JP2011088774A - 高抵抗高飽和磁束密度MnZnCrCoフェライト - Google Patents

高抵抗高飽和磁束密度MnZnCrCoフェライト Download PDF

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Abstract

【課題】比抵抗が10Ωm以上で、初透磁率μおよび飽和磁束密度Bが高く、10kHzから1MHzまで平坦なμの周波数特性を有するMnZnCrCoフェライトを提供する。
【解決手段】酸化物換算でFe:46.0〜49.8mol%、ZnO:2.0〜18.0mol%、Cr:0.1〜1.5mol%、CoO:0.1〜3.0mol%、残部がMnOである基本成分組成を有し、副成分として、SiOおよびCaOを、mol%比で0〜40(0は含まず):100〜60(100は含まず)で合計100〜2500massppmを含有し、室温での印加磁場1.2kA/mにおける飽和磁束密度Bおよび周波数100kHzにおける初透磁率μがZnOの含有量(mol%)との間で所定の関係を満たし、比抵抗が10Ωm以上である高抵抗高飽和磁束密度MnZnCrCoフェライト。
【選択図】なし

Description

本発明は、数十kHz〜数十MHzの高周波帯域で使用される表面実装パワーインダクタなどに用いられるMnZnCrCoフェライトコアに関し、特に、初透磁率μおよび飽和磁束密度Bが高く、かつ、比抵抗が10Ωm以上で、10kHz〜1MHzまでのμが平坦である周波数特性を有する高抵抗高飽和磁束密度MnZnCrCoフェライトに関するものである。
表面実装パワーインダクタ用磁芯としては、従来から、電気抵抗の高いNiZn系フェライトの低背型ドラムコアが広く用いられている。しかし、近年におけるCPU駆動電圧低下と大電流化の進行に伴って、飽和磁束密度Bの低いNiZn系フェライトでは、磁気飽和を起こし易いという問題が生じている。また、高価なNi原料の使用量削減による製造コスト低減や、Ni化合物が欧州におけるREACH規制の対象となる可能性が指摘されていることなどから、NiZnフェライトを、Bの高いMnZnフェライトに置き換えることが検討されている。
表面実装パワーインダクタ用磁芯として、NiZnフェライトコアを使用する場合には、比抵抗が10Ωm以上と高抵抗であるため、ドラム形状のコアに直接巻線を施したり、ドラムの鍔部に直接電極端子を付けたりすることができる。しかし、MnZnフェライトの比抵抗は10Ωm以下と低いため、直接巻線を施したり、直に電極を形成したりすることは難しく、何らかの絶縁処理が必要となっていた。そのため、NiZnフェライトコアを、そのままMnZnフェライトコアに置き換えることは、従来、困難とされていた。そこで、MnZnフェライトの高い飽和磁束密度Bと初透磁率μを維持しつつ、NiZnフェライト並みの比抵抗(≧10Ωm)を有する高抵抗高飽和磁束密度のMnZnフェライトの開発が求められている。
MnZnフェライトの比抵抗を高める技術としては、特許文献1および特許文献2に、MnZnCoフェライトのFe配合量を50mol%未満の鉄欠乏組成とする方法が提案されている。
特許第3418827号公報 特許第3588693号公報
上記特許文献1および2の技術によって、10Ωm程度の比抵抗や、2MHz程度の高周波のコアロス低減、100kHzでの初透磁率μの増大などの効果が得られている。しかし、フェライトコアに直接巻線を施すためには、さらに2桁以上の比抵抗の増大が必要とされる。また、コアロス低減やμ増大に特化した上記従来技術では、昨今の表面実装インダクタ用磁芯に求められている電磁気特性、すなわち、B≧450mTで、比抵抗≧10Ωmであり、かつ10kHz〜1MHzの高周波域において高く平坦なμの周波数特性を有するという電磁気特性を全て満たすフェライトコアを得ることはできなかった。
そこで、本発明は、従来技術が抱える上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、初透磁率μおよび飽和磁束密度Bがともに高く、比抵抗が10Ωm以上で、しかも、10kHzから1MHzまで平坦なμの周波数特性を有する、表面実装インダクタ用磁芯に適した高抵抗高磁束密度MnZnCrCoフェライトを提供することにある。
発明者らは、基本成分の中でも配合量の多いFe,MnOおよびZnOの配合比を決定するために、比抵抗の高いFe<50mol%の組成域で、MnOとZnOの配合比を種々に変化させてフェライトコアを製作し、それぞれの成分が飽和磁束密度B、比抵抗、初透磁率μに及ぼす影響を調べた。その結果、高い比抵抗の得られるFe<50mol%の組成域では、10kHz付近の低周波帯域においては周波数に依存しない一定のμが得られるが、100kHz付近から徐々にμが低下し始め、1MHz程度の高周波域まで平坦なμの周波数特性を得ることができないことがわかった。
