JP2008290893A - Ni−Cu−Zn系フェライト - Google Patents
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Abstract
【課題】ノイズ対策素子やコモンモードチョーク等の磁芯に用いて好適な、周波数:100kHzでの初透磁率が800以上、かつ100MHzでのインピーダンスが370Ω以上のNi-Cu-Zn系フェライトを提供する。
【解決手段】主成分として、Feの酸化物(Fe203換算で):48.0〜50.0mol%、Niの酸化物(NiO換算で):14.0〜21.0mol%、Znの酸化物(ZnO換算で):25.0〜31.0mol%及びCuの酸化物(CuO換算で):3.0〜7.0mol%を含有し、副成分として、Mn(MnO換算で):1500〜5000ppm、Si(SiO2換算で):120ppm以下、Ca(CaO換算で):120ppm以下及びP(P205換算で):60ppm以下を含有する組成とする。
【選択図】なし
【解決手段】主成分として、Feの酸化物(Fe203換算で):48.0〜50.0mol%、Niの酸化物(NiO換算で):14.0〜21.0mol%、Znの酸化物(ZnO換算で):25.0〜31.0mol%及びCuの酸化物(CuO換算で):3.0〜7.0mol%を含有し、副成分として、Mn(MnO換算で):1500〜5000ppm、Si(SiO2換算で):120ppm以下、Ca(CaO換算で):120ppm以下及びP(P205換算で):60ppm以下を含有する組成とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、数MHz〜数百MHzの高周波域におけるノイズ対策素子やコモンモードチョーク等に用いて好適なNi-Cu-Zn系フェライトに関し、特に100MHzを超える高周波域でのインピーダンスの向上を図ろうとするものである。
数MHz〜数百MHzの高周波域におけるノイズ対策素子やコモンモードチョーク等に用いられる磁芯材料として、Ni系フェライトが広く知られている。近年のCPU駆動の高周波化や情報通信速度の高速化に伴い、かかる磁芯材料の重要性がますます高くなっている。
また、携帯電子機器の普及により、電子部品に対する小型化の要求が高まっている。それに伴い、上記用途のNi系フェライトにおいても、より小型で従来に匹敵するノイズ抑制効果を実現できるように、数百MHzの高周波域で高いインピーダンスを有するNi系フェライトが求められている。
また、携帯電子機器の普及により、電子部品に対する小型化の要求が高まっている。それに伴い、上記用途のNi系フェライトにおいても、より小型で従来に匹敵するノイズ抑制効果を実現できるように、数百MHzの高周波域で高いインピーダンスを有するNi系フェライトが求められている。
一方、Ni系フェライトは、古くから信号用インダクタ素子としても使われており、初透磁率の異なる種々の材料が製造されている。しかしながら、これらの材料は、周波数が100kHz程度における初透磁率には優れるものの、数百MHzの周波数において高いインピーダンスは得られていないのが現状である。
数百MHzの高周波域におけるインピーダンスを改良するものとして、特許文献1に開示の磁芯用Ni-Cu-Zn系フェライトが知られている。しかしながら、このNi-Cu-Zn系フェライトは、主成分であるFe、Ni、Zn及びCuの酸化物の配合比率のみを最適化したものに止まるため、100kHzにおける初透磁率は100〜1000と優れるものの、やはり、数百MHzの高周波域において十分満足のいくインピーダンスを得るには至っていない。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、周波数が100kHz程度における初透磁率が従来と同様に良好で、かつ周波数が300MHz程度におけるインピーダンスに優れたNi-Cu-Zn系フェライトを提案することを目的とする。
本発明では、代表特性として、周波数が100kHzでの初透磁率と周波数が300MHzでのインピーダンスを採用するものとし、それぞれ初透磁率(100kHz)、インピーダンス(300MHz)で表すものとする。
そして、本発明で目標とする初透磁率(100kHz)およびインピーダンス(300MHz)とは、外径:2.54mmのリングコアに銅線を5回巻いた条件で、初透磁率(100kHz)が800以上かつ、インピーダンス(300MHz)が370Ω以上を満足することである。
本発明では、代表特性として、周波数が100kHzでの初透磁率と周波数が300MHzでのインピーダンスを採用するものとし、それぞれ初透磁率(100kHz)、インピーダンス(300MHz)で表すものとする。
