JP2020202348A - MnZn系フェライト粉の製造方法 - Google Patents

MnZn系フェライト粉の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020202348A
JP2020202348A JP2019110377A JP2019110377A JP2020202348A JP 2020202348 A JP2020202348 A JP 2020202348A JP 2019110377 A JP2019110377 A JP 2019110377A JP 2019110377 A JP2019110377 A JP 2019110377A JP 2020202348 A JP2020202348 A JP 2020202348A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
powder
mnzn
based ferrite
ferrite powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019110377A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7247773B2 (ja
Inventor
誠 門脇
Makoto Kadowaki
誠 門脇
小湯原 徳和
Tokukazu Koyuhara
徳和 小湯原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Metals Ltd filed Critical Hitachi Metals Ltd
Priority to JP2019110377A priority Critical patent/JP7247773B2/ja
Publication of JP2020202348A publication Critical patent/JP2020202348A/ja
Priority to JP2023033502A priority patent/JP2023075218A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7247773B2 publication Critical patent/JP7247773B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compounds Of Iron (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Abstract

【課題】高周波数領域において有用な、MnZn系フェライト粉を提供する。【解決手段】53〜56モル%のFe、3〜9モル%のZn及び残部Mnを主成分とし、0.05〜0.4質量部のCoを副成分として含むMnZn系フェライト粉の製造方法であって、MnZn系フェライトの原料粉末を混合した後、混合粉を800℃〜1000℃で仮焼して仮焼粉を得る仮焼工程と、前記仮焼粉を用いて球状の造粒粉を得る造粒工程と、前記造粒粉を1050℃超1150℃未満で焼結し、150℃未満の温度まで冷却して球状のMnZn系フェライト粉を得る焼結工程と、前記MnZn系フェライト粉を熱処理する熱処理工程と、を備える。熱処理工程では、200℃以上及び(Tc−90)℃〜(Tc+100)℃を満たす温度まで加熱し、一定時間保持した後、保持温度から50℃/時間以下の速度で降温する。【選択図】図3

