JP2006027920A - 焼結体及びそれを用いたコイル部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い飽和磁束密度、飽和磁束密度の良好な温度特性、高い耐熱衝撃性を有する焼結体及びそれを用いたコイル部品を提供する。
【解決手段】 本発明に係るフェライトコア12は、Feが49.0〜50.0mol%、ZnOが20.0〜30.0mol%、CuOが1.0〜6.0mol%で残部がNiOである主成分と、主成分100重量部に対して0.01〜0.03重量部であるSiOとからなる酸化物磁性材料によって構成されたことを特徴とするため、高い飽和磁束密度と、飽和磁束密度の良好な温度特性と、高い耐熱衝撃性とを兼ね備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、チョークコイルやインダクタのコアなどに適用される焼結体及びそれを用いたコイル部品に関するものである。
近年、携帯機器やデジタルカメラを始めとした各種電子機器の小型化、軽量化及び高機能化が急速に進んでいる。それに伴い、電子機器に用いる電子部品に対しても、さらなる小型化や高性能化が求められるようになった。
このような電子部品の一つに、電源回路用チョークコイルがある。この電源回路用チョークコイルには、小さなサイズでも大きな電流が流せること、且つ直流重畳した際の実効透磁率の変化が小さく安定していることが求められる。そして、この要求を満たすチョークコイルを得るためには、チョークコイルの磁心(コア)が、高い比抵抗を有すること、高い飽和磁束密度(Bs)を有すること、動作環境温度の変化に飽和磁束密度が影響を受けにくいこと等の電磁気的特性を有する必要がある。
このチョークコイルのコア材料の一つとして、Ni−Zn系フェライトが知られている。このNi−Zn系フェライトは、成分組成を調整することで飽和磁束密度やキュリー点等を制御できるため、用途に応じた飽和磁束密度や温度特性を得ることができる。また、Ni−Zn系フェライトは固有抵抗が高いため、コアにワイヤを直巻線することが可能であり、チョークコイルの小型化及び低コスト化を実現できるという利点がある。
このようなNi−Zn系フェライトを焼結させて作製されたフェライトコア(焼結体)は、例えば、下記特許文献1〜特許文献4等に開示されている。
下記特許文献1に開示されたフェライトコアは、Fe、Zn、Ni、Cu、Mnの酸化物を、Fe、ZnO、NiO、CuO、MnO換算で、Fe:48〜50mol%、CuO:1〜5mol%、MnO:0.1〜1mol%含有し、残部をなすZnO/NiOのモル比が1〜1.6である主成分中に、副成分としてMg、Si、Al、Crの酸化物を、それぞれMgO、SiO、Al、Cr換算で、MgO:0.01〜0.2重量部、SiO:0.05〜0.5重量部、Al:0.05〜0.5重量部、Cr:0.01〜0.2重量部含有するフェライト材料で構成されている。このフェライト材料においては、適宜ZrO及びYを添加して、所定の成分含有量、平均結晶粒径、結晶密度を満足させることにより、高い飽和磁束密度、室温における高抵抗、高い透磁率を有するフェライトコアを得ることができる。
また、下記特許文献2に開示されたフェライトコアは、成分組成が、Fe:48〜50mol%、ZnO:15〜25mol%、CuO:2.5mol%以下、NiO:22〜37mol%及び残部不可避的不純物からなるフェライト材料であって、MoO換算で3000ppm以下のMo酸化物が添加されたフェライト材料で構成されている。また、このフェライトコアの焼結密度は、理論密度の95〜99%となっている。この特許文献2によると、このようなフェライトコアにおいては、60〜100℃の温度域において高い飽和磁束密度が実現されて、且つ、室温で10Ω・cm以上の比抵抗と300以上の高透磁率が実現される。
さらに、下記特許文献3に開示されたフェライトコアは、Fe:47〜50mol%、NiO:15〜35mol%、CuO:10mol%以下、ZnO:10〜33mol%を主成分とし、副成分として、主成分の全重量に対して、Bi:0.05〜2.0wt%、SiO:0.05〜1.0wt%及びCrを含有するフェライト材料で構成されている。特許文献3によれば、このフェライトコアにおいては、耐熱衝撃性に優れ、430℃、3秒間の半田浴でもひび割れが発生しない。
