JP2010103266A - Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体からなるインダクタンス素子 - Google Patents

Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体からなるインダクタンス素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、ケイ酸亜鉛を添加することにより、直流重畳特性に優れたNi−Zn−Cu系フェライト材料からなるインダクタンス素子を提供するものである。
【解決手段】 スピネル型フェライトとケイ酸亜鉛とを含むNi−Zn−Cu系フェライト焼結体からなるインダクタンス素子であって、該Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体の組成は、酸化物換算で、36.0〜48.5mol%のFe、7.0〜38mol%のNiO、4.5〜40mol%のZnO、5.0〜17mol%のCuO、1.0〜8.0mol%のSiOからなり、スピネル型フェライトの311面からのX線回折強度に対するケイ酸亜鉛の113面からのX線回折強度の比が0.005〜0.065であることを特徴とするNi−Zn−Cu系フェライト焼結体からなることを特徴とするインダクタンス素子である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、直流重畳特性に優れたNi−Zn−Cu系フェライト材料を用いたインダクタンス素子に関するものである。
近年、携帯機器、情報機器等の電子機器は、急速に小型化、高機能化が求められており、これらに使われるインダクタンス素子等の部品に対しても同様に小型化、高機能化が要求されている。特に、電源回路に使われるインダクタンス素子には、交流電流と直流電流を重ねて流したときの直流重畳特性として、インダクタンスの低下とコア損失の増加が出来るだけ少ないことも求められている。
従来、インダクタンス素子は、材料としてMn−Zn系フェライト又はNi−Zn系のフェライトを用いて、その内部に構造的に磁気ギャップを設けることで直流重畳特性を向上させ、また、フェライト組成を調整したり添加物を添加することによりコア損失を低減していた。
特に、積層型インダクタンス素子の場合、フェライト材料と磁気ギャップである非磁性材料を積層して同時に焼成することによって製造するため、両者の密着性、焼成時の収縮率の差、熱膨張率の差により所望の特性が得られにくい等の問題点があった。
これを解決するため、構造的に磁気ギャップを設けなくても、磁性材料自体に優れた直流重畳特性を持たせたフェライト材料の開発が進められおり、酸化ケイ素と酸化ジルコンを添加したNi−Zn系又はNi−Zn−Cu系フェライト(特許文献1及び特許文献2)、ケイ素を添加したNi−Zn−Cu系フェライト(特許文献3)が知られている。
一方、Ni−Zn−Cu系フェライトにZnSiOを含有させることにより、応力変化に起因するインダクタンスの変化を制御する技術(特許文献4及び特許文献5)が提案されている。
特開2003−112968号公報 特開2004−172396号公報 特開2005−145781号公報 特開平2−137301号公報 特開2004−296865号公報
前出特許文献1乃至3には、酸化ケイ素、酸化ジルコンをNi−Zn系又はNi−Zn−Cu系フェライトに添加することにより、直流電流を重畳させた際の透磁率の低下を抑制できることが示されている。しかしながら、コア損失に関しては考慮されておらず、磁性材料自体が優れた直流重畳特性を有するフェライト材料への適用は困難である。
前出特許文献4及び5には、応力変化に起因するインダクタンスの変化を制御する技術が記述されているが、直流重畳特性に関しては考慮されておらず、磁性材料自体が優れた直流重畳特性を有するフェライト材料への適用は困難である。
そこで、本発明は、磁性材料自体が優れた直流重畳特性を有するフェライト材料を用いた直流重畳特性に優れたインダクタンス素子を提供すること技術的課題とする。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、スピネル型フェライトとケイ酸亜鉛とを含むNi−Zn−Cu系フェライト焼結体からなるインダクタンス素子であって、該Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体の組成は、酸化物換算で、36.0〜48.5mol%のFe、7.0〜38mol%のNiO、4.5〜40mol%のZnO、5.0〜17mol%のCuO、1.0〜8.0mol%のSiOからなり、スピネル型フェライトの311面からのX線回折強度に対するケイ酸亜鉛の113面からのX線回折強度の比が0.005〜0.065であることを特徴とするNi−Zn−Cu系フェライト焼結体からなることを特徴とするインダクタンス素子である(本発明1)。
