JPWO2020158334A1 - MnCoZn系フェライトおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

23℃、10MHzにおける初透磁率、比抵抗およびキュリー温度が高く、23℃における保磁力が低いという優れた磁気特性と、平板状試料のJIS R 1607に準拠して測定した破壊靭性値が高いという優れた機械的特性をそなえる、MnCoZn系フェライトを提供する。MnCoZn系フェライトの基本成分および副成分を適正範囲に調整すると共に、不可避的不純物であるPおよびB量をそれぞれ、P:10massppm未満およびB:10massppm未満に抑制し、さらに、前記MnCoZn系フェライトに占める全ボイド数に対する結晶粒内ボイド数を55%未満にし、かつ前記MnCoZn系フェライトの23℃、10MHzにおける初透磁率の値を150以上、比抵抗を30Ω・m以上、23℃における保磁力を15A/m以下、キュリー温度を100℃以上、JIS R 1607に準拠して測定した破壊靱性値が1.00MPa・m1/2以上とする。

Description

本発明は、特に自動車搭載部品の磁心に供して好適なMnCoZn系フェライトおよびその製造方法に関するものである。
MnZn系フェライトは、スイッチング電源等のノイズフィルタやトランス、アンテナの磁心として幅広く使用されている材料である。特長としては、軟磁性材料の中ではkHz領域において高透磁率、低損失であり、またアモルファス金属等と比較して安価なことが挙げられる。
一方、通常のMnZn系フェライトは、比抵抗が低く、渦電流損失による減衰のため10MHz領域における透磁率の保持は難しい。この対策として、Fe量は50mol%未満の領域を選択し、なおかつ、通常のMnZn系フェライトでは正の磁気異方性を有するFe2+イオンの存在によりなされる正負の磁気異方性の相殺を、同じく正の磁気異方性を示すCo2+イオンにより代替したMnCoZn系フェライトが知られている。このMnCoZn系フェライトは、高い比抵抗を有すると共に、10MHz領域まで良好な初透磁率を保持することが特長である。
ところで、近年の自動車のハイブリッド化、電装化に伴いニーズが拡大している自動車搭載用途の電子機器の磁心としては、破壊靭性値が高いことが求められる。というのは、MnZn系フェライトをはじめとする酸化物磁性材料はセラミックスであり、脆性材料であることから破損しやすいこと、加えて従来の家電製品用途と比較して、自動車搭載用途では絶えず振動を受け、破損されやすい環境下で使用され続けるためである。
しかし、同時に自動車用途では、軽量化、省スペース化も求められるため、高い破壊靭性値に加え、高温でも好適な磁気特性を併せ持つことが重要である。
自動車搭載用途向けのMnZn系フェライトとしては、過去に様々な開発が進められている。
良好な磁気特性に言及したものとしては、特許文献1および2等が、また破壊靭性値を高めたMnZn系フェライトとしては、特許文献3および4等が報告されている。
さらに、10MHz領域まで初透磁率を保持する高抵抗MnCoZn系フェライトとしては、特許文献5および6等が報告されている。
特開2007−51052号公報 特開2012−76983号公報 特開平4−318904号公報 特開平4−177808号公報 特開2005−179092号公報 特開2005−247651号公報
一般的に従来のMnZn系フェライトの初透磁率を上昇させるためには、磁気異方性と磁歪を小さくすることが有効である。これらの実現のためには、MnZn系フェライトの主成分であるFe、ZnOおよびMnOの配合量を、適正な範囲に設定する必要がある。
また、焼成工程において十分な熱を加え、フェライト内の結晶粒を適度に成長させることで、磁化工程における結晶粒内の磁壁の移動を容易化し、さらに粒界に偏析する成分を添加し、適度で均一な厚みの粒界を生成させることで、比抵抗を保持させて、周波数上昇に伴う初透磁率の減衰を抑制し、100kHz領域でも高い初透磁率を実現している。
しかし、MnZn系フェライトでは、比抵抗が最高でも20Ω・m程度が限度で、初透磁率を10MHzまで維持することは不可能である。そこで上述したMnCoZn系フェライトが用いられることがある。
一方、自動車車載用電子部品の磁心に関しては、上記の磁気特性に加え、絶えず振動を受ける環境下でも破損しないよう、高い破壊靭性値が求められる。もし磁心であるMnZn系フェライトが破損した場合、インダクタンスが大きく低下することから電子部品は所望の働きができなくなり、その影響で自動車全体が動作不能となる。
以上から、自動車車載用電子部品に供するMnCoZn系フェライトには、高い初透磁率に代表される良好な磁気特性および高い破壊靭性値の両者が求められる。