また、下記特許文献4に開示されたフェライトコアは、Fe:40〜50mol%、ZnO:20〜35mol%、CuO:3〜10mol%、残部NiOからなるフェライト材料であって、Bi:0.05〜2.0wt%を含み、さらにSiO:0〜1wt%が添加されたフェライト材料で構成されている。特許文献4によると、このフェライトコアにおいては、耐熱衝撃性に優れ、高い飽和磁束密度を有する。
特開2001−151564号公報 特開平6−295811号公報 特開平11−35369号公報 特開平1−103953号公報
ところで、フェライトコアとこのフェライトコアに巻回されたワイヤのリード線との接続には、一般に、リード線の両端とフェライトコアの端面とを接触させた状態で溶融半田に浸漬する、いわゆる半田ディップ法が採用される。ところが、フェライトコアの耐熱衝撃性が低い場合、その半田浴をおこなった際に、フェライトコアの局所的且つ急激な熱膨張に起因して割れやクラック等が発生してしまう。特に、環境への配慮から積極的に採用されている高融点の鉛フリー半田を用いた場合には、フェライトコアの割れやクラック等がより発生しやすい。従って、フェライトコアには高い耐熱衝撃性が求められる。
また、フェライトコアが良好な直流重畳特性を有するためには、高い飽和磁束密度を有する必要がある。ところが、Ni−Zn系フェライトは、同じ電源向けコイルに使用されるMn−Zn系フェライトに比べて飽和磁束密度が低いため、飽和磁束密度を改善する必要がある。さらに、Ni−Zn系フェライトコアのチョークコイルのコイル特性を、動作環境温度の変化に対して影響されにくいものとするために、フェライトコアの飽和磁束密度の温度特性も改善する必要がある。
つまり、高い飽和磁束密度と、温度変化の影響を受けにくい飽和磁束密度の良好な温度特性と、高い耐熱衝撃性とを兼ね備えたNi−Zn系フェライトコアが切望されている。しかしながら、前述した従来のフェライトコアの中には、これら3つの要件を全て満たすものがなかった。
すなわち、特許文献1では、飽和磁束密度の温度特性や耐熱衝撃性についての記載がない上、飽和磁束密度は最も高い値でも4580ガウス(458mT)程度となっている。特許文献2では、耐熱衝撃性についての記載がない上、飽和磁束密度は最も高い値でも4250ガウス(425mT)程度となっている。
また、特許文献3では、耐熱衝撃性について言及されているものの、飽和磁束密度の温度特性についての記載がなく、その上、飽和磁束密度は4000ガウス(400mT)以下の値までしか示されていない。特許文献4では、飽和磁束密度及び耐熱衝撃性について言及されているものの、飽和磁束密度の温度特性についての記載はなく、その上、飽和磁束密度は最も高い値でも420mT程度である。
以上で説明したように、従来、高い飽和磁束密度、良好な飽和磁束密度温度特性、高い耐熱衝撃性の3要件を全て満たすようなフェライトコアはなく、そのようなフェライトコアは、電磁気的特性に優れた電源回路用チョークコイルなどの電子部品を得る上で切望されている。
そこで、本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、高い飽和磁束密度、飽和磁束密度の良好な温度特性、高い耐熱衝撃性を有する焼結体及びそれを用いたコイル部品を提供することを目的とする。
本発明に係る焼結体は、Feが49.0〜50.0mol%、ZnOが20.0〜30.0mol%、CuOが1.0〜6.0mol%で残部がNiOである主成分と、主成分100重量部に対して0.01〜0.03重量部であるSiOとからなる酸化物磁性材料によって構成されたことを特徴とする。
また、23℃における飽和磁束密度が470mT以上であり、23℃から100℃へ環境温度が変わった際の飽和磁束密度Bsの変化率|ΔBs|が20%以下であることが好ましい。
また、平均結晶粒径が2.0〜8.0μmであることが好ましい。