また、本発明は、本発明1記載のインダクタンス素子を構成するNi−Zn−Cu系フェライト焼結体において、焼結密度が4.9〜5.25g/cmであり、直流重畳磁場を印加しない状態で測定した透磁率の実数部μ′が20〜170であり、コア損失Pが1400kW/m以下であり、直流重畳磁場を1000A/m印加した状態で測定した透磁率の実数部μ1000′とμ′の比μ1000′/μ′が0.5以上であり、直流重畳磁場を1000A/m印加した状態で測定したコア損失P1000とPの比P1000/Pが0.7〜2.0であるインダクタンス素子である(本発明2)。
また、本発明は、本発明1又は2記載のNi−Zn−Cu系フェライト焼結体からなるインダクタンス素子において、直流重畳電流を流した状態で測定したインダクタンスが直流重畳電流を流していない状態で測定したインダクタンスの90%になったときの直流重畳電流が、55〜2600mAであるインダクタンス素子である(本発明3)。
本発明に係るインダクタンス素子は、直流重畳特性が優れているので、DCパワーライン用のインダクタンス素子として好適である。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
本発明においては、フェライト材料の直流重畳特性の指標として、直流重畳磁場を印加しない状態で測定した透磁率の実数部μ′と直流重畳磁場を1000A/m印加した状態で測定した透磁率の実数部μ1000′との比μ1000′/μ′を用いた。この比μ1000′/μ′は、直流重畳磁場が0A/mの場合の透磁率を基準として、直流重畳磁場を1000A/mとしたときの透磁率の低下の程度を示すものである。この値は、通常、1以下であるが、この値が1に近いほど直流重畳磁場を印加した場合に透磁率の実数部が低下しにくいことを意味し、そのような材料は、磁性材料自体が直流重畳特性に優れていることを表している。
更に、本発明においては、フェライト材料の直流重畳特性の指標として、直流重畳磁場を印加しない状態で測定したコア損失Pと直流重畳磁場を1000A/m印加した状態で測定したコア損失P1000との比P1000/Pを用いた。この比P1000/Pは、直流重畳磁場が0A/mの場合のコア損失を基準として、直流重畳磁場を1000A/mとしたときのコア損失の変化の程度を示すものである。この値が1より大きくなると、直流重畳磁場を印加した場合にコア損失が大きくなることを示している。
更に、本発明においては、インダクタンス素子の直流重畳特性の指標として、2MHzの周波数において直流重畳電流を流した状態で測定したインダクタンスが直流重畳電流を流していない状態で測定したインダクタンスLの90%になったときの直流重畳電流I90を用いた。このI90が大きい程、インダクタンスの低下を招かないで大きな直流重畳電流を流せることになり、直流重畳特性が優れているといえる。
本発明に係るインダクタンス素子について述べる。
本発明に係るインダクタンス素子のインダクタンスLは、0.4〜55μHが好ましい。より好ましくは0.5〜50μHである。インダクタンスLが0.4未満の場合は、値が小さいので電子回路において利用しづらい。本発明の方法では、55μHを越えるインダクタンス素子は得られない。
本発明に係るインダクタンス素子において、直流重畳電流を流した状態のインダクタンスがLの90%になるときの直流重畳電流I90は、55〜2600mAである。好ましくは、60〜2400mAである。より好ましくは65〜2300mAである。
次に、本発明に係るインダクタンス素子の製造方法について述べる。
本発明に係るインダクタンス素子は、特性の組成を有するNi−Zn−Cu系フェライト粉末を製造した後、前記Ni−Zn−Cu系フェライト粉末を用いてグリーンシートを製造し、得られたグリーンシートを用いて積層体を形成し、当該積層体を所定の温度で焼結させることでインダクタンス素子を得ることができる。
まず、本発明におけるNi−Zn−Cu系フェライト粉末について述べる。
本発明におけるNi−Zn−Cu系フェライト粉末は、スピネル型フェライトとケイ酸亜鉛からなるNi−Zn−Cu系フェライト粉末であって、酸化物換算で36.0〜48.5mol%のFe、7.0〜38mol%のNiO、4.5〜40mol%のZnO、5.0〜17mol%のCuO、1.0〜8.0mol%のSiOからなる組成を有し、該Ni−Zn−Cu系フェライト粉末のX線回折において、スピネル型フェライトの311面のX線回折強度に対するケイ酸亜鉛の113面のX線回折強度の比(ケイ酸亜鉛の113面/スピネル型フェライトの311面)が0.01〜0.12である。
Feの組成が上記範囲外である場合は、該フェライト粉末の焼結性が悪く、焼結密度が低くなる。好ましいFeの組成は36.0〜48.0mol%、より好ましくは37.0〜47.5mol%である。
