成形体の個数)が第1実施例よりも多く、かつ成形体を3段に積層した状態で行なった。なお、Mn−Znフェライトは、焼成の昇温過程において酸素を放出するため、単位体積当りの焼成処理量が多くなると磁気特性が低下する傾向にある。このフェライトコアについて、100℃、測定磁界:1194A/mにおける飽和磁束密度(Bs)を測定した。また、フェライトコアの密度を測定した。その結果を表2にあわせて示す。なお、この測定結果は、後述する焼結体ブロックによる囲いを設けない状態のものである。
表2における昇温速度とは900〜1350℃における昇温速度をいう。ただし、900℃までの昇温速度が300℃/hrである実施例8、900℃までの昇温速度が100℃/hrである実施例9を除いて、他の実施例は900℃までの昇温速度も表2に記載された昇温速度を採用している。また、表2における安定帯域とは900〜1350℃の昇温過程において所定温度に所定時間に保持することをいう。例えば、実施例8の場合、300℃/hrの速度で900℃まで昇温、75℃/hrの速度で900℃から1200℃まで昇温、引き続いて1200℃で1hr保持、1hr経過後に75℃/hrの速度で1350℃まで昇温、1350℃で5hr保持するというパターンで焼成を行なう。表2に示される実施例の焼成パターンの一例を図3に示しておく。なお、焼成における昇温過程の酸素分圧は0%、保持過程の酸素分圧は1.0%であり、これは焼成炉内に上記酸素分圧に制御された窒素ガスを流入することにより設定した。
表2に示すように、実施例4に比べて実施例5、さらには実施例6の飽和磁束密度(Bs)が高いことから、昇温速度が遅い方が高い飽和磁束密度(Bs)を得るのに有利であることがわかる。また、実施例7〜9より、昇温過程に安定帯域を設けることにより、さらなる飽和磁束密度(Bs)向上効果があることがわかった。ここで、実施例9は900℃までは比較例2と同様に300℃/hrの速度で昇温していることから、低い昇温速度、具体的には200℃/hr以下の昇温速度は900℃以上の温度範囲で採用すればよいことがわかる。さらに、実施例10に示すように、安定帯域を2段階設けることにより、飽和磁束密度(Bs)をより向上することができる。
実施例4、実施例6、実施例8及び実施例10については、図2(c)に示すように成形体Gの周囲を本実施例と同組成の焼結体ブロックで囲った状態で焼成を行なったフェライトコアに関し、成形体Gの周囲を焼結体ブロックで囲わずに焼成したフェライトコアとともに、初透磁率(μi)及びコア損失(Pcv)を測定した。3段に積まれたフェライトコアの中で、上段と中段のフェライトコアの初透磁率(μi)及びコア損失(Pcv)のばらつき(変化率)を求めた。その結果を表2に示す。
表2に示すように、囲いをして焼成すると、囲いをしないで焼成した場合に比べて、初透磁率(μi)及びボトム温度におけるコア損失(Pcv)のばらつきが小さくなることがわかる。
表2に示すように、囲いをして焼成すると、囲いをしないで焼成した場合に比べて、初透磁率(μi)及びボトム温度におけるコア損失(Pcv)のばらつきが小さくなることがわかる。
第1実施例と同様にして表3に示すフェライトコアを作製し、100℃における飽和磁束密度(Bs)、ボトム温度におけるコア損失(Pcv)、ボトム温度(B.Temp.)及び初透磁率(μi)を測定した。その結果を表3に示すが、種々の組成について本発明を適用できることがわかる。なお、昇温過程である900〜1350℃の温度範囲の酸素分圧は0%とした。
昇温過程の雰囲気を表4に示すようにした以外、実施例1と同様にしてフェライトコアを作製し、100℃における飽和磁束密度(Bs)、ボトム温度におけるコア損失(Pcv)、ボトム温度(B.Temp.)及び初透磁率(μi)を測定した。その結果を表4に示すが、より低温域から酸素分圧を0%とすることが有効であるが、500℃以上の温度から低酸素分圧とすることにより本発明の効果が得られることがわかる。
Claims (7)
- Fe2O3:62〜68mol%、ZnO:12〜20mol%、NiO:5mol%以下(但し、0%を含む)及びLiO0.5:4mol%未満(但し、0を含む)の1種又は
2種、残部実質的にMnOを主成分とするフェライト材料の製造方法であって、
前記主成分を含む粉末を用いて成形体を得る成形工程と、
前記成形工程で得られた前記成形体を焼成する焼成工程と、を有し、
前記焼成工程は、4.0%以下の酸素分圧の帯域を有し所定温度まで昇温する昇温過程、前記所定温度で保持する保持過程および前記保持過程の後の降温過程とを含むことを特徴とするフェライト材料の製造方法。 - 前記昇温過程における900℃以上の温度領域の平均昇温速度が200℃/hr以下であることを特徴とする請求項1に記載のフェライト材料の製造方法。
- 前記昇温過程における900℃以上の温度領域に所定温度を維持する安定帯域を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載のフェライト材料の製造方法。
- 前記焼成工程において、焼成雰囲気に生じる気流の前記成形体への直接の衝突を遮る遮蔽体を配置することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフェライト材料の製造方法。
- 複数の前記成形体が積層された状態で焼成が行なわれ、前記成形体の周囲を取り囲むように前記遮蔽体を配置することを特徴とする請求項4に記載のフェライト材料の製造方法。
- 前記遮蔽体は、得たいフェライト材料と実質的に同一の組成を有する焼成体から構成されることを特徴とする請求項4又は5に記載のフェライト材料の製造方法。
- 焼成雰囲気を形成するガスによる気流が生じている環境下に被焼成物を配置し、前記被焼成物を基準として前記気流の上流側に、前記被焼成物への前記気流の直接の衝突を遮る遮蔽体を設置することを特徴とするフェライト材料の焼成方法。
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JP2015006972A (ja) * | 2013-05-28 | 2015-01-15 | Tdk株式会社 | フェライト及びトランス |
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