本発明に係るコイル部品は、Feが49.0〜50.0mol%、ZnOが20.0〜30.0mol%、CuOが1.0〜6.0mol%で残部がNiOである主成分と、主成分100重量部に対して0.01〜0.03重量部であるSiOとからなる酸化物磁性材料によって構成された焼結体コアと、焼結体コアに巻回された巻線とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、高い飽和磁束密度、飽和磁束密度の良好な温度特性、高い耐熱衝撃性を有する焼結体及びそれを用いたコイル部品が提供される。
以下、添付図面を参照して本発明に係る焼結体及びそれを用いたコイル部品を実施するにあたり最良と思われる形態について詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。
図1に示すように、コイル部品10は、ドラム型のフェライトコア(焼結体コア)12と、このフェライトコア12に巻回された絶縁被覆付き銅線(巻線)14とで構成されている。
フェライトコア12は、酸化鉄(α−Fe)、酸化銅(CuO)、酸化亜鉛(ZnO)、及び酸化ニッケル(NiO)で構成された主成分と、副成分の酸化ケイ素(SiO)とからなるフェライト材料(酸化物磁性材料)で構成されており、所定条件における焼成によって求められる。
フェライトコア12の主成分を構成する原料のうち、Feのモル比は、49.0〜50.0mol%の範囲となっている。Feが49.0mol%未満では、フェライトコア12の飽和磁束密度が低下してしまい、十分な飽和磁束密度を得ることができない。また、Feが化学量論組成を超えた範囲から(すなわち、Feが50mol%を超えてから)、空気中の焼成においてFeが析出し、フェライトコア12の焼結体密度の低下と、フェライトコア12の比抵抗の低下を招く。このような理由で、Feのモル比は50mol%以下であることが好ましい。
フェライトコア12の主成分を構成する原料のうち、CuOのモル比は、1.0〜6.0mol%の範囲となっている。CuOが1.0mol%未満では、フェライト材料の焼結性が著しく劣化して焼結体密度が低下するため、フェライトコア12の機械的強度が低下してしまう。一方、CuOが6.0mol%を超えると、フェライトコア12の比抵抗が実用的な範囲から逸脱してしまう。
フェライトコア12の主成分を構成する原料のうち、ZnOのモル比は、20.0〜30.0mol%の範囲となっている。ZnOが20.0mol%未満では、初透磁率(μi)が低下してしまう。一方、ZnOが30.0mol%を超えると、キュリー点が低下してしまい、フェライトコア12が実用に耐えられなくなる。
フェライト材料の主成分は、上述したFe、CuO、ZnOを所定量だけ含有しており、その他には残部としてNiOを含有している。すなわち、フェライト材料の諸特性をFe、CuO及びZnOの成分組成によって調整し、残りの部分をこのNiOとする。なお、このNiOを含有していない場合、飽和磁束密度の温度特性が劣化する。
この温度特性としては、例えば、フェライトコア12の環境温度が室温(23℃)から100℃に変化した際の飽和磁束密度の変化量(|ΔBs|)が用いられる。この飽和磁束密度の変化量|ΔBs|は、下記式(1)のように表すことができる。
Figure 2006027920
なお、この式(1)において、Bs100℃は100℃における飽和磁束密度の値を示し、BsR.T.は23℃における飽和磁束密度の値を示している。すなわち、飽和磁束密度の温度特性(変化量|ΔBs|)は、所定の温度範囲内における飽和磁束密度の変化率によって得られる特性であり、その値(絶対値)が小さいほど好ましい。フェライトコア12においては、この飽和磁束密度の変化量|ΔBs|は20%以下となっている。
また、上述したように、フェライトコア12を構成するフェライト材料には、主成分の他に、副成分としてSiOが含まれている。このように、フェライト材料に所定量のSiOを添加することで、結晶粒径の制御を焼成時に容易におこなうことができる。このSiOは、上述した主成分100重量部に対して、0.01〜0.03重量部の範囲となっている。SiOが0.01重量部未満では、結晶粒を十分に微細化することができず、良好な耐熱衝撃性を得ることができない。一方、SiOが0.03重量部を超えると、フェライト材料の焼結性が劣化し、結果として飽和磁束密度及び機械的強度が低下してしまう。すなわち、フェライト材料に適切な量のSiOを添加することで、結晶粒が微細化されて良好な耐熱衝撃性を得ることができると共に、高い飽和磁束密度及び高い機械的強度を得ることができる。