NiOの組成が7.0mol%未満の場合は、該フェライト粉末を焼結体としたときにμ1000′/μ′が小さくなり、直流重畳特性が悪くなる。NiOの組成が38mol%を越える場合には、該フェライト粉末を焼結体としたときにμ′が小さくなるのでインダクタンス素子とした場合に大きなインダクタンス値を得にくくなる。好ましいNiOの組成は7.0〜37mol%、より好ましくは8.0〜37mol%である。
ZnOの組成が4.5mol%未満の場合は、該フェライト粉末を焼結体としときにμ′が小さくなるのでインダクタンス素子としたときに大きなインダクタンス値を得にくくなる。ZnOの組成が40mol%を越える場合は、該フェライト粉末を焼結体としたときにμ1000′/μ′が小さくなり、直流重畳特性が悪くなる。好ましいZnOの組成は5.0〜39mol%である。
CuOの組成が5.0mol%未満の場合は、該フェライト粉末の焼結性が悪く、焼結密度が低くなる。CuOの組成が17mol%を越える場合には、焼結体に変形が生じやすくなる為、所望の形状の焼結体を得ることが困難になる。好ましいCuOの組成は6.0〜17mol%、より好ましくは6.0〜16mol%である。
SiOの組成が1.0mol%未満の場合は、該フェライト粉末を焼結体としたときにμ1000′/μ′が小さくなり、直流重畳特性が悪くなる。SiOの組成が8.0mol%を越える場合には、該フェライト粉末の焼結性が悪く、焼結密度が低くなる。好ましいSiOの組成は1.0〜7.0mol%である。
本発明におけるNi−Zn−Cu系フェライト粉末の組成が、Feが36〜48mol%、NiOが7.0〜25.5mol%、ZnOが16〜36mol%、CuOが7.0〜17mol%及びSiOが1.0〜8.0mol%の範囲である場合には、950℃以下での焼結、所謂低温焼結が可能であることから、Agなどとの同時焼結により、焼結体内部に簡単に回路を形成することが出来る。
本発明におけるNi−Zn−Cu系フェライト粉末は、スピネル型フェライトの311面のX線回折強度に対するケイ酸亜鉛の113のX線回折強度の比が0.01未満の場合は、該フェライト粉末を焼結体としたときにμ1000′/μ′が小さくなり、直流重畳特性が悪くなる。スピネル型フェライトの311面からのX線回折強度に対するケイ酸亜鉛の113面からのX線回折強度の比が0.120を越える場合には、該フェライト粉末の焼結性が悪く、焼結密度が低くなる。スピネル型フェライトの311面のX線回折強度に対するケイ酸亜鉛の113面のX線回折強度の比は、好ましくは0.01〜0.115である。
スピネル型フェライトの311面からのX線回折強度に対するケイ酸亜鉛の113面からのX線回折強度の比(ケイ酸亜鉛の113面/スピネル型フェライトの311面)を0.01〜0.12の範囲にする方法としては、例えば、あらかじめ作成したフェライト粉末に、後述するようなケイ酸亜鉛を2〜15wt%添加する方法がある。
ケイ酸亜鉛の組成は、ZnOが55〜70mol%であってSiOが30〜45mol%の範囲が好ましい。この範囲外の場合は、該フェライト粉末の焼結性が悪く、焼結密度が低くなることがある。より好ましいケイ酸亜鉛の組成は、ZnOが60〜67mol%であり、SiOが33〜40mol%である。また、ケイ酸亜鉛の化学量論組成は、ZnOが66.7mol%、SiOが33.3mol%であるが、これから組成がずれることによって、ケイ酸亜鉛の中にZnO又はSiOが混在していても良い。
ケイ酸亜鉛の平均粒子径は0.1〜30μmが好ましい。平均粒子径が上記範囲外である場合は、該フェライト粉末の焼結性が悪く、焼結密度が低くなることがある。好ましい平均粒子径は0.2〜20μmである。
本発明におけるNi−Zn−Cu系フェライト粉末のBET比表面積は、4〜12m/gが好ましい。BET比表面積が4m/g未満の場合は、該フェライト粉末の焼結性が悪く、焼結密度が低くなる。BET比表面積が12m/gを越える場合には、後述するグリーンシート製造過程において溶剤に該フェライト粉末を均一に分散できない。好ましいBET比表面積は6〜11m/gである。
本発明におけるNi−Zn−Cu系フェライト粉末は、常法により、フェライトを構成する各元素の酸化物、炭酸塩、水酸化物、シュウ酸塩等の原料を混合して得られた原料混合物を、大気中において650〜900℃の温度範囲で1〜20時間仮焼成した後、下記の方法で作製したケイ酸亜鉛を添加した仮焼成物を粉砕することによって得ることができる。または、仮焼成物を単独で粉砕した後に、下記の方法で作製したケイ酸亜鉛を混合することによって得ることができる。
本発明におけるケイ酸亜鉛は、ケイ素と亜鉛の酸化物、炭酸塩、水酸化物、シュウ酸塩等の原料を混合して得られた原料混合物を、大気中において1000〜1300℃の温度範囲で1〜20時間焼成することにより得ることができる。
次に、本発明におけるグリーンシートについて述べる。
グリーンシートとは、上記Ni−Zn−Cu系フェライト粉末を結合材料、可塑剤及び溶剤等と混合することによって塗料とし、該塗料をドクターブレード式コーター等で数μmから数百μmの厚さに成膜した後、乾燥してなるシートである。