Description

本発明は、例えば、スイッチング電源等のトランス、チョークコイル等の機能素子である電子部品に用いるMnZn系フェライト粉の製造方法に関する。
スイッチング電源は、EV(電気自動車)、HEV(ハイブリッド電気自動車)、移動体通信機器(携帯電話、スマートフォン等)、パーソナルコンピュータ、サーバー等の電源供給が必要な様々な電子機器の電源回路で用いられる。
最近の電子機器は、小型・軽量化とともに、エネルギー効率の観点から低消費電力であることがいっそう求められるようになってきた。そのため、電子機器に使用されるDSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro−processing Unit)等のLSI(Large−Scale Integration)及び機能素子もまた小形・高性能化とともに低消費電力化が求められている。一方で、近年LSIは微細配線化によるトランジスタの高集積化に伴って、トランジスタの耐圧が低下するとともに消費電流が増加し、動作電圧の低電圧化及び大電流化が進んでいる。
LSIに電源を供給するDC−DCコンバータ等の電源回路もまた、LSIの動作電圧の低電圧化及び大電流化への対応が必要となる。例えば、LSIの動作電圧の低電圧化によって正常に動作する電圧範囲が狭くなるので、電源回路からの供給電圧の変動(リップル)によってLSIの電源電圧範囲を上回ったり下回ったりしてしまうと、LSIの不安定動作を招くため、電源回路のスイッチング周波数を高め、例えば500kHz以上のスイッチング周波数とする対策が採られるようになった。
このような電源回路の高周波化や大電流化への対応は、回路に使用するトランス、チョークコイル等の電子部品を構成する磁心を小型化するメリットもある。例えばトランスを正弦波で駆動する場合、1次側コイルへの印加電圧Ep(V)は、1次側コイルの巻線数Np、磁心の断面積A(cm)、周波数f(Hz)及び励磁磁束密度Bm(mT)を用いて式:
Ep=4.44×Np×A×f×Bm×10−7
で現される。
この式から、所定の1次側コイルへの印加電圧Epに対して、周波数(スイッチング周波数)fを高くすれば、磁心の断面積Aを小さくできて小型となることがわかる。また、大電流化に伴って最大励磁磁束密度(以下、励磁磁束密度という)Bmが高くなるのでいっそう磁心は小型化する。
高周波数領域において高励磁磁束密度で動作し、かつ小型化に好適な磁心には、MnZn系フェライトが磁性材料として主に用いられる。MnZn系フェライトはNi系フェライト等と比較して初透磁率や飽和磁束密度が大きく、Fe系、Co系アモルファスや純鉄、Fe−Si、Fe−Ni、Fe−Si−Cr、Fe−Si−Al等の金属系の磁性材料を使用する磁心等と比較しても磁心損失が小さいといった特徴を有している。磁心損失が小さいことは電源回路の消費電力を抑える点で有利である。
この高周波数領域用のMnZn系フェライト磁心に関する記載が特許文献1にある。
国際公開2017/164351号公報
特許文献1には、1〜5MHzの高周波数領域で優れた磁気特性が得られるMnZn系フェライト磁心に関する記載がある。しかしながら、特許文献1では、焼結体からなる磁心に関する記載のみである。焼結体からなる磁心の場合、形成できる形状にある程度制限があり、自由な形態の磁心を得るには課題があった。
このため、500kHz以上の高周波、特に1〜5MHzの高周波数領域で利用可能なMnZn系フェライト粉が求められているが、それを得る方法は、明らかとはなっていなかった。
したがって本発明の目的は、500kHz以上、特に1〜5MHzの高周波数領域において、有用なMnZn系フェライト粉が得られる、MnZn系フェライト粉の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> Fe換算で53〜56モル%のFe、ZnO換算で3〜9モル%のZn及びMnO換算で残部Mnを主成分として含み、前記酸化物換算での前記主成分の合計100質量部に対して、Co換算で0.05〜0.4質量部のCoを副成分として含むMnZn系フェライト粉の製造方法であって、
MnZn系フェライトの原料粉末を混合した後、
混合粉を800℃〜1000℃で仮焼して仮焼粉を得る仮焼工程と、
前記仮焼粉を粉砕して粉砕粉を得る粉砕工程と、
前記粉砕粉を造粒し、造粒粉を得る造粒工程と、
前記造粒粉を1050℃超1150℃未満で焼結し、150℃未満の温度まで冷却して、粒状のMnZn系フェライト粉を得る焼結工程と、
前記粒状のMnZn系フェライト粉を熱処理する熱処理工程と、を備え、前記熱処理工程が、
条件1:200℃以上、及び
条件2:(Tc−90)℃〜(Tc+100)℃[ただし、Tcは前記MnZn系フェライトの主成分に含まれるFe及びZnOのモル%から計算により求められるキュリー温度(℃)である。]
を満たす温度まで加熱し、一定時間保持した後、前記一定時間保持した温度から50℃/時間以下の速度で降温する熱処理工程であることを特徴とするMnZn系フェライト粉の製造方法。
<2> 前記MnZn系フェライト粉は、乾式ふるい分け試験法で測定された平均粒径が20μm〜200μmである、<1>に記載のMnZn系フェライト粉の製造方法。
<3> 前記MnZn系フェライト粉は、前記酸化物換算での前記主成分の合計100質量部に対して、副成分として更に、SiO換算で0.003〜0.015質量部のSi、CaCO換算で0.06〜0.3質量部のCa、V換算で0〜0.1質量部のV、並びに合計で0〜0.3質量部のNb(Nb換算)及び/又はTa(Ta換算)を含む、<1>または<2>に記載のMnZn系フェライト粉の製造方法。
<4> 前記焼結工程は、昇温工程と、高温保持工程と、降温工程とを有し、
前記高温保持工程は、保持温度が1050℃超1150℃未満で、雰囲気中の酸素濃度が0.4〜2体積%であり、
前記降温工程中、900℃から400℃まで降温させる際の酸素濃度を0.001〜0.2体積%の範囲とし、(Tc+70)℃から100℃までの間の降温速度を50℃/時間以上とする、<1>〜<3>のいずれかに記載のMnZn系フェライト粉の製造方法。
<5> 前記降温工程中、前記保持温度から100℃までの間の降温速度を50℃/時間以上とする、<4>に記載のMnZn系フェライト粉の製造方法。
本発明によれば、500kHz以上の高周波数領域において、有用なMnZn系フェライト粉が得られる。
実施例の熱処理工程の電気炉内の温度履歴を示す図である。 実施例のMnZn系フェライト粉の粒度分布である。 実施例のMnZn系フェライト粉のマイクロスコープ写真である。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。本明細書において段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は、以下に記載の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で適宜変更可能である。