発明者らは、μが高周波域で低下する原因について詳細に調べた結果、Fe<50mol%の組成域では、100kHzを超える高周波帯域に周波数と温度に依存する損失成分tanδのピークが存在し、この影響で100kHzを超える高周波帯域のμ値が低下することが明らかになった。この高周波損失が発生する原因について、発明者らは以下のように推測している。Fe<50mol%の組成域では、Fe:50mol%の化学量論組成よりもFe含有量が少ないために、スピネル構造のBサイトのFe3+が欠乏しており、本来はMn2+としてBサイトに分布しているMnイオンの一部が電気的中性を維持するためにMn3+となり、100kHzを超える高周波帯域で励磁された時に、Mn2+−Mn3+間の電子の拡散現象が起こり、この結果として、周波数と温度に依存した高周波損失が発生するものと考えられる。また、通常のFe>50mol%の組成域のMnZnフェライトでは、Fe2+を含有するために焼結性が抑制されるが、Fe2+を含有しないFe<50mol%の組成域では焼結性が高過ぎるため、粗大粒を含む不均一な結晶粒径分布となり、これもμの高周波特性を低下させる原因のひとつとなっていると推測された。
そこで、発明者らは、Fe<50mol%の組成域におけるMn3+の生成を抑制する方法として、Mn3+よりもBサイト選択性の高いCr3+を導入することを検討した。その結果、所定量のCrを結晶粒内に固溶させることで、高周波損失成分を大きく低減することができ、さらに、粗大結晶粒の生成が抑制されて結晶粒径分布が均一化する効果も得られ、結果として、μの周波数特性が1MHzの高周波域まで平坦化されることを見出した。さらに、上記Crの効果は、B増大効果のあるCoO、比抵抗増大効果のあるSiOやCaO、μ値増大効果やμの温度特性平坦化効果のある種々の副成分や添加成分を同時に添加した場合でも得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、酸化物換算でFe:46.0〜49.8mol%、ZnO:2.0〜18.0mol%、Cr:0.1〜1.5mol%、CoO:0.1〜3.0mol%、残部がMnOである基本成分組成を有するMnZnCrCoフェライトにおいて、副成分として当該フェライトに対して、SiOおよびCaOを、mol%比でSiO:CaO=0〜40(0は含まず):100〜60(100は含まず)でかつ合計100〜2500massppmを含有し、さらに、上記ZnOの含有量(mol%)が、室温での、印加磁場1.2kA/mにおける飽和磁束密度Bおよび周波数100kHzにおける初透磁率μとの間で下記(1)式および(2)式;
≧−0.0163×ZnO−0.144×ZnO+6.79×ZnO+430
・・・(1)
μ≧0.680×ZnO−10.5×ZnO+123×ZnO+30
・・・(2)
を満たし、比抵抗が10Ωm以上であることを特徴とする高抵抗高飽和磁束密度MnZnCrCoフェライトである。
本発明のMnZnCrCoフェライトは、上記基本成分および副成分に加えてさらに、副成分として、Y,ZrO,SnO,TiOおよびGeOのうちから選ばれる1種または2種以上を合計で0.05〜2.5mass%を含有することを特徴とする。
本発明によれば、Bおよびμが高く、かつ比抵抗が10Ωm以上で、しかも、10kHz〜1MHzにおいて平坦なμの周波数特性を有する高抵抗高飽和磁束密度MnZnCrCoフェライトを生産性よく、しかも低コストで製造することが可能となる。したがって、本発明のMnZnCrCoフェライトは、表面実装インダクタ用磁芯に用いて好適である。
本発明のMnZnCrCoフェライトは、基本成分組成を、Fe:46.0〜49.8mol%、ZnO:2.0〜18.0mol%、CoO:0.1〜3.0mol%、Cr:0.1〜1.5mol%、残部をMnOとすることで、飽和磁束密度B、比抵抗、初透磁率μのいずれも優れた特性を有するMnZnCrCoフェライトを実現している。
以下、本発明のMnZnCrCoフェライトの基本成分組成について説明する。
Fe:46.0〜49.8mol%
Feは、飽和磁束密度Bおよび比抵抗に大きく影響する成分である。Feの配合量が46.0mol%未満では、Bが低下し、一方、49.8mol%を超えると、比抵抗が急激に低下する。よって、Feは46.0〜49.8mol%の範囲とする。好ましくは47.0〜49.3mol%の範囲である。
ZnO:2.0〜18.0mol%
ZnOは、B、初透磁率μおよびキュリー温度Tに大きく影響する成分である。ZnOの配合量が2.0mol%未満では、μ≧300を得ることができず、一方、18.0mol%を超えると、B≧420mTを得ることができない。また、Tは、ZnOの配合量が多いほど低下し、特に、ZnOが18.0mol%を超えると150℃以下となり、100℃におけるBが大きく低下してしまう。よって、ZnOの配合量は、2.0〜18.0mol%とする。好ましくは、6〜13mol%の範囲である。
また、本発明のMnZnCrCoフェライトは、ZnOの含有量(mol%)が、室温での印加磁場1.2kA/mにおけるB値および10kHz〜1MHzにおけるμ値との関係において、下記(1)式および(2)式を満たしていることが必要である。