そして、本発明で目標とする初透磁率(100kHz)およびインピーダンス(300MHz)とは、外径:2.54mmのリングコアに銅線を5回巻いた条件で、初透磁率(100kHz)が800以上かつ、インピーダンス(300MHz)が370Ω以上を満足することである。
さて、発明者らは上記の目的を達成すべく、Ni-Cu-Zn系フェライトの成分組成について再検討を行った。
その結果、主成分であるFe、Ni、Zn及びCuの酸化物に、副成分としてMn、Si、Ca及びPを微量含有させることにより、従来と同等の初透磁率(100kHz)を維持しつつ、インピーダンス(300MHz)を大幅に改善できることの知見を得た。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
その結果、主成分であるFe、Ni、Zn及びCuの酸化物に、副成分としてMn、Si、Ca及びPを微量含有させることにより、従来と同等の初透磁率(100kHz)を維持しつつ、インピーダンス(300MHz)を大幅に改善できることの知見を得た。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明は、主成分としてFe、Ni、Zn及びCuの酸化物を、それぞれFe203、NiO、ZnO及びCuO換算で、
Fe203:48.0〜50.0mol%
NiO:14.0〜21.0mol%
ZnO:25.0〜31.0mol%及び
CuO:3.0〜7.0mol%
含有し、副成分として、Mn、Si、Ca及びPを、それぞれMnO、SiO2、CaO及びP205換算で、
MnO:1500〜5000ppm
SiO2:120ppm以下
CaO:120ppm以下及び
P205:60ppm以下
含有するNi-Cu-Zn系フェライトである。
ただし、主成分:Fe203+NiO+ZnO+CuO=100 mol%、
副成分:Ni-Cu-Zn系フェライト総質量に対する質量ppm。
Fe203:48.0〜50.0mol%
NiO:14.0〜21.0mol%
ZnO:25.0〜31.0mol%及び
CuO:3.0〜7.0mol%
含有し、副成分として、Mn、Si、Ca及びPを、それぞれMnO、SiO2、CaO及びP205換算で、
MnO:1500〜5000ppm
SiO2:120ppm以下
CaO:120ppm以下及び
P205:60ppm以下
含有するNi-Cu-Zn系フェライトである。
ただし、主成分:Fe203+NiO+ZnO+CuO=100 mol%、
副成分:Ni-Cu-Zn系フェライト総質量に対する質量ppm。
本発明によれば、初透磁率(100kHz)が800以上、かつインピーダンス(300MHz)が370Ω以上を同時に満足するNi-Cu-Zn系フェライトを得ることができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明のNi-Cu-Zn系フェライトは、上述した通り、Fe、Ni、Zn及びCuの酸化物を主成分とするが、これらの成分を上記の範囲に限定したのは、次の理由による。
本発明のNi-Cu-Zn系フェライトは、上述した通り、Fe、Ni、Zn及びCuの酸化物を主成分とするが、これらの成分を上記の範囲に限定したのは、次の理由による。
Feの酸化物(Fe203換算で):48.0〜50.0mol%
Feの酸化物はフェライトの基本成分であり、その含有量は、初透磁率やインピーダンスに大きく影響する。Feの酸化物の含有量がFe2O3換算で48.0mol%未満の場合には、十分なインピーダンス(300MHz)の向上が望めず、一方50.0mol%を超える場合には、初透磁率の周波数特性の平坦性が劣化する。よって、Feの酸化物はFe2O3換算で48.0〜50.0mol%の範囲に限定した。より好ましくは、Fe2O3換算で48.5〜49.6mol%の範囲である。
なお、本発明において、Feの酸化物とは、Fe2O3の他にFe3O4を含んでも良い。
Feの酸化物はフェライトの基本成分であり、その含有量は、初透磁率やインピーダンスに大きく影響する。Feの酸化物の含有量がFe2O3換算で48.0mol%未満の場合には、十分なインピーダンス(300MHz)の向上が望めず、一方50.0mol%を超える場合には、初透磁率の周波数特性の平坦性が劣化する。よって、Feの酸化物はFe2O3換算で48.0〜50.0mol%の範囲に限定した。より好ましくは、Fe2O3換算で48.5〜49.6mol%の範囲である。
なお、本発明において、Feの酸化物とは、Fe2O3の他にFe3O4を含んでも良い。
Niの酸化物(NiO換算で):14.0〜21.0mol%