しかし、特許文献1や特許文献2では、所望の磁気特性を実現するための組成については言及されているものの、破壊靭性値については一切述べられていない。同じく、特許文献5や特許文献6においても、破壊靭性値に関する言及がなく、自動車車載用電子部品の磁心としては不適と思われる。
一方、特許文献3および特許文献4では、破壊靭性値の改良については言及されているものの、磁気特性が自動車車載用電子部品の磁心としては不十分であり、やはりこの用途には不適といえる。
そこで本発明は、23℃、10MHzにおける初透磁率の値が150以上、比抵抗が30Ω・m以上、23℃における保磁力が15A/m以下、キュリー温度が100℃以上という優れた磁気特性を有し、さらに平板状試料のJIS R 1607に準拠して測定した破壊靭性値が1.00MPa・m1/2以上という優れた機械的特性を併せ持つ、MnCoZn系フェライトを提供することを目的とする。
そこで、発明者らは、まず、トロイダル形状コアにおいて、23℃、10MHzにおける高い初透磁率を実現可能な、MnCoZn系フェライトの基本成分であるFe、CoOおよびZnOの適正量について検討した。
その結果、この組成範囲内であれば、電気抵抗低下の原因となるFe2+イオンをほぼ含まないことからある程度高い比抵抗を保持可能であり、なおかつ磁気異方性および磁歪が小さいことから、軟磁性材料として重要な低い保磁力、実用上問題とならない高いキュリー温度、および10MHz領域でも高い初透磁率を保持することが可能な、基本成分の適正範囲を見出した。
次に、粒界に偏析する非磁性成分であるSiOおよびCaOを副成分として適量加えることで均一な厚みの粒界を生成でき、その結果、比抵抗のさらなる上昇のみならず、結晶組織を整えることが可能となることを見出した。
これらに加え、発明者らが破壊靭性値の向上に効果的な因子を調査したところ、MnCoZn系フェライトの破面を研磨、エッチングした後に観察した画像の解析から、材料内のボイドのうち結晶粒内に残存したボイドの比率と破壊靭性値との間に相関があることを突き止めた。
すなわち、ボイドは、粒界に存在するものと、結晶粒内に存在するものとがあるが、結晶粒内に残存するボイド(以下、結晶粒内ボイドとも称する)を減少させることにより脆性材料であるMnCoZn系フェライトのき裂伝播が抑制され、その結果、材料の破壊靭性値が向上することが究明されたのである。
この観点で発明者らは、さらに調査を進めたところ、結晶粒内ボイドを減少させるための2つの手段を見出した。
まず、フェライトの焼成時に粒成長バランスが崩れることにより、異常粒が出現することがあるが、この異常粒は粒内に多数のボイドを含有する。この異常粒の発生を抑制して、結晶粒内ボイドの数を低減するためには、不可避的不純物の含有量を低減する必要がある。なお、異常粒の出現は損失を増大させるため、磁気特性の観点からも異常粒の回避が求められる。
もう1つは、通常のMnCoZn系フェライトの製造において仮焼工程を経るのだが、この際の仮焼の最高温度、および冷却時の速度もしくは雰囲気を適正に制御することで、材料が過剰に酸素を吸収することを防ぎ、焼成時における還元反応の際に脱離する酸素量を減少させることで、ボイドの出現数を減少させ、結晶粒内ボイドを減少させる手法である。
これら2つの手段を適切に制御することによって、初めて材料の破壊靭性値を高めることが可能になる。
以上述べたように、基本成分であるFe、CoOおよびZnO量、ならびに非磁性成分であるSiOおよびCaO量を適正量に調整すると共に、結晶粒内ボイドを減少させることが、所望の磁気特性と高い破壊靭性値を併有するMnCoZn系フェライトを得るために必要である。
なお、先に述べた特許文献1および特許文献2では、破壊靭性値に関する言及がなされておらず、この改善は不可能といえる。同様に、特許文献5および特許文献6では、良好な磁気特性は言及されているものの、やはり破壊靭性値に関しては述べられていない。
また、特許文献3および特許文献4では、靱性は改善されているものの、適切な組成範囲を選択できていないために、所望の磁気特性を実現できていない。
そのため、これらの知見のみでは実用上有用な自動車車載用電子部品の磁心に適したMnCoZn系フェライトを作製することはできない。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.基本成分、副成分および不可避的不純物からなるMnCoZn系フェライトであって、
前記基本成分が、Fe、ZnO、CoO、MnO換算での鉄、亜鉛、コバルト、マンガンの合計を100mol%として、
鉄:Fe換算で45.0mol%以上、50.0mol%未満、
亜鉛:ZnO換算で15.5〜24.0mol%、