本発明の一実施形態は、Fe換算で53〜56モル%のFe、ZnO換算で3〜9モル%のZn及びMnO換算で残部Mnを主成分として含み、前記酸化物換算での前記主成分の合計100質量部に対して、Co換算で0.05〜0.4質量部のCoを副成分として含むMnZn系フェライト粉の製造方法であって、
MnZn系フェライトの原料粉末を混合した後、
混合粉を800℃〜1000℃で仮焼して仮焼粉を得る仮焼工程と、
前記仮焼粉を粉砕して粉砕粉を得る粉砕工程と、
前記粉砕粉を造粒し、造粒粉を得る造粒工程と、
前記造粒粉を1050℃超1150℃未満で焼結し、150℃未満の温度まで冷却して、粒状のMnZn系フェライト粉を得る焼結工程と、
前記粒状のMnZn系フェライト粉を熱処理する熱処理工程と、を備え、前記熱処理工程が、
条件1:200℃以上、及び
条件2:(Tc−90)℃〜(Tc+100)℃[ただし、Tcは前記MnZn系フェライトの主成分に含まれるFe及びZnOのモル%から計算により求められるキュリー温度(℃)である。]
を満たす温度まで加熱し、一定時間保持した後、前記一定時間保持した温度から50℃/時間以下の速度で降温する熱処理工程であることを特徴とするMnZn系フェライト粉の製造方法である。
[1]組成
この実施形態のMnZn系フェライトの組成について、以下に記載する。
MnZn系フェライトはFe、Zn及びMnを所定の範囲として、所望の初透磁率、飽和磁束密度等の磁気特性を得る。更に、副成分としてCoを加えて結晶磁気異方性定数の調整を行うことで、磁心損失の温度特性を改善することができる。
本実施形態のMnZn系フェライトは、主成分としてFe、Zn及びMnを含み、副成分として少なくともCoを含み、前記主成分が、Fe換算で53〜56モル%のFe、ZnO換算で3〜9モル%のZn及びMnO換算で残部Mnからなり、前記副成分が、前記酸化物換算での主成分の合計100質量部に対して、Co換算で0.05〜0.4質量部のCoを含む。副成分は、更に、前記酸化物換算での主成分の合計100質量部に対して、SiO換算で0.003〜0.015質量部のSi、CaCO換算で0.06〜0.3質量部のCa、V換算で0〜0.1質量部のV、並びに合計で0〜0.3質量部のNb(Nb換算)及び/又はTa(Ta換算)を含んでもよい。
FeはCoとともに磁心損失の温度特性を制御する効果を有し、量が少なすぎると、磁心損失が極小となる温度が高温になりすぎ、量が多すぎると、磁心損失が極小となる温度が低温になりすぎ、磁心損失が極小となる温度を20〜100℃の間とするのが困難で、0〜120℃における磁心損失が劣化する。Fe含有量が、Fe換算で53〜56モル%の間であれば、1MHz以上の高周波数領域で低損失とすることができる。Fe含有量は、更に好ましくはFe換算で54〜55モル%である。
Znは透磁率の周波数特性を制御する効果を有し、磁心損失においては磁壁共鳴などの損失に係る残留損失の制御に特に影響を及ぼし、量が少ないほどより高周波数領域での磁心損失が低くなる。Zn含有量が、ZnO換算で3〜9モル%であれば1MHz以上の高周波数領域、特に3MHzまでの高周波数領域で低損失とすることができる。Zn含有量は、更に好ましくはZnO換算で5〜8モル%である。
MnはMnO換算で残部となる。
Fe及びZnOのモル%から計算により求められるキュリー温度(Tc)は、Fe含有量及びZn含有量が上記範囲であれば250〜330℃の範囲となり実用上差し支えのない温度である。
本実施形態のMnZn系フェライトは、副成分として少なくともCoを含む。Co2+はFe2+とともに正の結晶磁気異方性定数K1を有する金属イオンとして、磁心損失が最小となる温度を調整する効果を有し、更にFe2+に比べ大きな結晶磁気異方性定数K1を有することから、磁心損失の温度依存性を改善するのに有効な元素である。量が少なすぎると温度依存性を改善する効果が少なく、量が多すぎると低温度域での損失の増加が著しく、実用上好ましくない。またCo含有量が前記酸化物換算での前記主成分の合計100質量部に対してCo換算で0.05〜0.4質量部であれば、熱処理によってFe2+イオンとともにCo2+イオンを再配列させ誘導磁気異方性を制御することにより、実用温度範囲で磁心損失をいっそう低減でき、かつ温度依存性を改善することができる。Co含有量は、更に好ましくはCo換算で0.1〜0.3質量部である。
副成分として更にCa及びSiを含むのが好ましい。Siは粒界に偏析し粒界抵抗を高め、渦電流損失を低減し、もって高周波数領域における磁心損失を低減させる効果を有し、量が少なすぎると粒界抵抗を高める効果が少なく、量が多すぎると逆に結晶の肥大化を誘発し磁心損失を劣化させる。Si含有量が、前記酸化物換算での前記主成分の合計100質量部に対してSiO換算で0.003〜0.015質量部であれば渦電流損失を低減するに十分な粒界抵抗を確保でき、1MHz以上の高周波数領域で低損失とすることができる。Si含有量は、更に好ましくはSiO換算で0.005〜0.01質量部である。
CaはSiと同様に粒界に偏析し、粒界抵抗を高め、渦電流損失を低減させ、もって高周波数領域における磁心損失を低減させる効果を有する。量が少なすぎると粒界抵抗を高める効果が少なく、量が多すぎると逆に結晶の肥大化を誘発し磁心損失を劣化させる。Ca含有量が、前記酸化物換算での前記主成分の合計100質量部に対してCaCO換算で0.06〜0.3質量部であれば渦電流損失を低減するのに十分な粒界抵抗を確保でき、1MHz以上の高周波数領域で低損失とすることができる。Ca含有量は、更に好ましくはCaCO換算で0.06〜0.2質量部である。
副成分として更に5a族金属のV、Nb又Taを含んでも良い(5a族金属とはV、Nb及びTaからなる群から選ばれた少なくとも一種であり、以下総称して5a族と呼ぶ)。5a族金属はSi及びCaとともに粒界に主に酸化物として偏析し、粒界相をより高抵抗化することにより、磁心損失を更に低減させる効果を有する。
VはNb及びTaより低融点で、結晶粒の成長を促進する機能も有する。Vは、他の5a族に比べ低融点であることから粒界との濡れ性が良いと考えられ、焼結体の加工性を向上し、欠け等の発生を抑制する効果も有する。Vは量が多すぎると結晶の肥大化を誘発し磁心損失を劣化させる。V含有量が、前記酸化物換算での前記主成分の合計100質量部に対してV換算で0〜0.1質量部であれば渦電流損失を低減するに十分な粒界抵抗を確保でき、1MHz以上の高周波数領域で低損失とすることができる。V含有量は、更に好ましくはV換算で0〜0.05質量部である。