すなわち、上述した所定量のSiO添加により、フェライトコア12においては、その平均結晶粒径(D50)の範囲を、2.0〜8.0μmの範囲に制御することが可能となっている。ここで、平均結晶粒径が2.0μm未満だと、焼結密度が低いため、飽和磁束密度及び初透磁率μiなどの磁気特性が十分に得られない。一方、平均結晶粒径が8.0μmを超えると、粗大な結晶が認められるようになり、結晶粒径が不均一となる。結果として、耐熱衝撃性、機械的強度及び磁気特性の劣化を招くこととなる。
次に、上述したフェライト材料の製造方法を説明する。
フェライト材料の原料として、α−Fe、CuO、ZnO、NiO、SiOを準備する。そして、これらの酸化物を、上述したフェライト材料の構成比と同一の割合となるように混合する。なお、このような酸化物(Fe、CuO、ZnO、NiO、SiO)を混合する以外に、その他の化合物を用いることも可能である。その場合には、上記酸化物に換算したときに、最終的に得られるフェライト材料の上記各酸化物の構成比が上述した組成範囲内となっていればよい。
原料を混合した後、その混合物を仮焼する。仮焼は通常は空気中でおこなえばよく、仮焼温度は800〜1100℃、仮焼時間は1〜3時間とすることが好ましい。次に、得られた仮焼物をボールミル等により所定の粒径となるまで粉砕する。仮焼物を粉砕した後、ポリビニルアルコール等の適当なバインダーを適量加えて、フェライトコア12の形状に成型する。
そして、その成型体を焼成する。焼成は通常は空気中でおこなえばよく、焼成温度900〜1300℃、焼成時間は2〜5時間とすることが好ましい。以上のような焼成工程を経て、上述のフェライトコア12が完成する。なお、フェライトコア12の成型は、焼成前の成型の他、焼成後の加工によるものであってもよい。
以上で説明したフェライトコア12を有するコイル部品10においては、発明者らの実験により、室温において印加磁界4000A/mで470mT以上の高い飽和磁束密度が得られることが確認された。さらに、コイル部品10においては、飽和磁束密度の変化率|ΔBs|が20%以下となる良好な温度特性、及び高い耐熱衝撃性が得られることが確認された。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、コイル部品の形状は、ドラム状に限定されず、筒状やトロイダル状など様々な形状を採用することができる。また、コイル部品には、適宜樹脂モールド等を施してもよい。
本発明の効果をより一層明らかなものとするため、以下に実施例を示す。
実施例として、それぞれ異なる成分組成を有するトロイダルコアサンプル#1〜#12を作製した。各サンプル#1〜#12の各原料の構成比は、図2の表に示すとおりとなっている。なお、各サンプル#1〜#12の主成分を構成するFe、ZnO、CuO、NiOの構成比はmol%で表し、この主成分に対するSiO添加率はwt%で表している。
各サンプル#1〜#12は、以下のようにして作製した。すなわち、図2の表に示した構成比と同一の割合となるように各原料を秤量し、ボールミルで5時間混合した。そして、上述のようにして得られた混合物を空気中において900℃で2時間仮焼し、再度ボールミルで20時間混合及び粉砕をおこなった。粉砕後の混合物を乾燥させ、ポリビニルアルコールを1.0wt%加えて磁性体粉末とした。その磁性体粉末を100kPaの圧力で加圧成型して、外径30mm、内径19mm、高さ6mmのトロイダル状の成型体を作製した。作製した成型体を空気中において、所定の温度で2時間焼成した。この焼成によって、磁性材料からなるサンプル#1〜#12を得た。なお、各サンプル#1〜#12の焼成温度は図3の表に示すとおりである。
このサンプル#1〜#12それぞれにφ0.35mmのワイヤ(巻線)を30回巻回した後、LCRメータによりインダクタンス値を測定し、各サンプル#1〜#12の100kHz、0.4A/mにおける初透磁率μiを求めた。また、μiの測定に用いた各サンプル#1〜#12にさらにφ0.6mmの被覆導線を65回巻回した後、理研電子社製B−Hカーブトレーサーにて4000A/mの磁場を印加したときの飽和磁束密度Bsを室温(23℃)及び100℃において測定した。すなわち、図3のBs(R.T.)は室温における各サンプル#1〜#12の飽和磁束密度Bsを示し、図3のBs(100℃)は100℃における各サンプル#1〜#12の飽和磁束密度Bsを示している。