コバルト:CoO換算で0.5〜4.0mol%および
マンガン:残部
であり、
前記基本成分に対して、前記副成分が、
SiO:50〜300massppmおよび
CaO:300〜1300massppm
であり、
前記不可避的不純物におけるPおよびB量をそれぞれ、
P:10massppm未満、
B:10massppm未満
に抑制し、
前記MnCoZn系フェライトに占める全ボイド数に対する結晶粒内ボイド数が55%未満であり、さらに
23℃、10MHzにおける初透磁率が150以上、
比抵抗が30Ω・m以上、
23℃における保磁力が15A/m以下、
キュリー温度が100℃以上、
JIS R 1607に準拠して測定した破壊靱性値が1.00MPa・m1/2以上である、MnCoZn系フェライト。
2.前記1に記載のMnCoZn系フェライトを得るMnCoZn系フェライトの製造方法であって、
前記基本成分の混合物を仮焼し、冷却して仮焼粉を得る仮焼工程と、
前記仮焼粉に前記副成分を添加して、混合、粉砕して粉砕粉を得る混合−粉砕工程と、
前記粉砕粉にバインダーを添加、混合した後、造粒して造粒粉を得る造粒工程と、
前記造粒粉を成形して成形体を得る成形工程と、
前記成形体を焼成して、MnCoZn系フェライトを得る焼成工程と、を有し、
前記仮焼工程における仮焼の最高温度が800〜950℃の範囲で、
かつ前記最高温度から100℃までの冷却速度が800℃/hr以上、または前記最高温度から100℃までの冷却時の雰囲気の酸素濃度が5体積%以下の少なくともいずれかを満足する、MnCoZn系フェライトの製造方法。
3.前記1または2に記載のMnCoZn系フェライトを得るMnCoZn系フェライトの製造方法であって、
前記基本成分の混合物を仮焼し、冷却して仮焼粉を得る仮焼工程と、
前記仮焼粉に前記副成分を添加して、混合、粉砕して粉砕粉を得る混合−粉砕工程と、
前記粉砕粉にバインダーを添加、混合した後、造粒して造粒粉を得る造粒工程と、
前記造粒粉を成形して成形体を得る成形工程と、
前記成形体を焼成してMnCoZn系フェライトを得る焼成工程と、を有し、
前記仮焼粉の、下記(1)式で示すピーク強度比(X)が1.00以上である、MnCoZn系フェライトの製造方法。

X=(X線回析法により分析したスピネル化合物のピーク強度)/(X線回析法により分析したα−Feのピーク強度) ・・・(1)
4.前記仮焼工程における仮焼の最高温度が800〜950℃の範囲で、
かつ前記最高温度から100℃までの冷却速度が800℃/hr以上または前記最高温度から100℃までの冷却時の雰囲気の酸素濃度が5体積%以下の少なくともいずれかを満足する、前記3に記載のMnCoZn系フェライトの製造方法。
本発明のMnCoZn系フェライトは、23℃、10MHzにおける初透磁率が150以上、比抵抗が30Ω・m以上、23℃における保磁力が15A/m以下、キュリー温度が100℃以上という優れた磁気特性を有し、さらに平板状試料のJIS R 1607に準拠して測定した破壊靭性値が1.00MPa・m1/2以上という優れた機械的特性を併せ持つ。
以下、本発明を具体的に説明する。なお、本明細書中において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
まず、本発明において、MnCoZn系フェライト(以下、単にフェライトとも称する)の組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。なお、基本成分として本発明に含まれる鉄、亜鉛、コバルト、マンガンについては、すべてFe、ZnO、CoO、MnOに換算した値で示す。また、これらFe、ZnO、CoO、MnOの含有量については、Fe、ZnO、CoO、MnO換算での鉄、亜鉛、コバルト、マンガンの合計量100mol%に対するmol%で、一方副成分および不可避的不純物の含有量については基本成分に対するmassppmで表すことにした。
Fe:45.0mol%以上、50.0mol%未満
Feが過剰に含まれた場合、Fe2+量が増加し、それによりMnCoZn系フェライトの比抵抗が低下する。これを避けるために、Fe量は50mol%未満に抑える必要がある。しかし、少なすぎた場合には、保磁力の上昇及びキュリー温度の低下を招くため、最低でも鉄はFe換算で45.0mol%は含有させるものとする。Feの含有量は、好ましくは47.1mol%以上、50.0mol%未満、より好ましくは47.1〜49.5mol%の範囲である。
ZnO:15.5〜24.0mol%