Niの酸化物は、インピーダンスに影響を及ぼす成分である。ここにNiの酸化物の含有量が、NiO換算で14.0mol%未満の場合、インピーダンス(300MHz)を高めることができず、一方21.0mol%を超えると初透磁率(100kHz)が低下する。よって、Niの酸化物はNiO換算で14.0〜21.0mol%の範囲に限定した。より好ましくは、NiO換算で15.0〜20.0mol%の範囲である。
Niの酸化物は、インピーダンスに影響を及ぼす成分である。ここにNiの酸化物の含有量が、NiO換算で14.0mol%未満の場合、インピーダンス(300MHz)を高めることができず、一方21.0mol%を超えると初透磁率(100kHz)が低下する。よって、Niの酸化物はNiO換算で14.0〜21.0mol%の範囲に限定した。より好ましくは、NiO換算で15.0〜20.0mol%の範囲である。
Znの酸化物(ZnO換算で):25.0〜31.0mol%
Znの酸化物は初透磁率に影響を及ぼす成分である。ここにZnの酸化物の含有量が、ZnO換算で25.0mol%未満であると初透磁率(100kHz)が低下し、一方31.0mol%を超えると初透磁率(100kHz)の絶対値は増大するが、周波数特性の平坦性が劣化する。よって、Znの酸化物はZnO換算で25.0〜31.0mol%の範囲に限定した。より好ましくは、ZnO換算で26.0〜30.0mol%の範囲である。
Znの酸化物は初透磁率に影響を及ぼす成分である。ここにZnの酸化物の含有量が、ZnO換算で25.0mol%未満であると初透磁率(100kHz)が低下し、一方31.0mol%を超えると初透磁率(100kHz)の絶対値は増大するが、周波数特性の平坦性が劣化する。よって、Znの酸化物はZnO換算で25.0〜31.0mol%の範囲に限定した。より好ましくは、ZnO換算で26.0〜30.0mol%の範囲である。
Cuの酸化物(CuO換算で):3.0〜7.0mol%
Cuの酸化物は焼結性を改善する有効成分である。しかしながら、Cuの酸化物の含有量が、CuO換算で3.0mol%に満たないと焼結密度が低下し、その結果高い初透磁率(100kHz)が得られず、一方7.0 mol%を超えると十分なインピーダンス(300MHz)が得られない。よって、Cuの酸化物はCuO換算で3.0〜7.0mol%の範囲に限定した。より好ましくは、CuO換算で3.5〜6.0mol%の範囲である。
なお、本発明において、Cuの酸化物とは、CuOの他にCu2Oを含んでも良い。
Cuの酸化物は焼結性を改善する有効成分である。しかしながら、Cuの酸化物の含有量が、CuO換算で3.0mol%に満たないと焼結密度が低下し、その結果高い初透磁率(100kHz)が得られず、一方7.0 mol%を超えると十分なインピーダンス(300MHz)が得られない。よって、Cuの酸化物はCuO換算で3.0〜7.0mol%の範囲に限定した。より好ましくは、CuO換算で3.5〜6.0mol%の範囲である。
なお、本発明において、Cuの酸化物とは、CuOの他にCu2Oを含んでも良い。
以上、本発明の主成分について説明したが、本発明では次に述べる副成分を併せて含有させることが重要であり、かくして初透磁率(100kHz)が800以上、インピーダンス(300MHz)が370Ω以上を同時に満足するNi-Cu-Zn系フェライトを得ることができる。以下、各副成分の含有量を前記の範囲に限定した理由について説明する。
Mn(MnO換算で):1500〜5000ppm
Mnは、少量の含有でインピーダンスの向上に寄与するが、MnO換算で1500ppm未満ではインピーダンス(300MHz)の改善効果が十分でなく、一方5000ppmを超えると焼結性が低下して高い初透磁率(100kHz)を得ることができない。よって、MnはMnO換算で1500〜5000ppmに限定した。より好ましくは、MnO換算で2000〜4000ppmである。
Mnは、少量の含有でインピーダンスの向上に寄与するが、MnO換算で1500ppm未満ではインピーダンス(300MHz)の改善効果が十分でなく、一方5000ppmを超えると焼結性が低下して高い初透磁率(100kHz)を得ることができない。よって、MnはMnO換算で1500〜5000ppmに限定した。より好ましくは、MnO換算で2000〜4000ppmである。
Si(SiO2換算で):120ppm以下
Siは、少量の添加でインピーダンスを向上させる有用元素である。しかしながら、Si含有量がSiO2換算で120ppmを超えると、焼結密度が低下して高い初透磁率(100kHz)及び高いインピーダンス(300MHz)を得ることができない。よって、Siは、SiO2換算で120ppm以下を含有させるものとした。なお、Siの下限については特に限定されることはないが、SiO2換算で10ppm以上含有させることが好ましい。より好ましくは、SiO2換算で30〜90ppmの範囲である。