この図3の表から、Feが49.0〜50.0mol%、ZnOが20.0〜30.0mol%、CuOが1.0〜6.0mol%で残部がNiOである主成分と、主成分100重量部に対して0.01〜0.03重量部である副成分SiOとで構成されたサンプル#1〜#7では、Bs(R.T.)が470mT以上の高い値を示した。また、サンプル#1〜#7では、上述した飽和磁束密度の変化率|ΔBs|が20%以下となる良好な温度特性が得られた。一方、サンプル#9〜#12のBs(R.T.)では、Bs(R.T.)がいずれも470mT未満であり、|ΔBs|も20%以上となるものがあった。なお、サンプル#8は、高いBs(R.T.)を有し、|ΔBs|が20%以下であったものの、後述する耐熱衝撃性が悪い結果となっている。
上述のような磁性体粉末を用いてドラム型形状に成型加工し、これら成型体を空気中において、1100〜1300℃の範囲で2〜5時間焼成して、外径5mm、中芯径2.5mm、巻き幅1mmの磁性材料によるドラムコアサンプルαを得た。このドラムコアサンプルαの材料構成比は、上記サンプル#6と実質的に同一のものである。そして、ドラムコアサンプルαにφ0.12mmのワイヤを用いて30回巻回した後、直流重畳特性の評価をおこなった。測定条件は周波数100kHz、印加電圧1V、23℃及び100℃とし、直流電流を0〜1.5Aで重畳させた。図4の実線は、23℃において、電流Idcに対するインダクタンスの値を測定したときのデータであり、図5の実線は、100℃において、電流Idcに対するインダクタンスの値を測定したときのデータである。
そして、図4及び図5のデータに基づき、直流電流0AにおけるインダクタンスをL、直流電流1.2AにおけるインダクタンスをLとし、ΔL=L−Lを求めて変化率ΔL/Lを算出した。
また、ドラムコアサンプルαと同形状、同寸法であるドラムコアサンプルβを、Feが49.3mol%、NiOが19.0mol%、CuOが5.5mol%、ZnOが26.2mol%で残部がNiOで構成された従来磁性材料を用いて作製した。なお、図4の破線は、23℃において、電流Idcに対するインダクタンスの値を測定したときのデータであり、図5の破線は、100℃において、電流Idcに対するインダクタンスの値を測定したときのデータである。このドラムコアサンプルβについても、ドラムコアサンプルα同様、図4及び図5のデータに基づき、直流電流0AにおけるインダクタンスをL、直流電流1.2AにおけるインダクタンスをLとし、ΔL=L−Lを求めて変化率ΔL/Lを算出した。
そして、ドラムコアサンプルαの特性(ΔL/L)とドラムコアサンプルβの特性(ΔL/L)とを比較した。その比較結果を図6の表に示す。すなわち、従来磁性材料からなるドラムコアサンプルβの変化率ΔL/Lは、23℃において−7.58%、100℃において−58.67%であったのに対し、ドラムコアサンプルαは、変化率ΔL/Lが23℃において−3.81%、100℃において−12.28%とドラムコアサンプルβよりも低くて良好であった。
また、耐熱衝撃性の検証のため、平均結晶粒径D50がの範囲が2.0〜8.0μmの範囲である4つのドラムコアサンプルA〜Dを準備した。すなわち、ドラムコアサンプルAのD50は2.3μmであり、ドラムコアサンプルBのD50は3.7μmであり、ドラムコアサンプルCのD50は5.9μmであり、ドラムコアサンプルDのD50は7.7μmである。なお、これらのドラムコアサンプルA〜Dの材料構成比は、上記サンプル#6と実質的に同一のものであり、各ドラムコアサンプルの平均結晶粒径D50は、焼成条件(焼成温度及び焼成時間)を変えることによって調整した。すなわち、ドラムコアサンプルA、ドラムコアサンプルB、ドラムコアサンプルC及びドラムコアサンプルDのそれぞれの焼成温度は、1130℃、1170℃、1210℃及び1250℃であり、焼成時間はいずれのサンプルA〜Dも2時間とした。