本発明におけるグリーンシートは、本発明におけるNi−Zn−Cu系フェライト粉末を100重量部に対して結合材料を2〜20重量部、可塑剤を0.5〜15重量部含有する。好ましくは、結合材料を4〜15重量部、可塑剤を1〜10重量部含有する。また、成膜後の乾燥が不十分なことにより溶剤が残留していても良い。更に、必要に応じて粘度調整剤等の公知の添加剤を添加しても良い。
結合材料の種類は、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸エステル、ポリメチルメタクリレート、塩化ビニル、ポリメタクリル酸エステル、エチレンセルロース、アビエチン酸レジン等である。好ましい結合材料は、ポリビニルブチラールである。
結合材料が2重量部未満の場合はグリーンシートが脆くなり、また、強度を持たす為には20重量部を越える含有量は必要ない。
可塑剤の種類は、フタル酸ベンジル−n−ブチル、ブチルフタリルグリコール酸ブチル、ジブチルフタレート、ジメチルフタレート、ポリエチレングリコール、フタル酸エステル、ブチルステアレート、メチルアジテート等である。
可塑剤が0.5重量部未満の場合はグリーンシートが固くなり、ひび割れが生じやすくなる。可塑剤が15重量部を越える場合はグリーンシートが軟らかくなり、扱いにくくなる。
本発明におけるグリーンシートの製造においては、Ni−Zn−Cu系フェライト粉末100重量部に対して15〜150重量部の溶剤を使用する。溶剤が上記範囲外である場合は、均一なグリーンシートが得られないので、これを焼結して得られるインダクタンス素子は特性にバラツキのあるものとなりやすい。
溶剤の種類は、アセトン、ベンゼン、ブタノール、エタノール、メチルエチルケトン、トルエン、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、酢酸n−ブチル、3メチル−3メトキシ−1ブタノール等である。
積層圧力は、0.2×10〜0.6×10t/mが好ましい。
次に、本発明におけるNi−Zn−Cu系フェライト焼結体について述べる。
本発明におけるNi−Zn−Cu系フェライト焼結体は、スピネル型フェライトとケイ酸亜鉛からなるNi−Zn−Cu系フェライト焼結体であって、酸化物換算で36〜48.5mol%のFe、7.0〜38mol%のNiO、4.5〜40mol%のZnO、5.0〜17mol%のCuO、1.0〜8.0mol%のSiOからなる組成を有し、スピネル型フェライトの311面のX線回折強度に対するケイ酸亜鉛の113面のX線回折強度の比(ケイ酸亜鉛の113面/スピネル型フェライトの311面)が0.005〜0.065である。
Feの組成が上記範囲外である場合は、焼結密度が低くなる。好ましいFeの組成は37〜47.5mol%である。
NiOの組成が7mol%未満の場合は、μ1000′/μ′が小さくなり、直流重畳特性が悪くなる。NiOの組成が38mol%を越える場合には、μ′が小さくなるのでインダクタンス素子としたときに大きなインダクタンス値を得にくくなる。好ましいNiOの組成は8.0〜37mol%である。
ZnOの組成が4.5mol%未満の場合は、μ′が小さくなるのでインダクタンス素子としたときに大きなインダクタンス値を得にくくなる。ZnOの組成が40mol%を越える場合には、μ1000′/μ′が小さくなり、直流重畳特性が悪くなる。好ましいZnOの組成は5.0〜39mol%である。
CuOの組成が5.0mol%未満の場合は、焼結密度が低くなる。CuOの組成が17mol%を越える場合には、焼結体に変形が生じやすくなる為、所望の形状の焼結体を得ることが困難になる。好ましいCuOの組成は6.0〜16mol%である。
SiOの組成が1.0mol%未満の場合は、μ1000′/μ′が小さくなり、直流重畳特性が悪くなる。SiOの組成が8.0mol%を越える場合には、焼結密度が低くなる。好ましいSiOの組成は1.0〜7.0mol%である。
本発明におけるNi−Zn−Cu系フェライト焼結体の組成が、Feが36〜48mol%、NiOが7.0〜25.5mol%、ZnOが16〜36mol%、CuOが7.0〜17mol%及びSiOが1.0〜8.0mol%の範囲である場合には、950℃以下での焼結、所謂低温焼結が可能であることから、Ag等との同時焼結により、焼結体内部に簡単に回路を形成することが出来る。
本発明におけるNi−Zn−Cu系フェライト焼結体において、スピネル型フェライトの311面のX線回折強度に対するケイ酸亜鉛の113面のX線回折強度の比が0.005未満の場合は、μ1000′/μ′が小さくなり、直流重畳特性が悪くなる。スピネル型フェライトの311面からのX線回折強度に対するケイ酸亜鉛の113面からのX線回折強度の比が0.065を越える場合には、焼結密度が低くなる。スピネル型フェライトの311面のX線回折強度に対するケイ酸亜鉛の113面のX線回折強度の比は、好ましくは0.005〜0.060である。