Nb及び/又はTaは、結晶粒の成長を抑制し均一な結晶組織とし、磁心損失を低減する効果も有する。Nb及びTaはVより高融点であり、Ca及びSiとともにFeとの酸化物による低融点化を阻止する効果も有する。Nb及びTaは、量が多すぎると粒内に偏析し磁心損失を劣化させる。前記酸化物換算での前記主成分の合計100質量部に対してNb(Nb換算)及びTa(Ta換算)の総量が0〜0.3質量部であれば渦電流損失を低減するのに十分な粒界抵抗を確保でき、1MHz以上の高周波数領域で低損失とすることができる。更に、Nb及びTaは熱処理後における磁心損失のうち、特に高温(100℃)でのヒステリシス損失、残留損失を低減する効果を有し、高周波数領域で広い温度範囲での低損失化を実現するのに有効である。Nb(Nb換算)及びTa(Ta換算の総量は、更に好ましくは0〜0.2質量部である。
Ta含有量はTa換算で0〜0.1質量部であるのが好ましく、0〜0.05質量部であるのがより好ましい。Nb含有量は、Nb換算で0.05質量部以下(0は含まない)であるのが好ましく、0.01〜0.04質量部であるのがより好ましい。
[2]製造方法
(1)混合工程
MnZn系フェライトの原料粉末としては、主成分の原料としてFe、Mn及びZnOの粉末を使用し、副成分の原料としてCo、SiO、CaCO等の粉末を使用する。これらの粉末を所定の組成となるように混合し、混合粉を得る。混合はボールミルを用い、湿式で行うことができる。また、湿式混合後はスラリー状態であるため、脱水、乾燥を行う。遠心分離機やフィルタープレス等で脱水した後、棚式乾燥機、振動乾燥機、ベルト式乾燥機などで乾燥させても良いし、スプレードライヤーを用いて脱水、乾燥するとともに球状に造粒しても良い。更にローラーコンパクターを用いて造粒することができる。ここで用いるスプレードライヤーは熱風温度を200℃〜300℃とすることが好ましい。スプレードライヤーでは、おおむね球状の造粒粉が得られる。この球状の造粒粉において、粒径調整は様式により方法は幾通りもあるが、例えばディスク式の装置ではアトマイザーの回転数や吐出量、ノズル式であればノズル径や吐出量等で各装置にて調整可能な粒径範囲であれば任意に調整できる。ハンドリング等を考えると50〜200μm程度の粒径が好ましい。
(2)仮焼工程
混合粉を800℃〜1000℃で仮焼して仮焼粉を得る。このとき、仮焼する混合粉としては、ハンドリングの容易さからスプレードライヤーを用いて脱水して造粒し、次いでローラーコンパクターを用いてペレット状にしたものを用いることが好ましい。仮焼には電気炉を用いて行うことができ、例えば、連続式のロータリーキルンやプッシャー炉を用いることが好ましい。この仮焼温度は炉の設定温度であり、混合粉も実質的に同等の温度に加熱される。仮焼工程では混合粉から不純物を除くとともに、混合粉の少なくとも20%から30%をフェライト化(スピネル化)する。仮焼温度が800℃未満であると、フェライト化が不十分となって、後述の焼結工程での造粒粉の収縮が大きくて均一な形状の粉が得られ難くなり、1000℃超となるとフェライト化が進んで粒子間のネッキングが増加し、次の粉砕工程での仮焼粉の粉砕し易さに影響する場合がある。また酸素を含む雰囲気では冷却の過程でフェライト化した粒子が酸化され、フェライト以外の成分が生成し特性劣化を引き起こす傾向が強くなるため、仮焼温度は800℃〜1000℃とするのが好ましく、より好ましくは、850℃〜950℃である。なお、仮焼の雰囲気は大気中で行うことが出来るが、N雰囲気など不活性雰囲気で行うのが好ましい。
(3)粉砕工程
得られた仮焼粉は、仮焼粉同士がくっついていることもあり、まず粉砕する。この粉砕には、粗粉砕と粉砕とを行うことが好ましい。粗粉砕は、バイブレーションミルを用いることができる。この粗粉砕では粒径範囲は特に限定しないが後工程でのアトライターの粉砕時間を短縮すること、また仮焼で凝集した粉を適度に分離し、得られた粒子径を均一化することを目的に行い、空気透過法で計測される粗粉砕粉の平均粒径が1.3〜2.2μm程度の大きさとなるように粉砕することが好ましい。粗粉砕後、粉砕を行う。粉砕は、アトライターを用い、湿式で行うことができる。このとき、微量の主成分の原料を加えて組成の調整を行うことが出来る。なお副成分は仮焼後に加えるのが好ましく、混合工程では副成分の原料としてCo、SiO、CaCO等の粉末を加えず、粉砕工程で副成分を混合することもできる。つまり、アトライターにより、混合と粉砕とを同時に行うことができる。なお、この粉砕では、空気透過法で計測される粉砕粉の平均粒径が0.8〜1.2μm程度の大きさとなるように粉砕することが好ましい。また、空気透過法の評価は島津製作所製SS100を用いて行った。
(4)造粒工程
この粉砕粉(混合粉砕粉)を用いて造粒粉を得る。この造粒粉を得るには、スプレードライヤーを用いて粒状とすることができる。得られた粉砕粉(混合粉砕粉)にバインダー等を加え、スプレードライヤーで乾燥することにより、球状の造粒粉を得ることができる。ここで用いるスプレードライヤーは熱風温度を150℃〜250℃とすることが好ましい。造粒工程のスプレードライヤーの熱風温度の上限を250℃とするのは、スプレードライヤー時に添加するバインダーの熱分解を抑制するためである。バインダーの分解温度はその種類に因るので上限温度はバインダーに併せ調整すればよい。例えば熱風温度が高くてバインダーの分解が起こり始めると、形成された造粒粉の強度が劣化し、形状を保持できなくなる。
(5)焼結工程
造粒粉を焼結することによって、球状のMnZn系フェライト粉を得る。前記焼結は、昇温工程と、高温保持工程と、降温工程とを有する。前記高温保持工程において、保持温度は1050℃超1150℃未満とする。また、雰囲気中の酸素濃度を0.4〜2体積%とするのが好ましい。降温工程において少なくとも(Tc+70)℃から100℃までの間の降温速度は50℃/時間以上とするのが好ましく、更に前記保持温度から100℃までの間の降温速度は、50℃/時間以上とするのが好ましい。なお、球状とは、外表面が平坦面で構成されてなく、その大半が曲面で構成されており、外見上、球体状のものであり、後に説明する図3に示されているものが、その一例である。
MnZn系フェライト粉は、乾式ふるい分け試験法で測定された平均粒径が20μm〜200μmであることが好ましい。より好ましくは30μm〜180μmである。
(a)昇温工程
昇温工程においては、少なくともフェライトの生成が開始される900℃以上で、雰囲気中の酸素濃度を0.4〜2体積%の範囲とするのが好ましい。
(b)高温保持工程