ZnOは、フェライトの飽和磁化を増加させること、また比較的飽和蒸気圧が低いことから焼結密度を上昇させる働きがあり、保磁力の低下に有効な成分である。そこで、最低でも亜鉛はZnO換算で15.5mol%は含有させるものとする。一方、亜鉛含有量が適正な値より多い場合には、キュリー温度の低下を招き、実用上問題がある。そのため、亜鉛はZnO換算で24.0mol%以下とする。好ましいZnOの範囲は15.5〜23.0mol%、さらに好ましくは17.0〜23.0mol%である。
CoO:0.5〜4.0mol%
CoOにおけるCo2+イオンは正の磁気異方性エネルギーをもつイオンであり、このCoOの適量添加に伴い、磁気異方性エネルギーの総和の絶対値が低下する結果、保磁力の低下が実現される。そのためには、CoOを0.5mol%以上添加することが必須である。一方、多量の添加は比抵抗の低下、異常粒成長の誘発、また磁気異方性エネルギーの総和が過度に正に傾くことから、逆に保磁力の上昇を招く。これを防ぐために、CoOは最大4.0mol%の添加に止めるものとする。好ましいCoOの範囲は1.0〜3.5mol%であり、より好ましいCoOの範囲は1.0〜3.0mol%である。
MnO:残部
本発明は、MnCoZn系フェライトであり、基本成分の残部はMnOとする必要がある。その理由は、残部がMnOでなければ、低い保磁力や10MHzでの高透磁率に代表される良好な磁気特性が得られないためである。好ましいMnOの範囲は26.5〜32.0mol%である。MnOの含有量は、より好ましくは26.0〜32.0mol%、さらに好ましくは25.0〜32.0mol%の範囲である。
以上、基本成分について説明したが、副成分については次のとおりである。
SiO:50〜300massppm
SiOは、フェライトの結晶組織の均一化に寄与することが知られており、適量の添加に伴い結晶粒内に残留する結晶粒内ボイドの数を減少させるため、保磁力を低下させるとともに、破壊靭性値を高めることができる。そのため、最低でもSiOを50massppm含有させることとする。一方、添加量が過多の場合には反対に異常粒が出現し、これは破壊靭性値を著しく低下させると同時に、10MHzにおける初透磁率および保磁力も著しく劣化することから、SiOの含有量は300massppm以下に制限する必要がある。SiOの含有量は、好ましくは60〜250massppmの範囲である。
CaO:300〜1300massppm
CaOは、MnCoZn系フェライトの結晶粒界に偏析し、結晶粒の成長を抑制する働きを持ち、結晶粒内ボイド数を減らす役割を有する。そのため、適量の添加に伴い、比抵抗を上昇させ、保磁力も下げ、なおかつ破壊靭性値も上昇させることができる。そのため、最低でもCaOを300massppm含有させることとする。一方、添加量過多の場合には異常粒が出現し、破壊靭性値および保磁力を共に劣化させることから、CaOの含有量は1300massppm以下に制限する必要がある。CaOの含有量は、好ましくは350〜1200massppm、より好ましくは350〜1000massppmの範囲である。
次に、抑制すべき不可避的不純物について説明する。
P:10massppm未満、B:10massppm未満
PおよびBは、主に原料酸化鉄中に不可避的に含まれる成分である。これらの含有量がごく微量であれば問題ないが、ある一定以上含まれる場合にはフェライトの異常粒の成長を誘発し、結晶粒内ボイド率が高くなるために、破壊靭性値が低下するとともに、保磁力の増大および初透磁率の低下を招き、重大な悪影響を及ぼす。よって、PおよびBの含有量はともに10massppm未満に抑制することとした。好ましくはP、Bとも8massppm以下である。
また、組成に限らず種々のパラメータによりMnCoZn系フェライトの諸特性は多大な影響を受ける。そこで、本発明では、より好ましい磁気特性、強度特性を確保するために以下に述べる規定を設ける。
JIS R 1607に準拠して測定した破壊靱性値:1.00MPa・m1/2以上
MnCoZn系フェライトはセラミックスであり、脆性材料であるためほとんど塑性変形しない。そのため、破壊靭性値はJIS R 1607に規定されたSEPB法(Single-Edge-Precracked-Beam method)によって測定される。SEPB法においては、平板状試料の中心部にビッカース圧痕を打痕し、予き裂を加えた状態で曲げ試験をすることで破壊靭性値を測定する。本発明のMnCoZn系フェライトは高靱性が求められる自動車搭載用を想定しており、破壊靱性値が1.00MPa・m1/2以上であることが求められる。