Siは、少量の添加でインピーダンスを向上させる有用元素である。しかしながら、Si含有量がSiO2換算で120ppmを超えると、焼結密度が低下して高い初透磁率(100kHz)及び高いインピーダンス(300MHz)を得ることができない。よって、Siは、SiO2換算で120ppm以下を含有させるものとした。なお、Siの下限については特に限定されることはないが、SiO2換算で10ppm以上含有させることが好ましい。より好ましくは、SiO2換算で30〜90ppmの範囲である。
Ca(CaO換算で):120ppm以下
CaもSiと同様、少量の添加でインピーダンスを向上させる有用元素である。しかしながら、Ca含有量がCaO換算で120ppmを超えると、焼結密度が低下して高い初透磁率(100kHz)及びインピーダンス(300MHz)を得ることができない。よって、Caは、CaO換算で120ppm以下を含有させるものとした。なお、Caの下限については特に限定されることはないが、CaO換算で10ppm以上含有させることが好ましい。より好ましくは、CaO換算で20〜50ppmの範囲である。
CaもSiと同様、少量の添加でインピーダンスを向上させる有用元素である。しかしながら、Ca含有量がCaO換算で120ppmを超えると、焼結密度が低下して高い初透磁率(100kHz)及びインピーダンス(300MHz)を得ることができない。よって、Caは、CaO換算で120ppm以下を含有させるものとした。なお、Caの下限については特に限定されることはないが、CaO換算で10ppm以上含有させることが好ましい。より好ましくは、CaO換算で20〜50ppmの範囲である。
P(P205換算で):60ppm以下
Pは、微量の添加で緻密化および粒成長を促進するのに有用な元素であるが、含有量がP205換算で60ppmを超えると結晶組織が不均一になり、高い初透磁率(100kHz)及び高いインピーダンス(300MHz)を得ることができない。よって、PはP205換算で60ppm以下を含有させるものとした。なお、Pの下限については特に限定されることはないが、P205換算で10ppm以上含有させることが好ましい。より好ましくは、P205換算で20〜50ppmの範囲である。
Pは、微量の添加で緻密化および粒成長を促進するのに有用な元素であるが、含有量がP205換算で60ppmを超えると結晶組織が不均一になり、高い初透磁率(100kHz)及び高いインピーダンス(300MHz)を得ることができない。よって、PはP205換算で60ppm以下を含有させるものとした。なお、Pの下限については特に限定されることはないが、P205換算で10ppm以上含有させることが好ましい。より好ましくは、P205換算で20〜50ppmの範囲である。
なお、本発明のNi-Cu-Zn系フェライトの製造方法については、特に制限されることはなく従来公知の製造方法を利用することができる。
ちなみに、一般的な製造方法は次の通りである。主成分であるFe、Ni、Zn及びCuの酸化物を秤量し、アトライターやボールミルなどの混合機を用いて、湿式または乾式で混合した後、800〜1000℃で仮焼する。仮焼した混合粉に副成分を含有させ、アトライターやボールミルなどの混合機を用いて、湿式または乾式で粉砕粒径0.8〜1.5μm程度まで粉砕する。次いで、粉砕粉にPVAなどの結合剤を添加し、スプレードライヤーや篩を用いて造粒した後、造粒粉を所定の形状の金型に充填して、プレス成形する。かくして得られた成形体を大気雰囲気中1000〜1250℃で1〜5時間焼成することにより、本発明に従うNi-Cu-Zn系フェライトの成形体を製造することができる。
ちなみに、一般的な製造方法は次の通りである。主成分であるFe、Ni、Zn及びCuの酸化物を秤量し、アトライターやボールミルなどの混合機を用いて、湿式または乾式で混合した後、800〜1000℃で仮焼する。仮焼した混合粉に副成分を含有させ、アトライターやボールミルなどの混合機を用いて、湿式または乾式で粉砕粒径0.8〜1.5μm程度まで粉砕する。次いで、粉砕粉にPVAなどの結合剤を添加し、スプレードライヤーや篩を用いて造粒した後、造粒粉を所定の形状の金型に充填して、プレス成形する。かくして得られた成形体を大気雰囲気中1000〜1250℃で1〜5時間焼成することにより、本発明に従うNi-Cu-Zn系フェライトの成形体を製造することができる。
また、上記の製造方法の他に、混合焙焼法や共沈法などを用いることもできる。さらに、成形方法についてもプレス成形に限定されず、射出成形法、フェライトペースト印刷法、グリーンシート法などが適用できる。