高温保持工程における保持温度が1050℃以下であると十分にフェライト化させることが出来ない場合がある。保持温度が1150℃以上であると、焼結は促進されるが得られるMnZn系フェライト粉は造粒粉どうしがくっ付いた状態となり易い傾向がある。したがって、高温保持工程における保持温度は、1050℃超1150℃未満とする。好ましくは1060〜1140℃であり、更に好ましくは1070〜1130℃である。
高温保持工程における酸素濃度が0.4体積%未満では、雰囲気が還元的となり、焼結して得られるMnZn系フェライトが低抵抗化し易い。一方、酸素濃度が2体積%超では、雰囲気が酸化的になりすぎるため、低抵抗のヘマタイトが生成され易い。
酸素濃度は保持温度に応じて設定するのが好ましく、保持温度が高いほど相対的に酸素濃度を高く設定する。保持温度に応じた酸素濃度の設定によってCaが結晶粒界に偏析して粒界を高抵抗化する事ができる。
酸素濃度が低いほど正の結晶磁気異方性定数を有するFe2+量が増加する。Fe2+量の増加によってMnZnフェライトの磁心損失の極小となる温度が低くなる傾向が知られており、500kHz以上の高周波数領域で、かつ0℃から120℃の広い温度範囲で低損失とするように、酸素濃度は前記範囲から外れないように設定するのが好ましい。
(c)降温工程
高温保持工程の後に続く降温工程では、まず高温保持工程の雰囲気から酸素濃度を低下させ、過度の酸化及び過度の還元を防ぐような酸素濃度に設定する。900℃から400℃の温度範囲で、雰囲気の酸素濃度を0.001〜0.2体積%とすることによりFe2+生成量を好ましい範囲で調整できる。ここで、高温保持工程の後に続く降温工程において、雰囲気を所定の酸素濃度に調整するまでの900℃から400℃までの間を第1降温工程と呼ぶ。
高温保持工程から続いて、降温工程においても酸素濃度を制御し前記範囲に調整することにより、MnZn系フェライトの粒界にCaを偏析させるとともに、結晶粒内に固溶するCa量を適宜制御して、結晶粒内と粒界の抵抗を高めることができる。
第1降温工程での降温速度は、焼結炉内の温度及び酸素濃度の調整が可能な範囲であれば特に限定されないが、50〜300℃/時間とするのが好ましい。第1降温工程での降温速度が50℃/時間未満であると焼結工程に時間を要し、焼結炉内に滞留する時間が長くなり、生産性が低下してコストの上昇を招くので好ましくない。一方、降温速度が300℃/時間超であると、焼結炉の能力にもよるが焼結炉内の温度や酸素濃度の均一性を保つのが困難な場合がある。なお、この降温速度は、900℃から400℃までの時間と、温度差(500℃)とから算出(500℃/900℃から400℃までの時間)する。また、保持温度から900℃までの降温速度も同様の値とすることができる。
高温保持工程における保持温度と酸素濃度とを所定の範囲とし、第1降温工程において900℃から400℃まで降温させる際の酸素濃度を特定の範囲で制御する事で、Co2+イオン及びFe2+イオンを適正な量に制御し磁心損失を低減することができる。
降温工程では、MnZn系フェライトの主成分を構成する酸化鉄(Fe)と酸化亜鉛(ZnO)とのモル%から計算により求められるキュリー温度をTc(℃)としたとき、(Tc+70)℃から100℃までの間の降温速度を50℃/時間〜300℃/時間とするのが好ましい。典型的には400℃から100℃まで間の降温速度を50℃/時間〜300℃/時間とするのが望ましい。ここで降温工程においてTcを含む(Tc+70)℃から100℃までの温度範囲を所定の降温速度で降温する間を第2降温工程と呼ぶ。ここで、降温速度は、その区間の開始温度から終了温度までの時間と、温度差とから算出(温度差/開始温度から終了温度までの時間)する。
第2降温工程での降温速度を50℃/時間未満とすると、Co2+及びFe2+に起因する誘導磁気異方性の影響を受け易く高温側の磁心損失が劣化する場合があり望ましくない。一方、降温速度が300℃/時間超であると、焼結炉の能力にもよるが、焼結炉内の温度や降温速度を調整するのが困難な場合がある。
第2降温工程における雰囲気は、不活性ガス雰囲気でも良いし大気雰囲気でも構わない。第1降温工程の酸素濃度を制御した雰囲気のまま、又は第2降温工程の途中で大気雰囲気や不活性ガス雰囲気にしても構わない。
(6)熱処理工程
本実施形態では、焼結工程で得られた球状のMnZn系フェライト粉を熱処理する。
この熱処理工程は、
条件1:200℃以上、及び
条件2:(Tc−90)℃〜(Tc+100)℃[ただし、Tcは前記MnZn系フェライトの主成分に含まれるFe及びZnOのモル%から計算により求められるキュリー温度(℃)である。]
を満たす温度まで加熱し、一定時間保持した後、前記一定時間保持した温度(保持温度)から50℃/時間以下の速度で降温する熱処理工程である。
前記保持温度が、200℃未満又は(Tc−90)℃未満であると、MnZn系フェライトの磁心損失の低減効果が得られ難くなる。また(Tc+100)℃超であると磁心損失の低減効果が上限に達する。前記保持温度からの降温速度が50℃/時間超であると、磁心損失の低減効果が十分に発揮されなくなる。なお、この降温速度は、保持温度から150℃までの温度範囲で、その温度間の温度差と時間とで算出(温度差/保持温度から150℃までの時間)する。
前記熱処理は大気中で行なっても良いし、還元雰囲気中で行なっても良い。大気中など酸化雰囲気である場合には、MnZn系フェライトの酸化による磁気特性劣化を防ぐように、熱処理は保持温度の上限を400℃以下とするのが好ましく、降温速度が5℃/時間程度と遅い場合は350℃未満とするのが好ましい。また還元雰囲気であれば、熱処理の保持温度の上限は酸化によって限定されないが、磁心損失の低減効果が上限に達することを考慮すれば、酸化雰囲気での熱処理と同様に400℃以下とするのが好ましい。
熱処理における昇温速度は特に限定するものではないが、装置の性能や熱応力による歪の影響を受けない程度に適宜選定すれば良く、典型的には100℃〜300℃/時間とすれば良い。
熱処理における保持時間(保持温度で保持する時間)は特に限定するものではないが、装置内に配置した試料が所定の温度に至るに必要な時間を設ければ良く、典型的には1時間程度とすれば良い。
本発明の熱処理は熱処理炉(電気炉、恒温槽等)を用いて行うことができる。
(7)分級工程
熱処理工程後のMnZn系フェライト粉は、必要に応じ、分級工程を行ってもよい。分級により、所望の粒径のMnZn系フェライト粉とすることができる。分級工程は、ふるいを用いて行うことができる。例えば、目開き198μm(80メッシュ)のふるいを用い、振動篩機を用いて行うことができる。なお、ここで用いるふるいは、目開き300μm以下とすることが好ましい。更に250μm以下が好ましい。また、造粒粉に対しても分級を行ってもよい。