この条件を満たすためには、粉末成形によって製造するMnCoZn系フェライトでは、材料内にボイドが残存するが、破面を研磨、フッ硝酸による粒界部エッチングの後、200〜500倍視野で観察した画像を解析し、結晶粒内ボイドの総数を視野内の全残存ボイド総数で除した結晶粒内ボイド率を55%未満にする必要がある。結晶粒内ボイド率は、好ましくは50%以下、より好ましくは47%以下である。というのは、MnCoZn系フェライト内のき裂は、主に結晶粒内ボイドを伝って伝播するために、結晶粒内ボイド率が高い場合にはき裂が伝播しやすく、靱性値が低いため、1.00MPa・m1/2以上を満たせなくなるためである。
結晶粒内ボイド率を55%未満に保つためには、2つの条件を満たす必要がある。
1つ目は、不可避的不純物であるP、Bの量を10massppm未満に抑制することである。というのは、これらの成分は多数の結晶粒内ボイドを含む異常粒の出現を誘発する成分であり、結晶粒内ボイド率を高めるからである。
2つ目は、MnCoZn系フェライトの製造工程における仮焼条件の適正化である。
基本的に金属酸化物であるMnCoZn系フェライトの焼成は還元反応であり、この過程で材料が保持する過剰な酸素が放出される。焼成前の成形工程にて、粉体圧縮した成形体の形状を保持するために、成形される造粒粉には有機物バインダーが加えられており、このバインダーは焼成初期段階で燃焼分解され除去される。分解除去の際における還元雰囲気は、酸化物であるフェライト材料から酸素を奪う化学反応を伴うことがあり、この化学反応は体積膨張を伴うことから、成形体を破損させる。このため、これを防ぐために、MnCoZn系フェライトには仮焼工程にて意図的に酸素を化学量論比よりも過剰に吸収、保持させている。しかし、当然ながら過度に酸素を保持している場合、焼成工程で放出される酸素量は増加する。焼成時の粒成長に伴い、酸素は材料外へと放出されるが、酸素の放出量が多いほど、結晶粒内ボイドの量は増加し、結晶粒内ボイド率が55%以上となると破壊靭性値が所望の1.00MPa・m1/2よりも低下する。そのため、仮焼工程では適切な温度、雰囲気範囲の下で、MnCoZn系フェライトを処理する必要がある。
具体的には、仮焼の最高温度は800〜950℃の範囲内(好ましくは850〜950℃の範囲内)にするとともに、最高温度から100℃までの冷却速度を800℃/h以上、もしくは最高温度から100℃までの冷却時の酸素濃度が5体積%以下(好ましくは4%体積以下)の少なくともいずれかを満たす条件下で処理する必要がある。
なお、最高温度から100℃までの冷却時の酸素濃度が5体積%以下とする際の仮焼の最高温度は800〜950℃(より好ましくは850〜930℃)、仮焼雰囲気は空気中とするのが好ましい。
また、仮焼粉の保持する酸素量については、波長が1.542ÅであるCu−Kα線を用いたX線回析(X-ray Diffraction:XRD)による分析により定量化が可能であり、上記条件下の処理により、次式(1)で示されるピーク強度比(X)を1.00以上とすればよい。ピーク強度比(X)は、好ましくは1.1以上である。
X=(X線回析法により分析したスピネル化合物のピーク強度)/(X線回析法により分析したα−Feのピーク強度) ・・・(1)
上掲式(1)の意味するところは、波長が1.542ÅであるCu−Kα線を用いてXRD分析を行った際、出現するピークのうち約35°に出現するスピネル化合物のピーク強度を33°に出現するα−Feのピーク強度で除した比であり、この値が1.00以上であれば、結晶粒内ボイド率が低下し、良好な靱性値を得ることができる。
次に、本発明のMnCoZn系フェライトの製造方法について説明する。
MnCoZn系フェライトの製造においては、まず上述した比率となるように、基本成分であるFe、ZnO、CoOおよびMnO粉末を秤量し、これらを十分に混合して混合物とした後に、該混合物を仮焼する(仮焼工程)。この際に、好適な磁気特性および破壊靭性値を併有させるために、仮焼の最高温度は800〜950℃の範囲内とすることに加え、最高温度から100℃までの冷却速度を800℃/h以上とするか、もしくは最高温度から100℃までの冷却時の酸素分圧を5%以下とするかの少なくともいずれかを満たすことで、仮焼粉を波長が1.542ÅであるCu−Kα線を用いたXRDで分析した時、約35°に出現するスピネル化合物のピーク強度を33°に出現するα−Feのピーク強度で除した比を1.00以上、好ましくは1.1以上とする。なお、ここでスピネル化合物とは、フェライト仮焼粉中に存在する、スピネル型結晶構造を有する化合物であり、一般式AFe(AはMn,Zn)で表される。
次に、得られた仮焼粉に、副成分を、上述した含有量となるように所定の比率で加え,、仮焼粉と混合して粉砕を行う(混合−粉砕工程)。この工程にて、添加した成分の濃度に偏りがないよう粉末を充分に均質化し、同時に仮焼粉を目標の平均粒径の大きさまで微細化させ、粉砕粉とする。