≧−0.0163×ZnO−0.144×ZnO+6.79×ZnO+430
・・・(1)
μ≧0.680×ZnO−10.5×ZnO+123×ZnO+30
・・・(2)
ここで、上記(1)式の右辺は、基本組成の異なるフェライトコアのB値から導出した回帰式を表しており、実測されるBの値は、この右辺の値以上であることが必要である。また、上記(2)式の右辺は、基本組成の異なるフェライトコアのμ値から導出した回帰式を表しており、実測されるμの値は、この右辺の値以上であることが必要である。
CoO:0.1〜3.0mol%
CoOは、少量添加することで、飽和磁束密度Bを大きく増大させる効果がある。CoOの添加量が0.1mol%未満では、上記Bの改善効果が小さく、一方、3.0mol%を超えると、0℃付近の低温におけるμが低下するため好ましくない。よって、CoOは、0.1〜3.0mol%の範囲で添加する。好ましくは0.2〜2.5mol%の範囲である。
なお、理論上は、CoOには、添加によるB増大効果は期待できない。何故なら、Co2+の磁気モーメントは3μで、Mn2+の5μより小さいためである。しかし、発明者らの研究によれば、少量のCoOの添加でB増大効果が確認されている。この原因は、現時点ではまだ十分に明確となっていないが、Co2+は、他の2価金属イオンと比べて著しく結晶磁気異方性が大きいため、周囲の金属イオンと磁気的に強く相互作用を及ぼしあうことで、2価金属イオンの磁気モーメントから推算するよりも高い効果が得られるものと考えられる。
Cr:0.1〜1.5mol%
さらに、本発明のMnZnCrCoフェライトは、基本成分として、Crを0.1〜1.5mol%含有することで、高周波磁気損失tanδを低減して、μの高周波特性を平坦化する効果と、結晶粒径分布を均一化して、μ値を増大するという相乗効果が得られる。Crの配合量が0.1mol%未満では、tanδ低減効果が十分でなく、一方、Crの配合量が1.5mol%を超えると、焼結密度が低下してBが低下する。よって、Crは0.1〜1.5mol%の範囲とする。好ましくは、0.2〜1.0mol%の範囲である。
本発明のMnZnCrCoフェライトは、上述の基本成分に加えて、副成分として、SiOとCaOを、SiO:CaO=0〜40(0は含まず):100〜60(100は含まず)(mol%)の配合比で、かつ、合計で100〜2500massppmを添加することで、600℃以上の昇温速度≧500℃/hr、最高温度1300℃以上の高速連続炉で焼成しても、均一かつ緻密な結晶組織を得ることができる。したがって、SiOとCaOを上記適正範囲で複合添加することによって、表面実装インダクタ用磁芯として好ましい電磁気特性を有するMnZnCrCoフェライトを、従来のMnZnフェライトと同様、生産性よく製造することが可能となる。
SiOとCaOの合計添加量を100〜2500massppmの範囲とする理由は、100massppm未満では、高速焼成で緻密かつ均一な結晶組織を得る効果が不十分なため、B、μが低下する。また、添加量が少ないと、比抵抗≧10Ωmを実現することができず、コアに直接巻線や電極形成をすることができない。一方、2500massppmを超えると、異常粒が発生するようになり、μが著しく低下するからである。好ましいSiOとCaOの合計添加量は、1000〜2000massppmの範囲である。
また、SiOとCaOは、配合比(mol%)でSiO:CaO=0〜40(0は含まず):100〜60(100は含まず)として複合添加する必要がある。SiOとCaOが共存することで、昇温過程および焼成中に粒界に液相を生成して結晶組織を均一化する効果が得られるが、SiOの比率が40mol%を超えると、異常粒が発生しやすくなり、μが劣化するからである。好ましい混合比は、SiO:CaO=5〜30:95〜70(mol%)である。
また、本発明のMnZnCrCoフェライトは、上記基本成分および副成分に加えてさらに、副成分として、Y,ZrO,SnO,TiOおよびGeOのうちから選ばれる1種または2種以上を合計で0.05〜2.5mass%の範囲で添加することにより、より安定して、B、μおよび比抵抗を改善することができる。上記副成分のうちの、YおよびZrOは、μの温度特性の平坦化に効果があり、また、SnOは、μおよびB増大に効果がある。また、TiOは、μの増大および周波数特性の平坦化に効果があり、GeOは、比抵抗の増大に効果がある。上記の効果を発現させるためには、それぞれ0.01mass%以上でかつ、合計で0.05mass%以上添加するのが好ましい。しかし、合計添加量が2.5mass%を超えると、比抵抗が10Ωm未満に低下するため好ましくない。より好ましい合計添加量は0.1〜1.5mass%の範囲である。
次に、本発明のMnZnCrCoフェライトコアの製造方法について説明する。
本発明のMnZnCrCoフェライトの製造方法は、特に限定されるものではなく、通常のフェライト製造方法を適用することができる。好ましい製造方法としては、例えば、焼成後のフェライトが本発明の基本成分組成となるようにフェライト原料であるFe,Mn,MnCO,ZnO,CoO,Co,Cr等を秤量し、アトライターやボールミルなどの混合機を用いて湿式または乾式で十分に混合した後、800〜1000℃で仮焼する。その後、その仮焼粉に、要求特性に応じて本発明に適合する量の副成分を添加し、アトライターやボールミルなどの混合機を用いて湿式または乾式で混合し、粉砕して粒径0.8〜1.6μm程度の原料粉とする。次いで、その原料粉に、PVA(ポリビニルアルコール)などの結合剤(バインダー)を添加し、スプレードライヤーや篩を用いて造粒後、その造粒粉を所定の形状の金型に充填してプレス成形する。その後、その成形体を焼成することによって、高抵抗で高飽和磁束密度のMnZnCrCoフェライトを作製することができる。なお、上記焼成は、鉄過剰組成を有する従来のMnZnフェライトと同様のヒートパターンおよび雰囲気で行うことができ、特別な条件は必要とされない。したがって、従来のMnZnフェライトと同様、高い生産性で製造することが可能である。
なお、CoOやCo,Crなどの比較的少量の基本成分は、仮焼粉の粉砕時に、他の副成分と同時に添加してもよい。また、上記製造方法は、一般的なフェライトの製造方法と同じであるが、本発明のMnZnCrCoフェライトの製造方法は、上記方法に限定されるものではなく、例えば、成形前の原料粉の製造方法として、混合焙焼法や共沈法などの特殊な方法を用いてもよく、また、成形方法についても、プレス成形に限定されるものではなく、例えば、射出成形法、フェライトペースト印刷法、グリーンシート法などの他の成形方法を用いてもよい。
焼成後のMnZnCrCoフェライトの基本成分組成が表1に示した値となるように、基本成分の原料であるFe,ZnO,Mn,CoOおよびCrを秤量し、これらをボールミルで湿式混合した後、900〜950℃で仮焼した。次いで、上記仮焼粉に、副成分としてSiOおよびCaCOを、基本成分中への不純物としての混入量とも合わせてSiO:175massppm、CaO:1200massppmとなるように添加し、ボールミルでさらに湿式で粉砕して平均粒径1.1μm(空気透過法にて測定)の原料粉を得た。これに、バインダーとしてPVAを加え、目開き500μmの篩を通して造粒した後、リング型試料に成形した。その後、上記成形体を、電気炉を用いて、酸素分圧を制御した雰囲気中で1330℃×3時間の焼成を行い、外径31mm×内径19mm×高さ7mmのMnZnCrCoフェライトコアを得た。
Figure 2011088774
上記のようにして得たフェライトコアについて、高抵抗計(アドバンテスト社製R8340A)を用いて、印加電圧10Vで、比抵抗を測定した。また、フェライトコアに0.6mmφの被覆銅線を10回巻き、LCRメータ(アジレント・テクノロジー社製4284Aおよび4285A)を用いて、室温での1kHz〜30MHzにおけるμの周波数特性を測定した。さらに、直流BHアナライザー(理研電子社製)を用いて、室温での印加磁場強度1.2kA/mにおける飽和磁束密度Bについても測定した。
上記測定の結果を表1中に併記して示した。なお、μについては、10kHzと1MHzの値を代表値として示した。表1から、本発明に適合した発明例のフェライトコアは、いずれも、比抵抗≧10Ωmであり、かつ、飽和磁束密度Bおよび10kHzと1MHzにおける初透磁率μがそれぞれ下記の(1)式および(2)式の関係を満たしていることがわかる。