この分級により、大きすぎる粉体を除いたり、小さすぎる粉体を除いたりして粒度を調整することができる。なお、微細過ぎる粉を除くために、粒径の下限を決める分級を行ってもよい。この場合のふるいは、目開き20μm以上とすることが好ましく、更に30μm以上とすることが好ましい。
本実施形態のMnZn系フェライト粉は、乾式ふるい分け試験法(JIS2510)で測定された平均粒径が20μm〜200μmであることが好ましい。更に好ましくは30μm〜180μmある。この乾式ふるい分けは、例えば、JIS試験ふるい等で規定された目開き表示で下限32μmから、45μm、53μm、63μm、75μm、90μm、106μm、125μm、150μm、180μm、250μm、355μm、上限420μm程度のふるい区分のふるいを用い目開き表示が大から小の順で行う。粉が通過したふるいの目開きと、粉が不通過であったふるい目開きの中間値を粒径とし、ふるい分けで得られた粉の全重量に対する、ふるいを通過せず残った粉の重量の比率を重量頻度として、粒度分布を求めた。得られた重量頻度の合計が50%となる点を粉の平均粒径とした。
このMnZn系フェライト粉は、樹脂等と混ぜられ、磁心等の形態に成形されて使用されることが考えられる。このとき、その用途に応じて、適切な粒径が異なるが、分級を行えば、それに合わせた粒度分布のMnZn系フェライト粉とすることができる。また、良好な磁気特性を得るため、または均一な混錬や充填密度が上げるためにも、平均粒径は20μm〜200μmであることが好ましい。また、本実施形態の粒状のMnZn系フェライト粉は球状であり、流動性に優れ、磁心等を作製する場合に取り扱いが容易である。
表1に示す組成となるようにMnZn系フェライトの原料粉末を準備した。主成分の原料には、Fe、Mn(MnO換算)及びZnOを用い、これらをボールミルを用い、4時間湿式混合した。その後、スプレードライヤー(熱風270℃、排風120℃)で脱水乾燥させて造粒した。この造粒粉は球状の顆粒であり、スプレードライヤーに条件を乾式ふるい分け試験法による造粒粉の平均粒径が、80〜150μmとなるようにした。この造粒粉を、ローラーコンパクターを用いて厚みが数mmの板状に圧密し、それを破砕して、10mm未満のペレット状にした。しかる後、ペレット状の混合粉を、900℃で1.5時間仮焼した。仮焼はロータリーキルンを用いた。次いで、仮焼粉を、バイブレーションミルを用いて粗粉砕した。粗粉砕後の平均粒径(空気透過法)が1.6±0.25μmとなるように粗粉砕した。その後、アトライターに仮焼粉100質量部に対して、Co、SiO、CaCO、V、Ta及びNbを表1に示すように加えて、平均粉砕粒径(空気透過法)が0.8〜1.0μmとなるまで粉砕・混合した。得られた混合物にバインダーとしてポリビニルアルコールを加え、スプレードライヤー(熱風170℃〜210℃、排風115℃〜125℃)にて球状の造粒粉を作製した。造粒粉を、表面をジルコニアでコーティングしたムライトケースに投入し、雰囲気調整が可能な電気炉(焼結炉)にて焼結して、球状のMnZn系フェライト粉を得た。
焼結は、室温から750℃に至る間の昇温工程においては大気中で行い、750℃にてNガスでの置換を開始して酸素濃度を徐々に低下させ900℃で酸素濃度を0.65体積%にし、1115℃に設定された高温保持工程の温度まで、昇温速度130℃/時間で昇温した。高温保持工程では酸素濃度を0.65体積%とし、4時間保持した。降温工程では、1000℃までは高温保持工程と同じ酸素濃度とし、1000℃から850℃まで酸素濃度を徐々に低下させ、1000℃で0.65体積%、900℃で0.05体積%、850℃以下で0.005体積%となるように調整した。そして、850℃から400℃まで0.005体積%となるように調整した。降温工程では150℃/時間の降温速度で保持温度から100℃まで降温した後、電気炉からMnZn系フェライト粉を取り出した。なお酸素濃度はジルコニア式酸素分析装置で測定し、温度は電気炉に設けられた熱電対にて測温した。
(キュリー温度)
キュリー温度は、フェライト(丸善株式会社、昭和61年11月30日発行、第6刷、79頁)に記載の式:
Tc=12.8×[y−(2/3)×z]−358(℃)、[ただし、y及びzはそれぞれFe及びZnOのモル%である。]
により計算で求めた。実施例のキュリー温度は270℃であった。
焼結後のMnZn系フェライト粉に対して、以下のように熱処理を行なった。熱処理工程の温度条件は、室温から1.5時間で昇温させ、250℃に到達後1時間その温度で保持して、炉内の温度を安定させた後、150℃まで10℃/時間の降温速度で降温を行い、150℃未満の温度になった後、炉内に外気を導入して試料を冷却して行った。熱処理は電気炉を使用し、焼結後のMnZn系フェライト粉を、表面をジルコニアでコーティングしたムライトケースに投入して、大気中で行なった。なお電気炉に設けられた熱電対にて炉内の温度を測温した結果を図1に示す。
熱処理後のMnZn系フェライト粉を目開き198μmのふるいで分級し、ふるいを通過したものをMnZn系フェライト粉とした。分級は振動篩機を用いて行った。
得られた球状のMnZn系フェライト粉の粒度分布を図2に示す。図2は粒径(粒子径)(μm)を横軸とし、重量頻度(%)を縦軸として、粒度分布を示している。この粒度分布は、JIS目開きで規定されたふるいを複数組合せ、少なくとも10g以上の粉を荒い目開きより通過させ、ふるいに存在する粉の重量を測定し、重量比率より質量頻度の分布を求める乾式ふるい分け試験法にて行った。なお、粒度分布の各々の粒径は例えば目開き32μmと45μmのふるい間であればその中間値である平均値38.5μm((32+45)/2=38.5)をその間の粒径として分布を求め、重量頻度の合計が50%の点を平均粒径とした。
このMnZn系フェライト粉は、乾式ふるい分け試験法で測定された平均粒径が100μmであった。また、下限の目開き32μmのふるいを通過した粉(粒径16μm)の重量頻度(%)は、約2%であった。
また、このMnZn系フェライト粉のマイクロスコープ(キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX)を用い50倍で撮影した写真を図3に示す。実施例のMnZn系フェライト粉は、球形のものであった。
本発明のMnZn系フェライト粉は粒状で分級によって粒度の調整が容易であるとともに、樹脂等と分散性良く混ぜることが出来て、必要とされる形態への成形も容易である。このMnZn系フェライトは、500kHz以上、典型的には1〜5MHzの高周波数領域において優れた磁気特性を発揮するものであり、このMnZn系フェライト粉を用いた部品等の低損失化に寄与することが期待できる。