ついで、粉砕粉に、ポリビニルアルコール等の公知の有機物バインダーを加え、スプレードライ法等により造粒して造粒粉を得る(造粒工程)。その後、必要であれば粒度調整のための篩通し等の工程を経て、成形機にて圧力を加えて成形して成形体とする(成形工程)。次いで、成形体を公知の焼成条件の下で焼成し、MnCoZn系フェライトを得る(焼成工程)。
得られたMnCoZn系フェライトには、適宜表面研磨等加工を施しても構わない。
かくして得られたMnCoZn系フェライトは、
23℃、10MHzにおける初透磁率の値が150以上、好ましくは160以上、より好ましくは170以上、
比抵抗が30Ω・m以上、好ましくは40Ω・m以上、より好ましくは50Ω・m以上、
23℃における保磁力が15A/m以下、好ましくは13A/m以下、
キュリー温度が100℃以上
という優れた磁気特性を有するだけでなく、従来のMnCoZn系フェライトでは不可能であった、平板状試料のJIS R 1607に準拠して測定した破壊靭性値が1.00MPa・m1/2以上という優れた機械的特性を有している。
(実施例1)
Fe、ZnO、CoOおよびMnOの量が表1に示す比率となるように秤量した各原料粉末を、ボールミルを用いて16時間混合した後、空気中にて900℃で3時間の仮焼を行った。なお、仮焼の最高温度から100℃までの冷却雰囲気は空気中、冷却速度は1600℃/hとした。次に、この仮焼粉に対し、SiOおよびCaOをそれぞれ150massppm、700massppm相当分秤量した後に添加し、ボールミルで12時間粉砕した。ついで得られた粉砕粉に、ポリビニルアルコールを加えてスプレードライ造粒し、118MPaの圧力をかけトロイダルコアおよび平板状コアに成形した。その後、これらの成形体を焼成炉に装入して、最高温度1350℃で2時間、窒素ガスと空気とを適宜混合したガス流中で焼成し、外径:25mm、内径:15mm、高さ:5mmの焼結体トロイダルコアと、縦:4mm、横:35mm、厚み:3mmの焼結体平板状コア(直方体コアともいう)とを得た。
なお、原料として高純度原料を用い、かつボールミル等の媒体は使用前に十分に洗浄し、他材質からの成分混入を抑制したことから、トロイダルコアおよび直方体コアに含まれる不可避的不純物であるPおよびBの量はそれぞれ4および3massppmであった。なお、PおよびBの含有量は、JIS K 0102(IPC質量分析法)に従って定量した。
得られたトロイダルコアの初透磁率は、トロイダルコアに10ターンの巻線を施し、インピーダンスアナライザ(キーサイト社製4294A)を用いて測定したインピーダンスと位相角とを元に算出した。
保磁力Hcは、JIS C 2560−2に基づき23℃にて測定し、比抵抗は4端子法にて測定した。
キュリー温度は、LCRメータ(キーサイト社製4980A)を用いて測定したインダクタンスの温度特性測定結果より算出した。
結晶粒内ボイド率については、得られたトロイダルコアを破断し、破面を研磨後フッ硝酸でエッチングした後、500倍の倍率で光学顕微鏡を用いて観察し、縦120μm、横160μmの視野内に出現したボイドを数え、結晶粒内ボイドの数を、ボイド総数で除することで算出した。
仮焼粉のピーク強度比は、波長が1.542ÅであるCu−Kα線を用いて仮焼粉をXRD分析(リガク製UltimaIV)し、約35°に出現するスピネル化合物のピーク強度を33°に出現するα−Feのピーク強度で除して算出した。
直方体コアの破壊靭性値については、JIS R 1607に準じ、ビッカース圧子により中央部に打痕した試料に予き裂を加えた後に3点曲げ試験で破断し、その破断荷重と試料の寸法とを元に算出した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2020158334
同表に示したとおり、発明例である実施例1-1〜1-7では、比抵抗が30Ω・m以上、23℃における保磁力が15A/m以下、キュリー温度が100℃以上、23℃、10MHzにおける初透磁率の値が150以上で、かつ破壊靭性値が1.00MPa・m1/2以上という、好適な磁気特性と高靱性が併せて得られている。
これに対し、Feを50.0mol%以上含む比較例1-1および1-2は、比抵抗が大幅に低下しており、渦電流損失の増大に伴う10MHzの初透磁率も大幅に劣化している。一方、Feが45.0mol%未満である比較例1-3では、高靱性は実現できているものの、磁気異方性と磁歪とが大きくなったため保磁力が増加し、かつキュリー温度の低下がみられる。
ZnOが過剰である比較例1-4では、キュリー温度が100℃未満まで低下している。反対にZnOが適正範囲より少ない比較例1-5では、保磁力が上昇し、望ましい範囲を外れている。