≧−0.0163×ZnO−0.144×ZnO+6.79×ZnO+430
・・・(1)
μ≧0.680×ZnO−10.5×ZnO+123×ZnO+30
・・・(2)
焼成後のMnZnCrCoフェライトの基本成分組成が、Fe:ZnO:MnO:CoO:Cr=47.5:9.0:42.0:1.0:0.5(mol%)となるように、基本成分原料であるFe,ZnO,Mn,CoOおよびCrを秤量し、ボールミルで湿式混合した後、920℃で仮焼し、次いで、副成分として、SiO,CaCO,Y,ZrO,SnO,TiOおよびGeOを基本成分中の不純物量とも合わせて表2に示す含有量となるように添加した後、ボールミルで湿式粉砕して平均粒径1.2μm(空気透過法で測定)の原料粉を得た。次いで、この原料粉にバインダー(PVA)を加え、目開き500μmの篩を通して造粒した後、リング型試料に成形した。この試料を、電気炉を用いて、酸素分圧を制御した雰囲気中で1300℃×2時間焼成し、外径31mm×内径19mm×高さ7mmのMnZnCrCoフェライトコアを得た。
上記のようにして得たフェライトコアについて、高抵抗計(アドバンテスト社製R8340A)を用いて、印加電圧10Vで、比抵抗を測定した。また、フェライトコアに0.6mmφの被覆銅線を10回巻き、LCRメータ(アジレント・テクノロジー社製4284Aおよび4285A)を用いて、室温での1kHz〜30MHzにおけるμの周波数特性を測定した。さらに、直流BHアナライザー(理研電子社製)を用いて、室温での印加磁場強度1.2kA/mにおける飽和磁束密度Bを測定した。
上記測定の結果を表2中に併記して示した。なお、μについては、10kHzと1MHzの値を代表値として示した。また、基本成分であるZnOの含有量(9.0mol%)から、Bに関する(1)式の右辺の値およびμに関する(2)式の右辺の値を求めると、それぞれ468mT、782であった。表2から、本発明に適合した発明例のフェライトコアは、いずれも、比抵抗≧10Ωmであり、かつ、飽和磁束密度Bおよび初透磁率μがそれぞれ(1)式および(2)式の関係を満たしていることがわかる。
上記実施例に示したように、本発明を適用することで、μおよびBが高く、しかも、比抵抗≧10Ωmで、10kHz〜1MHzの周波数域で平坦なμの周波数特性を有する、表面実装インダクタ用磁芯に適した高抵抗高飽和磁束密度MnZnCrCoフェライトを生産性よくかつ安価に製造し得ることが確認された。
Figure 2011088774
本発明のMnZnCrCoフェライトコアは、初透磁率μおよび飽和磁束密度Bが高く、比抵抗が10Ωm以上で、10kHzから1MHzまでのμが平坦である周波数特性を有するので、このような周波数帯域で使用される用途に好適に用いることができる。