Claims (5)

  1. Fe換算で53〜56モル%のFe、ZnO換算で3〜9モル%のZn及びMnO換算で残部Mnを主成分として含み、前記酸化物換算での前記主成分の合計100質量部に対して、Co換算で0.05〜0.4質量部のCoを副成分として含むMnZn系フェライトの粉の製造方法であって、
    MnZn系フェライトの原料粉末を混合した後、
    混合粉を800℃〜1000℃で仮焼して仮焼粉を得る仮焼工程と、
    前記仮焼粉を粉砕して粉砕粉を得る粉砕工程と、
    前記粉砕粉を用いて造粒し、造粒粉を得る造粒工程と、
    前記造粒粉を1050℃超1150℃未満で焼結し、150℃未満の温度まで冷却して、粒状のMnZn系フェライト粉を得る焼結工程と、
    前記粒状のMnZn系フェライト粉を熱処理する熱処理工程と、を備え、前記熱処理工程が、
    条件1:200℃以上、及び
    条件2:(Tc−90)℃〜(Tc+100)℃[ただし、Tcは前記MnZn系フェライトの主成分に含まれるFe及びZnOのモル%から計算により求められるキュリー温度(℃)である。]
    を満たす温度まで加熱し、一定時間保持した後、前記一定時間保持した温度から50℃/時間以下の速度で降温する熱処理工程であることを特徴とするMnZn系フェライト粉の製造方法。
  2. 前記MnZn系フェライト粉は、乾式ふるい分け試験法で測定された平均粒径が20μm〜200μmである、請求項1に記載のMnZn系フェライト粉の製造方法。
  3. 前記MnZn系フェライト粉は、前記酸化物換算での前記主成分の合計100質量部に対して、副成分として更に、SiO換算で0.003〜0.015質量部のSi、CaCO換算で0.06〜0.3質量部のCa、V換算で0〜0.1質量部のV、並びに合計で0〜0.3質量部のNb(Nb換算)及び/又はTa(Ta換算)を含む、請求項1または2に記載のMnZn系フェライト粉の製造方法。
  4. 前記焼結工程は、昇温工程と、高温保持工程と、降温工程とを有し、
    前記高温保持工程は、保持温度が1050℃超1150℃未満で、雰囲気中の酸素濃度が0.4〜2体積%であり、
    前記降温工程中、900℃から400℃まで降温させる際の酸素濃度を0.001〜0.2体積%の範囲とし、(Tc+70)℃から100℃までの間の降温速度を50℃/時間以上とする、請求項1〜3のいずれかに記載のMnZn系フェライト粉の製造方法。
  5. 前記降温工程中、前記保持温度から100℃までの間の降温速度を50℃/時間以上とする、請求項4に記載のMnZn系フェライト粉の製造方法。
JP2019110377A 2019-06-13 2019-06-13 MnZn系フェライト粉の製造方法 Active JP7247773B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019110377A JP7247773B2 (ja) 2019-06-13 2019-06-13 MnZn系フェライト粉の製造方法
JP2023033502A JP2023075218A (ja) 2019-06-13 2023-03-06 MnZn系フェライト粉