本発明におけるNi−Zn−Cu系フェライト焼結体の焼結密度は、4.9〜5.25g/cmである。焼結密度が4.9g/cm未満の場合は、焼結体の機械的強度が低い為、使用時に破損する可能性がある。焼結密度は高い方が良いが、本発明で得られる焼結密度の上限は5.25g/cmである。好ましい焼結密度は4.95〜5.2g/cmである。
本発明におけるNi−Zn−Cu系フェライト焼結体の透磁率の実数部μ′は、20〜170である。透磁率の実数部μ′が20未満の場合は、インダクタンス素子とした場合に大きなインダクタンス値を得にくくなる。透磁率の実数部μ′が170を超える場合には、直流重畳特性が劣化する。好ましい透磁率の実数部μ′は30〜160である。
本発明におけるNi−Zn−Cu系フェライト焼結体のμ1000′/μ′は0.5以上である。μ1000′/μ′が0.5未満であると、直流重畳特性の劣るインダクタンス素子しか得られない。上限値は1.0である。
本発明におけるNi−Zn−Cu系フェライト焼結体のコア損失Pは、1400kW/m以下である。コア損失Pが1400kW/mを越える場合は、焼結体としての損失が大きくなることから、効率の悪いインダクタンス素子しか得られない。好ましいコア損失Pは1300kW/m以下であり、より好ましくは1200kW/m以下であり、更により好ましくは1000kW/m以下である。下限値は100kW/m程度である。
本発明におけるNi−Zn−Cu系フェライト焼結体のP1000/Pは、0.7〜2.0である。この範囲を外れる場合には、直流重畳特性が悪くなる。好ましいP1000/Pは、0.8〜1.9である。
本発明におけるNi−Zn−Cu系フェライト焼結体は、本発明におけるNi−Zn−Cu系フェライト粉末を金型を用いて、0.3〜3.0×10t/mの圧力で加圧する、所謂、粉末加圧成型法により得られた成型体、又は、本発明におけるNi−Zn−Cu系フェライト粉末を含有するグリーンシートを積層して得られた、所謂、グリーンシート法により得られた積層体を880〜1050℃で1〜20時間、好ましくは1〜10時間焼結することによって得ることができる。成型方法としては、公知の方法を使用できるが、上記粉末加圧成型法やグリーンシート法が好ましい。
焼結温度が880℃未満であると、焼結密度が低下する為、焼結体の機械的強度が低くなる。焼結温度が1050℃を越える場合には、焼結体に変形が生じやすくなる為、所望の形状の焼結体を得ることが困難になる。
本発明に係るインダクタンス素子は、まず、上記で得られたグリーンシートに導電性ペーストで巻回配線を形成し、これらを積層・加圧した後、所定の大きさに切断する。その後、得られた積層体を880〜1050℃で1〜20時間、好ましくは1〜10時間焼結することによって得ることができる。
導電性ペーストの種類は、焼結温度に応じて適宜選択することができる。例えば、900℃程度ではAgペースト、1000℃前後では貴金属含有Agペースト又は貴金属ペーストを使用することができる。
焼結温度が880℃未満であると、焼結密度が低下する為、焼結体の機械的強度が低くなる。焼結温度が1050℃を越える場合には、焼結体に変形が生じやすくなる為、所望の形状の焼結体を得ることが困難になる。
<作用>
本発明において最も重要な点は、スピネル型フェライトとケイ酸亜鉛からなり、Fe、NiO、ZnO、CuO及びSiOが特定の組成範囲にあるNi−Zn−Cu系フェライト粉末を焼結して得られるNi−Zn−Cu系フェライト焼結体は、磁性材料自体が優れた直流重畳特性を有するという事実である。この直流重畳特性が向上する理由は、未だ明らかではないが、ケイ酸亜鉛が特定のフェライト組成範囲のNi−Zn−Cu系フェライトの粒界に存在することにより、Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体の磁化曲線が、緩やかな傾斜で直線的な変化をすることに起因するものであると本発明者は推定している。
また、上記Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体を用いたインダクタンス素子は、磁気的なギャップを設けなくても直流重畳特性に優れた特性を示す。これは、磁気的なギャップがないことにより、漏れ磁束を少なくすることが可能になった為と推定している。
本発明の代表的な実施の形態は、次の通りである。
Ni−Zn−Cu系フェライト粉末、Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体の組成は、蛍光X線分析装置RIX2100(理学電機工業(株)製)を用いて測定した。
Ni−Zn−Cu系フェライト粉末及び焼結体を構成する結晶相と、スピネル型フェライトの311面からのX線回折強度に対するケイ酸亜鉛の113面からのX線回折強度の比は、X線回折装置RINT2500(理学電機工業(株)製)を用いて測定した。
Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体の焼結密度は、試料の外径寸法から求めた体積と重量から算出した。
Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体の透磁率μ′は、リング状焼結体に巻線を施し、周波数を1MHz、磁束密度を25mTとし、直流重畳磁場を印加しない状態でB−H/ZアナライザーE5060A(アジレントテクノロジー(株)製)を用いて測定した透磁率の実数部の値とした。
Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体の透磁率μ1000′は、リング状焼結体に巻線を施し、周波数を1MHz、磁束密度を25mT、直流重畳磁場を1000A/m印加した状態でB−H/ZアナライザーE5060A(アジレントテクノロジー(株)製)を用いて測定した透磁率の実数部の値とした。μ1000′/μ′は、μ′とμ1000′から計算で求めた。
Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体のコア損失Pは、リング状焼結体に巻線を施し、周波数を1MHz、磁束密度を25mTとし、直流重畳磁場を印加しない状態でB−H/ZアナライザーE5060A(アジレントテクノロジー(株)製)を用いて測定したPcvの値とした。
Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体のコア損失P1000は、リング状焼結体に巻線を施し、周波数を1MHz、磁束密度を25mT、直流重畳磁場を1000A/m印加した状態でB−H/ZアナライザーE5060A(アジレントテクノロジー(株)製)を用いて測定したPcvの値とした。P1000/Pは、PとP1000から計算で求めた。
インダクタンス素子のインダクタンスは、E4991A RFインピーダンス/マテリアル・アナライザ(アジレントテクノロジー(株)製)を用いて、2MHzの周波数において直流重畳電流を流さない状態で測定したインダクタンスLで評価した。また、インダクタンスの直流重畳特性は、同測定器にて2MHzの周波数において直流重畳電流を流したとき、インダクタンスがLの90%になったときの直流重畳電流I90で評価した。これらの測定においては、E4991Aの交流電流を2mAに設定した。
実施例1
<Ni−Zn−Cu系フェライト粉末の製造>
Ni−Zn−Cu系フェライトの組成が、所定の組成になるように各酸化物原料を秤量し、ボールミルを用いて20時間湿式混合を行った後、混合スラリーを濾別・乾燥して原料混合粉末を得た。該原料混合粉末を720℃で4時間仮焼成して得られた仮焼成物をアトマイザーで粉砕し、フェライト粉砕粉末を得た。
一方、ケイ酸亜鉛の組成が、所定の組成になるように酸化亜鉛と酸化ケイ素を秤量し、ボールミルを用いて20時間湿式混合を行った。混合スラリーを濾別・乾燥した後、1200℃で3時間焼成してケイ酸亜鉛を得た。得られたケイ酸亜鉛の組成は、ZnO=66.5mol%、SiO=33.5mol%であり、平均粒径は、5.2μmであった。
次に、所定の組成となるように、前記フェライト粉砕粉末に前記ケイ酸亜鉛を添加し、ボールミルで混合及び粉砕することによって本発明におけるNi−Zn−Cu系フェライト粉末を得た。
得られたNi−Zn−Cu系フェライト粉末の組成は、Fe=47.5mol%、NiO=14.0mol%、ZnO=27.0mol%、CuO=10.5mol%及びSiO=1.0mol%であった。スピネル型フェライトの311面からのX線回折強度に対するケイ酸亜鉛の113面からのX線回折強度の比は0.010であった。BET比表面積は8.8m/gであった。
<グリーンシートの製造>
得られたNi−Zn−Cu系フェライト粉末100重量部に対して結合材料としてポリビニルブチラール8重量部、可塑剤としてフタル酸ベンジル−n−ブチル3重量部、溶剤として3メチル−3メトキシ−1ブタノール50重量部を加えた後、十分混合してスラリーを得た。このスラリーをドクターブレード式コーターによってPETフィルム上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより厚さ45μmのグリーンシートを得た。これを縦100mm×横100mmの大きさに切断して12枚を積層した後、0.35×10t/mの圧力で加圧して、厚さ0.53mmのグリーンシート積層体を得た。
<Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体の製造>
得られたグリーンシート積層体を890℃、2時間で焼結し、厚さ0.44mmのNi−Zn−Cu系フェライト焼結体を得た。
得られたNi−Zn−Cu系フェライト焼結体の組成は、Fe=47.5mol%、NiO=14.2mol%、ZnO=27.1mol%、CuO=10.2mol%及びSiO=1.0mol%であった。該Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体におけるスピネル型フェライトの311面からのX線回折強度に対するケイ酸亜鉛の113面からのX線回折強度の比は0.005であった。また、焼結密度は5.01g/cmであった。