CoOに着目すると、CoO量が少ない比較例1-6では、正負の磁気異方性の相殺が不十分であるために、保磁力が高くなっており、また過剰に含む比較例1-7では、反対に正の磁気異方性が過剰に高まったために、保磁力が上昇し、10MHzにおける初透磁率も低下している。
(実施例2)
Feが49.0mol%、ZnOが21.0mol%、CoOが2.0mol%、MnOが28.0mol%となるよう原料を秤量し、ボールミルを用いて16時間混合した後、空気中にて900℃で3時間の仮焼を行った。なお、仮焼の最高温度から100℃までの冷却雰囲気は空気中、冷却速度は1600℃/hとした。次に、この仮焼粉に表2に示す量のSiOおよびCaOを加え、ボールミルで12時間粉砕した。ついで、得られた粉砕粉に、ポリビニルアルコールを加えてスプレードライ造粒し、118MPaの圧力をかけトロイダルコアおよび平板状コアに成形した。その後、これらの成形体を焼成炉に装入して、最高温度1320℃で2時間、窒素ガスと空気とを適宜混合したガス流中で焼成し、外径:25mm、内径:15mm、高さ:5mmの焼結体トロイダルコアと、縦:4mm、横:35mm、厚み:3mmの焼結体直方体コアとを得た。なお、得られたトロイダルコアおよび直方体コアに含まれる不可避的不純物であるPおよびBの量はそれぞれ4および3massppmであった。
これらの各試料について、実施例1と同じ手法、装置を用いそれぞれの特性を評価した。得られた結果を表2に併記する。
Figure 2020158334
同表に示したとおり、SiOおよびCaO量が規定の範囲内である実施例2-1〜2-4では、比抵抗が30Ω・m以上、23℃における保磁力が15A/m以下、キュリー温度が100℃以上、23℃、10MHzにおける初透磁率の値が150以上という良好な磁気特性と、破壊靭性値が1.00MPa・m1/2以上という高い靱性が併せて得られている。
これに対し、SiOおよびCaOの2成分のうち1つでも規定量未満しか含まない比較例2-1、2-3では、粒界生成が不十分となることから比抵抗が低下し、結晶粒内ボイド率上昇に伴う破壊靭性値の低下がみられる。反対に同成分のうち1つでも過多である比較例2-2、2-4および2-5では、異常粒の出現により23℃、10MHzにおける初透磁率をはじめとした磁気特性が劣化しており、また異常粒が多くの粒内に多量のボイドを含むことから結晶粒内ボイド率が高くなった結果、破壊靭性値も大きく低下している。
(実施例3)
実施例1に示した手法により、基本成分および副成分が実施例1−2と同じ組成となるような割合になる一方、含有する不可避的不純物であるP、Bの量が種々に異なる原料を用いて得られた造粒粉を得た。該造粒粉に118MPaの圧力をかけトロイダルコアおよび平板状コアに成形した。その後、これらの成形体を焼成炉に装入して、最高温度1320℃で2時間、窒素ガスと空気を適宜混合したガス流中で焼成し、外径:25mm、内径:15mm、高さ:5mmの焼結体トロイダルコアと、縦:4mm、横:35mm、厚み:3mmの焼結体直方体コアとを得た。
これらの各試料について、実施例1と同じ手法、装置を用いそれぞれの特性を評価した。得られた結果を表3に示す。
Figure 2020158334
同表に示したとおり、不可避的不純物であるPおよびBの量が規定の範囲内である実施例3-1では、比抵抗、保磁力および23℃、10MHzにおける初透磁率の全てに優れるだけでなく、1.00MPa・m1/2以上という優れた破壊靭性値も得られている。
これに対し、両成分のうち一方もしくは両方が規定値以上含まれる比較例3-1、3-2、3-3では、異常粒が出現することから複数の磁気特性が劣化し、同時に結晶粒内ボイド率も高まることから破壊靭性値も低下し、初透磁率、破壊靭性値ともに望ましい値が得られていない。
(実施例4)
仮焼工程の熱処理温度、冷却速度、冷却雰囲気を表4に示す条件に変更した以外は、実施例1-2と同様にして造粒粉を作成した。該造粒粉に118MPaの圧力をかけトロイダルコアおよび平板状コアに成形した。その後、これらの成形体を焼成炉に装入して、最高温度1320℃で2時間、窒素ガスと空気を適宜混合したガス流中で焼成し、外径:25mm、内径:15mm、高さ:5mmの焼結体トロイダルコアと、縦:4mm、横:35mm、厚み:3mmの焼結体直方体コアとを得た。
これらの各試料について、実施例1と同じ手法、装置を用いそれぞれの特性を評価した。得られた結果を表4に併記する。
Figure 2020158334
仮焼工程において
1)最高温度が800〜950℃の範囲内であり、かつ