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019110377A JP7247773B2 (ja) 2019-06-13 2019-06-13 MnZn系フェライト粉の製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023033502A Division JP2023075218A (ja) 2019-06-13 2023-03-06 MnZn系フェライト粉

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020202348A true JP2020202348A (ja) 2020-12-17
JP7247773B2 JP7247773B2 (ja) 2023-03-29

Family

ID=73742940

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019110377A Active JP7247773B2 (ja) 2019-06-13 2019-06-13 MnZn系フェライト粉の製造方法
JP2023033502A Pending JP2023075218A (ja) 2019-06-13 2023-03-06 MnZn系フェライト粉

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023033502A Pending JP2023075218A (ja) 2019-06-13 2023-03-06 MnZn系フェライト粉

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP7247773B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113277840A (zh) * 2021-05-10 2021-08-20 天通控股股份有限公司 一种高频高工作磁密低损耗锰锌铁氧体及其制备方法
CN115196958A (zh) * 2022-06-02 2022-10-18 江苏信维感应材料科技有限公司 一种高频宽温MnZn铁氧体及其制备方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004217452A (ja) * 2003-01-10 2004-08-05 Tdk Corp フェライト材料およびその製造方法
JP2007112695A (ja) * 2005-09-22 2007-05-10 Tdk Corp Mnフェライトの製造方法
WO2017164351A1 (ja) * 2016-03-25 2017-09-28 日立金属株式会社 MnZn系フェライト磁心の製造方法及びMnZn系フェライト磁心
JP2020186149A (ja) * 2019-05-15 2020-11-19 日立金属株式会社 MnZn系フェライト粉の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004217452A (ja) * 2003-01-10 2004-08-05 Tdk Corp フェライト材料およびその製造方法
JP2007112695A (ja) * 2005-09-22 2007-05-10 Tdk Corp Mnフェライトの製造方法
WO2017164351A1 (ja) * 2016-03-25 2017-09-28 日立金属株式会社 MnZn系フェライト磁心の製造方法及びMnZn系フェライト磁心
JP2020186149A (ja) * 2019-05-15 2020-11-19 日立金属株式会社 MnZn系フェライト粉の製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113277840A (zh) * 2021-05-10 2021-08-20 天通控股股份有限公司 一种高频高工作磁密低损耗锰锌铁氧体及其制备方法
CN115196958A (zh) * 2022-06-02 2022-10-18 江苏信维感应材料科技有限公司 一种高频宽温MnZn铁氧体及其制备方法
CN115196958B (zh) * 2022-06-02 2023-08-15 江苏信维感应材料科技有限公司 一种高频宽温MnZn铁氧体及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2023075218A (ja) 2023-05-30
JP7247773B2 (ja) 2023-03-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6856064B2 (ja) MnZn系フェライト磁心の製造方法及びMnZn系フェライト磁心
JP7484086B2 (ja) MnZn系フェライト磁心の製造方法
CN107001150B (zh) MnZn系铁氧体的制造方法以及MnZn系铁氧体
JP2023075218A (ja) MnZn系フェライト粉
JP2010180101A (ja) 高抵抗高飽和磁束密度MnZnCoフェライトおよびその製造方法
CN106915956A (zh) MnZnLi系铁氧体、磁芯及变压器
CN110178191B (zh) MnCoZn系铁氧体及其制造方法
JP2004217452A (ja) フェライト材料およびその製造方法
JP2006193343A (ja) フェライト焼結体及びこれを用いた電子部品
JP2004161593A (ja) フェライト材料
JP4031886B2 (ja) Ni−Zn系フェライトの製造方法
JPWO2018168974A1 (ja) Ni系フェライト焼結体、コイル部品、及びNi系フェライト焼結体の製造方法
WO2022070634A1 (ja) MnZn系フェライト、及びその製造方法
CN110418775B (zh) MnCoZn类铁素体及其制造方法
JP7513154B2 (ja) MnZn系フェライト粉
JPWO2020189035A1 (ja) MnCoZn系フェライトおよびその製造方法
JPWO2020158334A1 (ja) MnCoZn系フェライトおよびその製造方法
JP2003267777A (ja) フェライト材料及びこれを用いたフェライトコア
JP5716538B2 (ja) フェライト組成物および電子部品
JP2005075653A (ja) フェライト材料の製造方法及びフェライト材料の焼成方法
JP2004262710A (ja) Mn−Zn系フェライトおよびその製造方法
JP5831255B2 (ja) フェライト組成物、フェライトコアおよび電子部品
JP5929119B2 (ja) フェライト組成物および電子部品
JP2005029416A (ja) フェライト材料
JP5733100B2 (ja) フェライト組成物および電子部品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220513

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230125

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230214

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230227

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7247773

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150