更に、該Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体から超音波加工機により外径14mm、内径8mm、厚さ0.48mmのリング状焼結体を切り出し、磁気特性を評価した。この焼結体のμ′は152、μ1000′/μ′は0.50、コア損失Pは380kW/m、P1000/Pは1.88であった。
<インダクタンス素子の製造>
前述の方法で得られたグリーンシートを縦160mm×横160mmの大きさに切断し、貫通孔を開けAgペーストを充填した後、Agペーストでインダクタの巻回配線を20μmの厚さで印刷した。このグリーンシートを、インダクタの配線が個片の一方の端から入り、巻回した後もう一方の端から外に出る構成になる順番で積層した後、0.35×10t/mの圧力で加圧して、厚さ1.2mmのグリーンシート積層体を得た。この時、グリーンシートの積層枚数は、全部で27枚であり、巻回配線は15.5ターンとした。得られたグリーンシート積層体を、縦2.4mm×横1.9mmの大きさに切断し、890℃、2時間で焼結して、縦2mm×横1.6mm×高さ1mmのインダクタンス素子を得た。得られたインダクタンス素子のインダクタンスLは55.2μHであり、I90は86mAであった。
実施例2〜実施例7
実施例1と同様の方法で、Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体を得た。このときの製造条件及び得られたNi−Zn−Cu系フェライト焼結体の諸特性を表1、2、3に示す。更に、実施例1と同様の方法で、インダクタンス素子を製造した。このときの製造条件及び得られたインダクタンス素子の諸特性を表4に示す。
実施例8
実施例1と同様のNi−Zn−Cu系フェライト粉末を作製し、該Ni−Zn−Cu系フェライト粉末100重量部に対してポリビニルアルコール6%水溶液10重量部を混合して得られた混合粉末7.0gを金型を用いて1.0×10t/mの成型圧力で外径30mm、厚さ2.9mmの円盤状に成型した。この成型体を焼結温度900℃、5時間で焼結し、Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体を得た。
得られたNi−Zn−Cu系フェライト焼結体の組成、X線回折強度比、焼結密度を測定した後、超音波加工機により外径14mm、内径8mm、厚さ2mmのリング状焼結体を切り出し、磁気特性を評価した。
このときの製造条件及び得られたNi−Zn−Cu系フェライト焼結体の諸特性を表1、2、3に示す。
更に、実施例1と同様にしてグリーンシートを経由してインダクタンス素子を製造した。このときの製造条件及び得られたインダクタンス素子の特性を表4に示す。
実施例9〜実施例10
実施例8と同様の方法で、Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体を得た。このときの製造条件及び得られたNi−Zn−Cu系フェライト焼結体の諸特性を表1、2、3に示す。
更に、実施例1と同様にしてグリーンシートを経由してインダクタンス素子を製造した。このときの製造条件及び得られたインダクタンス素子の特性を表4に示す。
比較例1〜比較例3
実施例1と同様の方法で、Ni−Zn系−Cuフェライト焼結体を得た。このときの製造条件及び得られたNi−Zn−Cu系フェライト焼結体の諸特性を表1、2、3に示す。
比較例4〜比較例5
実施例8と同様の方法で、Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体を得た。このときの製造条件及び得られたNi−Zn−Cu系フェライト焼結体の諸特性を表1、2、3に示す。
更に、実施例1と同様にしてグリーンシートを経由してインダクタンス素子を製造した。このときの製造条件及び得られたインダクタンス素子の特性を表4に示す。
比較例6
フェライトの組成が、Fe=49.5mol%、NiO=20.7mol%、ZnO=22.8mol%、CuO=7mol%となるように各酸化物原料を秤量し、ボールミルを用いて20時間湿式混合を行った後、混合スラリーを濾別・乾燥して原料混合粉末を得た。該原料混合粉末を750℃で4時間仮焼成して得られた仮焼成物をアトマイザーで粉砕し、フェライト粉砕粉末を得た。
一方、ケイ酸亜鉛の組成が、ZnSiOとなるように酸化亜鉛と酸化ケイ素を秤量し、ボールミルを用いて20時間湿式混合を行った。混合スラリーを濾別・乾燥した後、1200℃で3時間焼成してケイ酸亜鉛を得た。得られたケイ酸亜鉛の組成は、ZnO=66.7mol%、SiO=33.3mol%であり、平均粒径は5.0μmであった。
次に、前記フェライト粉砕粉末に前記ケイ酸亜鉛を1.5wt%添加し、ボールミルで混合及び粉砕することによって本発明におけるNi−Zn−Cu系フェライト粉末を得た。