2)最高温度から100℃までの冷却速度が800℃/h以上、もしくは最高温度から100℃までの冷却時の酸素濃度が5体積%以下の少なくともいずれかを満たす条件下で作製した実施例4-1〜4-6では、冷却の際に過剰な酸素吸収を抑制できているため、XRDで観察したスピネル化合物/α−Feのピーク比が1.0以上を保持しており、焼成時の酸素放出量が減少したことから結晶粒内ボイド率が低下し、その結果、破壊靭性値が1.00MPa・m1/2以上という良好な破壊靭性値が得られている。
これに対し、上記の範囲外で作製した比較例4-1〜4-8のうち、4-1〜4-4、4-6、4-8では、仮焼工程におけるスピネル化合物の生成量の不足、もしくは冷却時の酸素吸収量増加に伴い、得られる仮焼粉中のα−Fe量が増加している。そのため焼成時の酸素放出量が増加し、結晶粒内ボイド率が上昇した結果、破壊靭性値が所望の値未満となっている。
仮焼温度が適正範囲を超える比較例4-5および4-7に着目すると、破壊靭性値は高い一方で、23℃、10MHzにおける初透磁率が劣化している。これは仮焼時に過度の熱が加わることで反応が過度に進みすぎ仮焼粉の粒径が粗大化し硬化するため、後の粉砕工程において十分に粉砕することができず、そのため焼成時に粉体間の焼結反応が阻害され不十分であったことから、所望の磁気特性が得られなかったものと考えられる。

Claims (4)

  1. 基本成分、副成分および不可避的不純物からなるMnCoZn系フェライトであって、
    前記基本成分が、Fe、ZnO、CoO、MnO換算での鉄、亜鉛、コバルト、マンガンの合計を100mol%として、
    鉄:Fe換算で45.0mol%以上、50.0mol%未満、
    亜鉛:ZnO換算で15.5〜24.0mol%、
    コバルト:CoO換算で0.5〜4.0mol%および
    マンガン:残部
    であり、
    前記基本成分に対して、前記副成分が、
    SiO:50〜300massppmおよび
    CaO:300〜1300massppm
    であり、
    前記不可避的不純物におけるPおよびB量をそれぞれ、
    P:10massppm未満、
    B:10massppm未満
    に抑制し、
    前記MnCoZn系フェライトに占める全ボイド数に対する結晶粒内ボイド数が55%未満であり、さらに
    23℃、10MHzにおける初透磁率が150以上、
    比抵抗が30Ω・m以上、
    23℃における保磁力が15A/m以下、
    キュリー温度が100℃以上、
    JIS R 1607に準拠して測定した破壊靱性値が1.00MPa・m1/2以上である、MnCoZn系フェライト。
  2. 請求項1に記載のMnCoZn系フェライトを得るMnCoZn系フェライトの製造方法であって、
    前記基本成分の混合物を仮焼し、冷却して仮焼粉を得る仮焼工程と、
    前記仮焼粉に前記副成分を添加して、混合、粉砕して粉砕粉を得る混合−粉砕工程と、
    前記粉砕粉にバインダーを添加、混合した後、造粒して造粒粉を得る造粒工程と、
    前記造粒粉を成形して成形体を得る成形工程と、
    前記成形体を焼成して、MnCoZn系フェライトを得る焼成工程と、を有し、
    前記仮焼工程における仮焼の最高温度が800〜950℃の範囲で、
    かつ前記最高温度から100℃までの冷却速度が800℃/hr以上、または前記最高温度から100℃までの冷却時の雰囲気の酸素濃度が5体積%以下の少なくともいずれかを満足する、MnCoZn系フェライトの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載のMnCoZn系フェライトを得るMnCoZn系フェライトの製造方法であって、
    前記基本成分の混合物を仮焼し、冷却して仮焼粉を得る仮焼工程と、
    前記仮焼粉に前記副成分を添加して、混合、粉砕して粉砕粉を得る混合−粉砕工程と、
    前記粉砕粉にバインダーを添加、混合した後、造粒して造粒粉を得る造粒工程と、
    前記造粒粉を成形して成形体を得る成形工程と、
    前記成形体を焼成してMnCoZn系フェライトを得る焼成工程と、を有し、
    前記仮焼粉の、下記(1)式で示すピーク強度比(X)が1.00以上である、MnCoZn系フェライトの製造方法。

    X=(X線回析法により分析したスピネル化合物のピーク強度)/(X線回析法により分析したα−Feのピーク強度) ・・・(1)
  4. 前記仮焼工程における仮焼の最高温度が800〜950℃の範囲で、
    かつ前記最高温度から100℃までの冷却速度が800℃/hr以上または前記最高温度から100℃までの冷却時の雰囲気の酸素濃度が5体積%以下の少なくともいずれかを満足する、請求項3に記載のMnCoZn系フェライトの製造方法。
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