そして、これらのドラムコアサンプルA〜Dのそれぞれについて、耐熱衝撃性試験をおこなった。具体的には、各ドラムコアサンプルA〜Dを420〜500℃の半田槽に外径1/2の位置まで3秒間浸漬させ、割れやクラック等のコア破損の有無を確認した。図7の表に、耐熱衝撃試験の結果を示す。この表は、ドラムコアサンプルA〜Dを各25個準備して、半田浴で破損した割合を破損率[%]で示したものである。なお、D50は、各サンプルの研磨面をSEM観察して、その観察結果を画像解析することにより求めた。
この試験により、ドラムコアサンプルC及びドラムコアサンプルDにおいては、それぞれ460℃及び440℃まで破損が防止され、高い耐熱衝撃性を有することが確認された。また、ドラムコアサンプルA及びドラムコアサンプルBにおいては、500℃もの高温半田温度までコア破損が生じず、特に優れた耐熱衝撃性を有することが確認できた。なお、図3に示した各サンプル#1〜12の耐熱衝撃性の結果では、440℃における上記耐熱衝撃性試験において、破損が生じなかった(破損率0%)ものを「○」で示し、破損が生じたものを「×」で示している。また、各ドラムコアサンプルA〜Dにおいて、上記条件下(温度条件23℃)で直流重畳特性を測定した。測定結果は、図8のグラフのとおりとなった。また、この測定結果から算出した変化率ΔL/LはドラムコアサンプルCが最も低い値となった。
以上で説明したように、Feが49.0〜50.0mol%、ZnOが20.0〜30.0mol%、CuOが1.0〜6.0mol%で残部がNiOである主成分と、主成分100重量部に対して0.01〜0.03重量部である副成分SiOとで構成された材料で構成されたトロイダルコアサンプル#1〜#7では、室温において470mT以上の高い飽和磁束密度と、飽和磁束密度の良好な温度特性を得ることができた。また、同様の組成成分を有するドラムコアサンプルαでは、優れた直流重畳特性が得られた。さらに、同様の組成成分を有するドラムコアサンプルA〜Dでは、高い耐熱衝撃性が得られた。
また、サンプル#1〜#7のD50は、図3の表から明らかなように、2.0〜8.0μmの範囲内に収まっている。一方、この範囲よりも大きいD50(11.1μm)を有するサンプル#8では、結晶粒径が不均一となった結果、耐熱衝撃性が悪い結果を示した。また、この範囲よりも小さいD50(1.7μm)を有するサンプル#9は、焼結密度が低くなっており、飽和磁束密度及び初透磁率μiが低い値を示した。
本発明の実施形態に係るコイル部品を示した概略構成図である。 実施例に用いた各サンプルの磁性体材料の原料構成比を示した表である。 図2の各サンプルの焼成温度及び諸特性を示した表である。 23℃における電流に対するインダクタンスの変化を示したグラフである。 100℃における電流に対するインダクタンスの変化を示したグラフである。 直流重畳特性の比較結果を示した表である。 耐熱衝撃実験の実験結果を示した表である。 各サンプルの23℃における電流に対するインダクタンスの変化を示したグラフである。
符号の説明
10…コイル部品、12…フェライトコア、14…絶縁被覆付き銅線。

Claims (4)

  1. Feが49.0〜50.0mol%、ZnOが20.0〜30.0mol%、CuOが1.0〜6.0mol%で残部がNiOである主成分と、前記主成分100重量部に対して0.01〜0.03重量部であるSiOとからなる酸化物磁性材料によって構成された焼結体。
  2. 23℃における飽和磁束密度が470mT以上であり、23℃から100℃へ環境温度が変わった際の飽和磁束密度Bsの変化率|ΔBs|が20%以下である、請求項1に記載の焼結体。
  3. 平均結晶粒径が2.0〜8.0μmである、請求項1又は2に記載の焼結体。
  4. Feが49.0〜50.0mol%、ZnOが20.0〜30.0mol%、CuOが1.0〜6.0mol%で残部がNiOである主成分と、前記主成分100重量部に対して0.01〜0.03重量部であるSiOとからなる酸化物磁性材料によって構成された焼結体コアと、
    前記焼結体コアに巻回された巻線とを備える、コイル部品。
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