得られたNi−Zn−Cu系フェライト粉末の組成は、Fe=48.4mol%、NiO=20.4mol%、ZnO=23.6mol%、CuO=6.8mol%及びSiO=0.8mol%であった。スピネル型フェライトの311面からのX線回折強度に対するケイ酸亜鉛の113面からのX線回折強度の比は、0.006であった。BET比表面積は、7.5m/gであった。
得られたNi−Zn−Cu系フェライト粉末100重量部に対してポリビニルアルコール6%水溶液10重量部を混合して得られた混合粉末7.0gを金型を用いて1.0×10t/mの成型圧力で外径30mm、厚さ2.9mmの円盤状に成型した。この成型体を焼結温度1000℃、2時間で焼結し、Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体を得た。
得られたNi−Zn−Cu系フェライト焼結体の組成は、Fe=48.5mol%、NiO=20.5mol%、ZnO=23.3mol%、CuO=6.9mol%及びSiO=0.8mol%であった。該Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体におけるスピネル型フェライトの311面からのX線回折強度に対するケイ酸亜鉛の113面からのX線回折強度の比は0.003であった。また、焼結密度は5.19g/cmであった。更に、該Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体から超音波加工機により外径14mm、内径8mm、厚さ2mmのリング状焼結体を切り出し、磁気特性を評価した。この焼結体のμ′は242、μ1000′/μ′は0.28、コア損失Pは198kW/m、P1000/Pは2.97であった。
比較例6では、スピネル型フェライトに対するケイ酸亜鉛の添加量が少量であるため、Ni−Zn−Cu系フェライト粉末におけるスピネル型フェライトの311面のX線回折強度に対するケイ酸亜鉛の113面のX線回折強度の比が小さくなり、該Ni−Zn−Cu系フェライト粉末を用いて作成した焼結体は、優れた直流重畳特性を有するとは言い難いものであった。
更に、実施例1と同様にしてグリーンシートを経由してインダクタンス素子を製造した。このときの製造条件及び得られたインダクタンス素子の特性を表4に示す。
Figure 2010103266
Figure 2010103266
Figure 2010103266
Figure 2010103266
前記実施例から明らかな通り、スピネル型フェライトとケイ酸亜鉛からなるNi−Zn−Cu系フェライト焼結体であって、酸化物換算で36〜48.5mol%のFe、7〜38mol%のNiO、4.5〜40mol%のZnO、5〜17mol%のCuO、1〜8mol%のSiOからなる組成を有し、スピネル型フェライトの311面からのX線回折強度に対するケイ酸亜鉛の113面からのX線回折強度の比が0.005〜0.065であるNi−Zn−Cu系フェライト焼結体からなるインダクタンス素子は、優れた直流重畳特性を有することから、インダクタンス素子用として好適である。
また、該Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体を用いたインダクタンス素子は、優れた直流重畳特性を示すことから、DCパワーライン用のインダクタンス素子として好適である。

Claims (3)

  1. スピネル型フェライトとケイ酸亜鉛とを含むNi−Zn−Cu系フェライト焼結体からなるインダクタンス素子であって、該Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体の組成は、酸化物換算で、36.0〜48.5mol%のFe、7.0〜38mol%のNiO、4.5〜40mol%のZnO、5.0〜17mol%のCuO、1.0〜8.0mol%のSiOからなり、スピネル型フェライトの311面からのX線回折強度に対するケイ酸亜鉛の113面からのX線回折強度の比が0.005〜0.065であることを特徴とするNi−Zn−Cu系フェライト焼結体からなることを特徴とするインダクタンス素子。
  2. 請求項1記載のインダクタンス素子を構成するNi−Zn−Cu系フェライト焼結体において、焼結密度が4.9〜5.25g/cmであり、直流重畳磁場を印加しない状態で測定した透磁率の実数部μ′が20〜170であり、コア損失Pが1400kW/m以下であり、直流重畳磁場を1000A/m印加した状態で測定した透磁率の実数部μ1000′とμ′の比μ1000′/μ′が0.5以上であり、直流重畳磁場を1000A/m印加した状態で測定したコア損失P1000とPの比P1000/Pが0.7〜2.0であるインダクタンス素子。
  3. 請求項1又は2記載のNi−Zn−Cu系フェライト焼結体からなるインダクタンス素子において、直流重畳電流を流した状態で測定したインダクタンスが直流重畳電流を流していない状態で測定したインダクタンスの90%になったときの直流重畳電流が、55〜2600mAであるインダクタンス素子。
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