主成分である、Feの酸化物、Niの酸化物、Znの酸化物及びCuの酸化物として、それぞれFe203、NiO、ZnO及びCuOを用い、表1に示す組成比となるように秤量し、ボールミルで湿式混合した後、900℃で仮焼した。次いで、副成分であるMn、Si、Ca及びPとして、MnO、SiO2、CaO及びP205を用い、それぞれ4000ppm、70ppm、30ppm及び30ppmになるように添加し、ボールミルで湿式粉砕して平均粒径:1.1μm(空気透過法)の原料粉を得た。これにバインダーを加え、目開き:500μmの篩を通して造粒し、次いで、リング形試料に成形した。その後、電気炉を用いて、1100℃の大気雰囲気中で4時間焼成し、外径:2.54mm、内径:1.27mmのNi-Cu-Zn系フェライト磁芯を得た。
得られた磁芯に直径:0.1mmの被覆銅線を5回巻き、LCRメータ(アジレント・テクノロジー社製4285A)を用いて初透磁率(100kHz)を測定した。さらに、インピーダンスアナライザー(アジレント・テクノロジー社製4291A)を用いてインピーダンス(300MHz)を測定した。
得られた結果を表1に併記する。
得られた結果を表1に併記する。
同表に示した通り、本発明の成分組成範囲を満足する発明例はいずれも、初透磁率(100kHz)が800以上、かつインピーダンス(300MHz)が370Ω以上を満足していることが判る。
主成分である、Feの酸化物、Niの酸化物、Znの酸化物及びCuの酸化物として、それぞれFe203、NiO、ZnO及びCuOを用い、表2に示す組成比となるように秤量し、ボールミルで湿式混合した後、860℃で仮焼した。次いで、副成分であるMn、Si、Ca及びPとして、MnO、SiO2、CaO及びP205を用い、それぞれ表2に示す量を添加し、ボールミルで湿式粉砕して平均粒径:1.2μm(空気透過法)の原料粉を得た。これにバインダーを加え、目開き:500μmの篩を通して造粒し、次いで、リング形試料に成形した。その後、電気炉を用いて、1150℃の大気雰囲気中で3時間焼成して、外径:2.54mm、内径:1.27mmのNi-Cu-Zn系フェライト磁芯を得た。
得られた磁芯に直径:0.1mmの被覆銅線を5回巻き、LCRメータ(アジレント・テクノロジー社製4285A)を用いて初透磁率(100kHz)を測定した。さらに、インピーダンスアナライザー(アジレント・テクノロジー社製4291A)を用いてインピーダンス(300MHz)を測定した。
得られた結果を表2に併記する。
得られた結果を表2に併記する。
同表に示した通り、本発明の成分組成範囲を満足する発明例はいずれも、初透磁率(100kHz)が800以上、かつインピーダンス(300MHz)が370Ω以上を満足していることが判る。
CPU駆動の高周波化や情報通信速度の高速化に伴って、ノイズ対策素子やコモンモードチョークに用いる磁芯は、高い初透磁率と100MHzを超える高周波域においても高いインピーダンスが得られる材料が熱望されており、本発明のNi-Cu-Zn系フェライトはこの要望に有利に応えることができる。
また、本発明のNi-Cu-Zn系フェライトは、高周波域で高いインピーダンスを確保できることから、ノイズ対策部品の小型化にも寄与する。
さらに、本発明のNi-Cu-Zn系フェライトは、上記で述べた用途の部品を製造する場合に、従来公知の方法で製造可能であり、従って、製造コストの増加を伴わないため、広範囲な普及が期待される。
また、本発明のNi-Cu-Zn系フェライトは、高周波域で高いインピーダンスを確保できることから、ノイズ対策部品の小型化にも寄与する。
さらに、本発明のNi-Cu-Zn系フェライトは、上記で述べた用途の部品を製造する場合に、従来公知の方法で製造可能であり、従って、製造コストの増加を伴わないため、広範囲な普及が期待される。
Claims (1)
- 主成分としてFe、Ni、Zn及びCuの酸化物を、それぞれFe203、NiO、ZnO及びCuO換算で、
Fe203:48.0〜50.0mol%
NiO:14.0〜21.0mol%
ZnO:25.0〜31.0mol%及び
CuO:3.0〜7.0mol%
含有し、副成分として、Mn、Si、Ca及びPを、それぞれMnO、SiO2、CaO及びP205換算で、
MnO:1500〜5000ppm
SiO2:120ppm以下
CaO:120ppm以下及び
P205:60ppm以下
含有することを特徴とするNi-Cu-Zn系フェライト。
ただし、主成分:Fe203+NiO+ZnO+CuO=100 mol%、
副成分:Ni-Cu-Zn系フェライト総質量に対する質量ppm。
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