Claims (2)

  1. 酸化物換算でFe:46.0〜49.8mol%、ZnO:2.0〜18.0mol%、Cr:0.1〜1.5mol%、CoO:0.1〜3.0mol%、残部がMnOである基本成分組成を有するMnZnCrCoフェライトにおいて、副成分として当該フェライトに対して、SiOおよびCaOを、mol%比でSiO:CaO=0〜40(0は含まず):100〜60(100は含まず)でかつ合計100〜2500massppmを含有し、さらに、上記ZnOの含有量(mol%)が、室温での、印加磁場1.2kA/mにおける飽和磁束密度Bおよび周波数100kHzにおける初透磁率μとの間で下記(1)式および(2)式を満たし、比抵抗が10Ωm以上であることを特徴とする高抵抗高飽和磁束密度MnZnCrCoフェライト。

    ≧−0.0163×ZnO−0.144×ZnO+6.79×ZnO+430
    ・・・(1)
    μ≧0.680×ZnO−10.5×ZnO+123×ZnO+30
    ・・・(2)
  2. 上記基本成分および副成分に加えてさらに、副成分として、Y,ZrO,SnO,TiOおよびGeOのうちから選ばれる1種または2種以上を合計で0.05〜2.5mass%を含有することを特徴とする請求項1に記載の高抵抗高飽和磁束密度MnZnCrCoフェライト。
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